ミュウツーとミュウ   作:イグのん

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未知なる可能性――メガシンカ――

ポケモンハンターに襲撃された高台遥か上空にて浮遊する飛行艇。

地上の辺り一面が見渡せる操縦席へと戻ってきたのは先程までターゲット捕獲へと出陣していたJ。

ハンターの中でもリーダーであるJは部下達からは常に尊敬と羨望の眼差しで見られていた。

圧倒的な強さと多くの部下を纏め上げるその圧倒的なカリスマ。

その絶対的な悪の存在に惹かれた者は決して少なくない。

 

 

だがJのJ足る所以はそこではなかった。

悪にとって必要不可欠な要素である非情の心。

時には仲間すらも切り捨てる程の冷酷非道な精神を持ち合わせた心こそがJの最大の強さである。

 

 

「「「「J様。お疲れ様ですっ!!」」」」

 

 

「次の依頼はどうなっている?」

 

 

「カントー地方からロケット団最高幹部様よりアブソル捕獲の依頼が入っています」

 

 

「……わかった……」

 

 

「…J様?」

 

 

必要最低限しか交わさないいつもの会話。

だが部下からはJの表情が少しだけ浮かないように見えたのだ。

らしくない一面を目の当たりにした事を疑問に思ったのか。

部下達は気付けば主を心配そうな目で見ていた。

 

 

だがJにしてみればそれは堪らなく苦痛でもあった。

自分より弱い存在に同情や情けの類を向けられている事自体がJにとっては自分を侮辱されている事に他ならなかったからだ。

それほどまでにJはプライドが高く、そんな所も部下が惹きつけられている要因の一つでもあるのだろう。

 

 

「何でもない。アブソルの捕獲に向かう」

 

 

「目標ポイントに向けて既に移動を開始しています」

 

 

「それから取引相手に連絡しておけ。今日中に商品を受け渡すとな」

 

 

「了解しました」

 

 

この飛行艇内にとって最早日常になったやり取り。

そんな日常ともいえる一時を変えたのは突如飛行艇を襲った巨大な振動だった。

 

 

「J様。最下層閉鎖室から地響きが発生していますっ!!」

 

 

「またアイツか……。気にするな、放っておけ」

 

 

「は…はい…。しかしJ様。何故あのポケモンを固めずに放置しておられるのですか?」

 

 

「気にするなと言った筈だ。三度目は無い」

 

 

「もっ、申し訳ありませんっ!!」

 

 

閉鎖室に監禁しているポケモンが起こしている地響きは何も今回に限った話ではない。

Jがそのポケモンを捕獲して以来、度々この飛行艇全体が揺れる地響きが発生しているのだ。

今でこそ地響きの頻度もなりを潜めているが、監禁した当初はその余りの頻度に飛行艇が墜落しかけた事も何度も存在した。

そんな危険分子をJは何故放置し続けているのか部下達は理解出来ない。

この飛行艇は自分達にとって必要不可欠とも言うべき移動手段なのだ。

地上でポケモンハンターの行方を追う警察の連中からの目を欺くステルス機能を持つこの飛行艇を失う事はポケモンハンター達にとっては致命傷だ。

最悪取引相手との信頼関係が崩壊し、商売としての息の根が完全に止まってしまう事も十分に有り得る。

そして部下達が更に疑問に思っていたのがそんな危険を背負ってまで捕獲する程のポケモンにも拘わらず、通常通りに石化させる事も無く閉鎖室に監禁している事だった。

一体何の為にこんな事を。

そんな部下たちの疑問や不安が心の声となって聞こえてくる様な状態であるが、Jは何処吹く風といった様子で監禁室のカメラ映像をモニターで注視し始めた。

 

 

映し出されたのは一匹のポケモン。

その手足には頑丈な鎖に繋がれた錠が嵌められており、完全にそのポケモンの動きを封じていた。

しかも拘束しているその錠にはポケモンの力を封じる特別な加工が施されている。

これによって拘束されたポケモンは自らが持つ力の殆どが封じられて技も出す事が出来なくなってしまう。

また鎖には電気が流れる仕組みになっていて、少ない力を振り絞り力づくで脱出を試みるポケモンへの予防対策となる。

 

 

正に万全の対策。

通常はこれ程の拘束具に張り付けにされた時点に完全に詰んでいる。

 

 

だが、モニターに映し出されたそのポケモンは余りに異例だった。

 

 

死んでしまわない様に最低限の食事を与えているとはいえ、精神には微塵も乱れが存在しない。

そのポケモンの格好は正に瞑想という言葉が相応しかった。

四肢を拘束された上で只管精神を集中させている。

そして時折動きに反応を見せたと思えば次の瞬間には途轍もない衝撃波がその部屋全体を襲うのだ。

 

 

そう、それは言うなれば波動。

ポケモンならば誰もが持つであろう生命エネルギー。

見るからに衰弱したそのポケモンはそんな不思議な力を見事に使いこなしていた。

それこそ誰の目にも明らかに見えてしまうほどに。

 

 

Jは初めてこの波動を見た時に心を奪われた事がある。

それは何処までも澄んでおり綺麗だった。

まるでポケモンの魂の色が具現化しているのではないかと錯覚するが、後にそれが波動という生命エネルギーと知った時に私は喚起した。

同時にそんな未知の力を使いこなす目の前のポケモンの強さに魅せられた。

このポケモンを自分のモノにしたい。

絶対的な力を誇るこのポケモンを私の手で絶対に服従させてみせる。

波動の力に見せられたJはその時からそのポケモンを閉鎖室へ監禁する事を決めていた。

 

 

思えばその頃だった。

ポケモンが持つ強さについて感心を持つようになり始めたのは。

その時の捕獲はいつもの獲物とは違い、多大な苦戦を強いられた。

普段なら苦も無く達成する捕獲もこの時だけは違ったのだ。

 

 

手持ちのポケモンは殆どが瀕死の状態に陥り、唯一生き残ったボーマンダも満身創痍の状態に陥った。

それだけの犠牲を支払う事で初めて倒す事が出来た。

初めての苦戦、初めての強敵にJは思わぬ苦渋を舐める結果となる。

無論結果はJの勝利に違いない。

だが、それはJからしてみれば不覚以外の何者でもなかった。

 

 

伝説のポケモンでもない。

幻のポケモンでもない。

世界中で見かけるであろう何の変哲の無いポケモン一匹にここまでの苦戦を強いられた事がJのプライドを傷つけたのだ。

 

 

二度とあのような醜態は晒さない。

その上で私に屈辱を味あわせてくれたあのポケモンを私のモノとしてみせる。

 

 

そう、これはJと監禁されているポケモンとの意地と誇りを賭けた一つの勝負だった。

ポケモンが制するのか。Jが制するのか。

その行方は正に神のみぞ知る結果となるだろう。

 

 

「様子は相変わらずか」

 

 

「ハイ。それからJ様にお渡しする物がありましてですね」

 

 

「私にか?」

 

 

「こちらになります」

 

 

そう言い、部下から渡されたのは光り輝く一つの腕輪だった。

 

 

「…これは?」

 

 

「いえ、私共にもよくわからないのですが。奴が填めていたその腕輪を気にしていた様子でしたので一応J様にお渡ししようと思いまして」

 

 

「……フム、その時奴はコレについて何か言っていたか?」

 

 

「うわ言の様に何かを呟いていましたが。確か……『コルニ』と。一体何の事か見当も付きません」

 

 

「そうか。ご苦労だった。下がれ」

 

 

「ハッ!」

 

 

Jに一礼すると部下は足早にその場を後にした。

同時にモニター画面に意識を戻し、拘束されているポケモンを観察する。

 

 

「必ずお前を私のポケモンにしてやる。待っていろ――――『ルカリオ』」

 

 

 

 

 

 

 

飛行艇最下層閉鎖室。

現在そこは廃墟と化していた。

原因はもちろんルカリオが起こした地響きである。

 

 

元々囚人を繋ぎ止めておくような部屋で手入れも碌にされていなかったのだが、現在はそれすらも気にならなくなる程の酷い参上だった。

ルカリオが背にしていた側の壁は所々が陥没し、クレーター状に幾つもの穴が開いている。

また床もルカリオの足元を中心に巨大な亀裂が走っていた。

 

 

そして極めつけは部屋の所々に飛び散った夥しい程の血痕だ。

その殆どは拘束されているルカリオ自身のものであり、現在生きているのが不思議な程の出血量でもある。

しかし現実としてルカリオは生きている。

正に風前の灯という瀕死の状態で。

 

 

「…………どう……やら……、……限界……か………」

 

 

モニター越しではわからなかったがすでに体力も限界を向かえ、ルカリオは気力で何とか意識を保っている状態である。

このまま放って置けばあと半日持つかどうかという感じだ。

 

 

既に持てる力は全て使い果たし、もう持ち前の波動を使いこなす事もままならない。

このままならば死は確実。

ルカリオ自身も現在の状態に陥り己が辿るであろう運命を悟り始める。

 

 

だが不思議と後悔は無かった。

もし、このままJに死ぬまで使い回される位ならばいっそこの場で死を選ぶ。

それがルカリオの決断だった。

 

 

そしてルカリオがこの決断に至った要因はもう一つ存在した。

 

 

「……コレとも…、ようやく……オサラバ出来るな……」

 

 

ふと自分の首の根元に視線を下げる。

そこには自分の体に埋め込まれた一つの石が光り輝いている。

 

 

それはルカリオの人生そのものと言っても差し支えない物だった。

名前は公には公表されていない。

それでも周りの一部の人がこの石をこう呼んでいた事はよく覚えている。

 

 

――メガストーン――

 

 

何でも特定のポケモンの真の力を引き出すものだという。

未知の可能性を秘めたこの石に対してあらゆる観点からの研究が行われた。

 

 

どのような条件で真価を発揮するものなのか。

この道具の効果、需要、価値、それこそ一から十まで隅々の可能性が検証された。

 

 

ルカリオもそんな中での実験ポケモンとして使われたのだ。

無論ルカリオがそんな事を望む筈も無かったが、無闇に拒絶し自分の家族ともいえるトレーナーに危害が加えられる事だけは避けたかった。

 

 

「……済まない……、……コルニ……」

 

 

もう二度と会う事の無いだろう生き別れた家族の顔がふと頭を過ぎる。

彼女の故郷であるカロス地方のシャラシティ。

何でもこのシャラシティにはある秘密が隠されており、コルニもこの秘密に関して何かを知っている様子だった。

気になって一度聞いた事もあったのだが、その時はなんやかんやで有耶無耶にされてしまいルカリオがその秘密について知る事は無かった。

 

 

だが、彼女の元を離れて研究施設に閉じ込められてからルカリオはその真相を知る事になる。

”メガシンカ”

それが隠されていた秘密の正体だった。

 

 

聞き慣れない単語に当初は首を傾げたが、今では一部の者にだけその正体は明らかにされていた。

 

 

それはポケモンの潜在能力を一時的に最高値まで高める正に次世代のポケモン達の可能性を秘めた発見でもあった。

メガストーンとキーストーンが填め込まれたメガリングを共鳴させる事で起こる進化現象の一つ。

その強さは余りにも強大だが、ポケモンにかかる負担も生半可なものではなく一度のバトルでメガシンカは一回出来るか出来ないかという結論が出されたほどである。

 

 

その鍵となる二つの道具も未だに入手経路が明らかになっておらず、その所有数の希少さから突然変異の一種ではないかとの噂も出回った位だ。

入手の困難、実例の少なさなどからこの”メガシンカ”に関してはデタラメという意見と真実という意見が二つに分かれ、結局信憑性が失われたままなのである。

 

 

しかし、それも最近になってコルニのシャラシティにメガシンカの秘密が隠されているという情報が何処からか流れ出し、その情報源を元に研究が再び進み始めたのだ。

そして遂に昨今このメガシンカが実用性に至る事が一部の研究者の間で発表された。

だが現実としては入手困難な事からまだこのメガシンカを起こすメガストーン及びメガリングの需要増加には至っておらず、殆どの者はこのメガシンカの存在自体を知らないのだが。

 

 

「…………?」

 

 

朦朧とする意識の中、ルカリオを含む部屋全体を突然地震が襲った。

 

 

しかしこれはルカリオ本人にしてみれば今までは自分自身がこの地響きを起こしていた為、自分以外が起こしているこの地震の発生については全く心当たりが無い。

そして何度も発生する地震の最中にルカリオは少しずつだが近づいてくる一つの波動に気が付く事になる。

 

 

それは異様という他無かった。

今までに感じた事が無い位の波動の強さだった。

ルカリオも今まで数々の戦いを潜り抜けてきた歴戦のポケモンであったが、ここまで強い波動は一度も感じた事は無かった。

 

 

だが不思議と不安や恐怖は沸いて来ない。

これ程までに強大な力を持つ何かが近づいてきているというのに気がつけばそれを唯一の希望とする自分がいる。

 

 

「何が起こっているっ!?」

 

 

「どうやら侵入者がいるらしい。早速向かうぞっ!!」

 

 

「おい、急げっ!!」

 

 

入り口の向こうが騒がしくなり幾つもの足音が駆け抜ける。

どうやら侵入者の仕業らしい。

 

 

一体何者なのだろうか。

 

 

この地震の発生源が知らない侵入者だと知った時にルカリオは慢心相違の体で一つの好奇心に捕らわれていた。

 

 

遠ざかっていく足音に比例して徐々に静かになる艇内。

そして時間が経つにつれ、強い波動が間違いなく近づいてきている。

 

 

一体どれ程の時間が経ったのだろうか。

時間にしてみれば数分も経っていないのだが、不思議と長く感じてしまうこの静寂。

閉鎖室に閉じ込められてから何度も感じたこの孤独感。

 

 

それはどこまでも冷たくとても耐えられるものではなかったが、もうそんな事がルカリオにとってどうでも良かった。

 

 

静寂の中に一つだけ存在した近づいてくる微かな足音にルカリオの全神経は向けられているのだ。

それが人間の足音では無いことはルカリオは瞬時に理解すると同時に問題の足音が入り口の扉の前で停止した。

 

 

そして次の瞬間だった。

 

 

強固な閉鎖室の扉が唐突な爆発によって吹き飛ばされる。

 

 

「っ!?」

 

 

まるで打ち捨てられたボロボロの木材の様に宙を舞い粉々になってしまった扉。

爆発から発生した砂塵の中に確認できる一つの影。

 

 

それは果たして誰なのだろうか。

 

 

「…………誰だ…………?」

 

 

謎の影にルカリオは一言問い掛ける。

答えが返ってくるかどうかも定かでは無いが聞かずにいられなかった。

 

 

Jでは無く部下でも無い。

 

 

果たして自分にとって目の前の存在は敵なのか、味方なのか。

そんな事を考えている中、謎の影が己を包み込む何かを振り払うか如く静かに言い放った。

 

 

「……私の名は、『ミュウツー』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ポケモンハンターの飛行艇内に見事潜り込んだミュウツー。

しかし艇内は予想以上に広く一つ一つの部屋を虱潰しに探さざるを得ない。

だがミュウツーの能力をもってすれば全てを虱潰しに探し回る必要は無かった。

 

 

固められているポケモンも死んでいる訳では無い。

確かに見た目は何の反応も示さないが、その状態でも生命エネルギーである波動は発生しているのだ。

ミュウツーも波動を感じ取る事が出来る数少ない存在の一つである為、ポケモンの波動の痕跡を辿る事である程度の捜索短縮が出来る。

 

 

だが間も無くミュウツーは己が犯している致命的な一つの失態に気付く。

 

 

そう、肝心の救出するポケモンが何なのかがわからないのだ。

 

 

シロナから肝心の救出するポケモンについて聞き忘れていたミュウツーはどうしたものかと思案していたが、考えていても埒が明かないと察したのか捜索を開始する。

いざとなれば捕獲されている全てのポケモンを連れてこればいいだけの話なのだから。

 

 

しかし先程から感じられる波動は微細な為、痕跡を掴むのがミュウツーでも困難を極めていた。

寧ろ艇内を歩き回る度に現れるポケモンハンターの部下がミュウツーの行く手を遮っている事も捜索が捗らない原因の一つになっている。

 

 

だがそんな部下にミュウツーをどうこう出来る筈も無くポケモンバトルが始まって間も無く決着がついてしまっているのだがそれでも塵も積もれば山となる。

先程から天井知れずに沸いてくる部下にミュウツーは苛立ちを徐々に見せ始めていた。

 

 

そして遂にその苛立ちが臨界点を超えたのか。

 

 

ミュウツーは己が力の一部を目の前の部下達の前で披露してしまう。

 

 

それは最早阿鼻叫喚であった。

ミュウツーの周囲を取り囲んでいた数十体のゴルバットは完全に気絶している。

その上目の前に立ちはだかっていた部下達はミュウツーの圧倒的な力の前に恐怖の余りに腰を抜かしていた。

 

 

やってしまったと後悔するミュウツーだがそれも一瞬で次の瞬間には普段の無表情に戻り周りの部下を気にも掛けずに捜索を再開する。

その中でミュウツーは感じ取れる波動の中で一つだけ妙な波動を感じ取っていた。

 

 

その波動のみ、他の波動と比べて先程から急激な変化を現しているのだ。

数多く感じ取れる波動の中でも時に大きくなったり小さくなったりと絶え間無く変化してるのは一つだけなのでより一層目立っていた。

 

 

他に当ても無く、激しく変化する波動を目印に捜索を始めるミュウツー。

僅かずつだが波動の発生源が近づいていく。

時折邪魔な部下が妨害に現れるがそんなのは物の数では無い。

 

 

邪魔な虫を払うが如く外敵を排除しつつ目的の場所へと近づいていく。

そして遂に波動の発生源と思わしき部屋の前まで辿り着いた。

 

 

強固な扉の中から確かに感じる一つの波動。

間違いなく何かがこの中にポケモンがいる。

 

 

そう確信したミュウツーは意識を集中させて念動力を扉に送り込む。

 

 

”サイコキネシス”

 

 

ミュウツーの最も得意とするエスパー技の一つでもあるこの技はあくタイプのポケモンを除くあらゆる相手に対して有効である。

その圧倒的な念動力は強固な扉をまるで粘土の様に捻じ曲げていく。

そして頃合を見計らいミュウツーは右手に力を集約させて邪悪な球体を作り出す。

 

 

”シャドーボール”

 

 

ゴーストタイプの技でこれもミュウツーの得意とする技の一つである。

遠距離攻撃も出来て連射も可能という使いやすさで注目している技なのだが、それはあくまで膨大な力を宿すミュウツーだから出来る芸当だ。

並みのポケモンが同じ事をすればあっという間に力を使い果たしてしまうだろう。

 

 

以上の二つの技を使う事で扉は跡形も無く吹き飛んでいた。

明らかになる室内。

その部屋の奥に監禁されている一匹のポケモン。

 

 

ナナカマド博士にポケモン図鑑を渡された時にシンオウのポケモンについて一通り情報に目を通していたミュウツーは目の前のポケモンがルカリオだと理解する。

しかしそのルカリオは図鑑で見た姿とは異なる部分が存在した。

 

 

一つは体の一部が微妙に違っていた。

正確に言えば体の一部に通常のルカリオには無い赤い模様が見られ、髪の毛であろう部分も通常よりも長い。

 

 

そしてもう一つ気になる部分があった。

実際ミュウツーが一番初めに気が付いたのもこの部分である。

 

 

それはルカリオの目と首の部分だった。

 

 

眼の前のルカリオの両目には夥しい傷跡が見られた。

両目をずっと閉じているのもその時の後遺症で目が見えなくなってしまったのだろう。

 

 

ルカリオの首の根元で光り輝く一つの石。

 

 

それはどこまでも清んだ輝きを放っており、夜空に光り輝く星の如く綺麗な色をしている。

 

 

「…………誰だ…………?」

 

 

目が見えないであろうルカリオは此方の気配を感じ取ったのか。

衰弱し切った体を僅かに起こしてミュウツーに問いを投げる。

 

 

その仕草一つを見ていても目の前のルカリオがどれ程瀕死の状態かは瞬時に理解できたミュウツーは端的に、そして静かに自分の名前を口にした。

 

 

「……私の名は、『ミュウツー』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミュウツーとミュウ『座談会』

 

 

はーい。皆様おはこんばんちは。イグのんです。

今回も張り切って座談会やっていきますよ。

準備は良いかーーっ?

 

 

「ミュウ~♪」(『オーッ!』と言わんばかりに片手を振り上げている)

 

 

「準備はOKだ」

 

 

さて、今回はルカリオの登場ですね。

しかもこのルカリオ、何とメガシンカした状態です。

話にも出てきましたがコルニのルカリオです。

作者の私に関してはDP以降の作品はそこまで詳しくありません。

なのでメガシンカやルカリオの設定が原作とは違うかもしれません。

不快になられた方は申し訳ございませんでした。

ルカリオが喋っているのはまぁ劇場版でもルカリオは一部の作品では言葉を話していたのでアリかなと思った次第です。

 

 

「……色々と波乱万丈だな」

 

 

「……」(『ヤレヤレ』と言わんばかりに溜息をつき)

 

 

う…、ほ、ほっといて下さい。

それよりふと思ったんですけど、こうして考えるとミュウツーとルカリオって色々似てますよね。

 

 

「…あまり意識をした事は無いがな」

 

 

ほら、とあるゲームでは貴方の変わりにルカリオが出てたりしてましたし、戦闘スタイルとかも酷似してますし。

 

 

「………、そう言われれば確かにそうかも知れんな」

 

 

このルカリオが今後ミュウツーとミュウの二匹とどう関わっていくのかは次回以降のお話にご期待ください。

それでは今回はこの辺りでお別れです。

 

 

「また次回もよろしく頼む」

 

 

「ミュウ~♪」(ピコピコと手を振っている)

 

 

 




お待たせ致しました。
6話投稿です。
気が付けばお気に入り登録が倍近くに増えており感動の極みです。
今後も『ミュウツーとミュウ』を宜しくお願いします。

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