偶に愛が重くなるまぞくと、愛されてる男のまちカド物語   作:名無しのモンスター

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学校の祭り事は準備の方がめんどくさいよねってことで初投稿です。

今回から四巻のシリアスパートに突入‼︎ とある事件発生に、白哉達は……⁉︎


さらに一般枠男オリキャラが登場。そして起こってしまった、この時季最悪の展開 ♦︎

 

「これはまずいわ……」

 

「こいつぁまずいな……」

 

「こりゃまずいって……」

 

「これはまずいわ‼︎」

 

「こいつぁまずいな‼︎」

 

「こりゃまずいって‼︎」

 

【何がまずい? 言ってみろ】

 

「いともたやすくパワハラや無能殺し(物理)をするえげつないクソ上司になるのやめてください白龍様」

 

【あっ、俺の○惨のコスプレ帽子返せ〜】

 

 

 ならどさくさに紛れておふざけするのもやめてくれませんかね? というか体育祭実行委員会は絶賛根詰まり中なんですよ、空気読んでくださいな。

 

 はいども、白哉です。俺と優子は今、体育祭の準備が全然終わらなくて大苦戦中のミカン・杏里・勝弥の三人を傍観しております。そして鬼○辻○惨のコスプレをして乱入しに行った白龍を連行してるんやで。真剣に取り組んでいる人達の邪魔はアカンて。

 

 ちなみにうちの学校では、夏休みが終わってすぐに体育祭になるんですよ。一番暑い時季の真っ只中だってのに、夏休み明けすぐとか、熱中症の事とか大丈夫なのかこの学校? スケジュールの組み方、間違ってない? 二次創作の世界だから細かいところを気にしてない感じか? 何やってんの伊○いず○先生。

 

 

「夏休みは部活やら塾やらで人が集まらないし、高校生の夏休みって思ったより忙しいよね‼︎」

 

「夏休みの間にも色々とやらなくちゃいけないことが意外とわんさかあって、計画的にやらないと後で疲れるよなぁ……」

 

「分かります! 私もごせんぞを三万体倒してから疲れが抜けなくて……」

 

「特殊事例じゃねーか。夏じゃなくても普通の高校生が実際に体験できない類だぞそれは」

 

「「そもそもごせんぞ三万体って何?」」

 

 

 優子のなんとかの杖の修行で課せられた特訓だよ。というか夢の中で体験したことが実際に身体に影響することがあるんだな……俺の場合はなんともなかったってのに。途中で柘榴さんとの切り札みたいな技と技のぶつかり合いをした弾みで強制的に夢の世界から追い出されたというのに。

 

 

「これは今日から居残り作業しなくちゃな〜。とほ〜……」

 

「ホントそれでなんとかしなきゃな……陽夏木さんも千代田さんも付き合ってくれて助かるよ」

 

「よくってよ! むしろ知らない人と交流できて楽しいわ」

 

 

 やっぱり良い子じゃねェかミカンは。自分の体質のことがあるのに皆と仲良くなりたい本心を見せるし、それに伴う気遣いだって自分からやってみせているし、最早陽キャだわ。キ○ーンな子だわ。

 

 

何故ここにいるのか全然分からない帰りたい帰って猫の腹に顔を埋めたい

 

 

 桃は桃で本心……というか愚痴をぼやいてはいるが、まぁこいつは無視だな無視。今まで学校の仕事に関係ない委員会を創出してサボってたもんな。因果応報だ。

 

 

「はいはい、桃君はおサボりした分振り回されるのだろう? ここから脱したかったら文句言わずに手を動かして手を」

 

「で、なんで拓海までいるの? そっちは美化委員だし、ちよももみたいにサボってる感じじゃなかったじゃん」

 

「忙しそうな君達をほっとけなかったからなのと、美化委員の仕事が暇になってしまったから」

 

「美化委員が暇って何……?」

 

 

 知らんわそんなん。大体拓海は誰に対しても過保護になる性分なの知ってるだろうが。美化委員だろうがそうじゃなかろうが、こいつはそうして手伝ってくれるんだよ。察しろ。

 

 んー……桃もミカンも遅くなるのは原作通りだな。ついでに拓海が遅くなるのはどうでもいいとして。そうなると俺と優子は先に帰れるんだが、原作では優子も手伝うんだったっけ。けどこの世界の彼女は俺への愛が重い女だし、原作通りなのかどうか……

 

 

「むむぅ………………」

 

 

 めっちゃ悩んでるような顔してるわ。これってアレか? 俺と二人きりになる機会はできたけど、帰りが遅くなる桃とミカンを待つことを考えると複雑になってきたって感じか? まぁ優子は皆とも仲良くなりたい性分もあるからな、そりゃ複雑な感情を持ってしまうわけだ。

 

 ……よし、ならばこうしよう。

 

 

「なぁ。体育祭実行委員会じゃない拓海も手伝えるってんなら、俺も手伝ってもいいか?」

 

「「「「「えっ?」」」」」「えっ⁉︎」

 

 

 いや皆して驚くことか? 別に槍が降るって言いそうなぐらい衝撃的な発言じゃないと思うぞ? お前ら俺の事をなんだと思ってんの?

 

 

「いやなに、お前らが忙しくしている中で俺は帰るってのはさすがにどうかと思ってな。それに準備の時に気になった点や思いついたアイデアをすぐこの場で伝えられることもできるだろうし、それで準備を捗らせれば楽しい体育祭にできそうで一石二鳥になるかもな、とも思っているわけだよ」

 

 

 俺が今何をし始めたのかというと、優子の手伝おうという本心の促進である。ご覧の通り俺自身も体育祭実行委員会の皆の輪の中に入れば、俺と一緒にいたいとも考えている彼女は夜まで俺とも関わらなくなるという現実を知ったあまり、そのもう一つの本心も意図的に出せるだろうって寸法よ。これが上手くいくといいが……

 

 

「そ、そっか……そういうことか……でも、それだとシャミ子を一人で帰らせることになるんじゃ───」

 

「あ、杏里ちゃん! ぶっちゃけ手伝いたいなっーと思っていたところなので私も手伝いますっ‼︎ まぞくが我が眷属とともに夜まで付き合ってくれるわ‼︎」

 

「うおっすごい食いつき⁉︎ でもありがとーっ‼︎」

 

 

 よっしゃ、不安だったけど計画通り。優子、お前は俺への愛に依存し過ぎたのだ。それも本心だったとはいえ、恨むなら依存し過ぎた自分を恨むことだなっ……♡(暗黒微笑)

 

 

「………………白哉さん、夜は覚悟してくださいよ……?」

 

 

 あ、ヤベッ。本気にさせてしまったわ(白目)

 

 

 

 

 

 

 というわけで、放課後にて体育館集合。十数名もの男女の協力の元、まだ出来てない準備をすることに。……軽々しく十数名って言ったけど、実際の体育祭実行委員会の人数ってこんだけいるものなの? さすがに委員会の者じゃない人達もいるよな絶対? なぁ?

 

 

「よく来たねぇ〜。俺が体育祭実行委員会一年生会長の青嶋 (しゅう)だよぉ〜。よろしくぅ〜」

 

 

 そう言って挨拶して来たこの男子──青嶋 秀。ふわふわとした紺碧色の髪と物柔らかそうな瞳、そして外面から漂うほんわかさが特徴的な、一年E組の男子だ。ってか、ほんわかとしたこいつがこのまちカド世界の体育祭実行委員会ってマ? よく皆認めたなこいつを一年の会長に。

 

 

「早速だけどやる事を大まかに教えるねぇ〜。一年の担当で終わってないのは、小道具を作るのと大道具を作るのとぉ〜、競技のシミュレーション。つまりほぼ全部だよぉ〜」

 

「なるほど、何もかもですね」

 

「全然ダメじゃねーか」

 

 

 いくら夏休みだからなのと体育祭が始まるのが二学期が始まって間もない時季だからって、進捗があまりというかほとんど進んでないってどういうことよ? もうちょっと頑張れよお前ら。

 

 

「皆意外と夏休みは忙しかったみたいでねぇ〜、夏休み中に実際に話し合う機会が中々できなかったんだぁ〜。とりあえず俺はその間にスケジュールとか行う競技はどれにするかとか、色々考えたよぉ〜? でも色々な人の意見も参考にしようとしたら、安全面などの考慮をしなくちゃいけないところとか出ちゃってぇ〜、色々と噛み合わなくってねぇ〜。競技を変更したことで用意する材料とかも考え直さないといけなくなってぇ〜。遅くなっちゃったわけなんだぁ〜」

 

「あぁ……そ、そうだったのか。思ったよりも結構苦戦してたんだな……」

 

 

 どうやらちゃんとした理由があったそうです。計画の有無が問題となっていたのか……すまん、お前がめんどくさかったからとかそんな自己中な理由だと思ってた。マジですいませんでした。

 

 

「んじゃ、吉田さ……じゃなかったねぇ〜。シャドウミストレスさんはあっちで女子の皆と一緒に競技のシミレーションをしておいてぇ〜。平地君はあっちで借り物競走で出すお題の話し合いをしておいてぇ〜」

 

 

 借り物競走か。アレ意外と見つけると難しいヤツもあって、前世の学校の奴らは苦戦していたな。例えばネックレスとか……いやなんでそれをお題にしたのだろうか。

 

 

「べ、別に構いませんが、その役割は逆じゃないですか? どっちかというと白哉さんの方が競技のシミレーション役に適しているかと……」

 

シミレーション中に平地君以外の男子に近くからいやらしい目で見られたくないでしょぉぉぉ?

 

「う ゙え ゙っ ゙⁉︎ そ、そそそそそ、それは嫌ですね……ごめんなさいでした……」

 

「なんで圧をかけてくるんだ圧を。やめたげてやれ」

 

NTRは大嫌いなんだよねぇぇぇ。だからそれが起きないように徹底しないとぉぉぉ。君もシャドウミストレスさんが他の男に汚されるの良くないよねぇぇぇ?

 

「アッハイ」

 

「NTRとは……?」

 

 

 あぁ……こんな奴でも冗談じゃ済まされないことは絶対許さないタイプなのか……NTR、こいつの嫌いな言葉だったのか……これに繋がるような会話をこいつの前でしないようにしておかないとな。俺もNTR大嫌いだし。

 

 というか、俺と優子が付き合っているかもしれないという噂、マジで広まったのかもな……じゃなかったらこいつも俺達の前でNTRれるなよなんて言わないもんな……

 

 

「───よし、役割が決まったことだし……」

 

 

 そう呟いた秀は、何故か突然前髪をたくし上げ始めた。なんなんだ? ほんわかとしたこいつにもカッコつけたい時があるのか? 別に珍しくはないけど……

 

 ん? なんか目つきが変わってね? 急にキリッとした感じになってるんだけど。しかも他の髪も少し逆立っているかのようにも見えるし……

 

 

 

「野郎ォどもォッ‼︎ せっかく委員じゃない奴らも手伝ってくれているんだ‼︎ 根詰まってしまった分の遅れをグンッと取り返すぞオラァッ‼︎」

 

 

 

「「ファッ⁉︎」」

 

 

 誰ェッ⁉︎ こいつ誰ェッ⁉︎ いやこいつが秀だってことは分かっているんだけど、こいつ先程までほんわかとしたキャラだったよな⁉︎ なんで突然体育祭実行委員らしく……というより体育会系……をも超えるような熱血キャラに変わるんだよ⁉︎ 何⁉︎ 実は二重人格だったのかこいつ⁉︎

 

 

「あー……久しぶりに見たな、あの様子の秀」

 

「えっ? あ、杏里ちゃん、今の秀くんの事で何か分かるんですか……?」

 

「秀は絶対にやり遂げるんだってものがある時、気合いを入れるためにいつもあんな感じに感情を昂らせるんだってさ。あの状態になっている間はやり遂げたいことが必ず上手くいくとかなんとかって……だからいつでも長くその状態になって長く保てるように、いつもは気の抜けた性格にしているんだってさ」

 

「ハ、ハァ……考えて自分の性格を変えているんだな」

 

 

 なんであいつがあぁなったのかは分かった……が。オンとオフが切り替わった後、変わりすぎなんじゃね? 髪型と目つきは目立つ程の変わり様ではないけど、性格の変わり様が全てを持っていっているんだよなぁ……

 

 

 

 

 

 

 秀の変わり様にビックリした後、俺は彼の指示通り借り物競走で出すお題の話し合いをすることに。別に簡単なものでいいと思うけど、他の奴らがどうせなら探すのが大変そうなのを借り物にしようとか言っているから、普通の方を出すのが言い辛くなった……

 

 ちなみに優子は自分がシミレーションをすると体育祭がヌルゲーになるとのことでミカンにバトンタッチ、桃は刺繍が凝っている鬼の手捌きでリレー用のタスキ作り、拓海はまぁ……自主的に色んなところ回って色々と手伝っているからどう言えばいいのかわかんね。

 

 

「さて……皆は何かいいお題を考えたか? 探すのが難しすぎるのは却下だからな」

 

 

 そう指揮っているこの男は南雲 友香里。一年B組。女性っぽい名前だがれっきとした男性だ。額の見える薄紫ロングヘアーに薄紅色の瞳、そして四角い眼鏡が特徴的な男だ。

 

 頭は良いしテストの成績も十位圏内に入れる程に賢いから、文系・理系の委員会や部活に入っているかと思われるが、こう見えて体育祭実行委員の一人。でなきゃこの場にいて準備に赴いてないしな。そして部活も見た目に寄らず陸上部。文系・理系に見えて体育会系ってなんだよ。ギャップあるじゃねェか。

 

 

「……平地。お前今、失礼な事を考えていなかったか?」

 

「………………ナンデモナイデス。そ、それよりもお題だろ? 筆記用具……とかどうだ? 体育祭でそんなの持つ奴なんてほぼいないだろ? けど限られた場所でならあるだろ?」

 

「……そうだな。あるとしたら放送席とかになるし、別に見つけられる確率が低いわけではないな。採用」

 

 

 ふ、ふぅ……中間枠みたいなお題を出して紛らわすことに成功したぜ……こいつ文系と体育会系の狭間にいるんだよな。だから勘も鋭い……のか? それとも関係ない……のか?

 

 

「で、他の奴はどんなお題を思いついた? 最大であと五つ採用できるぞ」

 

「週刊少年ジャン○はどうだ?」

 

「SHI○EI○Oの香水も出してみようよ‼︎」

 

「Nintendo Switch版のド○ゴンボー○ザブ○イ○ーズとか」

 

「G○DI○Aのお菓子‼︎ 食いたい‼︎」

 

「キ○ンビールもいいね」

 

「マウスパッドも入れてみたいなー」

 

「オンラインイベントの方の借り物競走だと思ってんのかお前ら⁉︎」

 

 

 なんで不良とかが持ちそうなものが多い気がするのだが⁉︎ G○DI○Aという高級品をわざわざ外に持ってくるか⁉︎ 持ってくるにしてもお土産としてやろ⁉︎

 

 それとビールを学生も教師も持つわけないだろ⁉︎ 客の方でも酒持ってる奴は限られるし、仮に持ってたとしても運動会に持ってくるか普通⁉︎ しかも限定的やん⁉︎

 

 あとマウスパッドって何? そんなもの外に持ってくる奴一人もいないやろ。

 

 

「妥協案でなら採用しても良いんじゃないかな?」

 

 

 そう意見を出してきたのは、左の横髪の長い黒髪にライトブルーの瞳を持つ少年・楠木 誠司。ちなみにクラスは一年C組。

 

 

「逆によく考えてみなよ。敢えて条件を緩くしたお題を出しておけば、そのお題のを持っている人の中には意外性のあるものを持っている人もいそうじゃない? その方が『今度それについて調べてみようかな』って思う人も出そうだし、なんだか面白そうだし、僕も見てみたいんだよね」

 

 

 このように、皆が納得しそうな意見を出しては『確かに』と思わせることができる男だ。今でもやり易さを考えて、せっかく意見を出してくれた人達の気持ちを無下にしない姿勢を見せている。だからなのか、皆からは『正論の誠司』と呼ばれているらしい。……正論を言っているのかどうかは知らんが。

 

 

「ふむ、そうだな……確かにそういうのを持っている人がいたらその方向性での面白さというのもあるし、せっかくお題の案を出してくれた皆に申し訳ない気がしたな……」

 

 

 あっ納得してるよ友香里の奴。本当に誠司の意見は人を納得させてやれる程の説得力があるんだな。

 

 

「よし。雑誌または漫画、香水、ゲームソフトまたはゲーム機、お菓子、携帯やノートパソコンなどの端末関連のもの、これらで採用するとしようか」

 

『やったー‼︎』

 

 

 おぉ、本当に妥協案で採用してくれたか。誠司、お前はいい奴だよ……

 

 

「ただしビール、テメーはダメだ」

 

「そ、そんなぁ……‼︎」

 

 

 オイ何さらっとボーボ○パロしてんだ。確かに酒類をお題にするのはさすがにどうかと思うけどな……というかビールを発案したのが女子ってマ?

 

 

「さてと……お題は決まったことだし、借り物競走の件はこれで終わりでいいな───」

 

「終わったところは各自空いているところを手伝えェッ‼︎ まだまだやれるところいっぱいあるぞォッ‼︎」

 

「喧しいッ‼︎ 大きな声が苦手な奴の事も考えろ‼︎ お前の声デカすぎるんだよッ‼︎」

 

「じゃあこのくらいかァッ⁉︎」

 

「まだちょっとデカい‼︎」

 

「このくらいでどうだァッ⁉︎」

 

「……それくらいなら許せる。それで頼む」

 

「よっしゃ分かったぜェッ‼︎」

 

「戻ってるじゃねェかッ‼︎」

 

 

 ……いやさ、何だよこれ。ヤンキー同士の喧しいコントか何かかよ。というか友香里、お前もお前で最後の発言がうるさいんだけど。

 

 まぁいいや。幸いにも皆この喧しいコントの事を別に気にしていない人達が多いみたいだし、もうほっとこ。そろそろ別の役割を探してもらうとするか。

 

 

「でもシャミ子は華はなくとも白哉推しとちよもも推しだよね」

 

「なんだその表現はっ! 推しとか無いですから‼︎ でも桃だって私的には華があるし、白哉さんはもっとある‼︎ ……アレ、でも白哉さん推しではあるような気が……」

 

「恋人になった時点で自動的になったようなもんでしょ」

 

 

 ……と思ったけど、優子と杏里が何やら俺推しやら桃推しやらと話していたため、そっちの話に参加することにするか。どうせ原作通りミカンがすぐに人気者になるとかどうとかから始めた会話だろうけど。

 

 

「何の話してたんだよ」

 

「いやぁ、シャミ子が桃推しではあるけどそれ以上に白哉推しで───」

 

「わぁっー⁉︎ わぁっー⁉︎」「ムグッ」

 

 

 説明しようとした杏里の口を慌てて押さえた優子。まぁさっきの会話を聞いてしまったから、別に意味はないとは思うけどな。優子の事を想って聞かなかったフリはするけど。

 

 

「ち、違います……違いますよ⁉︎ こ、これはその……ミカンさんがすぐに人気者になるだろうなって話をしていただけです‼︎ ホントですよ⁉︎」

 

「あぁ、分かってるよ。お前らがミカンを見ながら何かしらの話をしていたから、そういうことなんだろ?」

 

「そ、そうです‼︎ そういうことなんですよ‼︎ 分かっていただけて何よりです‼︎ あっ。ずっと口塞いでごめんなさい杏里ちゃん、すぐに放してあげますね‼︎」

 

「く、苦しかった……」

 

 

 そりゃ第二者の許可無く何話そうとしていたのかをバラそうとするからそんな対応をされるんだよ。杏里、お前とりあえず反省しておけ。

 

 そんなことしていたら、ミカンが種目の一つのシミレーションを終えたので体調とか大丈夫かと問いかけることに。まぁ無論問題なかったみたいだが。後、校内でやることができてよかった上に、早めに馴染めてよかったと言ってくれた。それは───

 

 

「陽夏木さんが早く皆と馴染めてくれたみたいで何よりだ。俺、正直不安なところもあったものだから……」

 

「……なんでお前いるんだよ拓海」

 

「働きすぎだとみんなに言われて、無理矢理休まされているんだよ。もうすぐ再開していい時間になるけど」

 

「だと思ったよ」

 

「そ、そういや貴方あちこち回って皆の手伝いをしていたものね……」

 

 

 これはチラチラ見ていた程度だったんだけど、確かに拓海は色んなところを回っていたな。ある時は競技のシミレーション、ある時は客を歓迎させるための装飾作り、等々……こいつが協議の準備以外で止まっている気配なんてなかったな。

 

 

「この町、やりやすいわ。緩くて変な人が多いけど、みんな懐が深い。一人暮らしも気楽だし、来て良かった」

 

 

 ユ ル く て ヘ ン な ヒ ト が お お い 。それだと俺や優子も変な奴だと思っている気がして失礼だろ……となんて言ったら自責する感じでこいつの呪いが発動しそうだから、敢えて言わないようにしておこう。まぁ、聞き捨てならないことではあるから呪い発動させない程度に言い換えるけどな。

 

 

「それは変な奴しかいないの間違いだろ。拓海とか」

 

「えっ? 俺ってそういう見方されているのかい?」

 

「そうだよ。お前の自覚がないだけで性格が他の奴より濃いんだよ。良い悪いの割合では良い方がデカいけどな」

 

 

 なんだよ過保護キャラ時々ナルシストウザキャラって。過保護もナルシストも意味が違うだけでウザキャラであるとはいえ、二重人格じゃない上でこれとか充分濃いわ。それに加えて陰陽師ってなんだよ、異世界の準レギュラーか何かかよ。

 

 

「で、でも拓海の場合はその分皆に優しいし悪い人じゃないから問題ないわよ? 他の人達よりもそれが過ぎるけど……」

 

「えっ?」

 

 

 そしてお前はお前でなんでいつの間に惚気になったんだよ。なんで自分の恋に気づいちゃいましたー、みたいな感じになってんだよ。動物園の時はそんな様子見られなかったってのに。拓海に認識されたいと思うようになった脈絡、どこ?

 

 

「えっと……なんだか話が少し逸れているように聞こえますが、つまり……?」

 

「あぁ……別に貴方を守るためだけに転校したわけじゃないのよ、私が来たいから来たの‼︎ だからもう心配しないで頂戴っ」

 

「はっはいっ」

 

 

 あらま友情。青春。アオハルかよ。今の二人の笑顔を見てしまったらそう思ってしまうじゃないの。前世までサラリーマンだったせいでおじさんになった感に浸ってしまっているけど、若い子の友情を久々に間近に見れて良かった〜……‼︎

 

 

「……なんで白哉君、しみじみ思う人みたいに涙流しているんだい?」

 

「ズズッ……なんでもねェよ。ほら、そろそろ強制での休憩時間は終わったろ? 看板製作手伝おうぜ」

 

「あ、あぁ……」

 

 

 さて、看板の方はどんな感じに仕上がっているんだろうな……うおっ、クオリティが高い。しかも赤紫色の花と薄紫色の花とで分けられている。こりゃ下書きも結構大変だっただろうな。気がついたら凝りすぎて時間をかけ過ぎた、みたいな。これは遅れるのも納得だな。

 

 で、そのクオリティ上げ過ぎて完成が遅れているそれに、桃が万能すぎる手先で素早くペンキ塗りする。最早ペンキ塗り職人になってんじゃねェか。

 

 

「陽夏木さん、騎馬の上はどうだ?」

 

「ちょっと安定しないかもしれないわ。本番は背の高さが同じくらいの子同士で組むと安心ね」

 

 

 あっ、ミカンが勝弥の指揮の元で騎馬戦のシミレーションをしてる。なんで男子が女子のやる競技のチェックをしてるのだろうか……

 

 ……ん? ちょっと待てよ? この場面、この後がヤバいんじゃ───

 

 

「あっごめん⁉︎」

 

「きゃっ……‼︎」

 

「あっ……」

 

 

 と、そんな事を考えていた矢先。ミカンと騎馬になっている女子達が後ろでペンキを運ぼうとした女子とぶつかり、その衝撃でミカンが落下してしまい、頭を打って気絶してしまう。

 

 って、まずいッ⁉︎ この場面は確か……‼︎

 

 

「ミカン大丈夫⁉︎」

 

「あ⁉︎ 待って、近寄らないで‼︎ ミカンは気絶した時が一番……」

 

 

 暴発する。桃がそう言おうとした途端、ミカンから黒い瘴気のようなものが漏出し始めた。桃が魔法少女の姿になり、ミカンの近くにいた二人を守るために前に立った───

 

 

 

「防衛術・神威‼︎」

 

 

 

 その直後、拓海が三人の前に立ち、陰陽札を取り出し一気に放出された瘴気に向け、全てを吸い込ませようとするためなのか、札をミカンに突きつけた。

 

 

『た、拓海(くん)(さん)⁉︎』

 

 

 お、おま……何やってんだお前ェッ⁉︎ 呪い暴発中のミカンに間近に近づくとか、正気か⁉︎ 下手したら死ぬぞお前⁉︎ この世界はコメディジャンルだけどシリアスもちゃんとある世界だぞ⁉︎ だからその呪いでお前が死んでしまうぞ⁉︎

 

 

「クソッ……‼︎ 拓海そこから離れ───」

 

 

 

《───大丈夫ですよ》

 

 

 

 みんなが突然の出来事に戸惑う中で、俺がセイクリッド・ランスを解放させて召喚師覚醒フォームになろうとした途端、どこか少年のような高めの声が直接脳内に響くかのように聴こえてきた。えっ誰……?

 

 

《皆さんに被害に遭わせませんし、主人様にも被害を与えさせません。僕が主人様の霊術の補助しますので───》

 

 

 その謎の声が聞こえなくなったと思えば……気がついたら瘴気は全て無くなっており、ミカンが目を覚ましたのか呪いも落ち着き解除された。な、なんとかなったようだな。ハラハラした……

 

 

「ミカンさん、拓海くん、大丈夫ですか⁉︎」

 

「うう、私はもう大丈夫……そ、それよりも拓海の方は大丈夫なの……? な、なんか一番近くに来たみたいだけど……⁉︎ ま、まさか顔についているそれって……⁉︎」

 

「心配しなくていいよ。顔についたらしいこれは、血じゃなくてただのペンキだから。デカい怨霊を親父と一緒に相手にしていた経験が何度かあったから、こんなの大したことないよ」

 

 

 えっ。暴発したミカンの呪いよりもヤバいのをこれまでに相手していたってのか? そのヤバいのってなんだ……? 怖……

 

 

「まあ焦ってやったようなものだから、少しだけ神威で吸い込まず漏れ出てしまったけどそれは千代田君が防いでくれたから、ちょっとした被害も出ずに済んで問題なかったしね。千代田君もありがとう」

 

「あっ、うん……突然すぎたから突発的に杏里達を守っただけだけど……」

 

 

 まあ、原作みたいに看板がペンキで犠牲にならなかったのはいいことだけど、代わりに拓海に負担をかけてしまったから複雑になるのも分からなくもないな……

 

 

「ほ、本当にごめんなさい……」

 

「いいよいいよ、大した負担じゃなかったって──」

 

「いやいや一番近くで呪いを抑えてて大した負担にならなくないじゃん⁉︎ もう一回しばらく休んどけ‼︎」

 

「というか今日はもうずっと座ってろよ‼︎ 色々回って手伝い過ぎただけでも疲労感強そうだってのに、これ以上動かれるといつかお前倒れそうでこっちも困るわ‼︎」

 

「えっ。あっ……わ、分かった……」

 

 

 そりゃあなぁ……ここまでやってもらったらさすがに心配されるわな……

 

 この後みんながミカンをフォローしたり身の安全を心配したりしていたが、それでも案の定ミカンの表情は罪悪感で落ち込んでいた。あそこからどう立ち直させればいいのだか……

 

 にしても、あの時に聞こえた声は一体何だったんだ……?

 

 

 

 

 体育祭の準備にキリがついて帰ることになっても、ミカンの表情は曇ったままだった。優子がフォローの言葉を掛けたものの、みんな好きになったという本心を交えながらも『これ以上傷つけたくない』『今感情が動くとどんな呪いが飛び出るか分からないから近寄らないでほしい』という想いも呟くほどに。

 

 まぁ……ミカンのメンタルがそこまで崩れてしまうのも無理はない。幸いあの場面に桃と拓海がいたから悲劇は起きなかったのだし、寧ろ呪い暴発中の彼女に近づき呪いを止めようとした拓海が一番命の危機に陥っていたものだからな……俺でも深い責任を負ってしまう。

 

 ミカンの呪い。その呪いとなる前に生まれた使い魔は、最初は彼女を悪の心から守るために呼び出された。その使い魔は最初は少しだけミカンと会話することができたものの、召喚の仕方の失敗に応じて歪となってしまい、抑えようにも気が緩めば誤った力を引き出させてしまう……らしい。

 

 もしも十年前に桃と桜さんがミカンのところに来ていなかったら、その使い魔はさらに歪な力を振るってしまっていたことだろうな。そういったもしもの事もあるから、責任を負わずにはいられないだろうな……

 

 とりあえず、落ち着いたらまた話そうということで解散することになったわけだが……俺はあの時、本当にあのままミカンを独りにさせておいてよかったのか? ただでさえ呪いを暴発させてしまったことの自責があるってのに、それに加えて拓海に最も危険性のある被害を与えてしまう可能性もあった恐怖を持つようになってしまったってのに……

 

 ………………ハハッ、なんだか情けねぇな。展開を知った上で、イレギュラーな現象までも恐れて何もしてやらなかっただなんて……まるで俺の家族までもが桜さんとの関わりがあることを知って、桃に最初何も声を掛けてやれなかった時みたいじゃねェか。俺、こういう面はまだ成長していないかもな……

 

 

【いつまでそんな暗い顔してるメェ〜】

 

 

 メェール君のそんな呼び声が聞こえたのと同時に、俺の心に刺さっていた棘のようなものが焼き焦がれていたように感じた。ふと振り向けば、メェール君が淡い光を放ちながら、両手をこちらに向けているのが見えた。

 

 

【前に知ったメェ〜よね、マスター? 僕は少量での回復魔法を使えるって。実はこれ、身体だけに飽き足らず、物体などの生命を持たないものや曇り気味な心身……などといった様々なものを回復させてあげることができるんだメェ〜。……全部とは限らないし、連続ではできないけど】

 

「……マジで?」

 

【マジだメェ〜】

 

 

 ………………ウッソだろお前⁉︎ 回復魔法を与えることのできる対象が生物だけじゃなくて、物とか人の心とかまで含まれているのか⁉︎ 回復できる量が少ないだけで対象の範囲が広いとか、一体どんな修行したらそんな魔法が手に入るんだよ⁉︎

 

 

【……マスター。人が何かに恐れるなんてことは当たり前の事だメェ〜】

 

 

 えっ?

 

 

【人というのは、何かに恐れた後は成長していくものだメェ〜。また同じ現象が起きてしまった時の事……対処法などを考えることができるし、それが別な事に役に立つ場合だってあるんだメェ〜。……そして、今もチャンスじゃないかメェ〜?】

 

 

 チャンス? 今が?

 

 

【後悔先に立たずってことわざがあるメェ〜けど、今回に限ってはまだそういう結果にはなっていないメェ〜。だったら後悔するよりも逆に考えるんだメェ〜……させてあげることができなかった分のチャラを、これから行う自分なりの想いで上書きしてやるんだって】

 

「………………‼︎」

 

 

 ……そうだった。今ならまだチャンスがあるじゃねェか。幸いにもこの後の原作イベントなら尚更。先程差し伸べてあげられなかったこの手を差し伸べても、まだ取り返しがつく。苦しみを抱えたままの状態のミカンを放っておいて、優子と桃に任せっきり……なんてことをしてたまるか。俺は俺なりの対処法で、あいつ()を救ってみせるんだ‼︎

 

 思い立ったが吉日。そう自分に言い聞かせるかのように、机に置かれていたストラップ状態のセイクリッド・ランスを手に取り、俺は急いで玄関に行き靴を履き始める。

 

 

「ありがとうなメェール君、それじゃあ行ってくる‼︎」

 

【待つメェ〜】

 

 

 メェール君はそう言って突然俺の左肩の上に乗り始めた。何これ、サ○シのピ○チュウ? 可愛い。

 

 

【僕も行くメェ〜。僕の魔法ならミカンちゃんの心を安定させることができるし、何よりそろそろマスターの援護をしたいメェ〜】

 

「メェール君……ありがとう」

 

 

 やっと気づいたよ……優子みたいにこういう素直で優しい子ほど頼れる存在はいないんだってことに。

 

 この後俺と同じ事を考えていた優子と桃に鉢合わせし、三人揃ってミカンのいる部屋に突撃。彼女にこれから夢の世界に入って使い魔と話をつけに行くと宣言した。

 

 ………………のはいいんだが、なんで拓海までミカンの部屋にいるの?

 

 




シリアスに突入したので、しばらくほそく話はお休みです。

その代わり、今回登場したオリ男達(勝弥のみ前回から登場)の画像を出します

左上:広瀬勝弥(創作男子ごった煮メーカー)
右上:青嶋秀(香椎男子)
左下:南雲友香里(お隣男子メーカー)
右下:楠木誠司(はりねず版男子メーカー2)

【挿絵表示】


気合いを入れている時の秀

【挿絵表示】




ちなみに次回は展開の都合上、水曜日に投稿いたします。
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