偶に愛が重くなるまぞくと、愛されてる男のまちカド物語   作:名無しのモンスター

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他人の誕生日プレゼントの用意をするの大変だよってことで初投稿です。

シャミ子の誕生日回、原作パートに入りました‼︎ この時、誰に観点がいくと思う? 万丈だ──嘘です、とある原作キャラです。


今の俺にできることはただ一つ、桃が原作通りのプレゼントを用意できることを祈るだけ

 

 みんなグッドモーニング、白哉だぜ。

 

 今日は優子の誕生日。この日のために誕生日プレゼントを準備してきたんだ、絶対に彼女に喜んでもらうぞ……‼︎ とはいっても、小倉さんに手伝ってもらったんだから自慢できる程ではないけどな。

 

 さてと……誕生日プレゼントとして渡す真珠のブレスレットがちゃんと出来上がったのか、そろそろきちんと確認しておかないとな。小倉さんて手伝ってもらって作ったものとはいえ、本当に真珠のアクセサリーになったのかどうか分からないもんな。

 

 ……本当は、一度出してもコラーゲンジェルと一緒に入れ直して丸一日以上冷やしておけばさらに硬度が高くなると言われたけど、そこは不安だったから出さなかった。ぶっつけ本番で一発完成することを祈ることにした。そのまま冷やしたままでも硬度がどんどん高くなって長持ちするらしいし、それに賭けるぜ。

 

 

【もしこれで完成しなかったら、マスターは学校休んで新しく誕生日プレゼントを用意するしかない羽目になるメェ〜】

 

【ま、小倉の事だから失敗することはないけどな。寧ろ失敗してたら奴の腕前と品性を疑わなきゃいけなくなる】

 

「メェール君は不吉なこと言わないでくれ。そして白龍様は何故小倉さんにそこまでの信頼をしてるんですか?」

 

 

 うるさい外野へのツッコミはここまでにするとして、真珠は果たして完成したのだろうか。したのだと思うけど、とりあえず冷蔵庫の扉を開けておいてっと。どれどれ、結果はどうなったことやら……それが入ってある型を取り出して、と。

 

 

「メェール君、小倉さんが用意してくれた真珠が絶対傷つかないという受け皿を持ってきてくれ」

 

【既に用意してあるメェ〜】

 

「準備早いな」

 

【どうしても早く完成した真珠を見たいメェ〜からね】

 

 

 あぁ、もう既にそっちはワクワクドキドキ状態……待ちきれないようだな。だったら早く見せてあげないとな。

 

 さてと……型の上に受け皿を乗せて、せーのっでひっくり返して、ゆっくりと型を上にあげて真珠が溢れ出ないようにしてと……

 

 はいっ‼︎ 出たッ‼︎ 赤紫色に綺麗に透けて輝く真珠(まだそれと思われるもの判定)が出たッ‼︎ しかも割れてないし、傷一つついてないし、受け皿から溢れ落ちてないッ‼︎ そしてブレスレット用としてちゃんと紐を通す用に穴が空いてあるッ‼︎

 

 後は感度を確かめるだけだ。宝石とも言えるほどの充分な硬さであれば完成となる。どれどれ、触り心地は……

 

 

「………………サラサラしてる。しかも充分に硬い。……成功だッ‼︎」

 

 

 刹那。俺の後ろで真珠の完成を見守っていたメェール君と白龍様が突然クラッカーを取り出し、すぐさまそれを鳴らしては無言の笑顔でヘッドバンしだした。いやそこまで喜ぶゥ?

 

 

【マスターおめでとうメェ〜‼︎ これでシャミ子ちゃんへの誕生日プレゼントの用意ができるメェ〜‼︎】

 

【ホントによかったな白哉‼︎ これぞ正しく小倉クオリティ……いや、白哉クオリティだな‼︎】

 

「ヘッドバンしながら祝わないで? そして小倉クオリティと白哉クオリティって何ですか?」

 

 

 まぁ、とりあえず二匹が喜んでくれたのなら何よりだ。俺もこれで優子への誕生日プレゼントの用意ができてラッキーだぜ。

 

 ………………さてと、後はあいつだけだな。優子が喜ぶプレゼント、原作通りにしろそうじゃないにしろ、ちゃんと用意してくれよ?

 

 

 

 

 

 

 厳重に保管して優子にバレないように持っていき(楽しみにする派の優子は様子を伺う真似をしてないが)、それからは放課後が終わるまでいつも通り過ごすことに。

 

 ちなみに優子の誕生日パーティーは原作とは違い、学校ではなく柘榴さん家(元・桃の家)で行うことにしたそうな。なんか柘榴さんがバースデーケーキを作ってくれるとのことなので、そういうことにしたそう。

 

 で、今優子は誕生日パーティーが待ち遠しい感じでテンション爆上げな状態で桃とミカンに挨拶してから日直の仕事をしに行ったのを目撃した。ここからの話が面白いので、なるべく自然に桃とミカンの隣に立つことに。

 

 

「……今日のシャミ子、テンションおかしくない?」

 

「そりゃそうよ。今日はシャミ子の誕生日会だし」

 

「それに俺や杏里以外の友達に祝われるのはこれが初めてなんだし、あんな反応するのは当然だろ」

 

「………………………………えっ?」

 

 

 あぁ、うん。やっぱり予想していた通りの反応だな。『何それ聞いてない』みたいな反応しやがって、情報収集が出来てないみたいだなこのヤロー。とりあえず少し聞いてみるか。

 

 

「なんだよその反応、もしかして忘れていたのか? 専用のグループチャットに入れて参加メンバーとして伝えられたはずだろ? 報連相はちゃんとしてたか?」

 

「………………初耳だよ⁉︎」

 

 

 そう……この桃色魔法少女、今日が優子の誕生日パーティーであることをすっかり忘れてしまった……というよりは上手く把握することが出来なかったのだ。報連相もズボラだってのかこの魔法少女は。今日の事を柘榴さんにも教えられたはずだろ? いや、そこは知らんけど……

 

 パーティー参加メンバーは皆が皆、桃はいつも既読無視だからいつも通り無言での承諾をしたのかと思い込んでいたらしい。が、当の本人はチャットだけでの伝達では真面目に伝わないとのことで聞けなかったという。まぁ文面だけでは……って考えは分からなくもないけどな。

 

 

「ちよももそういうとこだぞー」

 

「そういうとこなのよね」

 

「そういうとこだぞ千代田さん」

 

「ホントそういうとこだね……」

 

「今回は私が正しいと思う‼︎」

 

「別に分からなくも──おい待て。勝弥と拓海、お前らいつの間に来てたんだよ」

 

「アレ、私が来たことはスルーなの?」

 

「杏里は声を掛けてくれただけまだマシだ」

 

 

 にしてもこのオリ男二人は何故気配を消しながらこっちに来たのかね。ただ単に俺達の会話が気になってタイミング良く喋りかけてきた感じなのかもしれないだろうけど、いきなりはやめてくれビックリするからさ。

 

 

「ミカンは目に痛い絵文字の乱舞だし、杏里は意味の分からないスタンプ連打だし、拓海は一回の送信毎にメールアプリでも使っているのかってぐらいの長文だし、勝弥は行を区切る前の絵文字を連発するし、誰も招待した記憶の無い小倉がいるし‼︎」

 

「うん、そこは俺達も分からん。なんで来れたんだよあいつ。怖っ」

 

「毎朝起きたら未読四百件。めんどいって思って下までスクロールして終了……うっすいトークに重要な情報を紛れ込ませるのやめて‼︎」

 

 

 未読四百件って、朝スマホを開くまでにどんだけメッセージが出てきたねん。さすがにビックリ仰天してしまうやろがい。みんな毎日どんだけグルチャ使ってんねん、おかしいだろ。暇なんか? それともこれがグルチャを使う者達にとっての普通? うーん、分からん……

 

 

「だとしてもシャミ子の誕生日すら知らないなんて……」

 

「そういったのは白哉が教えたはずなんだけどな」

 

「会を知らなくてもプレゼントくらいは用意すべきよね」

 

「そういった点では別にグルチャは関係ないと思うよ」

 

「……っっ」

 

「そこまでにしておいてやれ。桃だってこうなってしまうとは思っていなかったんだからさ」

 

 

 そもそも優子の誕生日の事を教えた俺のメッセージだってスススッといった感じにちゃんと見られていないかもしれないし、中身が中身だからな。しゃあないってわけ。

 

 ……あっ、よく考えたら優子の誕生日はつぶやいたーのプロフィールから分かるじゃねェか。そこにも気付けないなんて桃も俺も視野が狭いのは同じだな。

 

 とはいっても、誕生日パーティーは放課後で、今は昼休み。今からなら誕生日プレゼントの準備をするのにまだ時間がある。まだチャンスはあるぞズボラ魔法少女よ。

 

 

「ちょっとお腹が痛くなってきたので早退します‼︎」

 

「仮病っ」

 

「そんなんで早退が許されるとは思えないけどな。良くても保健室行き」

 

「いや、プレッシャーで胃が痛いのはリアルで本当だから、これは罷り通るはず……迅速に胃痛の原因を解消してくる」

 

「アッハイ、どうか無理だけはしないようにな」

 

 

 あぁ、うん。演技でも出せない程に顔が青冷めているし、なんか桃の腹部からキリキリとした微音がこちらにまで聞こえてきてるし、もうそっとしておいてやるか。放課後までお大事に……

 

 

 

 

 

 

 シャミ子への誕生日プレゼントの準備を急ぐため、学校を早退しマルマデパートを訪れた桃。しかし、どれをプレゼントすれば良いのかというラインが分からないとのことで、白哉達にそれぞれ個別メッセージで何をプレゼントすることにしたのか問いかけながら決めることに。

 

 女子喜ぶ系・服・ぬいぐるみ系・スマホグッズ・文具系・プラモデル・音楽系・そして装飾品。白哉達はこれらを選択しており、桃が選ぶべきプレゼントの選択肢が狭まってしまった。その上に期限が数時間しかないため、選ぶ時間も限られている。かなりの窮地である。

 

 余談だが、白哉以外の皆が皆『シャミ子はなんでも喜ぶとは思うがダンベルは避けるべき』だと伝えてきたため、桃が『自分はそこまで筋トレ馬鹿ではない』と心の中で訴えていたのは秘密だ(秘密になってない)。

 

 改めてプレゼント選びに悩む桃。シャミ子が本当に欲しいものとは一体どのようなものなのかと試行錯誤したところ、調理用品はどうだろうかと閃く。シャミ子は料理好きで尚且つ普段使いもできて丁度良いと感じたようだ。

 

 が、桃は自覚する程の料理が壊滅的であるため。

 

 

「(何これ、握力グリップ? いやそんなわけが無い……)」

 

 

 このように、ニンニク潰し器に動揺を隠せてないご様子である。そう、調理コーナーとは料理できない者にとっては未知の領域、解読が非常に困難なエリアなのだ‼︎ 正に古代または未来の生物が集まるエリアゼ○‼︎(違う、そうじゃない)

 

 大抵の道具の使い道が見えてこず、シャミ子が持っているものと被る可能性もある。また根詰まることになった、その時だった。

 

 

「あれ、桃ちゃん? こんなところで会うなんて奇遇だね」

 

「あっ……奈々さん?」

 

 

 吸血鬼の魔族であるブラムの義妹・奈々が桃の方へと向かってきたのである。しかも何やらプレゼント用としてか赤いリボンに結ばれた紙袋を二袋持ちながら。

 

 

「まさか調理コーナーで再会できるなんて思ってもいなかったよ。何か用事でもあるの?」

 

「い、いえ。ただの野暮用なので……」

 

「あ、私はね? 今日がシャミ子ちゃんの誕生日だということでね、彼女にプレゼントを渡すために事前にこのデパートの店で頼んでおいたオーダーメイド品を取りに来たの。ちなみにプレゼントは私はハンカチ、兄さんはブックカバーだよ。まぁ兄さんは突然取引先と商談することになったから誕生日会には出られないけど」

 

「ッ……‼︎」

 

 

 聞きたいわけでもないのに、奈々にこちらが何をしているのかを言わないのは野暮だと思われたのか、彼女達兄妹もシャミ子への誕生日プレゼントに渡すものを取りに来たのだと言われ苦虫を噛み締める桃。連絡を受けていない者達ですら前準備がしていることに、さらにプレゼントの選択肢が狭まれたことに悔やんだようだ。

 

 

「ん? 私がシャミ子ちゃんの事を話してたらその反応……もしかして、桃ちゃんもシャミ子への誕生日プレゼントを探しに?」

 

「あっ⁉︎ ……い、いえ、別になんでも……」

 

「いや『あっ』って言った時点でもうバレバレだよ?」

 

「ウッ……ッ‼︎」

 

 

 一瞬の反応で全てを悟られた桃。少し察しをつかれただけで押し負けてはいけなかったと、改めて実感する。

 

 

「そう悔しそうな顔しないで、私はその事を責めるつもりなんてないから。わかるよ? 気がつけば友達の誕生日が近づいてきて、急いで準備しなければならないって焦ってしまうその気持ち」

 

「………………単に今日まで知らなかったってのもあるんですけどね」

 

「あっ。あぁ……」

 

 

 桃をこれ以上不機嫌にさせないようにとフォローを入れる奈々。が、半分空回りした部分もあったらしく、さらに顔に影を落とす桃を見て苦笑いするしかなかった。

 

 

「えっと……あっ‼︎ そ、そうだ‼︎ もしよかったら私も一緒にプレゼント探しを手伝おうか⁉︎ 一人で苦戦するよりも一緒に探した方が効率良いと思うし‼︎」

 

「一緒に……」

 

 

 またもや奈々なりのフォロー。今度は一緒にプレゼント選びに付き合うという同担申請である。これには桃も承諾するかどうか悩む様子を見せるが、このまま何もできなければシャミ子の誕生日会にプレゼントを準備できなくて本末転倒になるだけ。そんな葛藤が湧き出ていき……

 

 

「……お願いします」

 

 

 折れた。最悪な事態を招きたくないがための判断であった。

 

 

「よーし決まり‼︎ 手伝うからには貴方自身が『これをあげたい』と言えるように促しておかなくちゃ‼︎」

 

「あー……最終的には私が決める感じですか」

 

「他人に選択肢を委ねられるよりも、最後には自分の意思で決められるようにしないと気が済まないんでしょ? だから私はその意思を尊重する、それだけだよ」

 

「……私の心境を見抜きますか」

 

 

 下手しなくても一本取られるか。そう確信した桃は思わず苦笑いを浮かべる。自分よりも魔法少女としての活動歴が長いからだろうか、きっと濃い人生を歩んできたのだろうな。そんな考えが頭を過りながら。

 

 

「よーし‼︎ 思い立ったが吉日、早速この調理コーナーからプレゼントを探そうか───」

 

「あら? 桃はんに奈々はんやないの」

 

 

 早速行動に移そうとしたところに、マイペース過ぎ料理好き魔族のリコが声を掛けてきた。これには彼女に苦手意識を持つ桃も後ずさる。

 

 

「リコさん……⁉︎」

 

「あ、お久しぶりです。あの時以来ですね」

 

「二人とも調理器具探してはるの? 料理するん? 桃はんも奈々はんも料理するん? あ! 二人とも今日平日やん! サボり? サボりなん?」

 

「(うっ……めんどくさい)」

 

「(うわっ……今、人によっては触れてはいけない点に触れていなかった? リコさん空気読んで?)」

 

 

 ニコニコとした笑顔で問い詰めたりデリカシーの無い指摘をしたりとしてくるリコに、桃と奈々は若干の引き気味になる。

 

 

「私、今日大学は午前授業だったので問題ないです。桃ちゃんも訳あって……ね?」

 

「え、えぇ。まぁただの野暮用です。急いでるのでこれで───」

 

「シャミ子はんの誕プレ探してはるんやろ」

 

「っ‼︎」

 

「しかも奈々はんは付き添いでぇって感じやろ」

 

「細かいところまで即バレした⁉︎」

 

 

 偶然会ったばかりなのに何故こちらの事情が見破られるのか、そもそも何故シャミ子の誕生日プレゼントを探していることを見破ったのか、桃と奈々は思わず勘付いてきたリコを警戒する。

 

 リコ曰く、料理道具を買いに来たところに桃と奈々の姿を目撃し、桃が何やら渋い顔をしていたので気になって声を掛けることにしたとのこと。その時に今日がシャミ子の誕生日であることを知り、もしかしたらと思い問いかけたら当たったとのこと。つまりは狐の勘である。

 

 

「勘で当てたんだ……ま、まぁいいか。せっかくですし、プレゼントにピッタリな調理器具がいくつかあったら桃ちゃんに教え───」

 

「いんや、シャミ子はんに調理器具はあかんよ。あの子、便利な棒持ってはるやろ。変身するやつ。調理器具って棒状のもんばっかやから、何を買〜ても被りになってまうわ」

 

「……意外と真っ当なアドバイス……‼︎」

 

「何かしらのジョークをしようとする気配がない……‼︎」

 

 

 シャミ子の誕生日プレゼント選びの事で揶揄ってくるのだろうかと警戒していた桃と奈々だったが、リコが伝えてきたのはシャミ子のなんとかの杖を考慮した上でのプレゼント選びの真っ当なアドバイスだった。普通の反応をされたことに動揺したのか、二人は思わず豆鉄砲を撃たれたかのような表情になった。

 

 ここでリコが桃にシャミ子が喜びそうなものを教える等価交換として、七千八百円もするまな板を買ってほしいとせがむ。いつかちゃんと返すと言うが具体的な期日は教えず、人に買わせる物の値段がかなりの高価。これでも彼女に悪意は無い、本当にないのだ。これでも。

 

 結局桃はそのまな板を買ってあげたのだが。リコの案に気になったせいで根負けしたのだが。ご臨終である。

 

 

「じゃー教えたるわ。シャミ子はん、意外とストレートなもんでテンション上がるの」

 

「ストレート……?」

 

 

 リコが発した『ストレート』という言葉。それを聞いて何か引っ掛かりを感じたのか、奈々は閃いたかのような表情を浮かべる。そしてリコの元に寄り、耳打ちするように小声で話しかける。

 

 

「ストレートってどんな感じに表現するんですか? 私、気になります」

 

「そやなぁ。服装から表すとすれば……これにこう、ここはこうやってやれば……」

 

「ふむふむなるほど……あっ。これはこうして、これはこうした方がいいんじゃないですか? で、このセリフを入れて……」

 

「ほうほう、確かにこれならえぇストレート球になるわぁ。奈々はん、いい意見をありがとうなぁ」

 

「いえいえ。ふと思いついたことを言ってみただけなんで、あしからず」

 

 

 奈々が何を思ったのかは定かではないが、リコとの気が合ったことは確か。だからなのか、プレゼントの意味としてのストレートがどういうものなのかという意図が合ったからなのだろう。

 

 

「(えっ。なんでこの二人突然仲が良くなってるの? というかストレートから一体どんな発想をしたのこの二人は。色々と分かんない……)」

 

 

 無論、リコとは意見が合わない桃はただ一人置き去りにされているが。

 

 そんな中、奈々が桃を何処かへと連れ込むかの如く左肩を掴む。

 

 

「桃ちゃん、服屋行こうか。ちょっと着替えてほしいから」

 

「えっなんで?」

 

「えぇから、はよ行こかぁ」

 

 

 理由も聞かされず何故か服屋に連行される苦労人桃色魔法少女。服をプレゼントするにしても、種類に関係なく杏里と被るため意味がないのではないか。そもそも何故自分が着替える必要があるのだろうか。そんな様々な疑問が彼女の脳裏に過っていた。

 

 そういった感じに困惑している中、流されるように二人に服屋へと連行される。桃。そして流されるままに二人にとある服を渡され、流されるように着替えることに。

 

 そして桃が流されるように着替えた衣装が、まさかのタキシード姿(通常サイズのシルクハット付き)。しかも買うのを薦まされる予定のバラの一輪を持たされ、シャミ子にこう伝えてみると良いとも指示される。

 

 

「ハッピーバースデー、マイシャドウミストレス」

 

「ひゃーっ。せやせや‼︎ そんな感じで行こ‼︎」

 

「おー、彼氏さんである白哉君からシャミ子ちゃんを奪い取る気満々じゃない‼︎ ライバル誕生ー‼︎ ヒュー‼︎」

 

「……いや騙されんわっ‼︎ 勝手に恋のライバルって設定つけないで‼︎ そもそもこれはストレート球ではない‼︎」

 

「ウチ騙しとるつもりは毛頭あらへんで‼︎」

 

「あ、ストレートってこんな感じなのかなって考えてたら行動に移してた……ごめんなさい」

 

「申し訳ないけど奈々さんもちょっと天然なのが逆に腹立つ‼︎」

 

 

 やっぱり何かがおかしい。とりあえず悪ノリしてくるのは良くない。それにこのような事をやること自体に羞恥心を覚える。様々な思考がごちゃ混ぜになった桃は思わず赤面し、心の底から不満をぶちまけた。

 

 悪意がなかったとはいえ、天然なご様子(一人は度を超えるほどの)の二人に振り回されたことに嫌気……というか恥ずかしさを感じた桃。やはり自分一人でプレゼント選びを試みようかと考えるものの、悪気はなかったのだと言う二人に呼び止められる。

 

 で、リコに現金を薦められる。範囲内でならシャミ子も好きな物をいつでも買えるとはいえ、プレゼントにするには全く合わないものである。

 

 

「ウチ、誤解されやすいけどホンマに桃はんのこと思〜てアドバイスしとるの」

 

「でもお金をプレゼントにするのは不謹慎ですよ? さすがに私も乗り気にならないというか……」

 

「奈々さんは乗り気になる話題を選んでください‼︎」

 

 

 そもそも出会った当初はそんな性格を見せなかったでしょ。そう奈々に怒鳴ろうとしたものの、実際に会った経歴が浅く彼女が本来どのような人物像なのか理解できていないため、桃は心残るもその事を口に出すのをやめた。

 

 

「そうは言うてもな、少しのお金でもお腹がいっぱいになる時があるやろ? それぐらいお金でももらえるのは嬉しいもんやで。各地を放浪して痛感したこととして、財布とお腹はぽんぽんの方が幸せや」

 

「だからといって………………………………財布? ……あ。あああ‼︎ それだ‼︎」

 

「えっ……」

 

「えっ?」

 

 

 何かに引っ掛かりを感じ、閃いたかのように目を見開き指差しする桃。突然の反応に困惑したのか、奈々とリコは思わず言葉を失い呆気に取られた表情を見せる。

 

 

「えっ嘘? まさか桃ちゃん、本気で現金をプレゼントするつもりじゃ───」

 

「違ぁう‼︎ そっちじゃなくて財布‼︎ 財布の方です‼︎」

 

「財布がどうかし──ん? ……あぁね」

 

「?」

 

 

 奈々は桃が発した言葉の意味を察し、人の心を読むのが普通の人よりも苦手なリコは意味を理解出来ずキョトンとした様子を見せる。果たして桃は二人との会話から何を見出したのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 迎えた放課後。待ちに待った優子の誕生日パーティー。予定通り柘榴さんの家(元・桃の所在地)にみんな集合し、優子の誕生日を祝うことになった。原作でもみんなが用意した沢山のお菓子に加え、柘榴さんが作ったホールケーキもある。

 

 ちなみに柘榴さん手作りのこのケーキ、生地も一から作ったみたいだぜこれ? 『生地も』だぞ?(大事なことなので二回言った) マジですごくね? 後、このケーキはショートケーキじゃなくて苺付きのチョコケーキなんだよ。柘榴さん曰く『まぞくで闇の女帝の彼女にピッタリだから作った』とのことらしい。確かにチョコの色は魔族らしいな。

 

 で、しばらくしてみんなから優子へプレゼントを渡す時間となった。無論、何事も問題無くプレゼント渡しはみんな成功し、優子も喜びの表情を毎回見せてくれた。小倉さんのうごめく人形にはビビってはいたが、ただうごめくだけなので特に問題は無かった。ヤバいかもしれなかったところはそれだけである。

 

 で、昼休みが終わった後のメッセージで来ると言って来てくれた奈々さんがオーダーメイド品のハンカチを渡した後、次は問題となる桃からのプレゼントだが。

 

 

「……わぁぁ‼︎ お財布だ‼︎」

 

 

 原作通り、高価で品質の良い財布をプレゼントした。ところで一体アレ、何処のブランドのヤツなんだろうか。普通の財布でも結構な値段するのに、アレは普通のよりも質が高すぎると思うが……すっごく気になる。

 

 

「シャミ子、いつも透明な袋みたいなのにお金入れてるから……使ってくれると嬉しい」

 

「本当に嬉しいです‼︎ 大事にします‼︎ ずっとずっと大事にします‼︎」

 

「大事にするのはいいけど、実用品だから使ってやれよ。桃もそのために買ったんだからな」

 

「はい‼︎ 傷つかないよう慎重にかつ大事に使います‼︎」

 

「「財布を慎重に使うって何?」」

 

 

 なんか、原作通りしばらく飾って使わなさそうな気がするのだが……まぁ彼女が喜んでいるみたいだし、桃の件はいいか。さてと、次は……

 

 

「今度は俺が渡す番だな。優子、これを受け取って───」

 

「白哉さんからのプレゼントッ‼︎ どんなのですかっ⁉︎ 一体どんなのをプレゼントしてくれるんですかっ⁉︎ ムハームハー‼︎」

 

「いや落ち着け? 盛った獣みたいになってるから落ち着け? な?」

 

「───ハッ⁉︎ す、すみません。つい欲望が出て……」

 

 

 盛った獣扱いとか失礼だけど、実際に荒い息を出してるし、真っ赤な顔を出しているし、蕩けた目の瞳にハートが浮かんでいるし、事実だと思う。いやこれはヤバいって。俺、こんなにも発情してしまう魔族を恋人にしてたのか……

 

 ま、そんなことはどうでもいいさ。例のプレゼント──真珠のネックレスが入ってある箱を出してっと……あったあった、これだ。ちゃんと赤いリボン付きでラッピングしてあるよな。よし。

 

 

「俺からの贈り物はこれだぜ、優子」

 

「わぁ、あぁ……? な、なんか、持っただけで厳重に保管されてある感が出ている気がしますが……」

 

「気にすんな、遠慮せず開けてみろ」

 

「は、はい……」

 

 

 あぁ、保管の仕方がまずかったか。壊れないようにとしただけで優子に複雑な想いを持たせてしまうとは、なんだか申し訳ないな、うん。もうちょっと軽く渡す感じになれるように入れ方とかを工夫すべきか。

 

 

「あぁ……とうとう白哉の愛も重くなったのかよ……」

 

「付き合うことになったのにシャミ子が重くて白哉がまだ重くない方がおかしいでしょ」

 

「確かにそれは言えてるね」

 

「それもそうッスね」

 

「いや待って? 違うから。ただ単に渡すまで壊れないようにと工夫して中身を入れただけだから。深く考えるのやめて?」

 

 

 周囲からはあらぬ誤解(俺がそう思っているだけで正論かもしれないけど)を生んでしまったけど、とりあえずそこまで引き気味にはなってないだけまだマシ……か?

 

 

「ほわわぁぁぁあぁ……っ‼︎ と、とても綺麗……めちゃくちゃ綺麗です……‼︎」

 

 

 おっ、そうこうしてる間に開けて取り出してくれたようだ。さぁ受け取ってくれ優子。これがマッドサイエンティストに手伝ってもらいながらも一から作った、赤紫色の真珠のブレスレットを───

 

 

 

 って、アレ? なんかあのブレスレット……イルミネーションの豪華なライトみたいに輝いて、というか光っているように見えるんですけど? アレ?

 

 

 

「め、目に優しくもすごく輝いています……‼︎ まるで夜景でも見ているかのようです……‼︎」

 

「宝石なら色々と見てきたけど、夜景レベルの輝きなんて初めて見たわ……‼︎」

 

「白哉くん、こんなすごいものを用意できたんだね……‼︎」

 

「知らん……何その光……怖っ……」

 

 

 ねぇ、ちょっと待ってくれない? 取り出してからブレスレットとして箱にしまうまではそんなキラキラとは輝いていないはずだったんだけど? ブレスレット用の紐を真珠に通している時もその前兆みたいなものは見えなかったんだけど? どういうことなの……

 

 オイ小倉さん、これは一体……

 

 

「(ごめん、言い忘れてた。あのレシピで作られた真珠の中には、稀に今のようなすごい輝きを放つものが完成されるんだ。材料の産地次第ってのもあるんだけど、出来たら超ラッキーだよ。やったね‼︎)」

 

 

 えぇ……(引き)。何それ、初耳なんですけど……使う材料次第ではめっちゃ輝く希少価値になるって、一体どういう原理でそうなるんだよ? 謎すぎて怖いんだが……

 

 と、とりあえずここまで予想してなかった輝きが優子達を惹きつけたのなら、真珠のブレスレットに込められた意味を深く追求される心配はないってことにしておけばいい……のか? 分からん。

 

 

「びゃ、白哉さん……こ、こんな高価すぎるかもしれないものを、私が貰ってもいいんですか……?」

 

 

 遠慮がちながらも期待の眼差しを向けてきやがって……そんな瞳をされたら惚れてまうやろっ‼︎ 付き合っているからもうとっくに惚れているようなもんだけど。

 

 

「………………いいんだよ、お前の為を思って頑張って用意したんだから。その代わり、ずっと飾るとかしないでちゃんと着けてくれよ。ブレスレットはその為に作られたものなんだから」

 

「はっ……はいっ‼︎ 一生一生、大事に使わせていただきます‼︎ フヘヘェッ……♡」

 

 

 一生は大袈裟すぎるだろ、とツッコミを入れようかと思ったがやめた。俺がプロポーズをした時以降見せなかった、心の底からの満面の笑みを見せてくれたのだから。その後はめっちゃニヤケ顔になってたけど。

 

 それはそうと、分かってたことだけど一言。

 

 

「リコさんなんで連絡も無しに来てるんすか」

 

「ホントになんで居るんですか」

 

「ウチもシャミ子はんを祝いたい〜」

 

「ありがとうございます‼︎」

 

 

 やっぱり桃とばったり会って同行したんだな。まぁ、奈々さんも一緒に来たのは想定してなかったんだけどな。

 

 

「せや、ウチからもあるんよ。急やったからあんまエエもんやないけど」

 

 

 そう言ってリコさんが紙袋から取り出したのは……うん、ここも原作推奨した俺だから分かる。優子がかなり喜ぶ類の一つだ。

 

 

 

「ほげえええええ‼︎ ぷ……ぷぷぷプレイキャスト2⁉︎ いっいいいいいいいんですか⁉︎」

 

 

 

 ………………うーん、なんだろうな。分かってた反応、分かってた反応なんだけどさぁ……

 

 

「ゆーても十五年前の機種らしいで。マスターのなんやけど3買うたから、2は埃被ってるんやて。使ったげて〜」

 

「ほがぁ」

 

「これ遊び終わったソフトやて」

 

「ほげぇ‼︎ ほげぇ‼︎」

 

「あと薔薇の花〜」

 

「はぎゃああああ‼︎ 何それかっこいい〜!!! 王子ですかーっ⁉︎ ハスハスー‼︎ ハスー‼︎ ハスー‼︎」

 

 

 恋人にまだ見せてない反応をそこでされるのってさぁ、なんだか複雑すぎるんですけど……

 

 

「……桃、今お前が思ってたことを想像して一緒に言っていいか?」

 

「……奇遇だね白哉くん、私も君と同じ事を言おうかと思ってた」

 

「「これで勝ったと思うなよ……」」

 

 

 なんか腹立つから、夜のお楽しみは寝かす余裕が無いくらいに激しく抱いてやるか。容赦しねェぞこの野郎……‼︎

 

 




おまけ:台本形式のほそく話その29


シャミ子の誕生日会の夜

シャミ子「あ、あのぉ……びゃ、白哉さん……?」
白哉「………………なんだよ」ムスッ
シャミ子「いや、その……リコさんからプレゼントを貰った時の事は反省してますので……」
白哉「………………貰った時の事が、なんだって?」ムスッ
シャミ子「えっ。えっと……て、手に入れたことのなかった、超レア物であるプレイキャスト2を貰えたことが、あまりにも嬉しかったものでして……」
「そ、それと薔薇の花も渡された時は、純粋にカッコよかったからつい正直な反応を……で、でもリコさんは告白してるわけではなかったですよ?」
白哉さん「それはわかる。リコさんのことだからどうせ揶揄ってたんだろ」
「けど、俺がプレゼントを渡した時よりもめちゃくちゃ喜んでいるように見えるのはよろしくねェ」ムスッ
シャミ子「そ、それは本当に申し訳───」
白哉「だから、はいこれ」
シャミ子「えっ? な、何ですかこれ? 白い花が、九本?」
白哉「胡蝶蘭っていうんだ。リコさんに負けた気がして悔しかったから、帰りにこっそり買ってやった」
「花言葉は『幸福が飛んでくる』と『純粋な愛』の二つ。んで、花束の本数にも意味はあるんだよ。九本の意味は……『いつも一緒にいてください』だ」
シャミ子「………………………………ッ」
白哉「……ヘヘッ。俺も初めて見せるお前の表情、自身で起こすアクションで見られて嬉しいぜ」
シャミ子「や、やっぱり白哉さんはズルいです。ズルすぎます……」
白哉「今夜はもっとズルくなるぜ。絶対今まで以上に寝かさんからな」
シャミ子「……寧ろバッチコイ……ですッ」
白哉「目、泳ぎすぎてるぞ」
シャミ子「誰のせいですか誰のッ‼︎ これで勝ったと思うなよー‼︎」


やっぱりシャミ子はNLに限る(キリッ)
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