偶に愛が重くなるまぞくと、愛されてる男のまちカド物語 作:名無しのモンスター
ちなみに今回はあのごせんぞー‼︎が登場します。オリ主とどんな風に関わるのでしょうね? 私、(作者だけど)気になります‼︎
?「ワイ○もそう思います」
最近優子の強そうなヤンデレモードを実際に見てない気がする白哉です。昨日で俺が召喚術を貰ったことが、優子と千代田桃にバレました。転生者であることはバレてませんが。
でもその代わりというものなのか、魔力を出そうと原作よりもやる気満々で奮闘してた優子が桃に唆される感じで俺への愛の告白を叫んでしまったのをちゃんと記憶に刻み込んでしまいました……聞いたこっちも叫んでしまった優子もめっちゃ恥ずかしい思いをしてしまいました……
まぁでも、それで優子がこれまで溜まってた俺への重い愛の一部を吐き出して、少しは気が楽になったというのなら、俺がとやかく考える必要はないかな。結構効くからしばらくはダイレクトな告白みたいなのは言ってくることがないことを祈るしかないけども。
そういえば、優子からの告白みたいなのを聞いたのは初めてじゃなかったな。中三の時も一度そんな感じなのを言われたけど、アレは『偶にヤンデレになってしまう自分を止めてほしい』というメッセージも含まれてたから、正直アレを告白と捉えていいのか分からなかったけども。
………………にしても、優子からの告白か……。よく考えてみたら、本来なら男から女へ告白するというのが主流だよな。それをいつまでも優子と一緒にいた俺からしないってのはある意味不思議な気がする。いや、仮に想ったとしても原作の物語維持の為に『逃げ』で黙ってると思うけども。
というかさらによく考えてみたら、俺それで優子に酷いことしてることになってね? だって告白みたいなことを聞いといてというか言わせといて、それ相応な感じの返答しないってのはどうかしてるな……。中三では優子が自分から告白?しといて逃げていったけども。その後にお互い距離をそんなに置いていないけども。
………………アレ? 俺、なんで優子の告白もどきの事でここまで深く考え込んでしまっているんだ? 優子の心を安定させる方法か、ヤンデレモードの回避方法を探す為の考察をしようと思っての事か? 自分で自分の考えている事が分からないなんて、俺もどうかしてるな……
というか、俺は優子の事をどう想っているんだ? 誰に対しても優しいまぞく? ただの仲の良い幼馴染? それとも……
【マスター、どうしたんだメェ〜? あんまりボォッーとしてると、シャミ子ちゃん諸共遅刻しちゃうメェ〜】
ハッ⁉︎ い、いけないいけない。深く考え過ぎてしまった。優子を待たせているし、この話題はしばらく保留‼︎ さっさと次の原作イベントを見に行くために学校に行かなければ‼︎
「それじゃ、行ってきます‼︎」
【いってらっしゃいメェ〜】
【………………なんでこんな簡単なことに気づかないんだメェ〜。マスターって、思ったよりも意外と鈍感なのかメェ〜?】
♢
「はい優子、今日のご先祖様へのお供え物」
「ありがとうございます白哉さん! ……けど、なんでジャン○を一ヶ月分纏めて? 雑誌だから多分大丈夫でしょうけど……」
「ご先祖様からの要望があれば一週間ごとに一冊ずつとかに変えるけど、どうせならなるべく纏めて渡した方が、来月までに展開の予想とかをする機会が多く取れるんじゃないかなーってな」
俺は今、学校にて封印されし闇の一族のご先祖様──リリスさんの魂が入っている像にお供え物をして合掌していた。そのお供え物が週刊少年ジャン○という、あからさまにお供え物ではないものだけれども。
優子曰く、リリスさんからおいしいものや雑誌をお供えしろと言われている模様。確か、こうすればリリスさんが封印されている状態ながらもそこそこの力を取り戻せるとかどうかだったと思う……。まぁ、力を取り戻せたとしてもその量はセミの寿命分だった気がするけども。
この後千代田桃がご先祖像に興味を示したり、杏里や小倉さんに全臓もそれぞれお供え物を持ってきてくれたりと、ほぼ原作通りに事が進んでいる。
ってか杏里? DVDをお供えするなら一巻止まりはやめた方がいいぞ? 念のために、だけどね。
全臓があげたお供え物は……酢昆布? なんで酢昆布? いくらなんでもチョイスが渋すぎじゃね? 駄菓子をお供えするなら他にも色々あるんじゃ……
いや、三人の中で一番まともなお供え物を持ってるのが、なんでヨーグルトを持ってきてくれた小倉さんなんだよ? 彼女、何かしらの変な薬とかを作るマッドサイエンティストやぞ? 他の二人よりもまともなのをお供えしてくれるのは、それはそれで怖いんですけど。
「ん? シャミ子、これ何?」
「スイッチ? なんで?」
あ、ここで優子と千代田桃がご先祖像の底に元から(?)付いてたスイッチに気づいた。確か、そこそこの電波らしきものといいお天気、そして十分なお供え物を得たことによって手に入れたエネルギー(もといお供えカロリー)、これらの条件を満たすと……
ポチッ
「あっ」
「迷わずオンですか⁉」
おま、よく怖気ずにそのスイッチ押したな千代田桃。下手したら爆発とか像が変形して目覚めさせたらヤバい奴に変わったりするだろうに……
彼女曰く、クラスに今ちょうど俺達以外の人がいない時間かつ変なギミックに対して自分が対処できる場所にいるため、そういった大きな被害が出そうにない状況でなら押してもらった方が効率が良いとのことらしい。
いや俺は召喚術で、全臓は忍法で対処出来るかもしれないから兎も角、ご先祖像のギミックをまだ知らない優子に一般人の杏里、マッドサイエンティストだけどインドア派な小倉さんなんかはもしもの時に対処出来へんかもしれねーぞ? お前三人にも被害とか与えずに災害の対処出来んのか? そこ不安なんですけど。
っておい、そこの忍法オタ……愛好家と一般人にマッドサイエンティスト。お前ら何いち早く机の後ろに隠れてんだ。しかも友である俺や優子を置いてけぼりにして。お前らそれでも友達か? 友達置き去りとかふざけんでくれる?
「なんか出たら跡形もなく消そう。そして忘れよう」
「ざっくり⁉︎ 私の秘密兵器かもしれない……の……に……」
「危なっ⁉︎ 大丈夫か優子⁉︎」
優子が突然気絶して倒れそうになったので、俺が咄嗟に彼女の体を受け止めた。ここは千代田桃が受け止めるところなんだけど、心配性になってしまったのか俺が無意識に受け止める役に回りました。いや、幼馴染だからこんなことしても当然かなとは思うけど……
「ナ、ナイスキャッチ白哉くん……。にしても、何故シャミ子は急に倒れて……? まさか……ついに拾い食いを……⁉︎」
「俺が作った飯のお裾分けもあるから、多分それは絶対にないかと思うぞ……」
急に優子が気絶したのにはちゃんと
とにかく俺は優子を安静にすべく、ゆっくりと彼女を椅子に座らせてあげることに。それから何分かはずっとこのままである。
「スゲェ、半目で気絶してる」
「魂抜けた系の感じだけど、大丈夫かな〜?」
「なんだか心配ッスね……って小倉さん? 何小さく光ってる何かをシャミ子ちゃんに近づけようとしてんスか。今のアンタが一番怖いッス」
うん、確かに小倉さんの行動が一番不安要素マシマシなんだけど。ホント何しようとしてんの。
刹那。優子の体から禍々しくて強いオーラが溢れ始めてきた。魔力とかそんなものの実感が湧かない俺でも目視できる程の強いオーラって、どういうことなの……
「みんな下がって‼︎ このオーラ……シャミ子じゃない……‼︎」
俺達を庇うように素早く前に立つ千代田桃。なんだよ……結構カッコいいじゃねェか……
そう思っていたら、ふと優子が目を覚まし、只ならぬ雰囲気を出すかのようにゆっくりと立ち上がり、腕を組みながら仁王立ちしてきた。
……ついに出たか。
「いかにも! 余は永劫の闇を司る魔女・リリス‼︎ 子孫の体を
優子の先祖である魔族・リリスさんの一時的な目覚めだ。声質の違いと暴君らしき態度から、優子と魂を一時期入れ替わっているのが分かる。
ってか、貴方まで噛んでたんですけど。優子っつーか子孫のまぞくとしての活動名をスラスラと言えないんかい。
「シャミ子の祖先………………ハッ! しゃみ先……‼︎」
「なんばゆうとっとやコラ‼︎」
つーか千代田桃、知人が赤の他人というか知らない人に体を乗っ取られてるというのになんでマイペース? そこは『なんで優子の体を乗っ取った⁉︎』とか『何が目的だ⁉︎』とか聞くところでしょうがよ。
「さて、ここでまず千代田桃とかいう魔法少女に言いたいことを言うところなのだが……うん、やっぱりまずはあの件からだな。優先順位が変わった」
へ? リリスさんが千代田桃に対する敵対心よりも先に言いたいことが他にあったの? 原作ではそんなものなく『よくも子孫をいじめてくれたな』とか言うのに……(まぁ半分勘違いのようなものだけど)
そんな事を考えていると、俺達を見下ろさんと上履き脱いで机の上に立ったリリスさんが、ビシッと俺に向けて指を差した。えっ、何故?
「───おい、そこの銀髪の少年。確か平地白哉、だったな?」
「……え? 俺ですか?」
「うん、そうだ。逆に今この場にいる銀髪が他にいると?」
はいそうですね。今現在教室には不思議な程誰も入って来てないし、そもそも俺以外の銀髪はウチのクラスに今現在見当たらないし、クラスの大半が来たとしても俺が呼ばれてもおかしくないね。
というか、リリスさんは俺に何を伝えようとしてるんだ? 厄介ごととかでなければいいのだが……
ハッ⁉︎ ま、まさか俺が優子を微ヤンデレにしてしまった事で、優子のまぞくとしての活動に支障が出ると判断して怒ってる⁉︎ それともアレか⁉︎ 俺が不慮な事故で優子の胸を揉んだから⁉︎ はたまた俺が昨日まで黙って使わずにいた召喚術を優子に披露したことによる何かしらの嫉妬や怒り⁉︎
な、何に対して怒っているんだ……? と、とりあえず……
「リ、リリスさん……じゃなくて、リリス様の気に触れるような真似と、シャドウミストレス優子のまぞくとしての尊厳を破壊してしまわれたのでしたら、心の底から謝罪を申し入れます……。た、大変なご無礼を……」
「えっ。いや、ちょっと待て。なんで謝ろうとしてるのだ? 余から説教を受ける前提で土下座するのやめてくれない? 大丈夫だから。怒ってるわけじゃないから。貴様に関する大まかな事は大抵シャミっ、シャドウミストレスの口から聞いて把握してるから。頭を上げよ頼むから」
あ、怒ってるわけじゃなかったんだ。よかった、ちょっと安心した。……ん? じゃあ俺に対する要件は一体なんなんだ?
「平地白哉。貴様の事は先程もちょっと挙げたようにシャミっ、シャドウミストレスから聞いているぞ。どうやら貴様は……」
「……あの、話の途中ですみません。無理に優子の事をシャドウミストレス優子と呼ばなくても良いのではないのでしょうか……? 一応、ここにいる人達からはシャミ子と呼ばれてますし……」
「き、気遣いのつもりか⁉ 悪いが余計なお世話だ! た、偶々言う度に運悪くしゃっくりが出ただけだ‼︎ い、いつもはそんなことはないのだが……」
うん、絶対しゃっくりしたから言い直したわけじゃないな。一瞬だけ虫が悪いような顔してましたよ? 後今の顔引き攣ってる。
「クスッ。やっぱり言いにくいですよね。シャドウミストレス」
「ち、千代田桃!! 貴様はちょっと黙ってろ!!」
……千代田桃。お前のフォローは時に人、というかまぞくを傷つけることになるんだぞ。もうちょっと言葉は選んだほうがいいぞ? 後、鼻で笑うな見てるだけのこっちもなんか腹立つ。
「コホンッ……話を戻す。平地白哉よ、どうやら貴様はシャミっ、シャミ子の小学校からの幼馴染のようだな」
「あ、はい。そうです」
あ、結局シャミ子呼びにするんだ。っていけないいけない、話はちゃんと聞こう。
「貴様は入院して我が子孫を見かけて以来、随分と彼女に優しく接していたらしいではないか。そういった対応を今でも変わらず続けており、中学からは偶に軽いトレーニングもさせてあげてたらしいな。多少の暴走を起こしそうだったらしいが、おかげさまでシャミ子本人が心身共に成長したと言っているようだ。我が子孫の心の支えになってくれていること、ここに礼を言おう」
えっ………………あ、感謝の言葉でしたか。どうやらリリスさんは俺が優子と仲良く接したことを嬉しく思っているようだ。まぁ苦しい顔とかよりも笑顔になっている時の子孫の顔を見てる方が、『あ、この子は上手くやってるな』と少しくらいは思ってもらえるから、そう思ってくれてこっちも嬉しいな。
「えっと……お褒めいただけるとは勿体なきお言葉です」
「ふふん、そうかそうか! どうやら貴様は余に対する礼儀をそれなりに持っているようだな! ではその礼儀良さとこれまでのシャミ子に対する恩義に答え、これから余が魔法少女を圧倒するところを見るが良い‼︎ まぁ奴にはシャミ子をダンプから守ってくれた恩義があるから、大怪我だけで済ませて……」
あの、すみませんリリスさん。ご機嫌になってるところ申し訳ないのですが、その魔法少女、貴方の背後に迫ってきてますよ。
「なんばしょっと⁉︎」
「転落しそうで心配です。気にせず続けて」
「いやいや余計なお世話ですけど⁉︎ っていうかナチュラルに間合いに入るな‼︎」
「えっ⁉︎ こんなに隙だらけなのに⁉︎ すみません気遣えなくて‼︎」
「よーし分かったぞ‼︎ 予定変更‼︎ やっぱりすり潰す‼︎ 戦争だ‼︎」
あーあ、また出たよ千代田桃のフォローになってない無自覚な言葉のナイフが。こいつはどうして人の傷つくことばっかり口に出すのかねぇ……。結局リリスさんキレちゃってるし。
というか今頃気づいたんだけど、こうしてる間に優子はごせん像の封印空間の中にいるんだよな? そこにいる事になった時はリリスさんになんか言われていた気がするけど、大丈夫なのか……? 心細くなったりしてない、よな……?
♢
「あ、地上波全部映るんだ。でも今はあんまり面白いのやってないなー」
その頃、封印空間ではシャミ子こと優子は炬燵に入りながらテレビを見ていました。結構くつろいでいる模様です。
♢
この後リリスさんは封印が解けたらローカル路線バスで地方の温泉を巡り癒され、その後は状況に応じて適当に世界征服すると宣言してきた。いや後半ざっくりだな。状況に応じて適当にって、具体的にどのようにして世界征服するおつもりですか? 暴力で? はたまた財力で? あ、後者は難しいか。
そこを千代田桃に指摘されついに痺れを切らしたのか、ついにリリスさんは机を投げ飛ばして戦闘開始……
しようとしたが、上手く持ち上げられずその場で転倒してしまう。俺が床に打ちそうな頭を受け止めてあげました。ナイスタイミング二回目。
俺が鍛えてあげたことで原作よりは強くなったと思う今の優子の体でも、机を投げ飛ばす程の筋力までにはいかなかったかー。なんか上手く鍛えてあげられなかったなと思えて悔しい気がする。
【これ、僕が呼ばれる必要なくな〜い?】
「うん、そう思える光景だね。けど念のためだから、もうしばらくここに現界しとって」
俺は今、水色の身体に橙色の甲羅を持つウミガメ・コウランを召喚術で呼び出し、俺の防衛に専念させています。彼の能力は人一人分の甲羅型エネルギーを作り、それで自身と人一人分を様々な攻撃から守ってくれる能力があります。俺が優子を鍛えたことでリリスさんが原作よりも強くなってるかもしれないことを考慮して、ね?
そこ、コウランをカラーリングを見てポ○モンのゼ○ガメと思った奴いたら表に出ろ。白龍様が八つ裂きにしてくれるぞ。【おい、他人任せはやめてくれないか?】
ちなみに杏里・小倉さん・全臓の三人は、全臓の忍法・鋼鉄の筒による生成された筒状の鉄の壁に囲まれながら千代田桃とリリスさんの闘いを透明になってる部分から眺めてます。しかも俺が召喚術使う前に。なんで今日俺をハブってばっかなの君達? 俺、君達に何か悪いことでもしたの?
「な…何だこの体⁉︎ ちょっと動いただけで重心がグラグラする……ちょっと息も上がる……力はちょっと入れづらいし、首と肩も凝ってるし、ついでにうっすら目が悪い……‼︎」
あ、なんか原作よりは酷くは無さそう。俺が優子を鍛えてあげたおかげなのか、リリスさんへの評価が少しはマシになったってことか?
千代田桃曰く、自分が頭の中で想像している動きに優子の肉体がついていけてないとのことらしい。そこでリリスさんが今の自分がポンコツであるのかと指摘すると、運動神経に到底無視できない大変な課題を抱えているだけとか言ってフォロー出来ずにいた千代田桃であった。
♢
「これはすごいことです。うちにあるゲームで遊べる」
その頃の封印空間の中のシャミ子。ちゃんと空間の中のゴミとかを片付けている上、ここにあるものを色々使って堪能しているようだ。
いやシャミ子よ、外の世界に行った先祖や白哉の事を心配しなくていいのか? 一応原作主人公かつ本作の微ヤンデレ(のつもりの)ヒロインだぞ?
♢
物理攻撃(暴力)をしようしても無意味というか無理だと判断したのか、リリスさんは溜めて放つ系の魔力で対抗することに。昨日優子が一度だけバランスボールサイズを出したので、周囲を巻き込みそうな程のデカい魔力を出しそう……。こっちは召喚できる奴にコウランともう一体、全臓が複数の対象を守る忍法を持っていてよかった……のか?
だが案の定というべきか、リリスさんが放てた魔力は原作通りのゴムボールサイズ。しかもUターンしてリリスさんの体にチクッ。筋肉注射レベルの痛さが魔族の先祖を襲う‼︎
「あ痛あああああああああん⁉︎」
【ブハァッ。クスクス……】
「おいそこの亀! 今笑ったな⁉︎」
【いや、これ、ただの咳……ブハハハッ】
「絶対笑ってる‼︎ ちゃんと『ブハハハッ』って笑ってたの聞こえてたぞ‼︎」
うん、俺は内心堪えてるとは思うけど、これは思わず笑うしかないわ。だって魔力受けたリリスさんの悲鳴が……
ってか千代田桃まで笑い堪えるの珍しいな。
後、小倉さんは何を思ってメモってんの? 何の研究するつもりなの?
そして全臓、冷たい眼差しをリリスさんに向けるのやめなさい。相手は魔族の先祖だぞ?
「これ以上あなたにシャミ子を操作させると、シャミ子が痛んでしまいます」
おい、人を生モノみたいに言うな魔法少女。
「ち、近寄るな‼︎ 一旦どこかで潜んで態勢を……」
やっと身の危険の重大さを感じたのか、リリスさんはご先祖像を持ってこの場を離れようとするが、その肝心のご先祖像がないことに気づく。うん、これはないというか
「やっぱりこれがないと遠くに行けない感じですか?」
「一般人何を突き立ててる⁉︎ 返せ‼︎」
研究好きマッドサイエンティストの小倉さんが、既にごせん像にパイルドライバー刺してるもん。ごせん像解体しようとしてるもん。中の優子が危険だからやめなされ。
「いやーすみません。でもいつものシャミ子の方が好きっす」
「ってなわけで、そろそろそちらの子孫に体返してあげてもらってもいいッスか?」
「ぐぬぬ……」
あらら、今この場にリリスさんの味方はいないようだ。まぁ体貸してもらって現界したばかりだから、仕方ないのかもだけど。
「ひ、平地白哉‼︎ 貴様、シャミ子の幼馴染なのだろう⁉︎ なら余が使ってるこの体を傷つかせるわけにもいかないのだろう⁉︎ だから助けて……」
あ、今度は俺に助けを求めようとしてるな。優子と仲がとても良い俺ならば、彼女と縁のある者にも手を差し伸べるだろうと思っての判断だな。けど、すみませんリリスさん。俺は……
「お言葉ですが拒否します。やっぱ俺も優子の体から別人格が出るの、なんか違和感あって耐えられそうにないです。なので降参してください」
「はぁ⁉︎ 『味方になった覚えはない』ということか⁉︎ この薄情者ー‼︎」
「そんなんじゃないですけど、俺もいつもの優子の方が良いってことです。あ、でも千代田桃は貴方を消すつもりはないですよ。ちゃんと生かしてくれますから……多分。優子に体を返してくだされば、の話ですが」
「………………あぁ……余、終わったわこれ」
俺にまで突き放されたと思ったのか、千代田桃に腕掴まれて何かされそうになるって事になる前に、リリスさんは潔く白旗降参しました。本来なら諦めたらそこで試合終了だが、状況整理して答えを出すのも良いことだ。たとえそれが本人の不本意であっても、な。
この後、リリスさんの最後の望みとして多摩健康ランドで温泉に浸かることにした。全臓と小倉さんは部活動での急用があるとか言って来れないらしいけど。
というわけで放課後にて四人で健康ランドに向かって歩いていると、リリスさんが俺に声を掛けてきた。もしや金借りる気?
「平地白哉、貴様に一つ頼みたいことがあるのだが……」
「すみません、二人分の銭湯の代金は持ち合わせてないです」
「貸してはほしいけどそういうことではない‼︎」
えっ、そうなんですか? この後の原作通りの展開のしやすさを考えて心を鬼にするつもりだったのだけど、言いたいことはそこじゃなかったんですか? まぁ本音を言うと、マジで今リリスさんの分の健康ランド代がないんスけども。余分な金はウチの金庫に入れてるですよ。
けど金が本題じゃないのなら、一体何を……
「温泉浸かった後すぐにシャミ子に体返すかもしれんから、その前に先に言わせてもらう………………シャミ子の事、これまでよりももっと大切にしてやるんだぞ」
「へ? は、はぁ……」
え? 『これまでよりももっと大切にしてやれ』? それは一体どういう……? いや、優子を悪いようにはしてないとは思うし、あいつの想いには頑張って向き合っているのだけど……うぅむ、何故かリリスさんの言ってる言葉の意味が分からん……
そうこう考えてる内に気がつけばお風呂祭りを満喫していました。そして体を返してもらった優子が無理に動かされた全身の痛みを受けたり、健康ランド代をツケられてショックを受けたりしてるのを見て、俺は只々申し訳ないと思いながら苦笑するのだった。
♢
「ぬぬぅ、まさかボロ負けになるとは……」
その頃、ご先祖像内の封印空間。お風呂祭りを堪能したリリスは帰宅してすぐに炬燵に顔を伏せていた。桃に成す術なく……というよりは優子の体の配慮に至らなかった事による敗北を受け、魔族の祖先のメンタルを崩されたからだ。
ただ、最後にはお風呂祭りによるリラックスを得たことで、なんとかメンタルの完全崩壊は免れたのだが。
「それにしても、シャミ子には申し訳ないことをしてしまったな。結構体に堪えてしまっているだろうし、今の吉田家の財政のせいで、余が残していったツケも痛手になっただろうな……あ、フルーツ牛乳美味っ」
今頃明かされる衝撃の真実によって嘆いているだろう子孫を思い描きながらも、彼女が飲んだことで
「とにかく、今回は余にも至らぬ点が多かったことがよくわかった。これからはいくつか改善点を考えなければな……」
自身のシャミ子と周囲に関する情報の捉え方。自身とシャミ子の体の相性の悪さ。千代田桃の強さ……は全く見せてくることはなかったが。様々な方面での誤解や計算ミスが重なったこの苦い思い出は、リリス自身にとっても課題となり、トラウマにもなった。
それでも尚、そこからどのようにしてシャミ子にアドバイスを送れば良いのかを考察するようにもなったわけなのだが。
「………………それにしても、平地白哉、か……」
フルーツ牛乳を飲み干し、ふと白哉の名前を呟くリリス。彼女は実際に白哉と出会った時の事を振り返り、彼の事についても考え始めた。
夢の世界に引っ張り出したシャミ子と話し合う機会を得た時に、不意にリリスは情報共有という名目で奴の事を聞いてみたことがあるらしい。子孫と関わりのある者についての情報を得ることは良いことなのだが……結果的にリリスが精神的疲労を受けただけだった。
シャミ子は他の者達に話さなかったのが嘘かのように、白哉の性格の良さや自分に対して行ってくれた接し方など、彼の良い点を数えきれない程に語りまくっていた。
彼が自分に対して見せてくれた笑顔や、自分の体を気遣っての対応、シャミ子自身が本性を打ち明けても変わらず優しく接してくれている器の広さなど、これまでにあった出来事を含めて彼女は白哉に好意を示していたようだ。
おかげさまでリリスは、シャミ子が夢の世界から帰っていくのを見送った後、その場で脱力して泡を吹かしながら倒れ込んだそうな。
それ以来、リリスは白哉の事をシャミ子にとってどのような存在であるのかと考察し始めた。それによるものからか、シャミ子に寄り添ったり彼女を鍛えてあげたという恩義もあるが、それ故に複雑な感情を持ち始めた。彼は子孫にとっての支柱なのか、または味方という心の猛毒なのか、結論に辿り着けじまいとなった。
しかし、その考察は実際に白哉と出会ったことで変わりだす。
「出会ったばかりだというのに、奴からは不思議なものを感じる……。召喚術を使えるようになったというのもそうだが、何故だろうな……奴から何か
シャミ子にとって何なのかという云々ではなく、彼自身が何者なのか……という捉え方をするようになった。リリス本人でも分からない『何か』を、白哉を見て不意に感じ取ったのだ。何故そう言う考察が出たのか、何故白哉を見てその『何か』を捉えられたのか、それはそう思ったリリス本人すら疑問に思う程に。
「……いや、当の本人は自分が今していることに一切気付いていないし、今はそこまで深く追及する必要はないのかもしれんな……。とりあえず、今は白哉がシャミ子にとっての何なのかを見定め続ける程度にしておこう。うん、そうしよう」
最終的に思考したが。いや何故だ。もう少し頑張れ魔族の先祖よ。
リリスさん、なんか白哉君の事を雑に捉えてないかな……? 設定とか作ったの俺だけど。
そろそろ次回以降のストックがヤバそうなので、週一よりも早い投稿はやめとこうかな……?