プロセカの世界に転生したので皆を救いたいと思います(制限時間付き) 作:蛮族さん
「え?......」
遅くなっているはずの心臓が、普通の人と変わらない程、ドクドクと鼓動しているような気がする。
何故俺の奇病がバレた?
一体どこにバレる要素があった?
俺のこの奇病は、目眩や発作などの、明らかに病気を患っているとバレるようなものは存在しない。
そして、俺から誰かに教えたこともない。
そもそも、俺がこの奇病を隠しているのは、コミュニケーションを取る上での弊害になるからだ。
この奇病はわからないことがあまりにも多すぎる。
俺は、あの神と話したからこそ理解しているが、
この世界の医者は、何がなんだかわからないだろう。
医者からは長い間入院を勧められたが、俺の意志+めちゃくちゃ元気なところを見せつけたところ、容態が急変しない限り入院はしなくても良いということになった。
しかし、まゆふやこはね達はそれを許してはくれないだろう。
彼女たちは、少し俺に依存している節がある。
だからこそ、俺の命を優先して入院を強制させることが目に見えている。
でも、入院をしたところで意味がないのはわかっている。
結局は時間の無駄でしかないのだから。
だからこそ、俺の奇病は誰にもバレてはならないのだ。
「だって、響君の心臓の音...会うたびに遅くなってるもん...」
えむは、俺の胸に顔を押し付ける。
「......」
なるほど、それでバレたのか。
えむは毎回俺に会うたびに抱き着き、その度に俺の心音を聞いていて、何回も聞いている内に、小さな変化だが、俺の心臓の異常に気付いたんだろう。
意外と単純だったな...
しかし、これは本当にどうすればいいのだろうか?
このままえむに奇病のことをバラすべきなのか、
それとも無理やりにでも誤魔化すべきなのか。
えむが他の人に勝手に広めてしまうとは到底思えないが、
それ以前に、えむ自身に悪影響はないのだろうか?
俺は、絶対に治らない病気にかかっていると。
二十歳も超えずに死んでしまうと。
「いや、きっと気のせいだよ」
俺はえむの肩をつかみ、遠ざける。
俺はえむに嘘をつくことを選んだ。
もし、えむに本当のことを伝えてしまえば、
何か、取り返しのつかない事態になると思ったからだ。
「そう...なんだ...あ、あたしの勘違いかぁ!ごめんね!急に抱き寄せちゃったりして!」
えむは、ほんの一瞬だが青ざめた表情を浮かべていたが、次の瞬間にはいつのも元気なものに変わっていた。
果たして、誤魔化すことはできたのだろうか?
このことが、決して悪い結果に繋がらないことを信じたい。
「えむ」
「なに?響君」
「二人でさ、またここに遊びに行きたいんだけど、いいかな?」
「っ!?ほ、本当!?」
「お、おう...」
---
「ねぇ~響ぃ~?ちょっとこっちに来てくんなぁ~い?」
観覧車を降りて数秒もしないうちに、前方から少し怒りを感じる声が聞こえた。
「しまった...」
そこには、額に青筋を浮かべて手招きしている杏と、
俺のことを無言で睨みつけてくる遥がいた。
「響君!ちょっとあたし急用思い出したから帰るね!」
えむは、彼女たちの威圧に耐えることができなかったのか、どこかに走り去っていった。
「ちょ、ちょっと!?」
俺は咄嗟にえむが走り去って行った方向に動こうとしたが、
「いいからこっち来て」
と、とてつもなく冷たい声質で、そう言った遥に、手首を捕まれる。
「え!?い、痛いって!?」
女の子が出せるような力とは思えないほどの握力で、俺の手首は握られていた。
ギシ!ギシ!...ゴキ!!
「痛った!?ねぇ!?今ゴキっていったよね!?」
俺の手首からは、人体から鳴ってはいけないはずの音が鳴っていた。
「いちいちうるさいなぁ~、ほら遥、あっち行こ?全然人いないよ?」
杏は、俺の苦しんでいるところを見ているはずなのに、
平然とした態度で、人気がない場所を指した。
「いや態度ひどくない!?俺の手首粉砕されてるんだよ!?」
「うるさい!静かにして!」
遥は、俺の絶叫にムカついたのか、さらに力を強める。
「そ、そんな力入れたら!?」
ゴキ!!
「ああああぁぁぁ!!!!!いてぇぇ!!!!!」
俺の絶叫は、遊園地中に広まっていたらしい。
---
「ってことがあったんだよ...」
俺は、あの時、激痛を味わったほうの手首をもう片方の手で優しくさすりながら、あの時のことを伝えた。
さすがにあの二人があそこまで怒るのは異常事態だったので、ニードのみんなに俺は相談していた。
「それってさ、完全に相手の女の子が悪いとは言えないんじゃない?」
お茶を少し飲んでから、そう言う志歩。
「え?なんで?」
志歩の言ったことは、まるで俺にも悪い部分があったかのようなものである。
でも、あの日の出来事を何度も考えたが、俺が悪い部分なんてないように思えた。
「う~んと、志歩ちゃんの言ってることは確かに本当だと思うよ」
気まずそうな表情を浮かべながら、志歩の意見に賛成する穂波。
「そうそう!だいたい女の子絡みで悪いのは響だしね!」
パンケーキを食べながら、穂波と同じように、志歩の意見に賛成する咲希。
「...俺に味方はいないのか?」
今のところ、四人中三人は俺が悪いと言っている。
ならば...
「そんな目で私のことを見られてもなぁ...」
俺が唯一の味方だと思っていた一歌にさえも、俺は裏切られた。
「そんな馬鹿な...あの状況で俺が悪いだと?...」
俺は肩の力を一気に抜き、全体重を預けるような姿勢でも机にもたれかかる。
あぁ、やっぱりこの姿勢は落ち着くなぁ...
「...何勝手に味方作ろうとして自滅してんの?」
志歩は呆れた表情で俺のことを見る。
「そもそも、私は全部響が悪いって言ったんじゃなくて、響にも悪い部分はあったんじゃないって言ったの」
志歩は、頭を抱えながらそう言った。
「は、はぁ...で?具体的に俺が悪い部分というのは?」
「そもそも、女の友達に誘われて遊園地に行ったんでしょ?」
「あぁ、急にメールで送られてきたからびっくりしたよ」
俺は、ポケットからスマホを取り出し、メッセージをみんなに見せようとしたら、
「ちょぉっと待って!」
と、咲希は俺に制止するように言った。
「今、その誘われたメールを私たちに見せようとしたでしょ?」
真剣な表情で咲希は俺に問いただしてくる。
「そ、そうだけど?何か問題でもあるのか?」
俺が、自分の心情を素直に言った瞬間、
俺の周りにいる四人全員が、俯きながらため息をついた。
「響君、さすがにそれはダメだと思うよ」
「え、そこまで!?」
「はいはい、もうそれ以上あなたの乙女心に対する理解の浅さを露呈しないで、話を戻すよ」
「ひ、ひどい...」
なんだろう、志歩が口下手なのは知っているが、ここまで言われるとさすがに俺でも傷つくぞ...
「響は女の子に誘われて一緒に遊園地で遊んでいる、そして、その最中にまた別の女友達に出会って、その女友達と一緒に遊ぼうと誘い、あなたのことを誘った女の子に許可を取ろうとして、思いっきり拒否られた。
でも、そんなことは関係なく、響は平然とその女友達を連れて一緒に遊園地を回って、さらには最後に誘ってくれた女の子を放置して観覧車に二人っきりで女友達に乗ったと...」
俺の話をまとめ、志歩は一息つくと、
「控えめに言って最低ね、ここまですると笑えてくる」
「そんなに!?」
「だって考えても見てよ、頑張ってあなたのことを誘ったのに、途中で知らない女の子を「一緒に連れていい?」とか言って拒否ったのに構わず連れていくし、さらには最後には放置だよ?ここまで言っても自分の罪を理解することができないの?」
「罪!?というか何度も言ってるけど、観覧車の件は俺は抵抗したからね!?でも無理やり...」
「でもさ、それって全力で抵抗したの~?ホントは満更でもなかったんじゃないの~?」
ジーっと俺のことを見つめる咲希。
「私は...もし自分が、その誘った女の子だったら、泣いちゃうと思うよ」
穂波は、少し泣きそうな表情をして、杏達に同情している。
「...だからさ、私に救いを求めないでよ」
困ったような表情をする一歌。
「そもそも、頑張って俺のことを誘ったってどういうことなんだ?頑張るも何も、一緒に遊ぼうって言っただけだろ?」
俺がそういった瞬間、
四人全員は頭を抱えて、
「「「「はぁ...」」」」
と、俺にわざと聞こえるような大きさのため息をついた。
「なんでだよ!意味わかんねぇ!!」
---
「それじゃばいば~い!また明日~!」
「うん、また明日」
「それじゃあ私も」
そう言って、咲希、志歩、一歌は帰って行った。
そして、喫茶店に残っているのは、俺と穂波だけ。
「みんな...いなくなっちゃったね」
「そうだね...」
二人っきりになって、俺の相談も先程終わった。
もうやることなんてないはずなのに、俺と穂波は、未だに席に座っていた。
俺が気まずそうにしていると、穂波は口を開いてこういった。
「響君はさ、れん...いや、乙女心はどういったものかわかる?」
「乙女心かぁ...う~ん、ちょっと言い方は悪いかもしれないけど、女の子特有のわがままだと思ってるよ」
「そ、それはちょっとアバウトすぎるかなぁ...」
あはは...と、乾いた笑いを浮かべる穂波。
「そんな響君に提案があるんだけど、いいかな?」
穂波は指をクイっと立てると、
「私から響君に乙女心とはどんなものなのか習慣的に教えるっていうのはどうかな?」
「なるほど...それいいね」
俺には乙女心に対する理解がないということはわかっている。
それを教えてくれるというのならば、ありがたいことこの上ない。
「それじゃあ、一週間に一回、土日のどっちかに私の家に来るっていうのでいい?」
「いや、ちょっと待ってくれ...」
土日のどっちか?...確か土日は奏の雑務をしないといけないけど...まぁ最近は午前中に終わってるし、午後からなら大丈夫か。
「土日のどっちかの午後に穂波の家に行くってことでいいかな?それだと俺の予定には被らないからさ」
「わかったよ!それじゃあこれからよろしくね、響君」
「こちらこそよろしく!是非とも俺のことを鍛え上げてくれ!」
「そこまで期待されてもあれかなぁ...」
---
「......」
私は、自分の寂しさを埋めるために作曲に打ち込んでいた。
私が響と会うことができるのは土日だけ。
土日合わせても16時間しか一緒にいることができない。
それ以外の時間は、私はずっと独りぼっち。
学校なんてロクに行ってないし、行く気にもならない。
私は、今週の土日、どのようにして響と過ごすかと考えていた時、一通のメールが届いた。
「あ、響だ」
差出人は響だった。
内容を見てみると、
「奏、申し訳ないとは思うんだが、これから土日のどっちかは、午後に出かけるから、よろしく頼む」
という、意味の分からない内容だった。
午後に出掛ける?
しかも毎週?
なんで?
土日に雑務をするというのは、私と約束したことなのに、なんで響はどんどん私との約束を消していってしまうの?
私には、もう響しか縋るものがないというのに、何故私を置いて行ってしまうの?
なんで数少ない私と会う時間を減らしてしまうの?
どうして?私の何がいけないの?
私は響とずっと一緒にいたいだけなのに。
何故あなたは私の気持ちを理解してくれないの?
私は、響に必要とされてないの?
あれ、それって、もう私が生きている意味って、ないよね?
体がふわふわと浮かんでいるような感覚がする。
あれ、私、今何をしてるんだっけ?
視界が霞んでよく見えないや。
このまま私は一人で死ぬのかな?
でも、私が死んだら、響も少しは興味を持ってくれるかな?
私のことを想って、悲しんで、泣いてくれるのかな?
泣いてくれたら...嬉しいなぁ...
あぁ...響の幻覚まで見えてきちゃった...
もう、私本当にダメなのかも...
私は、最後の力を振り絞って、目の前にある幻覚に手を伸ばす。
ぴたっと、私の手は、幻覚の肌にくっついた。
「え?...」
あれ、なんで私幻覚に触れてんだろ?...
「奏...お前飯食ってないだろ...」
あぁ...この声だ...
私が何年も何年も何年も独占したいと思ってる優しい声。
「来てくれたんだ...響...」
私は、彼に腕を支えられながら、彼の首に腕を絡めて、響のことを抱きしめた。
彼の香水の匂いを感じることができる。
でも、少し汗の匂いが混ざっているのを感じたけど、
嫌悪感なんて一切湧かなかった。
「それじゃあ、俺は飯作ってくるから、少し待っててくれ」
彼は足早にキッチンの方へと向かっていった。
...私の今の状況を察して来てくれたのは、本当に心から嬉しいと思うが、一つだけ不満があった。
どうして他の女の匂いがするの?
いや、あの~、はやく瑞希を出したいんですけど...設定の面でまだ確定してないから書こうにも、戻れない場合があるので怖いんですよね...
あ、ちなみに今回は奏覚醒回です(完全ヤンデレ化)
さぁ、主人公が死んでしまった時、彼女はどうなってしまうんでしょうねぇ?(白目)
幼少期の頃にこのキャラをもう少し深堀してほしいなぁ~という風に思っている人がいると思うので、 アンケートを取りたいと思います!ちなみに、現在公開されている話と書き溜めを合わせると、全キャラが登場済みです。 名前の右は登場回数です、書き溜めも含めています(男性キャラは除外させていただきます。正直男性キャラをメインにすると、私の文章力が一気に低下してしまいますので。すみません)
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