コミュ力おばけと幼馴染(♀)がイチャコラするだけの話   作:百合好きの獣

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間に合ったッ!!!!!!

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イベントクエスト:St. Valentine's Day

 

 

 

 2月14日。

 何かと祭事に事欠かない日本であるが、この日も例によって特別な日である。

 

 バレンタインデー。

 一般的に、恋人の日とされており、日本独自の風習ではあるが、女性が思いを寄せる男性にチョコレートを渡すというイベントが発生する。

 

 そも、バレンタインデーとは、キリスト教における聖人歴――聖人の命日を記念した、聖人祝日が由来とされている――の中で、2月14日が命日となった聖ウァレンティヌスを悼む日の事である。

 この聖ウァレンティヌスという人物は諸説あるが――長くなるし複雑で面倒くさいのでざっくりとだけ説明をすると、結婚を禁止した過去のローマ皇帝に隠れこっそりと恋人たちの結婚式を執り行い、それにプッツンきた皇帝が、いきなり処刑してしまうのはよろしくないと改宗を命じたものの、それに抵抗し「愛」を説き続けた為、処刑されてしまったというキリスト教における聖人の一人である。

 聖ウァレンテイヌスは上記の出来事から恋人たちの守護聖人と崇敬されており、その後も歴史の中で様々な出来事を経て、命日である2月14日が今では恋人たちの祝日という形に落ち着いた。詳しく知りたければ、『バレンタインデー 由来』などで調べるといくらでも情報が出てくる。ただし複雑かつ諸説あるため、調べる時は覚悟されたし。

 

 さて。

 そんな2月14日であるが、他宗教国家である日本ではカップルを祝う日であると共に、チョコレートを用いて愛を伝える日にもなっている。

 何故チョコレートなのかは、菓子メーカーの広告宣伝が勇気が欲しい女性にポジティブに受け入れられ、定着したというのが有力な説とされているのだが。

 そこに何を思ったか義理チョコだの友チョコだのという概念も生えてきた。

 

 義理チョコについてはまだ理解が出来る。ようは女性にとって本番前のリハーサルにもなるのだ。男性も、貰えたという結果を受け取れるメリットがある。

 しかし友チョコはちょっとわからない。友愛という意味での愛を伝えると思えば解釈もできるが……。

 何? 友チョコと見せかけた本命チョコ? なるほど……?

 

 閑話休題。

 

 というわけで。女子にとっても男子にとっても。この日はちょっとそわそわする一日となっていた。

 

 そんな日の朝。天白の自室(With櫛田)では。

 

「……ん。桔梗ちゃん、準備できた?」

「おっけー! よいしょっと。毎年の事だけど、これだけあるとさすがに重いや」

 

 どっさりと山となったチョコレートの数々を、スクールバックとは別の大きなカバンに詰め込み終わった櫛田が、汗をぬぐうようなしぐさをしながら笑みを見せた。

 櫛田にとって、バレンタインとその前日は戦日である。

 フレンズがべらぼうに多い上に、その全てに義理チョコを配らなければならないのだ。そこに友チョコ分も含めると、その数はまさしく山の様。

 経済的にも結構な出費となっているが、フレンズ造りは櫛田の趣味のようなものなのでこなさねばならない。

 購入した大量の板チョコを湯煎し、型どって大量生産したものが殆どとはいえ、数がかさめば持ち運ぶのも一苦労だ。

 天白も同じチョコレートが詰まったカバンを持っているが、これも櫛田が配る用である。正しくは、櫛田・天白連名での義理チョコ達であった。

 

 というわけで。彼女達のチョコレート配布活動が始まった。

 

 

 

◇ CASE1 堀北鈴音

 

 

 

 最初のターゲットは堀北だ。

 寮から校舎までの距離は長くはないのだが、天白と櫛田はほぼ同棲しているため常に一緒であり、その親友たち――堀北、坂柳、一之瀬も「せっかくだから」と用事が無い限りは一緒に登校している。

 高度育成高等学校はクラス間で競い合うような仕組みであるため、上級生ともなると別クラスの友人というのは珍しい存在なのだが、一年生に関しては今更である事と、この5人は仲が良い事が周知されているため毎朝一緒に登校している姿も今や日常の一コマとなっている。

 この5人だけでなく、堀北のクラスメートである佐倉や軽井沢、Cクラスから椎名なども合流することがあり、完成された美少女集団を目撃したものは「尊ッ!」と尊みアナフィキラシーショックを発症する。

 

 彼女たちは寮のロビーで待ち合わせをするのだが、大抵の場合一番先に居るのは堀北である。

 

「……鈴音ちゃん、おはよう」

「おはよー!」

「ええ、おはよう。二人とも」

 

 短い待ち時間でも読書をしていた堀北は、読んでいた本から顔を上げると十人中十人が見とれるような可憐な笑みを見せた。

 この堀北、先の『堀北プロポーズテロ事件』から、現在夢と希望に満ち満ちた幸せ真っ最中であり、密かに脳を焼かれる被害者が増加させている。

 元々文句なしの美少女である櫛田をして「自分より上」と言わせしめた堀北だ。そんな彼女が朗らかな笑みを見せていれば、そうなってしまうのもさもありなん。水面下ではファンクラブも結成されているとかなんとか。

 

「はい、鈴音! ハッピーバレンタイン!」

「……ハッピーバレンタイン。鈴音ちゃん」

 

 櫛田と天白は、それぞれスクールバックから綺麗に包装されたチョコレートを堀北へと手渡した。

 友チョコ(親友エディション)である。

 それを受け取った堀北がとても嬉しそうに顔を綻ばせ、偶然視界に入った登校途中の生徒の脳を焼いた。

 

「ありがとう……毎年貰ってるけれど、何度もらっても嬉しいものね……」

 

 頬を僅かに朱染めした為、キルスコアがさらに増えた。

 

「じゃあ、私からも。百合、桔梗、ハッピーバレンタイン」

 

 お返しと、堀北もカバンから豪奢な包装のチョコレートを二つ取り出――ちょっと待て豪華過ぎねえ?

 黒地に金刺繍。手触りの良い包装用紙の外観だけでも「私、高級チョコレートです!」と存在感が発されている。

 そのブランドを知っている櫛田は恐れ戦いた。

 

「え、こ、これ……すっごい高いチョコレートじゃん……」

「ええ。私は二人と違って手作りが出来ないから……。少しでも感謝の気持ちを伝えたかったのよ」

「……ありがと、鈴音ちゃん。大事に食べるね」

 

 一つ数万円もするチョコレートなので重力磁場が発生しそうであるが、気持ち自体は嬉しい為天白は素直に受け取り、櫛田は今度またコミュ力研修をしてあげようと思った。

 

 

 

◇CASE2 坂柳有栖

 

 

 

 次のターゲットは坂柳だ。

 日々のトレーニングや天白の献身的なサポートおよびケアによって、坂柳は当初の予定よりもずいぶん早く杖の補助を必要としなくなっており、しっかりとした足取りで天白達に合流した。

 

「すみません、お待たせしましたか?」

「……だいじょぶ。わたしたちもついさっき来たところ」

 

 これで美少女が四人揃った。

 慣れた者は「良いものを見れた」と満足気な表情をしており、慣れない者はkawaiiに脳を焼かれ始める。

 

 ほわっと笑顔になった坂柳に、天白もニコニコとしながらスクールバックから堀北に渡したのと同じ包装の――中身は健康に気を使ってカカオ含有量の多いチョコレート――ものを差し出した。

 

「……え?」

「…………????」

 

 そしたらなぜか坂柳が固まった。

 どうした?

 

「ゆ、百合さん……これは……」

「……ん? チョコレート。バレンタインだから」

「あ! 私からも! はい、ハッピーバレンタイン!」

「!?」

「私のも受け取って頂戴。手作りではないけれど、気持ちは込めたつもりよ」

「!?!?」

 

 坂柳がなぜか大混乱している。

 

「そ、そんな……気持ちはとても嬉しいのですが、三人からだなんて……こ、困ります……。せめて卒業後に……で、でも……」

 

 さて、坂柳有栖という少女はいわゆる箱入りのお嬢様であり、また中学生までは身体が不自由だった事もあり交友関係というのがとても狭かった。

 彼女は非常に聡明であり、また自身の天才性について自負も抱いていた為、なおさら仲の良い友人というものには恵まれず、友人同士のイベントというのにとんと疎かった。

 

 なので。

 

 今現在坂柳の中では、『バレンタインデーでチョコを渡す=交際を申し込む』となっており、そこに【友チョコ】という概念は無い。

 ついでに言えば、天白櫛田はクラスメート女子たちと共謀して前々からチョコレートの用意をしていたのだが、当時坂柳は忙しくしていたため共済金の出資だけをしており全貌は知らない。それも男子たちに渡す用の義理チョコであるということくらいしか把握しておらず、女子同士でチョコを渡すとは夢にも思っていなかった。

 つまり、今坂柳視点では、親友三人から同時に交際を申し込まれている状況となっている。

 そうはならんやろ。

 

 しかし実際坂柳の中ではそうなっているのである。

 気持ちは嬉しい。同性同士の交際というのも別に忌避感は無い。そして恋愛観が未発達な坂柳は相手が親友であるこの三人の誰かから告白されたのなら、交際するのも真剣に検討するだろう。特に恩人という事もあって好感度ランキング最上位の天白からであればその場で頷いてしまうかもしれない。

 だけど今はなんと三人から同時に交際を申し込まれてしまったのだ。

 これには知将坂柳といえど混乱も必至である。

 

(なぜいきなりこんな……。ま、まさかモテ期というやつでしょうか!?)

 

 違う。

 

(そんな……こんなの、選ぶ事なんて……!)

 

 重ねて言うが、勘違いである。

 

 そうして坂柳は、勘違いしたまま――

 

「そ、そのっ……い、今は学業に専念したいといいますか、返事はほりゅ――「……有栖ちゃん」……え?」

 

 ちょいちょい、と何かを察した天白が手招きをするので、顔を寄せた坂柳に対して彼女は真実を告げた。

 

「……友チョコって、知ってる?」

 

 坂柳は顔を真っ赤にして小さくなった。かわいいね。

 

 

 

◇CASE3 クラスメート

 

 

 

 赤っ恥をかいた坂柳を生暖かい表情で慰めつつ、校舎までたどり着いた一行。一之瀬はBクラス女子連合によるチョコ配布会があるということで合流はしておらず、堀北は靴を履き替えている最中に下駄箱からチョコが転がり落ちてきた為、差出人を探すために分かれた。直接渡すのは恥ずかしいから下駄箱に入れたのだと思うのだが、人の心はないんか?

 

「みんな! おはよ!!」

 

 がらりとドアを開き、元気の良い挨拶をしながら入室をすると、女子はワッと色めきたって天白達に集り、男子はぴくっと反応をしながら様子を窺い始めた。分かりやすい奴らめ。

 

「桔梗ちゃん! おはよ~」

「みんな準備出来てるよ」

「うん。男子たちなんかもうそわそわしちゃって。見ててちょっと面白かった」

 

 男子がさらに反応した。天白が視線を投げると、さっと顔を逸らしている。橋本のようなモテる側の陽の人や、リーダーである葛城は平然としながら苦笑を浮かべているが、鬼頭等の寡黙なタイプですらちょっと期待するような様子なのは確かに面白い。

 

 朝のSHRまで時間もあまりないので、櫛田を先頭に、女子全員が教壇前に並んで声を張った。

 

「みんな! わたしたちAクラス女子からバレンタインチョコ! 一人一個ずつ持って行ってね!」

 

 瞬間、沸き立つ、オーディエンス(男子生徒)

 

「うおおおおお!」

「ッしゃあ!」

「信じてた! 信じてたよ櫛田さん!」

「中学時代勉強漬けだった俺でも……ついにチョコをもらえるんだ……!」

「Aクラスで良かったー!」

 

 大騒ぎである。

 一部を除き男子連中がお祭り騒ぎになっており収拾がつかないので、代表して葛城が最初にチョコを受け取りにきた。

 

「すまないな、櫛田。それと他の女子も。わざわざみんなで用意してくれたんだろう?」

 

 苦笑しながらも礼を言えば、「そうだよ~」「ホワイトデーは期待してるからね!」とAクラス女子連盟から口々に言葉が飛び、葛城はホワイトデーにも同様に男子から共同出資をするか……などと考えながら机の上からチョコを一つ受け取って席へ戻ろうし――

 

「あ、待って葛城くん!」

「……葛城くんには、代表として前に出てもらうことも多いから。わたしと、桔梗ちゃんと、有栖ちゃんの三人からもう一つ別にある」

 

 三人連名での義理とはいえ、特別なチョコを受け取ってしまった葛城は「怨ッ!」というオーラを浴びせかけられ逃走した。

 橋本は終始腹を抱えて笑っていたが、櫛田から別でチョコを渡されてしまった為同じく逃走を試みた。

 なお、SHRが始まる前には流石に戻ってきたので、1限目が始まるまで数名の男子生徒から囲まれ無言で見つめられ続けるという責め苦を二人は味わっていた。

 

 

 

 

 

 

 その後、一日かけてすべてのフレンズにチョコを配り終えた二人は、すっかり荷物も軽く――はなっていなかった。

 

 友チョコとは、友人に渡すものであり、当然テイクがあればギブもある。

 男子に配った義理チョコは完売したものの、女子に配った友チョコは差し引きでほぼトントン。櫛田宛だけでなく、天白宛ての物もあるので。

 半分以下とはいえ、それでも小山のようなチョコレートが天白の部屋のダイニングテーブルに積まれていた。

 

「毎年のことだけど、これからしばらくはおやつに困らないね」

「……うん。毎日ちょっとずつ、崩していこ」

 

 幸いな事に、もらった友チョコは多くがロカボチョコ。カロリー控えめなものであり、食べ過ぎなければどうということは無い。

 天白は早速適当な包みを開け、小さなチョコをぱくりと頬張った。

 なお、堀北からもらった超高級チョコレートは流石にすぐにあける勇気が出ないので冷蔵庫に大事にしまい込んである。

 

 さて。

 

 チョコレートは健康に良いとされているのをご存じだろうか。

 

 チョコレートの主材料であるカカオ豆にはカカオポリフェノールという成分が豊富に含まれており、これにより動脈硬化や高血圧などの生活習慣病に有効であるという報告が多数上がっている。

 また、チョコレートに含まれるテオブロミンという成分には毛細血管を広げ血流を良くするという働きがあり、健康や疲労回復に期待が出来るという。

 そのほか、ダイエットや肌悩みなど、含まれている成分によって改善が期待出来るので、健康に良いとされているのだ。

 

 良いのは身体にだけではない。

 先のテオブロミンやポリフェノール等の作用で、ストレスを軽減しリラックスが出来るとも言われている。

 

 無論、適量を摂取すればという前提ではあるが、このようにチョコレートは様々な効果が期待できるため、一日に20~25gを数回に分けて毎日摂取する事が望ましい。

 注意点としては、食べ過ぎないということと、普通のチョコレートはカカオ含有量が少ないため、効果的に健康や美容に気を遣うのであれば70%以上含まれているハイカカオチョコレートをチョイスするといいだろう。

 

「……はい、あ~ん」

「あ~ん♡」

 

 チョコレートについて説明をしている内にバカップル(カップルに非ず)がイチャイチャし始めた。

 天白が摘まんだチョコレートを、櫛田が指ごと咥え、おいしそうにもぐもぐと表情を綻ばせている。良い。

 そして櫛田の口から指を抜いた天白が、そのまま自身の口へと持っていき――おや? 流れが変わったな。

 

「……ちゅ。んむ」

「ゆ、百合……恥ずかしいよ……」

 

 ……チョコレートには、フェニルアチルアミンという成分も含まれている。

 こいつはなんなのかというと、フェニルアチルアミンはドーパミンの発生を促進する効果がある成分であり、そのドーパミンは快楽や意欲につながる脳内物質だ。

 

 つまり――

 

 天白は櫛田の隣に腰を下ろし、しなだれかかるように体重を預けながらチョコレートを摘まみ、櫛田の口元へと近づけ――

 

「……もっと、食べさせてあげる、ね?♡」

「……ごくり」

 

 チョコレートにはこんな別名がある。

 

 恋の媚薬、と。

 




聖ウァレンティヌスやらチョコレート効果は所詮ネットの聞き齧りなので話半分に思ってくだせい。
だから許して有識者の方々……優しく指摘して……

・橋本へのチョコ
主に上級生へのパイプが太く優秀な為幹部女性陣3名からの連名義理チョコ。義理だろうと明らかに他のチョコと違うのでクラスの怨嗟を浴びた。

・Aクラス女性陣
あの神室が出資だけとはいえチョコ買って渡してるんだよ?可愛くない???

・一之瀬
普通に友チョコ交換した。おまけで天白からハグも受けた。白波は食いしばりスキルを発動した。

・他のネームド男性陣
Aクラス男子と同じようなチョコを配った。綾小路は感動し、博士は卒倒しかけた。三馬鹿はあからさまな義理だが大はしゃぎであった

次の日常回何やる問題

  • 堀北、坂柳、椎名のビブリオガールズトーク
  • 堀北(兄)、南雲の漢祭り
  • きよぽんグループ(外村平田)のオタトーク
  • 漢葛城、その苦悩
  • 幼馴染と部屋でイチャイチャするだけ
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