偶に愛が重くなるまぞくと、愛されてる男のまちカド物語   作:名無しのモンスター

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終局。それは始まりの後に必ず訪れる。
私たちの願いは破滅へと連なるのか。私たちの希望は死そのものなのか。
最終話『世界の中心でアイを叫んだけもの』



嘘ですッ‼︎ 最終回だなんて、全て嘘ですッ‼︎ ってことで初投稿です。

お気に入り数が三人も減った瞬間があったのですが、何故?(現在は一人戻っている模様)


転生者とまぞくが結ばれた、翌日の話。その日はいつもより爽やかだった。

 

「……朝か」

 

 

 多磨町を照らす眩き太陽が真上に昇り、小鳥と蝉の鳴き声が目覚まし時計の代わりとなって聞こえてくる朝。太陽によって反射された優しき光に当てられ、俺はゆっくりと身体を起こした。

 

 そして眠気がある程度飛んでた時には……自分が一糸纏わぬ姿──全裸──であることに気づいた。下は布団に覆われてて見えなくなっているが、そこの風当たりが良くなりすぎている為が故、この状態であると言えよう。

 

 そして俺のすぐ横には……あの幼馴染の優子が、俺と同じく一糸纏わぬ姿で可愛げな寝息を立てながら寝ていた。肩辺りの少し下ら辺の肌もチラリと布団の中で見えていた為、彼女も俺と同じ状態であることが確信できたのだ。

 

 この状況となると、昨日までの俺なら真っ先に『どうしてこうなった』って思い込むだろう。そして昨日までの出来事を振り返り、なんとか現在に至るまでの経緯を辿ろうとするだろう。とはいっても、こういった状況だと上手く整理することができないだろうが。

 

 けど、今の俺なら何故こんな状況になったのかを冷静に理解できる。

 

 実は優子が夢の中で桜さんに出会う原作の重大イベントの後、俺は夢の中でフードの人に促された形で優子に告白し、彼女も嬉し泣きしながら了承し、俺達は結ばれたんだ。

 

 告白してしばらく経った後、リリスさんと一緒に優子に教えたんだ。愛撫をすることで悠久を共にするパートナー……眷属の上位互換的存在を作る契りがあることを、そしてその一つとなるキスを俺の寝てる間にしていたことを。話終わったら優子はしばらく黙り込み、そして自爆してその場で転がりだしたんだ。まあそんな反応をするだろうなとは思ったけど。

 

 そしたら優子は乱心したのか、『それならば付き合うことになったこともあるので最後までやりましょう』と言ってきたんだ。さすがに俺も羞恥心を覚えた為、『無理にそんなことをする必要はない』と言ったんだが……

 

 優子は本当は乱心したわけじゃなかった。どうやら俺と抱き合うことを望んでいたそうだ。そして気づいたんだ。彼女はそれぐらいの俺への愛を与えようとして、ずっと我慢していたんだなって……

 

 で、その後は夜中の俺の部屋にて実際に抱き合い交わり合い、現在に至るってわけだ。

 

 ちなみにあの行為は普通、条件を満たしてしまえば優子の妊娠がまだ十八歳じゃないのに確定してしまうのだが、リリスさん曰く、未成年の魔族は自動的に生成される魔力の膜がとある細胞に完全コーティングされる為、誤った妊娠をしてしまう問題はないとのこと……らしい。魔族の魔力って意外とものスゲーのもあるんだな……

 

 ん? その行為による音は大丈夫か、だって? ばんだ荘の壁は薄いから大きな音は他の部屋に筒抜けになるだろ、だって? そこも心配はいらない。何故なら常時メェール君達に貼ってもらった音声遮断用の魔力の壁、あれ前もって二重・三重にしてもらってあるんだ。だから近所迷惑なんてことにはならないのだ。

 

 というか……改めて思い返してみたら、俺と優子は結構恥ずかしいことをしたんだな。魔族の契りの事もあるとはいえ、その時はお互い結構求め合ってしまったんだって思うと、我ながら獣になった自分達に引くわ……

 

 つーか……優子がこの事を誰かに指摘されたら、絶対赤面しながら発狂して右往左往に転がるだろうな。付き合い始めたばかりの上に契りとはいえあんなことをし始めたばかりなんだから、絶対そうなるに決まってる。ってか俺も内心発狂するな、よく考えたら。

 

 あぁヤベッ、そう考えたら顔がすごく熱くなってきた気がする。まるで四十五から五十度ぐらいの熱湯に浸かっている気分だわ。そんぐらい恥ずかしくなってきた。

 

 

「ハァ……慣れないことをした後って、こんなにも気恥ずかしくなるものなんだな……」

 

「ん……んん……?」

 

 

 徐に今の心境を呟いていたら、優子が起きてしまったようだ。ってか、ここからもヤバくなってない? 優子自身が寝ぼけてる点もあるから、状況の整理が俺以上に出来ずにその場で……

 

 

「あっ………………お、おはようございます、白哉さん」

 

「……お、おはよう……」

 

 

 ……ん? あれ? 思ったよりも状況を冷静に理解したのか顔を真っ赤にして照れてはいるけど、悶絶したりとかはしてない感じ……? えっ……?

 

 

「……えへへっ。やっぱり、あの夜の後となると恥ずかしくなりますね。一昨日までの私なら絶対卒倒しちゃいそうです」

 

「えっあっ。お、おう。そうだな。こんなこと、前までの俺達ならしそうにないことだよな……」

 

 

 あれェ? 丘ピーポー? なんでこうなるのー? なんか、思った反応と全然違うんですが……? えっ? なんで照れる程度で済まされるの? 今の状況、分かってる?

 

 こんなことを言ってはアレなんだけどさ……俺達は今、全裸だよ? そして一つの布団に入って一緒に寝ているんだよ? その前に普通のカップルでもやりづらいであろう結構恥ずかしい事をしていたんだよ? なのになんで乱心せずに冷静でいられるのさ? 恥ずかしがってはいるみたいだけどさ……

 

 ……あっ。これはアレか? 前から好きだった幼馴染とようやく結ばれたことによって生まれた余裕というものか? 優子の奴、いつの間に余裕の持てる子になったんだ? えぇっ……(困)

 

 ってか、今こんなところで駄弁っている場合じゃないな。これ以上優子を俺の部屋にいさせても清子さんに心配かけられるし、桃達にもこの事を怪しまれるし、何より今の全裸状態の優子を凝視なんてしてたら理性が保てなくなりそうだし……いやマジで。

 

 

「と、とにかく朝飯でも食おうぜ。優子は今日どうするんだったっけか?」

 

「あっ。あの……実はおかーさんには朝ご飯も出来ればここで済ませると言ってきたので、白哉さんが宜しければ……」

 

「……わかった、一緒に食うか。二人きりで食うのは初めてだから緊張しちまうけど。先に別の部屋で着替えてから作るからゆっくりしてってくれ」

 

「は、はい」

 

 

 優子から承諾を受けた為、ベランダで着替えてから朝飯を作ることに。いつもは朝飯は洋風にしてるけど、優子がいるから今日は和風にしようと思う。

 

 後、最近はいつもメェール君が作ってくれてるけど、今のところ彼等は自分達の世界で待機させてるし、今の状況の事で煽ってきそうだから、今のところ出さないことにしとこう。そうしよう。

 

 うーん……でも今の優子なら煽られても大丈夫かもしれないな。起きて現状を見ても悶絶しなかった程の余裕の心意気を見せていたし───

 

 

「ア ゙ア ゙ア ゙ア ゙ア ゙ア ゙ア ゙ア ゙ア ゙ア ゙ア ゙ア ゙ッ‼︎ ヤってしまった‼︎ ついにヤってしまったァァァァァァッ‼︎ 我ながらなんて恥ずかしいことをォォォォォォッ‼︎ 魔族の契りのこともあるし互いの了承もあるとはいえ、少なくとも付き合い始めることになって僅か数時間でやることではないじゃないですかこれ⁉︎ 正直嬉しかったけどやっぱりこれはない‼︎ 白哉さんの前で平常でいられたけど恥ずかしすぎて死にそうですよコレェェェェェェッ‼︎」

 

 

 ………………落ち着くまでは出来ても呼ばないでおこうかな。

 

 

 

 

 

 

 少し気まずくはなりながらも、仲良く話し合いながら朝飯を済ませた俺達。その後は吉田家にお邪魔することに。優子を帰すだけならすぐに出るだけなんだけど、この後は清子さんと話があるからな。家まで送ってさよならバイバイはどうかしてる。俺はこいつと旅に出る♪ 誰だよ。

 

 ちなみに優子は部屋の奥で頭の中で悶絶しながら横になっており、そんな彼女を良子ちゃんが宥めてます。

 

 

「昨夜はすみませんでした、優子に俺のところで泊まる許可を取らせてしまって。それも泊まる当日に」

 

「気にしてませんよ。寧ろ優子が自分から白哉くんのところに泊まりたいと言ってきた時は嬉しかったぐらいですから」

 

「何故そう思っているんですか貴方は……まさか娘の考えていることはお見通しなんですか?」

 

 

 子の心親知らず、という言葉があるのだけど清子さんにはそういうのはないというのか? 優子が俺の事を好きになっていたことも知っていたと……?

 

 

「お見通しというよりも、優子が貴方の事を話していた時の心境が顔で丸わかりでしたから。貴方と初めて話し合った後の優子の顔は惚気な笑顔でして……」

 

「ちょっ、やめてください。それ聞いた優子がまたもや悶絶確定な上に、俺も恥ずかしさのあまり川へ向かってそのままの勢いでダイビングしそうです」

 

 

 大袈裟な心境だけどさ、なんかマジでそうしそうで仕方がないんだよな。優子を初対面したばかりの頃から惚気キャラにさせてしまった、昔の自分がなんだか痛い奴だと思ってしまいそうだもん。どのタイミングで痛いことして、優子を恋する乙女に変えたんだって、あの時の自分にそう言い聞かせてみたい気分だよ。いやマジで。

 

 というか、今気にすべきことが一つ思い浮かんできたんだけど。

 

 

「俺と優子の事……ヨシュアさんにはどう言えばいいのでしょうかね?」

 

 

 そう、優子のお父さん・ヨシュアさんにこの事をどう伝えておけば良いのかということである。

 

 あの人は今、父さんに掛けられた呪いを解く為にその呪いごとダンボール──お父さんBOXに封印されている。そんな彼がもしも復活し、俺と優子が付き合っていることを知ったらとなると……どうなるのか予想がつかない。驚くことだけは確かなんだけどな……

 

 

「……夫は、寧ろ喜んで貴方達の交際を受け入れてくれますよ」

 

「………………へっ?」

 

 

 えっ? 嘘? 確信してんのですか清子さん? 何を根拠に……

 

 

「あの人が私達に姿を見せた時、こう呟いていたんですよ。それも優子の将来性を信じた、深い一言。

 

 

 

 『いつかは娘と共に感情を分かち合い、共に支え合う人がいてくれたら、それが自分達の家宝となるでしょうね』、と」

 

 

 

「………………自分達の、吉田家の、家宝……」

 

 

 そっか、そうなのか……。ヨシュアさんは自分達の子供の未来を大切にしようとしていて、その子達の恋人となった人にも共に幸福を分かち合ってほしかったんだな。つまり、娘を本気で幸せにしてくれるなら問題はない、と……

 

 ん? ちょっと待って? 吉田家の家宝が、娘と共にいてくれる人──パートナーとなる存在ってこと? えっと……つまり俺は、優子の恋人になったのだから、吉田家の家宝となって、悠久を共に過ごすことを大切にしろと……?

 

 

「俺、もしかして一家の重荷を背負わされてる感じですか? 最期まで責任取れと? 娘を不幸にするなと?」

 

「いや、彼はそこまで責任重大にさせるつもりはないみたいですよ?」

 

「家族の家宝の一つ=娘の彼氏、となっている時点でそう思うしかないじゃないですか」

 

 

 家宝の意味、分かってます? 家族の宝、そのまんまの意味ですよ? 察して?

 

 まぁ、けど……

 

 

「優子を受け入れることにした時点で、もう覚悟は決まったんですけどね」

 

「……そうですね。そろそろ聞かせていただけませんか? 白哉くん、貴方の答えを」

 

「そのつもりです」

 

 

 その答えを伝える為に、ここに来たのだからな。深呼吸をして自分を落ち着かせてから……

 

 

「……清子さん。そしてヨシュアさん」

 

「はい」

 

 

 はっきりと優子に対する自分の想いを、おふたりにも伝えるんだ……‼︎

 

 

 

「俺は、必ず優子を幸せにしてみせます。彼女の夢と未来を一緒に支えてみせます。だから……娘さんを、俺に任せてください‼︎」

 

 

 

 気迫のある声で、傲慢さはあるもののしっかりと意志を伝えることが出来たはず。さぁ、清子さんはどんな反応をするのか……不思議と大抵予想できるのだけども。えっと……一応微笑んでいるみたいだけど。

 

 

「……えぇ。絶対優子を幸せまぞくにしてやってくださいね」

 

 

 ですよねー。オッケーサイン出してくれますよねー。娘の意思肯定派な親御さんだからそういう答えを出してくれるのも仕方ないですよねー。つーかそもそも幸せまぞくって何? どんな魔族なのさ? ま、正直助かったけど。

 

 いや、助かったって思っていいものなのか? なんか告白からオッケーまでの間があっさりすぎね? 本当に承諾してよかったの? 旦那さんは優子が幸せならばオッケーです、みたいらしいけども。正直あれは詳しい条件とかも言ってない感じっぽいし、不安なんですけども……

 

 ……いや。意味とかがどうであれ、とっくに答えは心から決めたんだ。絶対に吉田家にも公開させないためにも、俺は優子を幸せにしてみせるんだ。絶対に。

 

 

「……はい、任せてください」

 

 

 力強くそう了承していたら、丁度良いタイミングで優子が良子ちゃんを連れてこっちに来たようだ。どうやら落ち着いたっぽいな。いや俺らの会話を聞いてしまったらぶっちゃけまた悶絶するだろうけどな。

 

 

「……白哉さん、おかーさんから許可をいただいたんですね」

 

「……あぁ」

 

「じゃ、じゃあその……改めてよろしくお願いしますね」

 

「任せてくれ。絶対後悔させない」

 

 

 照れながらも俺と悠久に過ごしてもらうように頼み込んできた彼女の顔は、まるで恋している先輩のいる部活に入ろうとする初々しい女子高生って感じだな。どっかの試し読みで読んだ漫画のヒロインもそんな顔してたからなんとなくわかる。今の彼女はそんな顔してる。

 

 うーん……付き合うことになってからよく見たらいつもよりもだんだん可愛く見えてきたな。ヤンデレつたことを知ってからある程度警戒しながら見ていた時とは大違いに、彼女に対する見方が変わった気がするというか、何というか……

 

 

「白兄、顔がニヤついてるよ。お姉と付き合えたのがそんなに嬉しかったの?」

 

「えっ⁉︎ 俺、顔に出してたのか⁉︎ あぁ……気が緩んでたな、お恥ずかしい限りだ」

 

 

 無意識に『優子が可愛い』と思ってるのが丸わかりな表情を出してしまったよ……恋人出来て浮かれてる奴ってみんなこんな風に気が緩んでしまうのか? 前までの俺だったら想像できねェのかもな……

 

 

「でも良としてはお姉と白兄が幸せならそれでいい」

 

「あっ、やっぱり良子ちゃんもそっち方面の思考なのね……この親いてこの子あり、というヤツか? あれ、なんか違うような……」

 

 

 って、あれ? 良子ちゃん、なんかジッと見つめてきてません? しかも何かを訴えるか如くキリッとした目になってこちらを睨まないでくれます?

 

 

「……白兄、お姉を泣かせちゃダメだよ?」

 

 

 ………………なんだろう。今日一番でグッとくるシンプルなセリフだ。尊敬している姉には幸せになってもらいたい、という強い意思を感じられるぜオイ。良子ちゃんにその言葉を聞かされたら、より一層優子を幸せにしてやらないといけないな。

 

 

「もちろん。君のお姉ちゃんは俺が必ず幸せにしてみせるよ」

 

「……それならよかった」

 

 

 期待していた言葉が出たのか、良子ちゃんは笑ってくれた。よかった、今の判断は間違ってなかったか。それなら俺も安心できる───

 

 

「さて……白哉くん、そろそろ行った方がいいみたいですよ。優子と付き合うことになったのを伝えるべき人達はまだいるのですから」

 

「えっ? ……あぁ、そういやそうでしたね」

 

 

 そうだった。吉田家以外にも俺と優子のことを伝えなきゃいけない人はまだたくさんいたな。さっさとその人達にも報告して安心させとかないと。特にあいつには言ってやらんといつもと変わらず揶揄われかねん。

 

 

「……優子」

 

「は、はい。やっぱり恥ずかしいですけど、そろそろ行きましょうか」

 

 

 また誰かに報告しなければならないのかって感じに照れながらも、俺が何をしたいのかを理解した優子。そして俺の隣にひょこっと立ち、俺の左手を右手でギュッと握った。何今の仕草、それも可愛く見えてきた。

 

 

「それじゃあ、お邪魔しました」

 

「おかーさん、良、行ってきますね」

 

「うん、いってらっしゃい」

 

「気を付けて」

 

 

 二人に笑顔で送ってもらいながら、俺は優子と手を繋いだまま玄関のドアを開け───

 

 

 

「おめでとー!!」

 

 

 

「「………………は?」」

 

「あらあら、これは」

 

「すごい、もうみんなここに集まってる」

 

 

 いきなり祝福の洗礼を受けました。それも吉田家の玄関にて待機していた桃達によって。なんでさ。

 

 

 

 

 

 

 あ……ありのまま、今起こったことを話すぜ‼︎

 

 この俺・平地白哉は、優子と付き合うことになった事を桃達に報告しようとしたら、彼女達はいつの間にか吉田家の玄関にて待機しており、しかも既に俺が報告しようとしていた情報を把握していたよアピールをしてきた……

 

 な……何を言ってるのかわからねーと思うが、俺も何をされているのかわからなかった……頭がどうにかなりそうだった……

 

 ドッキリだとか、サプライズだとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ……もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……

 

 

 

「……白哉さん。この状況、一体どうしましょう……」

 

「だな……ってか、なんでこうなった」

 

 

 いや、ホントなんで⁉ なんでいつの間にみんなスタンバってんの⁉ ばんだ荘に住んでる桃とミカン、ミステリアスなため何をしでかすのかわからない小倉さんならまだわからなくもない……けどなんで杏里、拓海、全蔵に飽き足らず、リコさんに白澤さん、ブラムさんに奈々さんまでここにいるんですかね⁉ 玄関前が大渋滞になっているのですが⁉

 

 ってかおかしくね⁉ なんでもう俺と優子が付き合っていることがこいつらにバレてるの!? 俺、まだ清子さんと良子ちゃんにしか伝えてないのだけど⁉

 

 ……あっ。小倉さんが何かしていたからかもしれない。優子を危機管理フォームに変身できるようにさせたのも、桃に闇堕ちフォームことダークネスピーチに返信できるようにさせたのも彼女だったし、何故か光の一族と闇の一族───魔族と魔法少女の特徴を何故か知っていたし、俺と優子の知らぬ間に俺達の関係性の変化に一早く気づき、この短時間で桃達に情報を拡散したに違いない。絶対そうだ。そうじゃないとおかしい。

 

 ……とりあえず、真の情報源はどかなのかを聞かないとな。情報の整理はそこからだ。

 

 

「……一体誰が俺と優子が付き合うことになったことを知って、誰が情報拡散したんだ?」

 

『メェール君』

 

「思わぬ伏兵がいた⁉ あいつ主人を裏切ったな⁉︎」

 

 

 あいつ、勝手にこっちの世界に戻ってきて、この短時間で桃達に俺と優子の事をバラしたのかよ⁉ ってか、一体どうやって……

 

 あっ。精神世界と現実世界を繋ぐゲート、塞ぐの忘れてた……盲点だった……

 

 まぁメェール君は後で勝手に現実世界に来たことに対して説教するとして、今はこの状況をなんとか打破しないと……

 

 

「お前らさぁ……一斉に集まってきたら色々と収集がつかなくなるんだよ。だから自分達の家で待機しててくれよ……必ずみんなのところに来て改めて俺と優子の口で伝えるからさ……」

 

「そうは言ってもさ……特にアタシやちよももはなんか長い期間待たされた感じがするから、多分何人かはいてもたってもいられなくなるかもしれないんだよ? それも情報を先行入手してきた人からの報告を受けたら尚更、ね?」

 

「その節は大変ご迷惑をおかけいたしましたがねッ‼︎」

 

 

 そうだった‼︎ 杏里は中学の頃から俺と優子の事を応援してた感じだったし、桃もまだ付き合わんのか的な感じにグイグイ詰め寄りまくってたんだった‼︎ 少なくともこの二人は報告聞いたら同時に来てもおかしくないな‼︎ うん‼︎ 謎の納得感と罪悪感が混ざって複雑な気分だぜ……

 

 

「───けどまぁ、二人が付き合うことになったことでアタシ達も色々と安心できるんだけどね」

 

「えっ? 色々と安心……? 杏里ちゃん、それは一体どういう意味ですか?」

 

 

 なんだろう、俺達が付き合うまでは何やら大変な状況になってた、みたいな言い方をしてるように聞こえるのだが……なんで色々と安心できるんだ?

 

 

「シャミ子と白哉くん、無理をしている様子をよく見せていたから」

 

 

 俺達の事を本気で心配していたかのように、桃が苦笑いしながらそう呟く。って、えっ? 無理をしている様子をよく見せていた? 俺達ってそんなに分かりやすい顔を今までしてたのか?

 

 

「二人とも……というより特にシャミ子がそんな感じだったよ。白哉くんの話題が出ると、シャミ子はよく白哉くんの事で何かしら妄想してるようなニヤケ顔を浮かべるけど、すぐに自分自身に何かを訴えかけているようなことを行動で出していたから」

 

「えっ⁉︎ 私ってそんな分かりやすい顔を浮かべてました⁉︎」

 

「まぁ優子ならそう思われても仕方ないけどな」

 

「白哉さんまで⁉︎ ……いや、自分でも無理してきたなとは思ってましたけど、まさか桃にそれを勘付かれていたとは……」

 

 

 いや自覚するのかよ……確かにヤンデレってきた様子とか、それを自覚してなんとか抑えようと首を振ったりしてたこととか、そういった感じは俺もよく見かけるんだけどさ……

 

 

「そういった様子を見かけた時は、みんな不安になっていたのよ? 『この日のシャミ子はどうしたのだろう』とか『いつか壊れてしまわないのか』とか、結構心配だったわ」

 

「……自分でもどうしようとか壊れそうだとか、色々な不安を抱え込んでいたので否定はしません。というかしようにも出来ませんし……」

 

 

 あぁ……うん、それも俺のせいで優子がそうなったというね? 無自覚が結果論として招いたとはいえ、やっぱり浅はかな行為だったな……

 

 いやちょっと待て。ミカン? それにみんな? それだけ優子の事が心配なら遠慮なく聞いてみてもいいんじゃないか? 特に『優子が壊れそう』だと感じていたのなら相談に乗るとかさ、他にも優子の為にできることがあるでしょうが。いや、まぁそれは俺にも言えることだけどさ。

 

 

「……今、白哉に切実に何かを訴えかけられてる気がするのだけど……」

 

「気のせいだろ」

 

 

 いや本当は実際訴えかけてます。少なくともお前らは優子の相談に乗ってあげられたでしょ、前までの俺とは違って。貴方達には協調性とかが足りないのではないですかねェ? ねェ?(ブーメラン発言)

 

 

「まあまあ……最終的に二人は結ばれたんだし、終わり良ければ全て良し。今は改めて個人個人で祝福してあげようよ。……ちなみに別に○ヴァの例のシーンみたいなことしなくてもいいからね?」

 

 

 待て杏里よ。○ヴァのヤツはな、事前に打ち合わせでもしておかないとリズムやタイミングを間違えてしまうのだぞ? 打ち合わせしてないのならやらせることを勧められんぞ。っていうか何故○ヴァのヤツが思い浮かぶ?

 

 

「何はともあれ……シャミ子、白哉。おめでとう」

 

「……確かに、これ以上言う必要ないね。二人とも、おめでとう」

 

「改めて見てもお似合いよ、二人とも。おめでとう」

 

「もっと早く気づきたかったッスけど、幸せなら問題ないッスね。おめでとうッス」

 

 

 ………………ん? あれ? この流れって……

 

 

「二人の恋のその先、俺達もサポートしていくよ。にしてもめでたいなぁ」

 

「今度ウチの祝いの料理を振る舞うわぁ。おめでとさん」

 

「こういうのは僕達にとっても嬉しい限りだよ。おめでとう」

 

【グワッグワッ。……なんてメェ〜

 

 

 おい一匹元凶が混ざってんぞ。

 

 

「祝福せずしてこの先の物語は語れぬ‼︎ おめでとう‼︎」

 

「そのセリフは大袈裟だよ兄さん。とにかくおめでとう」

 

「ここは私も流れに乗りましょうか。おめでとう」

 

「……面白そうだから良も。おめでとう」

 

 

 えっと……あの……みなさん……

 

 

『………………これ、明らかに皆して○ヴァを狙ってきてぬか?』

 

【ここまで来たら最後は俺達だな】

 

『えっ⁉︎ やらぬといかんのか⁉︎ ぬ、ぬぅ……』

 

【おめでとう】

『おめでとう……』

 

 

 白龍様にリリスさんまで……しかもリリスさんは無理矢理付き合わされた感じに……

 

 

「……えっと……これ、私達もあのセリフを呟いた方がいいですかね?」

 

「あぁ……うん、そうしないといけないのかもしれない」

 

「そ、それじゃあせーのでいきましょうか……?」

 

「おう………………せーの───」

 

 

 

「「ありがとう」」

 

 

 

 ───今世に、ありがとう。

 

 ───前世に、さようなら。

 

 ───そして、全ての結ばれし者達に

 

 

 

 

 

 ───おめでとう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『いやこれ最終回じゃねーだろ。ってかなんで突然アニメみたいにテロップが出てきたんだよ』

 

 

 ピッ

 

 

 チェス盤のような白黒の市松模様の床が広がる、とある一室。先程まで映像が映し出された巨大スクリーンの電源を切り、一つ溜息をつきながらソファにだらしなく転がる一人の人物がいた。

 

 その者は全身が黒いローブで覆われており、素顔どころか体躯すら見せられないようになっていた。彼こそが夢の精神世界を行き交い、白哉とシャミ子に答えへと導かせた者だ。

 

 彼は白龍曰く、白哉の心の中に眠る別の人格とも言える存在らしいが、真の正体がどういうものなのかは誰も知らない。実際に彼と出会ったシャミ子やリリス、ましてや白哉ですらもだ。

 

 そんな彼が今何をしていたのかというと、精神世界を通して白哉が現実世界で見てきた光景を、魔力を用いて精神世界のスクリーンに繋げて見ていたのだ。それも偶に白哉の視界に入っていない、周囲の光景をも含めてだ。

 

 白哉の目線の先に写っていないシャミ子の涙目かつ赤面状態の様子や、桃達に祝福されている二人を後ろから微笑ましく見ている清子や良子の様子も、このスクリーンには映し出されていたのだ。

 

 

『このスクリーンもおふざけが過ぎるだろ……いや、アニメを観てる時みたいに様々な情景やエフェクトを入れながら観てもらいたいという、神様の観点もあるんだけどさ……』

 

 

 フードの人物はそう呟きながら、ストローを刺した紙コップの中に入っているメロンソーダを飲む。ストローから口を離した時には『ぷはあっ』とビールを飲み干したサラリーマンみたいになる程の背徳感も感じているようだ。

 

 だらしないこの様子を見ていると、まるで某ハンバーガー店のデリバリーをした休日のダメ大人に見えるのだが、彼は他人に見られてもお構いなしだと言っているかの如くメロンソーダを飲み続ける。本人がそもそもここには誰も来ないだろうと確信していることもあるが。

 

 

『……ま、平地白哉がシャミ子と結ばれたのなら良しとするか』

 

 

 メロンソーダを飲み干して空になった紙コップをテーブルの上に置き、真っ暗な天井を見上げたフードの人物は……

 

 

『いや、寧ろそうでないと困るんだよな。俺が』

 

 

 そう言葉を繋げ、額に右腕を置いた。まるでそこに昇っていたかもしれない太陽から視界を防ぐかのように。

 

 

『……せっかくその身体を譲り受けたんだ。シャミ子と一緒に幸せな人生を送らないと許さないからな』

 

 

 現実世界にいる白哉が近くにいるかのように見立て、まるで彼の近くで忠告をするかの如く、重い音程でそう呟き……

 

 

『ま、これからも頑張っとけよ。平地白哉……いや、■■■■───』

 

 

 彼の身を案じてもいるかの如く、そう言葉を再び繋いだ。白哉のみしか知ってはならない言葉を、わざと擬音が混じっているかのような声で呟きながら……

 

 

『にしてもこのハンバーガーは美味ェな。平地白哉は前世では一体何処のハンバーガー店に行ったんだ?』

 

 

 が、自分で作ったシリアスソロムードを自ら破壊しにいった‼︎ いや正体を含め、マジでなんなんだこいつは。誰か早くこのフードの人物の正体を教えてくれ。

 

 




勝ったッ‼︎ 原作三巻編、完ッ‼︎
……半分嘘です。ここまでの登場人物紹介を投稿したら今度こそ終わりです。
そしたらしばらく休憩or投稿ペースダウンしようかなとは思っております。
長くても次のシャミ子生誕祭……投稿し始めてから一年が経った時に最新話を投稿するって感じかな?
それまでは偶に番外編として『もしもこの小説のキャラ達が○○の世界にいたら?』を投稿したり、R-18作品としてこの小説のR-18パート短編を投稿したりしようかなとは考えております。
また次回改めてお伝えしますのでとりあえずご了承を。



リクエスト募集用の活動報告、再掲しました。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=291009&uid=379192
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