偶に愛が重くなるまぞくと、愛されてる男のまちカド物語 作:名無しのモンスター
前回は何がいけなかったから感想をもらえなかったのかな……
どうも、平地白哉です。おくおくたま駅から帰って来て参りました。簡潔に言うと、あの森は夜だからかマジで怖かったし、マジで疲れた……。本当はあそこまで電車で行かず優子を起こして多摩川駅で降りるはずだったのに、俺まで寝落ち原作沿い落ちになるとは……俺も走り疲れたのかな?
あ、昨日は優子と彼女に勝負を挑まれたはずの千代田桃の三人で河川敷で八キロも走りました。原作では二人は四キロまでしか走らなかったはずなんだけど、俺が介入したことで何故か二倍になりました。やっぱり俺が優子を鍛えたことに原因があるのかな……? ってかもしそうだとしたら、千代田桃は俺達がどれだけ走れるのか体を見ただけで判断したってことになるのか? うーむ、この原作改変は真実が分からんな……
一応俺は日頃のトレーニングのおかげでなんとか筋肉痛にならずに済みました。十キロマラソンに近い距離走ったってのに。けど優子はどうなんだ? 原作では四キロ走った後でも筋肉痛にならずピンピンしてたけど、俺に鍛えられたとはいえさすがに八キロは……
とりあえず、そろそろ学校に行かなきゃだから朝飯の片付けしてさっさと出るか。にしてもレーズンバターロール美味かったな。いっけね、スマホ置いてくとこだった。
……今の描写、いる?
外を出れば、優子が顔をパァッと明るくして待っていた。軽やかにこちらに向かってきたため、どうやら筋肉痛にはならなかったらしい。先祖返りと俺に鍛えてもらったおかげだな、これは。
彼女の表情をよく見れば、いつもよりもニコニコとした顔をしている。ここで普通、彼女に何があったのかと思うだろうが、原作の俺は何故優子があれだけ笑顔なのか理由は知っている。
「おはようございます白哉さん‼︎ ほら、見てください‼︎ 今月から私のお小遣いが百二十円からぴかぴかの五百いぇんにアップしましたよ‼︎」
「おぉ、ようやくか。吉田家の貧困さが和らいだのか?」
「いいえ、そうであってほしかったけどそうじゃないです! 打倒魔法少女の予算として増えただけです‼︎」
「あ、そうなんだ(すっとぼけ)」
「なんか反応薄いような⁉︎」
はい皆様、今『そんな事で喜ぶの?』と思った人はいますか? オメーらさては貧乏になった事ねーな? 優子の家族は『魔法少女の封印』のせいで家族四人で月々四万円のギリギリな生活を送ってんだぞ? 局地的な呪いだけど貧乏人には結構キツイぞ? 察しろや三下ァ。「吼えてんじゃねぇぞ三s」
「けどさ、五百円でも打倒魔法少女はキツくね? 貧困者には難しいだろうけど貯めといたら?」
「……言われてみると確かに」
あ、思わず本音言っちまった。本音っつーか正論言っちまったよ。原作だと優子は五百円貰ったその日にあの運命を辿るのに……まぁ大袈裟な運命じゃないけど。つーか俺、別に悪い事は言ってねーよな? 金銭的とか買う物の範囲や使い道とか考えての発言したし、優子も納得してくれたし……
「……ハッ⁉︎ 輪ゴムや割り箸ならたくさん買えるから、わりばしでっぽうをたくさん作って……」
「内面マッスルでマジカルパワー持ちのあの魔法少女に、わりばしでっぽうが勝てるとでも? せめてもう少し可能性のある夢見ようぜ」
「………………ハイ」
優子、お前目の前のものをすぐ使って何かしら対策を練る派なのか?さっき俺が貯めとけとか別の方法考えろと言ったばかりなのに、何故すぐ五百円使って魔法少女倒す準備を急ぐのかね? けど言い過ぎた、ごめん。
この後優子は学校で杏里に『駄菓子買い放題だよ』と唆され、駄菓子を食べた後のゴミで魔法少女倒そうかと考えだしました。ゴミで人倒せるなら凶器扱いされてゴミの危険視と徹底的排除が求められるわ。つーか優子の意思、弱くね?
♢
校舎に入ればロッカールームにてすぐさま千代田桃に遭遇した俺達。そこで俺と優子は彼女から貰ったスポドリのボトルを返却することにした。借りたものはちゃんと返す、これ常識ね。
「え……ありがとう。別によかったのに、すぐ返さなくても」
「そういうわけにはいきません! 魔法少女からほいほい借り物をしているようでは、立派な魔族にはなれませんのでね!」
「俺はそもそも渡されるとは思わなかったし、受け取るはずのないものを借りたままにしておくのはちょっと気が引けると思ったからな」
あの時は優子が原作以上の疲労していた時のために用意しておいたスポドリがあって、ランニング後にそれを飲もうとしたんだよ俺。けど先に千代田桃が自作のヤツを渡してきて、つい貰っちまったよ。他人からの施しに弱いのかな、俺……?
「えらいね、シャミ子も白哉くんも。あっ、じゃあシャミ子。昨日白哉くんから借りた電車代は返したの? 六百五十円」
「………………五百円なら今返せそうです」
「あっ、余計な事聞いちゃった⁉︎ ……ごめんね」
そう来たか。原作とは違って俺が電車代出したから貸してないと来たら俺に電車代返してあげてと言ってきたか。『借りパクまぞく』はダメだよと言いたいのかお前は。確かに借りたままってのは良くないけど、言い方。あ、『借りパクまぞく』ってのは俺が今付けた名前か。
「……いや俺、別に返して貰う気なんて一切ないから。優子は気にせんといて」
「む、無理するなー‼︎ 使うはずのないとこでお金使うのは不本意でしょう‼︎ 後で百五十円も返します‼︎ 大人しくまずはこの五百円をお納めやがれです‼︎」
「無理してんのお前だから。それにアレは使い道のない分の金だから。だからいらないって。大丈夫だって」
千代田桃の悪戯心のある煽りのせいとはいえ、優子の奴、無理して返そうとしてんな。借りたものは必ず返そうとするのは良い事だけど、無理してやるものでもないぞ。
ホラ、めっちゃ涙出とるやん。後悔しさのあまりなのか震えとるし。だから無理すんなって。いらんってマジで。はよ五百円とそれを入れたポリ袋財布しまえや、今すぐに。渡されるこちらも気が気じゃないんだよ。
……こんなに無理してまで優しさ貫こうとしてるのに、ホントに自覚系ヤンデレ化してしまった主人公なの?
「ちよももさん。この子の家、色々あってぼんびーなんです。だから目汁まみれなんす」
「……じゃあせめて十回払いにしたら? 月々六十五円で」
「そこは債務者である優子が決めることだぞ……いや、ここは払わさせられることになったこちらが決めとく」
いい加減次の原作イベントに向かわないとなんか困るし、俺に金返そうとして優子が悩むのも癪に障りそうで嫌だ。ただでさえ優子は自分のヤンデレな性格に悩んでるってのに、これ以上悩まれて精神病んでもらっちゃこの後が困る。だからはっきり言っておかないと。
「いいか優子、よく聞け」
「は、はい?」
「あの電車代、アレは
よし、これなら優子も俺に借りパクしたなんて思わずに済むはず。元から彼女の電車代払うつもりで事前に用意したものだし、別に間違ったことは言ってないしそんな行動もしてないはずだ、うん。
「えっ……で、でも 「了承せずこれ以上この話題を長引かせる気なら、月五百円のお小遣いを毎月要求するからな」 えっ……ラ、ラジャー‼︎ お気遣い感謝します‼︎」
結局脅迫する形で納得させちまった……。貧困者に金の脅迫は弱い、はっきりわかんだね。でもこれだと完全に納得してくれた、とは言えないな。どうしたら優子も納得してくれるか。うーん、困った……
お、そうだ。
「その代わりと言っちゃなんだが、今月のお小遣いを使って何かしらのアイデアを探ってみたらどうだ? 闘いのための」
とりま変わった展開で原作イベントへの並行をさせてもらうとしますか。
「へ? でも白哉さん、登校の時は『貯めといた方がいい』と仰ってたんじゃ……」
「初アップとなる初月ぐらい使ってもいいだろ? それに何事も経験だって言うし」
確かに俺も最初は金を貯めるべきだとは言った。けどやっぱ原作でもあったイベントを見たいってのもあるし、最も優子には
ん? 俺に鍛えてもらったから少しはその体験が出来たのでは、だって? いや吉田家の金銭の問題もあったから中々、ね?
ちなみに中学の修学旅行は楽しんでもらってましたよ? 運良く体調が悪くなったりもせずに。
「白哉の言う通り、いい経験になるんじゃない? 五百円だけでも使い方次第ではちよももの強さに一歩近づけるよ」
「使い方次第で……なるほど‼︎」
「そういう事。というわけで放課後、一緒にショッピングセンター行って早速五百円で打倒魔法少女になりそうなもの探そうぜ」
「そうですね! 早速放課後実行に移しましょう‼︎」
ヨシッ‼︎(現場猫風) 杏里の意見のおかげもあってか、優子もようやく納得してくれた。これで放課後に五百円使う機会が作れたぞ。優子もいい経験ができる。原作通り(計画通り風)
「アイデア探しッスか……何時に集まるッスか? 俺も同行するッス」
ん? この口調が『ッス』の男の声……アイツか。
「花○い……じゃねーや、全臓」
「誰ッスか花○院って」
声がする方向を見れば、そこには黒縁のスクエア型の眼鏡を掛けた、襟足をゴムで纏めている紫色の髪の青年が。
こいつは伊賀山 全臓。俺達のクラスメイト男子で……訳あってこの町にいるならば原作でも出れば目立つはずの男だ。
「……誰?」
「あ、ちよももは初対面だっけ。彼は伊賀山 全臓。簡潔に言えば……重度の我流忍法? を使う忍者オタク……というよりは忍法オタクだよ」
「オタクとは何スか。せめて愛好家と呼んでほしいッスよ」
そう、この男は忍者にではなく、忍者が昔使用していた忍法に対する愛がすごいのだ。アニメや漫画に出た忍者の使う忍法に飽き足らず、歴史の資料から変化の術や火遁の術などについて調べたこともあるのだとか。
ちなみに中学の自由研究でも、忍法に関することを纏めたら皆から注目を浴びたそうです。まぁみんな実際に忍法とか見たことがないし、大抵はアニメやゲームぐらいでしか忍法を知らなかったみたいだから、仕方ないと言っちゃ仕方ないと仕方ないけど。
「えっ? 忍法使えるの? 本当に? 他の魔法少女の魔法なら見たことあるけど、忍法は見たことないかも。一つ見せてくれないかな?」
お? 千代田桃が忍法に喰いついた。魔法ならともかく忍法なんて絶対見れない代物だから、実際に使える奴がいたら注目しちゃうよね、わかる。
いや、魔法も普通実際に見れるものじゃないけど。つーか俺はまだ魔法すらも見てないけど。
「……言っておくッスが、俺は必要のない時に忍法はあまり使わないつもりでいるッス。だから今は俺が忍法を使えるどうかは、信じようが信じなかろうが個人の判断で──」
「あっ。全臓くん、足元にゴ……」
「ギャアアアアアアアアア忍法・害虫駆除向け捕獲畳ィィィィィィィィィッ‼︎」
なんか全臓が忍法を無闇に見せないとか言いながら、優子の言葉で何かに反応、素早く両手で何かしらの形を数回作ってから右手を床に叩きつけた。
するとどうだろうか。全臓の前方左右から木製の床なのに小さな畳が浮いて出てきて、間に小さい何かを勢いよく挟んだではないか。
これが全臓の使える忍法・害虫駆除向け捕獲畳だ。たとえ畳でなかろうが、地面さえあればそこからどういう原理かは知らんけど畳を呼び出し、その間にある虫などの小さな物体を挟み込むことが出来るのだ。
ちなみに捕獲量は様々な物体の大きさに合わせた種類のものがあるらしく、全臓はそれらを全て覚えているとか……
あ、ついでに言っておくが、全臓が今この忍法で潰したのは……ただの丸められた紙だった。どうやらコイツは足元にゴキ……じゃなくて害虫Gがいると思って忍法を使ったんだろう。それをただの紙だと知って羞恥心で顔赤くなってる。
「……シャミ子ちゃん。主語……ゴミという言葉を先に言ってほしかったッス。おかげで無闇に見せないと言いながら見せてしまったッスよ、忍法の一つを……」
「あっ、それは……ごめんなさいでした」
「……俺が新しい忍法習得の応用になりそうと思ったものを一つ、誰かが奢ってくれたら、皆許してあげるッス」
「アレ? これ私達も連帯責任負わされてる? 忍法の事、聞かなきゃ良かった?」
あーもう完全に警戒してる猫みたいな眼光してるよこいつ。完全にお怒りだよ。昔忍者が使用ものではないとはいえ、忍法は戦国時代ら辺から使われていたものだからか、それを日常的に使いたくない性分してるからな、怒るのも無理ないな。
まぁそういうわけで、このオリジナル忍法大好きなオリ男の全臓もこの後ショッピングセンターに同行する事になりましたー。途中から説明とか色々放棄してしまった。すまぬ。
「……って、今更気づいたけど忍法って何⁉︎ 全臓くん、今までそんなもの披露してませんでしたし、その話もしてませんでしたよね⁉︎ い、いつの間にか私のクラスメイトにも魔法少女と同格の者が……。私の魔族としての立ち位置が……」
……優子、強く生きろ。
♢
放課後、ショッピングセンターマルマ。ここで優子の武器になりそうなものを探すことに。本人はここを宝船か何かかと言うが、まぁ金欠な人ならそういう反応するわな。
ちなみに何か奢ってもらう事になった全臓はともかく、何故桃まで同行してるのかと言うと、優子が若干思考がズレてるため予算をフルに使ってビックリする程の失敗作を作りそうで心配だから……だそうだ。優しいのか失礼な事考えてるのか分からんな。
とりあえず武器になりそうなものは色々探してみることにした。けど釣竿とか金属製の野球バットとか相変わらず五百円では買えない代物ばかりが目に入ってしまい、中々どれを買えばいいのかという判断が出来ない。
いや、これは優子視点だけじゃなくて俺視点でもあるからな? いやマジで。武器となると思わず実践的なヤツとかそういうのをつい見ちゃって……
………………つーか……
「全臓、お前奢ってもらうヤツがアイスでホントによかったのか? ○ーゲン○ッツの期間限定のヤツとはいえ、もっと他に奢ってもらうべきものあるんじゃ……」
「今ここで手に入れないと中々食べられないッスよ、ティラミス味の○ーゲン○ッツ。それに、忍法のアイデアとなるものは見ただけで得られたので、買う必要なんてなかったッス。というか今までのアイデア探しでも参考になるものを実際に買った覚えがなかったッス」
「なんじゃそりゃ……」
アイデアとなるものは何か見て考察するだけじゃなくて、実用性に適応出来るように調整するために練習に使うべきだよな? それをやらずに今まで忍法習得に繋いだってことは、結構時間かかったんじゃ? いや、どうやって忍法を習得するのかなんて知らんけど。
何はともあれ、全臓がショッピングセンターの中でとても高額なヤツを要求しなくて安堵してしまった自分がいるため、何に安心してんだって言い聞かせなきゃ。
……あ、フードコートにニューオープンしたうどん屋が。
♢
むぅ、武器たちがこれ程高いものたちばかりだったとは……。千円、二千円、三千円……何故武器となるものはどれも富豪者しか買えそうにない値段ばかりなのですか⁉︎ 五百円しか持てない貧乏人の武器はわりばしでっぽうしか持てないと言うのかー‼︎
貧富差別か⁉︎ 貧富差別か何か……いや、それはないですね。多分。現地で持ってくる金額の差とかですねこれは。流石に五百円で良さげな武器を買えるなんて難しいですよね普通は。
というか全臓くん、新しい忍法習得のアイデアになりそうなものを誰か奢れとか言いながら、結局アイスを白哉さんに買ってもらってますが……アイデアは? ○ーゲン○ッツめっちゃ美味しそうなんですけど。
……アレ? なんだろう……何故か全臓くんにも嫉妬しそうな自分がいる。さっき○ーゲン○ッツ食べているところを見た時よりも、忍法が使える事を知った時よりも、胸がチクチクするしすごく締め付けられている気分……
この痛み、よく感じていたものと一緒だ。白哉さんが他の女の子に絡まれたのを見た時と同じです。全臓くんは男なのに、ただただくだらない話を白哉さんと肩を並べて話してるだけなのに、なんでこんな感情を……
いや考えすぎだシャドウミストレス優子‼︎ 白哉さんも全臓くんも悪意があって仲良く話し合ってるわけじゃないし、第一男同士‼︎ いくらなんでも白哉さんの男友達に対しても恋愛的嫉妬を抱くなんてどうかしてる‼︎ 今は武器探しに集中……集中……
「……いっぱい歩いたり考えたりしてたらお腹が空きました」
あ、思わず空腹である事を口にしてしまいました……
あっ、向こうの食べ物がいっぱい並んでるところからすごいダシの匂いが。
「シャミ子、フードコートリニューアルだって」
「やめてください……‼︎」
「最近のセルフうどんは美味しい」
「やめて‼︎」
何この地獄の挟み撃ちは⁉︎
「おいお前ら、あんまり優子を煽るんじゃ……」
「平地くん。このうどん屋さん、月見うどんも売ってるらしいッスよ」
「えっ、マジで? めっさ食いてぇ……あっ」
「今この場に天使はいなかった‼︎」
幼馴染も無自覚悪魔だった‼︎ まぞくよりもタチが悪い気がする‼︎ こ、心の風が私の踏ん張りを妨害する……‼︎
「行きませんよフードコートなんて‼︎ 無暗にオシャレでアイスとかうどんとか美味しい割にお腹に溜まらないものばかりなんでしょ‼︎ 絶対行きたい‼︎ あっ間違った‼︎ 絶対行きません‼︎ 心の風が‼︎ 白哉さん‼︎ 杏里ちゃん‼︎ 全臓くん‼︎ 桃‼︎ 私を止めてください‼︎」
あぁヤバいヤバいヤバいヤバい、あまりのダシの匂いの良さに私の心が歪む‼︎ 全臓くんに向けるべきじゃなかった嫉妬のオーラが出て行ったとはいえ、今度は欲望のスイッチが起動しかけてる‼︎ 武器を買わないといけないのに、こんなところで出費をかけるわけには……‼︎
「………………アイデア出すのには頭を使うだろ? 空腹だと腹を膨らます事も考えちゃって、頭が正常に働かないぞ」
「えっ……あっ、なるほど!」
「行動のための
「なるほど!」
「天ぷらやおにぎりは自分で取ってくんだよ!」
「なるほど‼︎」
「天かすとネギはどれだけ入れてもタダッスよ」
「なるほど‼︎………………って、アレ?」
……あっ、結局うどんとちくわ天と鮭おにぎりで三百八十円も使ってしまった……結局桃だけでなく皆に唆された……さては貴様ら桃の刺客か⁉︎
ぐぬ……何故こんなことに──ハッ‼︎ もしやこれも魔法少女の陰謀か⁉︎ 私をフードコート中毒にして、経済力という牙を抜こうとしているのか⁉︎ その手には乗りません‼︎
「シャミ子もかしわ天食べる? 美味しいよ」
「……ちくわと交換で良ければ」
企みとかそういった事を考えてないような微笑みを向けていた……。桃の真意が分からない……
アレ? さっきまでちくわ天を取り出して何も乗らなくなった皿に、何故かえび天が……
「優子、それやるよ」
「えっ、これ白哉さんが置いたものですか⁉︎ なんで⁉︎」
「ほら、お前本当は武器を買うつもりだったんだけど、俺達に合わせてこうやって一緒にうどん食べてくれてるだろ? その頑張りを讃えて細やかな……的な?」
『言葉の歯車に乗せられた』の間違いですよ……そして貴方もその戦犯の一人に入って……
「打倒魔法少女対策の武器探しもいい。けど、偶にはこうやって友達と和気藹々するのもいいだろ? 先祖返り前は、こんなことあまり出来なかったじゃないか」
「あっ……」
そうだった……私、貧乏で体が弱かったから、皆でフードコートでご飯食べたりなんてしてなかった……。もしかして皆、私にこの状況を楽しんでもらうために……?
いや、桃は多分違う事を考えてやってると思う。私の家庭の事とか今日まで知らなかったし、私が体弱いって事もまだ知らないし。
「だからさ、今この時だけでも体験しておこうぜ? これまで出来なかった学生同士による青春ってヤツをさ」
「……そうですね、この時ぐらいはやれなかった事をやってもバチは当たりませんよね」
何はともあれ、せっかくの機会だ。私もこの時ぐらいは色々忘れて楽しまないと。そう思いながらうどんを食べていると、何故か白哉さん達が楽しく談義してる小人さんに見えてきた。何このメルヘンチックは?
♢
あの後うどんはつゆまで飲み干して完食しました。うどん、とても美味しかったです。天かすもたくさん入れれたし。ネギもいっぱい入れるべきだったのかな?
でも…… 今月はもう割り箸鉄砲すら作れません。うどんとちくわ天と鮭おにぎりであっという間に百二十円になってしまいました。むぅ、やはりフードコートの魔と悪魔の囁きが無ければ、こんな事には……
さらに追い討ちを掛けようかの如く、不意に私の目にいった全品百二十円自動販売機を見た桃が『つゆいっぱい飲んだから喉乾かない?』と言って私にジュースの購入を薦めてきた。いや馬鹿にしてるのか貴様は‼︎ もうその手には乗りませんよ‼︎ そして白哉さんと全臓くんまでさらっとブドウジュースや伊○衛門買うな‼︎ もう促されたりもしませんよ‼︎
「……でも、ちょっと安心したな」
えっ? 杏里ちゃん、急にどうしたんですか……?
「シャミ子ってお金なさそうだし、いつも一人か白哉と二人でトコトコ帰ってたから、美味しそうに食べてるのを見て私も楽しかったよ。でも無理させてごめんね」
「杏里ちゃん……」
──そういえば、杏里ちゃんは部活で忙しいのに、帰宅部で早退も多い私に、角が生える前から何かと話しかけてくれました。もしかして気を使ってくれていたのでしょうか?
よくよく考えたら私、杏里ちゃんには嫉妬の念とかを向けてなかった気がする。
私が白哉さんに対する想いや私自身の愛の重さに悩んでいた時、杏里ちゃんはよく相談に乗ってくれていました。私の心境を知りながらも、排他的感情を持たないようにするにはどうすれば良いのか、白哉さんを傷つけないようにするにはどうしたら良いのか、よくアドバイスを送ってくれました。私と白哉さんの気持ちに寄り添うかのように。
何故私が白哉さんに恋してるのを知っているのか、何故彼への愛が重くなりヤバくなる時がある私を気遣うのか、そう聞いてみた時も……
『よく一緒にいた仲だからなー、何となく優子が恋に溺れてるんだって顔で分かっちゃうよ』
『ヤバくなってるところは見たことないし噂で聞いたこともないなー……ってか優子ヤバくなる時あるの? 怖っ』
『でも、そうやって友人が困ってる時は、そいつに手を差し伸べたくなるじゃん。ホントにヤバくなりそうだったらいつでも言ってよ、少しは力になってあげるから』
ただ真面目に、ただ純粋に、私や白哉さんの事を思ってくれていた。その純粋な優しさにも助けられたからこそ、私は杏里ちゃんに嫉妬や勘違いをしなくて済んだんだ。
だったら………………よし。
おりゃー‼︎ コーラ購入‼︎ からの一気飲み〜〜〜‼︎……ゲホッ……ゴホッゲホッゲホホッ‼︎ ゲ~ップ……
「はっきり言って、私も楽しかったです……ケプッ! 杏里ちゃんの頼みならば、ケプッ。来月も行っちゃいますケプッ‼︎」
「ホント⁉︎ ありがとー……でも色々無理すんな‼︎」
「……優子、やっぱりお前は俺以外にも優しいな。安心したよ、ホント」
……なんか、私の事を色々と心配してくれてる白哉さんの為にもやっているような感じになって恥ずかしかったのですが、違いますからね? これは自分の意思でやったんですからね? ホントですよ?
結局今月の所持金はゼロになってしまいましたけど、正直喉が乾いたから別にいいですよね。寧ろ私、白哉さんだけじゃなく杏里ちゃんにも気を使わせまくってたことに気付きましたし。
──よし、決めた。これからはもっと色々気付ける魔族になります。こういった集団行動が後々私の戦いの糧に……今後の私の未来への架け橋になっていくんです。多分。
様々な経験をしていけば、こんなにも体や心が弱くただ愛が重いだけの私だって、世界を大きく回す程に成長していけるはず……
「……あっ」
ん? 桃が何かに気づいたみたいですね。一体どうしたと……
あ、無料水飲み場………………
「……これで勝ったと思うなよー‼︎」
「えっ、私?」
さすがに今回は魔法少女にとばっちりを与えてしまいました……。けど次からは……‼︎
♢
まるでチェス盤のような白黒の市松模様の床が広がり、壁も天井も無いように見える薄暗い空間。ベッド、タンス、本棚などといった最低限の家具が備わっている、部屋のデザインを除けば一般家庭の自室と変わりない部屋だ。
だが一般家庭の部屋とは異なる部分が、デザインの他にもう一つある。それは、家具の大きさだ。ベッドの横幅は
そんな家具が何もかも巨大な部屋の中、映画館スクリーン並のそのテレビに映し出されている映像を見つめている者がいた。
しかもその映像は、なんと
【ふーん……。ここまで彼の様子を見てきたけど、今のところは修羅場とかはないらしいな。きちんと回避出来てる】
どこかだらけている様な、気の抜けた男の声が聞こえてくる。どうやらその声の持ち主が今の白哉達の様子を、テレビ越しに見つめているらしい。
ここで疑問点が浮かぶ。白哉達のこの行動をテレビ越しで見ているとなると、事前に彼等に尾行してビデオ盗撮するというストーカーを行為をしているに違いない。目的は分からないが、先程の考察だと犯罪の匂いが強くて仕方がない。その事実を白哉達が知ってしまえばどんな反応を見せるのか、想像がつかないわけではない。
しかし、だ。盗撮したにしては違和感が強すぎる。白哉やシャミ子のみが映し出された場面もあれば、上から映されている場面もあり、偶に現実にはないキラキラと輝く演出までされている場面もある。そしてそれらの場面がアニメやドラマの様に綺麗に切り替わっているのだ。
【あらら、この魔族さん飲み物代無駄にしたことを魔法少女のせいにしちゃってる。あ、映像終わった】
そんな違和感などお構いなしに、男は映し出された映像の最後の感想を呟き、映像が停止した事を確認すれば、
【……よし、これで平地白哉とやらが今日まで何してたのか把握完了。後は会って話をするだけだな。いやぁ、会うのが楽しみになってきた。そんじゃ、おやすみー】
男はそう言って何かに期待を膨らませ、クスクスと小さな笑い声を上げた。そして……
はい、というわけで二人目のオリ男・忍法が使えるという、なんちゃって忍者の伊賀山全臓くんの初登場回でしたー‼︎ さすがにオリ男が白哉くんだけってのは、なんか後味が悪いもので……
というか最後に出てきた奴、一体何の龍なんだ……(すっとぼけ) とりあえず最後のオリキャラは次回白哉くんと邂逅する形で判明されますので、どうぞお楽しみに‼︎
おまけ:めるめーかーで作った伊賀山全蔵くん
【挿絵表示】