偶に愛が重くなるまぞくと、愛されてる男のまちカド物語   作:名無しのモンスター

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夜に投稿するといいらしいので初投稿です。

ちゃんとしたストックをまだ用意してないけど、原作三話を一週間置きに区切って投稿してもなんか後味が悪い気がして、早まってしまいました。めんご☆


今日は優子が宿敵に挑む日……って千代田桃⁉︎ お前優子に何吹き込んどるんじゃー⁉︎

 

 多磨町を照らす眩き太陽が真上に昇っている日曜日。この日はついに、原作でも行われる優子と千代田桃の決闘の日(?)だ。この後の展開や結末を既に知っている俺ではあるが、宿敵相手に必死に頑張る優子の勇姿を見届けたくて、この日は日曜日なのに六時半に起きた。どんだけ原作イベント見たかったんだ俺。今でもワクワクが止まらないんだけど。

 

 しかし、期待と同時に不安も募っている。優子は俺が中学生の時から筋トレ指導したことにより、原作よりは体力がそこそこついているはず。原作では何故か千代田桃と一緒に勝負前のウォームアップとかでランニング四キロ走ってバーンアウトしたけど、俺によって鍛えられた場合、そこそこの体力を残して勝負することになるのではないか。そして敗北してまたプライドズタボロになるのではないか。それが不安で仕方なかった。

 

 まぁ要するにアレだ。俺が二人の勝負を見届けることにしたもう一つの理由が、俺が犯したちょっとした(?)原作改変で、原作とは異なる展開が起きた時の対策をその場で執り行えるようにするための応急処置をするためでもあるってことだ。漫画家の担当かよ俺は。

 

 とりあえず早めに起きちゃったので、朝飯食った後に軽めに腕立てと腹筋をして……と思ったけど腹筋は五回目辺りでやめました。優子の修行期間中に腹筋中の彼女の胸がたゆんたゆんと動いていたことを思い出してしまったからです。あぁもうチクショー。胸揉んでしまった時の事と言い、優子が腹筋してた時の事と言い……俺ってばおっぱい星人なのか? 最低だ、俺って……

 

 だぁぁぁもうっ‼︎ 邪な事思い返すのはやめいっ‼︎ 軽い筋トレ終わったし、さっさと優子と合流しよう‼︎ そうしよう‼︎ そう言い聞かせながらぱんだ荘を出れば、既に優子が体操服姿で外に出ていた。ってかポニテ髪可愛い。

 

 

「おはようございます白哉さん‼︎ 今日はすみません、せっかくの日曜日なのに勝負の見届け人になっていただいて……」

 

「……気にするな。俺が自分から同行したいと言ったんだし、何よりやること一切なかったしな」

 

「やることないはないでそれはどうかと……」

 

 

 黙らっしゃい。大抵の一般の学生はバイトがない限りは暇になるものなんだよ。ウチなんかお小遣いとか生活費とかは仕送りで来て問題ないからバイト要らずなんだよ。なんで俺の両親優しすぎんだよ? かえって怖いわ。つーかよく甘やかしてくれるな高校生の息子に対して。

 

 

「とにかく行こうぜ。あの魔法少女が待ってるんだろ?」

 

「そ、そうですね……。あっ、その前に‼︎」

 

「ん?」

 

 

 河川敷に行こうとしたところを呼び止められた俺。ふと後ろを振り向けば、優子が顔を真っ赤にして目を背けながら右手を差し伸べていた。えっ、ちょっ、これって……

 

 

「そ、その……手、繋いでいただけますか……? その、なんだか、急に不安になってきて……」

 

「ヒョッ」

 

 

 思わず変な声が出ちゃったよ……。だってあんな可愛げな照れ顔されたら思わずドキッとしちゃうだろ? 男はね、可愛い女の子にはコロッといっちゃうものなのよ。そしてそういった子に騙されやすいから用心する必要があるものなのよ。チョロいのよ。

 

 ん? 手を繋いだら優子がヤンデレモードにならないか、だって? 今回のは多分大丈夫そうだよ。だってあの照れ顔は緊張しているのか少しだけ震えてもいるのだから、その緊張を和らげるためには邪心とか考えている暇なんてないと思うし。つまりは曇ってないってことや。だから大丈夫……だと思う。

 

 ま、まぁ、俺も思わずドキドキして緊張しちゃうけどな……

 

 

「お、おう。じゃ、じゃあ繋ぐか……」

 

「は、はい……」

 

 

 こうして俺は優子の手を優しく取り、河川敷に近づく辺りまでそのままその集合場所へと向かっていった。何故近くなったら離すのかって? 手を繋いでいるところを千代田桃に見られたらまた揶揄われる可能性があるからな、それは防がないといけない。これ以上優子のプライドズタボロにするわけにはいかねーよ。ついでに俺の平常心もな。

 

 

 

 

 

 

 あぅ……思わず手を繋がせてしまいました……。さっきまで『打倒桃色魔法少女ー‼︎』と言って張り切っていたのに、改めて『町内レベルのまぞくが世界レベルの魔法少女に勝てるのか』と思うと急に不安になってきて、この緊張を消したくてつい……。びゃ、白哉さんも私の頼み事を聞いて顔を真っ赤にしてましたね……

 

 でも、そんな普通に聞けば愛が重いのでは? と思われても仕方のないお願いをされたのに、それを聞き入れてくれるだなんて……。私なんかのために無理強いはしないでほしいけど、心情がどうであれ受け止めてくれるのはすごく嬉しい。

 

 そうやって優しくしてくれるから、私は白哉さんに愛されたいと思ってしまう。そして、何処か安心できる気が……

 

 ハッ⁉︎ い、いやいや、今は惚気になってはいけません‼︎ 本当はもっと白哉さんと手を繋いだままでいたいけど、今は桃色魔法少女との待ち合わせ場所に行かなければ……‼︎

 

 ……白哉さんの手、細いのによく鍛えられてるなぁ。相変わらず思ったよりも硬いけど、優しく包み込んでくれるかのようで、温かい……。ずっと繋いでいたい。ニギニギしていたい。寧ろこの手を独占して……

 

 アァアァアァアァアァアァアッ‼︎ また白哉さんへの愛が重たくなってきたァアァアァアァッ‼︎ しっかりしなさいシャドウミストレス優子‼︎ これから桃色魔法少女との決闘だぞォォォッ‼︎ というかいい加減危なげな妄想するのやめろォォォォォォッ‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

「怖気づかず来たようですね‼︎ 桃色魔法少女‼︎」

 

「お待たせ、魔法少女・千代田桃」

 

「桃でいいよ」

 

 

 手を繋いでいる間に優子の視線や周囲から見られてないかという不安を持ちながらも、何事もなく河川敷に着いた俺と優子。しばらく手を繋いだせいか河川敷が近づいた時に手を離してもお互いドキドキしたままだったけど、お互い落ち着いたおかげなのか、千代田桃に俺達が手を繋いだ状態でここまで来たってことはバレてない……と思う。

 

 つーか千代田桃の肌色、変わってね?(すっとぼけ)

 

 

「ってあれ⁉︎ そんな色黒でしたっけ⁉︎」

 

「……週末って約束だったけど、土曜か日曜かわからなかったから土曜も待ってた」

 

夏の河川敷で⁉︎ ………………それは……申し訳ありません」

 

「なんか、俺も悪かったな……」

 

「私も金曜日になって気づいたから気にしないで」

 

 

 いや、さすがに俺もそういうところは、優子の宣戦布告した時に勝負の日は日曜だと伝えるべきだったな。少しでも原作通りになれるようにする場面を間違えたのかな。先にこっそり河川敷に行って、千代田桃に日にち間違えてることを伝えるべきだったな。こういう時間帯を守らなきゃいけない場面は守らせないと……

 

 ってか千代田桃? お前土曜日の間ずっと待ってたってことはさ? 待ってる間何してたの? 飯とかどうしたの? ってかせめて夜には家に帰って風呂入れよ。

 

 この後また今回みたいに集合時間や場所を間違えると困るからとのことで、お互いに電話番号を交換・流出してしまいました。千代田桃、お前生き血狙われてるのにそれを摂ろうとしてる敵に連絡先教えて大丈夫なの? つーか優子も教えてよかったのか? もし相手が過激派だったら詐欺みたいな感じで殺されるかもしれないからな? 相手が優しい奴だからいいけど次からはもうちょっと考えてやれよ? あ、交換終わった。

 

 

「さておき! 貴様と闘う日を待ち侘びていました‼︎ この日のために私は白哉さん……今私の隣にいる幼馴染の指導の元、自宅や公営のジムでトレーニングを重ねて来たんです」

 

「見ればわかるよ。四キロくらい絞れてるし、上半身を中心に筋肉量が結構増えてるのが触ってなくとも感じ取れる」

 

「……あ、そうなんですか」

 

 

 おま、なんつー分析能力を持ってんねん。原作のように実際に優子の体に触れてなんかないのに、見ただけで他人の筋肉量や減量した体重とかが分かるって、重度の筋肉フェチでも得られない能力だぞ? お前見た目も頭脳もムキムキじゃないよね? ねぇ?

 

 

「それと白哉くん、だっけ? 君も結構筋肉付けてるんだね」

 

「へ?」

 

「初めて会った時も私に飛びつこうとしたシャミ子を一瞬で取り押さえるほどの瞬発力を見せていたし、掴む時の力加減も出来て 「「待てそれは俺/私達にとっては黒歴史だから思い返させるな」」 あ、それはごめん」

 

 

 俺が優子を止めようとしたときの事を話すなバカ。その時俺が優子の胸揉んでしまったの見てただろ? それを無意識に掘り返すんじゃねーよ息合ったツッコミしちゃったじゃねーかよオイ。

 

 つーか何さらっと俺の体付きまで分析しようとしてんねん。俺今回は優子の勇姿を見届けに来ただけだよ? 俺は闘う気ないよ?

 

 

「シャミ子のトレーニングに付き合ってた間にも鍛えてたみたいだね。二キロ程絞れてるし、前会った時よりもウエストが5cmくらい減ってたし、骨格のラインが少しだけど分かりやすくなったし……」

 

「待て、待て、ウェイトウェイト。俺の体まで分析すんのやめて。そこまでいくとお前の特性に引くから」

 

「う、うわぁ……」

 

 

 何なのこいつ。知り合った奴の体つきの変化に気づけばすぐ指摘しないといけない性分なの? その変化を隅々まで分析しとかないと気が済まない性格なの? そしてなんで目をめっちゃキラキラさせながら話すの? どんだけ筋肉フェチなの? やめてまた優子がドン引きしてるから。

 

 

「スリムな体つきなのに筋肉量結構あるよね。特にこの腹直筋あたりが引き締まって……」

 

 

 

 

 刹那。頬を平手打ちしたかのような渇いた音が、河川敷に流れる川を揺らすかの如く響いた。

 

 

 

 

 響き渡ったその音が鳴り終わり、俺は我に返った。何を感じたのかは自分でも分からなかったが、右手を見れば小刻みに震えており、ふと千代田桃の方を見れば彼女は右手首を少々痛そうに抑えていた。

 

 この時、俺が先程何をしたのかを理解した。どうやら俺は、何故か千代田桃の手を叩いてしまったようだ。

 

 それを知ったのと同時に、理解する事が出来なかったところもあった。それは何故俺が千代田桃の手を叩いてしまったのかについてだ。彼女が俺に対して何かしてきたというわけではないはずだと言うのに、俺は気づかぬ内に攻撃していた。その事実を知っただけでも冷や汗が止まらない。

 

 ヤベェ……なんで暴力に走ったんだ俺は。と、とにかく早く彼女に謝らないと……‼︎

 

 

「す、すまん千代田桃‼︎ いや、これはその、俺はそんなつもりじゃ……」

 

「えっ。あぁ、桃でいいよ。こっちこそ勝手に体触ってきてごめん。知人の仕上がっている筋肉を触っちゃう癖が出てたものだから……」

 

 

 えっ……? あっ、今何故俺が千代田桃の手を叩いたのかが分かったわ。反射神経による正当防衛だこれ。俺が他の女に触られたとなると、それによって付着した匂いによって優子が嫉妬などの念を抱いちゃって、ヤンデレモードが発動してしまうのを無意識に恐れたからだ。

 

 ヤ、ヤベェ……危うく優子が暴走するところだった……。彼女も後ろで複雑な感情のオーラを必死に抑えているようだし、怖いから千代田桃の動きには用心しておかないと……

 

 というか千代田桃、お前何本人の許可なく勝手に人の筋肉触ろうとしてんだよ。デリカシーってものがあるの考えろや。下手したらお前優子に絞められてたと思うぞ、多分。

 

 ……アレ? そういや俺、千代田桃の手を払い除ける前に何か言ってたような気がしたけど……気のせいか?

 

 

 

「ごめんねシャミ子、─────────」

 

 

 

 ん? ……って。

 

 

「優子に何吹き込んでんだお前ェェェェェェェェェッ‼︎」

 

 

 

 

 

 

 宿敵とはいえ、桃色魔法少女……桃には勝負前にいきなり申し訳ないことをしました。本当は勝負する日は今日のつもりだったのに、こちら側が具体的な集合時間を言わなかったせいで桃を昨日まで待たせ、日焼け状態にさせてしまったので……

 

 おかげでそういう困った時のためと言われて、敵に家の電話番号を送る羽目になりました。この後桃も携帯番号教えてくれましたが。彼女には『個人情報を流出した事による危険性』というものがないのかな……? いや、それを言うなら私もだけど。

 

 そしていつの間にか桃の肌は元の白い肌に戻っていた。え、なんで? 肌色戻るの早くないですか? 何が起こったのですか? ……あ、でも魔法少女なら肌を治す能力とか容易に使えそうな気がする。なら納得がいくかも。というかよく思えば、日焼け向けの魔法とかは使わなかったのですか?

 

 その後私がこの決戦のために白哉さんと二人でトレーニングしたことを伝えたら、今度は私の体の変化について語り出してきました。一目見ただけで四キロ減量されてるって何? 上半身中心に鍛えられてるって何? 特に上腕に筋肉量がついてるって何? なんでそこまで私の体の変化が分かるんですか? 実際に私に触れてませんよね? いやキラキラした目で腕触らないで語るのも後にして⁉︎

 

 しかも今度は白哉さんの体の変化まで指摘してきたんですが。私のトレーニングに付き合ってくれただけで何キロ絞れてるとか、服越しなのに骨格が見えやすくなったとか、何故異性の体の変化にまで異常な程に気づけるんですか。

 

 ……でも、私でさえ気付けなかった白哉さんの変化を具体的に把握できるだなんて、正直嫉妬します。私は白哉さんの幼馴染なのに。私は白哉さんといつもいる事が多いのに。私は白哉さんの事が……

 

 

 

 

「さ、触るな‼︎」

 

「うおっ」

 

「はべぇ⁉︎」

 

 

 

 

 ビッ、ビックリして思わず変な声が出てしまった……。というか白哉さん、突然叫んで何があったのですか⁉︎ なんか『触るな』って必死に何かを訴えているかのような大きな声だったような……

 

 ふと視線を向ければ、白哉さんの右手を見れば小刻みに震えながら斜め右下に下ろしており、桃の方も見ると彼女は右手首をちょっと痛そうに抑えていた。

 

 え、ホントに何事? 白哉さん一体何をやらかしたんですか? いや私は何もしてませんよね? ただちょっと考え事しただけですよね? というか桃は何故手を抑えてるんです?

 

 

「す、すまん千代田桃‼︎ いや、これはその、俺はそんなつもりじゃ……」

 

「えっ。あぁ、桃でいいよ。こっちこそ勝手に体触ってきてごめん。知人の仕上がっている筋肉を触っちゃう癖が出てたものだから……」

 

 

 ………………えっ?

 

 桃が勝手に、白哉さんの体を触った……?

 

 ………………ちょっと、それはどういうことですか。何勝手に白哉さんに触れたんですか。

 

 私なんて暴走しちゃうのを恐れて触りたいという欲を抑えているというのに、何貴様は躊躇いもなく触ったんだ。

 

 親友の杏里ちゃんだったら百歩譲って許せますが、出会って間もない人や嫌味のある人が白哉に触らないでください。

 

 白哉さんは私の……

 

 ……私の………………えっと、その……

 

 

「あ、あうぅぅぅ……」

 

 

 ダ、ダメ……やっぱり言えない……。やっぱり人前で『白哉さんは私の何なのか』だなんて、口が裂けても言えない。すごく恥ずかしいです……。杏里ちゃんや小倉さんには何故かバレてるから百歩譲って話せるけど、他の人に私の白哉さんへの想いを明かすのは、その……抵抗があると言いますか……

 

 って、いやいやいやいや‼︎ 冷静に考えてシャドウミストレス優子‼︎ 『白哉さんが好き』だなんて言えないけども、いきなり人の体に許可なく触れてはいけない事ぐらいは伝えられるでしょう⁉︎ 何まだ伝えられない事と一緒に言う必要があるか‼︎ さっさと『白哉さんは私の何なのか』だなんていう話は置いといて……

 

 

 

 

「ごめんねシャミ子、シャミ子の好きな男の子の体を勝手に触ってるの見て嫌だったでしょ?」

 

「んがっ……⁉︎」

 

 

 

 

 えっ? 今、なんて……。シャミ子って私ですよね……? んで、桃は何を言って……? 私の、好きな……? えっ……?

 

 バレてる⁉︎ 私が今さっき考えていた事が桃にバレてる⁉︎ というか寧ろ私の恋心までもがバレてる⁉︎ なんで⁉︎ ずっと他の人には言ってないはずなのに、杏里ちゃんや小倉さんには『誰にも言わないで』と厳しく口止めしてるのに、なんで⁉

 

 

「シャミ子、さっきすごい剣幕して顔赤くして私のこと睨んでいたから、もしかしたらと思ったんだけど……違った?」

 

「……え?」

 

 

 嘘……? 私、今の感情を表に出してました……? 今まで誰にもバレないように隠してたのに、それが抑えきれなかった……? 私、桃が白哉さんの体に触ったことがそれほど妬ましかった……? えっ……えっ?

 

 えっ、ちょっと……桃、突然何かを期待してるかの如く無言でグイグイと顔を近づけてくるんですか……⁉︎ ま、まさか、私の白哉さんに対する想いの事で、何やら良からぬことを企んでいる……⁉︎

 

 

「……あああああああ‼︎ ち、ちちちち、違いますぅ‼︎ こ、こここれはそそ、その……アレです‼︎ こ、これから勝負するのだというのに、きき、貴様が馴れ馴れしく私達に絡んでくるし、そ、その時間も長いから、『早くしろ』みたいな感じで……」

 

 

 ご、誤魔化せェェェッ‼︎ とにかく誤魔化せェェェッ‼︎ こんなところで弱味を掴まれたら白哉さんにも迷惑かかるし、最悪臓器もぎ取られるゥゥゥゥゥゥッ‼︎ 何より怖い‼︎ キラキラした目しながらの無言の圧力が怖い‼︎ だ、誰か、誰か助けてほしいです‼︎ 誰かァァァァァァッ‼︎

 

 

「優子に何吹き込んでんだお前ェェェェェェェェェッ‼︎」

 

「ぐえっ」

 

 

 す、救いの手だ‼︎ 白哉さんが桃の襟元引っ張って救いの手を差し伸べてくれました‼︎ た、助かった‼︎ これで弱味を握られずに済んだ‼︎……多分。

 

 この後白哉さんが桃に何やら『そういうのにはデリケートなんだからやめろ』とか叫びながら説教をしてるのを見てなんだかモヤモヤしそうなんですけど、無言の圧力に比べればどうってことないですね‼︎

 

 さぁ説教が終わったら改めて勝負を申し入れましょう‼︎ 先程の揶揄いと無言の圧力をかけられた屈辱、晴らさせてもらうぞ‼︎

 

 ……本当にバレてないですよね? 私の恋心……

 

 

 

 

 

 

 桃への説教を終え、ようやく優子と千代田桃の勝負にまでありつけれた俺氏……ん? 説教はどんな感じだったのか、だって? ただただ『人の恋路には無闇に触れるものではない』とか『思った事は何でも口にすればいいってものじゃない』とかまぁ、そんな感じのものだよ。それを千代田桃は反論すらせず相槌も適当な感じにはやってないから、これでもう優子を俺に関することで揶揄わない……はず。きっと。

 

 区切りがついたから早速勝負を始めようと告げる優子だったが、千代田桃に準備運動としてストレッチだけでもせがまれることに。ここでも目を輝かせるとかどれだけトレーニングバカなんだよお前は。そりゃ優子が千代田桃に対して魔法少女じゃなくて物理少女なのでは? と思うわけだわ。

 

 さらにはウォームアップした方がいいとのことでランニングすることに……いやいくら何でもマイペースすぎない? 俺はこうなること分かってたけどさ、約束の日に変な予定を勝手に組み込むとかどういうことなの? しかも三キロ以上走るとか……

 

 あ、千代田桃走り始めたぞ。しかも優子が『逃げる気か』と聞けば肯定するし……。もしや自分の好きな事したい程に勝負したくない系か? 何となくそんな気がする。

 

 

「あー……優子、無理に追いかけようとしなくていいぞ? 体の問題とかあるし……」

 

「ぐぬぬ……けど、あれで逃げられたら魔法少女の生き血が手に入りませんし、もう決闘を申し込む機会もこれっきしになりそうですし……」

 

 

 決闘する機会が最後になる、か。あり得るかもな。千代田桃、魔法少女はもうやりたくないとか言ってたし。原作でも対決になりそうな機会が今回を含め二・三回ほどあったけど、結局どの場面でも闘えなかったし。

 

 今の優子にとって千代田桃と闘う機会を作ることはとても貴重な経験に繋がると思うから、やっぱり優子の好きなようにやらせておくべきか……。俺の指導の元で少しは鍛えられてると思うし、それに今回の場合は初のランナーズハイの良さが分かる絶好の機会になるし。

 

 

「ハァ………………本気で無理そうだと分かったら無理矢理にでも止めるからな?」

 

「貴方に結構鍛えられたので心配無用です!! 待てぇ桃色魔ほ……桃ぉー!!」

 

「おいランニングフォーム。体の軸は真っ直ぐ、軽く前傾姿勢で視線も真っ直ぐに見ろ」

 

「あ、忘れてました……」

 

 

 腕を左右に振る女の子走りをしようとした優子を止め、基本のランニングフォームで走るようにと注意した。あの走りは可愛いけど余計な体力使うだろうし、多少はだけど遅くなるし、これはネットで得た知識だけど、腕の振りで得たエネルギーを下半身に伝えられず遅くなってしまうし……。可愛い走りだけど。

 

 

「あ、二人とも来るんだ」

 

「しょ、勝負の前に逃げる奴がいたらそりゃ追いかけますよ……」

 

「つーか来て悪いのかよ」

 

「いや、走り仲間が増えて嬉しいなってだけ」

 

「か、勝手に仲間にしないでください‼︎ 生き血狙ってる相手だぞ⁉︎」

 

 

 何? なんか千代田桃がまたパァッて顔が明るくなってたぞ? まさか嵌めたのか? 初めてor久しぶりに誰かと一緒にランニング出来そうでラッキーと感じたから俺達を嵌めたってか? 俺は日時ちょっとトレーニングしてるから百歩譲っていいとして、振り回された宿敵の身にもなれよ……。あっ。後ろの車橋、昇り始めた夕日と重なって綺麗だ。

 

 ………………ん? アレ? 原作では二人は車橋を追い越したところまで走ってなかったよね? そもそも車橋近くまで行ってないような……

 

 そんなことを考えていたらランニングは終了。優子は原作通りバーンアウトしたけど、本人曰く自分の可能性を見つけたとか言ってました。

 

 ん? 俺の方はどうだって? まぁ優子とは違って疲労感は少ないだろうし立ってはいられるけど、それでもゼェゼェと息を整えてる感じです。俺、四キロ走っただけでも疲れがちょっと出ちゃう体だっけ……?

 

 

「……じゃあ二人とも、このまま海まで走ろうか」

 

「ここ結構山寄りですけど⁉︎」

 

「ってか何俺にもそこまで走れる程の体力ありそうな前提で言ってるのかそれ? なんかの一族の末裔とかじゃないから無理ですそこまで走らせないで」

 

 

 優子より中々の体力があるからと、千代田桃に近い体力の持ち主だと思われてんの俺? まぁ俺は転生者だけど、だからといってめっちゃ体力持ってるってわけじゃないです勘弁して。あ、俺が転生者である事誰も知らないし言ってないけどね。

 

 この後改めて優子と桃の勝負……と言いたいところだけど、やっぱり優子がバーンアウト済なので勝負はまた別の機会にしようという感じに収まりました。うん、知ってた。けど優子も体がちょっと弱い中よく頑張って走れたよ。お疲れ様。あ、俺にも優子と同じ三倍に薄めたスポドリくれるんスか。なんか悪いな千代田桃。

 

 

「なんだかんだで八キロ(・・・)走っちゃったし……頑張ったねシャミ子、白哉くん」

 

「八キロも走ってたんですね⁉︎ そんなの初めてです……‼︎」

 

「あぁ。俺も久々に誰かと一緒に走れたし、いい経験を思い出せてよかった……」

 

 

 

「「………………ん? 八キロ?」」

 

 

 

 ………………えっ。ちょっと待って。八キロって、おま、原作の二倍の長さやん。十キロマラソンに近い距離走ってたの俺達? なのに俺は足ガクガクしてないの? そして優子は屍状態にならず原作で四キロ走った後のバーンアウト状態で済んだの? ウソーン……

 

 ……あの時、優子の『一緒にトレーニングしたい』というお願い聞いといてよかった……

 

 

「……俺ら、時間や本来感じるべき疲労感も忘れてここまで走ってたんだな……」

 

「じ、自分の可能性が怖くなりました……」

 

「走ってると考えていた事も忘れてしまうからね、仕方ないよ」

 

「「八キロも走ってたのを仕方ない程度で済ませられるか‼︎」」

 

 

 千代田桃テメーこんにゃろー……‼︎ 俺はなんとか大丈夫とはいえ、まだ明かしてないけど優子は生まれつき体弱いんだぞ⁉︎ 俺が鍛えてやって少しはマシにはなったけど、いざという時に優子の身に何かあったらお前責任取れるか⁉︎

 

 俺? 取れるか取れないかじゃない、取る以外の選択肢などない‼︎ というかそれしか選べん‼︎ なんとかして責任取る‼︎ 大雑把だけど‼︎

 

 ……まぁ過ぎた失敗は変えられないけど、とりあえず今は出来ることをやっておくか。えぇっと、確か原作では優子は千代田桃に電車賃五百円借りてたな……。けどここからの距離だと五百円じゃ足りないはず。となるとここは、俺も優子も羞恥心が強くなるか、俺だけ羞恥心を持って優子のヤンデレ度が上がるかになるけど……

 

 

「……優子、帰りは俺が担いでやろうか?」

 

「………………へ?」

 

「いや、俺も担ぐのめっちゃ恥ずかしいけどさ、そうした方が電車賃払わなくて済むし、俺はゆっくり歩けばお前を担ぎながら歩ける程の体力が残ってるし……」

 

「えっ、あっ、びゃ、白哉さん? そ、それは、わ、私を引き摺るとか、そんな感じで……?」

 

「雑には扱わんわ‼︎ お前俺を何だと思ってんだ‼︎ ッ………………お、おんぶとか、お……お姫様抱っことか、そんな感じでだよ……」

 

「 」

 

 

 あー恥ずい。めっちゃ恥ずい。いくら優子がここから徒歩では絶対帰れないとはいえ、女の子を担いで帰るとか何処ぞのリア充か友人からの罰ゲームを受けた可哀想な彼氏か何かかよ。しかも優子の顔が耳まで真っ赤だし、なんかそこから湯気みたいなのが湧き上がって出てるの見えちゃってるし、どんな羞恥プレイしてんだよ俺はよォ。

 

 

「………………えっと、あの、その………………一生お姫様抱っこしてもらいたい程嬉しいんですが、他の人に見られるとなると、やっぱり恥ずかしいです……。後、宿敵の前でそんな事言わないで……」

 

「あ、すみませんでした」

 

「……新婚の夫婦漫才なのかな?」

 

 

 この後俺が二人分の切符を払う形で、俺と優子は電車で帰ることになりました。当然距離が長かったので、原作よりも150円かかりました。二人分買ったから300円かな? 念のため余分に金持ってきてよかった……

 

 そして俺も思わず優子と一緒に寝落ちして、一度うっかり『おくおくたま駅』まで行っちゃいました。

 

 

「なんで白哉さんまで起きなかったんですかー⁉︎」

 

「スマン、いつもよりも疲れたものだから……」

 

 




ちょっとはよりシャミ子のヤンデレらしさが出せたかな……? あっ、白哉が桃に体を触られた辺りの話ね。

にしても、まさかシャミ子が少し鍛えられただけでランニングの距離が二倍に増えるとは……やったね白哉くん‼︎ 君のトレーニングのおかげでまた一つ、原作が崩壊したよ‼︎(よくねーよ)

何はともあれ今回はここまで!! 感想・評価の程よろしくお願いします!!
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