めぐみんが爆裂魔法を覚えて学校を卒業してからもう半年くらいか。
こめっこの起こした悪魔騒動に決着を付けるために、めぐみんは爆裂魔法を使った。これから何があろうとも爆裂魔法を使い続け、極めるって宣誓しためぐみんはかっこよかったんだけどね……でも今は。
「めぐみん……またニートになっちゃったの……?」
「ち、違います! 私は悪くありません! 悪いのはそう、世界の方ですから!」
世界が悪いとか言っちゃってるし……。あの頃の格好良かっためぐみんは、もう居なくなっちゃったみたい。
「とりあえず今日のお弁当はこめっこの分と一緒にここに置いておくね。お姉さんに会うために冒険する資金を集めるんでしょ? めぐみんは出来る子なんだから、がんばってね」
「あ、当たり前です、私を誰だと思っているんですか!? 紅魔族随一の天才ですよ!」
今は引きこもりのニートになっちゃってるけどね……。
お弁当は一緒に通学してた時渡していたけど、めぐみんが学校を卒業してからも、毎日学校に行く前に持っていくようにしていた。めぐみんの家はお昼ご飯を作るほどの余裕が無い、家庭事情らしくて、お弁当を作るまでは、ゆんゆんのお弁当を奪って食べてたから、見かねて私が毎日作って渡すようになっていた。
「じゃあ私は学校に行ってくるね」
「いってらっしゃい! わ、私も仕事に行ってきますから!」
ほんとかなぁ? そんな事を昨日も言ってたけど、結局家から出なかったみたいだし、ほんとにニートみたいだよ……。とりあえず学校に向かおうかな。
「ごはんのお姉ちゃんおはよう!」
「あ、こめっこちゃんおはよう! もうお出かけしてたの?」
めぐみんの妹のこめっこちゃん。五歳だから元気が有り余っていて毎日里の色んな所で遊んでいる。紅魔族一の魔性の妹を自称している子なんだけど、実際にかなり可愛い。私もこめっこちゃんの可愛さにやられて、毎日お菓子とかご飯を渡していたら、ご飯のお姉ちゃんって呼ばれるようになっちゃっていた。
「食べれるものさがしてた!」
「朝から偉いねー。あ、こめっこちゃんのお昼ご飯は家に置いてるからね!」
「お姉ちゃん大好き!」
現金な子だ。可愛いけどね!
ご飯があると分かったら喜びを全身で表すように、精一杯の力で抱きしめてきた。可愛すぎて思わず頭を撫でていた。めぐみんにもこんな可愛い時があったんだけどね……今ではニートになっちゃった。
「こめっこちゃんは今のめぐみんみたいになっちゃだめだよ。今の可愛いこめっこちゃんでいてね」
「うん! ニートの姉ちゃんみたいにはならない!」
め、めぐみん……こめっこちゃんにもニート扱いされちゃってるよ……。お仕事探しがんばろうね。よし、こめっこちゃんの事をたくさん撫でたし、学校に行こうかな?
「それじゃあまたねー。明日もお弁当も持ってくるから!」
バイバイと大きく手を振るこめっこちゃんに手を振り返して学校に向かう。そろそろ学校も卒業予定だから、この道を通るのは残り何回なのかな?
私の卒業はゆんゆんが魔法スキルを習得した時に、一緒に卒業する予定だ。私のスキルポイントはすでに貯まっているからね。
めぐみんが卒業してからは、ゆんゆんにスキルポーションが回ってくる機会が増えたし、卒業も近そうだ。
紅魔族の学校では、授業の中で高い評価を得られた上位の生徒にスキルポーションが配られる。私もめぐみんも成績は良かったから結構貰えていたんだけど、ゆんゆんは三番手くらいで、あるえとよく評価で争っていた。
卒業について考えていたらいつの間にか学校前に来ていた。この時間なら授業には普通に間に合いそうだなぁと思いながら校門を潜った。
「お、おはよう!!」
「わっ!? びっくりした。影から突然、大声で挨拶するのすごい驚くんだからめっだよ!」
「めっ! って怒られちゃった……ひひっ」
怒られたのに嬉しかったのか、顔を赤くして喜んじゃってる。もう親友になってからも何年も経っているのに、相変わらずだよね。私が入学した時は八歳で、今が十二歳だから、もう出会って四年になるんだね。
「とりあえず、おはよう。ほら教室に行こ?」
「う、うん。あ、めぐみんはお仕事に行ってた?」
ゆんゆんが私の腕を抱くように寄り掛かってきたので、そのまま教室に向かう。めぐみんがよく抱きついてたから、負けじとゆんゆんも同じように腕に抱きつくようになってきたんだよね。夏は暑かったけど、私を間に挟んで仲良く言い合っている二人は可愛かったから全然許せた。
「今日もめぐみんニートだったよ……」
「私のライバルがニートなのはいやだなぁ。でも里のほとんどのお店でクビになっちゃったし、働ける場所あるのかな?」
めぐみんって短気で喧嘩っ早いから、バイトを始めても一日か二日でクビになってるんだよね……。爆裂魔法の事を少しでも悪く言われたらすぐに怒っちゃうからなぁ。
あと身長と発育についても禁句だった。ゆんゆんの胸ほどじゃないけど私もそれなりには成長したのに、めぐみんは栄養が足らなかったのか、クラスの中でも最下位な発育具合だった。
と言ってもまだ十三歳なんだし、あまり気にしなくていい年齢だと思うんだけどね。めぐみんは気にしすぎだと思う。
「あ、まだ武器屋では働いてなかったかもよ! 紹介してあげようかな」
「初日でお客さんに剣を投げつけてクビになってたよ……」
働いてて、しかも初日でクビになってたんだ……。めぐみんからは何も聞いてなかったし、全然知らなかった。クビになった事を私に知られたくなかったから、隠してたんだなー。お弁当のおかずを一品減らしちゃうぞー。やらないけどね。
「あ、ゆんゆんの家って大きいし、めぐみんに家政婦さんになって貰うのってどうかな?」
「爆裂魔法で家が無くなっちゃうのはいやだよ……」
ごめんなさい。冗談で言っためぐみん家政婦案は本気で嫌そうだった。めぐみんでも流石に里の中では爆裂魔法は使わないと思うよ……多分。
「じゃあ、私がゆんゆんの家政婦さんになっちゃおうかな? お世話するのって好きだし!」
「住み込みで一生お願いします!!」
目を真っ赤に光らせて両手を握ってきたゆんゆんに少し恐怖を覚える。一生住み込みって相変わらず重たいなぁ。
でも、最近はゆんゆんの重さが好きになってきちゃったんだよね。ゆんゆんみたいに可愛い女の子が、私の言葉一つで凄い喜んでくれる*1のを見てると癒やされるし、いつも近くに居てくれるから*2、話し相手に困らないのも、寂しがり屋な私としてはありがたかった。
「じゃあ冒険者になったら一緒に暮らしちゃおうか? いっぱいお世話しちゃうよー」
「ほんと!? なら、すぐに冒険者に――」
「あっ、すとれとゆんゆんおはよー! ねぇ、すとれー! 道具屋に可愛いアクセが入荷されたらしいからさぁ、帰りに見に行こうよ!」
「ねりまきちゃんおはよー! ほんとに!? 一緒に行こっか!」
ゆんゆんが何か言ってたところに、後ろからねりまきちゃんが挨拶しながら走ってきた。道具屋に時々入荷されるアクセサリーは、入荷された次の日に無くなっちゃうくらいには紅魔族の女性に大人気だ。今日入荷されたなら、学校帰りには見に行きたいかな。
「どどんこと、ふにふらも連れてみんなで行こーよ!」
「そうだね。あっ、ゆんゆんも一緒に行こうね! ……って、なにしてるの?」
ゆんゆんも帰りに一緒に行こうねって、声を掛けようと振り返ったら、なぜか冒険者カードを弄っていた。
「えへへ、早く冒険者になりたくて、『上級魔法』を習得しちゃった。これで一緒に暮らせるね!」
…………えっ!?
ゆんゆん卒業する事になっちゃったんですけど……。
めぐみん
ニートの姉ちゃん。
爆裂魔法を覚えて学校を卒業してからはほぼニート。
ダメな子ほどかわいい。
こめっこ
とにかくかわいい。
ゆんゆん
激重。
すとれへの依存度が日毎に上がっている。既にカンストしてるけど更に上昇中。
読んでいただきありがとうございます!
この素晴らしい世界に爆焔をの1巻はほとんど原作沿いに進みそうだったので、スキップしちゃいました。
原作との違いはゆんゆんが魔法を習得しなかったことくらいですね。
すとれの支援魔法があったので、めぐみんが爆裂魔法を撃つまでの時間稼ぎができたので、ゆんゆんが魔法を使う必要が無かったんですね。
修正20221022
ゆんゆんが習得したスキルを『ライト・オブ・セイバー』から『上級魔法』に変更しました。
理由はライトオブセイバーの習得条件が、上級魔法を習得したら覚えられるとご指摘がありましたので、変更しました。情報ありがとうございます!