転生したら姫ギルだったんだが。 作:Crimson Wizard
今回スレイン法国の物分りが良すぎるのは事前にプレイヤーと同格以上だったら迎え入れる様に指示があったからです。
セイバーを召喚してから数日経った頃……スレイン法国からの使者がウルクを訪れた。
まあ、ただの使者というには少々力を持ち過ぎているようだが。
「スレイン法国の使者として参りました。クアイエッセ・ハゼイア・クインティアと申します。」
そしてクアイエッセと名乗った輩より遥に力のありそうな長髪の男は名乗る素振りすら見せない。
「まさか貴様らが国のトップという事はあるまい。何故戦士を連れて来た。」
「我が国には明確なトップが存在しないのです。強いて言うのならば最高神官長が似た様な立ち位置ではあるのですが。」
「では何故その最高神官長とやらは此度の話し合いに出席しておらんのだ。」
此奴らは明らかに戦う者。知略を巡らせ政を行う者は明らかに他に居る。何故そいつらを連れてこない。
「……まあいい。で、此度はどういった要件でウルクを訪れたのだ。」
「はい。貴女は先日我が国の首都にて演説を行いました。それについて罪を問う気はありません。
我が国の神官長達が気にしているのは貴女の言った神の血を引いているという発言。この発言の詳細をお尋ねしたい。」
やはり宗教国家、一番に気にするのはそこか。
「ああ。我は確かに原初の神の血を引いている。この身は半神半人……まあ、貴様らの信仰する神の定義など知らんがな。」
「我々の定義する神とは、六大神……はるか昔、人類を救済し導いて下さった神……というのが表向きの話です。」
表向きか……腹を割って話し合おうとでも言うつもりか?
「ほう……?良い、続けよ。」
「はい、我々は確かに六大神への信仰を忘れてはいませんが我々の信仰する神は既に存在していないというのが法国上層部の共通認識です。」
……確かに六大神の内に寿命で死んだ者と殺された者がいるという話は聞いた事があるな。
「数百年姿を現さなければ、その様に結論付けるのが当然だな。」
「ギルガメッシュ王。ぷれいやーという存在を耳にした事はありますか?」
「……ああ。貴様らの信仰する六大神やその天敵の呼び名だろう?」
プレイヤーか。記憶によると遊技盤、ゲーム……だったか。それの主人公がその様な呼び名で呼ばれていたな。
「ええ。彼らは皆一様に強大な力を持ちその身一つで天変地異を起こす事も可能だったと言います。」
「要は貴様らの定義では規格外に力のある存在であればそれは神なのだろう?……教えておいてやろう。神には寿命など存在せん。
貴様らの信仰している六大神とやらは真に神では無かったという事だ。それにな、肉体一つで天変地異を起こす英雄など我の世界では有り触れていた。
神で無くとも、身一つで貴様らの言う天変地異を起こす事など容易い連中は数多く居た。」
六大神は神ではないという辺りで少し場の緊張感が高まったが、続くギルガメッシュの発言にスレイン法国の使者は黙り込んだ。
「……貴女も、やはり別の世界から来たのですか?」
「そうだ。理外の怪物に我が国を滅茶苦茶にされる所だったのでな。ウルクごと別世界へと転移させたのだ。」
「……やはり隊長、この方を神の座に据えるべきでは無いでしょうか。」
「そうだな。……ギルガメッシュ王。是非貴女には神として我々を導いて欲しい。」
……思った以上に早い決断だな。神官長とやらから事前に指示を受けていたか?
「一応聞いておこう。何故我なのだ?」
「神の血を引いているというのが一つ。
規格外の力の持ち主であるというのが一つ。そして王として国を纏めあげるカリスマ性。こんなところでしょうか。」
「……まあ良かろう。貴様らの神とやらになってやろうではないか。だが我を神として据えるにせよ、やる事が多い。
まずスレイン法国は選民思想が強すぎる。人へ理解ある亜人種への差別意識は撤廃するべきだ。異業種は仕方が無いにせよ、
無駄に敵を増やしている場合ではなかろう?」
「……そうですね、すぐには難しいかもしれませんが仰る通り民の意識改革は必要ですね。」
「それと神への崇拝は程々にしておけ。祈ったところで助けなどない。神とて全能ではないのだ。」
その後、今後の我々の動き方をある程度定めた。
「ではお互いの国をより深く知る為に友好大使として使者を出しましょう。」
「……そうだな、ではシドゥリ。スレイン法国をお前の目で見極めて来い。セイバー、お前は護衛として着いて行け。」
「はぁ……畏まりました。」
シドゥリがいない間は王国から引き抜いて来たあの女に代理をさせるとしよう。