ぷるぷる、ぼく悪いメモリだよ   作:裏風都の浮浪者

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CSM風都探偵ドーパントメモリセットにオーロラが無いってことはガイアドライバーrexが来るということでよろしいですね!?(興奮気味)


第7話 悪魔のS/理由のない悪意、ある悪意

翔太郎達に指定された場所を目指し、シズたちは周囲を警戒しつつ歩を進めていく。すずの足取りはかなり軽く、不安を期待が上回っているらしいことがうかがえる。それを見たシズも少しだけ安心した。少なくとも今この瞬間はゲーム病の進行を心配する必要はない。無論その辺りの路地から例の白服でも飛び出してきた瞬間に病状が悪化するだろうから油断はできないが。

 

「……よし、この先にも誰もいないよ。行こう」

「うん」

 

あえて人通りの多いところを歩いて襲撃しにくいようにしようかとも考えたが、そもそも観光バスを丸ごと攫う連中であることに加え、サマーとダブルで対処した5人組も往来で堂々と襲ってきたため、あまり効果は無いと判断して身を潜めながら誰にも見つからないようひっそりと移動することにした。

代わりに人が隠れられる物陰が非常に多く、進行方向だけでなく周囲全体への警戒を密にする必要があるが、自身に搭載されたセンサーのおかげで大した苦も無くこなせている。

 

襲撃に気づく事が出来たのは、そうして全方位の状況を把握し続けていたお蔭だろう。

 

「上から!? すずちゃん、走って!」

 

センサーが頭上に何かが現れつつあることを感知した。飛んできたのではなく、唐突に何もないところから現れるようにセンサーに引っかかったそれを振り返って目視すれば、空中にジッパーのようなものが浮かび、それが開いて何者かが飛び降りてきているところだった。

 

(クラック!? アーマードライダーかオーバーロードか……次から次へと厄介なのが!)

「ああ、みつけましたよ、風鈴(かりん)ちゃん。一緒に帰りましょう」

(やっぱり目的はすずちゃんか!)

 

走るすずの背を庇うように飛びつつ進行方向に誰もいないことを確認する。クラック――別の惑星とすらつながることができる超長距離ゲート――を利用して一人だけ出てきたようだが、それなら何らかの手段でこちらを捕捉してからクラックを開いたはずだ。まさかそこらじゅうに片っ端からクラックを開いて上から見回していったということは無いだろう。

 

(いや、待て。まさか……)

 

一つの可能性に思い至ったシズは内部データに検索を掛ける。あっさりと表示されたことでシズはこの融通の利かない閲覧機能をもう一度恨んだ。

 

「発信機か!」

「ええ。それくらいつけてるに決まってるじゃないですか。まあ、あなたが暴れまわってくれたおかげで設備が今まで使えなかったんですけど」

 

ぼやくように言いながら、地面に降り立ったその存在。その赤い意匠の目立つ鎧武者と西洋騎士を混ぜたような歪な怪物の肩に目線を向けたシズはその相手が想定より厄介な存在であることを把握し、叫びだしたい気分になるが、どうにか堪える。

 

(肩にある2010って数字……2010年って事か。よりによってアナザーライダーかよ、こいつ!)

 

歴史に干渉する目的で未来から送り込まれたオーバーテクノロジーの懐中時計によって生み出される、仮面ライダーの力と歴史をそのまま持った怪人。それがアナザーライダーだ。体のどこかに誕生した瞬間の年号が刻まれており、時を遡る術を持つ者にとってはその数字が討伐の足掛かりになることもある。だがそんなものを持たないシズにとってみれば目の前の武者と騎士の合成体がそういう存在であると示す記号でしかない。

何よりも厄介なのは、アナザーというからには元になる仮面ライダーが存在しており、基本的にそのライダーの力でなければ完全に倒し切ることはできない、という点だ。見た目やクラックを使用したことからしてアーマードライダーと呼ばれる種類の誰かの力を持ったアナザーライダーであることは確定と見ていいだろうが、そうするとこの風都にそれを倒せるものが居ないという事になる。

 

ゴリ押しで倒し切れる魔王一行(ジオウⅡやゲイツリバイブ)が来てくれることを願って逃げ回るしかないか……!)

「風鈴ちゃん、()()()()()()()()

 

無駄な抵抗に終わる可能性の高い変身を命を削らせてまでするべきではない、と判断してそのまま走る速度を上げるようすずに言おうとした時だった。武者騎士の言葉を聞いたすずが、親に叱られた子供のように肩を強張らせながら立ち止まってしまい、背後を飛んでいたシズはぶつからないよう空中で急ブレーキをかけることになる。

 

「なっ……どうしたの!?」

「だ、だって、止まらなきゃ……あれ? なんでそんなこと」

 

すずはそのまま混乱した様子で両手で頭を抱えるようにして完全に立ち止まってしまう。逃げなければならないことは分かっているのに、()()()()()()()()()()()()()()()()()()という使命感めいた何かが頭を支配して逆らえない。

 

「……おまえ、何をした?」

「いえ、単なるお願いですよ? 聞いてくれて嬉しいです、風鈴ちゃん」

「ふざけるな!」

 

シズは武者騎士に向けて体当たりを敢行する。ダメージの一つでも与えればこの妙な状態から脱することができるかもしれない、という理由もあったが、ほとんどは感情に任せた衝動的な行動だった。

 

「いくらなんでもそれでは傷一つ負いませんよ?」

「ぐぁっ!?」

 

あっさりと腕ではじき返されたシズは近くの壁に激突し、跳ね返ってすずの足元に転がる。衝撃でどこかが故障でもしたのか、そのまま動けなくなってしまった。

それを見下ろし、あざ笑うようにわざとゆっくりと歩み寄る武者騎士を睨みつけるが、顔が変わらないことを差し引いても今の状態では威圧効果など欠片も発揮していないだろう。

 

「さあ、帰りますよ、風鈴ちゃん。()()()()()()()()()()()

「やめろ……」

「嫌です、やめません。ああ、あなたも一緒に連れていきますので安心してください」

「安心できるか……!」

「でしょうね」

 

動けなくなったシズを半笑いで適当に拾い上げ、開いた方の手ですずの手をそっと引く――妙に優しい手つきだった――武者騎士の進行方向へ再びクラックが発生する。裂け目から見える向こう側の景色は無骨な白い壁に覆われた部屋のようで、これをくぐったら最後、逃げ出す前の日々に逆戻りすることは容易に想像できた。

 

「やだ……あそこには、帰りたくない」

 

思わず口から出て来るほどの、心からの拒絶。しかしそれでも手足はついて行かなければならないと頭の中でやかましく繰り返す()()の方に従う。

 

(まずい、どんな扱いを受けるかとか、それ以前に……!)

 

その手足に、映像が乱れたときに走るノイズのようなものがオレンジ色に光りながら走っていく。多大なストレスによるゲーム病の急速な進行を表すそれを目にした武者騎士の動きが止まる。

 

「あら? 思ったよりも病状が悪いですね」

「たのむ、まってくれ……その娘が……消えてしまう」

「ええ、仕方ありませんね。予定より早いですが、()()()()()()()()()()を実験に使いましょう」

 

その言葉を聞いた瞬間、何かがシズの中から湧き上がってきた。

形容しがたいドロドロとしたどす黒いそれらがシズの感情を吸い上げて形を得ていく。

 

「おまえら……どこまで……!」

 

怒、暗、怨、恨、戦、滅、痛、亡、死、悪――――どこからともなく自身の思考領域を埋め尽くす勢いで湧いて来る赤黒い文字……それが何なのか知っている彼は、平時であれば全力で抑え込もうとしたであろうそれを、それこそが自分の意思であるとばかりに束ねていく。皮肉にも病状が進行したことによってバグスターとしての力が増したようで、溢れ出すそれらが実体を持った力として全身に満ちていく。

この力ですずを守ることはできない。すずが消えてしまう……つまり自身が完全体のバグスターとなる事で完成する力だと感覚で理解できる。

ならば、この力が完成したならその時は。

 

「絶対に、おまえら全員、滅ぼして……!」

 

復讐の誓い。溢れ出す”悪意”は最早自分の意思では止められない。

 

故に、それを留めたのは外的な要因であった。

 

 

 

「”星原 風鈴、アナザーセイヴァーによる精神支配から脱する”」

「!?」

「っ! あああああ!」

 

何かを読み上げる声が響いたと思えば、それまで手を引かれるままゆっくり歩を進めるだけだったすずの体が本人の心に従って、弾かれるようにクラックとは逆方向へ駆け出した。

 

「すずちゃん!」

 

同様に、壊れていたはずが動けるようになったシズも弾かれるように飛び上がり、すずを追いかける。当然、武者騎士も彼らを捕えようとするが、その足元に黒と緑の槍が突き刺さり行く手をふさぐ。

 

「この本によれば、シーズンメモリに搭載された名もなきバグスター……彼には使用者を消滅させ完全体に到り、人類の敵となる未来が待っていた」

 

声に振り返った武者騎士の視界に入ったのは白とグレーのコートにベレー帽の一人の男。彼の両手には一冊の本と、ノートのような形の端末がそれぞれ乗っている。

ノートの方には先ほど読み上げた一文”星原 風鈴、アナザーセイヴァーによる精神支配から脱する”が書き込まれていた。

 

「ふん。救いようのない駄作だな」

 

鼻を鳴らして本の方を投げ捨て、ノートを懐に仕舞うと、代わりに武者騎士に向かって投げた槍と同じカラーリングの機械を取り出して腰に装着する。

その手には四角い枠がはまった懐中時計のような機械。竜頭に当たる部分を押し込むと派手な効果音が鳴り響いた。

 

『ウォズ!』

 

懐中時計を腰の機械(ベルト)にセット、もう一度竜頭を押し込むと四角い前面が門のように開き、軽快な音楽と共にダンスフロアのようなレーザー光が縦横無尽に駆け巡る。

 

『アクション!』

「変身」

 

懐中時計がセットされたパーツを90度左に稼働させると、ベルトの中央に懐中時計の光が集約され、一つの像を結んでいく。

 

『投影!』

 

そして男の姿が変貌する。緑で縁取られた銀色のボディスーツが形成され、時計の針が角のようにV字型に取り付けられたヘルメットの中央へと、空中で生成された青い文字が殺到する。

 

『スゴイ! ジダイ! ミライ! 仮面ライダーウォズ! ウォズ!』

 

ダブルの変身を見た者からすればかなり騒がしい音声と共に、顔面に”ライダー”と青く刻まれた銀と緑の超人、仮面ライダーウォズが武者騎士、アナザーセイヴァーの前に立ちふさがった。

 

「本来の歴史にアークバグスターは存在しない。そもそもアーク自体が、()()()()後の世界の概念……君たちが余計なことをしたと見るが?」

「なるほど、未来から来た仮面ライダー……ですか。あなたは」

「いかにも。魔王の手助けは本意ではないが……今回は特別だ。それに、まがい物の救世主(セイヴァー)など、存在自体が許しがたい」

 

ウォズが手振りで呼び寄せると、アナザーセイヴァーの足元に突き刺さっていた槍が彼の手元へと舞い戻る。対するアナザーセイヴァーは幅の広い赤の刀と両側に刃のついた黒い弓を構える。

数秒のにらみ合いの後、両者のぶつかり合いが幕を開けた。




見るたびに思いますけど刀と弓(近接武器)の二刀流ってすごい絵面ですよね 
でもかっこいいのでヨシ!
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