偶に愛が重くなるまぞくと、愛されてる男のまちカド物語 作:名無しのモンスター
絵が上手ければ、メェール君のイラストを出せたのに……‼︎
後、評価バーが橙色から赤色に戻りました。高評価して下さった方々、誠にありがとうございます‼︎
どうも皆さん、おはようございます。白哉です。
昨日は転生特典として来てくれた白龍様によって召喚術を使えるようになりました。いや突然の事だったからね、特典をもらったんだっていう事実が未だに信じられないでおります。本当に言われた通りの力が手に入ったのかとか、実際のやり方で色んな動物を召喚できるのかとか、色々ね。
呼び出す事ができるらしい動物はなんと二十種類。性格もそれぞれ個性豊かで、俺が召喚師の姿にならずとも召喚できるのはなんとほぼ半数、しかもアニメやゲームみたいに様々な能力を持つという。これなら俺、この世界でバトル展開になっても生き残れやすいな。
あ、食事とか必要なのかな……? そこは書かれてなかったわ。
ちなみに今、召喚術によってというか白龍様や神様の何かしらの力によって既にこの世界に現界している動物が一体だけいます。それがくりくりとした目の小さい羊・メェール君です。二足歩行できるし物を持つのも器用だし……何より喋れる。それらが無くとも容姿だけで可愛く思える。良き。あんな子、一家に一頭はほしい……
ん? 何か上手に焼けた卵の匂いがちょうど良い強さで鼻を通ってきた。アレ? 俺、まだ起きたばかりでまだ朝飯作ってないんだけど……?
………………えっ⁉︎ もしや、まさか⁉︎ いや、いくらなんでも……。
というような葛藤をしながらも、急いで制服姿になった俺はダイニング(のつもりでもある居間)に向かうと、ダイニング(のつもりでもあるry)にあるテーブルに、よく焼けた食パンにハムサラダ、先程感じた匂いの正体であるスクランブルエッグにコーンスープが、いつの間にか並んでいた。
俺、朝食はあまり作り溜めしない派だし、どれも夕飯には作らないはず……。まさか、本当に⁉︎
【メェ〜。おはようメェ〜、今日の朝ご飯は僕が作ってみたメェ〜】
や っ ば り き み か い な 。
嘘でしょ、メェール君って人間みたいに料理作れるの? いくら二足歩行も出来て器用だからって、これ人間じゃない奴がしたら器用すぎるにも程があるだろ……
いや、流石に味までは上手くないかもしれないな。人と動物で味覚が違うだろうから、人間である俺の口に召喚獣に合う料理が合わないって可能性もあるはず。まぁ、メェール君を傷つけないような感想はするつもりではいるけども……
「……とりあえず、食べていいんだよな?」
【勿論だメェ〜】
「………………いただきます」
とりあえず、今は食べてみないと何も始まらないな。まずは最初に匂いを嗅いだスクランブルエッグから一口……
「美味っ⁉︎」
お、思わず声に出てしまったよ……。な、何だこのスクランブルエッグは……⁉︎ カフェやホテルの朝食に出てくるような、ふわふわでとろとろ食感が完全再現されてるやん……‼︎
前世の社員旅行で泊まった高級ホテルでも、こんなにも風味のある味のスクランブルエッグが出てたな……今でもあの味は覚えてる。そ、それを再現しとる……
「………………メェール君。君の料理の腕前は、早くも星三つ以上だよ……」
【お口に合ったのなら嬉しいメェ〜。これからは料理だけじゃなくて、掃除などの家事も徹底的にやらせてもらうことにするメェ〜】
えっ、嘘⁉︎ そこまでしてくれるの⁉︎ 俺が頼んだわけじゃないのに、自分から家政婦みたいなことしてくれるの⁉︎ やだ……この子働き盛りなのかもしれないけど、とにかく優しくてしっかり者じゃん……
【他にもゴミ出しとか……】
「あ、ちょっと待って。ゴミ出しとかの外で出てやることはさすがに俺にやらせて。今は優子たち吉田家中心に、お前や俺が手に入れた能力の事はまだ隠しておきたいから……」
【あ、そうだったメェ〜。まだ僕、外に出れないんだったメェ〜。じゃあしばらくそうさせてもらうメェ〜】
『一昨日まで普通の人間だった俺が昨日新しい力に目覚めた』だなんて、普通なら絶対信じてくれない事をいきなり言うなんて俺には出来ねーよ……何処ぞの頭のやべー奴だよ俺は。
変な奴だらけの多摩町とはいえ、俺がチートっぽい召喚師になったってのを他の魔法少女に知られたら、問答無用なタイプだったら襲い掛かってくる可能性が高いからな。まぞくじゃないけど。自分の身を守るためにも、ネタバラシするタイミングやそれを伝える人は選ばないと……
ん? 優子に言わない理由は何、だって? 一昨日にて全臓が忍法使える事を知って、まぞくとしてのプライドが危ういって時に俺の能力の事を言ってみろ? 彼女のプライドがさらにズタズタになるぞ? だからネタバラシするタイミングはこちらで考えさせてもらうからな。
……ん? ちょっと待てよ?
「ここまでの俺達の会話、吉田家に筒抜けになってない? このぱんだ荘、壁薄いんだけど……」
【あ、そこは僕らの魔力によって声の筒抜け対策されてるから大丈夫だメェ〜】
「そ、そっか……」
やっぱメェール君マジ有能すぎて怖すぎる。召喚獣達の機嫌を損ねて敵に回したら俺絶対無事では済まないな……。召喚獣達の機嫌を損ねないでおこう……
♢
「時代は飛び道具です‼︎」
「どうしたの急に」
「おはよー。優子、何か気づいた事でもあるのか?」
教室に入れば、気がつけば先に登校していた優子の何か閃いた時の声が真っ先に俺の耳に入った。
ちなみに今の優子の制服は何故か丈などのサイズが合っていなく、ぶかぶかだ。一昨日制服に付いたコーラのシミ取りに失敗して今まで着ていた制服がめっちゃ縮んでしまい、桃が持っていた予備の制服を借りることになったんだとか。
話を戻そう。優子は妹の良ちゃん曰く『できるだけ体力に頼らない戦法を取る方がいい思う。弓・鉄砲・大筒・ロケット弾とか色々あるけどお姉に合った武器を使うといい。時代は飛び道具だよ』と言われたらしい。……良ちゃん、頭が良さそうなのはいいことだけど、なんか小学校低学年らしからぬ発言してない? 何処ぞの転生した軍師さんですか。
ついでに優子は『桃に近寄られるとなあなあにされて丸め込まれ、ちょっとほっこりして終わり、その時点で負けてしまう』という理論を得たそうだ。うん、たしかに千代田桃は勝負とかさせずに優子との絡み合いを終わらせるからね、分からなくもない。
けどその事を説明しながらも桃のマイペース結界に取り込まれてるぞ。お前が彼女から借りてる制服を好き勝手されてるぞ。スカートも捲られ……いや、何でもないです。
「何してるです⁉︎」
「制服の丈が気になるから詰めようかなって」
「だからって流れるように人のスカート捲らないでください‼︎ 男子もいるんですよ⁉︎」
うん、他人から卑しい目で見られたくないもんね。勝手に人前でスカートを捲らない、当たり前だよなぁ? パンツ見えるの俺だって恥ずかしいし、何より見てしまった時の言い訳や優子にどう言われるのかってのが分からないし。
この後、千代田桃は優子の制服を修繕しながら、彼女の飛び道具の監修をすると言ってきた。完成品の被害者が自分という予定ならば、意見する権利はある。寧ろその被害者が監修してこそいい飛び道具になると思う……という意見を言ってまた優子を丸め込んだようだ。いやそのりくつはおかしい。
せっかくの原作場面だし、俺も見届け人として優子の飛び道具の特訓を見てもいいかと問いかけ……ようとしたら千代田桃の方から一緒に来てと言われた。えっ、なんで? 俺、召喚師になったばかりのこと隠してるから、特訓に強制参加させられる被害なんて出ないと思ったけど、どういう風の吹き回し? 大丈夫だよね? 俺、召喚師としての魔力漏らしてないよね? ねぇ?
ってか女子から誘われたら優子のヤンデレモードが発動するんじゃね? と思ったけど、優子も何故俺が呼ばれることになったのかという疑問を持ったのか、頭にクエスチョンマークを浮かべながら首を傾げていた。うん、優子が別の意味で敏感じゃなくてよかった。
♢
そして放課後。俺と優子は千代田桃に連れられ、彼女が昔吹き飛ばしちゃって買い取ったという廃工場に来た。ここが何の工場なのかは、前世で途中までの原作知識持ちの俺なら知ってるけど、今度また来るため敢えてここではみんなには説明しないでいよう。
何故倉庫が壁の一部しかないこんなところに来たのかというと、桃曰く『ここなら何を飛ばしても誰にも何処にも迷惑がかからないから』とのことらしい。いや迷惑はかからないけど、かつての建物が吹き飛ばされたというところで修行するにしても、何が起こるのか分からないから怖い……。優子もそれを気にして嫌がる気持ちはわかるな、うん。
ってかちょっと待って? 今気づいたけど、千代田桃って廃工場買える程の金があるのマジ? どんだけ金持ってたの?
何はともあれ、早速この場所で優子の飛び道具修行が始まるわけだ。始まる……のだが。
「じゃ、白哉くんも出して。持っているでしょ? 光の一族ではないけど、貴方も魔力に似た何かをを」
「どうしてそうなる⁉︎」
なんで俺まで修行する羽目になるの⁉︎ なんで俺にも魔力みたいなの出させようとしてんの⁉︎
俺、召喚師であること隠してるよね? 体の中に流れてる魔力っぽい変なオーラみたいなのを外に出ないようになんとか色々と意識してるんだけど、なんとか色々と意識してるってだけじゃ魔法少女に隠せなかった? 漏れてたの? ねぇ?
「魔力を持ち始めたばかりの頃の魔法少女は、自分では気付けないけど外部から隠すことの出来ない魔力のお溢れが出ちゃって、それを他の魔法少女が察知してしまう時があるの。白哉くんの体にも、一昨日までには持ってなかった魔力に似た何かが少し漏れ出てたんだよ」
「あ、そうなんすか……」
やっぱり隠し切れなかったのね、魔力を抑え込むのって難しい……
「えぇ……? まさかの白哉さんもファンタジーよろしくな力を持つようになるなんて、私聞いてないですよ……」
「……すまん。まぞくの尊厳の為とか色々な理由でしばらく内緒にしとくつもりだったんだが……」
「あ、手にしたという自覚はあったんだ。何故その力を持つようになったのか、心当たりはある?」
これはもう白状しないと後先が大変になりそうだな……。仕方ない、洗いざらい話すとしようかな。
「………………昨日、夢の中で会ったドラゴンから神様経由で召喚術を使えるようになったんだよ。色んな能力を持つ動物達を呼び出せるんだ」
「「えっ」」
「神様と関わりのあるファンタジーな奴が突然夢の中に現れて、いきなり力を渡してくれるだなんて、そんな子供向けのバトルアニメ展開みたいな話、さすがに多摩町の皆も信じられないだろ? 俺だって神様には会ってないし……」
うん。普通に考えても、夢の中で冒険RPGよろしくな生物に出会っただけで俺TUEEEEな力が手に入るわけないもんね。魔法少女だって成り立ての頃から強い魔法の力を操れるわけないし、普通の魔族も同等な感じだし……
「………………あ、でも何故か納得しちゃいますね。私もツノや尻尾が生える前にごせんぞ様に声を掛けられる夢を見ましたので」
「あっ、そっか……優子の先祖返りもそんな感じだったんだもんな……」
そうだったよ。昨日優子もご先祖様であるリリスさんに再開してたやん。そして彼女からダメ出しを喰らい、ごせん像に食べ物とかお供えしてほしいとか言われてたやん。なんで一瞬忘れてしまったんだよ俺。しっかりしろよ。
「でも、本当に召喚術?とやらを使えるのですか? いくら桃が魔力と似た何かを察知できるらしいとはいえ、本当にそんなものが使えるのかどうか信じられないのですが……」
「うん、それは私も同じ気持ちだよ。だから一体ぐらいは召喚してほしいなーって」
「あ、それ今私も同じ事思ってました」
「まぁ、そう思われるわな……。ってか急に意見合ってきたなお前ら」
実際に見せてない力なんて、『手に入れた』だなんて言われようが自分と似た経緯で力を手に入れたからと言って言葉だけで信用を得ようが、実際にその能力を見せないと完全なる信用は得られないんだよな……
仕方ない、一体ぐらい出しとくか。
「わかった、一体だけな。けど正直
精神を統一させている自分を想像しながら、地面に両手を翳して召喚獣の一体の名前を叫んだ。さて、どんな感じに召喚されるのか………………ってうおっ⁉︎
光った⁉︎ 俺の手がめっちゃ赤く光ったんだけど⁉︎ そして地面には複雑な模様をした魔法陣が出てきた⁉︎ あ、二次創作の魔法陣ってどれもそんな感じか。そしてその魔法陣が出現して僅か二秒。一瞬赤い光の柱が魔法陣の中心から突き出て周囲を包み込み、すぐに収まった。
するとかつて魔法陣があったところに、一頭の動物がぺたんと座り込んでいた。白衣を着たぬいぐるみサイズのパンダで、右手に試験管、左手にフラスコを持っていた。
「「おぉ……」」
「出来た……。この子が研究好きのマイペース系パンダ・クリッタか……ぬいぐるみサイズのパンダとか、メェール君と同じく可愛い……‼︎ 癒し系がもう一匹いるとか良き……‼︎」
「た、確かに可愛いですけど、あの子なんか危なっかしそうなことしようとしてません……?」
「えっ?」
危なっかしいこと? それは一体……
あっ(察し)。
実験器具持ってた時点で気付けるとこだったじゃん今の。そして研究好きだってさっき俺も言ってたじゃん。
優子の言葉で色々気づき、クリッタに『ちょっと待って』と言おうとしたが既に遅し。クリッタが試験管の中に入ってた黄色の液体を、黄緑色の液体が入っているフラスコに移し入れていた。ちょっ、それで爆発とか起きたらヤバい……‼︎
「あ、フラスコから綺麗な向日葵が咲いた」
「「いやなんで⁉︎」」
え、液体を混ざり合わせて花を咲かせるとか、どんな実験なんだよ……。あっぶね、爆発実験じゃなくて助かった……。下手したら俺達三人ともおじゃんな可能性もあったなホント……
ってか何故向日葵を咲かせる実験を今この場でやろうと思ったねん。意味分からんのだけど。それに夏はまだ先だろ……
いやニコッとしないで? 下手したら原作崩壊というか理不尽なバッドエンドになりかねないからね? でも笑顔は可愛い。パンダの笑顔も癒されるものなのか……しかもデフォルメみたいな感じだからさらに良き……
「すごいね、本当に動物を召喚できるなんて。しかも理科の実験が好きなあのパンダがほんの一部か……。なんかちょっと羨まし……いや、今のは引っ掛からなくていい。忘れて」
「も、桃が白哉さんを羨ましく見てる……⁉︎」
ア、アレ? なんか千代田桃、俺に……というか俺の能力によって召喚された動物達に興味を示してる……? もしや、猫の召喚獣まで呼べると思って期待してる? 確か、千代田桃は猫が好きなんだっけ? 原作でそんな感じのを知ったと思うんだけど……
「……こ、コンニャロ─‼︎ 貴様は私に何かを出してもらうためにここに連れてきたんでしょうがー‼︎ 今更目的変更とかしようったってそうはいきませんよ‼︎ も、もう白哉さんのすごい力の一つは見れたでしょ⁉︎ 早く修行の説明の続きをしろー‼︎」
「あ、そうだった。ごめん」
あっ、優子がぷんぷん丸みたいに怒って千代田桃に注意を促した。だよな? そうだよな? 今は優子の飛び道具の修行だよな? おいおい千代田桃、本題から目的逸れてたぞ……
って、アレ? 優子、原作では廃工場の事とか飛び道具を出せる出せないとかで乗り気じゃなかったよね? そのはずなのに、なんで気合い入ってるの? もしかして俺のせい? 俺が転生特典を手に入れたせいなのか? やっぱり悪いことしてしまったな……
ん? そういや今気づいたことだけど、千代田桃が俺の能力に興味を示してたから、優子が少しは勘違いしてヤンデレモードの発動の予兆ぐらいはするはずなんだけど、そう言った雰囲気は見えなかった気がする……。正直助かったけどさ、なんで?
この後、優子の気合いに応えるかのように原作通りに修行がスタートしたのだけど、世界に対するコメントがないかのところでなんか桃が優子にヒソヒソ話をしてる場面が見られた。何話してんの? なんか怖いんですけど。
後、千代田桃がもしかすると他の魔法少女がまぞくに問答無用に襲い掛かるかもしれないとか言うので、優子の不安を和らげるべく、俺がもしその場にいた時の対処法ぐらいは言うことにした。いや別に言う必要はないとは思うけど、無意識のうちになんか言っちゃったみたい……
それと、しばらくして優子が今日一番デカい声発した時に急にめっちゃ恥ずかしくなった。けどその時優子がなんて言ったのかは、それを聞いた時の羞恥心が強かったせいか忘れてしまった。なんて言われて、恥ずかしく思えてしまったんだ……? 思い出せないけど、聞いてめっちゃ恥ずかった事はわかるけども……
その後、桃の何気ない一言で優子が何て言ったのかを察し、あまりの恥ずかしさと受け止めきれない『情』に耐え切れず悶絶してしまう俺氏だった。
♢
私は今まで感じたことがなかった嫉妬感を初めて覚えた。白哉さんに絡んできた人達に対する大半の勘違いによるものではなく、白哉さん本人に対して。
『何故白哉さんに嫉妬するか』? だって悔しかったんですよ‼︎ 私がまぞくになったのと似た経緯で、白哉さんが昨日召喚師になったというのに‼︎ ツノと尻尾が生えてけんこう魔族になっただけの私と違い、白哉さんは色んな能力を持った動物達を呼べるんですよ⁉︎
生まれ変わった経緯は一緒なのにこの差は何⁉︎ さすがの白哉さん相手でもこれは嫉妬します‼︎ 私も先祖返りで色んな力とか手に入れて魔法少女を圧倒したかったー‼︎
いや、これ以上嫉妬しても意味ないですね。愛が重いというわけではないですけど、嫉妬なんかしてもただ虚しいだけな気がします。
って桃? 何白哉さんの召喚術に興味を示してるんですか? 貴方私を鍛えるためにここに無理矢理連れ込んだのでは? 自分がやろうとしてること変えようとしてません? なんか腹立つんですけど。
えぇい、白哉さんに遅れをとってたまるものかー‼︎ もう修行場所が廃工場という怖さとか目汁しか体から出せないとか、そんなことはもう構うもんかー‼︎ こうなればヤケです‼︎ さっさと修行始めて魔力かなんかを出せるようにして、白哉さんに追いついてみせるぞー‼︎
というわけで桃、早速修行始めてください‼︎ 実力でも白哉さんと肩を並べられるようになるためなら、どんな過酷な修行だろうと乗り越えて……
………………前言撤回。ごせん像を魔力の形を作るための的にしないでください。ごせん像が可哀想です‼︎
「集中もまだ足りないかな。棒っぽいものが必要かも」
像は可哀想だと思わないのですか⁉︎
って、えっ? 今、桃の右手が光った気がするんですが。そしてなんか出たのですが。えっ、何そのハート型の水晶が付いたステッキ……
「一旦この棒使ってくれる?」
「うわ出た、魔法少女特有な感じの杖が」
「これは私が持ってはいけない類の棒な気がします‼︎ 私まぞくなんでこういうのは……あっ持っちゃいました。ほんのり温いです」
「警戒するのは悪くないけど、途中でうっかり解いちゃうのはちょっとどうかと思うぞ」
思わず渡されたのを持っちゃったので、とりあえずこのステッキから魔力みたいなのが出るのをイメージしながら、何かしらの念を込めてみることに。炎とか風とか、何故か虹色のレーザー「恋符『マスタースp」とかも出せるかどうかイメージしてみたけど、額から変な汁しか出ない……
「何か叫んだ方が出るかも。何か世界に対してコメントとかある? 『何もかも壊したい‼︎』とか『こんな世界闇に飲まれてしまえ‼︎』とか」
「そ、そんな事思ってません‼︎ ……白哉さんに絡んだ人達に対して似た感じの事を思ってしまった時が偶にありますが、みんな優しいですし……」
「そうなの?」
思わず小声で他の人の前で言ってはいけない事を呟いてしまったけど、聞かれてないですよね……? 本音というか本性バレてないですよね……? というか私また一瞬だけ愛が重くなった気が……
そんな事を思っていると、突然桃が私の耳元に顔を寄せてきた。な、なんですか。白哉さんには聞こえないように詰め寄ってきて……
「じゃあさ……『白哉くんを独り占めしたい』とか『白哉くんが自分にだけ目を向けてくれるようにしたい』とか、後は『白哉くんを婚約者にしたい』とか、そう言った恋愛に関する願望とか叫んでみたら?」
「どしぇ⁉︎」
な、なななななな……貴様また白哉さんの事でおちょくり始めたな⁉︎ し、しかもどれも愛の重さがわかる程のヤバめなセリフばっかりじゃないですか⁉︎ さては貴様、やっぱり私の白哉さんに対する想いを知っていたな⁉︎ ど、ど、どこで知った⁉︎ いつ、どこで、どうやって知った⁉︎ 知った上で私を揶揄ってるのか⁉︎ 下手すれば自殺行為ですよ⁉︎
………………でも、その欲望は正直叶えてみたい気がする。白哉さんとの二人きりの時間を作りたいし、白哉さんには私の事を好きになってもらいたいという気持ちもなくはない。あわよくば結婚だってしたいし、彼との子供だって何人かは……
って‼︎ ダメだぞシャドウミストレス優子‼︎ これまでの想ってしまった妄想や欲望よりもかなり酷いものだったぞ⁉︎ これ想ってしまった自分でもかなりのドン引きものだったぞ⁉︎
「やっ……やっぱりそんなこと言いたくないです‼︎ 相手や周りの人達を無視して自分の願望だけ押しつけても、それで相手が悲しむのなら意味がないです‼︎」
「そっか……確かにそれもそうだね、ごめん。じゃあシンプルに『白哉くんの事が好きだ』とかは? それぐらいなら問題ないと思うけど」
「………………シンプルにそれも恥ずかしいです。口が裂けても言える自信ないです」
「真っ赤な顔で硬直して変な間が出来たよ?」
喧しい。どうせ少なくとも恋愛感情を抱いていないであろう貴様にだけは言われたくないですよーだ。……いや、恋愛することになったとしても、私みたいに愛が重くなる可能性があるわけではないですけど。
この後『何でもいいから心に浮かんだ願望を叫んでみて』と言われたので『今夜はがっつりしたものが食べたい‼︎』と言ったけど、思ったのと違ったらしくて別の意味で顔を真っ赤にしてしまった気がした。
いや、白哉さん? 何一人でにお裾分け用の晩御飯のレシピ考え始めてるんですか。確かにがっつりしたの食べたいですけど本気にならないで。あくまで魔力さんを出すために言っただけですからやめて。
「何でもいいって言った私が悪かった。その子の生まれ持っての心の素質が強まった時に、自然と出てくる魔力解放のキーワードがあるの。私で言うなら……フレッシュピーチハートシャワー‼︎……とか」
「ブフォッ」
「ふれっしゅ………………え? 何て?」
「……そこは引っ掛からなくていい。忘れて。後白哉くん、とりあえず後でギルティね」
「ゲッ、笑ってたの聞こえてたのか……」
何故か白哉さんがギルティとか言われましたけど、半分彼の自業自得なので仕方ないですかね。なんか桃の目を見るに、本当にギルティする気がないようにも見えますし。勘違いしなくてよかった……
それよりも、ちゃんと記憶することが出来ました! 桃がさっき言ってた必殺技の名前『フレッシュピーチハートシャワー』‼︎ 一体どんな可愛げかつ強そうな技なんだろう? 一度ステッキ返すので見せて……あ、断られてしまいました。むぅ、残念……
この後桃から今の自分の願望を技名っぽく叫んでと言われたので、とりあえず願望のままに思いついたのを……あ、ダメだ。ファミレスの名前連発したけど何も出ない。
そしたら桃に『おばか‼︎』とか『やる気あるの⁉︎』とか言われました。やる気あるのにそこまで怒られるの私⁉︎ ……ところで今おばかって言いませんでした⁉︎
「魔法少女って私みたいになあなあにするタイプだけじゃないんだよ‼︎ もっと容赦ない人がいるの‼︎ そういう人に遭遇したら、一瞬でじっくりぐつぐつ煮込まれるよ‼︎」
「煮込まれる⁉︎」
ファ、ファンタジーで可愛げなお仲間の中には、腹黒すぎる感じの魔法少女もたくさんいるってこと⁉︎ 何そのチンピラがいっぱい生息してるよみたいな情報⁉︎
「───それはつまり、昔みたいに光の一族と闇の一族が闘った時の片鱗を再現してるって捉えていいか?」
え? びゃ、白哉さん? 突然何意見を言ってくるんですか……? えっと……白哉さんは多分どの方面の一族でも無さそうですし……
「えっ? ま、まぁ多分そんな感じ……」
「……だったら、俺も頑張って強くなるしかないな」
「え? なんで?」
「ホラ、まぞくの友達はまぞくの仲間と捉えられる可能性があるだろ? もしそうだったら、まぞくと過激派な魔法少女の闘いに巻き込まれる可能性だってあるし、その時にたとえ優子が強くなったとしても、護衛を勤まることになった俺たちが弱くて足手纏いになったら優子の闘いの枷になる可能性がある……。だったらその護衛となる奴も強くなれば、いざという時に優子を守ることだってできるはずだろ?」
「あぁ……確かにそれならシャミ子の強さに関係なく助かるかも」
じ、自分が巻き込まれる可能性や、そうなった時の事を想定するとは……‼︎ なんか私が強くなれないことを前提されてることには不服さを感じますが、何だろう……そう言われると安心するというか、すごく嬉しいというか……
でも……
「……でも、やっぱり私も強くなりたいです。そうやっていつまでもよわよわ魔族どころか守られ魔族のままじゃ、滅茶苦茶カッコ悪い気がします。そんな問答無用な魔法少女が来ても返り討ちにできる程に強くなって、いつか無双魔族になれる気でいたいです!!」
「「優子/シャミ子……」」
……いやちょっと、何呆気にとられたような顔してるんですか。こっちは真剣に考えているのに、まるで『お前はそんなこと言う魔族じゃなくない?』みたいに思わないでくれます⁉ 結構傷つきますけど⁉
「……無双魔族になるまでの道のりは険しい上に程遠くね?」
「うん、無理があるというか……」
「ホントに傷つくんですけど⁉」
ふ、二人して私の決意を否定するような心元ないことを……特に白哉さんにはこの決意を否定されたくなかったのですがそれは……。私のこの決意を考えてた時間を返してくださいよ……
「けど、シャミ子がそこまで言える程やる気になってくれたのは嬉しいよ。やっぱり特訓に誘ってよかった」
「だな。俺も優子にやりたいことができたのなら、俺もやれる限り全力でサポートしたいよ。あ、さっき否定するようなこと言ってごめんな? 本気で否定する気なんてないから」
「桃、白哉さん……」
なんだ、二人とも本気で否定してるわけじゃなかったんだ……。何だろう、一瞬でも裏切られから少し見損なったと思った自分がバカでした。もう少しぐらい二人を信じるべきでしたね……反省します。
「それなら早くシャミ子を強くしておかないとね。シャミ子、特訓の続きしようか。今度こそなんか出そう」
「がってん!! ……って、もう再開するんですか⁉」
アレ? そういえばさっき桃に他の魔法少女のことを聞かされて、何か引っ掛かるようなのを思ってたのだけど……何でしたっけ? ま、まぁいい……かな? 早くなんか魔力さん出しておかないと……!!
と、とりあえず、頭に浮かんだ文言を全部言っておこう! そうすればどこかで魔力さんが出てくるはず……‼︎
「熱海に行きたい‼︎ 猫に包まれたい‼︎ 部屋の電波が弱い‼︎ ブロッコリーうまい‼︎ 納豆卵ご飯‼︎ えっとえっと……」
「……白哉くんの事は好き?」
「二人きりになりたいどころか結婚してほしいぐらい大好きです‼︎………………ってほぎゃああああああ⁉︎」
「………………は? 優子、今、なんて……?」
桃に釣られてとんでもないカミングアウトがァァァァァァァァァッ‼︎ しかも白哉さんの顔が耳まで真っ赤ァァァァァァァァァァァァッ‼︎ 聞かれた‼︎ 絶対聞かれた‼︎ 私の本音をガッツリ聞かれた‼︎ 本格的に『やべー女』と思われました‼︎ あ、穴があったら入りたい……
「す、す、すみません‼︎ 今のは聞かなかったことに………………わっ⁉︎」
な、なんか出た‼︎ 白哉さんにさっき叫んだことの代弁をしようとしたら、ステッキからなんかデカい光が出ました‼︎ それもバランスボールの大きさのピンク色の球が‼︎ アレ? でもなんかすごいスピードでおっこちてるような……
「ぶべふっ⁉︎」
「ちょっ、優子ォ⁉︎」
お、思いっきり地面に押し潰された……。す、すぐに消えてくれたから助かりましたけど。一瞬車に撥ねられたような痛みが……。いや、実際に撥ねられたことはないですけどね。
「す、すごいの出たのに、なんでこんな自滅するような目に……」
「……正直そこまでの大きさの魔力が出るとは思わなかった。あ、今のは多分その魔力の推力が足りなくてシャミ子の体に戻ったんだよ」
ま、まだ魔力さんを出すの初めてだから、上手くコントロール出来ず一旦持ち主の中に戻るって感じですか……。けどその持ち主を潰すですか。めっちゃ痛かったのですが。
「それにしてもあそこまでデカい魔力を出せるなんて、シャミ子の白哉くんに対する愛はそれほど恐ろしいものだったんだね」
「ちょわァァァァァァァァァァァァッ⁉︎」
び、びっくりしました……。い、今のは私の悲鳴じゃないですよ? こ、これは白哉さんが珍しく発した悶絶時の叫び声なんです。真っ赤にした顔を隠して転がっているということは……
絶対聞こえてた‼︎ あれだけ大きな声でカミングアウトしてしまったんだもの、聞こえないはずがない‼︎ ホント最悪です‼︎
というかおのれ魔法少女、幼馴染の白哉さんにまで恥を見せるような真似をするとは……‼︎ いつか絶対生き血取ってやりますよ……‼︎
………………とりあえず、今は……
「びゃ、白哉さん……。そ、その、これは、誤解……。いや、嘘ではないことぐらい前から分かってるとは思いますけど、その……何というか……」
「……いや、うん。ダイレクトな事を言ってお前の気分が晴れたのなら、愛が重すぎる言葉でない限りは結果オーライとする。ただ、ダイレクトすぎるのは慣れてないので、せめて次からは状況考えてください……」
「えっ。あ、はい……」
えっ、偶になら叫んでもいいと? 私のこの想いを偶にならぶっちゃけていいと? ……何だろう。嬉しいような、複雑なような……
あの告白もどきな感じの叫びを白哉さんがどう思っているのかは分からない。けどせめて今は、私のこの想いのせいで白哉さんが色々な意味で潰れないことを祈ります……
但し桃、貴様にはいつかこの屈辱を晴らさせてもらいますからね。乙女と私が片想い(?)してる人に恥をかかせた罪は重いですからね……‼︎
「ご、ごめん。さすがに揶揄いの度が過ぎたよ。だからそんな怖い顔しないでくれるかな……?」
あ、感情が表に出てたのですか。しかもその私の顔を見て桃もなんか罰の悪そうな顔をしてる……
むぅ……今回は誠に勝手ながら引き分けにさせていただきますからね! 唆された私も唆した桃も悪い、これでイーブンです‼︎
この後、先程のデカい魔力さんを出したのを一旦なかった事にして『みんなが仲良くなれますように』と叫んだら、ゆっくりで小さいけど可愛い魔力さんを出せました。けど戻ってくるその魔力さんから逃げ切れず、筋肉注射を打ったような痛みに襲われました……
♢
ち、千代田桃に嵌められたとはいえ、優子からのダイレクト告白は結構効いた……ヤベェ、心臓がドクドクのバクバクでドキドキしてきてしまったよ……
いやさ、優子が今まで抑えてきていた恋愛感情がアレで爆発して、少しでも彼女の気が楽になれればいいかなとは思ったけど、いざ聞けば逆にこっちの理性とかが危うい気がしてきた……やっぱりダイレクトなのは結構堪えるわ……
いや、俺もどうしようってなってきたわ。誤って優子を色んな意味で襲ってしまわないだろうな? そしてそれで優子のヤンデレ度が高くなったりしないだろうな? ………………俺も自制出来る様に奮闘するか。で、どうやればいいんだよ……
結局白哉君、転生特典の力を主役二人に見せちゃいましたね……
改めてシャミ子の本心も聞けたし、色々と頑張れ‼︎(何をだよ)