尊敬してますアクア様!   作:天道詩音

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【本編】
そして異世界へ!


 

「あなたは死にました」

 

 突如、聞こえた声に驚いて、目を開けるとそこは真っ白な空間で、目の前には見たこともないほどの美しい女性が椅子に座っていた。

 

 流れる水のように鮮やかな青色の髪は幻想的な美しさで、神聖な雰囲気を纏っていて、後光まで射している姿はまるで女神のように見えた。

 

「佐倉優奈さん……。あなたは寝ている時に隕石の破片が直撃し、死んでしまいました」

 

 悲しい表情で告げられた言葉にどう反応すればいいのか分からない。寝ていたはずなのに、気づけばこの空間に居て、あなたは死にましたと言われている、この状況はどう考えても夢にしか思えない。

 

「夢ですよね?」

「残念ながら夢ではありません」

 

 現実感の無さから零れた言葉は否定される。まだ実感は沸かないけど、そっか……私、死んじゃったのか。

 

「パパとママは無事ですか?」

「幸い……と言っていいのか、あなた以外に被害を受けた人は居ません」

 

 パパとママが無事で本当によかったよ……。

 

「佐倉優奈さん、あなたには三つの選択肢があります。一つ目は天国に行って平穏に暮らすこと……ですが、天国には何も無く、死ぬ事も無いため、一日中日向で過ごすような生活を永遠に続けることになります。二つ目は……記憶は失いますが、生まれ変わって一から人生を歩み始めることです。そして三つ目は……記憶を残したまま異世界に旅立ち、特典で与えられる力を以て魔王を討伐することです」

 

 話の展開が速すぎて、ついていけて無いけど考えなきゃ。

 一つ目は天国に行ける。天国がどんな所か分からないけど、平穏に暮らせるのだとしたら、ここに行くのがいいと思う。でも永遠に日向ぼっこは嫌だなぁ。

 

 二つ目は生まれ変われるけど記憶を失ってしまう。記憶を失うってことは、私が居なくなるってことだよね? それは嫌だなぁ。まだ十三歳だったのに消えるとか嫌だよ……。

 

 三つ目はよくわかんないや。友達が話していた、アニメとかゲームの話みたいな事かな? でも魔王を倒すなんて私にはできないだろうし、なら行先は一つしか無い。

 

「私は天国に行きたいです!」

「分かりました。では異世界に……ってええぇ!? なにも無い天国選んじゃうの!? 異世界転生したくないの!?」

 

 今まで女神のように見えていた、神聖な雰囲気は気のせいだったのか、一瞬で消え去った。私が異世界に行かないことを選んだことが余程の驚きだったのか、慌てている姿は不覚にも可愛いなって思ってしまった。

 

「……えっと、なら異世界に行った方がいいですか?」

「あ、うん! そうよ、行くべきね! じゃなかった、コホン……あなたは異世界に行くべきですよ」

 

 素の出ていた可愛い様子から表情を整えて、女神様っぽくなったけど、誤魔化し切れていないと思うの。可愛いけどさ。

 

「えっと、女神様……でいいですか? 私、素で話して貰った方が嬉しいし、自然な感じがして、可愛いなって思いますから、普通に話して大丈夫ですよ!」

「そう、ならいつも通りに話すわ! 優奈でいいわね。あなたの生前の記憶を見て、こんなに良い子が早くに死んじゃうなんて悲しいなって思ってたから、送る時くらいしっかりしてあげなきゃって思って、いつもより女神らしくしてたのよ。あ、ちなみに私は水を司る女神アクアね」

 

 アクア様って言うんだ。水の女神がなんで死後の案内をしているかはよくわからないけど、女神様にも色々仕事があるのかな。

 

「アクア様よろしくお願いします! おすすめしてくれた異世界に行きたいって思うんですけど、そこはどんな世界なんですか?」

「ゲームとかアニメでよくあるやつ……って優奈はアニメとか全然観てなかったわね。優奈が行く異世界は人が魔物と戦う世界で、人は武器や魔法を駆使して戦ってるのよ」

 

 アニメとかゲームに触った事が無いってところまで知ってるんだ……。どこまで私の記憶を見たんだろう? 

 

 それにしても、魔法が使えるようになるんだ。どんなことができるんだろう? アクア様も使えるのかな? 本で読んだ魔法使いみたいに、私も魔法が使えるようになるのかな?

 

「私、魔法を使ってみたいです! アクア様も魔法を使えるんですか?」

「女神ですもの! とーぜん使えるわ! 優奈が行く世界で言う、アークプリーストが使える魔法は全て使えるわね。アークプリーストは仲間の支援と回復を行う職業でおすすめよ! 他にも水を司る私にしか使えない魔法もあるわね!」

 

 アークプリーストいいかも。よし、異世界に行って、皆を助けられるようなアークプリーストを目指していこう! そのためにも特典としてアークプリーストになれる力が欲しいな。それに、アクア様みたいな凄いことができるようになりたい!

 

「じゃあ、特典はアクア様と同じように魔法を使えるようになりたいです!」

「可愛いこと言うじゃない! いいわ、その願い叶えてあげる! 私みたいになりたいなら、世界最高クラスの高魔力と、私くらいの支援魔法の才能が要るわね! ついでに私の加護もたくさん込めてあげるわ!」

 

「そんなにたくさんも! ありがとうございます!」

「えぇ! それじゃあ、向こうに行ったら好きな事をして、人生を楽しみなさいよ! 魔王を倒すなんて二の次でもいいの。だって、それだけを目標にして生きるなんてつまらないじゃない!」

 

 楽しんでいいんだ……! 魔王を倒すために戦い続けないといけないのかなって不安な部分もあったけど、好きに生きてもいいんだ! それなら毎日を楽しく過ごして、幸せに生きていこう!

 

 光が私を囲んでいく。白い光の壁が私とアクア様の間にできて、アクア様が何か言っているけど聞こえない。地面からは光の粒子が飛び出して空に舞っていく。

 

 きれいな光だなと思って見ていたら突如、光の色が赤い色に変わって、警告音のような音が大きく響いた。

 

『重大な規約違反を発見しました。転生特典を複数付与する事は天界規定により処罰の対象となります』

 

 機械音で聞こえてくるこれはどう言うことなんだろう……? 私、どうなっちゃうの!? アクア様、どうしたらいいの!? ってアクア様の方を見るとすごく慌てている様子だった。

 

 本当に大丈夫なの!? って思った瞬間、目の前が真っ暗になって、身体が動かせなくなっていた。

 

 何も見えない暗闇の中に居たら、どんどん眠くなってきて意識が薄れていく。こわい、また死んじゃうのかな……。

 

 そう思ったのを最後に意識を失った。

 

 

 眩しい光に突然包まれた。僅かに周りから喜んでいるような声が聞こえる。瞼は重たいけど何とか目を開くと、黒い髪で赤い目をした男女が目の前に現れた。

 

 

「すとれちゃん、生まれてきてくれてありがとう」

 

 

 『すとれ』それが今世での私の名前だ。紅魔族って言われる、高い魔力と魔法の才能を持つ種族を両親に持った私も紅魔族だった。

 

 今日は5歳の誕生日なんだけど、この年齢になるまでの道のりは本当に大変で思い出したくはない。一言だけ言えるとしたら意識がある状態で、赤ちゃんをやり直すのは大変だって事……も、もう忘れよう!

 

 パパとママも過保護だったから、5歳になるまで一人で外出することを許されていなかった。でも、それは昨日までの話。早速これから、里の中を探検に行っちゃおう!

 

 この扉を開けたら私の冒険が始まるんだ! なんて、勢いよく扉を開けて一歩踏み出したら、目の前に私と同じくらいの年齢っぽい女の子が、驚いた表情でこちらを見ていた。

 

「えっと……こんにちは。驚かせちゃった?」

「お、驚いてなどいません! 我が名はめぐみん。ゆいゆいとひょうざぶろーの娘にして、やがて紅魔族最強になる者!」

 

 扉がいきなり開いたから、びくってしてたの見てたけどね! それにしてもこの名乗り私もやらなきゃダメなのかな。わっ、ちょっと恥ずかしいかも……。ど、どうしよう!?

 

「し、失礼しましたー」

「ちょっとなんで扉を閉めるんですか! 開けてくださいー! 開けろー!」

 

 このあと恥ずかしさを我慢して、ちゃんと名乗った。




アクア様
転生特典を複数持たせて転生させたのでお偉いさんに怒られる。
主人公がいい子だったので珍しく女神ムーブで送り出そうとしていた。でも素の方がかわいいと思う。

主人公ちゃん
アクア様みたいになりたいと願った結果、なぜか紅魔族として生まれ変わる。
友達100人できちゃう系の女の子。
新しいママパパは過保護みたいです。
『佐倉優奈』から『すとれ』へと生まれ変わった。

めぐみん
第一村人。かわいい。

読んでいただきありがとうございました!
キレイなアクア様もいいですよね!
普段のアクア様も大好きですけど!

と言う事で、このすば二次を連載していきます。
基本的に19時更新で今日から毎日投稿する予定です。

1話投稿時点で、投稿予約してるストックが15話分ありますので、ラストまで毎日投稿できると思います。たぶん。できなかったらすみません!!

それでは、次回から紅魔の里編が開始します。
次回も読んでくれたら嬉しいです!
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