偶に愛が重くなるまぞくと、愛されてる男のまちカド物語 作:名無しのモンスター
ちなみにどんな作品とクロスするのかは……タイトルを見て察してください。
多摩町に建設されている、東京都立桜ヶ丘高等学校。何で高校の名前が桜ヶ丘なんだ、と言われたら、窓の景色から山の山頂にある桜が見えるからだヨ。というコメントしか不思議と来ない学校である。いや意味がわかんねーよ。
実はこの高校、通ってる生徒も働いてる教師もみんな変わり者ばかりなのだ。桜ヶ丘高校の生徒と名乗るだけで、周囲の普通の人間ならば十メートルほど彼らから距離を置くだろう。あくまで彼らの人間性を理解できるまでは、の話だが。
桜ヶ丘高校の人間性を知ってしまえば最後、その高校への入学を試みる者達が殺到してくる。そのため桜ヶ丘高校はとんでもないマンモス高となっている。毎年多数の入学希望者が出る一つの理由としては、その話題性だろう。
ん? それはどういう意味なのか、だって? その理由は三つ存在する。
一つ。桜ヶ丘高等学校は現実世界にも存在するから。
二つ。そもそもこの高校は本来マンモス校ではないから。
三つ。とあるいくつかのアニメにも登場するが、大抵平和的なアニメにばかりしか出ないから。
なのに……なのに……なのに、なのにだ(四回も言ってすまん)。この世界の桜ヶ丘高等学校は、みんなの知ってたり想像したりしている普通の学校とは違うところが、先程供述したのと他にも存在しているのだ。
それは一体どういうことなのかは後で話そう。とりあえず今は……
「びゃ、白哉さーん。起きてくださーい」
俺の幼馴染である、羊の角と悪魔っぽい尻尾を生やしている子・優子が、ちょっと自棄って跨っているので、そろそろ起きないとアカン。マジで。でないとナニかを絞り取られそうな気がする。いや、誰にでも優しい性格のコイツにしてはやるとは思えないが……
「わかったわかった。起きるからやめ───」
ん? ちょっと待てや。俺、両親に(向こう側から勝手に)大量の金を仕送りされながらも一人暮らしをしている身だぞ? とある件以来から付き合っているとはいえ、合鍵とかは渡してなんか……ってか鍵屋に作ってもらってもないし……
……とりあえず聞いてみるか。
「……どうやって入って来たんだ?」
「へっ? あっ………………い、いえ、こっそり合鍵を作ってもらったとか、なんとかの杖を変形させて窓の鍵を開けたとか、そんな犯罪的なことはしていませんよ? た、ただ……私が起きた時に、メェール君が白哉さんの部屋の鍵を開けたまま、私の事を呼んできたので……」
「元凶あいつかよこんちくしょーめが」
メェール君、というのは俺の能力──小説とかでよくある転生特典の魔法・召喚術によって召喚できる動物の一体だ。二足歩行が出来て喋れる一頭身の羊で、家事全般を家政婦並にこなすという出来過ぎないい子ちゃん……なのだが。
メェール君は意外と意地悪な子……というよりも人の恋にお節介な子なのだ。特に俺が優子絡みの事に介入する時にそうなる。俺が優子に思わぬラッキースケベを起こしてしまった時とか、優子の親友かつ宿敵の桃が優子の恥ずかしい姿や恰好の写真を送ってきた時とか……まぁそういった時に揶揄ってくるんだ。
今では俺と優子は付き合うことになったのだから、メェール君のお節介は来ないだろうと信じ難い、が……この状況をどこかで見られたらまた揶揄ってきそうだし、早く起きて飯食うか。
「……着替えて飯食って準備するからさ、自分の部屋か外で待っててくれ」
「あっ。は、はい。じゃあ私、先に出ますね」
ふぅ、やっと解放された……さて、二学期初日から遅刻したくないし、さっさと準備しよう。
優子も
♢
ここは『まちカドまぞく』の世界。突然魔族になった吉田優子──通称シャミ子が魔族の宿敵・魔法少女の千代田桃や色んな人達と関わっていき、魔族や魔法少女の謎について追ったり何故か町を守ることになったので奮闘したりする、シリアス要素もある『まんがタイムきらら』のハートフルコメディである。
が、この世界は本来の世界とは異なる点が存在する。そのうちの二つは既に供述している。一つはこの世界の桜ヶ丘高等学校が普通校ではなくマンモス校であること。もう一つは制服が本来の藍色と白のブレザー・セーラー服ではなく学ラン・青と白のセーラー服であること。
で、まだ供述してないので本来の『まちカドまぞく』の世界と異なるは……まぁ教室に入れば分かるだろ。
「おはようございま──あだっ⁉︎」
「あ、ごめんシャミ子。そしておはよう」
あ、優子がおそらく一回教室から出て何かするはずだろう、親友かつ宿敵の千代田桃とぶつかった。
そう、本来優子とは別クラスであるはずのこの桃が、優子と同じクラスであることだ。
ちなみにこいつは優子が先祖返りで魔族になるまでは目立った行動は一切してないため、それまでは優子は桃との面識がなかったし彼女が魔法少女であることも知ることができなかったらしい。まぁぶっちゃけ、実は俺も何故か桃がクラスメイトになっていたことに気づけなかったけど……
「ぐぬぬ、教室入って早々にぶつかって来るとはいい度胸……じゃないですよね。よく考えたらお互いの偶然と不注意が重なっただけですよね。すみません……」
「ううん、いいよ。私もまさかこのタイミングでシャミ子と白哉くんが来るとは思わなかったから」
偶々出入り口でぶつかったことによる誤解が生まれかけたけど、即座に解けた、と。まぁいつもの仲良く言い争いする場面(というかいつも桃が揶揄うようにあしらう感じになる)が見れていつも通り、と……
刹那。この場に似つかわしくない大きな音が、俺達の鼓膜に響いてきた。
その音の正体は、まさかの爆発音。それも火薬たっぷりの、だ。
「どぅうえぇっ⁉︎ な、ななななな、何事ォッ⁉︎」
「う、うわぁ……またアイツかよ……」
「あぁ……相変わらずだね」
優子が大袈裟だけど正しくもある反応で驚き、俺が全てを察して呆れた感じになり、桃が苦笑いを浮かべる。そんな各々の反応をしている俺らが、教室のとある位置に視線を向けると、そこには……
栗毛の涼やかな甘いベビーフェイスをした少年が、何故かバズーカを肩に背負いながら、短めに切った無造作な髪型でV字の形をした黒い髪の毛に瞳孔が開いた目の男性を見下ろしていた。
「おはようございまーす。土方さん、また今のを躱したんですかい? 毎回毎回避けてないで、一回ぐらいは空気読んで当たってくだせェよ」
「そっ……総悟テメェ‼︎ 入室して即座にバズーカブッパしてくんじゃねェ‼︎ 他の奴らが巻き込まれたらどうするつもりだァッ⁉︎ つーか前々から思ってたけどどこで手に入れたんだよそのバズーカ⁉︎ 拳銃とかがある裏ルートでも手に入らねぇだろそれェ⁉︎」
「フッ……男にゃ一つや二つ、隠し通したいものがあるんでさァ」
「危なっかしすぎるもの携えながらカッコ良く言っても許されねェだろこのヤロー‼︎」
バズーカを持っている少年・沖田総悟が何やら不吉なことを呟き、V字髪の男性・土方十四郎が焦り怒鳴りながら、銃刀法違反のこととバズーカの入手ルートについて指摘を入れている。
沖田がバズーカをぶっ放し、それを土方が避ける。バズーカの火力は半端ないのに周囲はまさかの無傷。実はこの超非日常な出来事……信じたくはないが、よくある事らしい。
しかも沖田と土方は中学でも同期で、沖田が悪戯というレベルではない事をして土方に遊びで害を与えているらしく、それでいて毎回周囲には一切の害を与えていないという。まぁ、バズーカレベルのは普通に迷惑なんだけど。
と、そんなことを考えていると。
「クォラこの超サドヤ人がァァァァァァッ‼︎」
「えっ、ちょっ待っフゴッ⁉︎」
一人の女子が何処ぞの戦闘民族の名称みたいなのを叫びながら、沖田の後頭部に目掛けて飛び蹴りをしに来た。が、それは沖田に流れるように躱され、そのまま土方の顔面に直撃する形となった。土方、哀れ。
「お前なんてことしてくれるアルか‼︎ お前がバズーカぶっ放してきたせいで、私のタコ様ウインナーが焦げ焦げの丸焦げになっちまったじゃねーかヨこんちくしょー‼︎」
中国からの留学生──神楽。透けるような白い肌に、オレンジの髪を頭の両サイドで三つ編みにしてぼんぼりで纏めて団子状にした少女。異国情緒ある容姿の美少女……なのだが、その可愛い顔は怨念により歪んでいた。
理由は明確。彼女のタコさんウインナーが沖田のバズーカによって真っ黒焦げになったからである。ってかよく塵にならずに済んだなタコさんウインナー。
実は彼女はドがつく程の食欲旺盛で、先程まで早弁用の弁当を食べていたようだ。今回はどうやらその時に沖田のバズーカの爆破に巻き込まれ、自分は無事だがタコさんウインナーは……って感じだ。
「あーそれ? 安心しろチャイナ娘。お前が毎回毎回同じタコさ……タコ様ウインナーで飽きが来ないようにと、俺がアレンジを加えてやっただけでさァ。ブラックタコ様ウインナーでもいけるぜ? 大人の苦味も味わえる、的な」
何そのブラックコーヒー路線な言い訳。そもそもブラックタコ様ウインナーって何だよ。
「ブラックにさせ過ぎだろーがァッ‼︎ いやこれもうブラックの域を超えてるネ‼︎ お前のドS成分まで調合されてダークマターになってるネ‼︎ こんな危険物質はタコ様じゃないアル‼︎ 今すぐテメーの顔をタコ殴りにしてタコ顔にしてやろうかァッ⁉︎」
お前もタコ殴りするとか危なっかしい言葉を使うんじゃない。指導室沙汰になるぞ。
「お、俺はお前の蹴りのせいで顔がタコ様になって動けねェんだけど……」
ドンマイ、土方。それしか言う言葉が見当たらない。
と、そんなことを考えていたら。
「まったく、トシも総悟も相変わらず騒がしくやってんな。ついでにあのチャイナ娘さんも。騒ぐにしても、もう少し俺達みたいに問題事を起こさないように配慮するべきだと思うがな。ですよね、お妙さん‼︎」
「本当ですよね。近藤さんみたいに私の机の下に忍者みたいに隠れて警察沙汰ならぬ奉行所沙汰な事もしないでほしいですし……ってなわけでそこから飛び出せアホゴリラァァァァァァッ‼︎」
「あっいやこれはお妙さんを盗撮から守るための──ギャハァンッ⁉︎」
黒い髪をアップバンプスタイルのように立ち上げた濃い顔立ちがゴリラに見える男性──近藤勲が、茶色の瞳に茶色のセミロングの髪をポニーテールにしている女性──志村妙に蹴り飛ばされる、という瞬間を目撃した。
近藤はとある理由で妙に一目惚れベタ惚れで、よく妙に対してストーカー行為を働き、いつも妙に制裁を受けている。よく彼女に通報されなかったな今まで。
で、その隣。
「はぁ……やっぱり夜以外でも高収入が期待できるバイトはそんなにないかー……」
「む? バイトで困り事か長谷川さん。なら俺が見つけたとっておきのバイト先を紹介しよう。ちなみに手順は簡単、綺麗な女性や可愛い女性に『ここで働くと快感を求められると同時に一番になれる』と──」
「それ風○嬢に勧誘させてる詐欺師みたいおじさんじゃねェかァァァァァァッ‼︎ それやると勧誘された側の人生終わらせちゃうから‼︎ 勧誘した側も警察の世話になっちゃうから‼︎ ヅラっち真面目にバイト先紹介して‼︎ 力になってくれるのは嬉しいけどさァッ‼︎」
「ヅラじゃない、桂だ」
ストレートの長い黒髪が特徴の中性的な容貌の顔立ちをしている男性──ヅラこと桂小太郎が「ヅラじゃない、桂だ」、いつもアルバイト探しをしている苦学生でオジサンみたいな老け顔をしているサングラスの男性──長谷川泰造に何やら別の意味での危なっかしいバイトに誘おうとしていた。
その前の席……は、特に問題ないな。見た目以外は何の問題もないし。見た目以外は。
「ふんふふん、ふんふ〜ん♪」
長谷川さんの前の席に座っているのは、屁怒絽。放屁の屁に、怒りの怒、ロビンマスクの絽と書いて屁怒絽。性格は礼儀正しく穏やかであり、マナーやルールを重んじ、命を大切にする心優しい人物。今みたいに編み物を編んでいるほどの……なのだが、なのだが。
顔には傷、頭には二本の角、長い黒髪と髭、口には鋭い2本の牙、肌の色は緑、瞳の色は赤、という人外要素丸出しな恐ろしい風貌で、頭の二本の角の間からは花が生えている。
この見た目だ。彼はこの見た目のせいで周囲からは『花屋のフリをして地球を侵略しようとしている凶悪な怪人』と誤解されている。またマナーやルールを守らない者や、虫や花などを踏みつぶそうとした者に対しては力任せで容赦ない制裁を加えるため、誤解に拍車をかけてしまっている。ただ、本人はその事に全く気づいていない。全くだ。
明らかに優子よりも魔族らしさが非常に強く出ているが、本当に魔族なのかは意外なことに不明。不明である。何故なら中には彼の事を宇宙人か異世界からの人物か何かかと警戒する者がたくさんいるからだ。真相が明らかではない今、屁怒絽を魔族認定するのは留めている。聞くにしてもなんか怖いし……
ちなみに彼の実家が花屋であってか、親の手伝い……なのかもだけど、ほとんど屁怒絽が仕事をほぼ全部やってる感じに、経営の手伝いをしているようだ。そしてその家族もほぼ全員屁怒絽みたいな怖い姿だけど、全員優しかったぞマジで。
何故俺が屁怒絽の事を知ってるかって? 行ったことがあるからだ。とは言っても優子と一緒にお出掛けしてたら偶々見かけたって感じだったけどな。けど優子が自分と同じ魔族の可能性が高いだろうと思って意を決して話しかけていったら……屁怒絽が先程の供述通りの性格のため、俺達は仲良くなれたんだ。魔族かどうかを聞き忘れたけど。
……って、屁怒絽の事で話し過ぎたわ。なんで屁怒絽の事で長く一人語りしてんだよ俺。
「あー今日もみんなはっちゃけすぎてるよね」
「はっちゃけてるってレベルじゃ済まされないでしょこれ……。でも誰も周りに迷惑がかからないようにしてくれているのが、助かると言っちゃあ助かるけど」
と、屁怒絽の事で長語りしていることに気づいたところで、二人の少女が入室してそう呟きながら俺達のところに寄って来た。
「あっ。杏里ちゃんおはようございます」
「ミカンもおはよう」
「おはよう、二人とも」
「「おはよう」」
俺と優子の中学生からの友達──佐田杏里と、桃の知り合いである魔法少女──陽夏木ミカンの登場。数少ない常識人の枠の子達だ。
ミカンは桃曰く物騒な人ばかりだという魔法少女の中でも穏健派なイマドキ女子で、杏里はこの学校の一年生で最も異常だと言われているクラスで一番のまともな存在だと言われている。俺達三人にとっては、おそらくこのクラスの中で助け舟を求められる頼れる子達だ。面構えが違う。
ちなみにミカンは本来ならこの学校には二学期初日に転校して来るのだが、どうやらこの世界では最初からこの学校に入学していたようだ。優子と桃が学校で改めて邂逅した時から出会ったのだが、案の定優しい性格のためすぐに仲良くなれた。
実は彼女にはとある小さな呪いを持っているのだが……それについては訳あって解決しているのでまた別の機会に話そう。
「……ってか、さっきの話を聞いてからするに、お前らこのカオスな光景を見てよく平気でいられるな。普通、こういう光景を見たら慌てたり怖がったり誰かと一緒に止めたりするだろ」
「ん? まぁこの学校に入ってからこういう事は起きるだろうなぁとは薄々感じてたからね。多摩町の人達は変な人ばっかりだし」
「私もさすがに怪我人が出てしまったり大事になりそうになったら全力で止めに行くけど、皆たとえ暴れても周りに被害が出ないように配慮をしているみたいだから、大丈夫かも思い込んじゃって……」
「さすがにミカンはあれを見て諦めるのはやめてくれないかな? いざという時に私一人で対処できるとは限らないし……」
「……その反応からするに、私がまぞくになってもすんなりと受け入れてくれた理由、分かってきた気がします……」
「……だな。ってか、あいつらなんであそこまで騒げるんだ? 長谷川さんや屁怒絽達を見習えっての……」
ヤベッ、四人との会話の中で私怨を入れちまったよ……。まぁあんなに騒がれたらいずれそう思い込んでしまうだろうな、とは薄々勘づいてはいたけどさ。せめて表向きに出したくはなかったな。マジで。
と、そんな事を心の中で考えていたら。
「おはようございまーす。あれ? 平地さん達なんで一箇所に集まって………………あぁ、また姉上や神楽ちゃん達が暴れてるのか……」
このクラスの常識人の一人、志村新八の入室である。これといった特徴のない黒髪と顔立ちの眼鏡の少年。剣道部でとあるアイドルのファンであること以外、他の奴らと比べて至って普通、なのだが……
「あぁ……今日も来てくれたのか、俺らの癒し担当……」
普通だからこそ、いてくれるだけで俺らに心の安らぎを与えてくれるんだ……
「はぁ? 急に何を言ってくるんですか? 大体癒し担当って、意味が分からな───」
「いや、白哉さんの言ってることは分かります。新八くんがこの場にいると、あれほど騒がれてもなんだか安心できますし……」
「わかる。来てくれるだけで安全地帯を作ってくれているって感じがして、存在するだけでありがたみを感じる……」
「いざという時は私達が思ってでもツッコめない場面にツッコミを入れてくれるし、色々と感謝してるというか……」
「寧ろ何もしてない時でも労いたいって思えるほどよ……いや、フリとかそんなんじゃないわよ?」
「えっちょっ、ちょっとォォォォォォォォォッ⁉︎ 何これ⁉︎ なんで僕何もしてないのにいつの間にか感謝される存在になってるの⁉︎ 確かにツッコミはよくやってるけど、それ以外は無自覚系主人公並に記憶にないんですけど⁉︎ 何⁉︎ 僕何かやってはいけないことでもしましたか⁉︎ 今すぐ謝った方がいい⁉︎」
突然かつまさかの優子達まちカド女性陣(ってかきらら漫画だからメインキャラ女性しかいない)による感謝の言葉ラッシュに思わず動転する新八。いや俺もこれにはビックリだよ? まさか優子含め四人全員も新八の存在にありがたみを感じていたとは思わなかったからさ。
「ありゃー。新八くんこれはモテ期でも到来したのかな? 一人は彼氏持ちだけど」
「揶揄わないであげてくださいッスよ小倉さん。新八くん意外なとこでムッツリになっちゃうんスから」
「けど実質両手に花なんだ。今まで彼が苦労した分、こういったおいしい瞬間は味合わせてあげないと釣り合わないじゃないか」
「あ、なんバランス良くディスられた気がする」
ここで悪意のない野次馬が新八を襲った──‼︎
『まちカドまぞく』のヤベー枠であるマッドサイエンティストの小倉しおんさん(本来なら別のクラスの子)、忍法に憧れ独自の忍法を編み出したオリキャラの平賀全蔵、二割ウザキャラ八割過保護キャラの陰陽師オリキャラの仙寿拓海の登場だ。内二人は先程の会話の通り常識人である。
実はこの三人も、存在してくれるだけで感謝される新八ほどではないが俺達の救いの手を差し伸べてくれるいい人達だ。
小倉さんは『実験したいから手伝って』と声を掛けるだけで騒ぐ奴らを静まらせ抑制し(だがほぼ毎回巻き込まれるサイドの土方もよく実験の被害に遭う)、全蔵はこっそり忍法を撃って突然の出来事にみんなを唖然とさせ、拓海は異常なほどの過保護さを曝け出してドン引きとかさせる。つまり一時行動するだけで周囲を抑制してくれるのだ。
ま、それでも俺達の心の安らぎを与えてくれることも考えると新八にはかなわないけどな。三人には申し訳ないが。
「……あの、白哉さん? 無言で僕の肩に手を置くのやめてくれませんか? ってか突然どうしたんですか? 今のといい癒し担当と言ってきたのといい……」
「あっ、すまん。お前に憐みをかけるつもりとかバカにするつもりとかは決してないんだ、決して。許してくれ」
「嘘を言っていない気がするのが逆に怪しい……」
うるせぇよ、ほっといてくれ。怪しまないでくれよ三百円あげるから。
と、そんなことを考えていたら(何回このパターンやるんだろ)。教室の引き戸がガラガラと開いた。
「ギャーギャーうるさいんですよ、発情期ですかこのヤロー」
教室の前方から登場したのは、水色がかった銀髪の天然パーマに死んだ魚のような目をした男性教師。くたびれた白衣、そして口元に咥えている煙草。といった奇妙な出で立ちをしている。
外見からして無気力・脱力感が感じられ、見た目からして教師の常識から逸脱しているのが、このクラスの担任・坂田銀時。通称・銀八先生である。何故このやる気の微塵も感じられない人が教師をやっているのだろうか……俺を含めた(?)常識人だけでなく、多くの生徒もそう思っていることだろう。
が、やる気の微塵も感じられない声で注意を促した途端、先程までのバカ騒ぎが嘘のように静まり返った。そして騒いでない俺ら常識人達と一緒にスムーズに席に座り始めた。どうやらこの先生、見た目や性格に反して教師の威厳はきちんと携えているようだ。いや寧ろそうでないと教師は務まらんだろこの先生は。
けど……と不服に思ったのか、席に着いた俺は思い切って挙手して銀八先生に呼びかける。
「先生、煙草を吸いながら教室に入らないでください」
「あぁ? 前にも言ったけどよォ、こいつは煙草じゃなくてレロレロキャンディーだ。っつっても俺、『他の銀魂』キャラと一緒でこの小説では初登場だけどな」
いやどっちにしろ学校にそんなもの口に咥えるな。煙たくて授業に集中出来んし、学校の物に引火したら洒落にならんやろがい。
「キャンディー舐めても煙は出ませんよ。まさか煙が出る繋がりで、ドライアイスとかを口に突っ込んでるんじゃないでしょうね……?」
「ちげーよ。物凄くレロレロしてるから出るだけなんだよ」ヌパッ
「うわぁっ……」
思わずドン引きしてしまった。だって銀八先生が口から取り出したのが、煙草じゃなくてマジモンの渦巻き状の七色のレロレロキャンディー、しかも大きく頬張らないと口に入らないほどの大きさだったから……
いや、よく考えたらスゲー顎の筋肉を使ったなこの人。そしてよくそれ咥えながら喋れたな。もっと咥えやすく食べやすいレロレロキャンディーがあるだろうがい。ってかどうレロレロ舐めたらレロレロキャンディーから煙が出るんだよ。訳が分かんねーよ。
「質問とかはもういいだろ。んじゃ日直、号令たのまー」
あっ、そういえば今日の日直は俺だったわ。
「きり───」
「あーちょっと待て白哉。二学期が始まったばかりだからな、今日から号令を『起立』『礼』『まちカド‼︎』にする」
「完璧に思いつき百パーセントの提案じゃないですか」
完璧に思いつき百パーセントの提案じゃねーか。大事なことなので心の中でかつ片言でもう一回言いました。やっぱり適当にやる人は教師に向いてねーな。
と、そんな事を(ry、桃が挙手しながら銀八先生に呼びかける。
「すみません先生、号令を『着席』から『まちカド』にする理由がわかりません。意図を教えてください」
「意図だァ? 意図なら生徒手帳の隠しページに書いてあるから読んどけ。そもそも二次創作の世界だってそんな細かい設定はすっ飛ばしてんだから気にすんな」
思いつきのヤツに意図なんかねーだろ。ってか生徒手帳の隠しページて……あと今とんでもねー事を言わなかったかこの人は?
と、今度は優子が挙手してきた。
「先生。何ですか生徒手帳の隠しページって。そんなのどこめくっても見つからないのですが。何ページ目ですか?」
「何ページ目って……そりゃアレだよ。お前達の心の中の生徒手帳の十八ページ目に書いてあるんだよ。いつの間にか記憶にインプットされてるもんだよ」
「いやそれ単に適当に言っただけェェェェェェッ‼︎ 隠しページがあるとか言うから『えっ、そんなの見つからないんだけど。私の生徒手帳だけ印刷だったことに今まで気づかなかった?』って思ったましたよ正直‼︎」
うわおすごいキレのあるツッコミ。優子じゃなかったら誰もしてくれないね。素直に本心を吐くことはいいことだ。
そんな馬鹿なことを考えながらも、そろそろ頃合いかなと感じた俺は改めて号令をかけることに。
「起りーつ、礼、まちカド‼︎」
全員が立ち、一礼し、そして『まちカド』の合図とともに席につく。それを見ていた銀八先生は……
「うん、面白くねェな。やっぱ元に戻そう」
いやもう戻すんかいッ‼︎ という怒りが沸騰したけど、心の中で留めることにした。だって口に出したら後が面倒臭くなりそうなんだもん。
えー……銀八先生の登場でみんな気づいてはいるとは思うが、実はこの世界は、『まちカドまぞく』の世界と『銀魂』の世界が混合しているのだ。
『銀魂』はアメリカ人の代わりに宇宙人みたいな奴らが日本を勝手に現代並の文化を発展させたことで侍を衰退させた江戸が舞台となる世界。そんな世界で、攘夷戦争で猛威に暴れたかつての白夜叉・坂田銀時が己の道を突き進む……みたいな感じのコメディ・シリアスのバランスが取れたジャンプ漫画だ。
そんな世界をモチーフにした感じのスピンオフ作品『3年G組銀八先生』の生徒や教師が、銀魂高校の代わりにこの桜ヶ丘高等学校にいるってわけ。なんでこんな世界に俺は転生してしまったんだろう。ってかどんな混合世界なんだよ。まぁ今では結構楽しく過ごせているので疑いはしないけど。
「じゃあ、今日のHRの議題に入る」
突然そう言ってきた銀八先生は黒板に体を向けチョークで字を書いていく。
そこには『休み明けテスト』と書かれていた。
銀八先生は再び俺達に体を向けて言う。
「が、ある。来週からな。お前ら一科目でもいいから八十点以上とれよー。じゃねェと再来週以降俺の授業マラソンにするから」
あぁ、ここでテストがあるのか。普通、夏休みが明けて二学期の始業式を終えた次の日ぐらいにテストがあるものだと思い込んでいたから、ここであるのだという実感がないのだが……
………………ん? ちょっと待って? なんか先生がとんでもねー課題を押し付けてきた気がするが?
「以上」
と言って、銀八先生はそのまま教室を出ていこうとする。いやちょっと待って? とんでもねー事を言ってはい退散とかやめて? マジで。
「いや、先生‼︎」
と、ここで新八が何の説明もなしに去ろうとする先生を呼び止めた。新八、ナイス‼︎
「どういうことすか‼︎ 八十点以上⁉︎」
「そーだよ。取れなかったらお前らランナーズハイな」
「なんでだよ‼︎ アンタ国語教師だろーが‼︎ なんで自分の授業をマラソンにするんすか⁉︎」
「じゃあ走りながら『万葉集』でも詠んでもらおうかな」
「難度アップしてるじゃねーかァァァッ‼︎ 無理矢理国語に繋げてんじゃねーよ‼︎」
スゲー鋭いツッコミのラッシュ。俺みたいな奴じゃなきゃ見逃してたかもな。
「先生〜。長時間走るの過ぎるので取りやめてくださ〜い。それかせめて『古今和歌集』にしてください。そっちの方がマラソンしている時に言いやすい」
「小倉さん、貴方は一体何を所望してるのよ……」
なんか変な事言ってきた小倉さんにミカンが呆れながらツッコミを入れていると、また優子が意見を出してきた。
「それよりも先生‼︎ ちゃんと事情を説明してください‼︎ そうでないと私達も納得できませんよ‼︎」
「そうですよ先生‼︎ どうして『○しの子』はメインキャラを闇堕ちさせたがるんですか‼︎」
「桂、お前は何を言っているんだ」
思わずテストとは関係のない話題の矛が先生に向けられてたから、思わず桂のボケにツッコんじまったよ……いやなんでこのタイミングで今年流行りのアニメの話するねん。
「あー実はな。今朝校長室に呼ばれたんだけどよ………………」
………………
………………
………………
………………あれ? 先生、何故話を途中で止めて───
「話すのがかったりーから、次のifの回に話回すわ」
いやだいぶ間を空けてやっと口にした一文がそれかいィィィィィィィィィッ‼︎
はい、というわけで十五年ほど連載した大人気ジャンプ漫画『銀魂』とのクロス回でした。銀魂、大好きッ‼︎
ちなみにネタの内容が思いつかない場面に直面したので、以下の内容をどのように書くのかを、以下のURLにて教えてくださると助かります。
・白哉とシャミ子のデート
・桃が想いを寄せているオリ男との電話
・藤原書記の真似をするシャミ子と禰豆子の真似をする桃
・R-18パートの最新話
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=291009&uid=379192