──希望は、闇の底でこそ輝く。
少女はまだ知らない。自分が〝世界の鍵〟として狙われていることを。

新年度の朝、イリア十八部隊は静かに動き出すはずだった。
しかし突然の辞令が、すべてを壊した。
誇りも、未来も、守るはずだった場所さえも──
一瞬で奪われたのだ。

左遷。
それはただの異動ではない。
「イリアに必要とされていない」という残酷な烙印だった。

部隊長シャニーは、胸の奥で何かが崩れ落ちる音を聞いた。
怒り、絶望、裏切られた痛み。
それでも彼女は、仲間の前では笑おうとした。
泣きたくても、泣けなかった。
〝部隊長だから〟──その一言が、彼女を縛り続けていた。

だが、少女は折れなかった。
仲間の声が、手が、温もりが、彼女をもう一度立ち上がらせた。

「前を向こう。リキアで、もう一度やり直すんだ。」

そうして十八部隊は、信用ゼロ・仕事ゼロのリキアへ向かう。
そこは、誰も助けてくれない世界。
身分差、偏見、政治の渦。
そして、静かに忍び寄る──異界の影。

廃村の惨劇。
連続襲撃事件。
ずっと背中を追ってきた恩師の変貌。
そして、世界の裏側で蠢く《聖職者》の存在。

すべてが一本の線で繋がっていることを、シャニーはまだ知らない。

彼女の中に眠る〝鍵〟。
精霊セチの力は、振るうほど命を削り、やがて少女を石へと変える代償を孕んでいた。

それでもシャニーは剣を握る。
誰かを守りたいから。
仲間を失いたくないから。
そして──
ロイの隣に立ちたいから。

希望と絶望の狭間で揺れながら、少女は風を起こす。
喪失の闇を切り裂き、未来へ続く道を照らすために。

だが、闇もまた動き出していた。
異界の門が軋み、〝鍵〟を求める者たちが世界へ侵入する。

シャニーの選択ひとつが、大陸の運命を変える。

これは、世界の闇に挑む〝白き風〟の物語。
王道の輝きと、ダークの深淵が交差する第三部──


◆◆◆◆

念のため……
・原作は『ファイアーエムブレム 封印の剣』です。
・このゲームに登場する見習い天馬騎士シャニーを主人公にしています。
・原作エンディングから2年後の設定となっています。
・カップリングはロイシャニとクレティト前提。
・作者は『聖魔の光石』以降未プレイです
・オリキャラが複数います。
・原作に無い設定があります

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人物相関図(Ⅲスタート時点)

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