転生したら姫ギルだったんだが。   作:Crimson Wizard

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大変お待たせ致しました。
この話のギル様の格好は、公式()イラストの露出度を多少控えめにした程度だと思ってください。
あんまり得意ではないですが戦闘シーン以外を三人称視点で書いてみました。
誤字やその他諸々、何かあったら感想欄にお願いします!


第9話

 

 

 

─エ・ランテル─

 

 

それはリ・エスティーゼ王国、その国王直轄領である。

食糧生産に優れており、帝国、法国との境界に位置する王国内の城塞都市という地理上、商人達の出入りも盛んである為、

外交や、その他にも三重の城壁に囲まれているという事もあってか軍事拠点的な意味合いも持つ。

 

だが一つ、今日はいつも通りのエ・ランテルでは無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには、道行く多くの人間から視線を独占する人物がいた。

 

 

「な、なんだありゃ……」

 

「何処ぞの貴族様か?」

 

 

その人物は、黄金色のロングヘアーを靡かせながら、ただ歩いているだけ。

 

 

「アレがただの貴族な訳あるかよ……!」

 

「あぁ、女神様……!」

 

 

だが一歩、彼女が歩みを進めれば、群衆は波のように割れる。

 

 

「フン……騒がしくて叶わんわ。尤も、我が美貌を目にしてしまっては仕方の無い事ではあるがな。」

 

その人物は多くの者からの視線を独占し、それをさも当然のように受け入れている。

そして彼女は、その麗しくも色気の隠しきれない唇を開き……

 

 

「おい、そこな商人よ。」

 

「へ?」

 

 

比較的近くにいた露天商へと声を掛けた。

 

 

「だから貴様だ。」

 

「な、何か御用で?」

 

 

商人は動揺を隠しきれない様子のまま、その問い掛けに応えた。

 

 

「何、冒険者組合といったか。そこまで我を案内せよ。」

 

「は……?」

 

商人は唐突な命令に口をパカリと開いて間抜けな顔を晒した。

 

 

「だから、我を冒険者組合とやらまで案内しろと言っているのだ。何度も言わせるな。」

 

「で、ですが……」

 

 

商人は考えた。幾ら身分の高そうな相手とはいえ、このまま命令に従ってしまうとここにある商品や売り場は全て他の人間に取られてしまうだろう。

だが、この王族の様な……あからさまに身分の高そうな人間の命令を無視したとなれば、自分だけでなく家族にも危害が及ぶかもしれない。

 

 

「わ、分かりました。ですが、どうか少々お時間を頂けないでしょうか。

何分、ここにあるのは全て私の商売道具でして……これが無くては生活が立ち行かなくなってしまうのです。」

 

 

商人が恐る恐るそう口にすると、その人物はその紅き双眸を鋭くしながらも言った。

 

 

「……まあいいだろう。だがあまり長くは待たんぞ。」

 

「有難うございます…!」

 

 

周りに多く居た野次馬は商人を気の毒そうに見つめるが、それだけだった。

 

急いで商品を纏めながらも商人は思った。確かに横暴極まりないが、それでもこの絶世の美女はこの王国の貴族では無いのだ、と。

この王国の貴族ならば今ので機嫌を損ねるどころか、八つ当たりに適当な罪を被せてくるのは間違いない。

 

 

「お、お待たせ致しました。」

 

「うむ……では案内せよ。」

 

 

商人は命令に従い、無礼のないように万全の注意を払いながら案内役をこなした。

 

 

「こ、こちらになります。」

 

「そうか……御苦労。これは褒美だ、持っていけ。」

 

 

彼女はそう言って何かが詰まった袋を投げ渡してきた。

 

「有難うございます!」

 

中身が気にはなったが、それよりも商人は礼を言ってから組合の中に入っていく女に頭を下げて見送った。

そして……

 

「な、なんだこりゃあ!」

 

商人が袋を開けると、中には色とりどりの宝石が入っていた。

 

「すぐに用心棒を雇わなくては…!」

 

商人は女の後を追うようにそのまま冒険者組合の建物へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

─ 冒険者組合 エ・ランテル支部─

 

 

「ふむ……」

 

 

冒険者という、その実情を知る者ならば対モンスター用の傭兵とでも表現しそうな職業柄か、荒くれ者の多い冒険者ギルド。

 

そこに入ってきたのは、男の理想を絵に描いたような体つきをしており、金髪のロングヘアーに紅玉のような双眸……

何を食べて育てばこうなるのかというシミひとつ無い肌。そしてその肌の露出から覗く、神秘を感じさせる紅き紋様。

 

そして極めつけは、人間には有り得ざる黄金比率を誇るその顏。

そんな御伽噺の登場人物の様な女が、そのギルドへと足を踏み入れた。

 

 

もはや同性であろうと嫉妬する気すら起きないその美貌に、先程まで賑やかだったギルドは、シーン……と静まり返った。

 

 

 

最初に我に返ったのは、この組合の中でも高ランクに位置する冒険者……ではなく、

 

時間帯的に少し暇を持て余していた受付嬢であった。

 

 

「ご、御依頼ならこちらに……」

 

 

あの雰囲気の中では上出来どころか、完璧といってもいい対応だったが……

 

 

「依頼では無い。」

 

女はそれだけをピシャリと言い放つ。

 

 

 

「え……?」

 

その言葉の意味を理解出来なかった受付嬢は、暫しの間固まった。

 

 

 

「依頼では無いとなれば、あとは一つであろう?」

 

 

シビレを切らしたのか、女は口を開く。

 

 

「まさか、冒険者として登録を…?」

 

 

「戯け、時間を掛けすぎだ。初めてここに来る者の理由など大抵はその二択であろう。」

 

 

受付嬢は女のその見た目からか、荒事とは無縁だと思ったのか思わず口を開く。

 

 

「ですが、冒険者とは危険な仕事で……」

 

 

そこで女は口を挟んだ。

 

 

「フン、面倒な問答をする気は無い。女……我がそのような事も知らずにここへ足を踏み入れた白痴だと?」

 

 

受付嬢は善意から口を挟んだだけだが、それがどうやら女の気に障ったらしい。

 

 

「い、いえその……」

 

 

そして何が面白かったのか女が笑う。

 

 

「ふはは!少し意地が悪かったか。だが生憎、我にそのような問いは不要だ。手早く済ませるがいい。」

 

「は、はい。では、この用紙に御記入をお願いします。」

 

 

受付嬢は登録用の用紙を女へと手渡した。女はそれをぶっきらぼうに受け取る。

 

そして……

 

 

「……読めん。何なのだこの字は。」

 

 

受付嬢は、頭が痛かった。

この如何にも教養の有る王族の様な風貌で字が読めないとは思わなかった。

 

 

「ふむ……この国独自の文字か。まだ覚えていなかったな。」

 

 

「あの、代筆で宜しいでしょうか?」

 

 

咄嗟のフォローを入れる受付嬢。

 

「うむ。」

 

 

すると文字を読めないというある種の恥を晒した女は、大して気にしていないのか鷹揚に頷く。

 

 

「……畏まりました。では質問致しますのでお答えください。」

 

 

女は無言で首肯する。

 

 

「まずお名前をお伺いしても宜しいでしょうか。」

 

 

「ギルガメッシュだ。」

 

 

受付嬢は記入を進める。

 

 

「では、他に何かご職業は……」

 

 

あからさまに身分の有りそうな人間に聞いては不味かったかと不安になる受付嬢だが……

 

 

「王だ。」

 

 

「……おう?」

 

 

ついオウム返しをしてしまう受付嬢、だが女は……

 

 

「そうだ。」

 

 

とても満足気に頷いている。

受付嬢はこの女に声を掛けた過去の自分を恨んだ。

 

 

 

「えー、では魔法等は使えますか?」

 

「ふむ。使えん事も無いが……まあ好んで使う事は無いな。」

 

 

そういうことじゃない。

 

 

 

「ゴホン!では何か得意な武器は有りますか?」

 

「何でもだ。」

 

 

受付嬢は、本気で仕事を辞めたくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その後も中身の無い問答が続き、(カッパー)を示すドックタグを手に入れた女が不服そうな顔をして組合を去る頃には、

受付嬢は疲弊しきっておりそのあまりの傍若無人さからか、はたまたその尊大な口調からか……その女は女帝と呼ばれる事となった。

 




高評価ヨロシクネ(bot)

第9話のような基本三人称視点と基本一人称視点ではどちらの方が読みやすいですか?

  • 基本三人称(神様視点…?)
  • 基本一人称(ギル様視点)
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