クエスト「20人で助け合い、崩壊したセカイを救え」 作:夜桜家の壁
vivid streetはいつものように活気付いて、音楽や人々の声が聞こえてくる。近くの公園を見てみれば「こらー!まてまて〜!」と子供達と交流している杏を見つけた。
「何してんの?」
「あれ、雷夜じゃん。今は……なんだろう?追いかけっこ……してた!!」
「ほーん……こはねは?」
「そこの本屋しばらくイベント事ないから彰人達の事に首突っ込もうとしてるんだよ。確か、仲直りの仕方の本とか喧嘩の仲裁の仕方みたいな本探してんの」
「こはねってすごい優しい子だな。弟のために……ってちょっと待って、本買おうとしてんの?嬉しいけど流石にお金使わせる訳にはいかないから止めてくる」
「ぇ、ちょっと待ってよ」
なんていい子なんだと思っていたから、反応が遅れたが、本買わせるのは申し訳ない。せめてちゃんと理由とか意思の確認しなければ。
この本屋はそんなに広いお店ではないものの、2階部分のあるお店で人を探すのには向いていない。それでも棚ごとにジャンルは決まっているので、心理に関係するエリアを探すことが出来れば、こはねを見つけられるだろう。
そして少し見て思ったことが口から漏れる。
「心理系って結局なんのジャンル?」
そう心理とは言ったがわざわざ心理というジャンルがあるのだろうか。もしかしたらあるのかもしれない。けれど普段見るようなもの、知ってるジャンルはコミック、ライトノベル、資格関連の書物、雑誌、このようなものだ。探すのは無謀だと。それに気づいてしまってこはねを探す足が止まった。
「おーい、雷夜?聞こえてないのかな」
「なに?」
「あっ聞こえてた。こはね今二階だって多分わかるからついてきて」
杏がスマホの画面を見せてきた。それは世間一般的に使われる連絡手段のアプリであった。
確かにスマホで連絡を取るのが1番手っ取り早いだろう。なんだかんだでこはねの連絡先を待っていなかったので抜けていた。
杏について階段を登って二階、登った先の突き当たりにこはねの姿を確認することができた。
「あ、雷夜さん。こんにちは」
「こんにちは、杏から聞いたんだけど彰人達のためになにか本買おうとしてる?」
「えっと、1冊だけ……」
「その優しさはとっっても嬉しいし、否定したくはないんだけど、わざわざお金をかけさせるのは申し訳ないのね。他に理由があったりとかで買うなら止めないけど、あの2人の為だとしたら買わなくていいんだよ」
「えっと、確かにあのふたりのためかも知れない。けど、やっぱり仲良くしてて欲しいし、冬弥くんがなんだか辛そうというか、我慢してそう?そんな気がして、何かしてあげたいなって」
「自分の趣味にお金使えてる?」
「確かに、こはねの趣味って何かある?もちろん音楽以外でね」
「それなら私の趣味はへびのお世話かな」
「へ、ヘビ?」
「私のお父さんがヘビ飼ってるんだよ。だからそのお世話するのが好きなんだ。だからそんなにお金使う趣味じゃない……というか、お世話の道具とかはお父さんが買ってるから」
「へ、へぇそうなんだ。なかなか珍しい趣味だね。そうか、すごいお金使う訳でもないのか……」
そういえば趣味ヘビのお世話だったな。そうなると説得するのは厳しいか。それならサブプランだ。
「ちなみに買おうとしてる本っていくらぐらいする?」
「そんなに高くないよ?1240円だって」
「あーまぁそのくらいの値段で喧嘩の仲裁が上手くなるなら買ってもいいかも」
「そうだよね、私いい本見つけたと思わない」
「うん、いい本見つけたねこはね。私が褒めてあげる」
「えへへ」
「聞くだけ無駄だと思うけど、買って後悔はしない?」
「うん、多分しばらくは使えると思うから、後悔はしないよ」
「わかった。それじゃあ少しだけ出してあげよう。500円あげるから少し足しにしな」
「わかった、今手元に小銭これしかないから少ないけど、300円だけ出すよ」
「え、ふたりともいらないよ!?この本は自分のためになるから買ってるんだし」
「いいのいいの、せっかくのライバルがいなくなっても面白くないもんね」
「その本が弟達にいい結果に繋がるなら兄として、出すべきだと俺は思ってるからさ。けど、今度冬弥の本音を聞こうとしてるんだけど、その時手伝ってね」
「あっ、雷夜買収してる〜」
「買収って酷い言いようだね、せめて取引って言ってよ」
「取引も酷いんじゃないかな……」
こはねに500円玉と300円を握らせて、こはねには結局協力をお願いしてきた。どうせ杏も一緒についてくるだろうし、あとは謙さんだけかな。
しばらくは高ペース……だといいな。