偶に愛が重くなるまぞくと、愛されてる男のまちカド物語   作:名無しのモンスター

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リクエストが来てたよってことで初投稿です。

本編での更新までに3ヶ月以上も掛けちまった……

編集ペース落とし過ぎた上にR-18パートを思った以上に長く書く羽目になったからそうなったんスよ……


番外編 小話だったりif世界線だったり、偶に本編との関わりがあったり……まぁそんな感じ。
白哉さんの人形ですか? 本人にそっくりで……ええっ⁉︎ 本人そのもの⁉︎ どういうこと⁉︎ by.シャミ子


 

「ごめんねシャミ子ちゃん、妹さんとの時間に水を刺しちゃって」

 

「いえ、良も小倉さんの事を思って私に優先させてくれたので大丈夫だと思います。ところで、何故私を白哉さんのところへ?」

 

「すぐにわかるよ〜」

 

 

 それは昼ご飯を済まして良と二人でゲームをしていた時のこと。私は突然ウチに来た小倉さんに呼ばれて、何故か白哉さんの部屋に来ました。

 

 どうして呼ばれて白哉さんのところへ連れて来られたのかは着くまでは教えてくれませんでしたが、とりあえず色々と察しはついてはいました。多分今現在、白哉さんの部屋は小倉さんのラボ代わりにさせられているかもしれないな、と。

 

 突然自分の部屋を実験に使われたのだろう白哉さんに心の中で合掌しながらも、とりあえず白哉さんの部屋にお邪魔することに。

 

 すると私はリビングのテーブルの上に、白哉さんにそっくりな人形がいたことを確認しました。サイズは依代人形状態のごせんぞとほぼ同じサイズ……いや、こっちの方が少しだけ大きいのかな? 可愛い。

 

 

「な、なんだろう……この人形、すごく凝ってる感じがします。だってほら、特にこのキリッとした目つき。人形のはずなのに本人とほぼそっくり……というよりは完全一致してる感が強いですよ? 小倉さん、裁縫も上手なんですね───」

 

「あっ、もうそれに気づいちゃった? ……それ、本人だよ」

 

 

 ………………へっ? 今、何やら聞き捨てならない単語が出てきたような……

 

 

「あの、小倉さん……? 今なんて……」

 

「そのぬいぐるみ、人形になってしまった平地くんそのものなんだよ」

 

 

 は、はい? 白哉さんが、人形そのものになってしまった……? ちょっと待ってください、意味が分からな───

 

 

 

『───小倉さんの言う通りだよ』

 

 

 

「………………ん? えっ? あれ……?」

 

 

 あれれ……? 今、白哉さんの声が聞こえてきた気がしたのですが……? あれぇ、おっかしいですね……? 白哉さんは今この場にはいないし、似たような人がいたとしても、今この場には白哉さんそっくりの人形しかいませんし……

 

 ん? そういえば白哉さんの声、人形の近くら辺から聞こえていたような……しかもその時に人形からブルッとした振動を感じたような……

 

 ……ん? んんんっ? ………………えっ? ま、まさか……⁉︎

 

 何やら嫌な予感を察知した気がした。そして私はふと、もう一度白哉さんそっくりの人形と目線を合わせて見ることにした。それもまじまじと。違和感を感じそうな瞬間を逃さないように。

 

 

『………………いや、あの……そんなに顔を近づけ近づかなくてもいいんじゃないか……?』

 

「えっ? ……あっ⁉︎ す、すみません‼︎ さ、さすがに距離がおかしかったですね‼︎ はい‼︎ ………………って、えっ?」

 

 

 お、思わず返事しながら手を離してしまったけど………………嘘ォッ⁉︎ 目がクリクリ動いてた⁉︎ 顔も私から目を背けようと動いてた⁉︎ しかもよく見たら口が微妙に小波みたいに動いているように見えた気がするし……

 

 嘘……⁉︎ 本当に……⁉︎

 

 

 

「白哉さんが、本当に人形になってしまっている……⁉︎ 一体なんで……⁉︎」

 

 

 

『んなの俺が聞きてぇよ……』

 

 

 

 

 

 

 時は数分前。白哉さんがメェール君の作った昼ご飯を食べていた時のことらしいです。ご飯の匂いを嗅ぎつけたのか、小倉さんが突然天井裏から彼の部屋に侵入して来たそうです。

 

 ……って、いつの間に天井裏と白哉さんの部屋の天井を繋げたんですか彼女は。それも白哉さん本人の許可なしに。しかも白哉さん達の昼ご飯をせびって来たと? 私も休日に一緒にご飯を食べたかっ……コホンッ、清々しすぎるのは良くないですよ? うん。

 

 で、小倉さんがご飯を分けてくれたお礼として、以前開発した『日夜明けるまで人形の姿になる薬』を白哉さんに見せようとしたら、転倒してそれを白哉さんにぶち撒けてしまって……

 

 

『そして、こうなったってわけなんよ』

 

「いやぁ本当にごめんね〜? 私だって平地くんに薬をかけるつもりはなかったんだけど〜」

 

「そ、それは……ご愁傷様です、白哉さん」

 

 

 えっと……つまり白哉さんが人形になってしまったのは、小倉さんの転倒による事故だったと……

 

 続けて聞いた話によれば、小倉さんは白哉さんやメェール君達召喚獣を実験台にするつもりは鼻からなく、天井裏にいたゴキブリに薬を使おうとしていたとのことだそう。ゴキブリの人形って、どんな需要があると……

 

 あれ? ちょっと待って? 確か薬の名前は『日夜明けるまで人形の姿になる薬』って名前でしたよね? 『日夜明けるまで』ってことは……

 

 

「もしかして白哉さん、今日はずっとその姿のままになるんですか……?」

 

『……認めたくねェけど、そうなるらしい』

 

 

 白哉さんはそう言いながら溜息をついたかのような声を出す。口は開いてもいないし口角が一つも動いてはいないのを見ると、本当に人形になっているんだなって思っちゃいますね。小波みたいな感じに動いてはいるけど。

 

 ……人形にしては、腕や足は動かせるみたいですけど。まるでよりしろ状態になったごせんぞみたい。

 

 

『このように関節などを動かせるし、口が開いていないように見えているだけで喋れたり食べ物を食えたりもできるぞ』

 

「代わりにお着替えすることもお風呂に入ることもできないけどね。服は脱がせられない仕様になっているから。まぁその分にトイレに行く必要もないけど」

 

 

 あっ。人間とあまり変わりないところもあれば、今の状態じゃできないこともあるんですね。人間から人形に変わるという非常識が起きたのだし、当たり前と言っちゃあ当たり前だけど。いや人形になることを当たり前にしちゃダメですけどね、普通。

 

 ……ん? ちょっと待って? もしかして、私がここに呼ばれたのって……

 

 

 

「で、お願いがあるんだけど……今日一日中、平地くんをそっちに預けてくれないかな?」

 

 

 

 あー……やっぱり世話みたいなことを頼んでくるんですね。しかも白哉さん本人からじゃなくて小倉さんの方から……

 

 けど、私は乗り気にはなれませんね。だって、白哉さんが意外なところで意地を張ることがありますし……

 

 

『ちょっ、おい、何を勝手に……』

 

 

 ホラ、今。まさに今。何かと私に迷惑をかけたくない感じに咎めようとしてますし。小さい姿で世話をされるのに違和感を感じるでしょうね。

 

 ………………でも、なんでだろう……

 

 

「………………今の白哉さんを抱っこしたら、本人を抱きしめているのに『白哉さんに会えない時にこの人形を抱けば悲しみを埋められる』気分になれるのかも……」

 

 

 そう考えると、なんだか悪い気がしませんね。

 

 

「本音ダダ漏れだね」

 

「ハッ⁉︎ わ、私今やばい事を言ってましたか⁉︎」

 

『別に不吉な事とかは言ってなかったぞ。ただ、その……今のままお前に抱きしめられることには抵抗を覚えるけどな……』

 

 

 えっ。抵抗あるんですか……? なんだかちょっと残念な気がします。人生に一度きりの非常識の一つを体験できるチャンスが……別の機会で白哉さんを独り占めできる時間が……

 

 っていやいやいやいや、おかーさんや良もいるのになんで独り占めしようとしてるのですか私は。そもそも独り占めなんて良くないですし……

 

 ん? あれ? そういえば……

 

 

「今気づいたんですけど、不便なところはメェール君達召喚獣の皆さんに手伝ってもらったら良いのでは?」

 

『……そいつらを出せれたら苦労はしねぇよ』

 

「この姿の白平地くんの魔力はコップのお水一杯分であることが分かったの。メェール君達が勝手にこっちの世界に来ることもテレパシーみたいなので平地くんと会話することも出来ない量なんだって」

 

 

 あぁ、魔力の量と大きさが比例してしまっているんだ。しかも遠く離れたところからの会話すら出来ないなんて……不便すぎません?

 

 で、今メェール君達を呼べないとなると、頼れる人が限られてくる、と。白哉さんのご両親に助けを求めるって手もあるけど、それをしていないってことは、生活費の過大な援助とかを受けているから遠慮しているのかも。

 

 つまり、それこそ私を頼ることにした、と。

 

 あ、ヤバい。なんだろう、心底嬉しい。私が頼られている、しかも大好きな幼馴染に……あっ、今はもう彼氏なんだった。そんな彼に頼ってもらえているって思うと心底嬉しいですねホント。

 

 

『……顔にまた出てるぞ、本音が』

 

「えへへぇっ………………ハッ⁉︎ す、すみません‼︎ 気が緩んでました‼︎」

 

 

 ウゥッ……いつもならヤバい事思っても指摘されずに済んだのに、白哉さんと付き合ってからは隠し通せなくなっている気がします……

 

 

『まぁ、この姿になるのが一日だけとはいえ、父さんにも母さんにも迷惑かけたくないしな。つーかぶっちゃけあの二人なら何やら余計な事しそうだし。小倉さんは色々と危なっかしいし、杏里は揶揄いそうだし、全蔵は意外と頼りにならない部分もあるし、ミカンは今の俺を見て困惑して呪い起こしそうだし、拓海は過保護の度合いが非常に高くなりそうだし、桃は……まぁ桃だし』

 

 

 ちょっと、最後。『桃だし』ってどんな理由ですか。桃を頼れない理由だけ分からないのですが……あっ、そういえば桃は私達のことをよく揶揄ってましたね。それを考えると納得。

 

 

『ってなわけで、半分不本意だが小倉さんの言う通り、お前に頼らなきゃいけなくなった。悪いけど今日はお前んちにお邪魔させてくれ』

 

「あ、はい‼︎ もちろんいいですよ‼︎」

 

「うわお即答」

 

 

 ちょっと小倉さん、それ言った後に『ヒューヒュー』って言ってくるのやめてくれませんか? 煽ってきてるようでなんか嫌なんですけど。大体こんな経験は二度と出来ないのだから受けないと損じゃないです。

 

 まぁとにかく、せっかく白哉さんに頼られたんだ。なんとか白哉さんが今日の生活に支障とかを出さないように、私がしっかりしないと。

 

 

 

 

 

 

 白哉さんを連れて帰ったら案の定おかーさんと良は驚いた様子を見せてくれました。良は今の白哉さんを見て『新しい姿になれる能力を得たんだね‼︎』と目を輝かせ、おかーさんはおとーさんみたいに封印されたとかじゃないと確信したのかホッと息を吐いてすぐ落ち着いたみたいですが。

 

 で、ごせんぞはどんな反応をしたのかと言うと……

 

 

『よ、依代の時の余と似た姿になってる……。ぬがー‼︎ 今の白哉が羨ましいぞ‼︎ 何故この時に限って桃は出掛けているのだー‼︎』

 

 

 白哉さんに嫉妬してます。今のごせんぞはいつもの邪神像姿だからね、仕方ないです。

 

 依代を持っている桃は『偶には自室や野原とかじゃなくてジムで鍛えたい』と言って一日中町のジムにお邪魔しています。私や白哉さんも誘ってくるのかなとは警戒してましたが……何故かそんなことはなかったようで。

 

 ちなみにミカンさんは転校するためのちょっとした手続きをすると言って桜ヶ丘高等学校に行ってました。そろそろ帰って来た頃のはずだけど、今は白哉さんの事はバレないようにしておこう。今の白哉さんの状況を知られて呪いを発動させてしまったら困りますし。

 

 そんなこんなを考えている内に夕食の時間。タイムセールで買えた焼きそばが一玉入った野菜炒めです。白哉さんの分はとりあえず小皿分用意してみたけど、食べきれないのかな……?

 

 

『……カットされた野菜が……つーか食材全部がいつもよりも五倍はデカく見えるなこれ』

 

 

 あっ、やっぱり食べきれそうにない感じですね。無理して全部食べようとしなくても大丈夫ですから───

 

 

『ごちそうさまでした。ちょうど食える量でよかったー』

 

 

 そうでもなかった。人形の腹八分目にはいける程の量だったんだ。よかったー、配分を間違えなくてホントによかった……。そういえば、そもそも人形に胃袋ってどこにあります? なんだか無さそうな感じが……

 

 あっ、トコトコ歩いてる。からくり人形みたいにちょっとギクシャクとした歩き方をしてる。可愛い。まるでト○・ストー○ーに登場するおもちゃのキャラクター達みたい。

 

 あっ、バッグの中の漫画を取り出そうとしている。暇な時は私の家のゲーム機を使っていいとは言ってあげたけど、小さな体じゃ操作できないとのことで白哉さんの家からあの漫画たちを持って来てあげたんだったっけ。

 

 それにしても、よく考えてみれば白哉さんは結構漫画を持ってましたね。私もよく白哉さんから漫画を借りてたなー。『○ラゴン○ール超』とか『○ードアー○・オン○イン』とか。後者は原作が小説だけど。

 

 ん? あれ? 白哉さん、漫画を取り出そうとしてその場で止まった? 小さな手で掴むのは難しかったのかな?

 

 

『………………優子、悪いけど俺が今掴んでる漫画を取ってくれ。持ち上げようとしたら漫画の下敷きになる自分が想像できちまう』

 

「あ、はい……」

 

 

 あぁ、物を持つ力と大きさの差の問題かー……。私も重たいもので持てるものが限られているから、分からなくもないですね、うん。

 

 この後白哉さんのペースに合わせて漫画のページを捲ってあげました。まるで小さい子に読み聞かせさせてあげているみたいで、なんだか悪い気がしませんね………………子供……白哉さんとの、子供……出来たらどれだけ幸せになるんだろうなぁ……フヘヘェ……

 

 

『ちょっ、優子……お前急にどうした? なんか陽キャに褒められてニヤニヤしながら身体を溶かし始めている陰キャ女子ギタリストみたいな顔になってんぞ……?』

 

「あ、どうせなら流行的に○しの子の子供に転生したアイドルみたいって言われたいで……ハッ⁉︎ わ、私……また本音を隠し切れてませんでした⁉︎」

 

『お、おう。思ってることが顔に出てる気がしたぞ』

 

 

 そ、そっか……また隠し切れなかったかぁ……これは直しておかないと、絶対周りから色々と心配されますね……ハァ。

 

 何冊か漫画を読んだ後はテレビを見ることに。私の家のはブラウン管の古いテレビですが……

 

 

『お、おぉ……‼︎ いくら古いとはいえ、このサイズで見るとまるで映画館にでも行ってるように感じる……‼︎』

 

 

 今の白哉さんにとっては好評ものになってますね。小さい姿で普通サイズのテレビを見てたら、そりゃあその感想が出そうですけど。元の大きさに戻ったらそんな感想は出ないですけど……アレ、なんか泣けてきた……

 

 

『えっ。えっと……だ、大丈夫か優子? なんか悲しいことでもあったか?』

 

「あっ……だ、大丈夫です……」

 

 

 虚しくて泣けてきそうなのもバレてしまってる……白哉さんと付き合ってから、私の表情筋、緩くなってきているのでしょうか……それはそれでダメじゃないですか、うん。

 

 あぁ、これアレだ。白哉さんと付き合えるようになったことで『もう白哉さんの目の前で恋愛感情を隠さなくていいんだ』って思ってたら、全体的に表情筋を抑えられなくなったんだ。きっとそうに違いない。気をつけないと……

 

 で、夕食を食べる前か終わった後に入るお風呂の時間。週に3・4日は白哉さんのを借りているのですが、今日は白哉さんがアレなのでウチのを使うことにしてます。

 

 ……ん? ちょっと待って? よく考えたらこれはチャンスなのでは? 今の白哉さんは自慰したくてもできない状態。私が入浴しているところを覗いてもらえば、自慰できない中で性欲が向上して、明日元に戻ったらその溜まった分を私にぶつけてくれるのでは? もう付き合っているのだし、遠慮なくそうしてくれるはず……

 

 

「……あの、白哉さん」

 

「ん?」

 

 

 バスルームに向かうタイミングで、白哉さんの方を振り向いて……はい、ここっ‼︎

 

 

「………………入れないからと言って、覗いちゃ……だめ、ですから、ね?」

 

 

 よしッ‼︎ 『本当は来てほしい』という気持ちを込めれた‼︎ 誘導してあげた‼︎ これでこの後勝つる───

 

 

 

『いや、覗かないからな? ってか風呂貸してあげてる時はいつも覗いてないからな? 良子ちゃんの時も清子さんの時も。そもそも二人とも家にいるから覗こうにも覗けないだろ?』

 

 

 

「………………そうでした」

 

 

 正論を言われた。そしていつもの白哉さんの行動がどうなのかも言われた。計画、破綻しました……

 

 

 

 

 

 

『……清子さん、何持って来たんスか』

 

「使わなくなった衣服で作った猫じゃらしですよ。人形ならこういったものに興味を示すのかなと作ってみたんです。ホラホラ〜」

 

『人形は猫じゃないです。あと俺、中身は人間です』

 

 

 覗き見されないことに落ち込んでいたのから調子を取り戻し、風呂から上がった私が見た光景。それはおかーさんが猫じゃらしみたいなもので白哉さんと遊ぼうとしている光景でした。

 

 ……いや、ホント何してるんですかおかーさん。なんで生きた人形を犬や猫と勘違いしてるんですか? しかも棒をフリフリして先端の布を左右に動かして……完全に猫扱いしてるじゃないですか。これにはさすがの白哉さんも怒って……ん? なんか、白哉さんの目が猫じゃらしを追いかけているようなそうでもないような……

 

 あっ、手が動いてる。猫じゃらしをタイミングよく捕まえようとプルプルと手を出そうとしている。そしてハッと我に返った様子を見せて手を引っ込めた。

 

 ………………ん? えっ? 嘘でしょ? 白哉さん、猫じゃらしに目がいってる? 『自分は猫じゃない人間だ』と言ってたのに、猫じゃらしが気になってる? いや、素早く動くものには思わず目がいきそいなのは分かりますけど、ねぇ……?

 

 

『ッ……‼︎ 俺は人間……俺は人間……元々は人形じゃないし、猫ですらないんだ……‼︎』

 

「白兄すごい葛藤してる。面白い……‼︎」

 

「遠慮せず飛びついていいんですよ? ホラホラ」

 

 

 暗示をかけているみたいだけど、それでも猫じゃらしから目が離れてないみたいですね。人形になると、どうしても猫さんみたいにあぁなっちゃうのですかね……?

 

 

『ぬぅっ……ぬぬぬっ………………ホアァッー‼︎』

 

 

 あっ、飛びついた。ちゃんと猫じゃらしを掴んだ。なんか、意識のある人形=猫さんであることが証明された瞬間を目撃しちゃったのですが……

 

 

『………………あっ』

 

「あっ」

 

 

 気づかれた。一部始終を見てしまったことがバレた。白哉さんの目が点になってる。ど、どうしよう……気まずい。

 

 どう言い訳しようかと考えていると、白哉さんが光速とも言える速さで部屋の隅まで移動し、蹲った。あぁ……私に見られたことが余程効いたのでしょうね。

 

 

『何やってんだ俺何やってんだ俺何やってんだ俺何やってんだ俺何やってんだ俺何やってんだ俺何やってんだ俺何やってんだ俺何やってんだ俺何やってんだ俺何やってんだ俺何やってんだ俺何やってんだ俺何やってんだ俺何やってんだ俺何やってんだ俺……』

 

「うわ自暴自棄になってる⁉︎」

 

 

 ヤ、ヤバい⁉︎ 思ったよりもこれは効いたみたいだ⁉︎ 負のオーラがダダ漏れしてる⁉︎

 

 

「おかーさん、正直白兄で遊びすぎ」

 

「そ、そうみたいですね。まさか本当に猫同様の反応をしてくれるとは思ってませんでした……」

 

 

 ど、どうしよう⁉︎ どのようにフォローしておけば⁉︎ 『何も見てませんでしたよ』は見てることがバレバレだからノーチョイスだし、『風呂場の窓を閉め忘れたから戻ろ』もフォローになってないですし……‼︎ えっと……えっと……‼︎

 

 

「あ、あの、白哉さん‼︎ わ、私だって似たようなことをしたことがありますよ⁉︎ あの……ほらっ‼︎ 先祖返りしたばかりの頃‼︎ あ、あの頃は我ながら恥ずかしかったですねー‼︎ たまたま自分の目の前に尻尾をプランプランってさせてた時、思わず目がいって猫パンチみたいにポカポカしてましたから‼︎」

 

「えっ……? お姉、そんなことしてたんだ……?」

 

 

 そんな光景あったっけ?みたいな顔をしないでください良‼︎ ないです‼︎ 本当はそういった事をした覚えは一切ないんです‼︎ でも白哉さんをフォローする手段が今はこれしかないんですぅ‼︎ お願いだから察して、いやホントに。

 

 

『……本当に』

 

「うへっ?」

 

『本当に、そんなこと、してたのか……?』

 

 

 あ、あんな恥ずかしい思いをしたのは自分だけじゃなかったと思ってくれたのか、白哉さんが私の話を信じてくれた……‼︎ う、嘘を言ってしまったけど、これは白哉さんのメンタルリセットの兆しが見えたのでは……⁉︎

 

 よし、ここは嘘を貫き通そう‼︎

 

 

「は、はいっ‼︎ あの時はホント恥ずかしかったです‼︎ 穴があったら入りたいほど‼︎ だから一人だけあんな思いをしてしまったとか思わないでください‼︎」

 

『………………そう、だな。そう思うとなんだかホッとしたよ。ありがとうな優子、おかげで元気が出た』

 

 

 そう言って振り返った白哉さんの瞳は、輝きを取り戻していた。よ、よかった……択が上手くいった……

 

 

 

 

 

 

 この後は何事もなく白哉さんと四人での楽しい時間を過ごし、気がつけばあっという間に就寝時間に。

 

 白哉さんの寝床はどうしようか。普通にサイズを合わせてハンカチを敷いて布団代わりにしてもいいのだろうか。そんなこんなを考えていたら……

 

 

「そんなの簡単ですよ。優子が別の部屋で、白哉くんと一緒に寝ればいいのです」

 

「あっ、なるほど。その手がありましたか──って、ええっ⁉︎」

 

 

 添い寝⁉︎ まさかの添い寝ルート⁉︎ なんで⁉︎ なんでそういう発想に至るのですか⁉︎ い、いや、私達はもう付き合っているのだから一緒に寝ても問題ないんですけど……

 

 

「理由は色々ありますが、もしもその状態の白哉くんの身に何かあっては困るでしょう? そうなった時にすぐ近くに誰かが対処出来なければ意味がありません。なので、白哉くんと仲がとても良く信頼関係のある幼馴染である優子、あなたが一緒に寝ればいざという時に白哉くんの力になれますよ」

 

「あっ、そういう……」

 

 

 な、なんだ……いざという時のために力になれる人を隣に配置するって寸法なんですね。別に下心とかあるわけではないと。よかった……。いや最初に『理由は色々ある』と言っていたから怪しいですけど。

 

 

『あ、あの……色々と俺の身の安全を思ってのことでしょうけど、俺としては色々と気まずいというか……。いや優子とは付き合っているとはいえ、それが関係しない程に、その……抵抗というものが、ねェ……?』

 

 

 えっ? それはどういう……

 

 

『その……優子、意味を分かってなさそうだから説明するけど、あれだぞ? もしも抱かれながら寝たら、その……抱かれた時の俺の位置次第では、な?』

 

「あっ……」

 

 

 そ、そうだった……腕を組む位置とかを考えてみたら、白哉さんが恥ずかしい思いをするし、こっちも恥ずかしくなる……。だってほら、腕を組んだらそれが……その……む、胸の近くか胸と同じ位置に固定されるから……

 

 

「えっ? もう優子と付き合っているし、抱きしめられる形でその位置を占領出来れば、それはそれで白哉くんも本望なのでは?」

 

『人によるであります。俺の場合は羞恥心ですぐに逃げたい気分でござんすよ。抵抗心は色々な方面を考えると無くしてはいけないものどす』

 

「びゃ、白哉さん……? 口調が変わってる上に全部合ってませんよ……?」

 

 

 過ちを犯したくないのか、必死すぎて変な口調で言い訳をする白哉さん。別に私と一緒なのが嫌ってわけでは無さそうだけど、そんなに今一緒に寝たら困るのかな……

 

 

「別に我が家の一族の呪いが完全に解けたとは限らないので、白哉くんの身に何も起こらないとも限りませんよ? だからこそ、優子と一緒に寝かせてもらってください」

 

『ウッ……』

 

 

 おかーさんが初めて一族の呪いマウントを取ってきた⁉︎ そして白哉さんもこれには断りづらい感じになってる⁉︎ 眉毛が困っている時の形になってる⁉︎ の、呪いマウントというのはこんなにも人を悩ませるのでしょうか……

 

 

『………………じゃ、じゃあ……優子、悪いけど今日はよろしく頼む……』

 

「えっ。あ、はい……」

 

 

 結局、私と一緒に寝ることに決めたんですね。呪いマウント、恐るべし……

 

 

 

 

 

 

 まぁそういうわけで、白哉さんは私と一緒の布団で寝ることになりました。先程の会話の通り、おかーさんと良とは別の部屋で。

 

 ちなみに白哉さんにどのようにして一緒に寝るかと問いかけてみたところ、私の枕の隣で寝ると言っていました。まぁ私はツノのせいで顔を横にしながら寝れないので、寝ている時に私の顔に潰れるってことは無さそうですけどね。……白哉さん、それを計算して枕の隣で寝ることにしたのでしょうか?

 

 

『さてと……寝るか』

 

 

 あ、おかーさんの手作りであろう人形サイズの枕だ。それと人形サイズの掛け布団だ。今白哉さんの分の枕はどうしようかと考えてたら、いつの間にか作ってもらってたんだ。おかーさん、裁縫も得意でしたから……

 

 あっ。裁縫で思い出したけど、私おかーさんに裁縫の仕方を教えてもらって、白哉さんの誕生日に凝りに凝ったハンカチをプレゼントしてあげたのでしたっけ。懐かしいなー。今度の白哉さんの誕生日も裁縫で何か作ろうかな───

 

 ん ゙ん ゙ん ゙ん ゙ん ゙ん ゙っ(悶絶)

 

 かっ、可愛いッ‼︎ テコテコと歩く姿、せっせと枕をポンッと置く姿、んしょっんしょっと言いながら掛け布団を敷く姿……どれも可愛いッ‼︎ かなりの愛嬌が沸いてくる‼︎

 

 

『………………優子』

 

「えっ? あっ、はい。何でしょうか?」

 

『ずっとそこに座ってるまんまだけどさ……寝ないのか?』

 

「あっ、そうでしたね。寝ます。一緒に寝ます」

 

 

 い、いけないいけない。白哉さんの一つ一つの行動に見惚れていました……‼︎ い、いつもはカッコいい場面を見てキュンキュンしたりしてたけど、可愛い仕草でもそうなってしまうのも悪くはないですね。可愛い白哉さんも新しくていい……

 

 へ、平常心を……平常心を保つために早く私も布団に入らないと……‼︎ あっ、今日も布団が気持ちいい。夜なのにふわふわぁ……

 

 そういえば先週も白哉さんと一緒の布団で寝ていたんでしたっけ。まぁ、あの時はその……魔族との契りの問題で、あんな事やこんな事をした後に……って感じでしたけど。お互い望んでやったことなので、羞恥心は前よりも少ないし後悔もありませんが‼︎(キリッ)

 

 

『それじゃあ……寝るか、優子』

 

 

 ン ゙ッ コテンッと顔をこちらに向けてきたッ……‼︎ その仕草も可愛いッ……‼︎ 結局可愛いが正義なんだッ……‼︎

 

 こ、これ以上心臓が持たなくなる前に、早く寝ないと……‼︎ あっ、でもその前に……

 

 

「あ、あの……」

 

『ん? どうした優子?』

 

「その……ね、寝る前にアレ……お願いできますか?」

 

 

 そう言って私は自分の唇のところに人差し指を当てた。恋人に対してのこのジェスチャー……そう、私はキスを要求したのだ。せっかく久しぶりに二人一緒に寝られるわけですし、この機会も今のところ滅多にないですし、人形にキス自体やってないのでせっかくだからというのもありますし……ね?

 

 あっ。白哉さんの部屋にお泊りしていいかどうかを聞くことぐらいならできるじゃないですか。なんで今までそれに気づかなかったんだろう……

 

 でも寝る時以外のキスならよくやりましたよ? 部屋に戻る時に。後、前にデートした時はキスだけに飽き足らず……って⁉︎ わ、私は一体、誰に向かって何をカミングアウトしようとしたんでしょうかね⁉︎ い、いやぁ恥ずかしい恥ずかしい……

 

 そんな事を考えていたら、白哉さんのクスリとした乾きのある笑い声が聞こえた。……これ微笑? 微笑ってヤツですか? なんだか馬鹿にされてる感があって、無性に腹が立つような……

 

 

『今の俺は人形だから、今やっても布の感触しか伝わらんぞ?』

 

 

 むっ。まるで私がちゃんとしたキスをしてないから『この後のキスで後悔しそうだなこの子』って思ってないでしょうね? それぐらい分かってますから。私もそこまで馬鹿じゃないですから。

 

 

「まぁ……その、あれです。ものは試しってヤツですよ」

 

『そ、そうか……わかった』

 

 

 白哉さんはそう言って少し戸惑いながらも了承してくれた。なんか『こいつ正気か?』みたいな表情も見せていたけど、正気です。みんなが思うほど頻繁にはできないキス、それも白哉さんが人形の状態で行う……こんな二度とできない機会を逃すわけにはいきませんもの‼︎

 

 

『それじゃあ……するか。おやすみ、優子』

 

「はい。おやすみなさい、白哉さん」

 

 

 そうして私達は瞳を閉じ、ゆっくりと顔を近づけ……唇と唇の位置であろう人形の口元部分を交わした。人形の唇はサラサラとザラザラが混じっていながらも、優しく、本物のとは違った温かみのある感触が───

 

 ん? あれ? なんだろう。突然本物の唇みたいな……というか、唇そのものの感触が伝わってきている気が……

 

 

 

「ん? あっ戻った」

 

 

 

 あっ。白哉さんの身体が元に戻った。人形の姿じゃなくて、れっきとした人間の姿………………

 

 って、えっ? 白哉さんが、私とのキスで、元に戻った? えっ? なんでそんな白雪姫みたいな感じに早く戻って……というか私今、白哉さんの腕の中に入って彼にホールドされている状態になって……

 

 ア ゙ッ こ、これダメッ……先程まで可愛くなってた人が突然カッコいい方に戻って、こんな状態になってしまったら、色んな意味でかなり効く……

 

 

「ボハァッ‼︎ きゅうッ……」

 

「お、おい優子⁉︎ 大丈夫か⁉︎ ………………あぁっ、なんか刺激が強かったんだな……」

 

 

 どうやらここで私は気絶してしまったのだということを、翌朝白哉さんが教えてくれました。と、とりあえずキスですぐに元に戻れるってことは小倉さんには言わないでおこう……。なんか、あの人ならよからぬことを考えそうなので……

 

 




久しぶりの投稿だし、ペース落とし過ぎたというか休み過ぎたから、どんな感じに執筆すればいいのか分からなくなった気がする……

なんか、シャミ誕後の週一投稿復帰も危ういな……

感覚とか色々と取り戻しておかないと……
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