偶に愛が重くなるまぞくと、愛されてる男のまちカド物語   作:名無しのモンスター

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デート回にしようかと思ったけど、二人には先に宿題を終わらせてあげた方がいいな。ってことで初投稿です。

寝落ちしたせいでもうちょっと早く投稿することができなくてすいませんでした……

ちなみにデート回はまだ先にしておきます。急に他に書きたいことができたので。


あともうちょっとで夏休みの宿題が終わる……っておい桃コラ。お前なんで一ミリも進めてねーんだよ

 

 優子達との納涼祭を楽しんだ、翌日の夕方。俺は優子と二人きりになっている自分の部屋にて、折り畳み式テーブルを机にして座りながらとある事をしている。

 

 

「すみません白哉さん、貴方の部屋で一緒に宿題をする事になって……」

 

「いや、気にすんな。ミカンの実家の工場の調査とかなんとかの杖の事とか、あと桜さんに関する情報収集や魔族との契りの事などで色々と大変で、あんまり進んでなかったんだろ? 恥ずかしい限り俺も似た状況だったし、一人でやるよりも二人でやった方が捗りやすいってもんだろ?」

 

「そ、そうですね。それにこうしていると、まるでお部屋デートしているみたいで……えへへ」

 

 

 そう、学生の大抵の人が苦手としている、夏休みの宿題だ。だって多いもん。読書感想文もあるもん。それがなくても作文があるもん。自由研究もあるもん。全部終わらすの大変だもん。それに俺達の場合は光や闇の一族関連のことでいろいろと大変で中々手を付けられなかったんだよ。いやマジだよマジで。

 

 それで俺も優子も苦戦を強いられているのだが……苦戦と言っても、それは量の話だ。内容の方は一学期に勉強した記憶と前世で学んだ学力でどうにかなるため、カンニングなしで宿題を素早く終わらすことができる。

 

 優子も原作では実力の問題で真摯にやっても苦戦していた数学ドリルを、狼狽えたりせずに難なくとこなしている。彼女に勉強教えといてよかった……(ホロリ)

 

 

「それにしても、確かにみんなで宿題を進めるのはいいことですね。分からない問題があったら聞き合ったりすることができるし、お互いの勉強の仕方を見ておくことで改善点を見出せるかもしれないし……一人でやるよりも数段いいですね」

 

「だな。こんな機会はテスト勉強以外他にないのだろうし、やっておいて損はないな」

 

 

 今、複数人で勉強する機会に対する偏見がすぎる発言をしちゃったけど、大丈夫か……?(多分大丈夫じゃないだろうけど)

 

 そんな事を考えて苦笑いしていると、優子が何やら頬を赤らめ両膝を合わせてすりすりとしながらこちらを見ていることに気づく。えっ、何? 俺、優子を恥ずかしがらせるようなことしてた?

 

 

「あ、あの、白哉さん……先程今日のノルマはこのページまで、と言いましたよね?」

 

 

 謎の恐怖に少し身体を震わせていると、優子が数学ドリルのページにトントンと指を差した。

 

 

「ん? あぁ、言ったな」

 

 

 もしかして、ここまでやるのは難しいとか言うのか? まあ個人差とかあるから分からなくもないけどさ、もうちょっと頑張って───

 

 そしたら優子はペラペラと四ページ先を捲った。アレ? 減らすように頼むなら前のページを開くべきじゃ?

 

 

「えつと……こ、ここのページまでやれたら……その……」

 

「その……?」

 

 

 

「ご、ご褒美として、私を抱いてくれませんか……?」

 

 

 

 真っ赤な顔の優子。そんな彼女の口から発せられた、『ご褒美』と『抱いて』という二つの言葉。その二つの言葉が何の意味を成しているのかわからないわけでもない。それを要求するために、敢えて終わらせる量を増やしたのだろう。

 

 その言葉を理解した俺は顔が火照るのを感じながらも一つ咳払いをし、ドリルに答案を書く手を再び動かしながら口を開いた。

 

 

「……解き終わった後は寝かせないからな。夜になったら覚悟しとけよ」

 

「は、はい……」

 

 

 この後気まずい雰囲気の中で宿題を続けることになりました。あー恥ずい恥ずい……

 

 そしてこの日の夜、メェール君達の音声遮断用の魔力の壁のお世話になりました。何のお世話なのかは察しろバカ。

 

 

 

 

 

 

 ゆうべの宿題処理と夜のお楽しみの後。俺は優子の部屋で彼女と一緒にもう一度夏休みの宿題を終わらせることにした。あともう少しだ……あともう少しで夏休みの宿題が終わり、残りの夏休みは自由な時間を作ることができるぜ。

 

 ちなみに部屋の隅で桃がポテチを食べながら観戦中です。なんで来たの? いや普通に遊びに来たのだろうけど……

 

 

「うぅ〜ん……」

 

「お腹空いたの?」

 

「今の状況を見てもそうしか思えないのか?」

 

 

 俺達が今何をしているのか、少しはこれ見ても俺達が宿題してると思わないのか? 筆記具とかドリルとかを手に持ってるだろ俺ら。それ見えるだろ。お前の目は節穴か?

 

 

「見ればわかるでしょう? 夏休みの課題です。色々あってあんまり進んでないんです。だから昨日からこのように白哉さんと一緒に終わらせようとしてるんですよ」

 

「シャミ子は宿題系をちゃんとやるまぞくなんだ……白哉くんもだけどえらい。私、一ミリも進めてないや」

 

「ふっふ~。まあごりっぱまぞくですからね! ………………え⁉︎ ダメだろうそれは‼︎ まぞくとか以前に‼︎ 人として‼︎」

 

 

 ……魔族よりも魔法少女の方がダメダメな性分とか、立場的にどうかと思うのだが。

 

 

「……魔族よりも魔法少女の方がダメダメな性分とか、立場的にどうかと思うのだが」

 

「……なんか、本音と建前をわざわざ一緒に言っているように聞こえるのですが」

 

 

 なんで分かったんだよ。いやこんなのは別にいいけどさ別に。

 

 

「ってかそんなことよりも‼︎ 桃、宿題進めてないの⁉︎ 頭良いのに⁉︎」

 

「進めてないっていうか……期末にもらった課題内容のプリントを、机の中に置いてきちゃうじゃん?」

 

「そうはならねーよ個人差はあるけども」

 

 

 つーか課題内容を忘れたらテストに取り組むための力を養え足りなくなるだろうが。大体それは提出課題でもあるし。控えめに言ってバカなの?

 

 

「そのまま『ま、いっか……』みたいなキモチに」

 

「だからならねーよアホ」

 

「口悪っ⁉︎ アホとは思ってませんがその通りですよ‼︎ ぜんっぜんいくないです‼︎ 魔法少女なのに提出物を出さないんですか⁉︎」

 

「……魔法少女だけど一回闇堕ちしたから良くないかな」

 

「ダメですその方向性は‼︎」

 

 

 闇堕ちを言い訳にするんじゃねェよ。そもそもそれはお前自身が望んで自ら一時なったんだろうが。やっぱりアホでバカだこの脳筋魔法少女が。この馬鹿野郎。ここまで辛辣にさせやがってこの野郎が。もっとしっかりせんかい。

 

 だがそれでも桃はおいおい進行させると言って、優子の『おいおいはダメだ』という説得をも聞こうとしない。この日まで一ミリも進めてないヤツがおいおいでも進められるはずないでしようがはっ倒すぞ。

 

 ってかよく考えたらなんでこいつは変なところでズボラになっちまうんだよ。鍛えることとか魔族や魔法少女に関すること、他人に対する想いではきちんとしてるのに、ホントなんでこういう常識的なところで……

 

 

「変なところでズボラはいけません‼︎ 桃! 宿題をやりましょう。きちんと課題をこなして予習復習をすれば、学期明けのテストで苦しまなくて済むんです」

 

「やるタイミングによる場合もあるけど、早めにやっておいて損はないぜ? 休みの時に学力をつけるチャンスは滅多にないぞ」

 

「うーん……そういうのは一理あるけどさ」

 

 

 おっ? 煽りで反論しないぞこの桃色魔法少女(天然によるものだけど)。原作では優子に『真面目に課題をやってもテストで苦しむよね?』って天然レベルMAXで煽ってたけど、俺が勉強を教えて学力を伸ばしてあげたからなのか、煽ってくることはなかったようだ。別にここはあろうがなかろうが原作に影響しないだろうけど。

 

 

「夏『休み』なのに課題を出すっておかしくない?」

 

「え? だって学校は勉強するところで……」

 

「でも私、授業はきちんと集中して時間内で覚えてる。休みと称しながら持ち帰りでノルマを課すというのは、これはもう違法なサービス勉強なのではなかろうか?」

 

「サービス勉強って何⁉︎」

 

 

 おいブラック企業でよくある仕事の持ち帰りみたいに言うな。それだと学校そのものがブラック企業だと言ってるようなものだぞ。しゃーない、ここは一言物申しておくか。

 

 

「言っておくがな桃、サービス勉強は今後の勉学に役立つんだぜ」

 

「ん? そうなの?」

 

「授業の中でとれるものならとれるけどさ、普通は学習内容が多すぎて終わらせるだけで精一杯なものなんだぜ? たとえきちんと受けていたとしても、意外と自分でも気づかない内に頭に入れることができなかったものもあるのかもしれない。それを補足し、反復学習で定着させて身につけ直す時間を作るためにあるのが宿題だ」

 

「なんか科学分野で宿題の必要性を出してきた⁉︎」

 

 

 気持ちはわかるがやかましい。偶々見つけたそういう記事を参照にしてるんだから。その言葉で参照してることがバレたら桃がどんな反応をするのかわからないから黙ってなさい。

 

 

「さらに宿題は自立して学習や仕事に取り組める態度・習慣・スキルなどの自己学習力が育つ機会となり得るんだ。今の優子とお前の関係性で例えると、そうだな……優子が自分で色々と考える力を身につけることによって、決闘や桃を眷属にするための手段に、お前は押されて敗北するかもしれないぜ?」

 

「えっ?」

 

 

 おっ? ここで桃が『そうなの?』と言ってるような反応を見せてるぞ。これはおいおいやる派で宿題は不要派のこいつに効いたのでは?

 

 

「そ、そうですよ桃‼︎ 気がついたら私に促されて決闘に敗けたりうっかり眷属になったりしちゃったっていうオチが嫌ならば、宿題はちゃんとやるべきですよ‼︎ いや、寧ろやっておくといい‼︎ うむ‼︎」

 

「……そうやって促したら、自分から目標達成のチャンスを潰す羽目にならなくない?」

 

「うぐぅっ⁉︎」

 

 

 うわ、痛いとこ突かれたなこいつ。

 

 

「そっ……そうならないように、私も宿題などで学力と自己判断力を身につけておくから良いのだー‼︎ というかきさま相変わらず宿敵力が高いな‼︎」

 

 

 いや宿敵力ってなんだよ。何のパラメータとかを表してるのそれ?

 

 

「まあ、そこまで言うならやってみるけど……どうして二人ともそんなに私に宿題をやらせたいの」

 

「魔法少女が宿題を終盤まで溜め込むバカだというイメージはなんか嫌だからだよ、単純に」

 

「わ、私は……桜さんに桃を見ていてって頼まれたからですっ。私は桜さんのコアをレンタル中なので。……なんなら私を姉代わりと思ってくれてもかまわないぞ! 眷属(仮)ですしね!」

 

 

 そう言ってドヤる優子、可愛い。しかも胸を張って威張っている時に自然と強調される身体の一部がまた良──すみません、なんでもないです。だから優子、照れながらこちらをチラチラと見ないで? いやマジで頼むから。

 

 

「姉? うーん………………サイズ感が足りない」

 

「なんだきさま‼︎ 河川敷に行くか⁉︎ 決闘だ‼︎ 宿敵の存在感見せつけちゃるぞ‼︎」ポガッー‼︎

 

 

 桃、お前は無自覚になんか言って優子を煽らないと落ち着かんのか。自分の発言に自覚を持ちなさいアホ。

 

 そんな事を考えていたら、桃がそもそも姉──桜さんも宿題はぎりぎりまでやらない派であること、自分は孤児であった事を話す。いや、何サラッとギャグっぽいのの後にシリアス感のある話をしようとしてくるの? やめなさい心臓に悪い。

 

 話の続きによれば、桃は幼い頃の記憶が曖昧であったものの、魔法少女の素質を見込まれて桜さんに引き取られたとのこと。最初は結構人見知りしていたためか、桜さんは気遣いとして様々な場所に連れて行ってくれたとのこと。

 

 

「で、課題山積みで締め切り前日にわたわたしてた」

 

「なんで計画的にやらないんだ桜さんも。行き当たりばったりなタイプとかどんだけダメな魔法少女の先輩なんだよ」

 

「えっと……桃の事を気遣いすぎて目の前の事にしか目にいってなかったのでしょうか……?」

 

「まあそれもあり得るだろうけどな……なぁんだかなー……」

 

 

 俺、原作知識で桜さんの事を知っていたとはいえ、それでも実際に夢の中ですら会っていないとなると、どうにもダメ人間のイメージが染み付いちゃってその払拭をしてあげられないというかなぁ……

 

 まあそんな事は置いといて、みたいな感じに優子が桃を無理矢理座らせる。宿題は先生との約束。約束を守るのは大事な事、というわけで桃が宿題を進めるところを監視するぞと宣言する。

 

 

「今夜は寝かさないぞ‼︎ タイヤに縛り付けられた恨み今こそ晴らしてくれるわ‼︎」

 

「おい言葉のチョイス。『今夜は寝かさないぞ』は本来の使い方ではヤバい意味で使われてるから安易に使うもんじゃないぞ」

 

「えっ? ………………あっ」

 

 

 いや今気づいたのかよ。使った時にはもう遅いんだよ誤った言葉ってのはよォ。とんでもないことをしたのだと自覚した優子は顔を真っ赤にし、慌てたかのようにわたわたとした様子を見せる。ってか慌ててる。

 

 

「ち、違います‼︎ こ、これは健全な意味で言ってますので‼︎ なので真摯に受け止めないでください‼︎ 浮気なんてするつもり一切ないですし、そもそも桃は女の子だし……

 

「お前が桃に対して恋愛感情がないってのは分かりきってることだから。だから落ち着け」

 

「は、はい……」

 

 

 というか、付き合うまでの間も散々重たい愛をぶつけてきた癖に、誰かに鞍替えするなんて絶対許さないからな? 責任もってその重い愛を俺にぶつけてこい。受け止めてやるから。

 

 

「……役得な私だからよかったのだけれど、そのイチャイチャを見せつけられる他の人達のことも考えてやってね?」

 

 

 それに関しては誠に申し訳ございませんでした。

 

 

 

 

 

 

 なんやかんやあったけど、とりあえず桃に自身が残したままにしてる宿題をやらせることにした俺達。教科のドリルは問題を解くだけだから後回しにし、自分で一から考えなきゃいけなさそうなものから取り組ませることにした。

 

 

「まずは作文! 『私の将来の夢』‼︎」

 

「作文系ほんとダルいんだよね……自分の気持ちを先生に出すのって嫌じゃない?」

 

 

 あー……わかる。作文に限らず、特に思春期なんかは本心を伝えることに躊躇いを感じるものだからな。だがな桃、一言物申させていただくぜ。

 

 

「作文はな、いかに文字を埋めるかを考える方が一番ダルいんだぞ。そういった奴の方が多いんだよ」

 

「……白哉くん、目が死んでない?」

 

「あぁー……そういえば白哉さん、読書感想文で文字数が足りなくて困っていた時ありましたっけ。で、今年はこのお題で『立派な私の眷属になる』ってのをどういった感じに書くか書かないのかで悩んでいるとか……」

 

 

 仕方ないだろ。普通に考えて厨二病が書くような内容だぞこれは。思い出すだけで恥ずかしくなる可能性が生じるわ。黒歴史案件だわ。それをどのようにしてなるべく厨二病っぽさを出さないように書くべきなのか、そもそも書かない方が身のためなのか、そういったことを考えないといけねーんだよこんちくしょー。

 

 この後、俺の作文に関しては置いといてって形で桃の作文を進ませることに。『特にないです。』で済まそうとしてるので優子が『立派に闇に飲まれた魔法少女になること』って書かせようとしたが、それも黒歴史案件ってことで桃は断固拒否した。黒歴史は残しちゃいけない、当たり前だよなぁ?(最低二敗)

 

 

「作文は保留! ……次は日記‼︎」

 

「日記はやりたい人だけやるやつでしょ?」

 

「私はやったので印象的な日だけ埋めましょう」

 

 

 ………………ん? なんか嫌な予感が。

 

 原作読んで展開を察した俺の予想は当たり、優子が桃にとある日に描いてほしいことを期待してか、飼い主にその場でかまってちゃんアピールをするワンちゃんのように目を輝かせ、尻尾もうきうきと動かしている。

 

 が、ここでも黒歴史を残したくないのが桃だ。その日の欄にはこう記入していた。

 

 

『起きてご飯食べて運動して寝ました。他は特になにもありませんでした』

 

「なぁぁぁぁぁん‼︎ 嘘をつくなー‼︎ この日は闇に落ちてたっ‼︎ 白哉さんと一緒に迎えに来てくれたっ‼︎ 八月×日は闇堕ち記念日ー‼︎」

 

「今日のシャミ子超めんどくさい‼︎」

 

 

 記念日を大切にするタイプのまぞくなのか、単純に今はめんどくさい彼女モードなのかって感じかな。記念日を大切にすることはとても良いことだからいいとして、めんどくさい彼女である優子を受け入れられるのは俺ぐらい───

 

 ん? ちょっと待て? その日の絵のところ、桃と並び立っている白のノースリーブの男……ま、まさか……?

 

 

「この、桃の隣の奴……俺?」

 

「はい、そうですが?」

 

 

 何か? みたいな反応するのやめてくれませんか? いやだってさ……

 

 

「この……バトル漫画要素と少女漫画要素が混ざり合ったかのような、どう表現すれば良いのかガチでわからん高クオリティの美形男子って感じに見えるのだけれど……?」

 

「……私から見た白哉さんの勇姿を、そのまま模写したもの……です。ポッ

 

「いやポッじゃねーよ‼︎ 感情を擬音として口から出す奴初めて見たんだけど⁉︎ っていうか、お前俺の事をどんだけ過剰評価しながら見てたんだよ⁉︎ 自分で言ってて辛いけど、俺そんな少年達から人気がもらえそうなイケメンでも女の子をときめかせるイケメンでもねェよ‼︎」

 

「白哉さんや他の皆さんがそう思っていたとしても、私にとって白哉さんは外見も中身も含めてこんなにもカッコいいって思ってるので問題ありません‼︎」

 

 

 問題あるわコラァッ‼︎ ってかなんだよその理論は⁉︎

 

 

「とにかくその絵を変えろ‼︎ そして文も変えろ‼︎ 絵なら白紙に別の絵を描いて日記の絵の上に貼れば多分モーマンダイだわ‼︎」

 

「嫌です‼︎ クラスの皆さんにも白哉さんの良さを伝えたいんです‼︎ だから変更しません‼︎」

 

「ふざけんな‼︎ いくら恋人でも許されないものがあるわ‼︎」

 

「でしたらすごーく恥ずかしいですが、代わりに契りを交わしていた時の行為を描きます‼︎」

 

「もっとダメだろ‼︎ ってか自滅じみた事するとかどんな脅しだよ⁉︎」

 

「お互いしれっと日記の取り合いで戦闘フォームになるのやめない⁉︎」

 

 

 桃が俺らが日記の取り合いを始めた時になんか叫んでたけど、今はそんな事どうでもいい‼︎ 優子が危機管理フォームになって、ちょっと身体能力を上げてまでして取られたくない意志を見せつけてきやがったから、こちらも召喚師覚醒フォームで対抗してその日記取り上げさせてもらうぞコラァッ‼︎

 

 この野郎、さっきも言ったが恋人でも許されないことがあんだよ‼︎ だからその見る側の俺の黒歴史になりそうなそれの修正をさせ───

 

 

「大暴れするならお外で──あっ」

 

 ブルンッ

「ひゅえっ⁉︎」

 

「ゑ」

 

 

 

 足を滑らしてしまった途端、偶々優子のビキニ部分の前の紐部分に手が引っ掛かり、そのままの勢いで倒れた時にずり落ちて、その瞬間を騒ぎすぎた俺達に注意しに来た清子さんに見られて……

 

 

 

 わりぃ。俺、死んだ(虚)

 

 

「あっ、い、いや、その、これは、事故、ですので……」

 

「は、はうぅっ……」

 

 

 優子が顔を真っ赤にして腕で胸を隠している中、なんとか言い訳して最悪な状況を回避しようとしたが、清子さんは何故か桃の方に視線を向けた。えっ、何故桃を見たんですか?

 

 

「……なるほど、訳ありのお楽しみってことですか」

 

 

 は?

 

 

「それじゃあ優子に白哉くん、桃さんに将来の為の行為を実践して教授するのはいいのですが、なるべく大きな音は控えるようにしてくださいね? それじゃあ───」

 

「いや一体何を理解したというんですか貴方はァァァッ⁉︎」

 

「おおおおおおかーさん‼︎ これは誤解‼︎ 誤解です‼︎ これはマジもんの事故ですからァッ‼︎」

 

 

 俺らの叫声による呼び止めも虚しく、清子さんはそのまま台所へと戻っていった。お願いですから誤解したままにしないでくださいホント頼みますゥゥゥゥゥゥッ‼︎

 

 

「しょ、将来のための、行為……」

 

 

 

 

 

 

 四回目のラッキースケベを起こしてしまった熱は冷めたものの、桃の宿題に取り組むモチベーションが上がることはなく、完全にスマホいじいじダメダメオタク状態となった。まあ作文の内容に関することのカンニングみたいなことはするつもりらしいが。だがテーマは学校指定のとは別のにする気だ。それダメじゃね?

 

 そんな事を思っていたら優子が白澤さんからもらったたまさくらちゃんまんじゅうの存在を思い出す。たまさくらちゃん好きの桃ならば快く食べてくれるだろうと察した優子は、これを食べてもらって頭に糖分をつけ、やる気を上げようという算段に乗り出す。

 

 と、その時。ふとまんじゅうの箱の上から落ちた一枚の封筒に気づき……

 

 

「桃〜‼︎ もし宿題を一週間でこなせたら、これを差し上げます‼︎」

 

「動物園のチケット?」

 

「はい! しかも人数限定のVIPチケットです。マスターのお土産の中に入ってたんです。有効期限はあと七日」

 

 

 動物園かぁ。そういえば前世では気分転換に最低半年に一回は行ってたっけ。なんとか趣味にしようっていう感じで行ってたんだけど、中々良かったなぁ。パンダとか可愛かったし、叫ぶオランウータンに笑った時もあったっけ。

 

 

「そういや偶々チラッと見たツイートでは、VIPだとトラの赤ちゃんとふれあえるんだっけか。写真で見ただけでも結構可愛かったなー」

 

「期限は一週間だっけ」

 

「あっ座り直した‼︎ さてはきさま猫科が弱点だな‼︎」

 

 

 ちょっっっっっっろっ。トラだろうと猫科の動物と触れ合えるのなら家事の馬鹿力でも引き起こす派かお前は。ちょっっっっっっろっ。チョロすぎてポ○モン界の猫科の一匹であるチョロネ○でも連れて行きたいよマジで。マイナーのポケ○ンだけど。

 

 

「………………ねぇ、シャミ子。作文さ……将来やりたい大層なことは特に思いつかないけど、直近でやりたいこととして……シャミ子が本気で作ったお弁当を食べてみたい。外で」

 

「……‼︎」

 

 

 ふと優子の尻尾がピンッと立っていることに気づいた。これは一言簡潔に言えば『嬉しい』という感情が表されている証拠だ。宿敵として必要とされているのか、親友として必要とされているのかは定かではない。だが桃が自分から何をしたいのかを伝えてくれた。その事実が冥利についたのだろう。

 

 優子……よかったな。ほんの少しとはいえまた一つ、桃の本心を聞くことができて。

 

 

「あっ。今のは告白とかそんなんじゃなくて、一人の親友としての欲を出しただけだから。だから白哉くん、私がシャミ子を寝○る気かとかって考えないで」

 

「黙っておけばほんわかな雰囲気が保たれてたのにこの野郎……。っていうか、お前は今の俺の事をめんどくさい男だと思ってるのか?」

 

「一応」

 

「その反応は怒るに怒れねェよ……」

 

「ま、まぁまぁ……」

 

 

 煽ってるのか単純に申し訳なく思って謝ってくれたのか、もう分からなくなってきた。複雑な気持ちになって思わず落ち込んだ、そんな俺を優子が宥めてくれた。ありがとう、お前は恋人でなかったとしても、いつまでも俺の味方でいようとしてくれて嬉しいよ。

 

 

「とりあえず、桃は私の本気のお弁当が食べたいんでしたよね? 了解です‼︎ 食べきれないくらい作ってやるから覚悟しとけ‼︎ 私も宿題終わらせるから、みんなで行きましょう! 動物園‼︎」

 

 

 優子結構浮かれてるな。よく見たら桃も微笑んでる。でも、それもそうか。お互い目標の一つを達成できることに、そしてお互い楽しみを分かち合うことができることに、喜びを感じることができるのだから。そうなるのも分からなくもないな。

 

 

「もちろん白哉くんも、でしょ?」

 

「えぇ、白哉さんの存在も欠かせません‼︎」

 

「へっ?」

 

 

 何故そこで俺の名前が? しかも欠かせないとか大袈裟すぎない?

 

 

「白哉さんはこれまでに私達を支えようとしてくれましたからね‼︎ 白哉さんが私達と一緒にいるのは当たり前です‼︎ 蚊帳の外みたいな扱いにはさせませんよ‼︎ 特に私は恋人ですし、それ以前に幼馴染なので‼︎」

 

「そもそも私個人、白哉くんの存在なくしてシャミ子の存在もないと思っているからね。どちらも欠かさせはしないからね」

 

「桃のその言い方の方が重たさを感じるんだけど。自分が俺に与えようとしてるわけじゃないのに」

 

 

 にしても、俺が優子達を支えようとしていた、か……。俺はちょっと個人的な意見を出したぐらいしかやってないはずなんだけど、優子達にはそう捉えられているのか。

 

 ……なんか、悪い気がしないな。俺の行動が本当に優子達を支えられているんだって考えると嬉しく思える。勝手に一人で仲間外れ扱いしようとした自分が恥ずかしいぜ。

 

 優子も桃も、みんなも俺の存在を求めてくれているんだ。改めてみんなと楽しめることは楽しんでいかないと逆に罰が当たるってもんだな。……よし。

 

 

「だったら俺も宿題終わらせて、みんなでみんなで動物園に行けるようにしないとな。ぶっちゃけ動物の赤ちゃんと戯れたいし」

 

「えぇ、是非そうしていきましょう‼︎ 一緒に何かを楽しむ人が多いほどさらに楽しさが広がりますよ‼︎」

 

「そうだね。ま、今回は先にトラの赤ちゃんとふれあうのは私だけど」

 

「何のマウントとる気なんだよ」

 

 

 でもまぁ、自分でも気づかなかった一抹の不安を消せたのはよかったかな。勝手に自分を蚊帳の外にして、こいつらに不安を持たせるだなんていうひでえことを無自覚にしてしまうところで危なかったし。

 

 

「……もうちょっと自分のかんがえていることにも注意が必要、かもな」

 

「ん? 白哉さん、今何か言いましたか?」

 

「いや、ただの独り言だ……って」

 

 

 ふと、宿題に取り組んでいる桃の姿に変化が起きていたことに気づいた。パーカーを脱いで可愛い猫のイラストが描かれた白い半袖シャツの上に、何故か魔法少女時の装飾が付いていた。しかも髪型も魔法少女の時のだ。

 

 

「なんだその中途半端な形で変身に失敗したような格好は」

 

「ホントなんですかそれは。プチ変身?」

 

「集中力が上がるから……」

 

 

 だからってそんな中途半端な変身して、魔力の消費が変な感じになったらどうすんだよ……まあ魔法少女歴が高いこいつだから、そこのところの配慮はしているだろうけどさ……

 

 あっそうだ(唐突)

 

 

「……ところで優子?」

 

「はい?」

 

「その動物園のチケット、何人まで使えるんだ? ふと気になったんだけど」

 

 

 原作ではその動物園のVIPチケットは五人までだった気がしたんだけど、もし人数が増えることになったら何人かはVIP対応してもらえず可哀想に思えてしまうからな。あらかじめ確認しておかないと……

 

 

「えっと……五人までのと三人までのがあるので、八人までですね」

 

 

 マジか。俺が介入されたことでの調整のおかげなのか、枚数増えていっぱい人呼べるやんけ。や っ た ぜ 。

 

 

「じゃあ何人か誘えるな。せっかくだしクラスメイトの何人か誘って一緒に行こうぜ」

 

「いいですね‼︎ じゃあ私はミカンさんと杏里ちゃんを誘って……あっ、そういえば杏里ちゃんは来週両親の実家に行くって言っていたから無理だった……」

 

「じゃあ杏里は無理で誘えるとしたら拓海や全蔵辺りだな。小倉さんは……インドア派な人だから難しいか」

 

 

 まあ何はともあれ、来週が待ち遠しくなってきたぜ。みんなで動物園でワイワイと楽しもうぜー。

 

 

 

 それから俺と優子は四日、桃は三日で宿題を終わらせることができた。ただし桃はどうやら徹夜込みでの完遂らしい。身体壊すかもしれないから程々にしなさい。

 

 ちなみに良子ちゃんは七月中に日記以外を全部終わらせたらしい。小学生に宿題終わらすスピードで負けるとか、なんだか情けねえ……

 

 




おまけ:台本形式のほそく話その17

白哉がシャミ子と共に夏休みの宿題を取り組んでいる中の、白龍の精神世界にて

メェール【ただいまメェ〜】
白龍【おかえりー。最近この時間帯にこっちに来るの早くないか?】
ポーフ【そういう白龍様もこの時間帯によく帰っていらっしゃるではないか‼︎】
襟奈【君達二人はマスターに気に入られているし、いつでも向こうの世界に行けるんじゃないのかい? なんでその時間をわざわざ潰すような真似を……】
メェール【でもぉ……最近のマスター、シャミ子ちゃんとラブラブメェ〜よ? そんな貴重な時間を僕らお邪魔虫が居座って割いていいのかメェ〜?】
襟奈【あっ……】
メェール【それにマスターも僕らの事を蔑ろにするつもりはないメェ〜よ? ほら、証拠としてこんなにも僕ら宛ての手紙を書いてくれたメェ〜】
白龍【そういやほとんどの召喚獣は白哉を助けたりしていたんだっけか? そういった奴らの手紙、封を開けずに見ても少し厚く見えるな】
ポーフ【ふむ。シャミ子との愛の時間を大切にするが、それと同等に我々には感謝の意を示していると……ならば蔑ろにされる心配はないな‼︎】
襟奈【余計な心配だったみたいだねェ……だったらそんな事考えずに、これからもマスターの第二の人生を華々しくするべく頑張らないとね‼︎】
メェール【その通りだメェ〜‼︎ ……あっ、そういえばマスターから曙に伝えたいことがあるらしいメェ〜。今この場に曙はいないメェ〜けど】
白龍【曙に伝えたいこと?】
メェール【この前いきなり毒針を刺してきたことでシャミ子が病むほどの怒りを見せてたからそろそろ謝った方がいい、って】
白龍・ポーフ・襟奈【………………(蔑ろにされそうな召喚獣、一名発覚)】



みんなも今回を機に、長期休みの宿題は早めに終わらせようね‼︎ 作者との約束だよ‼︎

 
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