尊敬してますアクア様!   作:天道詩音

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ねりまきちゃんと休憩室で!

 

「すとれー、おはよ! 今日もよろしくね!」

「ねりまきちゃんもおはよう! こちらこそよろしく!」

 

 今日は酒場でアルバイトする日で、休憩室に着くとねりまきちゃんが給仕服に着替えようとしていた。この店の制服になっている給仕服は、丈が足下まである黒いロングのワンピースの前面には白いエプロンがあって、清潔感の中に可愛らしさもある良いデザインだ。

 

 この酒場『サキュバス・ランジェリー』は、ねりまきちゃんの両親が経営してるお店で、宿屋と兼業している。里唯一の酒場な事もあって繁盛していて、ねりまきちゃんに手伝って欲しいと言われてからは、私の時間がある時はアルバイトとして働いている。

 

 私も着替えようと、羽織っていたカーディガンをハンガーに掛けて、下に着ていたブラウスのボタンに手を掛けた。

 

「今日もめぐみんにお弁当を届けてから来たの? 毎日大変じゃないの?」

「そんな事無いよー。料理するのは大好きって事もあるけど、一日一回はめぐみんの顔を見ないと、逆に不安になっちゃうんだよね。だから、自分の為に作ってるんだよー」

「いいなーめぐみん。すとれに愛されてるじゃん」

 

 ねりまきちゃんの方を見ると、制服に着替え終わっていて、髪ゴムを口に咥えて、長い後ろ髪を一纏めに結ぼうとしているところだった。

 

 飲食店だから清潔にするために髪は結ぶんだけど、普段髪をストレートにしている女の子が、ポニーテールになっているのって……なんか良いよね!

 

「最近のめぐみんはダメダメなんだけど、そこが可愛くてねー。今まで以上にお世話しちゃってるかも」

「ダメな子ほど可愛いってやつ? 将来、すとれはダメな男に惹かれないように気を付けないとダメだよ!」

「ふふっ、大丈夫だと思うよ。男の人とお付き合いするなんて考えた事も無いし、めぐみんとゆんゆんのお世話をするだけで精一杯なんだもん」

 

 ブラウスのボタンを上から外して脱いでいく。脱いだブラウスを畳んで棚に置き、スカートのファスナーを摘まんで下げていく。

 

 最近のめぐみんはアルバイト探しも止めちゃって、家でこめっこちゃんと遊んでいるだけになっていた。『こめっこの将来のために、私の貴重な時間を割いているのです! これは立派な仕事ですよ!』なんて言って、こめっこちゃんと一日中、家の中で遊んでいるんだよね。

 

 まあ、めぐみんがそれでいいなら、私もなにも言う事は無いんだけど……爆裂魔法を教えてくれたお姉さんに会いに行くって夢は、どこに行っちゃったんだろうなぁ。

 

「ダメな子と言えば、ゆんゆんも居るもんねー。そう言えばこの前、ゆんゆんを外で泣かしてたでしょ。すとれが族長の娘を泣かしてたって噂になってたけど、なにしちゃったの? 浮気とか?」

「浮気ってなに!? そもそも誰とも付き合ってないよ!? でもさ……、あの時ゆんゆんが泣いちゃったのは、なんでだと思う……? 私がゆんゆんの誕生日を覚えてたってだけで泣いちゃったんだよね……。流石に予想できなかったよ……」

「えぇ……」

 

 学校帰りにゆんゆんと買い物に出掛けている時に、道具屋に並ぶアクセサリーの中に、私が去年ゆんゆんにプレゼントしたブレスレットに似ている物があったから、それでそろそろ誕生日だねって話をしたら、ポロポロと涙をこぼしたんだよね。いきなりどうしたのって声を掛けたら、『誕生日覚えていてくれたんだ……』って泣きながら喜んでいた。

 

 親友の誕生日くらい覚えているよって伝えると、更に号泣しちゃって、泣き止ませるのにかなりの時間が掛かって大変だったんだよね……。

 

「なかなか大変な事件だったよ……」

「な、なんか気軽に聞いちゃってごめんね……。そ、そうだ、今日もゆんゆんはウチに来るかな?」

「私が今日はバイトの日だって話してるし、後で来ると思うよー? 来たら端の席に案内しておくね」

 

 私がバイトをしている日は、ゆんゆんがお客様として必ずお店に来ていた。忙しい時はあまり話が出来ないけど、時間がある時は私とねりまきちゃんと話せる事が嬉しいみたいで、私のアルバイトの日を結構楽しみにしているみたい。

 

 脱いだスカートも畳んでブラウスの上に置いて、綺麗に折り畳まれていた制服を手に取り、背中側のファスナーを降ろして、広くなった隙間に脚を入れていく。スカートの内側を踏んでいない事を確認したら、制服の裾に腕を通して、乱れたところを整えていく。

 

「ねりまきちゃん後ろのファスナーを上げてー」

「いいよー。私は慣れちゃったけど、自分で背中のファスナーを上げるのって大変だよねー。すとれって髪が長いし、余計に大変かも。……よし、出来たよ! あっ、髪も結んであげるね。お揃いの髪型にしちゃおうよー!」

 

 ねりまきちゃんが私の後ろ髪を手に取って、手櫛で整えている。髪を撫でられるのって、何故か好きなんだよね。

 

「よろしくね。ねりまきちゃんポニーテール姿って私好きだし、お揃いにしてくれたら嬉しいなー」

「き、急に褒めないでよ! すとれは私をハーレムに入れたいの?」

「ハーレムってなに!? よく分からないけど、違うと思うよ!? 本心でねりまきちゃんのポニーテール姿が好きだって思ってるだけだもん。だって、いつもはストレートでしょ。普段の髪型もいいけど、酒場で働いている時はポニーテールだよね。あとは、集中するためだと思うけど、テストの前にもポニーテールにしているね。だから、ねりまきちゃんが頑張ってる時って、ポニーテールにしているんだよ。それが好きな理由なんだよね。それに――」

「わあああ!? も、もういいから! 私の事をなんでそんなに見ていたの!? すとれのハーレムに加わるから、これ以上褒めないでー!」

 

 だからハーレムってなに!? めぐみんとゆんゆんは私の親友なだけだよ!? 私達ってそんな風に見られていたの!?

 

「ハーレムなんて無いし、入らなくてもいいけど、ねりまきちゃんとは仕事仲間として、困難を乗り越えてきた*1仲でしょ。それに、些細な相談事でも親身に聞いてくれる、優しいねりまきちゃんは私の大事な親友なんだから。だから、ねりまきちゃんの事を見ていたんだよ」

「ひゃあ!? わ、分かったから! 私もハーレムに入るから!」

 

 おかしな事を言い始めているねりまきちゃんの方を振り向くと、両手を握られてた。

 

「ハーレムなんて無いからね! 皆、親友なだけだよ!?」

「じゃあ、私を一番に見てくれるの……?」

 

 突然の質問になにも答えられなくて、無言で見つめ合う形になった。なんて答えれば……って悩みながら、言葉を紡いでいく。

 

「え、えっと……めぐみんもゆんゆんも大事だし、誰が一番なんて、決められないって言うか……」

「ふふっ、冗談だよ! 慌ててるすとれが可愛かったから揶揄っただけ!」

 

 冗談で良かった……! だって、皆の事が好きだから……誰が一番なんて選べなかったもん。

 

「もう、驚かせないでよー!」

「ごめんごめん、じゃあポニーテールも私と似てる感じに出来たし、料理の仕込みを手伝いに行こうか?」

 

「う、うん」

「今日は団体さんが来るらしいから大変かもよ! 一緒にがんばろうね! じゃあ、先に行くねー! あ、危うく堕とされるとこだった……」

「えっ? なにか言った?」

 

 一緒に行けばいいのに、ねりまきちゃんは先に部屋を出ようとしていた。扉を開けた時に、何かを呟いていたけど、聞き取れなかったから聞き返す。

 

「な、なんにも言って無いからー!」

「あ、待ってー! ね、一緒に行こう?」

 

 先に行こうとしていたねりまきちゃんの腕に抱きついて、一緒に調理場に向かう。

 

「わ、私堕ちないから!」

「えっ? どう言う事!?」

 

 よく分からないけど、顔を真っ赤にしてるねりまきちゃんが可愛いから気にしないでおこう。

 

 今日は忙しくなりそうだけど、二人でがんばろうね。

*1
酒場がめっちゃ忙しい日




ねりまき
酒場の一人娘。
めぐみんとゆんゆんをすとれのハーレムメンバーと認識している。
ストレートに褒められすぎて、ハーレム堕ちしそうになる。

めぐみん
こめっこと一日遊んでいる。

ゆんゆん
親友が誕生日を覚えていたのが嬉しくて泣いた。相変わらず劇重。

すとれ
酒場でアルバイトをしている。
ねりまきちゃんとはバイト仲間兼親友。
誰が一番なんて決められない! ってハーレム物の主人公みたいに悩んでた。

読んでいただきありがとうございました!
ねりまきちゃんとの話を書いてないじゃん!
って思ったので、投稿予約していた話を明日に回して、投稿しちゃいました!

バイトの始まりとか終わりに、更衣室で女の子が着替えながら話してるシーンっていいと思いませんか?
『背中ホックを上げて欲しいな』ってシチュエーションも大好きです。
そんな妄想力が爆発した結果、酒場で働く話は消え去り、休憩室で二人がいちゃつく話となってました!
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