「じゃあ、まずは皆で買い物かな? それとも、私は家で掃除をしてようか?」
「えっ!? すとれも買い物に行くべきですよ! 一緒に回りたか……ごほん。せっかくアクセルに来たのですから、三人で街に出掛けた方がいいと思いますよ」
「わ、私も三人で出掛けたいなぁ……! お揃いのパジャマも買いたいし!」
さっきめぐみんが効率的な話をしていたから、分担した方がいいのかなって思ったけど、二人とも一緒に出掛けたいみたいだから、それなら三人で行こうか!
「じゃあ、三人で出掛けようか。もう昼過ぎだし、どこかでお昼ご飯も食べようか。でも、夜は私がおいしいご飯を作っちゃうから、家で食べようね!」
「それでしたら、お昼は冒険者ギルドで食べるのはどうでしょうか? アルカンレティアのギルドと同じように、酒場が併設されているかと思いますので」
「あ、私も冒険者ギルド行ってみたいかも!」
確かに冒険者ギルドの中はまだ見ていなかったから入ってみたいかも。どんなクエストがあるのかも気になるし、お昼はギルドで決定だね!
「じゃあ、まずは冒険者ギルドに行ってみよう!」
三人で家を出て冒険者ギルドに向かって歩いていく。私が二人に挟まれてる並びだったから、二人の腕に絡めるように腕を組むと、二人は歩きづらそうだけど、何だか嬉しそうだった。
それから雑談しながら、数分の間歩いていたら冒険者ギルドの目の前に辿り着いていた。結構近いし、やっぱり家に決めて良かったって思う。でも、一番の良さはお風呂の大きさだけどね!
ギルドの入口前に来たところで、目立ちたがり屋なめぐみんが扉を勢いよく開くと、冒険者と思われる人達が何人か振り返ったけど、それも一瞬の事で、また仲間達との会話に戻っていった。
「とりあえず、酒場の方に行こうか。でも結構賑わっているね!」
「アルカンレティアのギルドよりも人が多いですね」
「ひ、人がいっぱい……」
奥のカウンターには、十人くらい並んでいる列と、一人しか並んでいない列があるんだけど、どうしてだろうね? 並んでいる方が冒険者用で、並んでない方は依頼者用の受付なのかもね。
酒場の方を見ると、まだ昼時なのに沢山の冒険者達がしゅわしゅわを飲んでいた。好きな時に食べたり飲んだりするのも冒険者っぽいのかもね。
「いらっしゃいませー。お仕事のご依頼でしたら奥のカウンターまで、お食事でしたら空いているお席へどうぞー!」
沢山の人が居る事にビクビクしているゆんゆんの手を引きつつ、ギルド職員のお姉さんに言われたとおりに、空いている席に座った。
「じゃあ、好きなものを頼んでね。私はレタスのサラダにしようかな。あ、でも、カエルの唐揚げも食べたいかも……」
「なら、私がカエルの唐揚げを頼むね! 一緒に食べて欲しいな……」
「それなら、私に相応しい一番高いメニューを……」
「めぐみんお金持ってないのに一番高いの頼むの……?」
「ゆんゆんうるさいです! いつか未来の私が返すので問題ありません!」
「好きに頼んでいいって言ってたからねー。めぐみんの食べたいもので大丈夫だよ。じゃあ、頼むものも決まったし、注文しちゃおうか。すみませーん!」
三人分の注文を済ませたから料理を待っているんだけど、遠くに見えるクエストボードにどんなクエストがあるか気になって、つい眺めちゃっているんだけど、この席からは遠くて、紙が貼られている事しか分からない。
「すとれはクエストボードが気になっているようですね! では私が代わりに見てきましょう!」
「ふふっ、めぐみんも気になってたんじゃないの? 行ってきていいよー」
「す、すとれの代わりに見に行くだけですからね! 気になってませんから!」
図星だったからか、めぐみんは顔を赤くしながらクエストボードの方に向かっていった。アクセルは駆け出し冒険者の街だから、私達でも攻略できるクエストはあるはずだよね。私達三人とも魔法使い職だけど、全員が上級魔法を使えるから、何とかやっていけるはずだって思っているんだけど、甘い考えなのかな?
もしダメそうだったら、誰かにパーティに入って貰う事になるかも。ゆんゆんもめぐみんも人見知りだから、新しく入った人と仲良くなれるか心配だなぁ。
それにしても暇だよね。ゆんゆんはチラチラと私を見てはいるけど話し掛けてはくれないから、それなら私から構って貰えるように声を掛けちゃおうかな。
「めぐみんが行っちゃったから暇だし、ゆんゆん構ってー!」
勢いに任せて、暇そうにぼーっと座っているゆんゆんに抱き着いた。料理が来るまで暇だからゆんゆんと遊んで待っていよう。
「ええっ!? す、すとれの顔が近すぎてしゅごい……」
ゆんゆんの身長って私より10センチくらい高いから、抱き着くと下から顔を見上げる形になっちゃうんだよね。ゆんゆんってまつ毛が長いなぁなんて思いながら顔を眺める。
「か、構ってって何したらいいの!?」
「んー? 何でもいいよー」
特に何もする事が無いし、雑談でも遊ぶでも、ゆんゆんがしたい事をすればいいと思うな。
それにしても、紅魔族特有の紅い目ってルビーみたいな色で綺麗だよね。ゆんゆんの目は他の紅魔族以上に深い紅色だから余計に綺麗に見える。目も大きいし二重で可愛らしくて、アクセルの冒険者達にモテモテになっちゃうんじゃないのかな?
「何でもいいの!?」
「私に出来る事なら大丈夫だよー?」
目を紅く光らせてるゆんゆんを見て思ったんだけど、何で紅魔族の瞳って感情が昂ると光るんだろう。体に何故かバーコードみたいなのも付いているし、実は改造人間だったり? 流石に、そんな訳ないよねー。暇だからつい変な事を考えちゃった。
「じゃ、じゃあ……目をつぶってくれる?」
「いいよー」
言われた通りに目をつぶる。何をしてくれるんだろ? 手品でもしてくれるのかな? それとも、何かプレゼントしてくれるとか? なんだろなー?
「次に……ほ、ほっぺを触ります。あっ、目はそのままつぶったままがいいかな」
「わかったー」
ゆんゆんの手が頬の両側に触れて、冷たさを感じた。ここから何をしてくれるんだろう?
「じゃあ……そのまま動かないでね」
「うん」
どんなサプライズが来るか分からないから、ドキドキしながらゆんゆんの行動を待っていると。
「戻りましたよー! 私達に合ったクエストを請けてきま……ってゆんゆん!? あなたすとれに何をしようとしているんですか! 離れてくださいっ!」
「きゃあ!? めぐみん何するのよ!?」
「わっ、びっくりしたよ。めぐみんもそんなに慌ててどうしたの?」
私とゆんゆんの間にめぐみんが割り込み、私達を勢いよく引き剝がした。そんなに必死に離そうとするなんて、ゆんゆんは何をしようとしていたんだろう……?
「どうしたの? ではありませんよ! すとれはゆんゆんにいかがわしい事をされそうになっていたんですよ!」
「えっ? 待って、めぐみん! 私いかがわしい事なんてしようとしてないよ!?」
「じゃあ、なんですとれにあんなに顔を近づけていたんですか!?」
確かにゆんゆんの吐息を顔に感じた気がするけど、顔を近づけて何をしようとしていたのかな?
「だって……しかったんだもん!」
「えっ? すみません、上手く聞き取れなかったんですけど……何をしたかったんですか?」
ゆんゆんは耳まで赤くなるくらいに恥ずかしそうにしている。ボソボソと喋ったせいで、私も声を聞き取れなかった。
「すとれに……手作りのチョコレートを食べて欲しかったの!」
「へ? 手作りチョコレートですか?」
「そうよ! 紅魔の里を出る日に作っていたけど、美味しいか不安だったし、見た目も微妙だったから恥ずかしくて渡せてなかったから、何でもしていいって言ってくれたから食べて貰おうとしてただけなのに……」
そうだったんだ。僅かに甘い香りがしたのは、チョコレートの香りだったんだね。普段料理をしないゆんゆんが私の為にチョコレートを作ってくれるなんて、それだけで嬉しい。
「で、では何ですとれに目を閉じさせていたんですか!」
「さっきも見た目が微妙って言ったでしょ……。だから、見て欲しくなかったんだもん」
そう言って、ゆんゆんが懐から取り出した、小さな箱の中にはハートに象られたチョコレートがいくつか入っていた。形もハートだってわかるし、見た目は悪くないって思うけどね。
「すとれに食べて貰いたかっただけなのに……」
「誤解してしまいすみませんでした……。って、ゆんゆん! 手に持ってるチョコが溶けてますよ!?」
「わああ!? ど、どうしよう垂れちゃう!?」
めぐみんに説明している間、ゆんゆんはずっとチョコレートを持っていたから、溶け始めて指から地面に滴り落ちそうになっているけど、どうしたらいいのか分からなくなっているみたいだから、私が何とかしないと。
「ええっと……任せて!」
チョコが垂れかかっているゆんゆんの手を取って、顔に近づけて指に付いていたチョコレートを舐め取る。掌にあったチョコレートも口で咥える事が出来たので、地面に落ちずに済んだ。うん、ちゃんと美味しく出来てるよ!
「えっ……? すとれが私の指を舐めて…………エンッ!!」
「ゆ、ゆんゆんー!?」
チョコを食べて欲しがっていたから、食べただけなんだけど……鼻血を出して、テーブルに倒れこんじゃった。えぇ……。
「ゆんゆんには刺激が強すぎたんです……。すとれも自重してくださいね」
垂れそうになってたチョコレートを舐めただけなのに、ゆんゆんが気絶しちゃった……。
こ、これって私が悪かったの!?
めぐみん
ゆんゆんがすとれにいかがわしい事をしていると勘違いした。
ゆんゆん
エンッ!!ってなってた。
すとれ
ゆんゆんの指を舐めたら気絶されちゃった。
読んでいただきありがとうございました!
指舐めは女の子同士なら、R-15タグはまだ無くても大丈夫ですよね……?