プロセカの世界に転生したので皆を救いたいと思います(制限時間付き)   作:蛮族さん

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どうやら瑞希ちゃんはトランスジェンダーでない可能性が高いようです...原作との矛盾が生じてしまいました...申し訳ございませんm(__)m...
瑞希ちゃんの設定関連の詳細は、感想のTS秋月様との応答で載っているので、見ていただけるとわかると思います。




第十二話 【心酔】前編

ボクには、小さい頃から仲の良い男友達がいる。

彼はとにかく優しい、ボクがトランスジェンダーであるということを受け入れてくれると思える程に。

 

「君...さっきからずっとあの洋服を見てるけど、どうかしたの?」

 

「っ!いや何でもないよ!」

ボクが展示されている洋服に釘付けにされたタイミングで、声をかけられた。

 

「そっか、でも、君にはあの服が似合うと思うけど」

彼は優しく微笑んで、そう言った。

 

「それってどんな意味___」

 

「あ!響!勝手にうろつかないでよ!迷子になったらどうするの!」

 

「ごめん!俺もう行かないと殺されちゃうから!またね!」

 

「あっ...」

ボクが彼に手を伸ばそうとしたときには、既に届かないところまで行ってしまっていた。

 

あの言葉は、一体どんな意味なんだろう?

あの洋服が...ボクに似合う?

今のボクの服装は、完全に男の子だと言うのに...

 

「お!また会ったね!」

 

「ひ、久しぶり...」

ボクが公園のベンチに座っていると、元気な声が聞こえてくる。

この前に、あの洋服がボクに似合うと言ってくれた男の子だった。

 

「ところで、なんで公園に遊びに来てるのにそんな暗い顔してるんだ?せっかく来たんだから楽しくいこうぜ!」

彼はボクの手を引っ張って、彼が遊んでいたグループに入れてくれた。

...そのグループには、彼以外男の子がいなかったのが疑問だったけど、そんな疑問が気にならないぐらいには楽しかった記憶がある。

 

「そういえば自己紹介がまだだったね。俺は藤原 響、呼び名はないから、好きなように呼んでくれ!」

 

「う、うん...よろしく...ボクは暁山 瑞希、瑞希って呼んでくれると嬉しい...」

ところどころよそよそしいけど、ちゃんと自己紹介はすることができた。

こんな風に、ボクのことを暖かく迎え入れてくれた人なんていなかったから、少しうれしかった。

 

学校では、自分がかわいいものが好きだと言えば、周りの色んな人達から【気持ち悪い】と言われた。

 

そんなことがずっと続いて、やがてデマも含めて色んな情報が学校中に広がった。

 

男のくせに、女子ぶっていて気持ち悪い。

男のくせに、女子みたいな言動や行動が気持ち悪い。

男のくせに、好きになる性別が男で気持ち悪い。

 

例え初対面だとしても、学校中に広がった情報のせいで避けられる。

 

前まで普通に話せていた友達にも無視されたり意地悪されたりした。

 

こうやって、ボクは独りぼっちなった。

 

ボクはただ、かわいいものが好きだと思っただけなのに。

男の子が好きなかっこいいものじゃなくて、かわいいものが好きになっただけなのに...

 

「わ~!瑞希ちゃんってやっぱり可愛い!学校でもモテモテだったりするの?」

 

「そ、そんなことはないよ...」

キラキラとした目で、そう聞いてくる杏ちゃん。

可愛い...言われ慣れてないこと言われたせいか、少しむず痒い。

 

「ちょっと杏!そんなに詰め寄らないの!瑞希さんが困ってるでしょ!」

私にグイグイと詰め寄ってくる杏ちゃんを引き離す遥ちゃん。

 

「だって気になるじゃん!肌だって真っ白で綺麗だし!コツとかも知りたいじゃん

?」

 

「だからってねぇ...」

元気な杏ちゃんとは対照的に、頭を悩ませる遥ちゃん。

...というか、この雰囲気から考えると、ボクは女の子って思われてるのかな?

 

ボクが男の子あと言いにくい状況で困惑しているっていうのと、自分が女の子って思われてうれしい感情が混ざり合って、少し悶えていると、砂場の方から声が聞こえた。

 

「遥~!ご要望のペンギンが完成したぞ!」

 

「ペンギン?...」

ボクは目を凝らして砂場の方を見ると...

 

「かわいい...!」

 

「すごいじゃん響!なににれ!」

 

響君の身長の半分はあるであろう、ペンギンの像があった。

 

「す、すごい...」

 

こんな風に、響君のおかげで、学校では独りぼっちでも大丈夫だった。

学校でどれだけ傷ついても、響君に会えば忘れられたから。

 

 

 

---

 

 

 

「ねぇ響...ここどこ?...」

ボクは今、響に目を手で隠されて、何も見えない。

 

「ん~、それは着いてから教える!」

ボクが不安でいっぱいだというのに、対する響は元気だった。

 

いつもの公園じゃなくて、今日は広場に来てと響に言われた。

その広場は、ボクと響がいつも遊んでいる公園よりも広くて、綺麗だった。

でも、遊び慣れた遊具もなければ、周りに知っている人は誰もいなくて、正直不安だった。

 

それと同時に、響と二人っきりでいれるうれしさもあったから、複雑な心情だったのを覚えてる。

 

広場に着いて、数十分間、響と話していると、急に響がこう言った、

「ちょっと瑞希に見せたいものがあるからさ!ちょっとこっち来て!」

 

「え?」

気づいたときには、響はボクの手を引いていた。

ボクの手よりも少し硬くて、暖かくて...安心する手。

この手で響は、ボクのことを癒してくれた。

 

ボクの涙を拭ってくれた。

ボクの頭を撫でてくれた。

ボクのことを、孤独から引っ張り出してくれた。

 

今までのことを思い出すだけで、胸の奥が熱くなる。

 

そんな風に、体が火照っているボクなんか知らずに、響はボクを引っ張って、広場を走り出していく。

 

「ここらへんでいいかな?」

 

「ここって?...」

広場を走り抜けた先にあったのは、木がいっぱいある森だった。

さっきまで、家族連れの人たちや、噴水などがあった広場の近くにあるとは思えない程、静かな場所だった。

 

「それじゃあ~、ほい!」

 

「わっ!?」

ボクの視界が、突然真っ暗になった。

 

「ここから先は企業秘密だからなぁ、すこ~し我慢してくれ~」

 

「う、うん、わかった...」

突然顔を触られたからびっくりして、変な声が出ちゃったけど、ボクはそのまま響の言われた通りに歩いていく。

 

チュン、チュンと、スズメのさえずりが聞こえてくる。

 

「瑞希はさ、綺麗なものって、好き?」

後ろから、響の声が聞こえてくる。

 

「綺麗な...もの...」

ボクはかわいいものは好きだ。

でも、綺麗なものはどうなんだろう?

 

月だったり、遠くから見た海。

それ以外にも夕焼けだったり...色々あるけど...

 

「好きだと思う...見ていて落ち着くし...」

 

「おぉ~、そりゃよかった」

ボクの目を抑えている手が、少し震えたのがわかった。

...ボクが綺麗なものが好きで、安心したのかな?...

どうして震えたのかはわからないけど、悪いことではないのはわかった。

 

「よし!着いた!」

 

「着いた...の?...」

 

ゆっくりと、ボクの目を抑えている手が外されていく。

 

「うっ...」

ずっと視界を塞がれていたせいか、太陽の光でまたもや視界がぼやける。

 

「...っ...き、綺麗...」

少しずつ、視界が安定してくる。

 

「よかった、これを瑞希に見せたかったんだ!」

 

あたり一面が青く染まり、空の青と溶け合うような景色が広がっていた。

今まで見てきた、どんな光景よりも、この景色は綺麗に見えた。

 

「瑞希!こっちだよ!」

ボクがこの花畑に心を奪われていると、響がボクの手を引っ張っていく。

 

「ここって...」

この花畑の真ん中にある、小さな小屋。

言うなれば、秘密基地...のようなものなのかな?

 

「あぁそうだ!瑞希が思っているように、ここは秘密基地だ!」

響は、胸を張ってそう言った。

 

「ちなみに、ここを知っているのは、俺の...いや、俺と、瑞希だけだよ?」

ボクの耳元で、そんなことを言われる。

 

「っ!...そ、そうなんだ...」

ボクと...響だけの秘密の場所...

そんな言葉の響きに、ボクはゾクゾクした。

 

比べる相手なんていないはずなのに、ボクは何故か優越感を覚えた。

 

「そんな嬉しそうな顔をしてくれると、俺も嬉しいよ!」

 

「え!?嘘!?」

ボクは自分の顔をペタペタと触る。

ホントだ...信じられないくらい口角が吊り上がってる...っ!?

 

「いつからこんな顔だった!?」

 

「え?...多分この花畑を見せた時からずっとだけど」

 

「あ...うぅ...」

こんな顔を、ボクはずっと響に見せてたの?...

少しずつ、ボクの頭が熱くなっていく。

 

恥ずかしい...

 

そんな言葉が、ボクの思考を支配していく。

 

「俺は瑞希の笑ってる顔が好きだけど?...もしかして見られるの苦手だったりする?...」

 

ボクが落ち込んでいることを察したのか、響はボクの顔色を伺う。

 

「別に...そんなことはないけど...」

別に笑っている顔を見られることには抵抗はないけれど...響の前では可愛くいたかったから...なんてことが言えるはずもなく、ボクは微妙な返答をした。

 

「そっか、それならよかった...」

響は安心したのか、ほっと胸をなでおろす。

 

「あ!そうだ!」

隣に立っている響が、何かを思いついたのか、後ろにあった箱を開けていく。

 

「ぼ、ボクも手伝う?...」

 

「あぁいや大丈夫!そこにある椅子にでも座っておいて!」

響が指をさしたのは、木製のテーブルの近くに会った、二つの椅子。

 

「わかった...」

ボクは響に言われた通りに、椅子に座った。

 

「...え!?」

座った時、自然と窓の方に目が行った。

その瞬間、ボクは心臓が飛び出てくるぐらいには驚いた。

 

窓を見てみると、言わずもがな、青い光景が広がっている。

しかし、その真ん中には、白いラインで、ハートのようなもの作られていた。

 

これって偶然だよね!響がボクに...好きって伝えるためのものじゃないよね!?

 

バクバクと、うるさいくらいに心臓の鼓動が激しくなる。

 

「すまんすまんお待たせ!少し探すのに手こづって!」

テーブルにどんどんお菓子を置いていく響。

 

「うぅ...」

なんだろう...響の顔を直視できない...

今響のことを見ちゃったら、勢いよく抱き着いてしまうと思ったから...ボクは、その欲求を抑えるために、俯いた。

 

「ん?どうしたんだ?そんな俯いちゃって?」

 

「な、なんでもない...」

ボクは俯くのをやめて、響のことを見ないために、適当な方向を向いた。

 

「いやなんでもなさそうには見えないぞ?」

パリパリと、袋を開ける音がする。

 

「はい、あ~ん」

 

「?...」

急に響があ~んって言いだしたから、振り向いてみると、

 

「あ~ん」

 

「!?!?!?!?!?」

チョコがついた棒状のお菓子を持って、ボクに食べさせようとしていた。

 

これって恋人とかがやってるやつで、普通の友達にはやらないんじゃ!?

 

それじゃあ響はボクのことっ!?

 

ちょっと待って、落ち着いて...響が急にそんなことをするわけ...ないのかな?...

ボクは、昂っている感情を抑制して、状況を再確認する。

 

大丈夫...平常心...平常心で行けば...

 

「おろ?食べないのか?」

 

「たべりゅ!!あ、あぅ...」

 

「お、おう、そっか」

 

あまりにも急なことすぎて嚙んじゃった...しかも食い気味に反応しちゃったし...これじゃあ食い意地がある子みたいじゃん!...恥ずかしいよぉ...

 

「はい、じゃあ、あ~ん」

 

「あ、あ~ん...」

ボクは恥ずかしさからくる体の震えを我慢して、口を開ける。

 

サクッ!っと、軽い音がすると同時に、チョコの甘い味が口の中に広がっていく。

 

「美味しい...」

 

「だろぉ?俺のお気に入りのお菓子ベスト10に入るぐらいだからな!コレ!」

響は、眩しいくらいの笑顔を浮かべる。

 

それから数十分間は、最近の気に入っている番組とか、趣味とか、いろんなことを話した。

 

響は、ボクにいろんなことをしてくれる。

 

寂しい時は、寄り添って、ボクのことを癒してくれる。

 

胸が苦しい時は、一緒に乗り越えてくれる。

 

ボクに楽しいことを教えてくれる。

 

それなのに、ボクは響に何もできていなかった。

 

響が寂しいと思った時に寄り添ってあげた?

 

いいや、響が寂しそうにしてるところなんて見たことがない。

 

響が苦しい時に、一緒に乗り越えてあげた?

 

いいや、響の苦しそうなところなんて見たことがない。

 

響に楽しいことを教えた?

 

いいや、ボクは何も教えれてない。

 

ボクは響のことを何も知らないし、何もできてない。

 

さっきまで明るかったはずの視界が、急に暗くなってくるように感じた。

 

ボクは...響にとって得になるようなことを何一つできてない?...

 

「響は、どうしてボクにここまでしてくれるの?...」

心の底からの疑問だった。

ここまでいろいろなことをされても、ボクは何も返せない。

だって、ボクが響にあげることができるものなんて一つもないから。

 

「どうしてって言ってもなぁ...」

 

「俺はただ単に、瑞希にそうしてあげたいって思っただけだから、明確な理由なんてないよ」

 

「理由なんて...ない?...」

どういうこと?...

 

「まぁ言うなれば...無条件の愛的な?」

 

「愛!?」

 

「あはは!言うなれば、だよ」

 

「うぅ...意地悪...」

 

「人聞きが悪いこと言うなって!でも、意味合い的には本当だよ?」

 

響は、テーブルの上で、震えている手を包み込むようにして握り、

 

「瑞希のことを楽しませてあげたいし、笑顔でいて欲しいとも思う。だから間違ってはいないんだよ」

 

「そ、そうなんだ...ぼ、ボクも!響に対してそう思ってるから!」

 

「嬉しいよ」

響はそう言って、ボクの手にギュッと力を入れる。

 

「あぁ...」

ボクは、この瞬間、彼に恋をした。

 

ボクは、響のことが、好きだ。

 

 

---

 

 

 

「瑞希~!ちょっと渡したいものがあるんだけどさ」

 

「渡したいもの?...」

 

「はいコレ!この前の花で作った、髪飾り!」

 

「これ、響が作ったの?...」

 

「あぁもちろん!瑞希なら喜ぶかなぁって思ってね」

 

「...ありがと、大切に使う」

 

「おう、これからもずっとよろしくな!瑞希!」

 

「うん!ボクもよろしく!」

 




いや~、過去最高の難産でした。

ちなみに、響が瑞希に見せた青い景色の正体は、ネモフィラという種類の花です。
調べた限り、花言葉は「あなたを許す」らしいです。
次回の話にピッタリですね!(暗黒微笑)

あの花畑一帯は、すべて響の母親が所有している土地です...しかも、現在の響の父親を堕とす為に作った場所です...
まぁ、それから考えるに、あのハートは完全に告白用のものです。

響にあの場所を教えるようになった経緯

「お母さん!綺麗な場所とかってない?大切な友達のことを驚かせたくて!」

「あらあらそうなの...」
綺麗な場所...それに女友達の多いこの子のことだから、その大切な友達はきっと女の子...
大切な友達=響の恋人!

「わかったわ!お母さんに任せなさい!」

「ありがとう!」

...響のお母さんが悪いですね、これは...

瑞希は、今作の中では純粋な好感度...というよりかは、しゅきしゅき度がトップクラスの人物です。

幼少期の頃にこのキャラをもう少し深堀してほしいなぁ~という風に思っている人がいると思うので、 アンケートを取りたいと思います!ちなみに、現在公開されている話と書き溜めを合わせると、全キャラが登場済みです。 名前の右は登場回数です、書き溜めも含めています(男性キャラは除外させていただきます。正直男性キャラをメインにすると、私の文章力が一気に低下してしまいますので。すみません)

  • 星乃 一歌(2)
  • 天馬 咲希(1)
  • 望月 穂波(1)
  • 日野森 志歩(1)
  • 花里 みのり(1)
  • 桐谷 遥(1)
  • 桃井 愛莉(1)
  • 日野森 雫(1)
  • 小豆沢 こはね(1)
  • 白石 杏(1)
  • 鳳 えむ(1)
  • 草薙 寧々(1)
  • 宵崎 奏(3)
  • 朝比奈 まふゆ(2)
  • 東雲 絵名(1)
  • 暁山 瑞希(1)
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