偶に愛が重くなるまぞくと、愛されてる男のまちカド物語   作:名無しのモンスター

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非常識な力を持つ者は迫害するよりも仕事を与えるべきってことで初投稿です。

今回はとある原作キャラと邂逅するまでの戦闘回となります。

あとしれっとまたオリキャラも出ます。


非常識な力を持つ者ほど頼れる奴はいない、そうに決まっている。 ♦︎

 

 ミカンを呪いから解放させるRTA、はーじまーるよー(RTAをするとは言っていない)

 

 原作通りとかどうとかって勝手に言い訳しておいて先程何もしてやれなかった分、それをチャラにする勢いでミカンを救ってやるぜ‼︎ 恋人の優子を筆頭に桃と一緒になァッ‼︎

 

 ちなみに何故ミカンの部屋に拓海がいるのかを本人に問いかけたところ、たとえミカンの呪いが発動する恐れがあったとしてもそのままにする気にはなれなかったのと、自分がミカンの為にしてきたことが結果論としてあまり意味がなかったことに対する謝罪をするためだそうだ。

 

 まぁ、こいつの事だから何かしら考えているだろうなとは思っていたけど、まさか直接会いに来たとは……こいつの考えていることが俺達の斜め上に行くの何なのさ?

 

 と、そんな事を考えている間に優子が自分達が何をしようとしているのかを説明することに。

 

 ミカンの中にいる存在──使い魔は最初はお話もできたとのことなので、彼女の心の中に突撃潜入し、説得を試みるとのこと。その説得の試み方が新聞勧誘みたいなものなんだけどな……

 

 ちなみに俺と桃は優子の護衛。相手側が話し合いをする気ない場合に優子を守るための戦闘要因として働き、相手側が話し合いしてくれる状態になるまで粘ろうって寸法だ。まぁ桃は物理説得する気満々だったけどな……

 

 

「ちょっと待ってくれないか? 護衛が必要だということは、それほど危険な賭けをするということかい?」

 

『はっきり言って危ないな。ミカンの許しがあれば心の中にすんなり入れるが、ミカンについてるやつからすればこやつらは侵入者。何をされるか分からん』

 

【一応僕が精神回復の魔法を外部から掛けて心を安定させて、呪いの安定化を図るメェ〜けど、それでも羽休めになりかねないと思うメェ〜。心の中に入った人数が多い、ましてや強い魔力を持った者ほど警戒されやすい可能性も高いメェ〜からね。悪魔が魔力を察知してしまえば、の話メェ〜が】

 

 

 そう、これはかなり危険な賭けだ。現実世界で行うものではないから死にはしないとはいえ、もしも精神との繋がりのある世界で戦う羽目になってしまえば、そこで命を落とすような事態になった時に後遺症を患ってしまう可能性があるのだから。

 

 だからといって、そのリスクを恐れても全然前に進めない。だから賭けるのさ、何もかもが成功するという可能性に。

 

 

「……なら、わざわざやらなくていいわよ‼︎ 今までだってそれなりに呪いと付き合えてきたし……」

 

「ダメです‼︎ 配下の状態異常の管理も闇の女帝の仕事だ‼︎ 人が集まる魅力的な闇の組織になるために……独自の福利厚生で差をつけます‼︎」

 

「改造や洗脳に殺戮などといった人の心身を抉るようなこともせず、逆に夢の世界に赴いてのカウンセリングも万全に整えていく、ホワイトでアットホームなベンチャー企業にするつもりらしいぜ」

 

「「闇の組織とは?」」

 

 

 喧しい。フリー○軍だって上司であるフ○ーザに対するとんでもない失言や反逆さえしなければ、殺されないどころか上司が部下のミスのケアをしてくれるんだよ。そう考えれば悪の組織にもホワイト感があるでしょうが。

 

 

「シャミ子はミカンを助けたいって……私も同じ気持ち。多少危険を冒しても帰ってこれると信じてほしい」

 

「無論、俺もその気でいる。もうこれ以上、お前に苦しい思いをさせたくないからな。安心しろ、夢の世界に関するヤバい出来事は三人とも経験済みだからな。だから信じろ、お前を絶対に安心させられる結果を残して帰って来てやるからよ」

 

「………………分かったわ……でも……くれぐれも無理はしないで」

 

 

 よし、笑顔でサムズアップしたからなんとか原作通り了承を得ることができたぞ(絶対これだけのおかげではない)‼︎ よし、んじゃあ早速桃には闇堕ち安定剤を飲んで、というか食べてもらって……

 

 

「待ってくれ」

 

 

 と、ここで突然言葉通り待ったをかけてきた者が。拓海だった。いや、なんだよ突然? いくら俺らの事が心配だからって、お前まで止めに入らなくても……

 

 

「君達の言う夢の中への潜伏……それは俺にもできないのか?」

 

「「「えっ?」」」

 

 

 まさかの私も同行するな感じ? あっいや、別に一緒に来てくれる奴が多いことに越したことはないだろうけどさ……その、何というか……いつもの感じで俺達を助けようとするのはさすがに……

 

 

「……俺は、陽夏木さんだけじゃない。自分自身が後悔するような結末なんて見たくない。俺は決めたんだ、陽夏木さんのもう一つの心でもあるだろう呪いに立ち向かうんだって、その呪いと向き合ってみせるって。だから……君達が呪いに対して何かしようとしているのを黙って待つなんてこと、俺はしたくないんだ。だから、できるのならば俺も最悪シャミ子君の護衛に回らせてくれ。この通りだ」

 

「僕からもお願いします。どうか……主人様の頼みを聞いてやってください」

 

 

 そう言って深々と頭を下げる拓海達。そっか……お前もさっきの呪いの暴発の事で、というよりはミカンの事でかなり思うことがあるんだな。それでこれまでよりもちゃんとミカンの呪いと向き合おうと決めたのか。

 

 ……こいつの意志を無下にはできないし、陰陽師の力も中々の強さを持ってはいるんだろうけどなぁ……。夢の世界でなら死なないとはいえ、こいつは夢の世界で意識を持って動くのは初めてだろうし、精神に負担を受けてしまう可能性も考えると、なんだかなぁ……

 

 

「待て、拓海の隣で一緒に頭下げてる奴。誰だお前は」

 

「えっ。いつの間にそこにいたんですか?」

 

 

 なんか俺達の気づかぬ内に出てきた奴がいるんだけど。しかも良子ちゃんみたいな身長の子なんだけど。俺よりも明るみのある銀髪、右前髪に黒い髪留め、右目が赤で左目が水色のオッドアイ、そして頭頂部に小さい猫のような耳、そしてそれが見えた案の定なのか猫の尻尾がある。何この男の子なのか女の子なのかも分からない子は。

 

 

「ね、猫……? 猫だ……猫がいる……ッ。ね、ねぇ……ちょっと撫で撫でしてもいいかな……?」

 

「えっ?」

 

「桃、今は猫好きモードになるのやめてください‼︎」

 

 

 桃が顔を赤らめて両手をワキワキとし、ハアハアと息を荒げながらその子の頭を撫でようとする。その表情と息で明らかに犯罪臭がヤバすぎるし、その手の動きからしてどう見てもとある部分を揉もうとしてへん? もしもしポリスメン?

 

 

千代田君、ステイ

 

「アッウン」

 

「た、拓海……なんか顔が修羅になってないかしら……?」

 

 

 そして拓海がガチでこの子に近づくな、みたいな表情をしているんだが……しかも人が絶対にできない形相になっているんだが……この子の事がそんなに大切なのか……?

 

 

「あぁ、皆さんに僕の姿をお見せするどころか、皆さんの目の前で喋ること自体初めてでしたね。はじめまして、僕の名前は蓮子(はす)。『れんこ』という漢字で『はす』と呼ばれてます。主人様である拓海様に仕える式神で、性別は男です」

 

 

 あっ、自己紹介してくれた。『蓮子』で『はす』って言うのか……紛らわしい名前だな。しかも女の子にも見えるのに男の子って……もしやこの子は男の娘ってヤツか? そういうのって需要はあるかもしれないだろうけど、なんだかなぁ……

 

 というか。

 

 

「式神がいるとか、俺達聞いてないんだけど」

 

「そもそも主人様は自分が陰陽師であることをずっと隠して生きていましたからね。……夕日が落ちる頃合いで皆さんを庇うためにお使いしてしまったみたいですが」

 

「ウッ……」

 

蓮子(はす)。陽夏木さんはそれを気にしているんだ、言わないでやってくれ」

 

「失礼しました、決して嫌味があったわけではありません。主人様の性分の事も考えて発言しただけですので、あしからず……」

 

 

 きちんと頭を下げて謝罪をしているとはいえ、その言い方からしたら絶対何か思っているように聞こえるんだよなぁ……あの時の事、そんなに不満だったのか?

 

 ってか、なんかどっかで聞いたことのあるような声だなーって思ってたら、思い出した。この子、拓海が呪いを抑えていた時に直接脳内に響いた声とそっくり……というかあの声そのものじゃねーか⁉︎ ってなんで驚いてんの俺⁉︎ 何に対してのビックリ⁉︎(混乱中)

 

 

「……オホンッ。主人様が皆様と共に夢の世界へ赴く件についてはご安心ください。主人様が陰陽札を所持している限り、式神である僕は主人様がどの世界にいようが指示されればいつでもその世界に現界し、いつでも主人様の足りない霊術の力の補強を致します。主人様は以前霊界に赴き僕を呼び出していただいた経験がございますので、確定でいつでもどこでも主人様を援護致しますので、力の方も含めご心配なく‼︎」

 

「「「「いやそもそも霊界に赴いたって何⁉︎」」」」

 

 

 ちょっおまっ、拓海は陰陽師の仕事をしていたんだよな⁉︎ なのに一時異世界に行って来ましたって何だよ⁉︎ 謎のビックリよりもこっちの方がビックリだわ‼︎(当たり前)

 

 

「……とにかくだ。俺はここで何もしないわけにもいかないし、足手纏いにもならない。だから改めてお願いしたい。一緒に、行かせてくれ」

 

「僕からも改めてお願いします。どうか主人様の友人を救う手伝いを、我々にも……」

 

 

 そう言ってまた深々と頭を下げる拓海、と式神の蓮子(はす)。本当にこの子が式神なのか、本当に俺達みたいに拓海を強くできるのかどうかは分からないが、役に立ちたいという強い意志があるのは確かだな……よし。

 

 

「………………かなり危険だと分かった時には、すぐ現実世界へと避難させるからな。みんなもそれでいいか?」

 

「……私は賛成です‼︎ 拓海くんがミカンさんの事を想っている意志を無駄にしたくありませんし、拓海くんの陰陽師の力を改めて見たいし、蓮子くんが一体どんな力を使うのかも気になるし‼︎」

 

「半分お前が拓海達に対する興味本位があるだけじゃねーか⁉︎」

 

「わ、私の事を想ってって……」

 

 

 興味本位があるだけで同行に賛成するとかどうなのさ⁉︎ 彼の身の安全の事も考えろよ⁉︎ それとミカン、お前は何頬を赤らめてんの? 赤らめる要素、どこ?

 

 ※この時の白哉はシャミ子が言っていた『拓海がミカンの事を想っている意志を無駄にしたくない』の意味を理解する時間を、シャミ子の興味本位に対するツッコミで削ってしまいましたのでご了承ください。

 

 

「私も賛成かな。拓海くんの強さはあの時ので多少確信しているし、何かあったらすぐにこっちに返すというなら拓海のリスクは大きくないだろうしね」

 

「わ、私も……‼︎ こんな私の事をここまで心配してくれたのなら、さすがに断れきれないってのもあるけど……それ以上に拓海の意志を、私は絶対に無駄にしたくないって思えたものだから……」

 

「「……あれ?」」

 

 

 あれ? なんかおかしいぞ? 桃が賛成したのはともかく、ミカンも賛成の意見を述べていた時、拓海の方をチラチラと見ていたぞ? それも罪悪感がある方のチラチラってわけじゃないし。

 

 あれれ? もしかしてミカンの奴、拓海の事が……

 

 

「桃……もしかしてミカンさん、拓海くんの事を意識するようになっていませんか?」

 

「私もそう思った。寧ろこれは……なんだろう、柘榴といる時の私と重なってしまっているんだけど、なんで?」

 

「そこは俺達じゃなくて自分自身の胸の内に聞け。っていうか今この場でヒソヒソ話やめろ、その話してるのバレるだろ。特にミカンにバレたらヤバい」

 

「「アッハイ/アッウン」」

 

「「……?」」

 

 

 あっ。怪しまれてはいるけどバレてはいないようだ。ミカンにも、拓海にも。よかったよかった……いやよくなかったわ、怪しまれた時点で。無暗にヒソヒソ話はしてはいけない、はっきりわかんだね。

 

 

 

 

 

 

 拓海の同行も決まったってことで、早速ミカンの夢の世界へ赴く準備に取り掛かることに。とはいっても、桃が闇堕ち安定剤を飲むだけなんですけどね。小倉さんが作った噛んで服用OKなその薬は『じょりっ』という不吉な音がする上に泥とゴミを煮しめた味がするという……桃、お前泥やゴミを食ったことあるのか? どんな体験をしていたねん。

 

 その間、ミカンに憑いている悪魔についての情報を聞くことに。ミカンの家族はその悪魔の事を『ウガルル』と呼んでいるらしい。

 

 リリスさん曰く、ウガルルはメソポタの怪物で、門柱などに姿を彫り込むと家を悪から守るっていう伝承があるとのこと。神話の時代の本物ならミカンのよりもさらにパワーを持つらしいが、彼女の父親は似せた形の依代に簡単なルーチンをする使い魔をつけ、彼女の護衛にしようとしていたようだ。

 

 使い魔は基本、簡単なことしかできない上に意志も持たないらしいが、ウガルルの場合はミカンの魔力を糧にして思ったより複雑な存在になってしまい、家族でも制御不能になってしまったようだ。

 

 召喚の仕方の些細なミスがとんでもない誤算となり、返ってミカンを苦しませる羽目になったってわけか。改めて聞くと使い魔の召喚も慎重にならないとアカンのだな、俺も今後新しい召喚獣を呼び出すことになった時は気をつけないと。増えるかは知らんけど。

 

 とりあえずウガルルの特徴がなんとなく分かったということで、早速布団を敷いて五人(と式神一人)で一緒に寝ることに。そしてメェール君は寝ている俺達に向けて回復魔法を与え、精神世界でのダメージを抑えてもらうことに。ところで布団、必要か? グッスリ寝るのに必要かもしれないけど。

 

 

 

 

 

 

「………………んあっ?」

 

 

 あぁ、どうやらミカンの夢の中に入ることに成功したようだ……って、なんじゃこりゃあ⁉︎ 地面がドロッドロ模様じゃねーかっ⁉︎ うわっ⁉︎ 景色もなんかどんより感が出とる⁉︎ 優子の夢の中とは大違いすぎるやろ⁉︎

 

 と、とりあえず召喚師覚醒フォームになっていつでも臨時体制に入れるように……あっ、もうなっていたみたいだわ俺。口上無しに変身できるようになるって、これどうなんだろうなぁ……ちょっと虚しいような、何というか……

 

 ムニュッ

 

 

「え ゙っ ゙?」

 

 

 今、何やらこの場で感じるのに相応しくない感覚が左手から伝わってきたんですが……しかもなんだか馴染みのある、というか馴染みすぎている感覚が……

 

 とっ……とりあえず左手のある方向に見下ろすとするか。もしかするとこの世界の地面の感触かもしれないから、すぐさま手を引っ込ませる必要もあ───

 

 

 

 我が左手、危機管理フォーム状態の幼馴染の右胸を揉んでいたで候。

 

 

「あっ………………びゃ、白哉、さん……そ、その……お、おはようございます……ッ」

 

 

 しかも本人は既に目を覚ましており、真っ赤な顔で苦笑いしておりまする。

 

 

 

「いやっちがっこれはっそのっ気が付かなかったっというかっ不可抗力ってなだけでっ」

 

 

 すぐに手を離したものの、突然すぎたせいか上手く呂律が回らんっ……チクショウ、なんで最近優子が危機管理フォームになっている間、彼女に対するラッキースケベが起きてしまうんだ……これが彼女の悠久なる眷属になった者の代償だってのかよッ……‼︎

 

 

「………………もう少し手を離さなくてもよかったと思いますが……」

 

 

 そしてなんでお前は寂しそうになるんだよ。めっちゃ恥ずかしがっている顔してた癖に。今はこれ以上を期待すんなよこっちの心臓が持たないから。

 

 

「シャミ子! 白哉! よかった、二人ともそこにいたんだね」

 

 

 と、そんなやりとりをしていたら桃がこちらに駆け寄ってきた。案の定というべきなのかダークネスピーチの格好をしており、さらに右手には漆黒と言っていい程の黒さを持つ日本刀が。鍔が桜になった天○斬月か?

 

 

「も、桃か。お前も今のところ無事だったんだな」

 

「うん。後は拓海くんの行方がわかるといいんだけど……二人とも、あまり視界が良くないし私から離れないで……」

 

「⁉︎ なんだその武器、ばりかっこ良ッッ」

 

 

 あらま、漆黒カラーの日本刀なんて厨二病感が強すぎるんよな。そりゃあ過剰に反応して興奮するよな。そして尻尾、荒ぶりすぎ。

 

 

「……どうしてそんなに興奮しているの」

 

「まぞくの癖に刺さるからです‼︎ 見せてーっっ‼︎ 構えてみてーーーっっ‼︎」

 

「刃に寄るな危ない‼︎ 若干離れてっ‼︎」

 

「ごめんなさい調子乗りましたッ‼︎」

 

 

 興奮しすぎて桃に近寄ったら、刀振るわれて無理矢理距離を離される羽目に。いや桃? いくら離れてほしいからって刀を振るうなよ、優子に刃が当たったらどうすんだよ───

 

 

 ムニュウッ

 

「「と ゙ぅ ゙う ゙ぇ ゙っ ゙⁉︎」」

 

 

 おっ……胸が、即座に桃から離れた優子とぶつかって胸が……俺の身体にぶつかって……ッ‼︎

 

 

「あっうっごっごめんなさい……ね、狙ってこんなことをしているわけではないので……あうぅっ……」

 

「えっあっいやっそれは、分かっていることだから……お前は悪くないぞ……?」

 

 

 チクショウ、桜さん秘密の泉の時と同じく一日に二回もラッキースケベに遭ってしまうとは……ッ‼︎

 

 危機管理フォームになってない優子の隣にいた時はラッキースケベなんて桃と初めて会った時しかないのに、なんで最近危機管理フォーム状態の優子に対してラッキースケベが起きるんだよ……ッ‼︎

 

 しかもよく考えてみたら、前回のラッキースケベが一日に二回のヤツで、今回も一日に二回とか……最近厄日が続いてんのか……⁉︎

 

 

「………………計画通り」

 

 

 おいコラこの自分は恋愛クソザコのくせに他人に対しては頭ピンクになる矛盾(?)魔法少女が。お前狙ったな? 優子が回避した途端に俺にぶつかるだろうなと予測して狙っていたな? 確信犯がこの野郎……ッ‼︎

 

 

「と、とりあえずまずは拓海と蓮子を探そうぜ。夢の世界だからなのか、ここに来れたとしても桃みたいに別の位置にいるかもしれないし───」

 

「呼んだかい?」

 

「僕達はここですよ」

 

「うおっビックリしたっ⁉︎」

 

 

 優子が離れてくれた途端、ふと背後から男性の声が聞こえてきた。ビックリした反動でそっち方面に振り向けば、そこには予想した通り拓海と蓮子の姿が。

 

 って、アレ? 拓海の服装、なんか変わってね? 陰陽師特有の衣装である狩衣を着ているし。普通のと違うところは赤い部分が全て青色なのと烏帽子を被ってないところだけだし……

 

 

「た、拓海くん‼︎ 無事だったんですね、よかった……って、アレ? なんか、先程までと服装が違くないですか?」

 

「あぁ、これは───」

 

「これは主人様が陰陽師の仕事を成す為に着替えた……というよりは変化した狩衣です。陰陽札を用いて即座に変化が可能で、これも主人様の霊力の安定化・強化を図るのに必要な過程となっております」

 

 

 あぁ、なるほど。桃やミカンが変身バンクを使用して魔法少女になるのと似たような感じに、拓海も陰陽札であっという間に変身できるのか。しかも霊術を安易かつ確実的に発動しやすくする為の必須アイテムらしいな。はえー、そんなものまで持っているんだな拓海は。

 

 

「……主人の説明に割り込んで勝手に説明とかやめてくれないか?」

 

「し、失礼しました。つい……」

 

 

 あっ、蓮子が怒られた。主人が説明しようとした時に代わりに説明してしまったから怒られた。主人の為に良かれと思ってやろうとしたタイミングを間違えたんだな、ドンマイ。

 

 

「ま、まぁとにかく。拓海くんと蓮子……ちゃん?とも合流できたことだし 「まだ僕の事を女の子だと?」 とりあえず進もうか。どっちに行ったらいいのかな」「僕の質問、聞こえてます?」

 

「とりあえずミカンが何処にいるのかが分かればいいんだけどな……優子、なんとかの杖でミカンのいる場所が確定できるようなヤツに変形できるか?」

 

「なんとかやってみます! 方向決めの杖ー‼︎」

 

 

 なんとかの杖、木の枝に変身。いや木の枝て。原作でもその姿に変形したとはいえ、そんなものでミカンのいる場所が分かるわけ───

 

 

「ヘイ方向決めの杖! ミカンさんがいる場所は何処ですか⁉︎」

 

 

 なんとかの杖、アレク○の代わりにしてる?

 

 

「Si○iか何かなの……?」

 

「なんかおふざけにしか見えませんが……」

 

「……の割には聞かれた後一人でに動き始めたみたいだけどね」

 

《右方向です。その先○○○m先道なりです》

 

「しかもナビ付き」

 

 

 えっ。えっと……これは優子の発想力が原作よりは良くなった、と捉えるべきなのか……? なんかナビみたいに音声が出ているし、距離も細かい感じに教えているみたいだし……

 

 あっ。

 

 

「いや、ちょっと待ってくれ。よく考えたらそれをワープ機能のある杖に変形させればよくないか? そうすれば一瞬にしてミカンのところへ───」

 

『待て。ここだと無闇にワープすることはできぬぞ』

 

 

 うおっビックリした⁉︎ リリスさん突然直接脳内に話しかけないでくれません⁉︎

 

 

『視界が悪くなっていることは既に認知済みだろう? これは恐らくミカンのエーテル体に溶け込んだ呪いの成分のせいだろう。そんなところで勘でワープしようにも、下手をすれば入ってはいけない位置にワープしかねないぞ。ここは方向決めの杖の指示通り歩きながら、目視で問題のありそうな箇所を探すのだ』

 

「りょ、了解っす……」

 

「リリスさん、今日は一段と頭が冴えている……」

 

『いつもは頭が悪いみたいに言うな‼︎』

 

 

 リリスさんが桃にディスられたものの、俺に対して正論をブッパしてきたのは正しい。確かにこんなどのような異変が起きるのかも分からない世界で、闇雲に何かしらの行動をするのは危険だよな。もっと情報を集めてからじゃないとな……

 

 というわけで、結局方向決めの杖の指示通りに歩いていくことに。途中で優子がなんとかの杖をおやつタイムの杖に変形させて菓子を召喚したが、皆が皆気が抜けないので後で食べるとのことで拾われるだけとなった。

 

 で、しばらくしたところで、ついにミカンを見つけることができた。が、今の彼女の状態は明らかに普通ではない。柑橘色の光の球体の中で未だ眠りについている彼女を、特濃の黒い霧が覆っていた。

 

 

「もしや、あの黒い霧が陽夏木さんを……」

 

「そうだね、あれがミカンを守る力場の本丸だと思う。まずは遠くからコミュニケーション取れるか試してみて」

 

「じゃあ私がやってみます……‼︎ エクスキューズミー。あいわんびーゆあふれんど! うぃーあーざわーるど! あいはばかしおーり!」

 

 

 おい待てや。コミュニケーションを取ろうとしている方法がおかしいでしょうが。

 

 

「よく考えてみろ優子、外国由来の奴でも別に日本語でも通じるだろ。日本人に召喚されたようなもんだし」

 

「よ、よく考えてみれば確かに……」

 

「「「ツッコむところそこ(ですか)?」」」

 

 

 原作知識を知っているけど下手してそれ言って今後の事に影響する可能性もあることを考えると言えないな、と考えていたら、やっぱりかと言った出来事が起きた。黒い霧が伸びる刃の如くこちらへと迫ってきた。

 

 

「やっぱり襲ってくるか‼︎ 時間稼ぐから説得試して‼︎」

 

「なら守りも刺激しすぎないように、だな……光の壁よ、散りばめ‼︎ シャイニング・ウォール・ビット‼︎」

 

「蓮子‼︎ 君も陰陽札を操って守備態勢に‼︎」

 

「了解です‼︎」

 

 

 桃が刀を振るって斬り裂き、俺が透明なガラス板みたいなキラキラに輝く結晶で全部が砕かれるまで弾きまくり、拓海と蓮子は霊力であろう青いオーラらしきものを放つ陰陽札を浮かせながら俺達の周囲に配置する。とりあえずこれで守備態勢は整った。後は優子の説得が通じれば良いのだが……

 

 しかし、説得は無意味に等しかった。今のウガルルは依代を無くして存在が溶けてしまっており、視覚も聴覚も失われてしまっている。そして認知できない魔力の気配により、その魔力を感じる方向へと反射的に襲い掛かるようになっていた。

 

 だからといって黒い霧を散らしすぎるのも良くない。使い魔として寄生されているため、霧を払う毎にミカンの魔力も削れて彼女がコア状態になる可能性が高くなってしまう。となるとここは……

 

 

「霧が抵抗出来ぬよう、俺達で全部集まる必要があるな。凌牙、召喚‼︎」

 

 

 そう叫びながら俺が呼び出したのは、全長十メートルもある水色のサメ・凌牙。牙がめっちゃ鋭いが、無闇に何もかもを噛む習性はないため普段は無害な奴です。

 

 

「凌牙、あの黒い霧を消さないように巻き上げてくれ。攻撃できない状態にして、なんとかあの霧の発動者との会話に持ち込みたい」

 

『了解、あーしに任せなさいな‼︎』

 

 

 言っておくがこのサメ、名前が凌牙と男性っぽいのに、性別はメス。れっきとしたメスである。しかし当の本人は名前に対するコンプレックスなど持っていない模様。カッコいいと思って気に入っているのか……?

 

 そんなことを考えている中、凌牙が突然尻尾をブンブンと振り回し始めた。するとこちらに襲いかかってきた霧が、次々と風を巻き上げるように尻尾の周りに絡まっていく。

 

 凌牙の能力。それは動き回ることで風と水の力を同時に操る能力である。風の力か水の力のどちらかのみを操ることも可能で、状況に合わせてどちらかか両方の力を操れるなんて賢いな。

 

 

『こんのっ……なんで全部巻き上がらないのかしらねっ⁉︎』

 

 

 ……ん? ちょっと待てよ? なんか、巻き上げきれてなくないか? 本人もそういった感覚はあるみたいだし、これはちょっとやばいか?

 

 

「白哉君にばかり負担を掛けさせない‼︎ いくぞ蓮子‼︎」

 

「了解です‼︎」

 

「「防衛術・誘導藁‼︎」」

 

 

 そこに拓海と蓮子が援護に回る。二人が陰陽札を用いて呼び出したのは、等身大の藁人形。それらは各々一人でに浮遊し、霧の周りを蚊や蠅のように素早く動き回る。

 

 その人形にも魔力を感じたためか、黒い霧は藁人形に目掛けて襲い掛かる。その内の一体を捉えた方が、その人形の心臓部とも言える身体に当たり、そのまま藁の身体を貫───かれることはなかった。霧自体に物体を貫通する力が無いのか、藁が硬すぎるのかは定かではないが、その霧は藁に弾かれるだけだった。

 

 

「……いやあの藁硬すぎませんか⁉︎ 今の絶対心臓直撃ですよ⁉︎」

 

「僕の霊力で内部をコーディングしていますからね、ちょっとやそっとじゃ割られませんよ。それに近くから魔力に近いものが近づかれたら、大抵のはそっちに集中することでしょう」

 

「見て判断ができないのなら時間稼ぎにはいいのかもしれないね。……でも」

 

 

 それでも、と呟きそうな程の苦い表情を浮かべる桃。何故彼女がそんな表情を浮かべるのか、理由はただ一つ。

 

 

「対応し辛いってわけではないけど……明らかに数、というよりは量が多すぎる……ッ‼︎ これじゃあミカンを解放してあげられるのも時間の問題だ……ッ‼︎」

 

 

 そう、黒い霧が俺達が想像している以上に厄介なものだったのだ。

 

 先程供述した通り、存在が溶けてしまったウガルルは感じ取ったことのない魔力に反応して俺達に襲いかかっている。そしてその魔力を持つ者は俺達六人もいる。そのため、俺達に抵抗しようとする意思が霧=己が魔力に比例するように増大しているということだ。

 

 このままではウガルルとの会話をすることも出来ず、只々時間が過ぎるだけだろう……このままでは、な。このジリ貧となり得る状況を打破する方法を思いついた者が、ここに一人いた。

 

 

「………………………………皆さん、もう少し時間を稼いで……溶けたものを固める、武器を作ります」

 

「「「『えっ……⁉︎」」」』

 

 

 そう、優子である。彼女の算段からするに、黒い霧を一斉にミカンの身体から引き剥がしながらかき集め、それらを結合させてウガルルの依代を復活させるつもりだ。それを可能とする武器、それを彼女は記憶から掘り起こしたようだ。

 

 

「……今ならなんとかの杖を変形させられる余裕ができるはずだ。見せてやれ優子、この状況を打破する究極の武器をな」

 

「はい………………ずるい武器。

 

 

 

 (あめの)……沼矛(ぬぼこ)〜〜〜っ‼︎」

 

 

 

 天沼矛(あめのぬぼこ)。別天津神たちに漂っていた大地を完成させることを命じられた伊邪那岐(イザナギ)伊邪那美(イザナミ)の二柱の神に与えられし、日本神話の矛。渾沌とした大地をかき混ぜ、矛から滴り落ちたものを積もらせたことで、神々が初めて作った島・淤能碁呂島を生み出したと言われている。

 

 その神秘的な槍が、優子の手によって再び生成され、一時的な復活を遂げた………………ご家庭で料理する時、何かをかき混ぜるために必要なあの形となって。

 

 

「えっ……泡立て器⁉︎」

 

「泡立て器だ⁉︎」

 

『泡立て器でしょそれ⁉︎』

 

「泡立て器だよね⁉︎」

 

「……泡立て器かよ」(棒)

 

 

 とりあえず知らないフリしてツッコミ入れとくか。怪しまれそうだし。というかみんなして同じツッコミするのね。

 

 

「混ぜものはこれが最適解‼︎ これでこの霧の存在を固めてミカンさんと分離します‼︎」

 

「大丈夫⁉︎ その見た目で本当に大丈夫⁉︎」

 

「……まぁ、なんとかの杖の性能なら無問題だろ」

 

 

 つい適当な解釈をしてしまったものの、効果は見た目に反してかなり覿面。優子が物を混ぜるように天沼矛(という名の泡立て器)を回せばアラ不思議、凌牙が尻尾を回した時よりも多い量の霧がまとまってきたではないか。しかもこれを続けていく内に段々と景色が晴れ、橙色の景色が見え始めていく。

 

 つまりこれはどういうことか? 見た目を現代に合わせているだけで、能力は本物かそれ以上であるということだ。知らんけど。

 

 

『くぬぅぅぅ……‼︎ マスターの奥様に負けてたまるものですか‼︎ フンッフンッフンッフンッフンッフンッ───』

 

「ストップ、おつかれ、もう十分頑張ってくれたぞ」

 

『えっ、そんなぁ⁉︎』

 

 

 さらに必死に頑張っている凌牙にこれ以上の努力を無駄にさせないため、俺は待ったをかけた。だってもう必要な分の霧を集めたからね、大分小さくなったからね。

 

 あと……その小さくなった霧から、一つの生命が再構成されたからね。一言で言えば、身体が獣人っぽい子供が出てきたってわけ。まだ下半身は幽霊っぽいけど。

 

 

「………………ナ……」

 

「女の子……⁉︎」

 

「おしゃべりした‼︎」

 

「うーむ……強気そうなので、僕みたいに女の子と勘違いされそうな男の子にも見えなくもないですが……」

 

「いや、声からしてそれはないと思うよ」

 

『……シバタと仲良くしてくれそうな見た目ね……』

 

 

 とりあえず、ここからが本番だな。なんとかこの子──ウガルルと上手く会話できるようにしないと。その前に魔力使い過ぎて倒れた優子を楽な態勢にして、ウガルルにお菓子をあげてみるか。

 

 ……どうでもいいだろうけど、ここで危機管理フォームが解除されてよかった。またラッキースケベ起こしそうだったから……

 

 




はい、ウガルル初登場のところで区切りがついたので、今回はここまで。次回はウガルルへの説得回です。お楽しみにー。

↓拓海の式神・蓮子の画像

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