偶に愛が重くなるまぞくと、愛されてる男のまちカド物語 作:名無しのモンスター
百合の間に挟まれる男じゃなくていいからさ、きらら漫画にもっとメインの男性キャラを出してほしい……
今の前書きは『百合を否定するもの』では無く『男性メインキャラを増やす願望をしているもの』であるのであしからず。
ある日の出来事。俺達一年D組が体育の授業でバレーボールをしていた時の事だった。
「狙え狙え! 広瀬か伊賀山を狙え‼︎」
「運動神経が抜群なこの二人を潰せば後はこちらが有利だ‼︎ 狙え‼︎」
「こなくそー‼︎ ならこっちは平地か仙寿を潰したる‼︎」
「インチキ技がもう出ないくらいに追い詰めてやるぞー‼︎」
「インチキしねーよッ‼︎ お前らさっきから俺達の事をなんだと思ってんだッ‼︎」
その時の俺・拓海・勝弥・全蔵は今、体力潰しの為だとかなんとかで攻めてくる輩達の結構なスマッシュを止めていってる。
なんでみんな俺達に向けてスマッシュをしてくるんだよ。鬼畜か? 普通に点数狙う形でスマッシュを敵が届きそうにないところにやれよ。これ点数を取るスポーツだぞ?
「ねぇ、なんで平地君と仙寿君は召喚術とか霊術とやらを使わないんだろ?」
「それを言うなら伊賀山君だって忍術使ってないけどね」
おいふざけんな、一般人の方が多いこのメンツで一般人が絶対に使えない技を使うとか、俺達はそんな人でなしじゃねェんだよ。お前ら一般人の事も考えて行動しないと嫌われやすいし。俺も前までも一般人だけどね。
うわっまた俺に向けてスマッシュしてきたッ⁉︎ あっぶねスライディングレシーブでブローーーック‼︎ この野郎が……一々俺達を狙いやがって、もう許さんッ‼︎ 本来のバレーボールとはどういうものか教えてやる……ッ‼︎
「よしっトス。誰かシュートを決めて──えっ?」
よっしゃナイスだ拓海‼︎ このトスされたボールをそのまま……
「オラァアターーーック‼︎」
ボールを相手コートの届かないエリアにスマァァァァァァッシュッ‼︎ そして得点ゲェェェットッ‼︎ 超! エクサイティングッ‼︎
「っしゃあ得点ゲットォッ‼︎ ざまぁみろ姑息野郎どもォッ‼︎」
どうだァッ‼︎ スマッシュとかして点数を決めるのが本来のバレーボールってんだいっ‼︎ 覚えておけ先程まで特定の選手を潰すことしか考えなかった輩ども‼︎
「白哉君……なんか私怨が出てないかい?」
「気のせいだ気のせい」
すまん、気のせいだと思ってないよな。うん、嘘。もちろん嘘。私怨ある。一々点数じゃなくて俺達の体力を狙うとか、お前ら各スポーツの狙いどころって分かってないよな? って思ってしまうんだよホントに。
「ほらほらぁっ!! 俺に返り討ちにされたくなかったら俺達の戦闘不能じゃなくて点数の方を狙いなぁっ!!」
「やっぱり私怨混じってるじゃないか」
「あっやっべぇ。つい本音が漏れて……」
き、気が緩んで煽ってしまったわ……やらかしたわ……あまりにも狙われすぎたから、きっと不満を爆発させすぎたんだと思う。以後気をつけます。
「シャミ子はレシーブ失敗率百パーセントだ‼︎ 狙え狙え‼︎」
「あっ、女子の方でも特定の人物を狙った戦法してやがる。しかも優子の奴を……‼︎」
弱い奴を狙うとか、体力削り狙い以上によっぽどタチが悪すぎるじゃねェか……‼︎ お前ら女子、人の心とかないんか? しかも狙えと叫んでる奴、杏里じゃねェか。誰かに人の心を持ってかれたんかお前?
「こなくそー‼︎ ききかんりー‼︎ ………………メコスッ」
「シャミ子ォォォッ‼︎ ごめーん‼︎」
あ、変身できずにそのままボールが顔面に……うん、あれは痛い。めっちゃ痛い。得点決める系の威力のボールが顔面に当たったら誰でも絶対痛がるって。実際に受けてない俺でもどれほどの威力なのか想像がつくって。
って、そんなこと考えてる場合じゃねェな。早く優子を保健室に連れてあげねェと。
「悪い、ちょっと外れる……お前ら何同じ方向向いてるの?」
なんか拓海と全蔵以外の男性陣が優子がいる方向とは真反対の方を向いてるんだけど。なんでお前らそっち向いてるんだよマジで。怖いんだけど。電線に止まっている鳥かミーアキャット、どっちの集団だよお前ら。
『貴方様の目の前でシャミ子の危機管理フォームを見るわけにはいかないので』
「ハァ?」
いや、確かにあの容姿は色々と刺激的すぎるけどさ……それを見てしまったからって俺が何かするとでもいうのか? 変な思考になるのやめろよお前ら。
「えっ。なんで平地くんそういうところは鈍いんスか? シャミ子ちゃんの彼氏なのに?」
「お前は何喧嘩売ってるようなセリフを吐くんだよ」
買わないけどな、喧嘩。
♢
放課後。俺と優子は桃と一緒に、多摩川でゴミ拾いしていたリリスさんに優子が危機管理フォームになれないことを話した。
「……シャミ子が変身できない? 余が邪神像を離れたせいであろう」
この後のリリスさんの説明によれば、今までの優子の変身は邪神像経由で彼女のイメージ力を補っていたらしい。依代の体ではリリスさんは優子のサポートをすることがあまりできないものの、今まで以上に気合を入れれば普通に変身できるそうだ。
つまりは何かしらのバグが起きたとかそういうものではない。ただ今まで通りの手段で変身することができず、今まで以上に力を込めないとできないってだけだそう。それなら優子も安心だな。
「っていうか今までの変身が特殊だったのだ‼︎ そろそろ自立せよ‼︎ 自分の力で変身するのだ‼︎」
強い自分の姿をイメージし、現実に持ってくる。つまり優子は変身した姿を自分で考え、その姿になることができるという感じのようだ。彼女のイメージ次第では黒の剣士とか赤髪の海賊四皇とかの衣装になることもできる……どれもカッコいいけど、俺のチョイスが優子に合うかどうか……
そしてここで優子がとある点に気づく。それは、自分の望んだ姿で戦えるということは、もう戦闘時に危機管理フォームになる必要がないということ。最近恥じらいが麻痺してきてお気軽に変身してたものの、あの格好は本来人に見せられない格好だとのこと。
いや、あんな露出度高めな戦闘衣装になることに対する抵抗感が無くなるのはさすがに良くなさすぎるって。胸の露出度とかパンツの正面が見えちゃう点とかさぁ……変態野郎どもに目を付けられたらどうすんだよ。特に今の俺はそんなことは絶対に許さんからな?
「これを機に町を歩ける戦闘フォームを考えます‼︎ ろしゅつまぞく脱出です‼︎」
「俺はそれに対する羞恥心が無くならなくてよかったって思───」
「これで危機管理フォームは白哉さんを誘い受けするための専用フォームになれた‼︎ これでその時に躊躇いなく変身できます‼︎」
「おいお前なんつー本音出してんだッ⁉︎」
堂々と何言ってんだ⁉︎ 本当に堂々と何言ってんだよこの魔族はァッ⁉︎ 羞恥心を忘れてない癖に何どういうタイミングで変態になってしまうんだよこいつは⁉︎ もうヤンデレまぞくじゃなくてただの○○○したがりまぞくじゃねェか⁉︎ そんな彼女の恋人になったのが俺だけどねッ‼︎
「………………ウゥッ……」
あ、やっぱり今の発言しておいて恥ずかしがらないわけではないんだよね。そうだよね、恥ずかしがらない方がおかしいもんな。もし恥ずかしがってなかったら、一か八か夢魔の力を使って羞恥心を戻さないといけないからある意味助かったぜ……
「白哉くん、ちょっといいかな?」
「へっ? な、なんだ?」
と、突然桃に質問を投げつけられたかのような感じになったんだが……一体何なんでしょうか?
「白哉くんってさ、シャミ子が危機管理フォームになった時はいつも隣にいたよね? 戦闘とかの時は毎回、しかも毎回ラッキースケベを起こしてしまうし……」
「それを掘り起こすなそれを。優子が桃を説得する時とウガルルを召喚する時はラッキースケベは起こしてねェから。毎回の如く俺の脳内に刻まれてしまっている黒歴史を思い出させないでくれマジで、頼むからさ……」
「それはごめん。けどそういう時はいつも思春期の男子高校生の如く反応しちゃうよね? 戦闘の時はどう自我を保ってるの?」
「だから言い方ァッ!! つーかあの姿見ていやらしい事を考えてしまわない方がおかしいと思う!!」
「うん、そうだね。考えない方がおかしいよね。私は男子じゃないから実際には知らないけど」
「この野郎……ッ!!」
他人事みたいに言いやがって……‼︎ いつか優子と一緒にこいつに恥ずかしい衣装を着させて、それを柘榴さんに見せつけてやろうか……ッ‼︎
「で、重要時に優子が危機管理フォームになった時はどうなんだ、だっけか? そんなもん気持ちの切り替えと心頭滅却の意思だよ。要するにやるべき事をやるんだっていうのを自分の頭に言い聞かせ、それが終わるまで他の事を考えないようにすることが大事なんだよ」
「なるほど。つまりシャミ子が危機管理してもすぐに気持ちを切り替えるよう意識している、と」
それを実行する為に、これまでにいつも頭の中で般若心経を唱えているってわけ。邪な考えなど戦場に必要ないんでね。
「………………ただ、その分卑しい想いに耐えた分、優子を抱く事になった時にそれが爆発しちまうから……一日の終わりに残るのは罪悪感なんだよ……」
「あっ………………あぁ、ね。なるほど……」
察したか。これくらい察してくれたか。そう、優子が危機管理フォームになった時点で、夜のお楽しみは大抵確定したことになるんだよ。優子があの後に発情することがあれば、俺が無意識に思いっきり溜まった欲をぶつけることもあるんだよ。世知辛いんだよホント……
「浮かんだ‼︎ 行きます‼︎ シャドウミストレス優子、裏フリースあったかジャージフォーム‼︎」
そうこうしていたら、優子が自分のイメージした戦闘フォームを思いついた模様。そして変身。赤紫色の裏フリースと白を基調としたあったかジャージ姿、おまけとして紅色のニット帽という、寒いこの季節にピッタリな運動コーデ……なのだが。
「めこっ!? 重っっ……‼︎ な……なんで⁉︎」
優子、その場で倒れ伏せ地面に岩盤を作り上げてしまう。しかも起き上がろうにも謎の重力……否、今の戦闘フォームが超重量ものになったせいで起き上がれない状態になってしまった。
リリスさん曰く、厚着は優子達の種族の魂に合わず、却って重量級のものとなり動きづらくなって弱体化する。逆に肌の露出度が高ければ高いほど戦闘力が上がるとのことだ。肌を出さないと弱くなるって、一体どんな種族なんだよ。わけわからん。
「肌を出しすぎたら戦いに勝っても恰好の羞恥心の無さでは負けてまうやんけ」
「全くですッ‼︎ 恥じらう他ないあの格好で敵を倒した私の姿はお笑いですよッ‼︎ あんな格好でしか上手く戦えないとは、これも夢魔のまぞくの運命だとでもいうのですかッ‼︎」
「何処ぞの伝説の超戦闘民族の親父のネタみたいなセリフだな」あーう☆
「でも……自身を強くするにはシャミ子はそれがちょうどいいと思う」
桃が説明するに、魔力外装──危機管理フォームや魔法少女姿といった魔力が関係する衣装──は現実の衣類とは多少異なり、その外装を纏う魔力の持ち主そのものを魔力で補強する皮膜。魂に合った格好は装着者を強化してくれるとのこと。
……皮膜? 危機管理フォームが服ではなく皮膜認定? 皮膚と粘膜で出来たもの扱い? じゃあ俺はラッキースケベしてしまった時、優子の肌と一緒に服の布ではなくその皮膚と粘膜を一緒に触れてしまったってわけか? ………………めっちゃ複雑なんだけど。
「ちなみに桃はどうしてピンクのひらひらを選択したんですか?」
「動き易さを重視したあの服装に収まったんだろ、きっと」
「………………物心ついたらあの格好だったしそこそこ強かった。柘榴に『可愛い』って褒められた時は嬉しかったけど、私だって変えれるなら変えたい……」
「す……すみません……」
分かった上で余計なこと言ってすまんかった……後さらっと柘榴さんに関する惚気な思い出を言わなかった?
しかし、これにより優子は思い知ったことだろう。危機管理フォームは野外露出プレイをして変態認識されるための半裸コスプレ遊びのものではなく、リリスさんが優子のためにと考え抜いたれっきとした戦闘用装備であるということを。
けど、リリスさんは優子が恥じらうことも考えて色んなパターンの服装を考えてほしかったな。年月や世代が経つに連れて子孫の服装への見解も変わってくるものだし……
ま、とはいっても優子は夜迦の時は何か特別な服装にしない限り、必ずと言っていい程あのフォームになる上にその時だけ気に入ってる感じになるけどな。………………やっぱり複雑だ、本来の戦闘服をそっち方面で多用してるのって。正直俺も好きだけどさ。
「そもそも蛟の一件は結構危なかったのだぞ。あそこでお主が蛟と対等に渡り合える力があれば、もっと単純に事態が解決できたかも知れぬ」
「そうですか? 実際に蛟さんと対面したのは優子じゃなくて俺ですし、仮に出会って何かしらの方法で脱出できたとしてもまたすぐ魂を連れ去られたかもしれないですし……」
「実際に対面したとかの問題ではない‼︎」
は? じゃあ一体どういう意味でそんなことを言ったんですか?
「あの時は余も素で忘れてしまったから、とやかく言える立場ではないだろうが……もしもシャミ子が祠の外から蛟の封印を解く程の力を使っていれば、白哉の魂をノーリスクで取り返すことができ、余かシャミ子が魂の交換をすることになりかけずに済む可能性もあったことだろう」
「あっ………………そういえばそうでしたね。蛟さんが魂を取らない以外の交渉をしなかったら、優子かリリスさんの魂が取られる可能性もあった……」
「うむ、そういうことだ」
そうだった。俺達の魔力が蛟さんの力に及ばなかったせいで、最悪の展開になる可能性もあった……実際に己の力が無力である状況に陥った時ってのは、あんなにも恐怖を感じるものだったんだな。
まぁぶっちゃけ、俺も自身の力を持ってしても蛟さんと対等以上になれるとは思えないし、持ってたとしてもどのようにして事態を解決することができるのかも分からんし……それも考えると、リリスさんの意見の方が正しいかもな。
「そっか……私がもっと強くなっていれば、あの時ごせんぞに負担がかかることなく白哉さんを……」
「改めて振り返ると、色々と考えさせられるな……」
「まぁそういうわけだ、色々考えるいい機会だろう。シャミ子よ、強くなれ。白哉もな」
「……はい」
前から分かりきっていたとはいえ、やっぱりチート武器であるセイクリッド・ランスをそこそこ使えるようになっても力不足だと痛感してしまうのは否めない。だからこそ、俺も強くなっていかないといけないな。あの時のような出来事がまた起きた時のためにも、彼女を悲しませないためにも……な。
「肌を出せシャミ子。肌をもっと出すのだ。全裸でもいい。コスプレを……野外露出を楽しむのだ。もちろんいつも通りかたまにパターンを変えての白哉とのセッ○○の時にも出しまくるのだ」
「やっぱりコスプレじゃないですかっ‼︎ 後○○クスの事は言わないでください実際に言われるとかなり羞恥心がっ‼︎」
………………とりあえず優子に裸推ししてるリリスさんに思いっきり拳骨を入れておくか。SMなものは嫌いだから顔面や腹は殴らんでおくか。
♢
リリスさんに危機管理フォームの事を相談した後、俺と優子は隙間時間を縫って新しい戦闘フォームについて考案し合うことになった。それも布面積が少なくとも恥ずかしくなく可愛らしいデザインのもの……にしたいのだが。
「そもそも布面積が少ないって時点で、恥ずかしくないデザインを考えるの難しすぎるだろ……」
「ですよね……布面積次第では重くなるという点もあるし、それも考えると中々決まりませんね……」
そう……優子達の種族の件などの条件も相まっているため、中々丁度良い新しい戦闘フォームが決まらないのである。
布面積が少ないということは体の一部の肌を大きく曝け出さないといけない。しかし部位によっては羞恥心を生むものとなってしまう上、冬にも着ることを考慮するとあまり減らすわけにはいかない。かといってデザイン次第では布面積が多いと謎の重力が働き戦闘どころではなくなる。
そう、丁度良い戦闘フォームを作るには、かなりの条件を満たした上により良いデザインを作らないといけないのだ。一言でまとめるとこうだ、めんどくさい。
翌日の放課後でもその事で未だに悩んでいると、杏里が昨日のバレーボールの件で悪気が無かったとはいえ優子に謝りに来た。ついでに外でレシーブの練習に誘ってきた。んで流れで優子の新しい戦闘フォームについての話に入ってきた。なんか入り方が自然な気がする。
「……あの格好恥ずかしかったの? シャミ子、最近よく変身してたから慣れちゃった。テストとか一キロランニングとか、果てには二階以上の階段上る時とか……」
えっ。テストの時も変身してたの? それこそ自然すぎたから全く気が付かなかった……しかも挙げ句の果てには階段を上るだけでもなってた? は?
「優子、お前……テストとランニングはともかく、階段を上る程度の時でも変身するとか、『襲ってほしい痴女』でも演じてるのか? さすがの俺でも恋人どうのこうの以前に引くわ……」
「そっ⁉︎ そんなんじゃないですッ‼︎ わ、私の事を襲っていいのは白哉さんだけですッ‼︎ 認めたくないけど……あの格好をすると全身の調子が良くなるんです。息切れしなくなるし、頭の血流が増える」
便利性に負けて使いまくって、他の男子どものオカ○にされてもいいのか? 俺は許さん、出来れば変態どもに『忘れてくれないとトラウマを植え付ける程の事するぞ。さすがにトラウマといっても弱めのだけど』って忠告する。いや、これは忠告じゃなくて脅迫じゃねェか。怒りすぎて問題事を起こすのも良くないよな……どうすっかな。
「あー……でも他の男子はもうそういう目線で見られないというか、見ること自体できないけどね」
「えっ? どういうことだ?」
そういう目線で見れない? 見ること自体できない? それって一体どういう意味なんだ? いや優子の危機管理フォームをいやらしい目線や思考で見ないでほしいけどさ。
「実は白哉の召喚獣達がさ、シャミ子が危機管理フォームになったのと同時に数匹出て来てね? その時のシャミ子の邪魔にならないようにシャミ子の危機管理フォームの格好に重なるように衣装を隠したり、男子達に念を押すように『今のシャミ子の衣装の記憶を完全に抹消しないと殺す』と宣告したりと───」
「後半めっちゃ物騒なこと言ってねェかッ⁉︎」
召喚獣達が俺の指示云々なしに勝手にこっちに来ることはもう慣れた。ただ問題なのは、優子が危機管理フォームになった時にやってた彼らの行動だッ‼︎
格好が見えないように工夫するのはいいことだけど、脅迫はさすがにやりすぎだろォッ⁉︎ しかも『殺す』って言って脅すとか、宣告じゃなくて脅迫じゃねェかッ⁉︎ さすがの俺でも恋人の恥ずかしい光景を見られたり恋人をオカズにされたりしても殺そうとはしねェよッ‼︎
いや、弱めとはいえトラウマを植え付けようと考えてる俺も人の事言えないな。いくら恋人がいやらしい目に遭うかもしれないからって男どもにトラウマを与えるのも、精神的な暴力を振るうことと一緒だし……
「彼らが物騒なことをしてるのは確かだけど、その分シャミ子が酷い目に遭う心配は無さそうじゃない? エロ同人誌みたいに」
「そんなこと言うのやめなさいな」
「あ、酷い目に遭う心配はないんですね。なら安心ですね……いや単に安心していいものなのかな? 物騒なことしてるみたいだし……」
「うん、複雑になる気持ちは俺も同じだ。あいつら俺達の望まない殺人とか起こしそうだから、不安な感情が強くなる……」
とりあえずニュース事になることは絶対にするなってメェール君達に釘を打っておくか。絶対この世界で死人は出してほしくないし……あと、なるべく召喚獣達を怒らせないようにしないとな。想像するだけでも寒気がするし……
「で、話を戻すが結局どうするんだ? 優子の新しい戦闘フォームの案の件」
「そ、そうですね……恥ずかしくないものが難しいならせめて可愛いものがいいんですけど、やっぱり布面積を頑張るとどうにも……」
そもそも可愛いもの=恥ずかしいものという認識でデザインを考えるのも意外と難しいものなんじゃね? 知らんけど。
「可愛い子孫にその眷属彼氏よ、悩んでいるな」
眷属彼氏って何ですか………………んっ?
「そんなわけで……皆の者、放課後シャミ子プロデュース会議だ‼︎」
「リリスさん来てたんですか」
「ごせんぞ何故学校に⁉︎」
いつの間にかリリスさんが学校にお邪魔しており、既に桃・ミカン・小倉さん・拓海・勝弥・全蔵をこの教室に呼び出していた。はえーよホ○。
何故リリスさんが学校に来れたのかというと、本人が優子の顔が見たくて先生にアポを取ったら、優子の保護者認識として何事もなく通してくれたそうな。これからは川原の側にあるこの学校でもゴミ拾いをしていくつもりらしい。んで、ついでに校長先生から生徒の籍も軽いノリでゲットしたんだとか……
いや、この学校大丈夫か? いくらみんな人が良すぎるからって、何の躊躇もなく学校外の者を学校に入れたり生徒になりたいという人を新しく歓迎したりするのってどうかと思うぞ? もう少し警戒心とか学んでほしいんですけど……
「あ、そうそう。これは白哉の召喚獣達が頼み込んだものではあるが、校則として『未来の闇の女帝となるまぞくに対し、その者の恋人以外が下心を持つべからず。微塵でもその野心に気づき次第、それ相応の処罰を下す』というのを新しく取り入れるよう頼んだらそれも通してくれたぞ。これでシャミ子が白哉以外に襲われなくて済むぞ」
「校則の追加まで安易に許しちゃもう終わりだよこの学校ッ‼︎」
なんで校則まで軽いノリで変更させてんの校長先生⁉︎ 自分の呼び名を『校の長』にしてたりとか軽い一面はあるとは聞いたが、そこまで軽くなる必要ないでしょ⁉︎ 学校の将来の事、考えてますか⁉︎
後、召喚獣達も何やってんだよ⁉︎ 個人というか特定の人物達に関する事を校則にして抑止力を作るとか何考えてんだよマジで⁉︎ しかも『それ相応の処罰』って……最悪NTRしそうなクズを殺す気満々なんじゃないのか⁉︎ さっきの杏里の話を聞くにあいつらなら絶対やりかねん‼︎ やはり人殺しは絶対するなと忠告しておかないと……‼︎
閑話休題。
召喚獣達の対処については後回しにするとして、みんなで優子の新しい戦闘フォームを考案する会議が始まった。優子の心境にも合ったのが出るといいが……
「スポーツウェアっぽいフォームはどう? 肌が多くてもえっちくないし足も速くなりそう」
「杏里ちゃん、私のことをえっちだと思ってたんですか?」
「あんなフォームになっといて、いやらしく思われない方が不自然だろ」
「ウグッ……‼︎ で、でもやってみます‼︎ シャドウミストレス優子……山の神フォーム‼︎」
杏里のアドバイスを基に、優子は駅伝マラソンランナーが着るスポーツウェアの姿へと変身した。肩に襷も掛かっており、布面積も相まって素早く動けそう……だが。
「早すぎて無理」
「めり込んだ‼︎」
まぁ……新しいフォームになったばかりだから、このようにすぐに能力の調整が上手くいかず暴発してしまった。慣れないフォームの制御には時間が必要になるってわけだ。特撮番組じゃあるまいし、すぐに慣れるわけないもんな。当たり前。
「んじゃあまずは能力の出せそうにないものに変身するところからやってみたらどうだ? ワンピースならそこそこ肌が出ても清楚感があるし、ザ・シンプルって感じもあるから、初めて慣れないものに変身するには丁度いいぞ」
「能力が出そうにないシンプルなものから、ですか……やってみます‼︎ シャドウミストレス優子……英国の淑女フォーム‼︎」
勝弥のアドバイスを丸々参考にし、優子は白いフリフリワンピースの姿となった。これなら何の能力も発動せず、慣れないフォームの制御をするための練習フォームにするつもり……のようだが。
「わぁ……‼︎ これは結構可愛──あばばばばばばばばばばばば目が回る目が回る目が回る目が回る」
「めっちゃヤバいこと起きたァッ⁉︎」
魔力を用いた感じに変身したものだから故か、優子がくるりと回った途端、めっちゃ回り始め彼女の周りに竜巻が発生してしまった。戦闘フォーム候補となるものは何かしらの能力は必ずつくものなのかァッ⁉︎
この後俺達が全力で止めに行ったことにより、優子の制御不能な力は収まり、被害も最小限に済まされた。壊れた物品等は後で桃が弁償してくれました。あいつ、ホント何処から弁償代払えるだけのお金を持ってんだよ……
「どの姿になっても制御できないとなると、やはり危機管理フォームのままで良いのではないか? 構造無しからチューニングするより楽ちんだぞ」
「その代償として恥じらわなきゃならないのが人として終わってるんですよ。危機管理フォームの場合大抵リリスさんのせいで」
「責任転嫁のようでそうでもないような⁉︎」
肌を出すどころか全裸を子孫に進めてくる先祖は嫌だからね、そりゃあ悪態をつきたくなりますって。特に俺はね。だって恋人がセクハラされてんだよ? 恋人を守るためにも怒らないわけにもいかないよねェ?
この後もまんなで話し合っても中々新フォームが決まらずにいた。とはいってもみんな優子の『可愛い』ってワードを無視した案ばっかりだし、それらをリリスさんが全部合わしたせいで正気度ゼロのバケモンのイラストが出来上がったし……
「で、白哉はどんなのがシャミ子の新戦闘フォームに良いと思う?」
「それが浮かんでたらさっきまで優子と二人きりで話し合いしてねェよ………………あっ」
杏里に促されたからなのか、何か閃いたように感じた俺はいつの間にか即座にいらない紙にスラスラと何かを描き始めていた。露出度はそこそこありながらも、恥ずかしくない上に可愛くて強そうなの、それらを考慮して考え抜いた結果が……
「こんなのはどうだ? 勁牙組組長・まぞくアレンジフォーム」
パフスリーブの赤紫色・ピンク・白がかった灰色チェックの布地を三角の縫い目でつなぎ合わせたワンピース、その下にカーキ色に近い色のミニスカートといった……何処ぞの偉人が乗った黒馬から転生したヤクザな妖怪の衣装を、一部軽装化・カラーリングを優子に合わせた感じに変更し、それを優子に着させたイラストが出来上がった。
「肌の露出度はそこそこ高いし、肩部分の背中と脚は見えてしまうけど……危機管理フォームと比べれば羞恥になる部分は少ないぞ。それにヘソも出さないから、結構動きやすそうだし強そうだぜ? ダメなら他のにしても───」
「採用ッ‼︎ ……できるかはわかりませんが候補に入れますッ‼︎」
☆優子、即答した───‼︎
いや、もうちょっと採用するか審議できるでしょお前。いくら俺の恋人だからって何の間もなく即答するってさ……何も考えずに採用、なんて結論に至らなかっただけマシだけどさ。
「まぁ露出度も悪くないし、柔軟性がありそうなのも確かだ。候補に入れても申し分ない」
「確かに。蹴りが強そうな印象もあるし」
それはこのデザインの基を着た本人が、カウガールな感じのロングブーツを履いてる上に馬の転生者だからだよ。あんな靴履いてたらそりゃ蹴りが強そうって思えるわ。
というか、『いつも通りのフォームで良くね?』派な二人が賛成する程良かったのか、俺が考えたデザインは。ふと頭に過ってきてよかったぜ……
「びゃ、白哉さんが考えてくれたフォームは後で変身して慣れて使えるかどうか判断するとして……今度はもう大分構造も出来てるパターンが二つもあるので、そちらも見てほしいです」
そう言って優子が取り出したのは、一枚の紙に描かれた二人の人物の……というより二種類の衣装のデザインで描かれた優子のイラストだった。一つは桃の魔法少女姿の衣装、もう一つは俺が召喚師覚醒フォームになった時の姿、それぞれ危機管理フォームに近いカラーリングとなっていた。
「こういう感じ‼︎ 右は種族の出身地的にエジプトかインドのナウさがあってカッコいい軽装‼︎ 左はヒラッとして可愛くてまあまあ軽装‼︎」
「どれも悪くねェけど、どれもパクリになってね? 白哉の戦闘服と千代田さんの戦闘服に近いデザインだろそれ」
「……違います! 最適を求めたら偶然この二パターンができたんです。偶々白哉さんとお揃いになったのはすごく嬉しかったですけどね」
ハイ嘘ー。偶々ではなく狙ってやってましたー。この子どさくさに紛れて恋人や宿題とペアコーデしようとしてまーす。恋人の方の俺は嬉しい限りですけどねぃ。俺もこの子も内心カップルコーデできることに喜んでおりまーす。
「左の方は重くて戦闘中バランス悪そう。候補に入れるなら右の方だけでいいと思う」
「え」
「後正直に言って慣れてるフォームの方が体に馴染んでいいと思うから、採用しても慣れるまでは戦闘中危機管理フォームの方がいいかな。戦闘にカッコ良さも可愛さも必要ないし」
「おいテメェ表出ろコラ」
気がつけば俺は無意識に優子のロマンを踏み躙ってる桃にブチギレていた。召喚師覚醒フォームになってセイクリッド・ランスを構えて、いかにも戦闘態勢を取っていた。でも恋人の想いを蔑ろにされてるんだもん、ブチギレないわけないじゃないか。
「えっ? な、なんで白哉くん戦闘態勢になって……?」
「うるせェ、人の想いを完全無視してロマンの欠片すら砕こうとする生真面目な意見を言いやがって。人の心とかないんか? その腐った根性を叩き直してやろうか?」
「びゃ、白哉さん落ち着いてください‼︎」
はいすみません、さすがに恋人かつ想いを踏み躙られた人からの必死な懇願をされては落ち着かないといけなくなっちゃいます。反射神経で……って感じだけど。
「……ホントは恋人と一緒に戦う時に良いコンビであることが証明できるフォームになりたいし、宿敵と対になった時にカッコ良く見えるフォームにもなりたいんです。おそろがいい」
「えっ? 白哉くんとのカップルコーデは私得でもあるから別に良いけど、私のとお揃いは建設的ではなくない?」
「………………………………」
おまっ、また人の心を踏み躙った言葉を……カップルコーデは良いとは言ってたけど、自分とおそろの事は何とも思わんのか……
「シャドウミストレス優子……心の壁フォーム……」
「シャミ子ォォォォォォッ‼︎」
気がつけば優子はデカいホタテ貝を呼び出し、その中に蹲ってしまった。そりゃ他人に自分の想いを玉砕されたら引き篭もりたくなるわな。空気読めよ鈍感。
「つーか謝ってやれやアホ」
「えっ。あ、うん……シャミ子、ごめん」
あ、俺もすまん。思わず口に出してたもんで……
「シャミ子……蛟事件の時から私は心配だったんだ。もしもあの時白哉くんじゃなくてシャミ子が攫われたら、とか考えるようになって……白哉くんには色々と戦いで解決できる力や術があるから今のところ問題はないだろうけど、シャミ子にもきちんと武装して自分を守ってほしい……光闇系の人って……急に居なくなっちゃうことあるし」
あ、そっか。桃は『もしもの出来事』を恐れていて、自分なりに優子の事を気遣っていたんだな。その『もしも』に優子が一人で遭遇してしまっても、自分の力で解決できる術を出してほしいから……だから実用性を意識してほしかったのか。ロマン性を崩すのは良くないけど、そういった考えは一理あるな、うん。
「……ごめんなさい、私もわがままでした」
「弛んだお腹を出すのが嫌ならまずは筋肉という鎧を スパァンッ へぶぅっ⁉︎」
『白哉(さん)(君)(平地くん)がウィ○・ス○スビンタしたッ⁉︎』
「すいません、また人の心を踏み躙ってたんでついに我慢出来なくなってしまいました。マジですんません……」
とうとう堪忍袋の緒を切ってしまった……この後の物語の事を考えたらやりすぎたと感じたけど、桃も自身の発言に非があったとの事で許してくれた。寛大な人で助かった……ッ‼︎ いやマジで、冗談無しに。
この後桃が自身のフォームを優子とお揃いにしてみるという方向性となり、優子の新戦闘フォームの考案会議はお開きになった。いや、桃の戦闘フォームを変えてみるって結論になって優子のはどうするかが決まらずに終わるってどんな結果だよ。趣旨が変わってね?
♢
で、放課後。
「私の新フォーム、一着目が出来ました‼︎ 危機管理フォーム改・マーク2・セカンド・弐號機です‼︎」
「……なんで誰もいない教室でやるんだ?」
現状の通り、優子は俺に新しい戦闘フォームの一つをお披露目してくれている。外見は全く変わってない……ように見えて実はヒールを二十五センチ高くしただけ。
そうした理由は原作推奨済みの俺にはわかることだが……何故無人の教室で見せる? 誰かに見られたくないのなら帰ってから見せてもいいのだが……
「どの観点でツッコミを? ……まあいいです。こ、このフォームになることによって……」
ん? ちょっ、えっ? なんで急に近づいてくるの? ね、ねぇ? ちょっと? その慣れない靴で歩くと転ぶんじゃね? あの、待って? ホント待って? ラッキースケベが発生する前に変身解いて? お願いだから。ってか、アレ? なんか優子の顔の位置が俺と同じ───
刹那。顔の位置が同じのまま、俺と優子の唇が触れ合っていた。
「ッ……⁉︎」
「こ、このように、同じ目線でのキスがしやすくなるんです……ち、ちなみに誰もいない教室で見せてキスしたのは、雰囲気作りで……です」
あっ。な、なるほど……放課後、夕方にて誰もいない教室で二人きりでキスをする……確かに雰囲気はすごく良いよな、普通にキスをするよりもドキドキ感があるというか、誰か人が来ないだろうかハラハラするというか……
「お、同じ顔の位置でのキスも、なんか結構心臓がバクバクするな……」
「で、ですよね。………………あ、あの……む、胸の高まりが収まらないので……こ、このまま私を……だ、抱いてくれませんか……?」
「……ッ」
また急に発情しやがったよこの子……ッ。しょ、正直に言って俺も、この状況とさっきの同位置キスで興奮しちまったけどさ……
「……だ、誰かが来たらどうすんだよ」
「そ、それはそれでドキドキして、興奮しちゃったりしませんか……?」
「………………否定しないけどさ……」
優子の同位置での照れ笑い+上目遣い+胸を持ち上げて強調、この組み合わせは反則すぎるだろ……ッ。
この後滅茶苦茶夕日に照らされながら誰もいない教室で抱きまくる羽目になりました。結局男の性には逆らえなかったぜ……ッ。
その日の夜。優子がばんだ荘にて桃にも披露して宿敵を見下せることをドヤ顔で説明したら、つつかれまくって倒れちゃったという話をしてきた。バカにしたら返り討ちに遭うのは目に見えたけどな。
おまけ:台本形式のほそく話その31
シャミ子「布面積が少ないほど強くなるって、一体どんな能力を持ってるんですか私の一族の方々は……もうちょっとこう……魔力を強化する術は他にもあったはずじゃ……」
「あっ。そういえば最近流行りのアニメで、魔法少女に対する歪な憧れを持った主人公の戦闘フォームも、かなり露出度が高かったような……」
「………………………………」
リリス「ふぅ〜、ただいまぁ……おっ? シャミ子よ、今日のノルマは早めに終えれたぞ───」
シャミ子「シャドウミストレス優子、○ジアベー○フォーム‼︎」
リリス「えっ」
シャミ子「……や、やってしまった……やってしまいました……お、おっぱいのとこの布が、ニップレス程度しかない……」
「で、でも、これで白哉さんが喜ぶと考えたら──あっ」
リリス「………………」
シャミ子「………………」
リリス「………………フッ」(親指を立てる)
シャミ子「ア ゙ァ ゙ア ゙ア ゙ア ゙ア ゙ア ゙ア ゙ア ゙ア ゙ア ゙ア ゙ア ゙ア ゙ッ ゙‼︎」(悶絶)
リリス「ちょっ⁉︎ ま、待つのだシャミ子そのデカさの魔力はヤバウボワァッ-‼︎」
清子「……スマホがあれば白哉くんに写真を送れたのに、残念ですね」
白哉「夜中前なのになんか騒がしいな……? 後なんか寒気が……」
前回の感想が久々の0件ってマ? あのシリアスな場面の結末回だぞ? おまけとしてバレンタイン回もあるんやぞ? ……平日投稿だったからかなぁ……