「みんなおはよう! 私、今日で卒業するね!」
「えぇー!? すとれ卒業しちゃうの!?」
「まだ一緒に学校通っちゃおうよー!」
「すとれちゃんのお弁当が無いと生きていけないよ!」
「私のファン第一号が居なくなるなんて認められないかな」
ゆんゆんが卒業をする時に私も卒業をしようと決めていた。ゆんゆんが私と一緒に暮らしたいからって理由で、上級魔法を習得しちゃったのは予想外だったけどね……。
実は、私のスキルポイントは結構前に上級魔法を覚えられるくらいに貯まっていた。
里を守っている『対魔王軍遊撃部隊』の皆と一緒に魔物退治をしてたら、レベルが結構上がっていたんだよね。皆への支援魔法がメインだったけど、アンデット系や悪魔系のモンスターが出た時には、退魔魔法とか除霊魔法を撃っていたら、自然とレベルが上がって、スキルポイントが沢山手に入っていた。
クラスメイト達には悪いけど、ゆんゆんを一人にしたら、新たなニートが生まれちゃいそうだし、私も卒業して一緒に冒険者にならないとね。
仮にゆんゆんが一人で冒険者として旅立ったらどうなるんだろう?
里を出たら知り合いなんて誰も居ないだろうし、誰にも声を掛けられずに、冒険者ギルドの隅の方で一人遊びしてそう……。
そして、何も出来ないまま時間だけが過ぎて、資金も無くなって紅魔の里に戻ると、今まで以上に人と話すのが怖くなって、家に引きこもるようになっちゃって、そしてゆんゆんはニートに……。
ゆんゆんを一人で旅出させたら絶対ダメだった! 必ず一緒に行くからね!
既にニートなめぐみんも一緒に連れていきたいけど、お金貯まったのかな? 貯まってないよね……。
「止めてくれるのは嬉しいけど、ごめんね! ねりまきちゃんの酒場ではもう少しアルバイトをする予定だし、ふにふらちゃんとどどんこちゃんには、里に居る間はお弁当を作ってあげるよ! あるえの小説は大好きだから私が旅立っても、文通みたいにさ、小説を書いたら送ってよ? 私は感想を書いて送るからさ!」
皆と離れるのは寂しいなって思ってたら、皆も同じみたい。私に抱き着いて泣いてる子もいれば、ずっと友達だよと言ってくれる子も居た。入学してから結構な時間を一緒に居たけど、本当に皆と友達になれてよかったよ。これからも仲良くしてくれたら嬉しいな。
「あ、あにょ! 私も今日で卒業するの!!」
噛みながらもゆんゆんが卒業することを皆に伝えた。私の傍に居る皆も振り返ってゆんゆんの方を向いた。
「えっ? ゆんゆんも卒業なの? おめでと。あ、それですとれはどこで冒険者を始めるの? 王都とかいいかもよ?」
「ゆんゆんおめでとう! ねえ、すとれの卒業パーティーを家の酒場でやっちゃおうよ!」
「いいねいいね! あ、一緒にゆんゆんの卒業も祝っちゃおうか」
「賛成かな。祝辞の原稿は私が完璧なのを持ってくるよ。すとれのためにも最高な物を持ってくるさ」
「ね、ねえ。すとれが主役だけどさ……。私、すとれの料理を食べたいから、作って欲しいな……」
み、皆が私の事を好いてくれたのはすっごい嬉しいんだけどさ……! もう少しゆんゆんの卒業の事も反応して欲しかったかな!? 反応が薄すぎて、ゆんゆんが涙目になっちゃてるからね!?
「皆ありがとう! 私も最高の料理を作ってくから楽しみにしてて! ゆんゆんも一緒に皆に祝って貰おうね!」
「すとれぇ……。うん、ありがと……!」
涙目になっているゆんゆんを皆で慰めながら、卒業パーティーの日程とかを決めていく。なんだかんだ、皆もゆんゆんの事が好きだからね。クラスのマスコットキャラクターみたいな立ち位置だったし。
「おはよう。今日も風が騒がしいな……ってお前ら、すとれの周りに集まってるけど、どうしたんだ?」
「あ、先生おはようございます。私とゆんゆんが上級魔法を覚えたので卒業するって皆に伝えてたんです」
そう伝えると、先生は残念そうな表情を浮かべた。
「クラスのまとめ役なすとれが卒業しちゃうのか……。これから胃が痛くなりそうだが、とりあえずおめでとうだ!」
「ありがとうございます! 先生の授業は分かりやすくって好きでした。校長になる事を応援してますよ!」
格好良さを極めるにはどうしたらいいか? なんて、紅魔族特有のおかしな授業はあったけど、普段の授業は分かりやすかった。
魔法使い職以外のスキルについても教えてくれたので、いつか冒険者として、他の人と組んだ時も、連携に困らないくらいの知識を付けてくれた。
「あ、ありがとう! 俺にそんな事を言ってくれるのは、すとれだけだよ……。どうだ、卒業しても学校に来ないか? すとれって先生に向いてそうだし、副担任になるのもいいんじゃないか?」
「さんせーさんせー! むしろ担任になってよ」
「ぷっちん先生って面倒だし、すとれが先生になってくれたら嬉しいなぁ」
「同い年のヒロインが教師の学園物……ありだね」
なんか私が先生になる方向で皆が団結しちゃってるよ。あるえだけ別な事言ってるけど……。でも、子供たちのお世話するのって大好きだし、先生になるのもいいかもって、少し思っちゃった。
で、でもダメだね! 私にはもう、めぐみんとゆんゆんって言う、お世話しないといけない二人が居るんだから!
「お、お前ら酷いぞ! それなら、すとれに今日は授業をやってもらおうか! 見せて貰おうか、すとれの教師としての実力とやらを」
「ええ!? 結構な無茶振りだと思いますけど……。でも、分かりました! じゃあ、すとれ先生が皆に実践的な上級魔法の使い方を教えるね!」
先生は教室の後ろまで行くと、壁により掛かって腕組みをして、こちらを見守る姿勢になった。あの、フォローはしてくださいね……。
「いいねー! これからすとれ先生には毎日教えて欲しいかな!」
「ぷっちんは帰れー!」
「すとれせんせー! 手取り足取り教えてください!」
「ふむ、今まで隣で授業を受けていたヒロインの凛々しく働く姿を見て、主人公が恋に落ちる展開か。いいね……」
本当に私が授業するの!?
紅魔族的には面白いかもしれないけど、教師としてはアウトだと思う……。あと、皆はもう少し先生に優しくしてあげて。帰れって言われて泣きそうになってるよ……。
「じゃあ、実践的な上級魔法の使い方についてだけど、まず私は里を自主的に魔王軍から守っている『対魔王軍遊撃部隊』に混ざって、魔物討伐をしてたんだ。私は、支援魔法でサポートしながら、遊撃部隊の皆が戦う姿を間近で見ていたから、実戦ではどう魔法を使っていたのか。パーティーを組んで戦う時に上級魔法を使う場合の注意点とかを教えていくね」
「はい! ほんとにすとれって先生みたい」
「しかも実戦とか面白そう!」
「ぷっちんの授業より絶対面白いじゃん!」
「ヒロインは実戦経験があって、最初は主人公より強かったけど、いつしかヒロインより強くなった主人公を目で追うようになり、いつしかヒロインも恋に落ちる……。最高かも」
「すとれが私の先生……えへへ」
皆から好評だからすごい嬉しいんだけど、一人だけ小説の事考えてる子が居るんだけど……。あと、ゆんゆんはずっとニコニコしてるけどちゃんと聞いてるのかな?
こうして始まった、私の実戦に基づく、実践的な上級魔法の授業は、皆から大好評のまま終了した。
授業が終わってからも質問攻めにあって、大変だったけど楽しい経験だった。将来、冒険者を辞めたら先生をするのもいいかもしれないね。
「俺、授業後に質問された事とか、すとれ以外には一度もないんだけど……。てか、こんな真面目に授業を受けてもらった事も無いし……俺なんて……!」
「わ、私はちゃんと聞いてましたから! 卒業できたのも先生のお陰ですから!」
「そうか……完敗だよ! 今日から、すとれがこの教室の担任だ!」
私、明日から先生なの!?
皆拍手で迎えてくれるのは嬉しいけどさ、ゆんゆんもその中に混ざって、一番大きく拍手してるのはどうかと思うよ!? 一緒に冒険者になるって言ったよね? しかも、ゆんゆんは今日で卒業だよ……!
「すとれ先生これからもよろしくねー!」
「卒業パーティーと先生への就職祝いも一緒にやっちゃおうか!」
「すとれ先生の授業なら、これからもちゃんと聞くから!」
「早速、小説を書かないと……。これからもネタ提供のためにも教師を頑張って欲しい」
「すとれ、これからは生徒達の事をよろしく頼む。俺は副担任としてサポートしよう!」
「わ、私は冒険者になるんだからー!?」
すとれ
この後、先生にならずに済んだ。
ゆんゆんとめぐみんは私が世話しないと生きていけないんじゃないかと、本気で思い始めてる。
めぐみん
引きニート。
旅立つ資金は貯まったのか? きっと貯まってない。
ゆんゆん
ゆんゆんの卒業は、すとれ先生の影響でクラスメイトに完全に忘れ去られていた。次の日、ゆんゆんが学校に来てないと、ふにふらが言うと、ぷっちんから昨日卒業したと聞かされて、やっと全員が思い出した。ゆんゆんは泣いていい。
読んでいただきありがとうございました!
紅魔族の子達が好きすぎて、すとれが冒険に出てくれません!
ですが、さすがにそろそろ旅立つ予定なので、次回も読んでくれたら嬉しいです!
ここ数日、当小説を読み返して、おかしな文章や誤字の修正をしていますが、結構おかしな点がありました。
投稿予約はしていますが、投稿前に毎日修正していたのに、見返してみると修正点が多すぎました。すみませんでした。
最新話まで少しづつ修正していきますが、ストーリーの展開に関わる修正があった場合は、後書きなどに追記しておきます。