偶に愛が重くなるまぞくと、愛されてる男のまちカド物語 作:名無しのモンスター
白哉とシャミ子が何事も無く結婚までいけそうになった世界線での、大人になった二人の話です。本編でも原作キャラ生存&桜・ヨシュア復活ENDって感じに進められるといいな……
それと、シャミ子誕生日おめでとう‼︎ これからもお前を愛してるぜ‼︎ NL方面のみで‼︎
蒸し暑かった夏も終わり、コオロギの鳴く声が秋を知らせる時期が訪れ、落ち葉が紅葉に染まり始めていくこの季節。
付き合っていく内に二十代になっていた俺と優子は、同居しているマンションの一室に住んでいる。俺は企業会社の正社員として超安定した生活を送り、優子もパート業で同居している俺の生活のサポートをしてくれている傍ら、多摩町を守る魔族の女帝として、まちづくりに色々と貢献している。
そして数年が経つにつれて、とある二つの課題を解決することができるようになった。
一つ、千代田桜さんを解放することに成功したこと。
桜さんはとある事件によって魔力がスカスカになり、コアになって猫の姿を保つ魔力もほとんどなくなった時に優子の体に入り、彼女の病弱な体を支える形で消滅を免れたとのこと。
けど、それは優子の魔力がまだ弱かった頃の話。様々な経験を積んだ優子は膨大な魔力を手に入れ、超強い魔族になることに成功した。そして呪いを克服したことにより、桜さんは優子を支える必要がなくなり解放され、現世に復活することができたのだ。
アレは結構思い深い出来事だったな。姉と再会した桃がその場で彼女に抱きつき、タガが外れたのか如く泣いていたから、俺も思わずもらい泣きしたよ。感動の再会、イイ……
二つ、ヨシュアさんの封印を解くことにも成功したこと。
ヨシュアさんは俺の父さんを助けるために、桜さんの力で父さんを襲った黒き獣諸共封印されたという。そして命を救われた父さんはヨシュアさんが復活することを願って、母さんと二人で彼の飛び散った魔力を用いて眷属になった。
その二人の魔力と、膨大に手にした俺と優子の魔力、そして『ヨシュアさんを解放させたい』という強い念があれば、他の人達の協力の元ヨシュアさんの封印を解けるのではないか、とリリスさんがある日思いついたんだ。
で、実際に色々試した結果、ヨシュアさんの封印を解くのにも成功。清子さんが涙を流しながらヨシュアさんに抱きついたり、優子がヨシュアさんに頭を撫でられ前にもしてもらった事を思い出してか泣きじゃくったりと、ここでも俺はもらい泣きしました。俺の涙腺、緩かったんだな……
だがしかし、その時の涙はヨシュアさんの『娘との子ができることを期待してますよ』の一言でシュッといき、逆に背筋が凍った。そして優子は爆発したのかの如く瞬時に顔を紅潮させたんだ。そういや優子との交際はこの人も公認しているだった、と。この時から俺、ヨシュアさんの事が苦手になったんだよな……うん。
んで、これら二つの課題が解決した後の二人はどうなったのかと言うと……
桜さんはコアでの生活での年齢停止の問題もあり(ヨシュアさんも年齢停止してるけど)、蕾という名前を表向きで使ってもらいながらのコンビニバイトをしており、学歴問わずの会社に就職する予定らしい。
ヨシュアさんはまぁ、特に大したことないってことで名前をそのままに俺と同じ会社で働いている。ちなみにすごい出世力でもう部長になってます。というか復帰? な感じかな。分からんけど。
そして月日が流れ、九月二十八日……
「今年もスゲェ量もらったな……」
「はい……もうどっさりです」
俺達の部屋の一室は、大量の様々なものがそれぞれプレゼント用のリボン結びされた箱に入っているヤツ──率直に言う、プレゼントで埋まりそうになっていた。
九月二十八日。シャドウミストレス優子こと吉田優子の誕生日だ。本来なら彼女と深く関わってきた俺や優子の家族、桃やミカン達などといった、魔族や魔法少女絡みで仲良くなった人達ぐらいなら必ずもらえると踏み込みながら、この日を楽しみにしていた優子だったが……
誰からももらえなかったとか、そんな悲しい結末が訪れたわけではない。寧ろ逆だ。別に深く関わってきたわけでもないのに、彼女の誕生日を知ってプレゼントを送ってきた人達が外部からもわんさか出てきたようだ。それもトラックで運ばれるレベルだ。やばたにえん。
その要因となるのが、先程供述した優子の今の生活の仕方……というべきかな?
パート業をしている内に顔見知りがたくさん出来ただけでなく、多摩町のまちづくりの貢献のためにしてきたことが、本人にとってもかなり予想外なことに、たくさんの人達からの感謝とか支持とかを色々と受け、挙げ句の果てには町外の魔族や魔法少女からの厚い人望までをも受けていたらしい。
いや、優子……お前どんな貢献をしていたら大量プレゼント獲得の恩恵を受けられるんだよ……俺、聞いてないんですけど。しかも本人も『何故こうなったのか自分でもわからない』とか言うし……お前、いつの間に勘違いなろう系主人公になっていたの?
ちなみにプレゼントを送ってくれた人達の中には、俺にとっては大物とも言える人からの贈り物もあった。ぶっちゃけて言えば、本来登場するはずのない別のアニメのキャラからだ。
ある時はバンドでも徐々に技術力と人気を伸ばしている凄腕ギター配信者から、ある時は嘘吐きは上手だけど嘘じゃない愛も出せる子持ちアイドルから、ある時はお気楽な最強の呪術師教師から……
いや、優子? お前、俺の知らないところでどれだけすごい人達と顔見知りになったってんだよ? しかも最後に思い浮かんだ人とは何やら過酷な環境で会ってるような気がするし……。まさかお前、また世界を救っちゃったみたいなノリの体験をしたんじゃないだろうな……?
んで、今年はざっと二百人以上からもらったようだ。しかもそれら全部トラックで運ばれてくるという。まぁ先程供述したすごい人達と関われたらそりゃあ、ねぇ……?
「あはは……私、どんな事をしてたらこんなにも誕生日プレゼントをたくさんもらえるんでしょうね……?」
「ホントなんでだよ、だよな。ってか、これらの中にまたヤバいものとかも入ってないだろうな……?」
これだけ大量のプレゼントが来てしまったら、なんだかヤンデレみたいにヤバそうなものとかを入れてる奴がいそうで怖いんだよな……。自分の髪の毛などを入れた料理とか、送り主が付けた下着とか、どっちかというと直接渡して来そうな首輪とか、諸々……
あっ、ちなみに同じヤンデレである優子は自重してくれていますよ? 髪の毛などの身体の一部を料理に入れるのは衛生的に良くないと言うし、下着は純粋に恥ずかしいと言うし、首輪は論外らしい。前から思ってたけど、ホントにヤンデレなのこの子?
けど彼女がヤンデレになったことを知ったその年には、手作りなどでなるべく高価に見える感じのを渡してきたことがあるので、十分に愛が重い。マジ重い。ってかよくそんなの作れたなオイ。
ま、優子からのプレゼントは今は考える必要はない。問題はこの多々あるプレゼントの中身だ。どれが安全なのか、どれが危険なものなのか、それらを確証するために……
「ピッピ、今年も頼むわ」
【任せろ。私のスパイ訓練で鍛えた洞察力で安全なものと危なっかしいものを分けてやるぞ】
俺が出せる召喚獣の中で最も物の見分けや洞察力が上手なピッピに、危なっかしいプレゼントがないかどうかを判別してもらうことにしたぜ。
ピッピの洞察力はまるで透視能力でも手に入れたかのような……ってか透視能力を持っている。以前バニラビーンズと見せかけた一ミリの髪の毛がたくさん入っているスイーツが、箱に入っている状態で発見した程だ。その時はなんつーもん作ったんだって思う程の恐怖に恐れ慄いてしまっていたので、ピッピの洞察力の凄さに気づけなかったけど。
さて、今回は危なっかしいプレゼントが出てしまい、それらを箱を開けずにお見通しできるのだろうか……
【ふむ……ふんふん……ふぅむ………………あぁ、なるほどね】
「ど、どうでしたか? 何かヤバいものでも見つかりましたか?」
【ちょっと待ってくれたまえ。………………あっ、もしもし? 私ピッピだが。実はかくかくしかじかで……後で持ってこようと思う。……あぁ、頼む】
……? 突然誰かに電話してるんだが、一体どうしたんだ? あっ、プレゼント一つ持ち始めた。もしかしてこれにヤバいヤツが入っている……とか? と、とりあえず何が入っているのか聞いてみるか。
「な、なぁピッピ? そ、それには一体何が入って───」
【マスターも奥様も、何も聞くな。その方がお二人の身のためだ】
「「アッハイ」」
な、なんかすごい圧をかけてきたんだが……それほどヤバいものが入ってたのか? しかも誰かに電話して相談する程のか……?
【(エナジードリンクを装ったフルニトラゼ○ム入りの水とかふざけてるのか? わざわざ郵送してきたということは、遠隔で奥様を言いなりにすることができるとでも? とにかく奴とこれを作った奴も危険だ。飲ませて元凶全て吐かせて、召喚獣皆で37564にしてやる……!!)】
………………なんか、すんごい殺意がピッピの背中から感じ取れるんだけど……気のせい、だよな? そうであってほしい。
♢
数分後。プレゼントの仕分けは終わらせることができたようだ。
送られてきたプレゼントの中には、先程も供述したヤンデレから送られてきたものも含み、花束やポーチ、優子の勇志を想像して描いたというイラストやアクリルスタンド、優子と俺のぬいぐるみなどといったものがあった。感謝の意でのものや本格的なものまで……すごいなマジで。
ちなみに今年のヤバくて受け取り拒否した個数は、たったの一割程度で済まされたようだ。去年までなんかは二・三割ほどで、最悪の場合は半数ある程だ。それほどヤバいものが送られてきたってわけだ……ゾッとするからもう思い出したくない。
「有名な人達からは良いものがもらえてよかったな。もしあの人達の中の誰かがヤバいもの送ってきたら、その人の将来的にもヤバいからな」
「そうですね。自重してくれているのか、それともただただ善意で送ってくれたものなのかはわかりませんけどね、これは……」
「そういえば優子、桃や杏里達と誕生日パーティーをやったんだっけか? 彼女達からのプレゼントももらったのか?」
「あっはい‼︎ それはその場でもうたくさん‼︎ ……けど、去年みたいに白哉さんも一緒って感じにならなかったのが、ちょっと残念でしたね……」
………………そう。実は俺、今日は昨日からの出張で帰って来たばかりなんだ。突然俺が作った商品がとても良かったから是非ウチに来てほしいという、大企業からの熱烈なるオファーによる急用が出来てしまって、それで今年の優子の誕生日パーティーには行けなかったんだよ……
熱烈なるオファーはいいけど、急に『来て』と言われても困るんだよな……知らないとはいえ、恋人の誕生日パーティーには出たかったのよ。だから向こうから来てほしかった……
「あぁ……それはホントに悪かった。仕事の方を優先してしまって……」
「いえ、急用での出張で昨日から福岡へ行ってましたよね? しかも大企業からのだったら断れませんよね‼︎ 私も同じ立場ならそうしてました‼︎ それに会社側は休暇の埋め合わせをしてくれたのですから、寛大なまぞくである私は許します‼︎ ふんすっ‼︎」
「そっか……ありがとう、優子」
どうやら優子は会社員の多忙さと自分目線での憶測を理解したことで、俺が急用での出張で誕生日パーティーに参加できなかったことを許してくれたようだ。さすがは魔族、度量の大きさもとても良きだな。
「ちなみにだが、パーティーではどんなものをみんなからもらったんだ?」
「あっ、そうですね……。ミカンさんからは柑橘類の香りがする化粧水を、杏里ちゃんからはビュッフェ食べ放題の割引券を、しおんちゃんからはなんかすごく発光しながら小さいお星様とかス○ルスロッ○とかを飛ばせるパールのペンダントを───」
「ストップ、ストップストップ。お前しおんさんから何怪しそうなもんをもらってんだよ」
発光ならともかく、小さい星と尖った岩を飛ばせるペンダントって何だよ。自己防衛のために渡してくれたのだと思うのだけど、危なっかしいし持ち回りにくそうだし……そもそも危害を与えることのできるペンダントって何だよ。
「えっ。で、でもヤバいものだったらとっくにピッピちゃんに取り上げられていましたよ? さすがのしおんちゃんでも何かと自重してくれるじゃないですか」
「……それは、そうだけどな……」
ピッピ達が取り上げるほどのレベルの危険度ではないのか……ま、さすがのしおんさんでも、人の命を奪いそうなものを作ったり実験をしたりはしないだろうけどさ。
まぁ、いいか。ウチの召喚獣達が危険物と見做していないものならば、優子が喜んで受け取ってもこちらは文句言えないし。しおんさんからのプレゼントに対する言及はやめておこう。
あっ。ちなみにしおんさんの呼び方だけど、最初は俺も優子も『小倉さん』って呼んでたけど、訳あって今では名前の方で呼んでいる。色々あって結構仲良くなったんだよ、色々あってね。
「ちなみにだが……桃からはどんなのをもらったんだ? さすがに筋トレ関連ではないことは確かなはずだけど」
「あっ、桃からですか? 桃からはですね……」
そう言って優子が桃色の袋から取り出したのは、キャップ式の携帯用小ぶりタイプの容器だった。あっ、これって……
「ハンドクリーム……か?」
「はい‼︎ しかも大人気ブランドのピーチの香りらしいです‼︎ 肌荒れまぞくにならないように、と私の身を案じてくれたみたいです。ちょっと気に障りましたが、それ以上に私の事を気遣ってくれたのは正直嬉しかったです‼︎」
「………………そっか」
桃のヤツ、今度はハンドクリームを優子にあげたんだな。毎回毎回彼女のプレゼントのバリエーションの数を心配していたし、本人も毎年悩んでいたみたいだけど、今年もいいのを選んだみたいだな。
………………
優子。桃の方は分かって送ったのかどうかはわからないけど、ハンドクリームをプレゼントすることには意味が込められているんだぜ。意味はな……『あなたを大切に思っている』だ。宿敵としても、親友としても、お前の事を大切に思って送ったのかもしれないぜ。恋愛方面では……俺がいるからないだろうけどな。うん。
だからさ、優子。桃との強い繋がりも、これからも続けていってくれよ。そうした方が桃も俺も嬉しいからさ。
「……? どうしたんですか白哉さん? そんな慈愛の眼で見るような顔をして」
「いや、なんでもねェよ」
むむっ、またか。最近俺の考えていることが簡易的に読まれているな。一応仕事に不満とかがないから不満気にはなってないけど、こういう表情の緩みはなんとかしておかないと余計な勘違いとか起きるから気をつけなければ。
………………さてと、俺もそろそろ、だな。
「優子、ちょっといいか?」
「……? は、はい。なんでしょうか?」
「………………あ、あの、実は、さ……」
いや、待て。ちょっと待て。なんで俺がこんなにも緊張しないといけないんだよ。おかしい。既に意を決したはずなのに今更躊躇うのはおかしい。
だって、ほら。今から俺も優子にプレゼントを届けるんだぞ? いつも通りの感覚で渡せばいいだけだろ? 何をそんな当たり前なことを躊躇わなきゃ……
………………あぁ、そうか。あげるプレゼントの中身が中身だもんな。意味も見た目そのままって感じだもんな。それにこれを優子に渡して彼女が受け取ったら、今後俺と優子がどうなるのかも分かっていることだしな……
いや、こんな時に限って臆するな平地白哉。今日で俺はこれをプレゼントとして渡して、あの言葉を掛けてやるって決めたんだ。ここで先延ばししたら、次のタイミングを逃してしまう。そしてそういったのを繰り返してしまうのかもしれない。
だから逃げるな。優子だってこういうことをしてくれるのを望んでいるはずだ。優子のためにも、そして俺のためにも、絶対成功させるんだ。
「……これを、お前に渡したいんだ」
そう言って俺は、ズボンのポケットに優しく入れていたものを取り出した。それはリングケースと呼ばれる、とある物を入れたパカっと開閉できる格調高い木製ケースだ。
「えっ………………⁉︎ こ、これってもしかして……⁉︎」
「……あぁ、お前の思っているものかもしれないヤツだ」
ケースを見て全てを察したのか優子の顔がひどく真っ赤になり始めた。やっぱりいつかこの時がくることを期待していたのだろうか。いや、この際別に関係ないよな。俺が口からちゃんと伝えながらこの中のヤツを渡す、それだけだ。それだけのことなんだ。
そう自分に言い聞かせながら、俺は左膝を床に付けながらしゃがみ込み、ケースをゆっくりと開いた。開いたそのケースの中に入っていたのは……
赤みがかった紫色に優しく輝いている、ダイヤモンドの指輪だった。
そのダイヤモンドがキラリと光沢を放った途端、優子は理解と確信をしたのか涙を流し始めた。この後の言葉で彼女がなんと言うのかを察したとしても、だからといって俺は『じゃあわざわざ言わなくてもいいな』っていい加減にするつもりはない。俺の口からきちんと言って、その確信が合っていることを伝えるんだ。
「優子……俺は今まで、悠久を共にするパートナーの眷属として、彼氏として、お前の隣に立ってきた。けど……俺は今よりも上の位置にいたい。お前を本当の意味で支えられる……最高の存在で在りたいんだ」
ここで俺は一旦言葉の区切りをつけるように深呼吸。改めて気持ちを整え……告げた。
「吉田優子さん」
「は、はいッ‼︎………………えっ? さん付け? 何故───」
「改めて言います。俺は貴方のことが好きです。愛しています。俺と……結婚してくれますか?」
「………………‼︎」
……フゥ。言った。ついに言ったぞ。優子へのプロポーズを。
こういったのは事前にサプライズとかをしてから渡すものなんだけど、その計画を立てている時に突然の出張が来てしまい、さらには専門店にオーダーメイドで作ってもらったこの指輪も、誕生日ギリギリにやっと完成したのだし……予定が狂い過ぎた。
けど……できる限り準備しようと頑張ってたし、第一万が一の為の替えのプレゼントを買う時間もなかったのだから、こんな日に何もできないのは癪だったんだ。だから、この場で勢いでプロポーズすることにした。後悔はない。寧ろあのまま逃げてた方が後悔していたさ。
さて、優子はどんな反応を……
「………………グスッ。ウゥッ……」
ん? ん? んんんっ⁉︎ な、泣いてる⁉︎ 静かに泣いてやがる⁉︎ えっちょっ、俺何か間違えて……
って、あれ? この展開でこの反応、前にもあったような……
「……もうっ、相変わらず白哉さんはズルいです」
へっ?
「私が望んでいたことを突然してきて、私をビックリさせて……どれだけ私の心をトキメかせるんですか、貴方は。やっぱり断れませんよ、白哉さんからそんなこと言われたら……」
ええっと……なんかその台詞もどっかで聞いたことあるような、ないような……
けど、これでこの後優子がどんな返事をしてくれるのか、今の反応を見てそれを確信にすることができる。彼女は俺のことを想って抑えているだけで、気持ちは同じのはずだからな。
「不束者まぞくですが、よろしくお願いします。旦那様……‼︎」
……ありがとう優子。俺のこんなサプライズ要素の低いプロポーズを、涙ぐんで受け入れてくれて。
そして俺は指輪を取り出し、そっと優子の左手の薬指に嵌めた。その指輪は夕日に照らされ反射したのか、淡い橙色と赤みがかった紫色、二つの光沢を程良く輝かせていた。
「……綺麗ですね、この指輪」
「お前が付けたから、だろうな」
そう返答したら、優子は突然首を振った。えっ、それはどういう意味での首振りなんだ? そうは思ってないのか? 嘘をついているわけじゃないんだけどな……
「私が付けただけではこんなに輝けるとは思いません。だって……」
ここで優子は言葉を区切り、俺に嵌めてもらった指輪を見せながら再び口を開く。
「白哉さんが、私の為に精一杯用意してくれたものだから、私の事を想って選んでくれたものだから、それがこれに通じて輝かせてくれたんです。これは誠意を込めて選んだり作られたりされたもの……そう考えると、この指輪は『私が付けたから』という理由でよりも輝けるじゃないですか」
えっ……それって……
「白哉さんのおかげで、この指輪はこんなにも綺麗で美しく光って、私はそれを受け取ることができたんです。白哉さん、本当にありがとうございます」
「ッ……」
ちょっ……オイオイ、なんだよそれ。お前をキュンッてさせるために本音を吐いたはずなのに、カウンターを仕掛けて俺を恥ずかしがらせるなんて……
「ズルいのは、どっちなんだよ……」
「えっ? 今何か言いましたか?」
熱って真っ赤になっているだろう顔を腕で覆って隠しながら、徐に呟いたことをなかったことにすることにした俺。だってあんな事を言われたら恥ずかしくなるでしょうが。平常心が保てなくなるわい。
が、隠していた表情は無理矢理見られることになる。何故なら、優子が俺の顔を隠している腕をそっと下ろし、俺の顔を見つめ始めたからだ。一体何故こんなことをするのだと思いながらも、この腕を掴んでいる手を離すよう説得しようとした途端───
「その顔を隠さないでください。逆にこっちが色々思い込んで恥ずかしくなります」
同じく顔を真っ赤にしている優子が、照れながらの微笑みを俺に見せてきた。その全てを包み込みそうな優し気な笑みに、思わず心が弾んだ気がした。
「白哉さん……私達はもう夫婦になったのですから、今更恥ずかしがってる顔を隠さないでください。貴方はもう、女帝と言われるようになった私の旦那様なんです。そしてお嫁さんである私は貴方の全てを受け止めたいんです。だからもう、私への想いを一欠片も隠さないでください」
「ゆ、優子……」
そっか……どんな自分でも受け止めてくれるのか。魔族である以前に夫婦になったからこそ、お互いの気持ちを分かち合いたい。そう思ってそんな事を言って───
ん……? ん? んんん? 今、優子の目にハートマークが浮かび上がったように見えるのだが……幻覚か?
あっ、これ幻覚じゃないわ。いつもの突然起こりうる発作のヤツだわ。
「そしてあわよくば、私はその全てを自分のものにしたいです。そしてそれらを、私と貴方の子供以外に渡らないように管理したいです。そう、貴方は私のもの。そして私の全ても貴方のもの───」
「重い重い。その想いはさすがに重いって」
『おもい』だけに……ってやかましいわ(セルフツッコミ)。
「……ハッ⁉︎ す、すみません。私ってばまた……」
「大丈夫。もう慣れてることだから」
優子が本人でも気づかないタイミングでこういう感じになるの、なんか恒例になっている気がするんだよな。遠慮がいらなくなったって判断したから、なんだろうなぁ……
優子は俺絡みの話で長くなったりすると、俺に対する愛の重さがはっきりとされる言葉や独占欲の強さというものを思いっきり曝け出し始めちゃうんだよな……。しかも無意識でだし、付き合ってからはそれがよく見られるようになったような気もするんだよな……
ま、本人もなんとか自覚を持っていつもみたいに自制し、周りに危害を与えないようにしているからいいんだけどね。そしてそんな場面での優子も可愛い。
色々な方面で危なっかしいけど、誰にでも優しく、俺に対しては一途な魔族・シャドウミストレス優子。そんな彼女との新婚生活……想像できないけど、期待に胸が膨らんできて待ち遠しくなるな。
「………………あ、あの、白哉さん……」
「ん? なんだ?」
「せ、せっかく結婚することになったのですし、わ、私の誕生日はまだ時間があるので……そ、その……」
何やら優子がもじもじと人差し指をくっつけて絡めてを繰り返し、それに合わせるかのように身体をゆっくり左右小刻みに揺らしながら、上目遣いでこちらを見つめ始める。いや、あの……何を考えているのか知らないけど、突然そんな可愛い仕草をするのやめてください思いっきり抱きしめたくなりま───
「も、もう一つ……プレゼントをお願いしたいです。こ、今夜、その……わ、私のことを、は、激しく、抱いてくれませんか……?」
「 」
自制心のタガが外れた、そんな予感のする音がどこかで聞こえたような気がした。そして気がつけば、俺は即座に優子をお姫様抱っこで抱え、歩き始めていた。
「きゃっ⁉︎ ……あ、あの、白哉さん……? も、もしかして……」
既に真っ赤にしていた顔をさらに赤らめさせた優子が、俺の心境を察したのか再びこちらを見つめる。察しを突かれた俺は思わず顔を背け、彼女の問いに気恥ずかしくなりながらも答えた。
「……悪い、実はしばらく溜まっていたものだから………………今夜はお前を寝かせられないというか、お互い明日休みなのが幸いだけど、朝になっても治らないかもしれない」
いやこれ、マジで溜まってるから。先週なんか他社へのプレゼンツで皆忙しかったし、先々週なんて訳あって優子が嘘吐きは上手だけど嘘じゃな──例えで名前隠すのめんどくせぇ。星野○イの息子さんを役者にするために色々頑張ってたみたいだし、中々抱ける余裕がなかったんだよ……
そんな言い訳を心の中でしていると、優子がその場で上半身だけ起こし、唇と唇を交わした。
「寧ろそこまで求めてくれるのは嬉しいです。お互い満足するまで愛し合いましょう……?」
その言葉にさらなるタガが外れ、歩くスピードが早くなる。そして寝室へと着いてすぐさま優子をベッドに寝転ばせ、俺がその上に覆い被さった。
「その言葉、後悔するなよ? 今から全力でお前を求めてやるからな?」
「はい、よろしくお願いします……♡」
この後、飯やシャワーなどを挟みながら翌日の深夜まで求め合い、終わった後お互いあまりの賢者タイムが出て恥ずかし死してしまったのだった。タガが外れるって、怖いね……
この回のR-18パートを作るかは未定ですが、作れたら初回の時よりもイチャラブ感とエロさを引き出させていただきます。
それもそうだが、今日から毎週土曜日投稿復活やー‼︎
長過ぎて色々とスマホ生活の色々なバランスが元のに戻せそうにない……
とりあえず今後もよろしくお願いします‼︎