偶に愛が重くなるまぞくと、愛されてる男のまちカド物語   作:名無しのモンスター

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本来の闇堕ちはヤバいよってことで初投稿です。

四巻編が始まってから導入するのを忘れていた、シャミ子の微ヤンデレ状態の様子を導入します‼︎


桃が自動的に闇堕ち⁉︎ ▼柘榴さんの甘やかし‼︎ ▼桃の抵抗心ががくくーんっと下がった‼︎

 

 チウッ レロッ レロッ レロッ レロッ……

 

 

 ……ん? なんだこれ? 舌が何かを舐め回している……? 飴玉でも入ってたのか?

 

 

 チュパッ レロッ ムチュッ ジュルルッ……

 

 

 いや、舐め回しているというよりも、舐め回されている……? しかも口の中に入っているの、飴玉にしてはちょっと大きくてこつこつしていながらも平べったくて、吸盤のように吸い付いているかのような……

 

 

 チュウウウッ チュルジュルッ レロォッ……

 

 

 ………………

 

 

 

 あっ、ヤバい。色々な意味で非常にヤバい。

 

 

 

「プハァッ朝から積極的だな優子おはよう‼︎」

 

「プフェッ⁉︎ あっ、お、おはようございますッ……」

 

 

 思い出した。寝込みにベロチューで襲われたから思い出した。みんなで動物園に行った後、俺は泊まりに来た優子と一つの布団で○ッたんだったわ。○リすぎて記憶が飛んだんだな、きっと‼︎ ○き合いすぎたわ‼︎ だって既にお互い全○状態だし。

 

 あっぶねぇ……‼︎ もしあのままベロチューを許してたら朝○メ確定になってまた○リすぎて、お互い腰とかがヤバくなるかもしれなかったぜ……‼︎ というか……

 

 

「優子……いきなりどうしたんだ? こういった朝は何もせず笑顔で見つめてばっかりだったのに、今日に至ってはすごい積極的すぎるんだが……しかも寝込み襲って舌を入れてくるって……」

 

 

 もう突然すぎたから恐る恐るな感じに聞いてみた。そしたら優子は真っ赤な顔で膨れっ面になり、こう答えた。

 

 

「………………なんだか、羨ましかったんです」

 

 

 へっ?

 

 

「桃の幼馴染の柘榴さんの話です。桃を恋愛方面で見てやっていたのかどうかはわかりませんが、私達がいる状況なのにもお構いなしに桃の顔をまっすぐ見つめるし、桃に会えたことやもっとおしゃべりしたいとかの本心をぶつけるし、桃の服をダイレクトに褒めるしで……思っていたことを堂々とやれる彼とそれを受けている桃が羨ましかったんです」

 

 

 あぁそういう事……。確かに柘榴さんそんな事を桃にやってたな。しかもポーカーフェイスでもわかるほど裏表なしに、本心そのままって感じに。

 

 

「だから……ね? こうやって私も本心を露わにして白哉さんにぶつければ、白哉さんは私のもの、私は白哉さんのものという意思表示が強くなって、誰も私達に近寄らなくなると思います。フフフッ……今日から私はそれを周囲に見せつけてやりま───」

 

「それって恋愛方面じゃない場合も含めて言ってるのか? それだと下手すると誰か傷つけそうになって、何れお前の『みんなと仲良くなりたい』っていう想いが矛盾することになるが……」

 

「………………やっぱり自制します」

 

「それで良し」

 

 

 なんか『未○日記』の超絶ヤバいチートヤンデレヒロインの恍惚ヤンデレポーズをとってきて、なんか後々『ビャクヤサンヲコロスモノハァァァ!!! スベテシネバインダー!!!┗(゚Д゚╬)┓三三三 』とか言って危険地帯お構いなしに何処かへと走って行きそうだったから、優子の本来の性格に合わせた説得したら自覚を取り戻してくれた。危なかったァ……

 

 ってか優子がヤンデレになる場面、久しぶりなのかもしれない。今日まで発動させずにいたの、俺が積極的に優子に関わっていったおかげだからかな? 多分。

 

 

 

 

 

 

 また○起する前に起きて着替えた俺と優子。朝飯を済ませて皿洗いをしながらこの後何をしようかと話し合っていたところ……

 

 聞き取ることのできないデカい音とめっちゃ眩しい桃色と黒の混じった光が、こちらの部屋にまで伝わってきた。

 

 

「ふぉぉぉっ⁉︎」

 

「ひょわぁぁぁっ⁉︎ な、何事⁉︎」

 

 

 お、思わず伝説の戦闘民族によって岩盤に叩きつけられる寸前の声を出してしまった……というか、一体マジで何事? 桃の部屋の方向から光と音が伝わってきたんだが……

 

 あっ(察し)。そういえば今日はあの原作イベントがあるんだったわ。動物園の後にはそれがあるんだってこと、なんで思い出さないのかな俺……

 

 

「桃の部屋からだな、見に行くぞ‼︎」

 

「あっ、はい‼︎」

 

 

 緊急訪問の時間だ、オラァッ‼︎ ってか鍵掛けろよ千代田さんよォ‼︎

 

 

「も、桃、大丈夫ですか⁉︎ なんか凄い音と光が白哉さ……あっ私の部屋まで来たんですが……」

 

「めっちゃ眩しかったぞオイ‼︎ 一体何があった⁉︎(実際に原作通り優子の部屋にまで来たかは知らんけど)」

 

 

 我ながら白々しい演技してるなぁーって思ったんだが、そんな事はどうでもいいと思いながら桃の部屋に入ってったら……

 

 

「………………シャミ子……白哉くん……

 

 

 

 ……なんか、闇堕ちしちゃったっぽい」

 

 

 

「………………………………………………なんで」

 

 

 優子、一瞬宇宙猫と化した。朝っぱらから突然の闇堕ちだもんね、仕方ないね♂

 

 

「あぁ……どうしてそうなった」

 

「分からない。ついでに元の姿に戻れない」

 

「えっ……えっ……ええええええ〜⁉︎ パニックなんですけど⁉︎ いったんお腹をさわってもいいですか⁉︎」

 

「あとにしてもらえるかな‼︎」

 

「つーか優子、お前パニックしてる中でも自身の欲望に忠実になろうとすんなよ」

 

 

 ………………ん? ちょっと待てよ? そういえばこの部屋、確か何かしらの訳があって誰かがお泊まりすることになったとかどうとかって……

 

 

「……むにゃあ……よく寝た」

 

「「「あっ」」」

 

 

 そ、そうだった。野宿はいけないとかなんとかという理由で、桃が柘榴さんをここに泊めさせたんだった……というか今ヤバくね? もし桃の事を大切に想っている(どっち方面でかは分からないけど)彼が、今の闇堕ち状態の桃を見たらどんな反応をするのか……

 

 

「……あっ、おはよう桃……」

 

「お、おはよう……」

 

「……ん?」

 

 

 はい隠そうにも隠せませんねこれは。もうバッチリ見ちゃってるよ桃の闇堕ち姿。ダークネスピーチ。ヤバいよヤバいよ、この人も桃と同じで光の一族なんだよな? だったらこの闇堕ち姿を見て何とも思わないわけないよな? これ柘榴さんはどういった反応をするのか……

 

 

「……カッコいい」

 

「「「えっ?」」」

 

 

 は? カッコいい? 今この人、闇堕ち姿の桃の事をカッコいいと言ったか? えっ? 確かにカッコいいけどさ……

 

 

「……随分と斬新な衣装だね。黒を基調とした魔法少女の服なんて全然見かけないし、何よりマントを着けるという発想も魔法少女にしてはまた斬新。そこまですごく大きく出たイメチェンは見たことない。結構いいよ、桃」

 

 

 お、おぉう……今の桃を見ても全肯定するのかこの人。闇堕ちしていることを知らないかもしれないとはいえ、心が広くない?

 

 

「えっ……あっ、いや、これはイメチェンじゃなくて……」

 

「……そうなの? 仮に昨日ちょっと聞いた闇堕ちに関係しているものとはいえ、これは僕の本心だけど」

 

 

 闇堕ちしていたこと知ってたのかよ。あっ、そういえばリコさんと白澤さんが桃の闇堕ちの事を柘榴さんの前でも話してたな。それを記憶していた上でその時の格好をさっきのように褒め称えていた、と。

 

 

「ッ……‼︎ そ、そうなんだ……あ、ありがとう……」

 

 

 そしてこいつはこいつでチョロくね? どんだけ柘榴さんの事が好きなんだよお前は。ってか恥ずかしがってる場合じゃないやろ。まずは闇堕ち解除の事を考えなさいよ。

 

 

「あ、あの……桃は今この闇堕ちフォームを解除したくても何故かできない状態になっているんですが……」

 

「……あぁ、困っているってことだね。わかった、僕もできる限りの事をする」

 

 

 おっ、説明ナイス優子。これで早速桃の闇堕ち解除に専念できるぜ。

 

 

「え、えっと……ざ、柘榴が喜んでくれるなら、このままでもいいのかな……」

 

「いやよくないだろ、お前にとっても柘榴さんにとっても」

 

 

 何もうどうでもいいやみたいな思考になりかけてんねん。しっかりしろ千代田桜さんの妹さんよォ。今のお前、なんか何処ぞの承認欲求陰キャぼっちギタリストに見えるぞその喋りと髪の色的に。

 

 

 

 

 

 

 桃の話によれば、闇堕ちの姿になっても別に身体に悪影響があるわけではないとのこと。ただし体を操作する魔力の調整が利かなくなっており、魔力の蛇口が全開となっている。そのため軽く持ったコップも本意に関係なく割ってしまう始末。

 

 しかもとんでもないことに、このまま魔力を放出したままにするとすぐに魔力を使い果たし、コア状態になってしまうとのこと。コア状態になると、なってしまった本人ですらどうなってしまうのかわからない気がするから、なんとかしないといけないって状況だ。

 

 

「……そういえば聞いた話によると、前なった時は、ミカンちゃんが誠意を込めてぶつけた魔力で元に戻ったんだっけ」

 

「うん。だから今回もミカンに一発ぶつけてもらえば治ると思う」

 

 

 まぁ、今はそうするしか他に闇堕ちを解除する方法がないとは思うけどさ……その、何というか……本当にそんなんでいいのかって思うんだよな……

 

 

「……白哉君、何か不満なことでもある? 僕は桃が元に戻れるのなら文句は言わない」

 

「あ、いえ……桃は元に戻るためとはいえ、友達に力をぶつけてもらうことに躊躇いがないのかというか、人の心がないのかというか……あっ、ヤベッ」

 

 

 思わず思ったことを口にしてしまった……桃に聞かれなかったことを機につい……本人が目の前にいるというのに……

 

 

「あのさ、白哉くん……? 私の事を異常なドM魔法少女か何かだと思ってる?」

 

「そんな事は思ってないです申し訳ありませんでした許してください」

 

 

 いやマジでドMかとかは思ってないです。だから睨まないでくださいマジでお願いします。

 

 

「………………」

 

「……シャミ子も、何か気にしてる?」

 

「え……あ……はい。昨日店長に話を聞いた時もなんですけど。桃、やっぱり闇堕ちした時無茶してたんだなって……」

 

 

 あぁ、そうだったな。桃が闇堕ちした理由、それは夢の世界に閉じ込められた感じの状態になった優子と俺を助けるためだったもんな。その事を考えたら責任を感じてきた、優子はそう思っていたんだな……

 

 けど。

 

 

「あそこであぁしなかったら、今みたいに楽な気持ちになってなかった……私はあの選択を後悔していない。だから気にしないでほしい」

 

「……分かりました」

 

 

 桃は自分が選んだ選択を正しいと思っているようだ。まぁ、原作知識を持ってなくても俺はそんな答えを出してくるとは思っていたけどな。桃は自分の事は大切にしない癖に他人に対しては無茶も承知でなんでもする系だし。

 

 

「……フフフッ。魔族なのに魔法少女の心配をしてくれるなんて、優しい」

 

「えっ……。しゅ、宿敵が私と闘う前から弱っていたりしたら張り合いがないですからね‼︎ 当然の事をしてるまでですよ‼︎」

 

「……それでも優しくしてくれていることは確かだ。ありがとう」

 

「い、いえいえ……」

 

 

 宿敵の幼馴染に褒められたり感謝されたりしてむず痒かったのか、柘榴さんの率直な感謝に照れる優子。俺以外の男の前で見せていいのかとはぶっちゃけ思ってはいたが、ああいう照れ顔は俺の前ではよく見せているしモーマンダイってわけで……

 

 

「………………………………………………むぅ」

 

 

 あ、あの、千代田さん……? 何嫉妬深い表情で優子を睨みつけているんですかね? そんな顔してると嫉妬の念で魔力がさらに消費されるのではないのかね……? ねぇ……?

 

 

「あのさ、二人とも……そういう何気ない会話はいつでもできるから後にして。特にシャミ子はその顔を白哉くん以外の男の人の前でやっちゃダメ」

 

「あっ。す、すみません……」

 

「……ごめん」

 

「ってか優子の表情の件、お前が言うのかよ」

 

 

 ………………アレ。なんか優子の視線が、桃のスカートの方に向いている気がするのだが……

 

 あっ(察し)。

 

 

「ちょっと失礼します‼︎」

 

「⁉︎ シャミ子⁉︎」

 

 

 全てを察した時にはもう時既に遅しでお寿司。優子が桃のスカートのちょい上にあるヒモを引っ張ろうとして……

 

 

「何か知らんが落ち着け」

 

「ごめんなさいでしたッ‼︎」

 

 

 取り押さえられました。気になった事を即実行した結果がこれってわけだ。南無。……ってか。

 

 

「なんで叩きつけた上に押さえ込んでんだよ桃⁉︎ お前力加減ができない状態なんだろ⁉︎ そんなことして優子が骨折とかしたらどうすんだよ⁉︎」

 

「あっ………………」

 

 

 思わず荒げた俺の言葉を聞いて全て察したのか、青ざめながら即座に優子から離れた桃。自分が何をしてしまったのかを嫌というほど理解したようだ。一般女子より力や運動神経の弱い優子に加減のできない力をぶつけた最悪の結果が見え見えだもんな……

 

 ってか、優子は本当に無事なんだろうな……?

 

 

「ご、ごめんシャミ子……反射的だったとはいえ、やりすぎた……」

 

「あっ、いえ……元はといえば私が悪かったですし、幸いどこも怪我してないので大丈夫です……」

 

 

 よ、よかった……今のところ何ともなかったようだ。正直ヒヤッとしたぜ……

 

 

「……無事ならよかった。とりあえず入るよ。シャミ子ちゃんが何かしようとする前からずっと、ミカンちゃんの部屋のドア開けてドアノブ握って待ってるんだけど」

 

「それは大変失礼しました……」

 

 

 すいません、ずっとその状態で待ってたんですね。少しとはいえ右手に負担かけてすいませんでした……いやちょっと待て、ミカンの奴も鍵掛けろよ。それとも単純にうっかり閉め忘れただけか? まあ原作通り力加減のできない桃にドア壊されなかっただけマシだろうけど。

 

 まあ何はともあれミカン宅にお邪魔しまーす……

 

 

「早朝寝起きドッキリの時間だァ、オラァッ」

 

「おはようミカン‼︎」

 

「むにゃ⁉︎」

 

 

 うわっ、蜜柑柄の布団にみかん宣伝のポスター、彼女の実家のキャラクター『みかんちゃん』のぬいぐるみ……柑橘類だらけの部屋じゃねーかオイ。俺もみかん好きだけどね。

 

 ……いや待て。ちょっと待て。マジで待て。柘榴さん、今どっかのネットミームが使いそうなセリフを言いながら、リビングのドア蹴っ飛ばさなかったか? 幸い壊れなかったとはいえ、それはさすがにどうかしてるぞ? やりたかったってか? これがやりたかったってか?

 

 そんな事を考えていたら、俺達はいつの間にかミカンを外へと連れ出し、桃が死なない程度にコアをぶち抜いてと頼み込む。いやなんだこれ。寝起きドッキリにしてはかなり悪質すぎないか? 無理矢理起こさせてコアをぶち抜いてって……寝起きで頼むことじゃねェぞそれは。

 

 で、結果は……

 

 

「ダメだ、戻らない……」

 

「……寝起きだと心の整理がしにくいから、失敗したのだと思う」

 

 

 案の定といった感じに失敗したようだ。

 

 

「誠心誠意心を込めてぶっぱしたつもりだったけど………………っていうか、寝起きから! 友達に矢を撃ち込む! 女子の気持ちを! 考えなさいよ‼︎ 目覚め最悪よ‼︎」

 

「そこはほんとごめん……」

 

「よくってよ‼︎」

 

 

 寝起きでキレ気味なミカンの蹴りを次々と回避していく桃を見ながら、呪いによる突風で飛びそうだったリリスさんに付いている落ち葉を取る俺氏。ってかミカンの奴、よくハイキックしてもスカート落とさずに済ませてるな。後、『よくってよ』を日常的に使う女子高生とは一体……

 

 

「……ミカンちゃんの呪い、相変わらず被害がささやかレベルで面白い」

 

「の割には頭に木の枝がえらいほどの数刺さりまくってません⁉︎ というか呪いを面白がるとかどんな精神の持ち主なんですか⁉︎」

 

「よく見たら鳩さんが頭の上でくつろいでいる⁉︎ ごせんぞが受けたのよりひどくなってませんか⁉︎」

 

「……鳩って巣を作る習性あったっけ?」

 

「「そこは知りませんがまずこの状況をどうにかしましょう⁉︎」」

 

 

 

 

 

 

 ミカンの友情パワー直撃は意味なかったので(ミカンが寝起きだったってのもあるが)、『あすら』に連絡することにした我々であったが、リコさん手作り(?)の薬膳は飲み始めてから効果が出るまで少々かかるとのこと。飲めば気は落ち着けるとはいえあくまで事故らないための予防のため、異常が出てからでは効果は薄いらしいし。

 

 で、小倉さんなら何かしら良い案を出してくれるだろうとのことで、連絡先をもらっていた桃がスマホで連絡しようとしたが……朝アラームが鳴った時にスマホがバッキバキになってしまってムザーーーンになってもうてるッ‼︎ 報告、我々は頼みの綱をも失ってしまったッ‼︎

 

 

「も、桃⁉︎ 何かスケルトンカラーになってませんか⁉︎」

 

「……クリアでもシースルーでもなくスケルトンか。うーん世代」

 

「いや貴方も世代……いや呑気になってる場合じゃないでしょ⁉︎ 貴方の幼馴染が消えそうなってるんすよ⁉︎」

 

「……まずい、魔力が残り少ない」

 

 

 正直柘榴さんの反応のせいで焦っちゃったけど、よく考えてみれば原作知識でこの後の展開を知らなくっても大丈夫だったわ。

 

 何故かって? 召喚獣確保からのデータ搾取しようとした小倉さんに確保された時、その別れ際にLINE垢を教えてもらったんだよな。この事を優子には内緒にしていたから後でお仕置きされるかもしれないけど、四の五の言ってる場合じゃねェよな。

 

 

「待ってくれ、俺がスマホで小倉さんを呼んでくるから───」

 

「呼んだ? 欲されたみたいだから来ちゃったぁ……」

 

 

 うん、そうなるとは知ってたけどな。

 

 

「あ、どうもぉ。お兄さんはじめまして、千代田さんの知り合いの小倉しおんでぇす」

 

「……ご丁寧にどうも。礎柘榴、よろしく」

 

 

 いや初対面だからって呑気に挨拶すんのかい。

 

 

「お、小倉さん⁉︎ ……どうしてここに?」

 

「邪神像に仕込んだ小型マイクで聞いてたの。あとたまたまシャミ子ちゃんの近所を週五で巡回していて……」

 

 

 ………………は? 原作通りのセリフだから素通りしようとしてたけど、やっぱりとんでもないこと言ってなかったかこのマッドサイエンティスト。

 

 

「オイ、何がたまたま週五で巡回しただァ? それは完全にストーカーだろうが。ヤンデレ気味な優子でもそんな事してなかったって言ってたのに、何お前はそんな滅茶苦茶犯罪的でヤベー事を容赦なくやれるんだコラ」

 

「いや本当にたまたまだよぉ? 実験のために材料を買いに行ってたりしていたらね?」

 

「本当かァ……?」

 

「………………だとしてもありがとうございます‼︎」

 

「あ、うん。今はその反応が正しかったかもな」

 

 

 マジで細かい疑問点を感謝の心が上回ったよ優子の顔を見て。緊急事態により犯罪がスルーされたよオイ。……まあ、ぶっちゃけこいつの奇行のおかげでどうしようもできない状況を打破できそうだったから、小倉さんの犯罪的行動に助けられたのは否めないけどさ……

 

 この後の小倉さんの説明によると、桃が意思に関係なくダークネスピーチになった原因は彼女の負の感情──嫉妬・猜疑・強欲といったマイナス方面の感情がトリガーになったことによるものだと憶測しているらしい。古来光の一族の関係者が負の感情に飲み込まれた時、一人でに闇堕ちしたって伝承がたくさんあるのだとか。

 

 簡単に言えば、精神が暗黒化してるから闇堕ちしてるということだ。本来そう簡単に起きる現象ではないが、桃が一度闇堕ちしたことで光と闇の狭間に移動したコアが、今のように闇属性に滑り落ちて光の一族とのリンクが途切れた状態となっているようだ。それを手の込んだ図で教えてくれました。めっちゃ分かりやすかった。まる。

 

 直近に感じた負の感情を清算して本人の機嫌が良くなれば、光の一族との繋がりを戻すことができてこの場を凌げるようになる。そう、つまりこの闇堕ち状態を桃が回避するには……

 

 

「『千代田さんが最近すげえ嫌だったこと』を、ここで洗いざらい吐き出しちゃって‼︎」

 

 

 これである。後先を楽にするには実に簡単なことではあるが……

 

 

「そういう感じなら戻んなくていいっす」

 

「おいコラこのまま消えちまってもいいのか」

 

 

 思わず指摘しちまったけど、人前で簡単に嫌だった出来事を吐き出すのは気が引けるのが普通。この反応は仕方ないね♂ だが言わんとアカン状況なのが現実である。

 

 

「桃! 最近ご機嫌が斜めったことを教えてください‼︎」

 

 

 オイしれっとお腹撫で回しながら言うな。その手どかしてあげなさい。

 

 

「心当たりはあるけど…………この場で言うのはヤダ」

 

 

 うん、まあやっぱりそんな反応だよな。拒否りたいよな。でもこの後の優子達の催促ラッシュがお前を襲って本心を───

 

 

「……桃」

 

「うえっ? な、何? 柘榴……?」

 

 

 んんんっ? なんか、このタイミングで柘榴さんが桃の事を見つめ始めたんだけど───

 

 

 

「……せっかく会えたのに、この後永遠に会えなくなるの、僕ヤダよ」

 

「ん ゙ん ゙ん ゙ん ゙ん ゙ん ゙っ‼︎ シャミ子のお弁当を落ち着いて食べられなかったことと柘榴と突然再会した記憶が鮮明に刻まれた上にドキドキしたことで結構モヤモヤしてましたッ‼︎」

 

 

 

「異様な程のスピードで本心を打ち明かした⁉︎」

 

 

 きゃるるん顔でアンタが催促するんかい。というか桃はこのタイミングでカミングアウトするんかい。こいつホント柘榴さんにチョロい……いやチョロすぎじゃね?

 

 ってか、よく聞いたら原作にはなかったモヤモヤ要素が増えてるんですけど。突然の再会をさせてしまった節は誠に申し訳ございませんでした……

 

 

『……幼馴染との再会でモヤモヤするのはまあ、分からなくもないが……弁当を食えなかったのもだがそんなことで闇堕ちするか普通?』

 

私は器の小さいつまんない人間です。可及的速やかにこの世から消えたい

 

 

 うわ、ヤバッ。桃色魔法少女のメンタルが筋肉よりも柔らかくなってるぞ絶対。これは優子の弁当を食わせないとな。俺も昨日ゆっくり食えなかったから、気持ちは分からなくもないぜ。

 

 とりあえず原作通り、優子がお弁当を作ることでなんとかすることにしたが……ぶっちゃけこのままだとまずいな。

 

 桃は原作では優子達に迫られたことで渋々ご機嫌斜めだった事をカミングアウトしたけど、ここでは柘榴さん悲しげな表情にキュンってしたのかその弾みで……って感じだったからな。余程恥ずかしくて『はよ消えたい』って思ってるだろうな。

 

 つまり何が言いたいのかというと、桃が精神的疲労を増したせいで、このままだと魔力を尽きて消えてしまうスピードが早くなる可能性が出てきてしまったのだ。どのようにしてフォローすれば魔力消費を遅くできるのだろうか……そう考えていたら。

 

 

「……桃。何かしたいこととか、してほしいこととかって、ある?」

 

 

 柘榴さんだ。また柘榴さんが何かするつもりだ。あの、すみません。失礼ですが貴方が何かしたら逆効果の可能性が生じるかと……

 

 

「えっ……? きゅ、急に何……?」

 

 

 ほら、桃の奴も困惑してるし。

 

 

「……その姿から元に戻るには、他にも自分の思い通りにできることをするのもいいかと思って。あと、無理矢理嫌な事を吐かせてしまったから、そのお詫びも兼ねて」

 

 

 あっ、そういう……彼にも彼なりの闇堕ち解除の手段を考えていたってわけね。さっきのきゃるるん顔も善意でのみたいでしたもんね、悪意がないだけであって。

 

 けど、それで桃は自分のしたいこととかを明かしてくれるのか? 想い人の柘榴さんの前で何をしたいのかって、普通想い人の前で本心は躊躇いがちになるのでは……実際に桃も言うべきかどうかと真っ赤な顔で目を泳がせているし。

 

 

「………………えっと……なんでも?」

 

「……なんでも」

 

「な、なんでも……そんな言葉、容易に使っちゃいけないと思う……」

 

 

 ほーら、桃も遠慮気味になってんじゃないですか。桃の事を想ってくれるのはいいことなんですけどね、彼女の気持ちも考えてください。

 

 

「……さっきシャミ子ちゃんの弁当が食べれなくてモヤモヤしていたことを明かしてくれたのは、それほどまでに自分がしたかったことを表に出せたから……ってことだよね」

 

「そ、それは……」

 

「……桃は一人で色々と抱え込みすぎ。自分を曝けなさすぎ。そんなんじゃ、自分でも気づかない内に自分自身を壊してしまう。寧ろいっぱい求めていいんだ。求めてくれたら僕もそれに応えるようにするから」

 

「ウッ……」

 

 

 ……あれ、なんだろう。なんかカッコ良くね? 桃に我儘を言わせてあげようとしているんだけどこの人。『全て受け止めるから本心を隠し通さず明かして』みたいなことを言っているんだけどこの人。桃の何もかもを抱擁しようとしているんだけどこの人。ねえ、この二人まだ付き合ってないよね? ねえ?

 

 

「………………じゃ、じゃあ……」

 

「……うん」

 

「こ、今度、二人きりでデ……お出掛け、とかどうかな……? 十年間ずっと平和な多摩町を、二人で回りたい……なんて」

 

 

 おい、デートって言いかけた? 今デートって言いかけなかったか? もうビシッとそう言ってやった方がいいって。そのお願い事自体がもうデートのお誘いみたいなもんだから。女子の方から誘うのは珍しいかもだけどよォ。

 

 

「……いいね。帰って来たばかりの時はちゃんと回れなかったし、今度行こうか」

 

「う、うん……」

 

 

 あっ、微笑んだ。照れながら微笑んだ。二人きりになる機会ができて微笑んだ。こいつホントに柘榴さんの事が大好きなんだな。ってかこんなに照れ照れな桃、初めて見たかも。可愛い。優子に弱み握らせるために写真撮っておけば良かったのかもしれない。こんな時に限ってスマホ自室に置いてきちまったことに気づくとは、迂闊やったわ……

 

 

「つーかさ……今のこの二人のやりとりを見てたら、なんか余計に暑く感じね? 付き合ってるわけじゃないよなあの二人?」

 

「あなたとシャミ子のイチャイチャを見ている時と比べたら、桃と柘榴さんのやりとりの方がまだ良いわよ……暑くなるのはわかるけど」

 

 

 それはごもっともです。いちゃつきすぎてすいません。反省はしても改善はできませんがね。

 

 

「今後はこの二人がくっつけるようなものでも作ろうかなぁ……♪」

 

 

 おいマッドサイエンティスト。お前はヤバいから黙ってろ。何とんでもないことをぼやいてるんだよ聞こえてんぞ。

 

 

「も、桃。お待たせしました。この前作った試作品のヤツですが……って、アレ? 桃、そんなニマニマ顔してどうしたんですか?」

 

「ッ⁉︎ な、なんでもない……」

 

 

 おおっ、ここで優子が弁当持って戻って来た。しかも原作よりも早めに料理を習い始めたにも関わらず原作通りの枯れ葉色の弁当だ。で、桃の表情の事を指摘して彼女を焦らしたと。これまた面白く見させてくれちゃってェ、これはこれでナイスだったぜ優子。

 

 

「………………ところで白哉さん」

 

「ん?」

 

 

 な、何だ? 突然俺にだけ聞こえるように意識しているかのような声量で話しかけてきたんだが……

 

 

「今さっき桃の事を可愛いと思っていた件、アレでちょっとOHANASHIさせてもらってもいいですか?」

 

「………………すいませんでした」

 

 

 ……察しがついていたのか、膨れっ面でこっち見てるんだが。そして他の奴らにバレないように、何事もなかったのような素振りを見せているんだが。こ、こいつ、いつの間にそんな魔性のヤンデレになったのか……?

 

 いや、今のはヤンデレったのかこいつ? あっ、照れていた桃の事を『可愛い』と言っていたことを指摘していたし、ヤンデレっていたか。

 

 

「シャミ子らしくていいお弁当だと思う」

 

「なんだその評価は! 黙って食べるがいい‼︎」

 

「ダメだ……お箸が折れちゃう」

 

「あぁぁぁもぉぉぉっ口を開けろ〜‼︎」

 

 

 おい、何事もなかったかのように原作通りの流れに進み始めてんぞ。やっぱり魔性の女になってきてんな優子の奴。

 

 

「あっ……ごめんシャミ子」

 

「へっ? な、なんで突然止めるんですか?」

 

 

 んんっ?

 

 

「そ、その……白哉くんの目の前で食べさせてもらうのは気が引けるから、ここは、その……柘榴に食べさせてもらいたいなって……」

 

「えっ? 柘榴さんに、ですか? なんで……あぁ」

 

 

 おや、ここでまた我儘を言うことにしたのか。柘榴さんの言葉がそこまで強く影響したのか。なんでそこまで桃に影響を与えてくれている人が、原作世界には出てこなかったんだよ……あっ、俺が介入したからか。

 

 

「じゃ、じゃあ……柘榴さん、お願いできますか?」

 

「……任せて。お安い御用」

 

 

 そう言って、ポーカーフェイスのままグッと親指を真っ直ぐ立てた柘榴さん……シュール。クールそうに見えてホントに感情豊かやなこの人。どんだけ面白くさせてくれるってのよ。

 

 

「……はい。僕が作ったものじゃないけど、あーん」

 

「あの、一言余計です……」

 

「あ、あーん……」

 

 

 微笑みながら箸で持った卵焼きを桃の前に差し出す柘榴さん、なんだかイケメン主夫に見えるんですが。そしてそのキラキライケメンフェイスを見て、顔真っ赤にしながらもあーんしてもらう桃可愛……じゃなくて面白い(これも本心)。

 

 あっ。優子、また桃の事を可愛いと思いかけてごめん。一番はお前だから。マジでお前だから。唯一愛せる女はお前だけだから。だから膨れっ面しながら病み顔になりかけないで、お願いだから。

 

 あっ。そんな念を優子に送っていたら、桃の闇堕ちが弁当の抱擁力で解除された。俺達の前で柘榴さんにあーんしてもらうことになったことによる羞恥心によって、解除が遅れるか効果が薄いかってなるのかもとは思ってはいたけど、どうやら問題はないようだ。

 

 

「戻った……みんなありがとう。迷惑かけてごめん」

 

「今後はカオスな感情は早めに整理するといいかもねぇ」

 

「えっ」

 

「多分闇堕ちしやすい体質は当分戻らないよ。もし再び闇堕ちしちゃったら……またデータを取らせてねぇ」

 

「………………えっ、この体質続くの⁉︎」

 

 

 うん、まぁね。原作知識が無くてもそうくるだろうなとは思うよ、多分。だって突然の出来事ってのは一回解決しただけで済まされるものではないと思うからね、仕方ないね♂

 

 

「……じゃあ、落ち着くまでしばらく僕が介抱する」

 

「それはやめてまた闇堕ちするかもしれないどころか色んな意味で死ぬ」

 

 

 両手合わせての深々としたお辞儀による、桃の必死の懇願。人前でそれ見せるほど柘榴さんに甘やかされるのが恥ずかしいってか? お前も思春期やな……

 

 

 

 

 

 

「無事に桃の闇堕ちが解除されてよかったですね、白哉さん‼︎」

 

「だな。後は少しずつ柘榴さんに我儘をぶつけてくれれば、多少はなんとかなるかもしれないし………………で、優子?」

 

「はい、何ですか?」

 

「なんとかの杖を鎖付きの手錠に変えて俺に付けたのって……まさか、例のOHANASHIに関係したりします……?ってか棒の要素、どこ……?

 

「………………こうする事以外では、ちゃんと優しくしますから……ね♡」

 

「アッハイ」

 

 

 




おまけ:台本形式のほそく話その20

柘榴「……闇堕ち、治ってよかったね」
桃「う、うん……けど、闇堕ちするかもしれないって小倉が言っていたから、しばらくは大人しくしておくよ」
柘榴「……それがいい。桃はよく無茶な事をするから、少しは安静にした方がいい」
桃「………………そう言う柘榴だって、大きな事件に一人で解決しようとした癖に」
「実際に一人で解決したとはいえ、人の事を言えてないよ」
柘榴「……耳が痛い。僕達、どうやら似た者同士みたいだね」
桃「まぁ、そうだね。一人でなんとかしようと思ってしまう癖が出てしまっている」
「シャミ子や白哉くんに気づかされていなかったら、私は今頃どうなってたのかな……」
柘榴「……過ぎたことを考えても仕方ないよ。もしもあの時こうなっていたら状況が悪くなっていたかもしれない、なんて思ってしまうのなら尚更」
「……だから、今はこの先の未来を想って生きていこう。それだけだよ」
桃「そう……だね。……ん? 未来? 未来……」
柘榴「……顔、急に赤くなったね。大丈夫?」
桃「ッ⁉︎ だ、大丈夫大丈夫‼︎ た、大したことないから‼︎」
「(な、なんで柘榴と結婚した事を考えてしまうのかな私⁉︎ す、すごく恥ずかしいんだけど……)」



いつになったら本編で回収出来てない、登場人物紹介などで説明した設定を回収できるんだろう……まぁこちらの物語設計次第ではありますが。

 
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