「今日は冒険者カードが配られるらしいですよ! つまり私が紅魔族最強だって事を証明する日ってことですね!」
『なので見ていてください!』って笑顔で言ってくるめぐみんがかわいい。頭を撫でてあげたくなっちゃう。て言うか撫でた。
生まれつき高い知力と魔力を持つ紅魔族は、十二歳になる年に、『アークウィザード』と呼ばれる魔法使いの上位職に就けられ、そして、魔法の修行が開始される。
そして、私達がアークウィザードになるのが今日みたい。冒険者カードが配られるせいなのか、クラスのみんなもそわそわしていて落ち着きが無い様子だ。私も早くアクア様みたいに魔法を使えるようになりたかったから、この日が来てくれる事を心待ちにしていた。
アクア様みたいに魔法を使えるようになれる才能を特典に選んだから、魔法の才能は結構あるのかもしれない。
『冒険者カード』に登録すると冒険者になれる。その後に魔法スキルを習得する事で魔法は使えるようになるんだけど、魔法を使える条件としては回復魔法はプリースト、アークプリーストの職業を選択すると使用することができ、攻撃系の魔法はウィザード、アークウィザードになると使う事ができる。
その他の習得方法としては、冒険者って職業になって魔法を教わる事で、必要スキルポイントは増えるけど回復系、攻撃系スキルの両方を覚える事が出来る。
私としてはアークプリーストの職業を選んで、回復や補助系の魔法を使えるようになりたいところだけど、この学校では全員アークウィザードを選ばないといけないみたい。
紅魔族は元々、一族全員がアークウィザードになれるほど、魔法使いとしての素養が高い種族なので、将来を考えて全員にアークウィザードを選択させるとの事だった。
その事について、この前の授業の時に教えてもらったんだけど、私が自己紹介の時に紅魔族随一の支援魔法の遣い手になりたいって言ってたのを先生が覚えていたらしくて、支援魔法はアークウィザードだと覚えられない事を懇切丁寧に説明されちゃった。
でもいつかはアークプリーストを目指したい。冒険者カードで選べる職業の中に、アークプリーストの項目があったとしたらこっそりと選びたいって思っちゃうけど、ダメだよね?
もしアークプリーストの素養があったとしたのなら、将来的に、冒険者として一人立ちしてからアークプリーストになればいいか。職業は変更可能らしいからね。
「めぐみんは最強の魔法使いになるんだもんね。私は支援魔法でめぐみんをサポートしてあげるからね」
「すとれは相変わらず支援魔法が好きですね……。紅魔族たる者、攻撃魔法を極めるべきですよ!」
私も紅魔族だから攻撃魔法の素養はあると思うんだけどね。それでもアクア様みたいになりたいって思っちゃったんだから仕方ないの!
「でもめぐみん。紅魔族なのに補助魔法を極めた、異端の魔法使いってかっこいいって思わない?」
「た、たしかに! 異端の存在って心惹かれるものがありますね!」
よし、めぐみんチョロい!
紅魔族には格好良さで語ればいいって事は、第二の人生の中で一番の教訓だからね。
「だから私は唯一の存在を目指すことにするよ! あ、ゆんゆんにも応援して欲しいんだけどどうかな?」
「あっ、えっと……私も支援魔法使えるようにが、がんばります!!」
どうしてそうなっちゃったの!? 唯一の存在を目指すって言ったばかりだよね!?
相変わらずゆんゆんは面白いなぁ。二人でアークプリーストになっちゃうのも良いかなって思うけど、ゆんゆんって族長の娘さんだし怒られちゃうんじゃないかな……。
「それだと唯一じゃ無くなっちゃうからね。応援してくれるだけで大丈夫だよ?」
「まったく、相変わらずゆんゆんがボッチを拗らせて変なこと言ってますね」
「ボッチじゃないもん! 私にはすとれってと、友達がいるんだから……にへへ」
「うわぁ……」
ゆんゆんが友達って言葉に反応して笑い出したことにめぐみんがドン引きしてる……な、仲の良い二人だね! そう思うことにしよう!
「相変わらずゆんゆんとめぐみんって仲がいいね!」
「何言ってるんですか! こんな変人ボッチと仲良くなんてありません!」
「なによ! めぐみんだってすとれがいなかったらボッチじゃない!」
私がめぐみんに新しく友達が出来たって、ゆんゆんの事を紹介した時から、こんな感じで二人は仲良く喧嘩してるんだよね。喧嘩するほど仲がいいって言うし、相性はいいのかも知れないね。
「違いますー! え、えーっと……あっ、こめっこが居ますから! ボッチじゃないです!」
「妹は反則よ! それなら、私にだってサボテンのお友達がたくさんいるもん! だからボッチじゃないわ!」
妹とかサボテンを友達にカウントするなんて、悲しくなってくるからやめようね……。私が二人に友達が増えるように協力してあげるから! なんて意気込んでいたところで教室の扉が開き、先生が入ってきた。
「みんなおはよう。今日は冒険者カードを発行するから早速移動だ。ついて来るように」
『冒険者カードきたー!』って皆で喜びながら先生について行くと、校長室に到着した。部屋の中心には大きな机があって、その上には水晶玉が置かれていた。あの水晶で登録するのかな?
「諸君、おはよう! 今日は冒険者カードを全員に配布する日だ。なので、改めて冒険者について説明しよう。
冒険者とは一言で説明するなら何でも屋で、主な仕事は街の外に存在するモンスター、もしくは人間に害を為すモノの討伐を請け負う者である。
冒険者は、各々が就く職業を選ぶことができる。
冒険者は討伐を繰り返すことで経験値が溜まり、レベルアップする。
冒険者はレベルアップによってポイントが増え、新たなスキルなどを獲得することができる」
モンスターの討伐かぁ。まだ一度もモンスターに会ったことは無いし、実感が沸かないんだよね。里を護っている大人たちが無傷で帰ってきているのを見ているから、そんなに大変じゃないのかな?
「そうだな……では、一番左にいるあるえから順に行うように。登録してアークウィザードを選択した後は、仮にポイントがあったとしても魔法は取得しないように。魔法を取ったら今日で卒業になっちゃうからね」
あるえが登録用紙に記入しているのを見ているとそわそわした気持ちが抑えられない。だって転生する前から憧れていた魔法がやっと使えるようになるんだもん。待ちきれないよね!
あるえは平均よりも知力と魔力が高いみたいで校長に褒められていた。私も大きな拍手をして、あるえを褒める。
「次、めぐみん」
「はい! では見せてあげましょう。紅魔族最強の魔法使い……誕生の瞬間を!」
めぐみんのステータスを確認した校長先生が、これは歴代最高の魔力と知力だと褒めたたえていて、周りの皆から拍手喝采が送られている。
めぐみんすごいなぁ……。本当に紅魔族最強の魔法使いになっちゃうかもね!
「ふふん! どうですか? これがあなたの親友の実力ですよ!」
すごいすごいと言いながら、めぐみんの頭を撫でていたら私の名前を呼ばれた。
記入用紙に自身の情報を間違えないように書いていき、冒険者カードを水晶にかざしたら水晶が輝き、カードに私の冒険者としての情報が書き込まれたので、校長先生にカードを渡した。校長先生はカードを見た瞬間、驚きの表情を浮かべた。
「す、すばらしい! 魔力の値が先ほどのめぐみんを上回って高く歴代最高の値を記録しており、知力はめぐみんより若干低いがそれでも歴代でも高い数値だ。そして運は低いが、他ステータスは全ての上級クラスに転職できるほどの高水準にまとまっている。これは紅魔族一と言ってもいいステータスだろう。しかもまだレベルは1だ。ここからどこまで成長していくのか……私には想像もつかない。つまり、紅魔族最強のアークウィザードがここに誕生だ!」
これが転生特典の影響なのかな……?
すごい高評価にびっくりしていると、周りのみんながすごい勢いで拍手してくれている。でもめぐみんだけが微妙な表情でペチペチと小さく拍手していた。
めぐみんごめん……一瞬で紅魔族最強の魔法使いの称号がこっちに来ちゃったよ……。
「あの……すとれ……私の最強の称号が一瞬で無くなったんですけど……この気持ちはどこにぶつけたらいいんでしょうか……?」
「えっと……なんかごめんね……」
落ち込んでるめぐみんには悪いけど、冒険者カードにしっかりと記載されているかを確認するためにも内容を見ていく。
能力の欄では魔力はめぐみんより高いけど知力では少し負けていた。やっぱりめぐみんって頭がいいんだね。でも知力も魔力も高いって事はこれはアクア様と同じくらいのステータスだったりするのかな? アクア様って知力も高そうだったし!
次にスキルの欄……ここは何も記載が無い。当然のことだけど、スキルは取得しなければ使えない。
だから、何も無いとは思いながらも、魔法の欄を見てみると沢山の魔法がそこに書かれていた。
『セイクリッド・ブレイクスペル』
『ターンアンデッド』
『セイクリッド・ターンアンデッド』
『セイクリッド・エクソシズム』
『セイクリッド・ハイネス・エクソシズム』
『セイクリッド・クリエイトウォーター』
『ヒール』
『セイクリッド・ハイネスヒール』
『ピュリフィケーション』
『フォルスファイア』
『パワード』
『ブレッシング』
何故か、沢山の魔法スキルを既に習得してた。
てことはもしかして、私って今日で卒業……!?
めぐみん
紅魔族最強の称号を一瞬で失い少し落ち込んだ。
こめっこを友達に数えたボッチ。
ゆんゆん
サボテンの友達はたくさん居る。でもボッチ。
すとれ
職業選択前なのに魔法を覚えていた。
アクア様ありがとう!
すとれの目からはアクア様は知力が高いように見えているようです。
読んでいただきありがとうございました!
冒険者カードの登録方法は、冒険者ギルドでの登録方法とは違います。だって、格好良さが足らないから!
紅魔族が格好良さを見せつけるチャンスを逃すはずはありません。せっかく生徒と言う観客が居るので、大きな水晶を改造して、冒険者カード登録を出来るようにしたのです。
なんて、妄想して替えちゃたのでした。