やはり俺の行きつけがリコリコなのはまちがっている。   作:百合の間に八幡挟む

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どう考えても錦木千束と出かけるのは間違っている。(後編)

 

 小町の問題集を買い、お求めの小説も買い、ついでに錦木に一冊買ってやったことで本日のミッションは終了し、サブミッションである”ぶらり駅前探索ミッションWith錦木”が始まった訳であるのだが、当然ながら目的地は設定されていない。

 強いて言うのであれば、ここら一帯が既に目的地であり、あてどなく彷徨い暇を潰すのが主題であった。

 直帰したいのは山々であるのだが、そうは問屋が卸さない。つーか錦木が許さない。もうね、俺の手ガッチリ握ってあっち行きたい! こっち行きたい! あそこもあそこも! てな具合でずんずか進むんだよ、こいつ。

 ぼっちは基本的に単独行動だからな、スタミナ計算等々も含めて常に最適な行動をするのだが、これが同伴者がいると何の役にも立たん。

 お陰で錦木の自由奔放な足取りに翻弄されてしまい、昼を少し過ぎたところで早々に音を上げてしまった。

 フードコートの端にある、少し大きめのテーブルに陣取って一息つく。

 

「はーい、おまちどおさまですっ!」

「お前はどこでも店員気分かよ……さんきゅ」

「いえいえ~」

 

 疲労困憊な俺とは真逆に、元気溌剌な錦木がトレーをテーブルに置きながら対面へと座る。

 トレーの上にあるのはハンバーガーとポテト、それからナゲットにジュース。それらが二つずつである。

 まあ、どこにでもあるような普通のファストフードだ。

 育ち盛りの男子高校生としては若干物足りないような気もするが、十分と言えば十分な量である。

 

「ヒッキーにはプレゼントもされちゃったし、このくらいはお安い御用だぜっ」

「そうかよ……そこ気にするくらいなら、もうちょっと俺に配慮して動いて欲しいもんだけどな」

「だぁって広いし色々あるんだよ!? 全部見ないともったいないじゃん」

「別に、今日中に見なきゃなんねぇってもんでもねぇだろ……」

 

 ぷくーっと頬を膨らませて抗議の視線を送ってくる錦木だった。それを華麗にスルーして、両手を合わせてからいただきますをする。

 そうしてモサモサと食べ始めたが、いつまで経っても錦木は、「むぅ~」という面をぶつけてきていた。

 めんどくせぇな……。

 

「来たけりゃいつでも来れる距離ではあるだろ」

「そうじゃなくってさぁ~、その、えぇっと、んぅ~」

 

 不満げな表情から一転、頬を染めたり目を逸らしたり、おもむろにポテトをつまみ出したりと忙しない。

 こいつにしては歯切れが悪い。

 珍しかったので特に言及せず、取り敢えず待ってやれば改めて身体を向けられた。

 

「ヒッキーと二人で遊ぶっていうのがさー、大切なんじゃーん……」

「そっ、そ、うか」

「うん……」

 

 何だか気まずい雰囲気になってしまい、互いに無言でトレーの上を片付ける時間が出来上がってしまった。

 やっべー、何これ超気まずいんですけど? 隣の女子に話しかけられたと思って返答したら、実はその更に隣の女子に話しかけていた時のことを思い出す。

 いや本当、その場から消え去りたくなるんだよな、あれ……。

 勝手に過去を思い出し、勝手に傷つきながらズゾゾゾッとジュースを飲みほした。

 

「……お前もそうだろうが、俺も夏休みだ。で、俺はお前と違って夏休み中、夏期講習以外じゃ特に予定は埋まってない」

「?」

「だから、まあ、何だ。買い物くらいなら付き合えるんじゃねぇの」

「!! ヒッキー! 良いの!?」

「寝てなければだけどな、あとめんどくさくなかったら」

「それは大体ダメなやつじゃん~~……でも、うへへへっ、ありがとっ」

 

 毎日メッセージ送るから! と途端に元気を露にする錦木。それだけは絶対にやめろと真顔で言うことになった。

 そんな頻繁に送られたらブロックして削除する自信しかない。

 音ゲーしてる時に通知とか来たらマジ絶許だからね? 絶対に許さないリストに名を刻むことになるだろう。

 

「ほれ、気が済んだならさっさと食べちまえ。全然残ってんだろ」

「おっ? 欲しいならあげるよ? ほらほら、あーんって」

「する訳ねぇだろ、食いもんで遊ぶな」

「そう照れずにさぁ~、良いじゃん良いじゃん」

「うぜぇ……」

 

 グイグイと押し付けられるハンバーガーを、しかし押し返すことが出来ない。単純に触れる訳にもいかないし、そもそもこいつと俺で力比べするかの如く挟んだらハンバーガーはぺっちゃんこだ。

 かなり全力で抗議の目線を送ってみせたが錦木は意にも介さず、むしろ楽し気に「美味しいですよ~? 一口どうぞ~?」なんて言って笑顔を振りまいている。

 ダメだな、こりゃ説得不可能だ。

 それに、いつまでもこんなバカップルですみたいなことをしていれば、やたらめったらと目立ってしまう。

 それは困る、ぼっちは注目されることに慣れてないんだよ。

 そういう訳でパクリと、未だに口の付けられてないところを一口いただくことにした。

 

「どうどう? 美味しいでしょ」

「何でお前が自慢げなんだよ……」

 

 その顔して良いのは店員さんだけだ……。

 高校生の身でありながら働きすぎて、いつでもどこでも店員の気持ちになれるとか言う異能を持っているのだろうか。超いらねぇな。

 つーか、そう。そうなんだよ。

 こいつ、夏休みに入ってからいつ行ってもリコリコにいるんだよな……。

 ただでさえ本当に学生やってんのか怪しいくらいだってのに。

 最早住み込みかってレベル。

 

「いやいや、流石に住み込んじゃいないよ。確かにリコリコは一泊二泊くらい、余裕で出来る場所だけど、ちゃ~んとお家がありますぅ」

「ほーん、一人暮らしか?」

「おっ、鋭いねぇ。やっぱり私の出来る女オーラを感じ取っちゃった?」

「いや、そうでもねぇとお前の自由さは許されねぇだろ……」

 

 バイトやら何やらの話だけではない。

 以前、深夜にフラッと散歩をした際、錦木と井ノ上を見かけたことがあるのだ。

 やたらと急いだ様子だった上、とんでもない速度で走っていくので声をかけることはなかったが(というか多分、そうでなくとも声はかけなかったろうが)、確かにアレは二人だった。

 まあ、そんな時間に出歩いていた俺が言えたことではないが、女子が二人で遊ぶには危ない時間じゃないだろうか、と思ったので強く記憶に残っている。

 その日は何かしらの事件に巻き込まれたりでもしてたんじゃないだろうかと不安になったものであるが、翌日リコリコに行けばケロッとした面で二人とも働いているので、杞憂だと安心したものだ。

 

「うっそ、見たの? ヒッキー……」

「や、見かけたのも一瞬だったけどな。お前ら、直ぐに曲がり角に入って行ったし。追いかけられる気しなかったしな」

「そ、そっかー、へぇ、ふぅぅ~ん?」

「おい、急に挙動不審になるのやめろよ。ちょっと怖くなってきちゃっただろ」

 

 本当に事件とかに巻き込まれてんじゃないの? あるいは伝奇小説の如く妖怪と戦っていたりとか……!?

 俺の封印した中二病が再発症してしまいかねないので、本当にやめてほしい。

 

「まー、その、なに? ちょっと知り合いの家にお泊りしててさー、その時にちょっと遊んでたってだけよ」

「ふぅん、そうか」

 

 嘘であることは顔を見ればすぐに分かったが、特段追及する気も無かったので頷いておいた。

 錦木は嘘を吐くのが下手だ。それは錦木自身が開けっ広げな性格であり、嘘とは無縁の性格だからだろう。

 そんな錦木が、それでも嘘を吐いたということは、これ以上踏み込まれたくないという証左である。

 俺も錦木も人間だ。知られたくないことの一つや二つあることだろう。

 それに、必ずしも知ることが良いことではない。人間関係は脆いものだ。たった一つ、何かを知ることで容易く崩れてしまうくらいには。

 ほとんど人間関係を築かず、外から見続けてきた俺だ。距離を取られているのを把握するのは得意だし、距離を取るのも得意である。

 踏み込むことが必要な人間関係は築かず、他人には踏み込まず、他人には踏み込ませない。これ、非陽キャ三原則な。

 道徳の授業とかで教えてあげてほしいもんだな。

 人は触れ合うことで傷も与えてしまうものなのだから。

 

「あー、難しい顔は禁止だぞ~?」

「してねぇよ、ちょっと考え事してただけだ」

「ふぅ~ん? それっ」

 

 掛け声と共にポテトが飛び込んでくる。モソモソと食えば次々と発射されるそれは、まるでポテトミサイルだ。

 自分の分くらい、自分で食えよ……と小言を零そうとすれば、不意に

 

「あれ、ヒッキー?」

 

 という声が耳朶を打った。もちろん、目の前の錦木ではない。かといって、俺をこんな独特なあだ名で呼ぶのは、俺が知る限り錦木以外では一人しかいなかった。

 視線を横へとずらす。いつもの制服ではなく、季節に合わせた女の子女の子とした服装の彼女は、由比ヶ浜結衣。

 俺が所属している奉仕部の部員。その一人であった。

 教室で良くつるんでいる連中と来たのだろう、「先行っててー」なんて告げてから、改めてこちらを見る。

 

「おう、久し振り」

「あっ、うん、ひさしぶりー……えと、そ、その子は?」

「あん?」

 

 どの子だよ、と由比ヶ浜の視線を追えば首を傾げた錦木と目が合った。

 ああ、そっか、そうだよな。

 名誉ぼっちの俺が誰かと一緒にいるだなんて、それ自体がもう異常事態だ。

 そりゃ相手が誰か気になるというものだろう。

 しかし、ここでひとつ疑問があった。

 俺と錦木の関係性とは何なのだろうか?

 客と店員──という言い方は、この場では少々不適切か。

 であれば、そうだな……。

 

「知り合い……的な何かだな、多分」

「超曖昧だ!?」

「そこは友達で良いじゃんかよ~~っ」

「ちょっ、痛い痛い! 蹴るな馬鹿!」

 

 器用に弁慶の泣き所ばっかり蹴るんじゃねぇよ。良いのか? この場で蹲って号泣するぞ?

 

「脅し方が斜め下だ!?」

「まあな、俺は常に期待を下回ることに定評がある男だからな」

「もう一発蹴ったろか~?」

 

 フォンフォォン! と足を空振る錦木だった。これ以上蹴るのはやめてね、本当に痛いから。

 コホン、と一息入れる。

 

「まあ何だ、良く行く喫茶店の店員なんだよ、こいつ。で、こっちが俺と同じ部活のやつだ」

「錦木千束でっす、よろしく~!」

「あっ、由比ヶ浜結衣です。よろしくね……?」

 

 キュッと手を握り合う美少女二人。どちらも中身が残念ではあるが、黙って見ている分には目の保養になるなと思った。

 

「そんで、今日は俺がこいつの買い物等に付き合ってるんだよ」

「ノンノン、買い物じゃなくてデート、でしょ? ヒッキー♡」

「!!?」

「うわっ、急に甘い声出すな。鳥肌が立つだろうが」

 

 ぞわわわっと悪寒が駆け抜けるのを感じて身を震わせた。ついでに錦木の足が一閃して震えが二倍速になってしまった。

 ぷるぷる、俺は悪いぼっちじゃないよぅ……。

 何なら誰かに迷惑かけるどころか視界にすら入らない為、余計な心労を背負わせないという意味では善業を成し遂げているまである。

 生きてるだけで善業を積み重ねられるぼっちは素晴らしいな。

 

「また下らないこと考えてる顔してる……」

「顔から色々読み取りすぎだろ」

 

 その内心の中まで読み取られそうで怖いんだけど。そんなことを考えながら錦木の方へと視線を移す、トレーの上はすっかり片付いていた。

 それからぐるっと頭を動かして遙か後方を見る。

 そうすれば由比ヶ浜の連れ……三浦だったり、葉山だったりが談笑しながらもこちらを見ていた。

 頃合いだろう。

 あんまり引き留めてもアレだしな。

 そう思えば不意に錦木が静かに立ち上がり、俺の手を引いた。

 

「由比ヶ浜さんの友達も待ってるみたいだし、私達も行こっか、ヒッキー」

「あ? ああ、そうだな。じゃ、またな、由比ヶ浜」

「へっ、あ、うん。またね、ヒッキー。連絡とかするから、ちゃんと返してよ!」

「おー、気が向いたらなっておい、何だ錦木……」

「んー? 意地でもデートだって認めさせてやろうかと思って」

「何だそりゃ……」

 

 暑苦しいんだけど……と腕に抱き着いてきた錦木を見る。

 ほら見ろ、由比ヶ浜とかビックリしてんじゃん。このままだと俺、通報とかされかねないよ?

 良い子だから離そうね? と説得すれば、

 

「今の千束ちゃんは悪い子なんでーす」

 

 なんて返されて終わりだった。

 カツカツテクテクとフードコートを抜けて、再びお買い物エリアへと突入する。

 どうやら駅前探索、午後の部がスタートするらしい。

 ようやく俺の腕を解放してくれた錦木が、くるりと振り返った。

 若干というか、結構しっかりしょぼくれている。

 

「ねぇ、ヒッキー。私、今日ちょっと性格悪いかも……」

「は? お前そんなもん、今に始まったことじゃねぇだろ」

 

 日常的にポコスカ叩いてくる上に、小町と結託して俺を外に誘い出してる時点で気付いて欲しかった。

 今日じゃなくて常々悪い方だっつの。

 

「まあ、何で自己嫌悪してんのか知らないけどよ、別に俺は気分悪くしてないし、由比ヶ浜だって同じだろうよ」

「そ、そう? 本当に?」

「ああ、それよりほれ、次はどこ行くんだ?」

 

 言いながらマップを見る。午前中、散々振り回されたので回っていないところはそう多くない。

 つっても、こういうところは行ったり来たりするのが楽しみ方の一つでもあるからな。

 特に女子となれば、あっちの服屋の方が良かった……いや、やっぱりあっちかも! なんてことが多いので滅茶苦茶往復する。ソースは小町。

 いや本当、何なんだろうな。

 もう少しすっぱり決めてもらえると、荷物持ちとしては有難いのだが……。

 

「んー、それじゃゲーセン! ゲーセン行こっ。クレーンゲーム、これでも結構得意なんだぁ」

「ほーん、それじゃあお手並み拝見だな」

 

 ポンポンと適当に会話しながら、エスカレーターをウィンウィンと駆使してゲーセンへと辿り着く。

 軽く見て回っていたら錦木が

 

「おぉっ! いっぬ~!」

 

 と叫んでクレーンゲーム機へと張り付いた。

 後ろから見れば大の字になってダラリとなった、何とも言えない顔をしたデカい犬のぬいぐるみが鎮座している。

 今回の標的はこいつらしい。

 不敵な笑みを浮かべた錦木が百円を投入すれば、『ドキドキするねぇ~!』とかいう腹立つ音声を吐き出しながらクレーンが稼働した。

 慣れた手付きでアームが動かされ、犬をキャッチ! すると同時にゴトンと落ちた。

 

「くぅ、強敵だぞ~」

 

 頑張れ千束アーム……! と名を与えられたアームが、再び投入された百円を元に『上手にできるかなぁ!?』なんて叫びながら動き出す。

 音声にバリエーションあるのかよ、腹立つなこの台……。

 

「ほっ、よっ……あぁ!」

 

 犬がちょっとだけズレてやはり落下する。

 負けじと百円を叩きこむ錦木だった。

 大丈夫かなぁ~!? という音声が流れる。

 

「むぅぅぅう!」

 

 慎重に、慎重に~!

 

「うぅ~~」

 

 良く狙ってぇ~!?

 

「あー、もー! 取れないじゃん! あとすっごいこれ腹立つ!」

「堪え性がなさすぎるだろ……」

 

 得意って言ってたのは何だったんだ。全然それっぽさがないじゃねぇか。

 こういうのは少しずつ動かすもんだろ。

 

「つーかお前、普通に下手だし……」

「何だとぉ~? それじゃあヒッキー、やってみなよ!」

「はぁ? まあ良いけどよ」

 

 キョロキョロ辺りを見回し、店員が見当たらないことを確認する。ちっ、店員代行ゲットシステムは使えないか……。

 となれば俺の百円を犠牲に捧げ、錦木を諦めさせるしかないだろう。何か放っておくと、取れるまで無限に金使いそうだし……。

 そういう訳でチャリンと投入。

 腹の立つ音声を聞き流しながら犬をキャッチすれば、それはそのまま出口まで連れてきてくれた。えっ、マジで?

 パンパカパーンッ! とゲットの音声が流れる。

 

「うおぉぉ~!? ヒッキーすっごーーい!」

「いや偶然だんぉ!? おい、錦木、抱き着くな……」

「へ!? あっ、ごめんごめん。興奮しすぎちゃった」

 

 へへへっ、と笑う錦木。悪げなくこういうことする辺り、本当に錦木って感じだよな。

 小さくため息を吐きながら犬のぬいぐるみを取り出す。

 

「ほれ、やるよ」

「えっ、良いの!?」

「お前の代わりにやっただけだしな。それに俺、いらないし」

「うぇっへっへ、そっかそっか。やったぁ~! ありがとっ、ヒッキー!」

「どーいたしまして」

 

 まあ、ここまで喜ばれたら取った側としても嬉しいというものだ。

 こういう時、感情を素直に発露できるのは得だなと思う。

 

「あー、でもこれじゃあ、私が貰ってばっかりだ」

「別に良いんじゃねぇの、見返りを求めてる訳じゃないからな」

「いやいや、こういうのは気持ちの問題なのだよ……そうだ! これとかどう?」

 

 言いながら、手渡してきたのは明らかに手作りです! みたいな数枚の紙ぺらだった。

 良く見れば『千束Special無料券!』と書いてある。無駄に達筆なのが腹立つな、これ……。

 因みに千束Specialってのはリコリコで出されているメニューの一つだ。やたらとカロリーが高いことに定評がある。

 

「いや、俺これ頼みたくなったことすらないんだけど……」

「うっそ、マジで!? あー、でも偏屈なヒッキーには王道すぎるメニューだったかあ」

「サラッと俺を罵倒するのはやめない?」

 

 何で俺が悪いみたいになってんの? 違うでしょう?

 

「それじゃあ今からヒッキーのプレゼント探ししよう!」

「別にいらないんだが……」

「じゃあ欲しくなりそうなのを、私が探してさしあげましょう!」

 

 片手に犬、片手に俺の手を握って錦木が元気良く歩き始める。

 もうこうなったら錦木は止まらない。

 経験則からそう答えを弾き出した俺は、晩までに帰れますようにと、いるかもしれない神様に願いながら後を追った。

 

 

 

 

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