プロセカの世界に転生したので皆を救いたいと思います(制限時間付き) 作:蛮族さん
「ふぬぬぬ!!気合だぁ!!!」
俺は今、チーズケーキを作っている。
何故ならば、今日の午後に絵名と彰人が俺の家に遊びに来るからだ。
彼女たちが共通する好きな食べ物、それがチーズケーキ。
ならば、作るしかあるまい!
しかし...いかんせん道具がない。
材料は俺のポケットマネー&家にあるものでどうにかなるのだが、ケーキを作るための道具に関しては買うことなんてできないし、家にあるわけでもない。
フードプロセッサーもなければ、ミキサーもない。
それ故、俺は自分の手で作業するしかない。
しかし...まだ小学生のこの肉体では、体力がもつかすら怪しい。
俺は、砕いたビスケットに溶かしバターを入れたものを型に敷き詰めていく。
これを混ぜるのに大きな力はいらないのだが、回数が多いため、俺の腕は既に死にかけている。
「えっと~次は...」
俺はキッチンに置いてあるタブレットを見る。
クリームチーズ200g
レモン汁大さじ2杯
砂糖100g
撹拌し混ぜ合わせます。
「また混ぜんのかい...」
俺は最後の力を振り絞り、すべての材料がなじむまで混ぜ合わせていく。
腕が鉛のように重くなっていくのがわかる。
前世の母親がよくお菓子を作ってくれていたけれど、ここまで大変なものだとは思わなかったなぁ...
俺、死んじゃったけど、また食ってみたいなぁ...
前世の母親は、いろんなお菓子を作ってくれていた。
本人曰く、
「いやぁ、最初はあいつを堕とすために作ってたんだけどさぁ、なんか今でもやめられないんだよねぇ」
と、俺の父親を指さしながら言った。
いや、お菓子だけで人が堕ちるわけないでしょ...と思って、父親を見たけど、
「おほほ!うめぇ!」
と、笑いながらクッキーを食べていた。
...ホントだぁ、お菓子で人堕ちてる~、
と、考えることをやめて、イベランを再開した。
「ふぅ...そろそろか」
混ぜ終わった物体を見て、俺はまたタブレットを見直す。
混ぜ終わったら、今度は卵と薄力粉を入れ、撹拌します。
そして、その次に、生クリームを入れ、撹拌します。
「嘘だろ...おい...」
どうやら俺は、あと二回混ぜるという工程を行うようだ。
「もういやだぁぁぁ!!!」
俺は絶叫しながら、ボウルをかき回した。
「ちょっとどうしたの響!?」
「なんか嫌なことでもあったのか!?父さんが力になるぞ!」
と、両親が飛び出てくるが。
「あ、いやダイジョブ、特になんもないから」
「そうなの...ホントに何かあったら教えてね?
それに...お菓子作りやっぱり手伝う?」
「力仕事なら父さんに任せろ!これでもスポーツマンだからな!ハハハ!!」
「自分でやらないと意味がないから、お母さんたちは何もしなくていいよ」
ここまで来て両親の手を借りるわけにはいかない...
これからは定期的にお菓子を作ることが多くなるだろうし、その度に両親の手を借りるのも、少し悪い気持ちがする。
「あら、そう...味見はさせてね?響ちゃんの初めて作ったお菓子、楽しみだわ!」
「父さんも楽しみにしてるぞ!残さず食べてやる!」
「味見だからねぇ~?お父さ~ん?」
「お、おう、そうだな!」
「逆に全部食べるつもりだったの?...」
---
「ふわぁ~...疲れた...」
ソファーに寝そべりながら呟く。
チーズケーキは無事に完成したし、お父さんに全部食べられることもなかった。
あとは絵名たちを待つだけ。
だいたい一時くらいに来ると思うから、あと二時間ほど時間に余裕がある。
自然と視界が狭まっていくのがわかる。
すると、突然、頭の中に愛莉の姿を思い浮かんでくる
(あれ...なんで急に愛莉が思い浮かんだろ?)
俺はそのまま、眠りにつこうと思ったが、
(ちょ!?なんか愛莉黄色くね!?)
よくよく見てみると、愛莉は黄色で表示されていた。
久しぶりにこの警告が流れてきたので、かなり驚いている。
「とりあえずいそうなところ行かないと!」
俺は自分の体に鞭を打ち、無理やり動かしていく。
幼いころの愛莉は喧嘩っ早い部分があるから、喧嘩しそうなポイントを探せば見るかるだろう。
---
「ちょっとあんた達っ!わたしの妹を泣かせるなって、何度いったらわかるのよ!」
わたしは、妹を守るようにして立っている。
いつもいつも妹を泣かせるこのガキ大将。
見ているだけでイライラしてくる。
「うるせーなー!お前、年下のくせに生意気なんだよ!」
「そーだそーだ!そこの弱虫と一緒に引っ込んでろ!」
ガキ大将がわたしの前までゆっくりと近づいてきて、殴り掛かってくる。
「っ!...」
わたしは妹を守るために、この場に立っている。
なのに、わたしは体がすくんで、目を閉じてしまった。
数日前に受けた、あの痛い感覚がまた来る...と思った。
「あれ?...」
しかし、わたしにあの痛みは決して起こらなかった。
「痛ったいなぁ...あ、お前らの場合二つの意味だから?ダイジョブ?」
わたしの目の前には、綺麗な白い手があった。
「あ、久しぶりだな!愛莉!元気?絆創膏すごいけど」
こんな状況には似つかわない笑顔で話しかける男の子。
「響君!?」
わたしの一番の友達が目の前にいた。
「なんだーお前!邪魔すんなよ!」
「そーだそーだ!お前には関係ないだろ!」
「大ありだよ馬鹿ヤロー、ほら、さっさとお家に帰りなさい、ママが待ってまちゅよ~」
響君は呆れたような表情で、シッシと手を動かした。
「この野郎!!!お前もその泣き虫と同じ目にっ!!...って!!いったぁぁ!!!」
突然、ガキ大将が自分の目を手で押さえつける。
「ど、どうしたんですか!?」
「類君特製、防犯水風船だ!あ、でも身体に害はないから安心して?死ぬ程痛いけど」
ケラケラと笑いながらボールを投げていく響君。
「や、やめてくれぇ!!!」
「もうやらないから!!それを投げるな!!!」
さっきまで妹をいじめていた生意気な二人組は、ビショビショになりながら、どっかに走っていった。
「ひび____」
「お兄ちゃ~~~ん!!!!!」
私が響君に駆け寄ろうとした瞬間には、既に妹は響君の腕の中にいた。
「怖かっただろ?でも大丈夫!あの二人には、あとでキツーイお仕置きをしておくから!」
妹の頭を優しく撫でていく響君。
「おしおき?...よくわかんないけど、ありがと!お兄ちゃん!」
「どういたしまして、あ、愛莉?一応怪我ないか確認するから動かないでね」
響君は妹を背負いながら、わたしの体を隅々まで見ていく。
「...んぅ...」
なんだろう、ものすごく恥ずかしい。
響君はいつもこうなんだ。
その場の雰囲気をものともしないで行動する。
それに、嫌なことは察して行動してくれるけど、それ以外のことに関しては鈍感。
今みたいに、体を隅々まで見られて、わたしはものすごく恥ずかしい思いをしているというのに、響君は至って真剣な表情で見ている。
これってわたしが悪いのかな?
いや、でも、そこらへんを考えるのも常識なんじゃないのかな?...
わたしがそんな風に悩んでいると、背負われている妹がこう言った。
「お姉ちゃん、うれしそう!」
「なっ!?うれしいって!?」
うれしい!?あれ、もしかして顔に出てた!?
いやでも顔に出てたってことは、響君に体を見られるのは恥ずかしいけど、それと同じようにうれしいってこと?
何それ!ただの変態じゃん!
「ん~?うれしい?なんで?」
響君は感情が昂っているわたしと違って、落ち着いた声質で妹に聞き返す。
「だってお姉ちゃん、すごいデレデレしてた、ほっぺたおちそうなくらい」
「ほっぺたが落ちるぐらいかぁ...あ、最近見たことあるわ。ちょっと愛莉、もう一回ほっぺた落としてみて?」
「やるわけないでしょ!!!!」
---
「う~ん、特に怪我はないな、良かった良かった!」
わたしの頭をポンポンと軽く叩く響君。
「いつもごめんねぇ響君...それはそうと、どうして愛莉はお転婆なの?いつも男の子とケンカばかりして...」
お母さんは少し呆れた表情でそう言った。
「だって...」
「洋服は泥だらけにして帰ってくるし、せっかく結んだ髪もぐしゃぐしゃにするし、大福を食べ過ぎて喉に詰まらせるし...」
「っぷ...くく...」
「さ、最後のは関係ないでしょ!」
なんで響君がいるというのに、お母さんはいちいち余計なことを言うんだろ?
わたしはこのままだと、ただただ響君の前で恥ずかしいことを暴露されただけという、印象最悪な女の子になってしまうと思った。
だからこう言い返した。
「それに、わたしなら平気よ!ケンカなんて慣れっこなんだから!」
これで少しはわたしの印象もよくなると思ったけど、
「こーら!慣れっこになっちゃダメでしょ?」
「わ、わかってるってばー!」
お母さんの正論によって、わたしの逆張りは無意味と化した。
---
あぁ...疲れた、いやホントに...
まぁ無事に愛莉を助けることが出来たからなんでもいいんだけど、体があまりにも重すぎる。
まずは何十か所もあるケンカが起こりそうなところをずっと走りまくって、愛莉を見つける。
そんで見つけたと思ったら妹を守るためにケンカ中。
あのガキ大将から愛莉を守って、念の為持ってきた防犯水風船を投げつけて撃退。
そして愛莉の妹を背負いながら、愛莉の家まで送り、怪我の確認。
はっきり言って、小学生の体力じゃ到底持たん!!
しかもチーズケーキを作ってたおかげで、元々体力が消費されてたし。
はぁ...さすがにイベランで鍛え上げた精神も限界だわこりゃ。
「お兄ちゃんどうしたの?そんな顔して」
俺の膝の上に乗っている妹が、心配そうな顔で俺を見る。
「色々あって疲れただけだよ」
俺は思わず頭を撫でる。
あぁ...癒される...愛莉があいつらにキレていたのも納得できる...
だって、こんなにもかわいい存在を傷つけるんだもの...
お仕置きは...かなりキツメにしておくか...
俺が、お仕置きのメニューを考えていると、自然とテレビの方に視線が行った。
「♪〜〜〜〜〜」
よくよく見てみると、俺の知り合いが歌っていた。
(あれ!?遥じゃね!?)
俺がこの前遊んでいた、遥が映っていた。
遥が小さい時にアイドルをやっていたというのは知っていたが、いざこう目にしてみると、実感が湧かないというかなんというか...今度会ったときにサインでももらおうかな?
俺は膝に乗っているかわいい存在を愛でながら、アイドルとしての遥を見ていた。
「やっぱりかわいいなぁ...」
俺は無意識にそう言っていた。
アイドルとしての遥はかっこかわいいという感じだろう。
大部分はかっこいいが占めているけれど、ところどころで素のかわいさが出ているのがわかる。
まぁ素を知らなければこのかわいさも気づけないだろうか?
少し、自分の中で優越感が生まれる。
「ねぇねぇ、お兄ちゃんはあの女の子が好きなの?」
俺がペンギンを見ている遥を思い出した時に、ふと、耳元でそんなことを聞かれる。
「好きっていうか...う~ん、応援してあげたいとか、支えてあげたいとか...守りたいっていう感じだから、好きではないかな」
俺が遥に向けている感情。
それは一体なんなんだろうか?
確かに遥はかわいいし、傍にいたいとも思う。
でも、俺は遥に対して恋愛感情のようなものは抱いていない。
う~ん...例えるならば、妻はいるけど、アイドルが好きな夫のようなものだろうか?...
どちらにしろこの想いは良くないものということはわかる。
「じゃあお姉ちゃんのことはどう思ってるの?」
「愛莉かぁ...愛莉は仲のいい友達って感じかな、一緒にいて気楽だし、きっと愛莉もそう思ってるよ」
「そうなんだぁ...お姉ちゃんはお兄ちゃんのこと、好きじゃないかもしれないけど、わたしはあ兄ちゃんのことが大好きだから!」
「おぉ~うれしいこと言ってくれるなぁ~!」
こんなにもかわいい存在に、将来的には消えるであろう好意だとしても、そう言われてしまうと照れてしまう。
俺はその照れを誤魔化すために、頭を撫でまくった。
「くすぐったいよぉ~でも、もっとやって~!」
「こんなことならいくらでもやってやるよ~!」
あぁ...俺もこんな妹が欲しかったなぁ...
でも、こんなに純粋な子も、いつかは反抗期を迎えて、好きな人が出来て結婚して...
子を送る親の気持ち...分かる気がする...
俺が悟りに近い何かを感じたとき、どこからか鋭い視線を感じた。
「お、おう...愛莉、随分と遅かったな、お母さんに怒られてたのか?」
視線を感じた方を見てみると、ものすごく怖い形相をしている愛莉がいた。
「別に!自分の部屋でやることがあっただけだし!というか!いつまで響君はわたしの妹を乗っけてるのさ!」
「俺の膝、いやか?」
「全然!ずっとここにいたい!」
「そうかそうか!ならこのまま休もっか!」
「うん!」
「二人で解決しないでよ!!!」
---
「アイドル...か...」
わたしがアイドルになったら、響君は、わたしのことを、かわいいって言ってくれるのかな?
【愛莉かぁ...愛莉は仲のいい友達って感じかな、一緒にいて気楽だし、きっと愛莉もそう思ってるよ】
「友達...ハハ...わたし、響君の友達なんだぁ...」
「やっぱり鈍いよ...響君...」
響君の恋愛観って普通なんでしょうか?それとも異常なんでしょうか?まぁ人によって恋愛的な好きのボーダーラインって違いますし、断言はできないのかな?
あ、あと地味に考えるとわかるんですけど、愛莉の妹の将来について考えている時に、【でも、こんなに純粋な子も、いつかは反抗期を迎えて、好きな人が出来て結婚して...】ってあるんですけど、【好きな男の子】じゃなくて【好きな人】って言っているので、LGBTに関しての差別意識がないということを明かしてます、明かしているつもりです。まぁ、だからなんだって話ですけど(白目)
そして、一つお詫びしなければならないのが...長くなりすぎて前編後編とわけることになってしまいました...絵名推し彰人推しの方には焦らすようなマネをしてしまい申し訳ございません...
幼少期の頃にこのキャラをもう少し深堀してほしいなぁ~という風に思っている人がいると思うので、 アンケートを取りたいと思います!ちなみに、現在公開されている話と書き溜めを合わせると、全キャラが登場済みです。 名前の右は登場回数です、書き溜めも含めています(男性キャラは除外させていただきます。正直男性キャラをメインにすると、私の文章力が一気に低下してしまいますので。すみません)
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