日本一ソフトウェア発売の「夜、灯す」という百合ホラーゲームの二次創作です。
本編を遊ばれてない方はネタバレ注意

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これまでと、これからと

「起きて有華ちゃん!皆との約束に送れちゃうよ」

「うーん…」

「今日はみんなとプールに行くって約束だったでしょ。早く起きて支度しなきゃ」

「そう…そうだったわね…すぐ起きて…準備するわ…」

 

そういいながら起き上がるも、有華ちゃんの目は半分も開いてない

朝に弱いのはお寺に住むようになってからも変わらないらしい

 

「起きたのかい?」

「おばあちゃん!起きた…のかな?一応…」

 

それを聞いたおばあちゃんが、有華ちゃんのほうを見てあきれたように息を吐く

 

「全くこの子は…約束があるんだろ。早くしないとまずいんじゃないか?」

「ほんとだよー。待ち合わせに遅れたら大変!有華ちゃん、手伝ってあげるからいそごう!」

「片づけはやっといてあげるから、早く支度して出発しなよ」

「ありがとうおばあちゃん!ほら有華ちゃん、急いで急いで」

「え、えぇ…急がないと待ち合わせに遅れてしまうものね…急がないと…ぐぅ…」

「有華ちゃん!?寝ちゃだめだよ!?」

 

そんなこんなで半分寝てる有華ちゃんを手伝いながら、こんな有華ちゃんも手がかかる妹みたいでかわいいなぁなんて思ったり

本人には絶対言えないけどね!

 

「いってきます、おばあ様」

「いってくるね!おばあちゃん!」

「はいはい、いってらっしゃい。怪我には気を付けて遊ぶんだよ」

「はーい!私たちが留守の間にピザ頼んで食べたりしちゃだめだからね!」

 

---

 

「二人とも遅いぞー!早くプール行こうぜ」

 

結局有華ちゃんの手伝いをしながらワタワタしている内に待ち合わせぎりぎりになってしまった

すっかり覚醒して何時ものきりっとした有華ちゃんに対して私のほうはもうぐったり

 

「気が早いわよ、累。鈴ちゃん、お疲れ様」

 

麗子ちゃんは私の苦労を見透かしてか、ねぎらいの言葉をかけてくれる

 

「ありがとう麗子ちゃん」

 

「おはよう鈴ちゃん 有華様。これでみんな揃ったね」

「だな、待ちわびたし。夏といえばプール!はしゃぎまくるぞー!」

 

「「「おー!」」」

 

「だからみんな気が早いってば。まずはプールに向かうところからでしょー?みんな揃ったんだから出発しましょう」

 

---

 

いろんなことがあって夏休み前半はなかなか遊べなかったから、こうやって練習の合間を縫ってやっとみんなで遊べるのはすごく嬉しい

それに…今年はいままでよりもうんと楽しい夏休みになりそう

私はそう思いながら有華ちゃんのほうを見てにっと笑った

 

「?」

 

有華ちゃんは不思議そうにしながらも優しいほほえみを返してくれる

 

「プール楽しみだね有華ちゃん!」

「そうね、私プール初めてなの。どんな感じなのかしら…」

「有華様はプール初めてなんですね、でも大丈夫ですよ。私がお着換えからなにから手伝って差し上げますから。念願の有華様と鈴ちゃんの水着…!はぁ…早くプール着かないかなぁ…」

「こら、いつでもどこでもトリップしないのー。累も窓から身を乗り出そうとしない、危ないでしょー」

「とはいっても待ちきれないし!バスのおっちゃん!もっと早く運転してくれよー」

「ははは、今日も元気だねー累ちゃん。焦らなくてももうすぐ着くからちゃんと座っておいてね」

 

---

 

「プールだー!ひゃっほー!」

「危ないから走っちゃだめよー!って行っちゃった…。心配だからみてくるわね、みんなはゆっくり来てくれて大丈夫だからー」

「はーい」

 

私は一足先に着替えを終えて真弥ちゃんと有華ちゃんを待ってる状況だ

二人の着替えもそろそろ終わると思うけど…

 

「お待たせ。水着…初めて着るんだけど…変じゃない?」

「うん!すっごくかわいいよ!こうしてみると有華ちゃんってホントスタイル良いよねー」

 

スタイルの良さもさることながら、真っ白なお肌にすらっと伸びる手足…

これは…真弥ちゃんじゃないけど、写真に収めたくなるような美しさだ

 

「あんまり見られると恥ずかしいわ…」

「ごめんごめんつい…あれ?そういえば真弥ちゃんは?」

 

真弥ちゃんこそこういうとき一番食いつきそうなものなのに

 

「ここにきて水着が恥ずかしくなったんですって。ほら、あそこ」

「んー?」

 

よく見ると更衣室の出口付近で、身を隠しながらこちらをちらちら見ている真弥ちゃんが

 

「おーい真弥ちゃーん、こっちおいでよー。みんな水着なんだし恥ずかしいことないってー」

 

「よく考えたら麗子ちゃんも累ちゃんも有華様も鈴ちゃんもみんなスタイルいいし…そんな中に私が並ぶのってうぅ…。もっとちゃんと運動しとけば良かった…」

 

「ほんと大丈夫だってー。こっち来て遊ぼうよ!水が気持ちよさそうだよー」

 

真弥ちゃんはなかなかこっちへ来るそぶりを見せない

いままでにもプールの授業で一緒に泳いだりしてるんだしそんなに恥ずかしがることないのに

 

「私が連れてくるわ」

「大丈夫?」

「ええ、任せておいて」

 

自信満々にそういうと、有華ちゃんは真弥ちゃんのところにずんずん歩いて行って…

そのまま手を引いて半ば無理やり連れてきてくれた

 

「ひどいですよ有華様ぁ、無理やり引っ張ってくるだなんて…」

「はやくプールで遊びたいんだもの、仕方ないでしょう?」

「あはは…」

 

何はともあれみんな揃ったし

 

「遊ぶぞー!」

「「おー!」」

 

---

 

「きゃっ、冷たい…」

「有華ちゃん、早くおいでよー」

「大丈夫ですよ有華様、すぐに慣れますって」

「そうよね…えいっ …冷たい!けど、気持ちいい…」

「やっぱ暑い夏はプールに限るよねー」

「そういえば、有華様って泳げるんですか?」

「今まで泳いだことないんだもの。当然、泳げないわ」

「あはは…」

 

キメ顔でいうことじゃないと思うけど…そうだ!

 

「手伝ってあげるから、泳ぎの練習しようよ!」

「うん、いいと思う!」

「二人とも…そんな…」

「いいからいいからっ。ほら、まずはバタ足の練習ー」

「きゃあっ!分かった…分かったから自分のペースでやらせて!溺れちゃう!」

 

---

 

「だいぶ上手になったねーバタ足!」

「バタ足してる有華様も美しかったです!」

「ありがとう…?」

 

「おーい!」

「あれ?累ちゃん、どうしたの?」

「あっちにウォータースライダーあるんだよ、皆で乗るし!」

「ウォータースライダー!いいねぇ!」

「ウォータースライダー?」

 

有華ちゃんが不思議そうに聞き返す

プールに来たことないんだし、そりゃわからないか

 

「見てみりゃわかるって。先行ってるよー!」

「累ちゃん!走ったら危ないよ!行っちゃった…」

「累ちゃん、いつにもまして元気だね…」

「ウォータースライダー…気になるわ。二人とも!早く行きましょう」

 

(有華ちゃんもいつもより元気だ…)

(はしゃいでる有華様もかわいい♡)

 

---

 

「来たわねー三人ともー」

 

キャー!バッシャーン…

 

「あれがウォータースライダー…」

「上から流れ落ちるスリルがたまんないんだよなー」

「でもあれって五人じゃ乗れないよね?どうする?」

「最大二人までらしいわー。ここはチーム分けしたほうがよさそうねー」

「ここはグーチョキパーで分かれよう」

「なんでもいいから早くやろうぜ!見つけた瞬間から乗りたくてワクワクしてんだ!」

「あはは…」

「それじゃあいくわよー。グーチョキパーで」

 

「「「ほい!」」」

 

「有華ちゃんと、か。悲鳴聴かれるのちょっと恥ずかしいな…」

「鈴が私の悲鳴を今までに何回聞いてると思ってるの。これくらいじゃチャラにはならないわ」

 

「麗、はやく行こうぜ!待ちきれないし!」

「はいはい、そんなに慌てないのー。転んだりしたら危ないでしょー?」

 

「うぅ…鈴ちゃんや有華様とペアどころか、誰ともペアになれないなんて…。でも、鈴ちゃんと有華様が一緒に滑るのを見られるなら…。カメラ、用意しとかないと!」

 

---

 

「ひゃーっほー!」

「きゃー!」

 

バッシャーン!

 

「ぷはっ。やっぱ楽しいなー!なあ、もっかい行こうぜ!」

「行くならほかの三人が滑ってからにしなさい」

「ちぇー」

 

 

「有華ちゃん、大丈夫?」

 

いざ上に来てみると意外と高さがあってちょっと怖い

有華ちゃんも思っていることは同じらしく、少し体が震えてる

 

「え、えぇ。で、でもちょっとだけ…心の準備をさせてちょうだい」

「そんなことしてたら後ろつっかえちゃうでしょ。ほら、いくよ!」

「ちょ、ちょっと待ってまだ心の準備が!」

「えいっ」

 

「キャー!」

「わー!」

 

バッシャーン!

 

「ぷはっ。ひどいじゃない鈴!心臓、止まるかと思ったわよ!」

「ごめんごめん…。でも、楽しかったでしょ?」

「それは…そうね。今すぐ二周目に行きたいくらいには」

 

「それならっ!私と一緒に滑りませんか…?」

 

真弥ちゃんがおずおずと有華ちゃんを見ながら言う

確かに怖がりな真弥ちゃんのことだし、一人じゃ心もとないだろう

でも…

 

「私はいいのだけど…。いいのかしら、私だけ二回も滑っちゃって」

 

有華ちゃんが遠慮がちに累ちゃんのほうを見る

 

「いいんじゃねーの?真弥っちもいっしょがいいって言ってんだし。一回しか滑っちゃダメなんてルール無いしさ」

「…ありがとう」

「別にお礼を言われるようなことじゃねーだろ。いいからさっさと滑って来いし!」

「じゃあ、行ってくるわね」

 

「いってらっしゃーい」

 

意外…累ちゃんも二周目行きたがってたからずるいとか言いそうだと思ってたのに…

なんて言ったら怒られちゃうよね

 

「意外ね、あなたも二周目行きたかったんでしょう?有華ちゃんだけずるいとか言いそうなものなのに」

 

私が思いつつも言わなかったことを麗子ちゃんがさらりと言ってのける

 

「うちはそんなに子供じゃねーし!第一、あんな楽しそうな顔見て誰が止められんだよ」

「確かに、すっごく楽しそうだったよね!あの顔だけでもここに来れてよかったって思えるくらい」

「それもそうねー。あら、もうこんな時間?いい時間だし、あの二人が下りてきたらお昼ご飯にしましょうか」

 

「「さんせー!」」

 

 

 

「有華様、待ってください!私まだ心の準備が…」

「そんなこといって、後ろがつかえたら困るでしょう?ほら、行くわよ!」

「ちょ、ちょっとまっ」

「それっ!」

 

「「キャー!!!」」

 

バッシャーン!

 

「ぷはっ」

「凄い水しぶきだねー。有華ちゃん、もうお昼だからご飯食べよっか!」

「もうそんな時間なの!?楽しい時間はあっという間ね…」

 

そういうと有華ちゃんはシュンとした顔になる

そんな顔見せられたらこっちまで悲しくなっちゃうよ…

 

「そんな悲しい顔しないで!ご飯食べたらまたあそぼ!」

 

 

「おーい、真弥っちー!早く上がって来いよー!昼飯食べようぜー!」

「真弥ちゃん、顔だけ出して何やってるのかしら…。まさか?」

「真弥ちゃーん、早く出ておいでよー!みんなでお昼たべよー?」

 

「…着…されちゃった…」

 

「なにー?」

 

「水着…流されちゃった…」

 

---

 

「いやー、一時はどうなることかと思ったし!」

 

真弥ちゃんの言葉を聞いて、私たちは大慌てで水着の捜索を始めた

私と有華ちゃんで壁になって真弥ちゃんを隠し、その間に累ちゃんと麗子ちゃんが捜索

幸い水着はすぐに見つかったためそこまで騒ぎが大きくなることもなく事なきを得た、が

 

「ほんと焦ったよー。久々の真弥ちゃんの大ポカだったね…」

「今回は私悪くないもん…!にしてもほんと恥ずかしかった……」

「まあ何事もなく済んだのだからよかったじゃない。そんなことより早くお昼にしましょう、私もうおなかペコペコだわ」

「そんなことって…。ひどいですよ有華様―!」

「まあまあ二人ともー。今日のお昼は真弥ちゃんと私で作ったサンドイッチよー」

 

そう言って麗子ちゃんがお弁当箱を開ける

そこには色鮮やかないろんな種類のサンドイッチが並べられていた

 

「わぁ…!おいしそう!」

「運動するから食べやすいものをと思って。サンドイッチならササっと食べられるかなって」

 

サンドイッチなんて久しぶり!

にしても外で食べるお弁当ってピクニックみたいでちょっとワクワクするかも

 

「サンドイッチ…」

「どうしたし、有華。まさか食べたことないなんて言わないよな?」

「食べたことないわ、でもとっても美味しそう」

「マジかよ…。まあ真弥っちの作る料理に間違いはねーし!いっただっきまーす!!!」

「こら累!まったく…。私たちも食べましょうか」

 

「「「いただきまーす!」」」

 

---

 

「「「ごちそうさまでした!」」」

 

「いやー食った食った。満腹―」

 

「サンドイッチ…とても美味しかったわ。ありがとう二人とも」

「私はちょっとしたお手伝いだけ。作ったのはほぼ真弥ちゃんよー」

「やっぱり真弥ちゃんは料理上手だね!今日のサンドイッチもとってもおいしかったよ!」

「そ、そう?よかった…。…なんなら!私が毎日朝昼晩、二人のご飯を作っても---

「お昼も終わったし午後の部ね。早く行きましょう、楽しい時間はあっという間なんだから」

 

「今日はいつにもなく元気ねー。私はもう少し休もうかしら…」

「うちも―。ちょっとお昼食べすぎたし…」

「そう?それじゃ先に行ってるわね。さ、行きましょう」

 

 

私ももう少し休みたいんだけど…

でも普段からは想像出来ないほどにはしゃいでる有華ちゃんを見たらそんなことも言ってられない

明日筋肉痛で動けなくなるのが容易に想像できるけど、それも夏の思い出だろう

 

「そうだね、まだまだこれからだよ!ね?真弥ちゃん!」

「え?私ももうちょっとここで休もうと…」

「楽しい時間はあっという間なんだよ?遊ばなきゃ損だよ!」

 

それはそれとして一人ぐらいは道連れにしても罰は当たらない、はず

ごめんね真弥ちゃん、明日は一緒に筋肉痛と戦おうね!

そんなことを思いながら真弥ちゃんの手を引き、有華ちゃんのもとへと向かった

 

---

 

強い日差しと冷たいプール、にぎやかに遊ぶ私たち

いかにも夏休みらしい時間が流れていく

強引に引っ張ってきた真弥ちゃんも、今は有華ちゃんと楽しそうに遊んでいる

真弥ちゃんの顔がやけにほころんで見えるのは気のせいかな?

遅れて合流してきた麗子ちゃんと累ちゃんはウォータースライダーを何周もしてる

飽きないんだろうか?なんて思ったりもしたけど二人の表情を見たらそんな無粋な考えはすぐに消えた

今までも皆でプールに遊びに来ることは何度かあったし、その時もとても楽しかった

けど、いまはもっともーっと楽しい!

 

「鈴もこっちに来て!流れるプールですって。プールなのに流れがあるなんて不思議だわ…」

 

有華ちゃんが神楽原に来てからいろんなことがあった

辛いこと、悲しいこと、知りたくなかったこと、そんなことがたくさんあった

でも…それ以上にいろんなものを得ることができた

有華ちゃんが来てから、新しい体験ばかりだよ

 

「すぐ行くー!」

 

そんな日々がとても楽しい、ずっと続けばいいのにとも思う

でもこんな毎日にいつか終わりが来ることは、わかってる

だからこそ今を精一杯楽しんで、これからもたくさんの思い出を皆と一緒に作るんだ

そんなことを思いながら、私は有華ちゃんのもとへ向かった

 

---

 

「まだ遊び足りないしー!帰りたくなーい!」

「わがまま言わないの。もうプールも閉まる時間なんだからおとなしく帰るわよー」

 

「累ちゃん、元気だね…。私はもうへとへと…」

 

真弥ちゃんはもうぐったりといった様子

まあ一日中遊んでたんだからそれも仕方がないと思う

かくいう私もさすがにもう限界だ…

 

「すこし…はしゃぎすぎたかしら…。もう…喋る元気もそんなにないわ…」

「あはは…」

 

有華ちゃんに至っては今にも倒れそうな勢いだ

もともと体力があるほうじゃないだろうから尚更だろう

 

「楽しめたみたいだね」

 

バスの運転手さんが私たちの顔を見てそう言う

はたから見てもわかるくらい私たちの顔から、疲れ以外にも充実感だとか満足感だとかが出てるのかもしれない

実際とっても楽しかったし!

 

「ちょー楽しかったし!また来たいよなー」

「あなたはほんと元気ねぇ…」

 

「ぐぅ…」

「有華様ったらもう寝ちゃってる」

「仕方ないよ、今日の有華ちゃんは一日中動き回ってたし。ふわーあ、私も眠くなってきちゃった…」

「眠そうな鈴ちゃん見てたら私まで眠くなってきちゃったかも…。すぅ…」

 

あっという間にバスの中は、五人の寝息で満たされる

五人の幸せそうな寝顔を見てバスの運転手はふっと笑った

 

---

 

バス停についてから、みんなあまりに疲れていたので即解散となった

私は半分寝てる有華ちゃんを抱えながら、疲れている体にはなかなか堪える階段を登る

 

「ただいまー!」

「ただいま…戻りました…」

 

「おかえり。楽しめたかい?」

「うん!すっごく楽しかったよ!すっごく疲れたけど…」

「とても充実した一日でした…」

「そりゃよかった。その様子じゃ二人とも疲れてるだろ。風呂も飯も用意してあるから、さっさと済ませて寝ちまいな。片付けもやっといてあげるから」

「ありがとーおばあちゃん!さっ有華ちゃん、疲れたし今日は早く寝よう」

「そうね…。ありがとうございますおばあ様…」

 

---

 

今日はほんとに楽しかったなー…

ご飯もお風呂も済ませて自分の部屋で今日のことを振り返る

ほんとはすぐに寝るつもりだったんだけど、ずっとみんなで過ごしてたからか一人が少し落ち着かなくて寝付けなかったのだ

有華ちゃんはもう寝ちゃったかな…

なんてそんなことを考えていると、ドアをノックする音が聞こえてくる

 

「鈴、起きてる?ちょっといいかしら」

「はーい。どうしたのこんな時間に?」

「一日中みんなと過ごしてたからかしらね…。一人が少し落ち着かなくて」

 

そんな有華ちゃんの言葉を聞いてクスリと笑ってしまう

 

「ちょっと!笑うことないでしょ」

「ごめんごめん…。私もちょうどおんなじことを考えてたからなんだかおかしくて…」

「そうだったの…」

 

少しの沈黙の後

 

「今日…」

「え?」

「今日、とっても楽しかった。初めて友達と遊びに行くなんて体験をしたけれど、こんなにも楽しいことだったのね…。私、年甲斐もなくはしゃいじゃったわ」

「私も、今日はすっごく楽しかった。今までみんなと遊んできたときも楽しかったけど、今日はそれよりもずーっと楽しかった気がするの。有華ちゃんがいたからなのかな?」

 

私のそんな言葉を聞いて有華ちゃんがふふっと笑う

 

「私、ここに来るまではこんなに楽しいことがあるなんて知らなかった。今日のことだけじゃない、ここに来てからいろんなことを知ったわ。鈴に、みんなに出会うことがなかったら経験できなかったことだって思うと、怖さすら感じるの。ありがとう…鈴。私に琴以外の道を教えてくれて。本当に感謝しかないわ」

「私だって、有華ちゃんには感謝だよ。有華ちゃんが来てからの毎日は、私たちみんなにとって大きな…かけがえのない財産になったんだもん!そう考えると、有華ちゃんを神楽原に連れてきてくれた小夜子さんにも感謝、かな?」

「そうね…」

 

再び沈黙

でも決して気まずい沈黙ではない

ゆっくり流れる心地のよい静かな時間…

なんだか少し…眠くなってきたかも…

 

「鈴」

「ひゃい!?」

 

しまった、半分寝てて変な声が出ちゃった

しかし有華ちゃんは特に気にした様子もなく話を続ける

 

「今日みたいな日がずっと続けばいいのにと、そう思うくらい本当に楽しかった」

「うん…」

 

有華ちゃんも同じように思ってくれていたんだと思うと、心がじんわり暖かくなる

 

「でもいつかは終わりが来てしまうのよね…。楽しい時間があっという間なように、こんな毎日もすぐに過ぎ去ってしまうのかしら…」

「そうかもしれないね…。でも」

「?」

「でも…だからこそ、一日一日を大切にしようと思えるんじゃないかな。だからこそ、これからもたくさんの思い出を作りたいと、そう思えるんじゃないかな。少なくとも…私はそう思ってるよ」

「そう、そうよね…」

「まだ夏休みだって終わってないし、夏休みが終わったら高筝大会もあるんだし…。だからね、有華ちゃん。これからもっともっともーっといろんなことを経験して…いっぱい思い出作ろう!」

「ええ、そうね。ありがとう…鈴…」

 

有華ちゃんが優しく微笑んでくれる

今ならぐっすり眠れそうだ

有華ちゃんも、もう寝てしまいそう

まあ…たまには…二人で寝たっていいだろう…

 

「おやすみなさい…鈴…」

「おやすみ…有華ちゃん…」

 

窓から差し込む月の光が、私たちを優しく照らす

これからも私たちはいろんな困難や苦難にぶつかるんだろう

そのたびに悲しい思いや辛い思いをするかもしれない…でも…

有華ちゃんや、みんなと一緒ならなんだって乗り越えられる、どんな経験も宝物に変えられる、そう思えた

 


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