プロセカの世界に転生したので皆を救いたいと思います(制限時間付き) 作:蛮族さん
「お~い奏~、部屋入るぞ~」
俺は、自分が作った料理を片手に持ちながら、
奏の部屋のドアを開ける。
ギギギと、ものすごく嫌な音が響き渡る。
開けた後のドアの後ろを見てみると、楽譜が大量に落ちていた。
部屋は見渡す限り楽譜だらけ、
さらにはカップ麺の残骸ばかり。
「ありがとう響、助かる」
そう言って、奏はぴょこんと椅子から降りて、
俺の料理をかっさらい、作業用の机に持って行った。
「おい、奏」
俺は、俺の奥底からメラメラと燃え続ける怒りを感じた。
「ん~?もぐもぐ...にゃにぃ?」
そんな俺とは対称的に、奏は平然と俺の料理を食べている。
「ゴミはゴミ箱に捨てるという約束はどうした?」
俺は、奏と一つの約束を結んでいる。
それは、奏の身の回りの雑務を週二で請け負う代わりに、
最低限の必要なことはしろという約束だ。
しかし、
「ちゃんとやってるから大丈夫...
床はゴミ箱」
ッフ、と誇らしげに言う奏。
「屁理屈言うなぁ!!」
俺は近くにあった残骸を手で握りつぶした。
「別に...いいじゃんそれぐらい、他の約束ならちゃんと守ってるし」
奏は、イタズラをしてバレた飼い犬のような反応をする。
「いや、全部守るっていうのも約束のはずだろ?」
「へ?ん~、なにしょれ、しらにゃい」
「食いながら喋るな!!人の話を真面目に聞け!!」
なんだろう、奏ってこうゆう性格だっけ?
この世界の奏は、ゲームの世界の奏よりも、音楽に対する執着心が強くなっている。
そもそも、奏の作曲に対する執念は、父が原因である。
奏の母親は病気で、奏が小さいううちに死んでしまった。
そして、そこからは奏と作曲家である、父親との共同生活。
そして、ある時、父親が担当していたCMの作曲で行き詰っていた時に、奏がアドバイスをして、CMは大成功。
そこからは父親に多くの仕事が割り当てられた。
しかし、そこで問題が生じた。
ある時、奏は父親の役に立ちたくて、一つの曲を作り上げた。
その曲はとても素晴らしく、父親は奏を称賛した。
しかし、世間では奏の曲が評価される一方で、
父親自身が手掛ける曲は古臭いと言われる。
父親は、評価されているのは自分か、それとも娘か?という問題に、大きなストレスを抱え倒れてしまう。
というのが、本来の道筋なのだが。
この世界では、俺が介入したことにより、少し変わっている。
それは、父親が倒れたあとの心の寄り処である。
この奏の父親のことは、本当に最後までどうしようか迷っていた。
そもそも、奏が父親の作曲関係に関わらせなければ父親が倒れることはない。
しかし、それでは奏の音楽に対する執着心が湧くことはなくなってしまう。
...でも、俺は奏の父親の安全を優先した。
だから、俺は奏にこう言った、
「お父さんのお仕事には絶対に関わっちゃだめだよ?」
と。
しかし、禁止されればやりたくなってしまうのが人間であり、
また、小学生が自分のことを抑制できるはずもなく、
奏は父親の仕事にアドバイスをしてしまった。
しかし、俺はそんなことを知るわけもなく、
父親が倒れるまで気づくことができなかった。
今でも、このことは後悔している。
俺がもっとちゃんと見ていれば、
もっと奏との信頼関係を厚くしておけば、
奏の父親が倒れることなんてなかった。
そこからは、本当に地獄だった。
ゲームの世界では、誰にも止められず、警告されずに父親の仕事に関わり、深い絶望を味わったというのに、この世界では、俺からの忠告を受けたのにも関わらず、という絶望に+αするかのような状況だ。
さらにはゲームの場合だと、父親やが倒れたのは中学生の時だが、俺の警告のせいで、奏がアドバイスするタイミングが早くなってしまい、まだ精神が幼い小学生の時に、父親は倒れてしまった。
人間は、もしもの世界がある場合、精神に大きな影響をもたらす。
そして、そのもしもの世界があった確率が高いほど、その影響は大きくなる。
俺の忠告を聞いていれば、父親は無事だった。
そんな悪魔のような言葉に、当時の奏は蝕まれていった。
そんな奏を放っておくことなんてできずに、俺はずっと側に居続けた。
そして、ずっと側に居続けた結果が、
「響、この曲聞いてみて」
片手で料理を食べながら、もう片方の手でマウスを動かし、曲を再生する。
「ねぇ、奏、今怒られている自覚ある?」
こんな風に、曲以外見えていない状態の奏が完成した。
---
「あ、そうそう、今日の午後なんだけどさ、
俺いないから、ちゃんと夜ご飯食べろよ~」
「え?...なんで?」
ピタリと、作業を進めていた奏の手が止まる。
「それがさ~、杏に遊びに行こうって誘われちゃってさ~、これは行くしかないでしょ?」
そう、今日の午後は遊園地で遊ぶ予定があるのだ。
しかも、遊ぶメンバーも、杏と遥とかなり豪華である。
俺の機嫌のよさとは逆を行くように、奏はどんどん不機嫌になっていく。
「そのさっきから言ってる杏って誰?女の人?」
奏は露骨に不機嫌オーラを醸し出す。
「いや普通に女の子だよ、前に話したことなかったっけ?」
というか本当に奏の機嫌が悪くなってきたな...
俺は奏の機嫌が最悪になる前にこの家から出ていかなければ、
今日遊園地に遊びに行くことは不可能になるだろう...
内心恐怖の感情が渦巻く中、俺は必死に平常心を装い続けた。
「それじゃ行ってくるわ」
俺は早歩きでこの家を出ていった。
---
「......」
誰もいなくなった部屋を見渡す。
前まであったいらない楽譜や、カップ麺の残骸が、きれいさっぱり消えている。
「あぁ、また床を汚さないといけない」
私はプリントされて数十分も経っていない楽譜を床にバラ撒いた。
私がこうして床を汚すのは、少しでも彼との時間を増やすためである。
彼が私の身の回りの雑務をするのは土日だけ。
そして、土日は朝の9時から夕方の5時まで。
ということになっているのだが、最初のころは掃除が追い付かず、夕方の7時ぐらいまでこの家にいてくれた。
でも、最近ではどれだけ汚しても午前中に片付いてしまい、時間の延長はできないでいる。
さらには、雑務の大半が終わってしまえば、午後に誰かと遊びに行ってしまう。
今日のことが最たる例である。
杏という女の人と遊園地に遊びに行くと言っていた。
...シンプルに言って、「なんで?」という思いが出てくる。
何故私がいるのに私以外の人たちを見てしまうのだろうか?
何故私のことをつきっきりで見てくれないの?
何故私を好きになってくれないの?
私が苦しかったときも悲しかった時も辛かった時も...どんな時でもあの頃は側にいてくれたというのに。
頭の中が嫉妬で埋め尽くされて、無性に腹が立ってくる。
そして、私の頭に一つの光景が浮かび上がってくる。
彼の隣に、私以外の女がいて、
私はそれを黙って見ているという光景だ。
「っっ!!!!!!!!!」
その瞬間、私はどうしようもなく辛い感情に襲われた。
かつてお父さんを失いそうになったときのように...
いや、それの何十倍もいくようなものだ。
絶望感や劣等感、喪失感に無力感。
そんなもののすべてがごっちゃ混ぜにされたものが全身を駆け巡る。
「絶対に取らせてやるもんか」
拳を思いっきり握りしめ、私は決意する。
どんな手を使ってでも、彼を手に入れると。
---
「ほらほら~!こっちこっち~!
遥はついてこれるかなぁ~?」
遥のことを挑発しながら走っていく杏。
「ちょっと!待ちなさい!!」
その挑発にまんまと乗せられ、杏を追っていく遥。
現在、遊園地で全力で楽しんでおります。
主に彼女たちが。
「響~!次はこれにしよ!」
走り去っていった杏が指をさしたのは、ゴーカートだった。
「ゴーカート?...何それ?」
興味津々な杏とは対照的に、遥はそもそもゴーカートという存在自体を知らないようだ。
「そうだね~、ゴーカートっていうのは、〇〇オカ〇トみたいな感じのやつだよ」
「あ!あんな感じのやつなんだ!」
10分後
「それじゃ行くよ~!」
「絶対に負けない!」
「そこまで気合入れてやるものなのかな!?」
杏が合図を出すと同時に、三台のカートが走り出す。
トップに立ったのは杏だった。
そしてその次は遥、俺という順になる。
コーナーに差し掛かった時に、遥はスピードを出して杏を抜かそうとするが、
「ざんねんでしたぁ~」
と、言いながら、遥の進行方向にカートを寄せ、進めないようにしていた。
「それはズルいでしょ!!反則よ!!」
対する遥は、杏のプレーに動揺していた。
「あれ、これチャンスじゃね?」
杏は、遥の進行方向を邪魔するのに意識を向けていて、
インコースの意識はまるでなく、実際問題インコースはがら空きだった。
「よっしゃあ!一位もらい!」
そのまま俺は突っ走っていく。
「っな!?しまった!?」
今更気が付いたのか、杏は遥への進行妨害を中断し、
スピードを速くしようと思った瞬間に、
「がら空きよ!」
遥に見事に抜かされた。
「ちょ!?早すぎ!?」
そして、このまま順位が変わることはなく、
俺、遥、杏の順番で終わった。
「私が...負けた...あの遥に...」
「それどういう意味よ?」
「まぁまぁ楽しかったしいいじゃない...」
俺が二人を落ち着かせていると、後ろから、
とある単語が聞こえてくるのと同時に、
とてつもなく強い衝撃を感じた。
「わんだほーい!!!!」
「っぐは!?」
俺はその衝撃に耐えることなどできるはずもなく、
その場に倒れこんでしまった。
そして、目の前には、
「久しぶりだね!響君!!」
元気の塊である鳳えむがいた。
---
「で?そのえむって子とは一体どんな関係なのかなぁ?」
「ええ、私もそれを聞きたいと思ってたわ」
杏と遥に詰め寄られる。
というか、なんでこんなに二人は怖いオーラを出しているんだ?...
「えっと~...仲の良い友達って感じかなぁ?
あはは...はは...はぁ...」
「そうなんです!あたしと響君は仲がいいんです!☆」
そう言いながら、えむは、俺の肩と自分の肩がぶつかるぐらいまで近づき、スマホでツーショットを撮った。
「響君?いっせの~で?」
「わんだほーい!!!」
「わ、わんだほーい...」
カシャっとシャッター音が聞こえる。
「へぇ~、それで仲の良い友達ねぇ、でもすこ~し距離感を考え直した方がいいんじゃないかなぁ?」
「あなたたちの距離は近過ぎよ、もう少し離れるべきだと思う」
「は...はぁ...」
俺が、彼女たちの圧につぶされそうになっていると、
えむは俺のことを引っ張っていく。
「響君!久しぶりに出会えたんだから遊ぼうよ!
ちょうど今用事が終わったところなんだ!」
キラキラとした目で、俺に遊ぼうと訴えかけてくるえむ。
こんな目をされてしまったら、断れるものも断れない...
「わかったよ...杏と遥には申し訳ないかもしれないけど、
えむも入れていいかな?...」
「「いや!!」」
「ひどい!?」
「あれ、あたし嫌われてる!?」
---
そこからは、本当にえむワールド全開だった。
とにかくそこらじゅうにあるアトラクションを網羅したといっても過言ではないぐらいにはふりまわされた。
「やっぱり、遊園地のシメには観覧車でしょ!」
と言って、俺の手を引っ張ていった。
「え!?ちょっとえむ!?二人が!?」
そんな静止を振り切って、えむは俺のことを引っ張って、
杏たちを置いて観覧車に乗ってしまった。
「ちょっと待ってくれよえむ!どうしたんだよ急に!
って、おわ!?」
えむは、観覧車が動きだしてから数秒後に、
俺のことを自分の方への抱き寄せた。
「やっぱり、______なってる...」
何かを確信したような表情をするえむ。
「ねぇ、響君」
えむは、俺に縋りつくかのように、
こう聞いてきた。
「心臓に関わる病気とか、かかってないよね?」
「え?......」
あ、ヤンデレタグの原因こいつだ
と思った皆さん、正解です!
あ、ちなみにゲーム本編のテーマパークにはゴーカートは確認できませんでした...悔しい...
幼少期の頃にこのキャラをもう少し深堀してほしいなぁ~という風に思っている人がいると思うので、 アンケートを取りたいと思います!ちなみに、現在公開されている話と書き溜めを合わせると、全キャラが登場済みです。 名前の右は登場回数です、書き溜めも含めています(男性キャラは除外させていただきます。正直男性キャラをメインにすると、私の文章力が一気に低下してしまいますので。すみません)
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