偶に愛が重くなるまぞくと、愛されてる男のまちカド物語   作:名無しのモンスター

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今年最後の投稿が急に制作することになったものなので初投稿です。

今回はなんと‼︎ 白哉君があの原作キャラと邂逅します‼︎ 今すぐ閲覧せよ‼︎


寝ていたはずなのに、とんでもない存在と出会ってしまったってマ?

 

「───、───よ、───白哉よ、平地白哉よ、目覚めるのです」

 

 

 ……ん? んん? ……アレ? 俺、さっきまで何を……?

 

 確か俺は、優子達が仕掛けたサプライズ用の地図の通りにルートを辿って、それぞれの場所にあるピースを集めて、最後に柘榴さんの(元・桃の)家に行ってみんなに誕生日を祝われて、それから……

 

 あ、そうそう。夜になって優子に誘われてあんなことやこんなことをしたんだっけ。……ヤベッ、思い出しただけでも盛り過ぎはことを恥ずかしく思えてきたんだけど。いつもの事だとはいえ、な……

 

 いや呼びかけられてるのに何卑しい記憶を思い出してんのさ。呼んできた人に失礼じゃねェか。

 

 

「僕からしたら将来に期待できるから、別に何の問題もないよ」

 

「あ、そうですか……」

 

 

 って待って? ちょっと待って? 読めるってか⁉︎ アンタ白龍様やリリスさん、謎のフードの人みたいに夢の世界でなら人の心が読めるってか⁉︎ 一体何者なんだアンタは……って、えっ?

 

 人の心を読まれたことに驚きながら振り向いた途端、その時に見えたもの──人の姿に別の驚きを覚えた。金色の短髪に褐色肌、優子のと異なるものの角と尻尾が生えている他、エルフのような耳が見えた。身長は優子と同等のような、少年に見える低さだった。

 

 というか角・尻尾・エルフ耳って、どう考えてもこの人、魔族……だよな? しかもよく考えてみたら、角や尻尾が優子のと似てるって……ま、まさか……⁉︎

 

 

「あ、あの……す、すみません……」

 

「ん? 何かな?」

 

「あ、貴方は……一体、誰なんですか?」

 

 

 恐る恐る、少年に見えて少年では無さそうなその人に対して声を掛ける。幻覚か白龍様とかが変化の技を使ってなった者なのかは分からないが、どうにもタメ口で話してはいけない気がしたから……

 

 

「あ、そっか。自己紹介がまだだったね。清子がシャミ子のついでに見せてあげた写真でしか認識がなかったみたいだし。

 

 

 

 はじめまして。僕の名前はヨシュア。人間での活動名は吉田太郎。ご先祖様……リリス様の子孫で、吉田清子の夫で、シャミ子……吉田優子と吉田良子の父です」

 

 

 

「………………………………うえっ、あっえっ。ど、どうも。はじめまして……」

 

 

 ………………ハァァァァァァッ⁉︎

 

 アイエエエエ⁉︎ ヨシュアサン⁉︎ ヨシュアサンナンデ⁉︎ なんでヨシュアさんが俺の夢の中に、しかも意思を持って来たというのォッ⁉︎ ヨシュアさんってアレだよね⁉︎ ヤバい呪いから俺の父さんを助けるために、桜さんに自分諸共みかん箱に封印されているんだよね⁉︎ なのになんで俺の夢の世界にいるんだよ⁉︎

 

 

「あっそっか。これってマジもんの夢の中か」

 

 

 うん、そうだよ。絶対そうに決まってる。封印された存在の者が俺の精神世界に来れるはずがない。本来俺が精神ごと持って来れるはずのない方の夢の世界だ、きっと。そこに何かしらの気まぐれがあって俺の精神がこの世界と繋がっていて、来るはずのないヨシュアさんと会うという幻覚を見せられているんだ。どんな夢の中だよ後味の悪い。

 

 よし、寝よう。今すぐ寝よう。今寝てるけど寝よう。そして俺の精神を元あるべきところに戻そう。そうしよう。というわけで、はいおやすみー。

 

 

「いや寝ないでくれるか? ここ、君のいう精神世界ってところだから。ちゃんと君の精神がある世界の方で起こしたから。いや僕何言ってるんだろう?」

 

 

 あの、ちょっと。すみません、俺のほっぺ抓るのやめてもらってよろしいですか? 痛いです、いやホントに痛いですから。

 

 ……あっ。寝ているはずなのに痛みは感じられる。これ、俺の精神世界で柘榴さんと手合わせした時に何回か感じた痛みだ。……ん? ってことは、俺は今、精神世界にいて意識を持っているって状況にいるのか。で、優子みたいに夢の世界で自由に何かを作れるはずがない。

 

 と、いうことはつまり、俺の目の前に立っているこの人・ヨシュアさんは……

 

 

「………………どっしぇええええええっ⁉︎ な、ななななな、なんでェェェェェェッ⁉︎ なんで⁉︎ ちょっ……なんでェェェッ⁉︎ なんで、なんでヨシュアさんが、なんで本物として、なんで俺の夢の世界に、なんでいるんだァァァァァァッ‼︎」

 

 

 なんで⁉︎ どういう原理が起きたらなんで封印されているはずの本物のヨシュアさんが、なんで俺の夢の世界に、なんで目の前に現れて、なんで会話できる感じなんだァァァァァァッ⁉︎ り、理解が、理解ができねェェェェェェッ‼︎

 

 

「……プフッ。アハハハハハッ! あ、ごめん。明らかに過剰に驚いてくるものだから、思わず腹の底から笑っちゃったよ……‼︎ 声に出しても心の中でも何度も『なんで』って、クハハッ‼︎」

 

「えっあっ、すいません。思わず何度も『なんで』って言ってしまったこと、拗らせるのやめてもらってもよろしいでしょうか」

 

 

 ヤベェよ、今のでヨシュアさんにネットミームみたいな印象を持たせてしまったよ……いくらなんでも同じ言葉を何度も連発するもんじゃないよな、うん……

 

 

「というか……封印されたはずの貴方が、なんでここに来れたんですか?」

 

 

 よくよく考えてみたら、封印されている人が他人の夢の世界に来れるっておかしくね? ヨシュアさんが優子と同じ夢魔の魔族とはいえ、封印された人が動けるとは思えないんだが……

 

 

「えっ? なんで来れたのかって……リリス様と同じ境遇ができる機会ができたからね、それによって君の精神世界に行けることを知って、せっかくだから挨拶しようと思ってここに来たんだ」

 

 

 えっ? 封印されているのに精神世界に行けるの? まるで意味が分からんぞ?

 

 

「ほら、像の姿として封印されているままのリリス様も優子の夢の世界に行けるのはどっかで聞いたんだよね? 封印された僕の場合はどうやらランダム制な感じになら早くて年一の感覚でできるみたいなんだ」

 

「あっ、それなら納得がいくかも」

 

「リリス様で例えたら納得がいくんだ……」

 

 

 仕方ないじゃないですか、二千年も封印されたはずのリリス様でも優子の夢の世界に行けたんですよ? 『二千年』も封印されたはずのリリス様が、ですよ? あの人に例えられたら貴方がここに来れるのも多少の納得がいきますよ、はい。

 

 って、アレ? ちょっと待って?

 

 

「さっきランダム制な感じにならってことは、夢見鏡みたいな感じのもので精神だけを上手く俺の精神世界に送れたって感じですか? 優子からそうやって俺や桃の記憶の世界に行けたって聞きましたが……」

 

「ん、まぁね。それの亀裂版みたいなのが僕の目の前に現れて、夢見鏡と同じ感じにテレビの砂嵐みたいなのが見えたからね。もしかするとって思ってやってみたらできた感じなんだ」

 

 

 いやなんですかその後半のふわっとした感じの説明は。

 

 

「でも、俺の夢は一度入ったってわけじゃないですよね? しかもこれは数秒で百人は流れてくるし、古いテレビによくある砂嵐みたいな灰色の残像しか見えないはずですよね?」

 

「あー……ね?」

 

 

 俺のその博打的な状況の中でどうやったのかという問いかけに対し、ヨシュアさんは何故か頬を引き攣らせて苦笑いを浮かべてきた。えっ? 貴方、一体何をやらかしたというんですか?

 

 

「寝る前、君は優子と抱き合ったんだよね?」

 

「実の娘の名前を出しながらなんてこと言うんですか」

 

「あ、それはごめん。その時に君の優子の事を想う余韻が残っていて、それが君の夢に影響したみたいなんだ。それによって『平地白哉の夢の世界はここですよ』という主張をしている導波線が見えてね、もしかするとって思って入ってみたら、思った通りにこちらの世界に来れたってわけなんだ」

 

「………………あっ。そ、そうですか……」

 

 

 すみません、やらかしたの俺の方でした。疑り深い思考を取ってしまい大変申し訳ございませんでした、次から気をつけます。

 

 いやちょっと待って。

 

 

「というか……俺と優子がそういう関係になったことを知ったということは、ここに来たのはその事に対しての話でしょうか……?」

 

 

 清子さんは俺と優子の交際をヨシュアさんも認めてくれるとか言っていたけど、実際に本人がどう思っているのか分からないからな……最悪戦闘になることも考慮しながら、返答を聞かないと……

 

 

「ん? もしかして僕が反対するとでも思ってたのかな? ないない、そう身構えないでよ。君や優子の事はここに来るまでに君と優子の出会いからの記憶を見てきたからね」

 

「ちょっ、プライバシー侵害⁉︎」

 

「プライバシー侵害って……精神世界で無意識に流れた記憶は歯止めが効かないものだよ? 僕だって好き好んで勝手に見たわけじゃないし」

 

「そ、そっすか……」

 

 

 いやまぁ、ヨシュアさんの言ってることも一理あるよな。寝てる間に見る夢も、流れてくる夢もどんなものなのか自分でも分からないわけで、なんで自分はあんな夢を見たんだろうって不思議に思えてくるわけで……

 

 

「じゃ、じゃあ何が目的で、俺の精神世界に……?」

 

「目的っていうほどのことじゃないよ。ただ純粋に、君とお話がしたかっただけさ」

 

 

 えっ……? ヨシュアさんと……優子の父親と、俺が、お話を? ちょっと待って急だから心の準備が……

 

 

「軽くお話する感じでいくだけだからそう畏まらないでいいって。隣、座ってもいい?」

 

「えっ。あ、はい。どうぞ……」

 

 

 なんか流れるように座っちゃって、ヨシュアさんも隣に座らせてしまったんだが。なんだろう……優子と同じ血筋だからなのか? 彼相手だとあっさりと心許してしまうんだが……

 

 

「さてと……僕は君の優子との記憶を見て来たけど、それは歩きながら流れるように見ただけだし、優子以外の人達と何があったのかは見ることができなかった。だから次は君の方からそれらを詳しく教えてくれないかい?」

 

「あ、はい」

 

 

 ヨシュアさんにまた流されるように、俺はこれまでに優子達とどんな関わりをしてきたのかを話すことになった。もちろん俺が転生者であることは隠しながら。さすがに彼にそれまで話したら、色んな意味でとんでもないことになりそうな気がしたから……

 

 

「じゃ、じゃあ……まずは俺が優子と出会った時の事から話しましょうか?」

 

「全然大歓迎だよ。寧ろ今すぐ話してほしいよ」

 

 

 期待に胸を膨らまされたみたいなので、さっさと話すことに。

 

 事故に遭って病院泊まりになった時に偶々歩き回ってたら優子を見掛けたこと(本当は興味本位で)。

 

 また話そうと約束したこと。

 

 彼女の家に行って話し合ったりゲームしたりしたこと。

 

 中学で杏里に出会って優子と仲良くなったことを揶揄われたこと。

 

 中三で優子に告白されそこで彼女がヤンデレになっていたのを知ったこと。

 

 優子がヤンデレと知っても尚それに気をつけながらもいつも通り接してきたこと。

 

 優子が魔族になったのを知ったこと。

 

 彼女の宿敵となる桃となんやかんやあって少しの生き血から三人で町を守るようになったこと。

 

 桃の仲間であるミカンとも仲良くなったこと。

 

 ミカンの呪いを知ったことで陰陽師の拓海とよく関わるようになったこと。

 

 ヨシュアさんや俺の父さん絡みで桃と同盟を組み、優子が桃を眷属にすると宣言したこと。

 

 なんとかの杖やセイクリッド・ランスを手にしたこと。

 

 あすらの人達やスカーレットの人達との知り合いになったこと。

 

 夢の中で自分の本心に気づき、優子に告白して恋人同士になったこと。

 

 桃の歳上幼馴染・柘榴さんと仲良くなったこと。

 

 転校したミカンがみんなと仲良くなったこと。

 

 彼女の呪い扱いだったウガルルを色々あって外に召喚したこと───

 

 話した。いっぱい話した。初対面の人にとは思えない程全部明かした。これも優子と同じ血筋だからなのか、不思議と全部(転生の事以外)話した。思ったよりもなんだか気軽に話せたのだが……まぁ、うん。なんでだろうって自分でも思っている。この人ならほぼ全部話しても大丈夫だろうなって、そんな風に考えるようになったのは覚えているけど。

 

 

「……というわけなんです」

 

「ほへぇ~、そうなのか。思ったよりも結構濃いめな体験してきたんだな、君も優子も」

 

「えぇまぁ……思ったよりも、です」

 

 

 どうやら俺が話したことはお気に召したようだ。いや、お気に召してくれるところが一つもない方がおかしい。俺が話したことの中には優子の成長した点がいくつか挙げられているんだ。それに関心が持たない親がいないのはさすがにどうかと思う。

 

 ……まぁ、ヨシュアさん本人は微笑みを浮かべたわけだが、それでも納得がいかなくて不機嫌になってもおかしくない点もあるはずだ。その点については……実際にそうさせてしまっただろうこの俺がちゃんと謝らないといけない。謝らない方が後味悪い。

 

 

「ヨシュアさん……その、先に言わせてください。大変申し訳ございませんでした」

 

「……えっ? ちょっと待って、なんで急に謝るのさ? まるで意味が分からないのだけど」

 

 

 そういう反応をするのもおかしくない。けど、これに関してはちゃんと謝らないと俺の気が済まないし、隠し続けて後でこの事について理解したヨシュアさんの怒りを買ってしまうのもよろしくない。だから隠し通さず言わないと。

 

 

「俺は……優子を歪ませてしまいました。歪ませてしまったといっても外面ではなく内面で、ですが。俺が優子と付き合うまでの間、彼女に下手したら取り返しのつかないことをさせてしまいそうな性格にさせてしまったんです」

 

「………………」

 

 

 俺の言葉から何かを察したのか、ヨシュアさんの眉が少しシワを寄せていた。良く思っていない反応しているだろうとは予想していたので、俺は話を続ける。

 

 

「表向きにはちゃんとみんなに優しい性格をしていますし、みんなと仲良くなりたいという想いは昔も今も変わってはいません。けど……中三の時、彼女は俺に対して重い愛を持っていたことを明かしたんです。みんなとは仲良くなりたい。けど俺を自分から引き離すようなことはしないでほしい。俺と一緒になる機会をもっと作りたい。もっと俺に愛情を与えたい。そういった想いが矛盾を重ねながらも強く出ていました」

 

「あの子が、そこまで君の事を……」

 

「彼女をそんな性格にしてしまったのは、俺のせいだろうとその時に自覚しました。単なる興味本位で彼女と話し合い、そこから積極的に彼女と関わってきた。その些細なことから優子の俺への感情が溜められていて、彼女を苦しませていただなんて思ってもいませんでした」

 

「………………」

 

 

 ここでヨシュアさんが苦笑いを浮かべ、罰の悪そうな表情になる。これは優子の事で何かしらの理由があり、俺に対して申し訳ないと思ったからだろうか。どちらにせよ良い感じなことは思っていなさそうだ。

 

 だからといって、ここでこの話題は取りやめましょうなんて言わない。それこそタチが悪いってもんだからな。

 

 

「それから俺は彼女が暴走しないように警戒しながらも、いつもとあまり変わらない接し方をしてきました。最後には自分の想いを伝えて恋人同士になりました。でも……それでも明かされるまで気がつかなかったとはいえ、俺のせいで優子を歪ませてしまった事実に変わりはない。他人を変えることは罪でもあると俺は思っています」

 

「そっか……」

 

「だから、謝らせてください。俺の不注意で貴方の娘さんを……優子を苦しませるような真似をして、大変申し訳ございませんでした」

 

 

 深々と頭を下げ、自分のこの不甲斐なさと注意不足によって起きてしまったことに対する謝罪をした。

 

 別に人を変えることが全て悪いことに繋がるわけでもない。けど俺の場合は下手したら最悪の事態を招いただろうという土手の立場になりかねないことだったから。実際これまでにヤバい事態は起きなかったが、それでも……

 

 

「……だったら、一つ訂正をさせてくれるかな?」

 

「えっ……? 訂正、ですか?」

 

「確かに君は、君自身の無自覚な行いのせいで優子の性格を歪ませてしまったと言った。けど、優子はそうなるまで恋を知らず、みんなと仲良くなりたい想いを今でも変えずに生きてきた。だから恋を知って、そこからおかしくなってしまうのも否めないと僕は思っている」

 

 

 ……なるほど。博愛の人が独占したくなる程の恋を知った時、どのような判断をすればいいのか分からないと迷いだす……そういった感じのと同じようなものか。突然芽生えてきた感情が矛盾を生み出し、優子はそれに苦戦していったんだな……

 

 

「それでも、優子はそんないつか壊れてしまいそうな自分と闘ってきたのだろう? それもまぞくである前から、ずっと。それに負けじと立ち向かい、寄り添い、どうすれば君との関係を崩さず発展させていくのか……それをいつまでも続けていた。いつか感情を壊してしまいそうな自分を抑えてここまで生きてこれた……それだけでも優子は充分成長したなと共感できる。僕としても喜ばしいことだよ」

 

 

 あぁ、そうか。この人は優子が不幸な人生を送らなければ問題ない人のようだな。寧ろ優子がどんな奴になろうとも、彼女を陰から支え応援しようという、広い器での強い意思を感じる。優子……お前はこんな父親の元で生まれたんだな。本当によかったよ……いやホント、色んな意味でね。

 

 

「……さて。突然だが、ここで君に質問させてもらうよ」

 

「えっ? 質問……ですか?」

 

「君が言っていた、無自覚による優子の性格を歪ませるという善意。もしもそれが何かしらの能力云々とかで事前に知らされたとする。そしてその行為が絶対必須だとか強制的なものではないとする。その場合、君は優子の身を案じて行わないことにするか? それとも本能に従って君の事を想わせるようにするか? はたまた別の行動をするか?」

 

「………………」

 

 

 真剣な眼差しでそう問いかけてくるヨシュアさんに対して、俺は何も答えられずにいた。もしもあの時から未来予知ができるようになったら、それは想定していなかった。過ぎたことに関する『もしも』は意味ないとは思うが、もしかしたら……と考えてしまう。

 

 様々な思考が過った後、俺はやっとの事で思いついた答えを、彼に告げる。

 

 

「………………正直、分かんないです」

 

「分からない……それが答えかい?」

 

「はい。正直に言って、それが優子との恋人同士になるための前進とするのなら喜んで動いていた可能性もあります。けど、逆に最悪の事態が起きてしまうことを恐れて身を引く可能性も……今後の未来の事や現実を考慮することも想定すると……と考えていってたら、最終的にどうすれば良いのか分からなくなって、パニックになってしまいそうです」

 

 

 『今』の俺なら本能に従うことにしていたのだろうけど、『昔』の俺ならそういう選択肢を即座に選ばない可能性だってある。選択肢を間違えてしまえば、あの時以上に優子という人物を壊してしまう可能性だって……

 

 だが、俺が想定している未来が確定するわけではない。だからといって外れる可能性もあるわけでもない。本当はどうなってしまうのかと考えてしまうのと同時に、そういった不確定性に左右され、先程のように『分からない』という曖昧な答えを出してしまった。

 

 ヨシュアさんは何かを思ってそう質問してくれたのに、俺はそれにうまく答えられなかった。いい答えを待ってくれていただろうに、裏切ってしまったな……

 

 

「───いいんだよ、それで」

 

「………………………………はい?」

 

 

 えっ? 今、なんて? 『いいんだよ、それで』? それは一体どういう意味なんですか? 『分からない』と言ってちゃんと答えてあげられなかったのに……?

 

 

「たとえ未来予知ができたとしても、本当にその通りなことが起きるのか、その予知通りの事をすれば助かるのか、避けたらもっと酷い結果にならないか……色んなことを考えてしまう。結果が分かっても色々と悩み、そこから答えを探す。それが人のあるべき姿だと僕は思っている」

 

「えっと……つまり?」

 

「どんなに未来が予知されたとしても、未来を決めるのは君の気持ちと行動次第ってことさ。分からないなら分からないなりに動いて、そこから自分が思い描く未来の通りに軌道を変えれるよう努力する。それが人生ってものじゃないか。現に、君への想いが強すぎた優子と交際することにしたじゃないか。それと同じさ」

 

「………………‼︎」

 

 

 ……そっか。そういうことだったのか。たとえ事前に知らされた未来があったとしても、その通りにいくのかそうでもないのかは、最終的にはそれを見せられた者の行動次第になるってことか。

 

 人生は何が起きるのか分からない。だからこそ分からないなりに動いて、そこから自分が本当はどんな未来にしたいのかを想像し、その未来図を作れるよう軌道を変えながら努力していく。そういった事を後悔の無きよう、今後していってほしい……ヨシュアさんはそう言いたかったんだな。

 

 

「だから、これからは君がこうすべきだと思ったことは積極的にやっていけるようにしてほしい。それが君にとって……そして優子にとって最善策だと思って」

 

「……はい、がんばります‼︎」

 

 

 ヨシュアさんの激励に、俺はそうはっきりと答えた。俺はヨシュアさんに優子の……そして今後の未来を任されたんだという期待を知ったこの時、不思議と責任に押し潰された感覚はなく、寧ろその期待に答えようという前向きな気質になったと思う。俺の後ろには召喚獣や白龍様だけでなく、ヨシュアさんも支えてくれている。そんな気がしたから。

 

 

「……おっと、そろそろ時間みたいだ」

 

 

 そう呟いたヨシュアさんの周りに、突如として煙のような黒いモヤが浮き出ていた。それらはヨシュアさんを包むように、隠すかのように徐々に広がり始めた。

 

 

「……って、ちょっ待っ、えぇ⁉︎ ヨ、ヨシュアさん、なんかこれヤバく───」

 

「心配しないで、ただの夢魔の力に時間切れが出たってだけだから。もうすぐ僕の精神はお父さんBOXと呼ばれているあのダンボール箱に戻される。僕の道連れによって一緒に封印されたあの影みたいな猛獣は既に浄化されていなくなったから、内部で箱が暴れて壊れされることはないから、安心して帰れるよ」

 

「そ、そうですか……」

 

 

 触れるの忘れていた点である猛獣の事もついでにそう教えられた俺は、彼がこの後も無事であることを知れて安堵した。それもそうか。夢魔の力であればあの一か八かみたいなことしても帰れるよな。知らんけど。

 

 

「それじゃあ、僕はここで失礼するよ。……あぁそうそう、最後に一言言わせてくれ」

 

 

 ここを去ることを表すかのように一度背を向けたヨシュアさんだったが、突然すぐさまに振り返ってサムズアップし、満面の笑みを見せながら俺に告げた。

 

 

 

「頑張れ白哉君。これからも明るい未来のために、シャミ子と共に己が道を駆け抜けていくのだ‼︎」

 

 

 

「………………‼︎」

 

 

 ホロリ。一瞬視界が歪んだのと同時に瞳から水滴が一つ流れた。ここまでの会話の中で一番温まりのあるその言葉が、まるで俺の神髄隅々にまで脳があったのかの如く記憶に刻まれた気がしたからだ。

 

 気づいた時にはモヤは蒸散され、同時にヨシュアさんの姿も見えなくなっていた。今からこの言葉を呟いてもヨシュアさんの耳には届かないのだろう。けど、それでも言いたい。あの人が俺に掛けてくれたあの言葉に、精一杯答えるように。

 

 

「俺、頑張ります‼︎ 輝かしい未来への道を、必ず作っていきます‼︎ だからそこから見守っていてください‼︎ 俺の……いや、俺達の勇姿を‼︎」

 

 

 

 

 

 

「………………んあっ?」

 

 

 気がついた時には、俺は布団の中で目を覚ましていた。輝かしい朝日がこの部屋を優しく照らし、小鳥の囀りが気持ちの良い目覚めにしてくれた。ふと隣に視線を向ければ、この布団の中で俺と一緒に寝ていた、一糸纏わぬ格好の優子の姿が。

 

 

「……あぁ、やっぱりアレは夢だったんだな」

 

 

 優子を起こさぬよう優しく彼女の頭を撫でながら、俺はそう徐に呟いた。ヨシュアさんの夢魔の力による俺との邂逅は、やっぱりこっちの世界には何の影響も出ていなさそうだ。封印されているはずの人が何かしらのどえらい行動をしたことだから、何かしらの出来事が起きると思っていたのだが……

 

 

「ま、そんな事は別にどうなったっていいか。いやよくないかもだけど」

 

 

 なんていう独り言を呟きながら、俺は優子の額にそっとキスをした。夢の中でヨシュアさんと結んだ約束を果たすための結びの一つとして、改めて優子を守るんだという意思表示を見せるためのものとして。

 

 本当は唇にキスした方が後々優子も喜ぶし、ぶっちゃけ俺もそこにキスしたかった。けど今はもうちょっと優子を寝かしたかったからね。我慢我慢。

 

 ……これから先、彼女とのこういった生活がしにくい……それどころかできない事件とかが起きるかもしれない。けど、それでも俺は負けない。ヨシュアさんとの誓いを果たすまで、そう易々と死ねない。みんなも死なせない。

 

 

「みんなの明るい未来は、俺が必ず守ってみせる」

 

 

 だからヨシュアさん、いつまでも俺達を見守ってください──改めて俺は、遠くから見届けているであろう彼にそう伝えたのだった。

 

 

 

「………………な、何を思っているのかは分からないけど、色々と反則的な事を言ったのは確かですね……こ、これで勝ったと思うなよぉ……」

 

 




まさか封印されたはずのヨシュアさんと出会うなんてね……転生者の人生何が起きるのか分からないものですな(誰だって人生何が起きるのか分からないだろ)。

ちなみにヨシュアさんの性格は原作六巻とナレーションから独自解釈した感じにしてますので、今後の原作の展開で出るだろう彼の性格とは異なるかも……?

それはそうと、2023年もありがとうございました‼︎ 2024年もよろしくお願いします‼︎

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