偶に愛が重くなるまぞくと、愛されてる男のまちカド物語   作:名無しのモンスター

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ついに大義を成し遂げたけど早すぎね? と思いながらも初投稿です。

今回、ついに白哉君とシャミ子が……⁉︎(ネタバレ乙)


転生者・平地白哉と、彼に恋するまぞく・シャドウミストレス優子

 

 ………………ん? あれ? 私、今まで何をしていて……? 私は確か、フードの人の計らいによって、白哉さんの夢の世界に行くことになって、それから……えっと……何してたっけ?

 

 ハッ⁉︎ そうだ思い出した‼︎ 私は確か、桃に白哉さんと一緒に自分の記憶から出ようとした矢先に、フードの人に夢の世界の何処かへ連れて行かれて、白哉さんの夢の中であの時出てきた人の正体を探っていたんだった‼︎

 

 そして探っていく内にあの人と白哉さんの正体を知って、彼の本心もフードの人の口から聞いて、私の本心も改めて知って……って感じのところで起きたって感じですか。

 

 うーん……なんだろう、なんかフードの人の事に関して何か聞こうとしたことがあったような、ないような……何故かここだけが思い出せない。一番最後の記憶のはずなのに。

 

 って、あれ? この部屋の不気味な雰囲気の漂う感じ、何処かで……

 

 

「おはよぉ。目、覚めた?」

 

 

 あれ? この声、聞き覚えのある───

 

 

「ほげええええええっ‼︎ トリノバケモノー‼︎」

 

 

 アイエエエエ⁉︎ トリノバケモノ⁉︎ トリノバケモノナンデ⁉︎

 

 私の夢の世界からはデカい注射器や点滴とか、牛さんやドラゴンさんが出てきて、今度は鳥ィ⁉︎ まだ私の夢の世界から抜け出せてなかった⁉︎

 

 

「ごめんごめん、コスプレしたままだった! ここは私のラボだよ〜」

 

 

 えっ? お、小倉さん? そ、そっか、鳥の正体は小倉さんでしたか。なんだ、驚かさないでくださいよ……ところで何故そんな格好を? えっ? 中世のお医者さんのコスプレ? テンション上がるから着てみた? そ、そうですか……

 

 ってあれ? ごせんぞにミカンさん、拓海くんまでどうしてここに? 私達、確か私の家にいたはず……

 

 

『おぬしと白哉を救出する為に知識と準備が必要だったのでな、小倉の力を借りたのだ』

 

「救出……? というか今、救出する人のところに白哉さんの名前も出ましたが、白哉さんの方にも何か問題が……?」

 

『えっ』

 

 

 しかも本当に白哉さんが寝転がっているじゃないですか。それも私の右横で。というかよく考えたら、白哉さんの寝顔を生で見られるの今回が二回目になって……

 

 って、ああああああっ⁉︎ カ、カッコイイ……‼︎ やっぱり寝顔を見てもカッコイイって思ってしまって、またまた変な妄想が……いやこんな時に何考えてるの私⁉︎

 

 

『……そ、それはその……びゃ、白哉が寝不足みたいらしくな。それで突然寝てしまったのを何かしらのトラブルと勘違いしてしまっただけというか、何というかだな……』

 

「は、はあ……?」

 

 

 何ですかその理由……?

 

 

『と、とりあえず夢の中で魔力切れしてたようだから二度寝しているが、今はもう余達の心配はいらないがな……』

 

「えっと……? ま、まあ白哉さんが本当に無事なら別に何とも言うつもりはありませんが……」

 

『へっ? あっ。そ、そうか……そう言うならばまあ、余もこれ以上白哉の事を説明しないが……』

 

 

 何か隠し事をしてる感じがするのですが、無事であるならこれ以上聞かない方がいいのかもしれませんね。そう思って区切りをつけておかないと、何故だか私が変な怒りを持って取り返しのつかないことをしてしまいそうな気がするので……そもそもするなって話だけど。

 

 

「……ハッ⁉︎ そうだ桃‼︎」

 

 

 忘れてた‼︎ 桃も私の左横で寝転がっているんだった‼︎ 夢の中でも何故か真っ黒な格好で来てたし、闇堕ちしたとか言っていたし、一体桃にも何が……

 

 あっそうだ。白哉さんと桃に水分を与えておかないと。白哉さんも夢の中でだけど魔力を切らしたみたいですし……あっ、既に拓海くんにポ○リ飲ませてもらってる。しかも飲みやすいようにストローで。私もミカンさんからもらったシークワーサージュースを桃に飲ませてあげないと。

 

 で、ごせんぞと小倉さんの話によると、桃は白哉さんが謎の原理で自身の夢の中から私の夢の中へと直通して来たのとは違い、私の夢に入るために精神のみを闇属性に変えることで、一時的に私の眷属となったとのこと。

 

 つまり今の桃の精神は闇属性、肉体は光属性のダブル属性持ちの魔法少女になっているとのこと……って⁉︎ ナッ……ナナナナニソレ超カッコイイ〜〜〜‼︎ 金ピカの槍を持った時の白哉さんに並ぶほど超カッコイイ〜〜〜‼︎

 

 ん? ちょっと待って? 精神のみを闇属性に変えたって、それはどういう……

 

 

『そもそも此奴は精神的に闇堕ちの準備はとっくに整っていたのだ。おぬしの手によってな。これがどういうことか分かるか?』

 

「えっ?」

 

『つ~ま~り~。おぬしが白哉に対して向けてる感情とは別物ではあるが、桃はおぬしのことがダモッ

 

「ごせんぞーーーっ⁉︎」

 

 

 ちょっ、どうして急に自分の喉に手刀を当てたんですか⁉︎ えっ? 体が勝手に? それ意味が分からない……

 

 

「……おはよう」

 

 

 えっ? あぁここで桃が起き……あっ(察し)。そういえば依代状態のごせんぞはハートフルモーフィンステッキで操作できるんだった。何か言いかけたところで桃に止められたってことですか。そうですか……アハハ……(苦笑)

 

 でも……ここからが問題らしいです。魔法少女は精神──コアが闇に呑まれると、徐々にエーテル体も闇に変換されていくとのこと。つまり桃は弱体化しているってこと?

 

 えっ? なんか桃がミカンに魔法少女の姿になってもらうように指示を出して、ミカンさんが弓矢のような武器を桃に向けて……? えっ⁉︎ 何この絵面⁉︎ 裏切り者への制裁をしようとしているようで怖い‼︎

 

 

「過去の伝承によれば、闇堕ちを止めたい時は友情パワー的なやつを一発ぶち込むのがオススメなんだって!」

 

「小倉さんそれ何処の伝承です⁉︎」

 

「魔力的なショックを与え、肉体に傷をつけずにその魔力に合わせた属性に精神を染み込ませる作戦なんだ。俺の親父が先代の魔族や魔法少女から聞いたやり方らしいけど……生憎今はこの方法でやるしかない。だからシャミ子君は桃君から下がっていてくれ」

 

「先代の魔族や魔法少女って何⁉︎」

 

 

 頭の回転が出来なくて思わず二連ツッコミしちゃったんですけど⁉︎ みんな一体どんな原理で桃を闇堕ちから戻そうとしているんですか⁉︎

 

 やっぱり絵面が怖いから、桃が弱くなる分は私がトレーニングして強くなるのでやめてと言おうとしたのですが、桃が多少無理してでも今すぐ戻った方がいいと言われたので、私もやむ無く了承しました。今の桃の方が、なんだか辛そうでしたし……

 

 

「………………やったことないから一か八かの賭けだけど……他でもない桃の頼みだもの。成功してみせるわ。……大丈夫……大丈夫………………」

 

 

 成功するか否かの不安を抱えながらも、自身の冷静さを保ちながら成功させる為の暗示をかけるミカンさん。近距離で矢を打とうとすると謎の緊張が走ると言っていたみたいだけど、桃を助けたいが故か思ったよりも冷静になっている。これならきっと……

 

 

「戻ってきなさい桃。十年前に貴方からもらった気持ち……今返すわ‼︎」

 

 

 刹那。桃の心臓部を射抜く……否、入り込むが如く魔力の矢が放たれ、桃の心臓部を中心に橙色の光が放たれる。

 

 光が収まった時には、周囲を含めても特に大きな変化は起きておらず、桃も立ったままで一応無事な様子だ。悪魔の羽となっていた髪飾りは一部は黒いままだけど、装飾部分は天使の羽の羽に戻っていた。どうやら何とかなったっぽいそうです。……っぽいで済ましていいのかなこれ……?

 

 

「ミカン……嫌な役目させてごめん」

 

「……いいってことよ! 偉大なるミカンちゃんの友情ぱわーに感謝しなさい………………

 

 

 

 それはそうと、壮絶な緊張を強いられたので、呪いがもうダメです

 

 

 

 ゑ。それヤバくないですか?

 

 

「あっ、これみんな逃がさないとダメだね。怪奇術・瞬時転移‼︎」

 

 

 拓海くんがそう高らかに叫んだ途端、私達はいつの間にか小倉さんのラボの外に出ており、ラボはミカンさんの呪いのせいだからなのか突然地面から生えてきた蔦によって崩壊しました。うわぁ、惨い……

 

 

「あああ……またやってしまったわ……」

 

「呪いが発生してしまうのを耐えただけでも陽夏木さんは頑張れてたよ。えらいえらい」

 

「うう……ありがとう、拓海……」

 

 

 そして呪いを発生させてしまったミカンさんを拓海くんが父親の如く宥めることになりました。異性が抱きついているのに動揺とかせず優しく抱擁するとか、父親の鑑ですか貴方は? ある意味すごいですね。

 

 

 

 

 

 

 事が解決(?)したので解散し、未だ寝ているままの白哉さんをメェール君達召喚獣の皆さんに任せた後、私は一人でに悩んでいた。

 

 みんなに負担をかけたのに、桜さんのコアが返せそうにない事を桃になんて言えばいいのか。そして、白哉さんの正体を知ってしまった事を本人に伝えておくべきなのか。どれも答えを見つけることが出来ずにいた。

 

 とりあえず……今は先決して相談しておくべき事から解決しておこう。白哉さんの件は本人がまだ寝ているから後回しにしておいて、なんとかコアを取り出す方法を桃と話し合おう。

 

 そうして私は桃に桜さんの事を全て話した。今までの桃の頑張りを無駄にしたくない、なんとかコアを取り出して桃に返したい、けどどうすれば良いのか、そんな自分の心境を話したら……

 

 

「姉のコアはしばらくシャミ子が預かっていて。……姉がここにいることがわかった。今はそれでいい」

 

 

 私の心臓部……桜さんのコアがあるところを軽く叩きながら、桃はそう言った。そして、いつか超強いまぞくになってコアを取り出せるまで気長に待つとも言ってきた。しかもなんとかなる定期というテキトーさ。

 

 しかも『町を守る』っていう桜さんのお願い……強くなるためにもやってみたらどうかとも提案してきた。いや繋がりの強い家族の事が絡んでいるのに何故そんな大雑把な思考なの⁉︎ 意味がわかりません⁉︎ そもそもここは桃の町だから、桃が守らないと意味ないのでは……

 

 

「……コアの……姉の居場所が分かると、私がこの町に固執する理由、あんまりなくなっちゃうんだ」

 

 

 夕日を仰ぎながら、手で四角いカメラレンズの形を作る桃。その指の間には小さな町の一角が写っており、夕日によって美しく照らされていた。その風景を収めた後、再び私の方を向いて……

 

 

「だからこれからは、シャミ子が……ううん、シャミ子だけじゃないや。白哉くんも、ミカンも、拓海くんも……私の友達みんなが笑顔になれるだけのごくごく小さな街角だけを全力で守れたら───

 

 

 

 それが私の新しい目標になる気がするんだ。だから……考えてみて」

 

 

 演技でも無理強いでも何でもない、全てを曝け出した満面の笑みを、私に見せてくれた。

 

 

 

 なんで笑ってくれたんだろう。桜さんを……桃の大切な家族を返してあげられないのに。返そうにも、今の私ではどうにとも出来ないのに。なんで……なんで……

 

 けど、不思議だった。謝罪の念よりも、自分の無力さへの嘆きよりも、『笑ってくれてよかった』という安堵と喜びが強くなった気がした。そして気がついた時には……突如溢れてきたものが、私の瞳から零れ落ちていった。

 

 桜さんからの頼まれ事がこんな私にできるのかわからない。けど、桃が笑ってくれるほどの信頼は得られた。それに桃は町を守る手伝いをするとも言ってくれた。シャドウミストレスとしての威厳もあるのだし、やれるだけやってみよう。そう心の底から誓いの言葉を立てたのだった。

 

 

 

 

 

 

 桃と共に河川敷にてぽっきんアイスの誓いとやらを立てた後、私達二人は夕日を眺めながらぽっきんアイスを食べる。これから頑張ろうという意志を立てたのはいいのだけれど、何か忘れているような……

 

 桜さんのコアの事の他にもう一つ、解決しなければならないこと……えっと……そういえば、白哉さんは起きたのかな? ……あっ。

 

 

「あーーーっ⁉︎」

 

「うわっビックリした。どうしたのシャミ子?」

 

「思い出しました‼︎ 私の……いえ、私と白哉さんにとっての大事なことを‼︎ その事での私の答えを‼︎」

 

 

 いけないいけない、そろそろ私達二人の間で終止符を打たなければいけないことを、うっかり忘れて未解決にして一日を終わらせてしまうところでした。白哉さんは既にあの時の答えを見つけたんだ、だから、私も……‼︎

 

 

「シャミ子と白哉くんにとっての大事なこと……? あぁ、告白のことだね」

 

「えぇ。ようやく答えを見つけ出すことができたので……って⁉︎ な、何私がこの後しようとしているのかをストレートに口にしてくるんですか⁉︎ やっぱり他人の口からその事を言われると恥ずかしいのですが⁉︎」

 

 

 さ、さすがは恋愛お節介桃色魔法少女。私か白哉さんのどちらかが恋愛思考になると喰いついてくるだけのことはある……‼︎

 

 

「そっか……やっと勇気を持って彼に伝える気になれたんだね。正直揶揄いすぎたから、どちらかが告白するのかはまだ先だと思っていたよ」

 

「……自覚してるのなら、どこかで揶揄うのをやめられただろきさま」

 

「それはごめん。楽しくなってきたものだから」

 

「きさま……‼︎」

 

 

 楽しくなってきたから続けることにしたって……それ、貴方自身が私達二人を期待していた展開から遠ざけさせていることになっているんですよ? それくらい察してもよかったのでは?

 

 

「でも……大丈夫だよ。どんな時でもシャミ子に寄り添ってくれている白哉くんだもの。そろそろ彼自身も答えを見つけられたはずだし、きっとシャミ子の想いは伝わるはずだよ」

 

「桃……」

 

 

 むぅ……まるでいつも二人を見ているんだよ感を出してるように見えるので、そういうのをやめていただけませんかね……? それだと私だけに飽きたらず白哉さんのマウントをも取っているようで腹立つし、妬みも感じてしまうのですが……

 

 ……いえ、それでも桃の言う通りではありますね。何時でもこんな私の事を心配してくれて、何時でもこんな私の側に寄り添ってくれている彼だからこそなのか、いつかは彼の方から先に私の想いに対するを出してくれるのではないかとは薄々感じていたし、きっと……

 

 そうと決まれば、善は急げですね。そろそろ白哉さんが起きても問題ないのかもしれないですし、何よりどうしても『本音を伝えたい』という意志が強くなって仕方なくなってきた。

 

 

「……言質、取りましたからね。後で私達にとって幸福となる報告を受けて、先を越されたことを後悔しても知りませんからね‼︎ フハハハハ、翌日に吉報が来ることを震えながら待つが良い‼︎」

 

「むっ………………いいから早く行きなよ。白哉くんを待たせているだろうしさ」

 

 

 おっ? 私に先を越されるかもしれないという事実が受け止められないからなのか、桃が頬を赤らめ眉を顰めた表情を見せてきた。ミカンさんの話によれば、桃にも好きな異性がいるとのことだけど、どうやら本当のようですね。これは……これまで揶揄われてきた分の鬱憤を晴らせるチャンスなのでは?

 

 

「おやおや〜? 桃、そんな嫉妬じみた顔してどうしたんですか〜? さては図星? 先を越されることに対しての図星ですか〜? これはマウントを一枚取れた気がす───」

 

「いいから早く行っておいでッ‼︎」

 

「ごめんなさいでした調子乗りましたー‼︎」

 

 

 怒られて思いっきり背負い投げを喰らってしまいました……受け身の練習をしておいてよかったです……

 

 

 

 

 

 

「……ん。あぁ、もうこんな時間か……」

 

 

 優子の夢の中で彼女を助けに行き、出口を探そうとしたが予想してなかった魔力切れでピンチになった時に桃に優子と一緒に助けられた俺・平地白哉。魔力切れで疲れた為桃達に二度寝の許可を得たのはいいが、まさか思ったよりも長く寝てしまったとはな……昼飯食えんかったわ。

 

 よく考えたら、さっきまで寝てたのに夢の中で意識は持てていなかったみたいだけど、特に大したことは起きてない……のか? 魔力を寝て回復する為に意識を持てないように自動的になってるのか? まぁそうでもしないと起きれないとは思うけどな……

 

 

【マスター、今は夕方だけどおはようだメェ〜。身体は大丈夫だったメェ〜?】

 

「メェール君か……あぁ、もう大丈夫だ。心配かけてごめんな」

 

【いやいや、マスターが無事なら別に気にしないメェ〜。マスターならあの展開からでも無事で帰って来られると信じてたメェ〜】

 

「そっか……嬉しいけど、謎の信頼を得られてるのはなんか複雑だな……」

 

 

 原作にはなかった展開で、俺がピンチになっても生きて帰れるだろうという信頼はさずがにどうかと思うんだよなぁ。前世で得た原作知識がほとんど役に立たずに、少なくとも酷い結末で終わりそうだから……

 

 って、あれ? そういえば俺が寝ている間に優子達は一体どうなったんだ? 原作にはなかった嫌な展開とか起こってないだろうな? 急に不安になってきた……

 

 

「なぁメェール君。俺が寝てる間に優子達に何があったのか、もし知っているのなら教えてくれないか?」

 

【ん? いいけど、まあ大抵はマスターの思った通りの展開だったメェ〜よ?】

 

 

 メェール君が優子や桃から聞いた話や、二人の会話を盗み聞きしたことによって得た情報よると以下の通りとなっていた。

 

 

・一時的な優子の眷属になる為に桃が精神を闇属性に染めた

 

・優子と桃が起きたことで、ミカンの持つ光属性の魔力によって桃の精神を光属性に変換

 

・かなりの緊張の中で抑えていたミカンの呪いが爆発

 

・拓海の霊術によって全員外へ瞬間移動された

 

・原作通り小倉さんのラボは崩壊したが、案の定小倉さんは平然としていた

 

・夕方にて優子が夢の世界で桜さんに会って話してくれたことを桃に報告

 

・桃は桜さんが優子のコアの中にいただけでもよかったと思っている

 

・優子や俺達が笑顔になれる街角だけでも守れたら……という新しい目標を語った

 

・二人が河川敷に行ってぼっきんアイスの誓いを立てる雰囲気になった

 

 

 ……うん、確かに俺が予想してた展開──原作通りの展開になってたな。何処かは変な展開とかになってたらどうしようかとは思ってはいたけど、何事もなく進んでくれてよかった。何より……優子が無事で、本当によかった。

 

 ……さて、後は俺と優子の関係だな。

 

 俺はあの夢に出てきたフードの人に促される形で前世を振り返り、優子に対する想いについて思い返すことができた。けど、問題はここからだ。

 

 俺はこの見つけた答えを優子にどう伝えるべきなのか。俺が転生者であることも同時に伝えても良いのだろうか。それとも……ぬぅ、改めて考えるとどう伝えるべきなのかが分からなくなってきたな。

 

 いやこの期に及んで何ヘタレているんだ俺は。我ながら男として恥ずかしくないのかよ、マジでさぁ。

 

 ……けど、これ以上隠し事をしても後でバレた時に信頼を失ってしまう。だからここは正直に言うべきなのかもしれない。幸いにも優子は非常識な出来事をサプライズだと思い込んでいるから、それによって俺が転生者であることを知っても何かしらの支障が少なくなることを祈るか。

 

 そう考えているところに、インターホンの鳴る音が聞こえてきた。……来たか、彼女が。

 

 

【あれ、こんな時間に誰だメェ〜? はい……あっ、シャミ子ちゃんじゃないかメェ〜。こんにちはとこんばんはの境目だメェ〜】

 

 

 やはり訪問者は優子だったか。あの時俺がリオレウ○擬きの問いかけに対して答えた言葉の意味を聞きに来たのだろうな……ってかメェール君、こんにちはとこんばんはの境目ってなんだよ。どんな挨拶の仕方してんだよ。

 

 

『あっ、メェール君ですか? あの、白哉さんは今どういった状態ですか?』

 

【マスターならさっき起きて、眠気も飛んで意識がはっきりしてるメェ〜よ】

 

『そうですか……突然ですみませんが、彼と二人きりでお話させていただけませんか?』

 

【了解したメェ〜。ちょっと待っててほしいメェ〜】

 

 

 やっぱりか。やっぱりあの事について聞きに来たって感じだな。だったらもう逃げても意味はない。ちゃんと話してやらんとな……俺が転生者であることを、そして前世で優子達の漫画を読んで優子のファンになってたことを。

 

 

【マスター、シャミ子ちゃんがマスターと二人きりで話したいそうだメェ〜】

 

「奇遇だな、俺も優子とは一度話しておきたいことがあるんだ。メェール君は他の召喚獣達と一緒に自分達の世界に帰っててくれ」

 

【わかったメェ〜。……ここまで言っておいて告白とかじゃないんだったら、そろそろガツンと言ってやるとするかメェ〜

 

 

 いや、小声で不穏な事を言いながらゲートインしないでくれませんかね? さすがに足元近くにまで来たら聞こえるからね?

 

 さてと……そろそろ玄関で待ってる優子を出迎えてあげるとするか。彼女からの積もる話もあるだろうし。

 

 

「……お待たせ優子。上がっていいぞ」

 

「……はい、お邪魔します」

 

 

 優子を部屋の中へと招き入れ、俺は思わずテーブルの前で正座した。いざ話すとなって緊張してしまった感じだなこれは……落ち着け、落ち着くんだ俺。変に強張ると優子に余計な心配をかけさせてしまうから、なるべく自然体になれるように意識しながら……

 

 ん? あっ、優子も俺の目の前で正座した。彼女もいざ話すとなると色々と余計に緊張してしまうんだな。その気持ち、俺にもわかるよ。いざ話し合うとなると緊張してしまうの、よく考えたら他の人達にも起こりうることだったな。それなら仕方ないな、うん。仕方ない。

 

 さて、ここからどうするか……優子に俺が転生者であることを話すべきか、言い換える形で大抵のことを話すべきか、それとも……

 

 

「あ、あの……びゃ、白哉さん……」

 

「へっ⁉︎ お、おう。なんだ?」

 

 

 何から言うのか考えてたら、優子の方から声を掛けられたんだけど。先に彼女からあの問いかけについて聞いてきたのか?

 

 

「そ、その……これ言っていいのかわからないのですが……」

 

 

 ん? なんか質問するって感じではないな? 優子の方から何か言いたげって感じだな。まさか普通に勇気を振り絞っての告白をするというのか……?

 

 

 

「白哉さん、前世の記憶を持っているというのは本当なのですか?」

 

 

 ………………ん?

 

 

「それも前世では白哉さんや拓海くん、全臓くんのいない世界での私達の体験談が描かれた漫画・アニメのファンになったというもの……?」

 

 

 へっ……? はっ……? ちょっ……? えっ……?

 

 ………………

 

 

 

「はああああああああああああっ⁉︎」

 

 

 

 おまっ、ちょっ、えええええええええっ⁉︎ 俺が前世の記憶を持ってるのかって、優子達が出てる漫画・アニメのファンって……えええええええええっ⁉︎

 

 なんで⁉︎ なんでそんなこと知ってるの⁉︎ 俺、前世の事を一ミリも優子達に話したことなんかねェよ⁉︎ 話したとしても召喚獣達と白龍様にしか話してねェぞ⁉︎ 一体なんでそんなことを知って……

 

 ハッ⁉︎ しまった、優子には夢魔の力があるんだった‼︎ 夢の世界でなら俺が無意識に前世での出来事を夢の世界で体験していたら、その時に優子が俺の夢の中に入り込んで、前世の事とかを色々知ってしまったというのか⁉︎ その可能性は、あり得るな……

 

 ということは、優子は昨日までの間に既に俺が前世の記憶を基にした夢を見てたところに入ってきたってこと⁉︎ そしてその事を今日になるまで黙っていた⁉︎ つまり俺は前世の事を隠す必要なんてなかったってことなのか⁉︎ そ、それは予想外だった……

 

 で、どうしよう。肯定した方がいい、のか……? いや、その前にいつ俺の夢の世界に行ってたのかを聞かないと。いつから俺の正体を知ったのかってのをあらかじめ知っておかないと……‼︎

 

 

「ゆ、優子……それ、どこから得た情報なんだ? そしてそれをいつ知ったんだ?」

 

「えっ………………。いつと言っても、目覚める前にですけど……」

 

 

 ………………は?

 

 

「桃に助けられた後、突然現れたフードの人の計らいみたいな感じによって、白哉さんが前に見た夢の世界に行くことになって……といった経緯で知りました」

 

 

 えっ? フードの人? その人が優子を俺が一度見た夢の世界に連れて行った? おいおい、俺が記憶してない夢にどうやって彼女を連れて行ったんだよあの人……

 

 ってか、これは言っておかないといけない気がする。

 

 

「そのフードの人、俺も今日にて夢の中で初めて会ったわ‼︎」

 

「えっ⁉︎ 白哉さんもですか⁉︎」

 

「あの人、他人の夢の世界を行き来できるんだったな……初めて知って恐ろしく感じる……」

 

 

 大体俺の別の人格であると言っていた癖に、どうやって他人の精神世界に入り込んだんだって話だよ。本当は神様の類の人か何か……あっ。あの時は俺も一緒に寝てたから、その時に何かしら偶然が重なって行き来できるようになったのかもしれないな。それなら納得がいくかも。

 

 いや、そこも気になるが本題はそこじゃない。

 

 

「あー、その……アレだ。俺の正体を知ったってのは、本当なんだな?」

 

「……はい」

 

「それはすまなかったな。隠してるってわけじゃないんだけど、そんな事言っても誰も信じてはくれないだろうなとは思っていたし、何よりその事を知ったお前がどう思うのかって考えてたら……話せる状況になったとしても話せそうになくってさ……すまん」

 

 

 別に嘘をついているわけではない。ただ、普通に考えて『前世を持っている人間が存在する』だなんて誰も信じてくれるわけがない。仮に信じる者がいたとしても、その人も他所から異常者だと思われる。そんな最悪な事態を避けたかったから隠す必要があったんだ。

 

 常識が通用しない現実でもすんなりと受け止められる多摩町の人達なら、俺が転生者であることを口にしても信じてくれるのかもしれない。それでも俺はそれを言うほどの勇気が出なかった。だからずっと拗らせてきて……今となっては優子に隠し事をして申し訳ないと思っている。

 

 

「いえ、別に白哉さんは悪くないです。……悪いのは、私の方なんです」

 

「……えっ? な、何言ってんだよ? 俺はお前に前世の記憶持ちだってことを、ここ数年間もずっと騙し続けたんだぞ?」

 

「……分かってます」

 

 

 あ、あれ……? なんか、思ってた反応と違う気がするんだけど……

 

 

「確かに『自分は転生者だ』と信じてくれる人はいないのが現実。だからこの事を隠さないといけない。そう思ってしまうのも無理はありません。……けど、それでも私は、白哉さんが私達の世界の人達とは違うところがあるのだとか、気づくべきところは本当はいくつかあったはずでした。それに一切気付かず、私はただ自分の愛の重たさによって白哉さんを苦しませてきた。貴方が転生する前と比べて違いに気づいてあげれば、貴方への負担は軽くなったはずだと……改めて考えてそう感じました」

 

 

 ……あぁ、そっか。そうなんだな。少しでも転生前の白哉──俺──と比べておかしいと感じたことに気づけば、何かが変わったのではないかと、そんな事を考えていたんだな。それに俺への愛し方も含めてると……

 

 過ぎたことをくよくよするのは本当はよくないけど、俺の為に何かしてあげようと想ってくれていることはすごく嬉しい。それだけでも励まされている感じがして、嬉しく思えるから。

 

 

「……ですが、今はもうそんなことはどうでもいいんです」

 

「えっ?」

 

 

 今はもうそんなことはどうでもいい? それは一体どういう───

 

 

「たとえ貴方の正体が誰であろうと、気付かぬ内に貴方の中身が変わっていようと、白哉さんは白哉さん……貴方があの時、私に声を掛けてくれた。励ましてくれた。側に寄り添ってくれた。そして……恋というものを実感させてくれた。その事実に変わりはありません」

 

 

 ……中身が変わろうとも、俺は俺、か……なんだか俺の心に響く言葉だな、それは。誰になんと言われようとも自分の信じるべき道を行け、そう背中を押してもらっている気がして、なんだか安心するな。後、ちょっと照れる。

 

 ………………優子がここまで精一杯込めた想いを言ってきたんだ。俺も、そろそろ答えないとな。

 

 

「だから……そ、その……わ、私は……‼︎ びゃ、白哉さんのことが……‼︎」

 

「───すまん、優子。ここから先は、俺の口から言わせてくれないか? でないと男が廃る」

 

「えっ……」

 

 

 今までずっと気づくことが出来ず、優子に面と向かって伝えてこなかったんだ。ようやくあの時の答えを見つけた今だからこそ、優子にはっきりと伝えるんだ。先程まで思い出すことの出来なかった、優子への想いを。

 

 

「シャドウミストレス……いや、吉田優子さん」

 

「ふぇっ⁉︎ あっ、は、はい‼︎」

 

 

 

「俺は、貴方の事が好きです。こんな俺で宜しければ、お付き合いしてください」

 

 

 

 ……やっと、言えた。今まで思い出すことも見つけることもできなかった、優子への想いを。まだ彼女からの返答がまだだというのに、ようやく伝えられたという達成感で一杯だ。

 

 もしもこの告白で優子に距離を置かれようとも、俺はそれで諦めるつもりはない。決めたんだ。何と言われようとも、どんな扱いをされようとも、俺は彼女を愛し続けようって。この想いは、絶対に変えない。

 

 優子の方はどんな反応をしているというのか……あぁ、案の定というべきなのか、顔を真っ赤にして硬直しているな。

 

 よく考えたらそれもそうだな。この数年間、ずっと告白もどきに対して答えを出さなかった奴が、突然『よろしくお願いします』とでも言っているような言葉を出してきたのだから、そんな反応をされても仕方ないな、うん。

 

 さてと、どう答えてくれるのだろうか……

 

 

「えっ……えっと……あ、あの……そ、その……ほ、本当にいいんですか? 私、貴方の事になると愛が重たくなることがあるんですよ? そんな私が今さっき貴方に告白しようとしてましたけど……」

 

 

 やっぱり信じられなかったみたいだな、俺から告白を受けられるだなんて。そのせいなのか、告白しようとしたのに弱気になってしまったんだな。

 

 だったら、本心を言ってもらえるように促してあげよう。優子にも気を楽にしてもらわないと、お互いの為にならないしな。

 

 

「お前じゃないとダメなんだよ」

 

「えっ……わ、私じゃないと、ダメ……?」

 

「優子の方はどうなんだ? こんな俺じゃダメなのか?」

 

「………………」

 

 

 ……ん? ん? んんんっ⁉︎ な、泣いてる⁉︎ 静かに泣いてやがる⁉︎ えっちょっ……俺、選択肢を間違えたのか⁉︎ 告白に対する返答に困っている子に対するテンプレはよくなかったのか⁉︎ これ、俺の本心でもあるんだけど⁉︎ や、やらかしたのか? 俺……

 

 

「………………ズルいですよ、今の貴方は。そこまで言われたら、断れませんよ」

 

 

 えっ。ってことは……

 

 

 

「このシャドウミストレス優子……いえ、吉田優子も、貴方とお付き合いしたいです。不束者ですが、よろしくお願いします」

 

 

 

 今世……いや、前世を含めて一番に身体が熱くなり、様々な正の感情にも包まれた瞬間だった。

 

 長年もの間考えることすらも保留にしてきた想いを伝えることができたことによる開放感。

 

 その想いを幼馴染にポジティブに受け止めてくれたことによる安心感。

 

 そして、結ばれるのだと知ったことによる幸福感。その三つの正の感情が、俺達二人を優しく包み込んでくれている……そんな気がした。

 

 気がつけば俺達は、お互い静かに密着し、それぞれ両腕を相手の背中に回していた。優しく抱きしめ合っている、というわけだ。そして優子は俺の胸の中に顔を埋め込み、徐に俺に話しかけてきた。

 

 

「……これからは、暴走しない程度に積極的に好意を寄せていこうと思います。なので、その……私から、逃げないでくださいね……? な、なんて……」

 

「いきなり重い発言で積極的になってきたな……けど安心してくれ、俺はもう逃げない。お前を、愛し続けてみせるさ」

 

「よかった………………その、白哉さん……」

 

「ん?」

 

 

 ひょこっと俺の胸から顔を出した優子は、恋の実った乙女の如く頬を赤らめて微笑み、トロンッと蕩けたような瞳で俺を見つめ……

 

 

「大好きです。愛してます。これまでも、これからも」

 

「……あぁ、俺もだ」

 

 

 お互いに顔の距離をゆっくりと縮め……ビターチョコのようにほろ苦くて甘い唇を、交わし合った───

 

 




Foooo‼︎ ついに成し遂げたぞォォォォォォッ‼︎
だが原作三巻編はまだ続く⁉︎ いつになったら終わるんだと自分でも不思議に思ってます……
白哉君とシャミ子が付き合うことになった時、周囲はどう反応するのか……ご期待を‼︎
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