転生したら姫ギルだったんだが。   作:Crimson Wizard

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えーと、一人称が我(われ)なのは女帝ギルだからです。
俺っ子もいいですが今回は我(われ)で行きます。女だということは忘れないでください!
内容に関係するのかは知りません。これから決めますw
今回はギル様カリスマ(A+)です。


第3話

 

さて…。あれから大変だった。

子育て自体は前世というべき存在が親戚の世話等で経験していた様だが、四六時中となると話は変わる。

 

あれからは基本的にシドゥリの世話と、そして教育をして過ごした。

国を最低限回していけるだけの知識は与えた筈だ。

 

もはや前世というべき者の意識は残滓程度も残っているか分からない。

だが奴の知識や人生経験等も全て我の記憶として残っている。

 

シドゥリは人造人間(ホムンクルス)故か、物覚えはかなり良かった。

そして……シドゥリは20年近く経つと歳を取らなくなった。

 

 

対して、我は少しずつ歳を取っているような気がする。

曖昧な言い回しなのは、20年近く過ごしても見た目や身体に全く変化が無いからだ。

 

だが一つ言えること。それは間違いなく寿命は存在するという事。

半神半人といえど、人間の血が混じっているのには間違いないからだ。

 

そして時折、並行世界の自身の記憶が我の記憶と混同する事があった。

千里眼の弊害かと思ったが、どうやら違うようだ。

 

この肉体は別の者の意識を宿し、しかしながら『ギルガメッシュ』の力をもってこの様な地に放り出された。

その者の意識はもはや残滓程度といえど、

この肉体は『ギルガメッシュ』という存在が経験している筈の記憶を持たなかった。

 

どうやら世界とやらに上書きされたらしい。

業腹だが、抑止力とやらが我の肉体に直接干渉したのだろう。

 

だが、この経験は我といえども並行世界の我だろう。

そもそも性別すら違うようだ、世界が違うのならそれはもはや我であって我ではない。

 

並行世界の存在といえど自分なのだ。経験や知識は存分に利用させてもらうが、それだけだ。

我は我として、王の道を切り拓く。

 

 

 

 

 

 

 

 

更にその後の話だ。

我は建国後、人間という存在が誕生しているのを確認した。

 

いくら我の国といえど、我が全てをこなしていてはそれはもはや国では無い。

我はシドゥリを指導者に据え、生活するのに必要なスペースと最低限の食料だけを国民として受け入れた者たちに与えた。

 

優秀な人材は味方に引き入れ、ただの無能は切り捨てた。

だが同時に我は全ての国民に等しく勉強する機会を与えた。

 

それを上手く利用した者は成り上がり、勉学など不要と切り捨てた者は生活が立ち行かなくなった事だろう。

それから更に数年が経つと、我以外にも集落を作る者が現れ始めた。

 

当然国と呼べるようなモノではなく、纏まりのない蛮族共の集団だった。

 

棍棒などで武装してこの国に攻めてくることもあったが、

その頃既に我が国は鉄や青銅等で剣、槍などを鍛造出来る技術を持っていた為、敵ではなかった。

 

奴らは勝てないと悟るやいなや蜘蛛の子を散らすように逃げていった。

追うような真似はしない。

 

あの様な者たちであれ何時かは自らの指導者を得て国を興す可能性がある。

 

わざわざ敵を作るのかと言われればその通りだが、人類の発展には必要な事だ。

その頃、我は既に王として臣民達の支持を得ていた為、更なる事業に手を伸ばした。

 

ジッグラトの建造だ。

 

建国してすぐの話にはなるが、これも抑止力の影響だろう。急激に周辺の森が禿げ上がり、砂漠化が進行し始めた。

図らずとも砂漠の国の完成と言う訳だ。忌々しい事この上ない。

 

まあいい。建築物を建て直す羽目にはなったが、人的被害が出る前に全て済ませた。

 

我が臣民達に無能は居ない。

無能は使えるまで教育を施し、最低限の生活は保証してやる。

 

それすら出来ないのならば労働力として使うまで。

身体障害者等は仕方が無いが、やる気が無いだけの無能は奴隷とした。

 

法を犯した者も同様に刑期を定め、その間は労働力として酷使した。

無意味な存在など必要無いからだ。奴隷にすら意味は存在する。

 

国の要である兵士達の士気も、有能な者には昇進や更なる褒美といった高待遇を用意した。

王である我の支持を維持する事と、前述した通りに兵士達の士気を保つのが目的だ。

 

更には城塞に設置型の弩を備え付け、非常時に鳴らす鐘や見張り番の兵士も複数人用意した。

 

 

この世界の我は暴君として君臨するのでは無く、初めから賢王としてウルクを統治した。

そしてジッグラトの建造が終わった頃だったか……

 

我はこの時、初めて蔵に入っていた不老不死の霊薬を服用した。

元々、寿命が存在する事は分かりきっていた。

 

だが満足のいく生ならば、死が訪れる事もまた受け入れるつもりだった。

ならば何故ここで飲んだのか。

 

 

 

全て抑止力の所為だ。

並行世界など、幾つも存在するだろうに抑止力とやらはこの国をどうしても滅ぼしたいらしい。

 

まあ、ここは時代の分岐点だからな。

もはや記憶に薄い前世の知識にもある通りだ。

 

だが必要以上に酷かった。

この国が滅ぶべくして滅んだのならば我はその結果を受け入れた。

 

しかし相手は抑止力、我とシドゥリ以外のウルクの民の記憶を改竄し、

我は史実とやらの通り、記憶に無い女神と人間の王の息子として扱われた。

 

我は女であるのに、だ。

イシュタルなる女神が求婚しに来た。そこも史実通り。

 

相手は我を杉の森の神性、フンババを盟友エルキドゥと共に退治したギルガメッシュとして扱う。

 

全くもって抑止力には吐き気がする。

だが原因など分かりきっている。

 

(われ)が星の抑止力によって生み出された存在では無いからだ。

正確には、並行世界の星の抑止力によって生み出された存在故にこの世界では邪魔なのだろう。

 

逃げ出す様で業腹だが、国を滅茶苦茶にされるのは困る。

我は並行世界では無く、抑止力の存在しない異世界にウルクという国家その物を転移させる事を思いついた。

 

勿論代償は存在する。

そのような《魔法》に匹敵する力を行使すれば今度こそ抑止力が滅ぼしに来る事だろう。

それこそ、星の触覚(アルテミット・ワン)を伴ってでも。

 

それに膨大な魔力を消費する。

だが、我はこの計画を考えついたその瞬間から魔力を溜める事が出来る宝具に常に魔力を補充していた。

 

まだ足りない。だがこれ以上時間を掛けすぎても抑止力に勘づかれる可能性がある。

仕方あるまい。

 

「我の魔力を使うしかないか…。」

 

思わず独り言を呟く我。

 

「……王よ、例の話ですか?」

 

しまった。シドゥリに聞かれてしまっていたか…。

 

「ああ、これ以上時間を掛ける事はこの国の滅びを意味する。よって、我が財と、魔力を行使して計画を実行する。」

 

「ですが、身体に支障はないと言えど数ヶ月は動けなくなるのでしょう?

王が顔を出さなくなれば、不安に思う民も出て来るでしょう。」

 

……ここなのだ。

 

如何に神秘の濃い時代であろうと国家規模の転移など、奇跡に匹敵する事象を起こすとなれば膨大な魔力を消費する。

そして時間が無い故に我自身の魔力も行使する必要が出て来た。

 

だが、行使するとなると我の魔力が完全に回復するまで数ヶ月程度を要する。

宝具を使用すれば何とかなるが、時間経過で回復するのなら無駄遣いする必要はない。

 

我が短期間のみ行動不能になるか、はたまた理不尽極まりないウルクの滅亡。

天秤にかけるまでもない。

 

「シドゥリ、我が眠る間はお前に負担を掛ける事になるだろう。

この後すぐに我が国民へ向けた演説を行う。場を用意しておけ。」

 

「……分かりました。すぐに場を整えます。」

 

シドゥリは幼い頃から我が育てた故か、少し依存気味になってしまった。

だが命令には従ってくれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、と。

 

「演説の用意が整いました、王よ。」

 

「ご苦労、下がれ。」

 

今、我の前には我が国の全国民が我が言葉を発するのを待っている。

兵士達には通常通り働いて貰っているが既に話は通している。

 

「聞け!我が臣民達よ!我が国は今、抑止力なる存在によって滅亡の危機にある。

奴らは武力で戦って勝てるような存在では無い。我々の常識の外にある怪物である!」

 

全ての民たちが我の言葉に耳を傾けている。

 

「よって、我はこの国を抑止力の存在しない別の世界へと飛ばす事にした。

だが、建造物やお前達国民、全てを転移させるとなると膨大な量の魔力を必要とする。

そこで我は、我が財宝を使用して少しずつ魔力を蓄えてきたが、

抑止力に勘づかれかけている今、これ以上時間を掛ける事は出来なくなった。」

 

不安気な表情を浮かべながらも口を挟む者は存在しない。

 

「そこで、不足分に上乗せして我自身の魔力を消費することで力技ながらも転移させる事は可能だ。

だが当然、そのような事をすれば我は暫く動けなくなる事だろう。

……だが、何の問題がある?お前達。王が不在だから等という理由で動けなくなる程お前達は軟弱か?」

 

ここから先、我の言う事を理解したのかウルクの民は覚悟を決めたような表情をした。

 

「否!断じて否だ!お前達我が国民は、我自らが選別し鍛え上げた精鋭達だ!

王の不在程度で揺らぐ事は無いと!我の不在時に証明して見せろ!」

 

ここで民達の大きな喝采と拍手、そして雄叫びが聞こえてくる。

 

「さて……では我はすぐに儀式の準備に取り掛かる。お前達の寝静まった頃、転移する事になるだろう。

だが案ずるな!日が昇れば貴様らはいつも通りの日常を謳歌し、我はすぐに王としてこの国に戻ってくる。

お前達は王の凱旋を祝う準備をしておけ!」

 

そう言って演説台を去る我に、拍手喝采の雨が降り注いだ。

 




疲れたー。
あとTSの意味……

ギル様の一人称について。

  • 我(われ)
  • 妾(わらわ)
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