クレイジーサイコレズ系主人公が錦木千束の心臓を死ぬほど欲しがる話   作:靉靆 

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#10 There is always light behind the clouds

 

 

 

 

 

「……千束との夜、凄かった」

 

 

 想い出に浸る。

 数日前に経験した千束との同衾を想起しながら、DA京都支部の寮室で咽ぶ。

 

 千束の寝顔、可愛かったです……。

 あの後は本当に大変でした。ただでさえ不完全燃焼で終わった殺しへの欲求が更に刺激され眠れぬ夜を過ごす始末。

 衝動と性欲の板挟みで我慢した私を褒めてあげたい。

 

 絡みつく肢体。

 艶っぽい吐息。

 部屋に満ちる千束の香り。

 

 五感が認識する全ての情報が私という存在を満たして仕方がなかったあの時の幸福と生殺しを想像しながら、枕に顔を埋める。

 

 ちさと、千束……。

 私の初恋。私の宿敵。私の命題。私の使命──その淡い白髪を血に濡らしたい。

 服を剥ぎ、きめ細やかな美肌に私の証を飽きるほどに刻みつけたい。

 

 

「抜かったな。それにしても」

 

 

 故に、もう少しの“我慢”だ。

 この六年で積み上げてきた私の実績という名のDAからの信頼は、あの一夜で崩れ去った。

 

 運命論(フェイタリズム)を語りながら刹那主義に傾き危うく全てを御破産にしかけるなど、まさに愚行だ。

 

 DAは、独断で動いた私になんらかの枷を嵌めるだろう。

 

 リリベルの存在が大半のリコリスに認知されていない以上、私という特記戦力に表立った処分を下すことは組織内に少なからず不和を齎す可能性があるが故に、周囲に視認できない最低限の枷となれば恐らくは監視や行動の制限と言ったところか。

 

 それがどうした。もう一度千束との蜜月を過ごす為なら、DAに舌を出しながら尻尾を振る事など苦ではない

 

 当面の目標を再確認し、時計に視線を向ければ針が()()の時刻を指し示してる。

 

 なんでも東京に到着すれば早々に新しい相棒(バディ)であるセカンドリコリスと共に、私に対して幾つかの任務があるという。

 

 組織への忠誠心の確認。そしてそのセカンドが私の監視を務める……という事なのでしょう。

 

 あぁ、自分の蒔いた種だと分かっていながらも煩わしい。

 

 今この部屋には私一人だけ。

 たきなは単独で別任務を任され早朝から不在である事を思い出し、僅かばかりの寂寥を感じる。

 

 すぐに任務を終わらせて響奏(わたし)を見送る、と名残惜しそうに言ってはいたが、それも難しいだろう。

 

 ベッドから起き上がり、鞄を背負い制服の襟を正す。

 持っていく荷物は必要最低限。

 リコリスとはいつ散るかも分からぬ刹那の花であるからか、個人的な私物を持っている者はこの京都支部でも少ない。

 元々寮に備え付けられていた設備品以外での私物といえば、リコリスに配属された際に配られた各種武装のみ。

 

 

 

 

「さようなら、たきな──いつか私を殺しに来てくださいね」

 

 

 無人の寮室で願望を吐露する。

 彼女と共にリコリスとして生きた六年は実に有意義なものでした。

 

 初めてたきなが人を殺した日の事を思い出す。

 私の付き添いのもとで、通り魔を行おうとした悪漢を初任務で躊躇なく殺害したあの時のたきなの瞳には、昏い闇だけが蠢いていた。

 

 呵責なく、合理的に人の命を奪う在り方はまさしく私と同じく怪物の精神性。本来人が生まれた時から持ち合わせるはずの罪悪感を一片も感じさせることなく銃爪(ひきがね)を引くその美しさに、流石は自慢の妹だと誇らしかったです。

 

 たきなならきっと、私がDAを裏切るその時に純粋な殺意を携えながら私を殺しに来てくれる……そう思えるほどに彼女の冷徹さは美しい。

 

 

 また想い出に浸りながらDA京都支部を出る際に、多くのリコリスが私の門出を祝うために集まっている。

 どうでも良い有象無象の言葉に適当な相槌を打ち、そのまま進む。

 

 

「──響奏!」

 

 

 支部を出た所で、聞き慣れた声が私を呼び止める。

 唐突な呼びかけに不思議と驚愕はない。

 きっと駆けつけてくれると、私は心の何処かで思っていたのだろう。

 

──やっぱり貴女は、私の自慢の妹です。

 

 頬に僅かな返り血を付けた幼子が、其処にはいた。

 

 

「……間にあって、よかった」

 

 

 微かな声が安堵を言葉にする。

 たきな……綺麗な黒髪を乱し、息を切らしてまで私の為に任務を終わらせて帰って来たのですね──本当に良い子。

 

 駆け足でたきなが私の許へと来ると、ぎゅっと身体を抱きしめ可愛らしく上目遣いで私を見る。

 

 

「たきな?」

「いやや、行かんとって」

 

 

 まるで怯えるように震えながら、私を抱き締める腕の力が強まる。

 

 私が京都を去る事で“捨てられる”と思っているのでしょう。

 たきなの冷徹な在り方とは違うDAへの執着を知る私からすれば、子犬のように震えるその姿も可愛らしくて仕方がない。

 

 

「わたしは、響奏と一緒がいいです」

 

 

 井ノ上たきなは“捨てられる”ことに恐怖心を覚えている。

 

 彼女が“普通”であった頃の経験に依るものかは分かりませんが、たきなはこの狭い世界において自分自身の存在意義を求めているのだ。

 

 承認欲求とも自己顕示欲とも違う歪な在り方。

 

 いつもの冷徹なたきなとは違う、可愛らしい臆病な側面に胸が高鳴る。

 

 

「大丈夫ですよたきな。私はずっと、貴女のお姉ちゃんですから」

「……ぁ」

 

 

 抱き返す。ぎゅっと強く。溢れんばかりの愛を込めて。

 私にはたきなが必要だと、胸の想いを抱擁として伝える為に。

 

 私だけは変わらず必要としましょう。

 

 井ノ上たきなに“も”殺されたいと思ったあの日から、貴女は私の大切な(いもうと)なのだから。

 

 

「……待ってて、ください」

 

 

 か細い声に、確固たる決意が垣間見える。

 まるで母鳥から巣立つように抱擁を手離し上目遣いで私に視線を寄越す。

 あぁ、殺されたい殺したい殺されたい。

 その小さなお口に指を這わせて喉まで犯したい。

 

 なんて愛いのでしょう──覚悟を決めた人の意志、人の輝き。私の大好きな煌めきを愛する妹が目の前で抱く様を見れるなんて、こんな幸せがあっていいのだろうか。

 

 

「いつか絶対、わたしも響奏に追い付きますから」

 

 

 ええ、待ってますよ。貴女が私を殺しに来るその日を。

 

 只人としての感情も、幸せも貴女には不要です。

 

 永遠に私だけを見て、私だけを必要にして、最後に私を切り捨ててくださいね──たきな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 █

 

 

 

 

 

 

 

 日本、東京。人口の密集地は、世間一般に於ける休日である日曜日だからかいつもより騒々しい。

 

 駅から流れ出る人の荒波を俯瞰しながら、私は今日から相棒(バディ)となるリコリスを待っていた。

 

 

『──フキ。これは重要な任務だ。霧霞響奏から目を離すな、場合によっては奴の作戦補佐よりも優先される命令と知れ』

 

 

 昨日、正式な昇格により袖を通す事となったセカンドの証明である紺色の制服に高揚しながら司令の言葉を思い出す。

 

 私たち彼岸花(リコリス)にとって、この命を拾ってくれたDAからの命令は絶対だ。

 それがトップである司令からの言葉となれば、私の中でそれが最優先事項となる。

 

 霧霞響奏。お姫様みたいなその姿を思い出すと共に、模擬戦で感じた“嫉妬”を再び覚えて胸を抑える。

 

……あの人や千束みたいな強さがあれば、先生は私の為にDAに残ってくれただろうか。

 

 あの圧倒的な強さを目の当たりにしてから、無意味な想定だと分かっていながらそればかりを考えてしまう。

 

 

「──おや、以前の模擬戦振りですね。セカンドへの昇格おめでとうございます」

 

 

 都会の騒々しさの中で、凛とした美声が私の意識を現実に引き戻した。

 振り返れば其処には赤い制服を身に纏った私の待ち人……霧霞響奏が其処にいた。

 

 

「……っ、本日より響奏さんの相棒(バディ)を務めさせていただきます、春川フキです!宜しくお願いします!」

「はい。ご存知かとお思いですが、本日より京都支部から転属して参りました霧霞響奏です。どうぞよしなに」

 

 

 階級が下である私に対して慇懃な態度を崩さないのも相変わらずだと思う。

 

 腰まで届く長い白髪。

 幼さと同時に色気を感じさせる美貌。

 物珍しい赤と金の瞳に、数日前出会ったばかりだというのにゴクリと喉を鳴らしてしまう。

 

 時間が止まったような気すらした。

 あれだけ騒々しかった周辺は、同性異性の関係なく皆一様に一瞬足を止めてこの人に見惚れてしまう程だった。

 

 これじゃ、都会の迷彩服とも言われるリコリスの制服が全く機能しないな……と思うと共に、数日前まで下っ端(サード)だった私の事を覚えてくれていたことに少しばかりの喜びが生まれる。

 

 軽い自己紹介を済ませ、人通りの少ない方面へ移動しながら作戦の確認を行う。

 

 

「行きの新幹線で資料には目を通しました。早速ラジアータの弾き出した密売人の本拠地へと乗り込みますが、よろしいですか?」

「はい。問題ありません」

「宜しい。ファーストリコリス、霧霞響奏。これより作戦行動に移ります」

 

 

 インカムを装着して本部へ作戦の開始を宣言すると同時に、私たちは首都の闇中を駆け抜けた。

 

 

 

────

 

 

 ラジアータが推測した次なる犯罪は、麻薬の大規模流出。

 

 警察などの公的執行機関が深入りできず、かと言って私たち彼岸花(リコリス)が介入するほど深層的(アングラ)ではないグレーゾーンに燻る集団がここ数ヶ月で活性化し、遂にはDAの標的となり得る程の犯罪を行うという事で私と響奏さんにはその麻薬密売を仕切る集団の暗殺が言い渡された。

 

 調べを続けるうちに表の世界に於ける重鎮の関与も疑われ、この作戦の重要性は更に増すこととなる。

 

……本来なら、たった二人で臨むような規模の作戦ではない。

 

 最低でもファースト一名に二名以上のセカンド、そして十名弱のサードを導入する必要があるほどの難易度であるはずだ。

 

 いくら響奏さんがいても、たった二名での作戦実行は失敗のリスクがあるのではないのか……そんな私の懸念は、杞憂に終わることとなった。

 

 

 

 

 

 

 

「──温いな。これではまるで案山子ではないか」

「ひっ!」

 

 

 いつもの丁寧な口調とはまるで違う荒々しい様相で、恐怖に顔を歪ませる麻薬密売グループの元締めを生きたまま制圧する響奏さんの姿に、私は自分の認識の甘さを思い知った。

 

 周囲には三十名以上の武装した荒くれ者どもの死体。

 突入前の目測通り相応の人数のリコリスが必要なほどの規模であったはずが、その全てが今は血の海に沈んでいる。

 

 

──何なんだよ、この人は……!?

 

 

 あまりにも人間離れした所業に、驚愕が胸に満ちる。

 まるで理不尽を形にしたような存在だった。

 私が一人射殺する間に、響奏さんは五人以上の敵を一瞬で仕留める。

 右手に銃、左手にはコンバットナイフ。

 中近接両者に対応した構えで実弾を全て躱し、射手の息の根を止める凄技に言葉が出なかった。

 

 あぁ……やっぱりこの人は、千束と同じ()()()()の人間だ。

 

 

「10秒やる。まずは右腕だ、この名簿(リスト)に載ってる者以外の協力者を吐け」

 

 

 胸の内で燻る嫉妬の炎を自覚していると、響奏さんが商人を相手に尋問を始めていた。

 確かにこの場から回収した名簿(リスト)には事前に関係があると目されていた重鎮の関与に関する証拠(なまえ)がない。

 つまりもしラジアータの弾き出した推測が正しければ、まだ土に埋まった多くの真実は生捕りにしたこの商人のみが知ると言うことだ。

 

「し、知らな──があ…ぁっ!?」

 

 白を切る密売人の右腕が、グロテスクな音を鳴らしながら曲がってはいけない方向に曲がった。

 

 

「クスリでパーになった貴様の脳でも理解できるよう忠告してやる。嘘を吐くな、虚偽を述べるな、真実だけを口にしろ──次は指だ。5秒ごとに小指から一本ずつへし折る」

「ひ、ぁ……ーーーーと、ーーーだ……!」

 

 

 痛みに喘ぐ密売人が名前を出す。私でも知ってるような大物の名前に驚きながら、すぐさま響奏さんの吐かせた情報を端末のメモに記す。

 事前に挙げられていた名前以外にももう一つ出てくるとは、まさに棚からぼた餅だ。

 

 

「真実か?情報はそれだけか?」

「ほん、とうだ…。勘弁、してくれ……それで全、ぁ、っぎ!?」

「きょ、響奏さん!?」

 

 

 情報通りの名前は既に出たというのに、なおも宣言通り指を足で踏み折るその行動に思わず私も声が出た。

 

 

「成程、()()()()()()()()。だが言っただろう、嘘を吐くなと」

 

 

 響奏さんが睨みを効かせながら威圧する。

 まるで商人の男がまだ情報を隠していると確信しているようだった。

 

「う、嘘なんて……が、ぁ〝…!?」

 

 右手の指を全てへし折られ、男がまた呻き声を上げる。

 

 

「ほら、また嘘を吐いた。分かるんだよ私には。瞳孔、脈拍、汗のかき方、声のトーン……お前から認識できる情報の全てが“嘘”だと教えてくれる」

 

 

 熟練の経験の成せる技法(わざ)というやつだろうか、私にはただ密売人が痛みに苦しんでるようにしか見えなかったのに、この人は更に心の奥深くを見据えている。

 

 

「次は、もう一度指。その次は左腕をへし折る。それでも話さないのなら、お前の人間としての尊厳を全て奪い尽くしてやる」

「わた、わか、た……話す……話すから…っ!!」

 

 

 響奏さんの気迫に観念したようで、男は先ほどとは打って変わった口の速さでペラペラと情報を吐いた。

 

「お、お願いだ。これで全部だ許してくれ……っ、命だけは──」

 

 瞬間、屋内に轟く発砲音。

 男の遺言は、無様な命乞いだった。

 

 

「悪いな、もう一度言ってくれ。聞き取れなかった」

 

 

 まるで昔千束が貸してきた映画のワンシーンを思わせる台詞を口にして、響奏さんは銃をホルダーに収める。

 

──これが、霧霞響奏。

 

 これ程までに洗練された動きと完璧な作戦遂行能力を目の当たりにすれば、私はこの人をどれだけ過小評価していたんだと思い知らされる。

 並のファーストが束になってかかろうとも、恐らくはこの人に傷ひとつつける事はできないだろう──千束のように。

 

……また、胸中に抱いた“嫉妬”で全身が灼けつく音が聞こえた。

 

 私もこの人のように、千束のような特別な何かがあれば……先生は今でも──

 

 

「そろそろ、その嫉妬心に満ちた眼をやめて貰ってもよろしいですか、フキ?」

「……!」

 

 

 思わぬ一言に、鼓動が早鐘を打つ。

 どうして、なんで分かったと図星を突かれたことに対して静かに狼狽する。

 私の胸に燻っていた醜い心を見透かすようなその眼に、恐怖心を覚えた。

 

 

「春川フキ、貴女は私や千束のようには成れませんよ」

「それは……!」

 

 

 私の胸の騒めきを一蹴するその一言に、なんの反論もできなかった。

 

 ああ、そうだ……私は貴女や千束みたいに銃弾を避けることなんて出来やしないし、司令から特別扱いされるようなこれと言った特に秀でた技術もない。

 

 それなら私は、一体どうやったら貴女たちに追いつけるんだよ……私は天才なんかじゃない。

 

 先生が私たち凡人よりも天才(千束)を選んだのだって、今でも納得もできやしないのに……どうやって私は自分の意義を証明すれば……!

 

 

「──だからこそ貴女は、我々とは別の成長過程(アプローチ)で隣に並び立てる」

「っ」

 

 

 巡り巡った懊悩が胸を穿つ。だからこそ、途端に私を激励するかのような言葉に思わず高揚した。

 

 

「一芸で劣るのなら、多芸を極めて我々に喰らいつきなさい。 

 唯一無二の“最強”の影を追わず、武芸百般の“最優”を目指せば良いのです」

 

 

 知らない。知らない。そんなこと誰も教えてくれなかった。

 誰もが錦木千束に追い縋ることを諦めた、誰もがアイツとの間に存在する隔絶とした差に絶望した。

 

 人は生まれながらに平等ではない。

 

 だから努力するのが怖いんだ。もし血の滲むような修練の果てに、己の全てが“才能”という理不尽に捩じ伏せられてしまうのではないかと思うと、途端に足が竦んで動けなくなる。

 

 

「近接格闘術、緊縛術、精密射撃、戦況に於ける観察眼、人心掌握術、偽装工作、作戦立案能力、指揮能力──(よろず)の手段を構築し己の弱点を全て潰せば、貴女の牙は我々(ファースト)にも届き得るでしょう」

 

 

 それなのになぜこの人は()()()()の人間であるはずなのに、まるで()()()()を理解しているかのように天啓を授けてくれるんだろう。

 

 

「誇りなさい。貴女は間違いなく優秀なリコリスです」

 

 

──その言葉に、頭の中の霧が晴れた。

 

 認められた。

 褒められた。

 今までDAの為に身骨を砕くのが当たり前で経験してこなかったその優しい言葉が何よりも嬉しくて、胸の中が満たされる。

 

 DAのリコリスとして任務を果たした時に感じる達成感にも似た快感……私個人の存在意義を認められたような気がして、響奏さんの言葉が心地良い。

 

 

「それではこれにて作戦は終了。本部に戻るとしましょうか、()()

「──はい!」

 

 

──今この時、私の“憧れ”は確かなものとなった。

 

 

 

 

 

 █

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目の前の少女の瞳に憧憬と崇拝の感情(いろ)が宿った事を確認しながら、私自身も彼女にとっての“理想”を取り繕う。

 

 春川フキ──彼女は“模範的なリコリス”だ。

 

 もちろん褒め言葉ではない。盲目的に組織に従う都合のいい(いぬ)であるという意味です。

 

 そしてそんな彼女の胸の奥底に燻っている劣等感も、その人心を把握するのに都合が良い。

 

 実際、彼女自身は優秀なリコリスなのでしょう。

 

 私や千束と言った存在がそもそも例外(イレギュラー)であり、その年でセカンドの証である紺色の制服に袖を通している事からも能力については凡夫の中では頭一つ抜けている。

 

 しかし錦木千束の同期であると言う事実から、下手に優秀であるが故に彼女との隔絶とした差がそのまま無意識な劣等感に現れていた。

 

 なら後は簡単だ。(おだて)て、その存在意義を認めてあげれば此方に傾く。

 

 監視として配属されたリコリスを懐柔することに余り多くのメリットは感じませんが、いつか訪れる千束との訣別をスムーズに進める為にも布石は打てるだけ打っておいた方が良いでしょう。

 

 

 申し訳ありません春川フキ。貴女の純情を利用してしまい。

 

 

──ですが私は、貴女のような“只人”に興味はない。

 

 

 

 

 

 







Q.六年以上一緒に過ごしてきた姉にも近しい人が裏切った時に躊躇なく殺せると思うか。

レズ「……?たきななら殺してくれますよ」



レズちゃんは人の感情やら考え事は把握できるのに肝心の“心”は1ミリも理解できません。
共感性能力皆無のくせに社交性はカンストしてるサイコパスです。




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