転生したら姫ギルだったんだが。 作:Crimson Wizard
「なるほど……そもそも私の知っている英雄王とは別の存在という事ですか。」
「ああ。何せ我には逸話がない。そもサーヴァントとしての適正があるのかすら分からん。」
セイバーは目を瞑って情報を咀嚼している。
これまでの我の行動やこの世界の基本的な常識、周辺国の情勢やある程度の地理。
セイバーの知っている我とは別人という事実。少々情報量が多過ぎたようだな。まあ聖杯による知識のインストールもない。
仕方の無い話ではあるな。
「……我が貴様に求めているものはこの国の守護者としての役割だ。王として、騎士としての活躍を期待している訳では無い。
貴様がどう振る舞うかは自由だ。だが、この国の王は我だ。そこは忘れるな。貴様も王として生きてきたなら分かるであろう。
王たるもの時として冷酷な判断を下さねばならん時もある。我が判断を誤ることは絶対にない。その時はウルクの滅びの時だ。
……そうだな。基本的に我の指示に従っていれば間違いはない。その判断による犠牲も責も、全て我のものだ。」
「……分かりました。貴女の判断に従いましょう。ですが一つ。騎士として、道理に反する行いは可能な限りしたくありません。」
「基本的に意味もなくその様な指示を出す事は有り得ん。我を誰と心得る?王の中の王、ギルガメッシュだ。その名を穢す行いを自らする筈もなかろう。」
「ならば問題ありません。」
セイバーがそう口にし、話は纏まった。その瞬間、セイバーから腹の音が鳴り響いた。
「……お腹が空きました。腹が減っては何とやらです。私はこの国の守護者なのでしょう。英雄王、食事はまだですか。」
……まさか霊体なのに腹の音がなるとはな。基本的にサーヴァントとは食事を摂らずとも魔力が尽きなければ問題ない筈なのだがな。
「英雄王とは別世界の我の名だ。此処では英雄として名を馳せた覚えなど無い。故に我の事はギルガメッシュ王。そう呼ぶが良い。」
「……ギルガメッシュ。」
「戯け、王を付けんか!」
「……それを言うなら私も王です。今後私の事はアーサー王と呼ぶ様に。」
セイバーはそっぽを向きながらそう言った。
「童か貴様は!……はぁ。もう良い。シドゥリ、昼餉の手配をしてやれ。」
「……畏まりました。」
シドゥリは王がため息を吐く姿など久しぶりに見たと思いながら食事の手配をする。
◇
「……へぇ。君がかの有名なアーサー王かい?」
「ええ。初めまして、でしょうか。アルトリア・ペンドラゴンです。アーサーとは仮の名です。私の事はアルトリアと呼んでください。」
……何故我にはそのくだりが無かったのだ。この我をハブる気か?
「おい貴様!我には真名など明かさなかったでは無いか!」
「……ふん、貴女は知っているでしょうに。アルトリア・ペンドラゴンです。はい、これでいいでしょう。」
人を子供扱いしおって……!まあいい。何れこの我のカリスマにひれ伏す時が来る。
「フン、器の小さい女よ。そんなだから胸も平らなのだ。」
「なっ!訂正して貰おうか、私は15で成長が止まっているだけだ!成長した姿なら貴女よりある!」
アルトリアは憤慨して立ち上がるが、そんな事はとうの昔に知っている。何なら今の姿でも全く無い訳ではないだろう。
「ほう。ならば我のこの肉体を超える美が、自身にあると?」
「う……」
確かに、アルトリアは自身の容姿にある程度の自信はあった。
だが、目の前のこの女より美しいと言い切れるかと問われれば悔しいが、イエスとは答えられなかった。
「人の美醜で器を計ろうなどと、英雄の王が聞いて呆れますね。」
「敗者の負け惜しみ程見苦しいものは無いな。」
そう言うとアルトリアはがるるる!と威嚇する様に此方を睨みつけて来るが、食事が運ばれて来た途端に其方に視線が固定された。
「そら、これが王の昼餉だ。英国の粗末な食事とは比較にならんだろうがな。」
我の声ももはや聞こえていないのか、アルトリアの視線は食事に釘付けのままだ。
……その後、アルトリアは昼餉と称して並の兵士15人分の食事を平らげた。
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