偶に愛が重くなるまぞくと、愛されてる男のまちカド物語   作:名無しのモンスター

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この怒りは微ヤンデレじゃなくて、普通のヤンデレという域のレベルやん。ってことで初投稿です。

原作と異なる展開で大ピンチの白哉の運命は如何に⁉︎

ちなみにブックオフコラボのは時間が時間で買えず、店員さんの話から再入荷も見込みがつかなそうなのでやめました。解せぬ……


蛟さん、俺を元の世界に帰してください‼︎ 優子が取り返しのつかないことをする前に‼︎

 

 生き急ぎすぎたごせんぞの荒んだ心を癒す為、皆で大自然キャンプをする事になった私達。ごせんぞが心の底から楽しんでくれて安心したものの、白哉さんと三人で夜の散歩をしていた時に……

 

 

「白哉さん⁉︎ 急にどうして倒れて……しっかりしてください、白哉さん‼︎」

 

「これは……精神が持って行かれている……⁉︎ 白哉の魂が『何者か』に攫われたのか⁉︎」

 

 

 白哉さんが、突然倒れてしまった。それも何やら不気味な声が響き終わったのと同時に。私がうっかりお酒のカップを川に落としてしまっただけで、どうしてこんなことに……そのカップは白哉さんがすぐさま拾ってくれたというのに……

 

 呼吸はしているから死んではいないとはいえ、とても嫌な予感がする。これはきっと、私が十年前に長く病院のベッドに寝ていた時と同じなのかもしれない。その実感が湧かないとはいえ、このまま白哉さんが数日も起きないとなると……

 

 ……ん? ちょっと待てよ? 今さっき、ごせんぞの口から聞き捨てにならない言葉が聞こえたような……

 

 

「ごせんぞ……今、白哉さんがどうなったって言いましたか?」

 

「えっ? せ、精神を持って行かれていると言ったが……」

 

「その後の言葉です。どうされたって言いましたか?」

 

「えっ……えっと……な、何者かに魂を奪われた、と言ったのだが……」

 

 

 なるほど。何者かが白哉さんの魂を……そっかぁ……そうだったんですね。そっかぁ、そういうことかぁ……

 

 

「でしたら……許せませんね

 

「へっ? お、おい、シャミ子……?」

 

誰が何の目的で白哉さんの魂を攫ったのかなんて分からないし、何が狙いなのかも分からない……でも、私の愛する幼馴染を、大好きな人を、彼氏を、魂を奪い取って自由すらも奪い取るだなんて、よっぽど自己中心的で人の気持ちを一切考えない酷い人なのかもしれませんね

 

「ちょ、おまっ、シャ、シャミ子……」

 

 

 そんな人に白哉さんの自由を奪う権利なんてない。やらせる権利もない。私は白哉さんに対して愛が重くなるまぞくなんですよ? そんな私から白哉さんを奪おうだなんて……

 

 

 

許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない絶対ポコポコにする絶対ポコポコにする絶対ポコポコにする絶対ポコポコにする絶対ポコポコにする絶対ポコポコにする絶対ポコポコにする絶対ポコポコにする絶対ポコポコにする絶対ポコポコにする許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない絶対ポコポコにする絶対ポコポコにする絶対ポコポコにする絶対ポコポコにする絶対ポコポコにする絶対ポコポコにする絶対ポコポコにする絶対ポコポコにする絶対ポコポコにする絶対ポコポコにする許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない絶対ポコポコにする絶対ポコポコにする絶対ポコポコにする絶対ポコポコにする絶対ポコポコにする絶対ポコポコにする絶対ポコポコにする絶対ポコポコにする絶対ポコポコにする絶対ポコポコにする───」

 

 

 

「ダ、ダメだ‼︎ やめろシャミ子‼︎ それ以上気を高めるな‼︎ やめろシャミ子!! 落ち着けェェェッ!!」ピロロロロロ……

 

「ヘアァッ!?」

 

 

 気が付いた時には、私はいつの間にかドデカい死神の鎌に変形させていたなんとかの杖におでこを強くぶつけられていた。す、すごく痛いしヒリヒリする……

 

 あれ? ちょっ、ちょっと待ってください? 私、なんでなんとかの杖をあんな人の命を根ごそぎ刈り取りそうなものに変形させたのでしょうか……? あれ……?

 

 

「あ、危なかった……ポコポコにするってレベルの怒りではなかっただろ……シャミ子よ。白哉の事が心配で仕方ないのは分かるが、周りが見えなくなってしまえば、白哉を助けられる術を自ら潰していく羽目になってしまうぞ。それにもし、おぬしが誰かを傷つけるようなことをしてしまえば、それこそ白哉が悲しむことになるぞ」

 

「えっ? ……あっ」

 

 

 そ、そっか。そうでしたか……私、白哉さんをこんな状態にした人の事が許せなくて、我を失いかけた……というか思いっきり失ってしまったんですね。いくら許せなかったとはいえ、自分を一瞬でも制御できなかったなんて情けないですね……そんなんじゃ白哉さんを助けれても、彼の心までは……

 

 

「まぁ突然の事だったから無理もない。余か白哉か桃じゃなければ止められなかったのかもしれんが……いや、そんな事はどうでもいい、とにかく今すべきことは白哉の身の安全の確保だ。一旦皆のところまで戻るぞ。積もる事は白哉を助けてからでも遅くなかろう」

 

「……はい‼︎」

 

 

 そうですね……いつまでも自分の不甲斐なさを嘆いている場合じゃない。今は白哉さんを桃達のところに連れて行って、彼がこうなってしまった経緯を皆に話さないと。

 

 白哉さん、待っていてください。必ず私達が貴方の魂を取り返してみせますからね‼︎ だからそれまで……無事でいてください。

 

 

 

 

 

 

 本当に、何故こうなってしまったんだ。どうしてこうなったんだ。思ってたんと違う。

 

 なんで優子じゃなくて俺が蛟さんに魂を奪われなければいけないんだよ。いや優子の魂も奪わないでほしいけどさ。どうしてこの人(というより大蛇)は俺の魂なんかを……

 

 ん? ちょっと待てよ? 確か原作で蛟さんが優子の魂をこの世界に引き寄せた理由が、彼女の持つ魔力に興味が湧いたから……じゃないのか? で、俺の持つ魔力も質か何かが優子以上に特殊であって、万物の心象に干渉出来て、封印されたままでもその力場を利用して魂を抜けれるから、そこに興味が湧いて……ってことになるのか? それなら納得がいくけど……

 

 とりあえず、今は彼の機嫌を損ねさせないことを最優先にしよう。でないと何をされるか分からないし、頼み事をしようにも機嫌を良くさせないと出来ないからな。

 

 まずは……彼からの説教をきちんと聞かないと。

 

 

『昼間騒いでいたのも汝の一行か。我の上で火を起こし肉や海の生き物を炊いた』

 

「あの、本当に申し訳ありませんでした……蛇は火が苦手ですし、知らなかったとはいえ生き物を焼くのは殺生みたいなものですよね……」

 

 

 嘘です、知らなかったというのは嘘です。貴方がこの山で封印されている事は原作読んで知りました。でも言ったらややこしくなるので、そこら辺は内緒にさせてくださいお願いします。

 

 

『生き物を焼くのは人間側の問題である為、それほど気にはしない。それと我は火が苦手だから怒っているわけではない、その火の熱が強すぎて中々眠れないからだ』

 

「あっ……そ、そうでしたか……」

 

 

 そういえば貴方、俺達がキャンプするまで寝てましたもんね。それなのに俺達のせいで起こしてしまって……マジですみませんでした。

 

 

『まぁ、もうそれはよい。とりあえず長き封印に倦みし我を慰めよ』

 

「あっ……はい、分かりました」

 

 

 慰める。蛟さんが言うには言葉通り慰めるのではなく、楽しませるという意味である。さっき『暇つぶしに付き合って』って言っていたから、そういうことだ。昔の言葉の意味って難問だね。

 

 

「けど俺が持ってる能力の中には、場所次第では機能しない場合があると思います。実際に起きたわけではないですけど、そこのところばご了承していただけると幸いです」

 

『そうか。限定的である可能性があるのならば、そこは我慢しよう』

 

 

 さてと……まずは召喚獣達を呼び出したり元の場所に戻せたりできないか確かめるとするか。もしかするといざという時に俺も一緒にこの世界から抜け出せるかもしれないし、やっておいて損はないはずだ。

 

 ここは白龍様を……いや、彼はやめておこう。こっそり話したい時に適しないからなあの人(龍)。だってスケッチブックを使わないと話せないし。

 

 

「猛虎、召喚‼︎」

 

 

 そう言って俺が呼び出すことに決めたのは、物体ならほぼ何でも壊せるポジティブ系メス虎・猛虎。彼女ならこんな状況で呼び出されても前向きな性格で乗り切るだろうし、その性格からこの状況を脱する手段を考えてくれそうだから、彼女を召喚することにした。そもそも召喚できるかどうか……

 

 おっ? いつも通りの感じに手を翳したところから魔法陣が出たぞ? しかも何かが出てきて……あっ、灰黄色と黒の縞模様をした虎が出て来た。猛虎だ。こんなところでも召喚できた。

 

 

『ほう、異質な力……魔力を持つ獣を呼び出せるのか。汝の能力、さらに少し興味が湧く』

 

【おっ? 何この蛇さん。もしかしてお偉いさんかな?】

 

 

 どうやら召喚術も召喚獣も蛟さんには好評のようだ。異質な力を持つ獣とか言っていたし、ここから力を見せればまた機嫌を良くしてくれそうだ。

 

 

「猛虎。こんなところに呼び出して申し訳ないけど、実はかくかくしかじかまるまるうまうまひよってるやついるいねーよな、というわけなんだよ」

 

【なるほどね……オッケー分かった‼︎ 後で『東○リ○ンジャー○』読ませてね‼︎】

 

「いや何が分かったんだ⁉︎」

 

 

 なんでそこで東リ○が出てくるんだよ⁉︎ お前話聞いてた⁉︎ って、アレ? なんかデジャヴを感じる。

 

 

「というか……召喚した上にそういう反応するだろうなとは思ってなんだけど、お前よく平然としていられるな? ここから自力で元の世界に戻れるかどうか分からないのに」

 

【んー? いきなりこんなことになったからって、鬱とかになったって仕方ないじゃん。だから今はやるべきやることやって、そこからどうするか考えるべきだよ】

 

 

 ポジティブシンキングがすごい……普段の影狼とは正反対な性格してるわこいつ……絶対キターンな陽キャだろ。召喚獣達の誰かと四匹でバンド組んで来いよ、人気になりそうだからさ。

 

 

【んじゃマスター、何か壊してもいいもの持ってる? 私の力を蛟さんに見せるから】

 

「………………急に言われましても、そんなもの持ってないから無理」

 

『その虎は破壊を得意とするのか? 我の財宝ならば壊してもいいものを出せるぞ』

 

 

 そうだった。そういえば蛟さんはゲドバビ……王の財宝みたいにたくさんの財宝を生み出す(?)ことができるんだったっけか。というか壊してもオッケーだとか、自分の財宝を何だと思っているんですか貴方は。

 

 

【えっいいの? やったー‼︎ だったら結構硬いものを出してくれる⁉︎】

 

「ちょっ、おまっ、お前は少し遠慮ってものを考えろよ。後彼相手には敬語を……」

 

『構わぬ。それよりもそこの虎……猛虎とか言ったな。汝の力を見せよ』

 

【はーい‼︎】

 

 

 ……立場とか気にせずノー敬語で話す虎に、万死に値するとか言ってたのになんだかんだ許す大蛇……意外と良いコンビになりそうなの何なの? この人達(蛇と虎)、案外マイペースで早い段階で仲良くなれるタイプなのだろうか? 白龍様に負けない程のマイペースなんだけど───

 

 

【どりゃああああああっ‼︎】

 

『ほう』

 

【でぃやぁああああああっ‼︎】

 

『おぉ』

 

【だらっしゃあぁああああああっ‼︎】

 

『なんという破壊力……‼︎ 銀の輝きを持つ者よ、汝はこんなすごい獣を何匹も携えていたのだな‼︎』

 

「えっ。まぁお褒めにいただき感謝します……けど猛虎、お前たくさん壊しすぎだ‼︎ 蛟さんの財宝を片っ端から壊して全部粉々にするつもりかっ‼︎ もうやめなさいっ‼︎」

 

 

 ちょっと、危ねェんだけど‼︎ めっちゃ危ねェんだけど‼︎ 破壊しためっちゃ硬そうな宝石みたいなものの破片がこっちに飛び散ってくるんだけど‼︎

 

 もうっ……もう引っ込めェェェッ‼︎ お前もう引っ込めェェェェェェッ‼︎ ポジティブ虎じゃなくてただの自己中心虎じゃねェか‼︎ 召喚獣の説明書に書いてある文を詐欺りやがって‼︎ いや関係ないけどそこはっ‼︎ とにかく引っ込んでくれよお前ェェェェェェッ‼︎

 

 

 

 

 

 

 気絶してしまった白哉さんを桃達のところへと運んでいき、何故彼がこうなってしまったのかをごせんぞと一緒に説明した私。白哉さんの意識が何処に攫われたのか、何が目的なのかの説明を促されたものの、もちろんそんな事も分かるはずないので、それをそのまま説明するしかなかったのですが。

 

 魂を『何者か』に抜かれていることは確かで、そのせいで私やごせんぞが夢の中に潜ろうにしても潜れないし、白哉さんの召喚獣達も自力でこっちの世界に来れないらしい……いやどういう原理で? 魔力を通してなのかどうかも分からないためその原因すらも……

 

 とりあえず小倉さんに連絡を入れて、白哉さんの魂を探してもらうよう頼み込んで……圏外ッ‼︎ ここ山なの忘れてましたッ‼︎ ここぞという時に限ってどうしてこうなった……‼︎

 

 

「魂が抜けるとどうなるんだ? まさかこのままだと死んでしまう……とかじゃ───」

 

えっ死ぬ? えっ? 死ぬ? 白哉さんが、死ぬ? えっ? 死ぬ……白哉さんが…… い、嫌だ……し、死なないで……白哉さん死なないで……ハッ、ハッ、フッ、ハッ、ハッ……

 

「ギャアァアアアアアアッ!? シャ、シャミ子悪い!! 今のは綾!! 言葉の綾として言ってるだけだから!! 全然本気で言ってないから!! 俺も白哉には死んでほしくないと思ってるから!! だから過呼吸になるな‼︎ 落ち着け!!」

 

「───はっ!?」

 

 

 わ、私とんでもないショックを受けてヤバい状態になってました!? わ、我ながら一体なんでこんなことになってしまったのでしょうか……!? あ、あれ。息が苦しかったような……

 

 

「す、すごく危なっかしかったけど、シャミ子はそれほどまで白哉くんの事が好きだったんだ……良きだね」

 

「愛って行き過ぎると人を変えるのね……ある意味すごいわ、シャミ子」

 

「どこが!? どこが良いんですか⁉︎ どこがすごいんですか⁉︎ 私が暴走するとこの一体どこに良さがあるのですか!?」

 

 

 我ながら暴走した自分のことが色々な意味で罪悪感を感じるんですけど!? 私の白哉さんに対する愛が改めて酷く感じちゃうんですけど!? だから賞賛するのやめてもらってもよろしいでしょうか!?

 

 

「シャ、シャミ子が正気に戻ってくれたところで話を戻すぞ。魂が不在になると、すぐに死ぬというわけではないが、体の機能は徐々に弱まっていく。酸素欠乏症に近い状態だな」

 

「酸素、けつ……何ですかそれ?」

 

「酸素欠乏症。空気中の酸素濃度の低下により体内に酸素を十分に取り込めなくなった場合に起こる症状のこと。つまりは脳に深い精神的ダメージを受けるってわけだよ」

 

 

 あっ、なるほど。拓海くん、教えていただきありがとうございます……じゃなくて⁉︎ 脳にダメージを受けたら白哉さんが正気じゃなくなるじゃないですか⁉︎ まさか普通の人生を送れなくなるとか……⁉︎

 

 ダメダメダメダメダメダメダメダメ‼︎ そんなの絶対ダメです‼︎ 早く白哉さんの魂を取り戻さないと‼︎ どうにかして何処に魂があるのか探さないと……

 

 

「ちょっ、シャミ子⁉︎ なんとかの杖をなんか殺意の高そうな武器に変形させてない⁉︎ 気持ちは分かるけど落ち着きなさいよ‼︎」

 

「えっ? ……ハッ⁉︎」

 

 

 わ、私ってばまた何を⁉︎ な、なんでなんとかの杖を理性が無いのに強い忠誠心を持って動く凶暴戦士の持つ斧剣に変えたのでしょうか⁉︎ た、ただ白哉さんの魂を取り戻そうと決めただけなのに⁉︎ そこまでヤバい事を考えてないはずなのに⁉︎

 

 と、とりあえずなんとかの杖を元に戻さないと……‼︎

 

 

「す、すみませんでした。さすがにこれは自分でもなんでこんな事してるんだろうって思ってます……」

 

『いや何を今更』

 

「あれぇ⁉︎」

 

 

 私って『白哉さんの事になると暴走することがある』という捉え方で定着されているのですか⁉︎ 私は今、そういう方面での信頼度が無くてショックを受けてますが……

 

 

「……それほどまでに白哉君に対する愛情が歪む程凄まじいってことだよね。皆そんな君の事を悪くは思ってないよ」

 

「それはそれで嬉しくないですッ‼︎」

 

 

 柘榴さんは桃達と比べたらまだ私との面識が浅いとはいえ、そんな捉え方をされたらそうなってしまった自分が恥ずかしいししすごい罪悪感ッ‼︎ だからこんな事で褒められたくなかったですッ‼︎

 

 

「あぁ……シャミ子がショックを受けてるところ悪いが、今は白哉の魂を見つけるのが最優先だ。この山一帯のどこかに、自然に棲む人ならざるものに魂を拐かされ、囚われていると思うが……」

 

 

 申し訳なく思いながら説明しないでほしいのですが。それもそれで罪悪感が……

 

 

「なるはやで探し出さなくちゃダメか……早速山を吹き飛ばして更地にしよう」

 

 

 ファッ⁉︎ この桃色魔法少女は一体何をする気だ⁉︎ さっきの斧剣よりもドデカいサイズの丸太を持ってません⁉︎ 何処で見つけたってかいつの間に生成したのか⁉︎

 

 

「ちょっ、待って待って待って待って⁉︎ きさま即座に物理交渉に持ち込むな‼︎」

 

「いや此奴は交渉する気更々無い様子だぞ⁉︎ 脅迫して相手を黙らせる気だ!!」

 

 

 うおっ危なっ⁉︎ 思いっきり素振りしてるじゃないですか‼︎ きさまマジでこの山を更地にするつもりか⁉︎

 

 

「山を消しても白哉は戻らぬ!! まずは相手と交渉だ!! 物理とか脅迫とかではなくて口実交渉でだぞ!!」

 

「交渉了解」

 

「了解したなら素振りをやめよ!! シャミ子だって暴走しても素振りすらしなかったぞ!! だから今のおぬしの方がその時のシャミ子よりもヤバい!!」

 

「それもそれで複雑すぎるっ!!」

 

 

 もしかしてごせんぞ、それで私をフォローしているつもりですか⁉ フォローしてくれるのは嬉しいですけど、ホントどんな感情をすればいいのか分かりませんが⁉

 

 というか、愛の重すぎる私よりも力技する気マシマシの桃の方がヤバいってなんですか。怖っ……

 

 

 

 

 

 

『ほう、海の水を作り操るのか。汝の力も興味深いものだ』

 

【フォッフォッフォッ。若いもんにはまだまだ負けはしませぬぞ】

 

 

 猛虎を俺の元へと引っ込ませた後、今度は灰色のザトウクジラ──海王を召喚し、彼に今の状況を説明し、彼の持つ海水を生成し操作する能力を披露してもらうよう頼み込んだ。そしたら何の躊躇いもなく二つ返事。器が大きいとはいうが、何の躊躇いもないのは意味が違くないか?

 

 

『そこの麒麟と孔雀の能力も中々の比興なり。もっと我を楽しませよ』

 

【そ、そこまで言うのだったら、もっと俺の自慢の氷像アート達を作ってやらなくもないぜ?】

 

【………………】

 

 

 で、さらに召喚した聖と全長二・五メートルの孔雀──朝焼にも蛟さんに能力を見せてあげるよう頼んだら、朝焼は無口が故の間がありながらもはっきりと頷き、聖はなんやかんやでツンデレって了承。聖の氷の力で作った氷像を朝焼が飛行付与の能力で飛ばすというパフォーマンスをしてくれた。

 

 俺? 俺自身が能力を見せるのは、蛟さんに指示されたらにしたよ。なんか召喚獣達だけで蛟さんを喜ばせられているみたいだし、まぁ多少はね?

 

 

『このような愉快な気持ち、百五十年ぶりぞ』

 

「喜んでいただいて何よりです。俺も勇気を持って彼等を呼び出した甲斐がありました」

 

 

 よし、これで蛟さんを満足させることができた。後は俺が元の世界に帰れるよう上手く交渉出来れば良いのだけれど……

 

 

【ところで、蛇さんってマスターが昼にお祈りしていた祠に封印されているの? 今の私達、あの祠の中? だとしたら私達ってちっちゃくなってるの? それとも祠の中が意外と結構広いの?】

 

【これ猛虎よ、この方に敬語を使わぬのは失礼じゃぞ】

 

『構わぬ。……あの祠は我と俗界を繋ぐ覗き窓に過ぎぬ。この山全体が我の封印された姿よ。巨大な蛟がとぐろを巻いた状態で封じられ、木が生え山となった』

 

 

 なんか突然猛虎が蛟さんに質問していたから、原作通りに蛟さんの事に関する説明が始まったな。というか改めて聞くと、封印されて山になったってヤバくね? 山になる程に蛟さんはデカかったって事になるんじゃね? 後どういう原理で封印されたらそうなる?

 

 

『銀の輝きを持つ者よ、汝には体に刻のようなものが付けられているだろう。魂を引き込む時に闇の一族の匂いと少量の光の一族の巫女の匂いを感じたぞ。どうやら汝に刻を付けたその闇の一族は、きっと光の一族の助力を得ているのだろうな』

 

 

 えっ、俺にも魔族や魔法少女と似た境遇みたいなものを受けているってのか? 刻というのがどんなものなのかは知らないけど、それを付けた魔族が誰なのは確信がつく。優子だな、彼女が俺を悠久を共にするパートナーにしてくれたから、繋がりのようなものを俺に与えてくれたのかもしれないな。

 

 

「それさっきまで俺の隣にいた魔族……優子の事ですか? 彼女、俺の幼馴染で恋人なんです」

 

『ほう、あの小さき者と結ばれているのか。彼奴は小さき体でかなり苦労を重ねたのだろうな。憐れなことよ』

 

 

 かなりの苦労って……曖昧な感じとはいえ優子が苦労したことをすぐに察して理解してくれるとは、貴方改めて結構良い人じゃないですか。意外とかなり器のデカい……

 

 

【ねぇ、闇の一族って一体何? 魔族と同じのはずなのに魔族って呼ばないから違うの?】

 

「また急に砕いた言葉で質問していくのかよ」

 

『自然体で話して構わぬ。……闇の一族とは、光の一族の定めし世界の矩から外れた者達のこと』

 

 

 世界の矩……理や法律などといった決められたもののことのようだな。つまりは光の一族の善業などとが各々の思考等と合わず、それと異なることをして闇に堕ちた……ということなのだろうか。

 

 ……ん? んんん? ………………あっ(察し)

 

 

「あのっ……えっとぉっ……す、すいません。そのっ……ゆ、優子は、元は人間で……後に魔族、闇の一族になったって感じで……な、何といういうべきか……光の心を持った闇の一族?みたいな感じの子なんですよ……。えっと……偶に俺の事になると愛が重くなる感じになって、感情が歪む感じになってしまうんですけど……ひ、人に害を与える気は彼女にはないし、その感情を含めて俺は受け入れて恋人にしたのでっ、そのっ……最悪非常な程には世界の矩から外れてないって、認識でいてくれると助かると言いますか……」

 

『さっきから汝は一体何を説明しているのだ?』

 

 

 優子が世界の理から外れた行為をしたかもしれないことについて、アウトなのかセーフなのかを聞いているんですッ‼︎ なんで闇の一族が何者なのかを説明した後から察しないんですか貴方はッ‼︎ まぁこっちの説明不足ってのもあるかもしれないですけどッ‼︎

 

 この後蛟さんは優子のヤンデレは世界の矩に外れたわけではないと言うかの如く、闇の一族がどんな者なのかの説明を続けてくれた。いや、この場合は『ヤンデレの意味が分からんから知らん』って言ってるようなものか。その曖昧な判定だとこちらはどのように捉えればいいのか分からないのですが……

 

 闇の一族。今世で害を起こさずとも、異形の者・異能のもの・まつろわぬ者・世界の理を乱す者の四つを指す。そしてそれらのどれかに当て嵌まる者は古代の諚─命令─により誅せられる……罪を責められ殺される、とのことだ。

 

 あっ待って。ちょっと待って。それってヤンデレってしまった優子も古代で生きてたら処刑されていたってことになるんじゃないのかっ⁉︎ そう考えるとかなり背筋が凍ってしまうのだが……ッ。

 

 ここまで聞くと今の時代でも優子が殺されるかもしれないと思うだろうが、その心配はないことがこの後の説明で分かることに。

 

 古代の錠を定めた光の一族は、人に融け込み消え去ったのだ。天地開闢の荒ぶる大魔力はとうの昔に静まり全能の存在は無くなり、残ったのは蛇の抜け殻の如く薄まった世界の矩のみだそう。

 

 一応、現状では優子が殺される心配がないということは分かった。けどここまで聞いてもまだ分からない点がある。何故光の一族と闇の一族が生まれたのか、何故古代の二つの種族は相見えないのか……謎はさらに深まってきた。

 

 とはいっても、そういうのはまだ聞かされたばかりだし、何よりも状況が状況だから考える時間が今はない。だから一旦元の世界に帰って、本来原作通り一族の事を聞くべきだった優子に報告して……っていう風にできる事をやっておこう。それが得策だな。

 

 

「わざわざ貴重なお話をしていただきありがとうございました。それと今回は誠に申し訳ございませんでした。そろそろ皆と一緒にこの山から失礼させていただきます。ホラ、聖達も帰るぞ」

 

【フンッ、やっとかよ】

 

【私はもうちょっとだけ話したかったけどなぁ】

 

【そう言うでない。マスターの友人達が心配しておるからな】

 

【………………】

 

 

 なんか猛虎の方はまだここに居たいというけど、絶対そうはさせないからな。早く元の世界に帰りたいし、何より優子が暴走してしまわないか……というか暴走を続けてしまってないか不安だしな。ってなわけで元の世界に帰らせて……

 

 

『え? 帰る? なんで?』

 

「なんでって……平たく言えば俺がこの世界にいるのは全く似つかわないから……?」

 

『似つかわなくもない。汝は比興なる獣達を呼び出し、我の百十年間の寂しさを埋めてくれたのだ。よって我は汝が気に入った。ずっとここで我を慰め続けよ‼︎』

 

「しまった好感度を上げ過ぎた‼︎」

 

 

 ヤベェッ‼︎ やらかしたッ‼︎ 今気づいたッ‼︎ 原作でも優子がやり過ぎて蛟さんを喜ばせ過ぎて彼に執着させてしまったんだったッ‼︎ 原作推奨してた癖になんでそんな事に気づかないのかな俺は⁉︎ これじゃあ帰るにも帰してくれないやんッ‼︎

 

 

【えっ⁉︎ 私達召喚獣は帰れるだろうけど、マスターは帰れないの⁉︎】

 

【巫山戯るなッ‼︎ マスターはこんなところで一生を送っていいわけがないッ‼︎ アンタの独断でマスターの人生を決めつけるなッ‼︎】

 

【マスターは元の世界へと帰らなければならぬ‼︎ どうか考え直してくだされ‼︎】

 

【………………‼︎】

 

 

 これには当然召喚獣達も納得がいかない様子だ。そりゃあ自分の主人囚われることになって、反対しない方がおかしいよな……曙なら面白がるだろうけど(怒)。

 

 ッ……‼︎ テレパシー能力とかは俺は持ってないから、召喚獣達を元の世界に戻してから彼等自身の力で優子達の世界に行かせて報告させることに賭けるか……⁉︎ けど、俺の魂が抜かれた状態なのに、彼等にそんな事ができるのか……⁉︎

 

 ………………いや、ここは。

 

 

「……蛟さん。無礼承知で言わせてください。俺はここに居続けることはできません」

 

『何故だ?』

 

 

 

「優子が……俺の目覚めを待っているからです」

 

 

 

 自分の本音を思いっきり蛟さんにぶつけよう。これも一か八かの賭けになるが、想いをぶつければどうにか彼の心に変化が訪れるはず……‼︎

 

 

「先程も言った通り、俺には幼馴染で恋人でもある魔族がいます。彼女は多少歪ながらも俺の事を強く想ってくれているんです。大きな愛情を注いでくれます。そんな彼女が俺との関係に微量でも亀裂が生じてしまいそうになれば、最悪世界を崩壊しかねない行動をするかもしれません」

 

『……あの小さき者が、世界を崩壊しかねない事を……』

 

「確証があるわけではありません。普段の彼女は誰にでも優しくて皆と仲良くなりたいという想いも持っております。だから重い感情が出てしまっても、己の意思で踏み留まってくれるので……ですが、今の俺は魂がここにある状態で、向こうでは抜け殻になっているのかもしれません。だから、もしも彼女が俺の魂が誰かに攫われたという認識をしてしまえば、あの子の溜まった負の感情が強まって、もしかすると世界を……」

 

『………………』

 

「俺は、そんな優子を見たくない。皆と仲良くしていき、平和な街づくりをしていきたいという彼女の理想を……俺の事で暴走して自身の手で崩させたくないんです。だから……お願いしますッ‼︎ 俺の為としてではなく、優子の為に俺の魂を元の場所に帰してくださいッ‼︎ 俺はもう、優子を俺の事で苦しませたくないッ‼︎」

 

 

 ……言った。俺の本音を思いっきりぶつけた。後蛟さんがこの本音にどう対応してくれるのかを願うだけだ。

 

 頼む……どうか、どうか蛟さんの気が変わってくれ……ッ‼︎

 

 




ん? バレンタイン回? 今シリアス真っ只中なのにそんなの書けるかッ‼︎ タイミングがタイミングだったけどねチクショーめがッ‼︎
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