尊敬してますアクア様!   作:天道詩音

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初めての魔法!

 

 冒険者カード配布の日に、既に魔法を覚えていた私はその日の内に卒業――はしないで済んだ。

 

 校長先生に特例として在学を認めてもらうことになって、私が卒業する日は、アークウィザードが習得できる魔法スキルの『上級魔法』を習得した時に決定した。

 

 あの後、校長先生に魔法を既に覚えてることを説明したら、これは前代未聞だと言われて、かなり驚かれる事になった。

 

 覚えている魔法について確認されると、アークプリーストが覚える回復魔法と、支援魔法のスキルの全てを習得していたと分かった。それに効果が不明な未知の魔法を覚えている事も発覚した。

 

 私がアクア様を目指して、努力して覚えようとしていた魔法は、全て覚えていたみたいです。それもまだ職業を決める前の段階で。

 

 アクア様のお陰で、アークプリーストにならなくても支援魔法を使えるようになったので、今後の職業はどうしようかって考えたんだけど、悩んだ結果、アークウィザードを続けようって思った。

 

 アークウィザードになったとしても、支援系の魔法にスキルポイントを振れるって聞いて、それなら皆を守れる力も欲しいなって思った結果、アークウィザードになって攻撃系魔法も取得していこうと決めた。

 

 そして私が『回復魔法と支援魔法すらも使えるアークウィザードを目指します!』って言った瞬間、また皆が大きな拍手をして喜んでくれた。めぐみんも落ち込んでいた状態から回復したのか、一番大きく拍手をしてくれていた。

 

 そして私の次の番はゆんゆんだったので、水晶の前に行ったと思ったら、めぐみんに向かって指をさしてから大きく息を吸った。

 

「めぐみんには負けないんだから! 知力も魔力もめぐみんを超えてみせるわ!」

「族長の娘なだけあって、自信があると言う事ですか。いいでしょう、相手にとって不足はありません。かかってきなさい!」

 

 二人の勝負を見守るクラスメイト達がどうなるのかと盛り上がっている中、ゆんゆんの冒険者カードに情報が投影された。

 

「ゆんゆんのステータスだが、あー……一応、歴代でもかなり高い数値だぞ。だが魔力と知力のどちらもがめぐみんとすとれに負けている。だ、だが紅魔族の中でも高い方だから誇っていいことだ! お、おめでとう!」

「えっ……はい……なんかごめんなさい……」

 

 あっ……またゆんゆんが落ち込んじゃった。ゆんゆんって授業は真面目に受けていて、家でもやる事が無いからってサボテン(お友達)のお世話をしていない時はずっと勉強していたらしいから、めぐみんには勝てるって思っていたんだろうね……。

 

 これから一緒に学んでいって、強くなっていこうね。レベルが上がれば、めぐみんよりも強くなれるかもだし。

 

「レベルが上がれば一番になれるかもしれないんだから、元気出して! 私はゆんゆんがもっと強くなれるって信じてるから!」

 

 頭を抱えてしゃがみ込んでいたゆんゆんを撫でながら慰めていたら、元気が出たのか、ゆんゆんは立ち上がって私の手を両手で包み込んできた。

 

「一番って言うのは、すとれの一番の友達って事よね! 私がんばってレベルを上げるね!」

「はい? すとれの一番は私なんですけど……。何をバカなこと言ってるんですか?」

「バカじゃないわよ! バカって言う方がバカなのよ!」

「なら今言ったあなたはバカですね。ふふん、そう言えばあなたって私よりも知力が低かったですね!」

 

 服を引っ張りながら、『なによー!』『このー!』と、言い合ってる二人をどうなだめようかと考えていたら、袖を引かれたので振り向くとねりまきちゃんが隣に来た。

 

「すとれは相変わらずあの二人に好かれていて大変だね」

「手の掛かる子ほど可愛いって言うでしょ。あ、でも、ねりまきちゃんは手が掛からないけど、可愛いなって思ってるよ!」

 

 可愛いと言われたからか、少し顔が赤くなっているねりまきちゃんを見ていたら、なぜかため息を吐かれた。

 

「そんなことばかり言ってるから二人はあんな感じになってるんだと思うよ! それにそんな可愛く笑っちゃって……ほんとに気を付けるようにね!」

「えっと……? わかったよ?」

「分かってなさそうじゃん! そんな調子だといつか誰かに刺されちゃうからね!」

 

 ごめん全然わかってない! 刺されるって怖いんだけど!? あ、そんな事より、先生が怒り始めてるし、そろそろ二人を止めないとダメかも。

 

 二人をなんとかなだめた後は、配布が終わってないクラスメイトへ冒険者カードを配っていった。めぐみんとゆんゆんよりも高いステータスの子は出てこなかったから、二人は安心して胸をなで下ろしていた。

 

 配布の後に授業を受けた帰り道。支援魔法を使えるようになったので早速めぐみんとゆんゆんを連れて魔法を試しに学校近くの森に出掛けた。

 

「それにしても冒険者カードを作った時点で魔法を使えるなんて、すとれは本当に女神の加護を与えられているのかもしれませんね」

「ふふん、めぐみんもやっと分かってくれたんだね!」

「え、待って、私その話知らない!?」

 

 まだめぐみんと出会ったばかりの時に、そう言えば話していたんだ。夢の話としてアクア様に会って、支援魔法の才能とアクア様の加護が与えられたって教えていたんだよね。結局信じて貰えなかったし、それどころか『すとれはアクシズ教に入信していたんですか……!』とかなり心配された事を思い出した。

 

 アクシズ教団はアクア様を崇める宗教で、この世界だとアクシズ教徒の人達は全員関わっちゃいけない人扱いになっている。教義の内容自体は悪いものじゃないけど、内容を拡大解釈して好き放題しているみたいで、結果としてアクシズ教徒は嫌われ者になっている。

 

 私としては、アクア様の事を尊敬しているからアクシズ教に入信してもいいかなって思っているけど、全力でめぐみんが止めてくるので、入信するのは止めて、アクア様へ心の中で祈るだけにしている。

 

「ゆんゆんに教えるはず無いでしょう! なぜならこの話は私とすとれだけの秘密なんですから! 二人! だけの! 秘密です!」

「二人だけの秘密……ず、ずるい! そんなの認めないんだから!」

 

 めぐみんの反応から、誰かに言っても信じて貰えなそうだったから。誰にも話さなかっただけなんだよね。でも、ゆんゆんなら何でも信じてくれそうだから、話してもいいかもなぁ。

 

 なんて考えていたら、また二人が服を引っ張り合って、仲良く喧嘩している。あっ、二人とも転んじゃったせいで、服が汚れちゃったじゃない。綺麗にしないと、里で笑われちゃうよ。服を綺麗にする魔法ってあるのかな? 

 

 あ、この魔法なら綺麗になるかも。

 

「えーっと、セイクリッド・クリエイトウォーター」

 

 服を綺麗にするイメージで二人に向けて魔法を唱えてみた。

 

 すると、二人の頭上から滝のような水が勢いよく降ってきた。勢いのありすぎる水流に5メートルほど二人が流されたところで水が止まった。

 

「え、えへへ……ごめん。服が汚れてたから綺麗にしようとしたらやりすぎちゃった!」

「えへへじゃないですよ! 確かに服は綺麗になってますけど、威力過多ですから!」

「えへへって誤魔化してるすとれかわいい……」

 

 と、とりあえずめぐみんには怒られちゃったけど、ゆんゆんは……気にしていないみたいだし、セーフだね! 

 

 思ったより水の勢いが強くてびっくりしたよ。

 

「と、とりあえず混浴温泉に行こっか! 三人で温泉デートだー!」

「私は騙されませんよ。行きますけど!」

「で、デート……えへへ」

 

 ほ、ほんとにごめんなさいー!




めぐみん
めぐみんのじと目はかわいい。

ゆんゆん
不憫なゆんゆんはかわいい。

ねりまき
ちょっとだけ登場。

すとれ
鈍感系主人公の可能性が……。
初の魔法使用で二人を水で流した。
温泉に行くことで誤魔化そうとしている。
頭紅魔族……?

読んでいただきありがとうございました!
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