ひぐらしのなく頃に 巻込編   作:ポロロン

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突然の出来事

 あの日の給食以降、冬夜さんは全く姿を現さなくなった。あの時まで元気だった冬夜さんが突然行方不明になったのだ。

 梨花ちゃんは明らかに狼狽している。どこか梨花ちゃんと冬夜さんは凄く仲の良い雰囲気を出していた。それ以降の事など考えたくもない。圭ちゃん、レナ、梨花ちゃん、沙都子・・・。

 

「んっふっふっふ。お久しぶりですねぇ園崎魅音さん」

「大石。もう良い年齢なのにその笑い方は止まらないのかい」

「それはもう良いでしょう。私ももう随分年を重ねました。最後まで私はこの話し方を変えない予定です」

 

 園崎魅音と呼ばれた女性は30代ぐらいの年齢に見える。大石という男性は白髪を携えており、声もかすんでいる。年は80くらいだろうか。

 

「あの大災害から生き延びた貴女しか、後を頼める人間がいなくなってしまったのが残念でなりません。熊ちゃんもあの大災害の日に行方不明。園崎家の人間に渡すのも癪ですが、仕方がありませんねぇ」

「元、園崎家だよ。今の園崎家は妹の詩音に託してる」

 

 今二人がいるのは雛見沢分校。すでに無人となってしまっているのか、窓ガラスは割れており、教室内も荒れてしまっている。

 そのまま二人は物置小屋に向かった。

 

「ここから地田さんは行方不明になったわけですか」

「冬夜さんの情報は梨花ちゃんから聞いて、ここが最後の発見現場だそうだ」

 

 地田冬夜。突然雛見沢に記憶喪失で現れた人。あの日以降誰も冬夜さんを見かけることは無かった。突然行方不明になったのだ。

 

「当時の警察の判断では、行方不明ではなく拉致されたという判断です。何者かに襲われたのか血痕が発見されています」

「殺されたわけではなく?」

「私も現場検証しています。何者かに引きずられたであろう跡もありましたが、それ以降の足取りはとれていません」

 

 誰に襲われたかは分からない。最初は拉致被害と言われていたというのに、すぐに行方不明として処理されてしまった。それは大災害のせいでもある。

 園崎魅音は黒塗りのファイルをめくる。何回もめくっているのだろうか、表紙はボロボロだ。

 そのファイルにどこから仕入れたのか不明の資料が挟まれていた。

 

 

 

雛見沢大災害被害者一覧

 

地田冬夜(本名不明)

昭和58年6月17日、雛見沢分校の最後の発見以降行方不明。

捜査は中断。

 

富竹ジロウ(本名不明)

昭和58年6月19日、村内にて自殺?

捜査は中断。

 

鷹野三四

昭和58年6月19日、中部地方の山中にて絞殺。

遺体は焼かれる。

捜査は継続中。

 

熊谷勝也

昭和58年6月20日、捜査中に行方不明。

捜査は継続中。

 

竜宮礼奈

昭和58年6月20日、加害者前原圭一により撲殺。

捜査は終了。

 

前原圭一(報道では少年Aと記載)

自宅にクラスメイトの女子2名(竜宮礼奈・園崎魅音)を呼び寄せ、金属バットで撲殺を試みる。竜宮礼奈は死亡、園崎魅音は重症。犯行現場は自宅2階の容疑者の自室。村内にて発見するも出血性ショック死。前述の富竹ジロウと同様の自殺?方法である。

捜査は終了。

 

入江京介

昭和58年6月21日、診療所内で自殺?

捜査は中断。

 

古手梨花

昭和58年6月21日、神社にて他殺?

捜査は中断。

 

園崎お魎

昭和58年6月22日、雛見沢大災害にて死亡。

 

北条沙都子

昭和58年6月22日、雛見沢大災害にて死亡。

 

前原伊知郎

昭和58年6月22日、雛見沢大災害にて死亡。

 

前原藍子

昭和58年6月22日、雛見沢大災害にて死亡。

 

富田大樹

昭和58年6月22日、雛見沢大災害にて死亡。

 

岡村傑

昭和58年6月22日、雛見沢大災害にて死亡。

 

知恵留美子

昭和58年6月22日、雛見沢大災害にて死亡。

 

公由喜一郎

昭和58年6月22日、雛見沢大災害にて死亡。

 

亀田幸一

昭和58年6月22日、雛見沢大災害の避難中に事故死。

 

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   ・

   ・

 

 それ以降も何名もの死亡案件がつらつらと書かれている。

 

「時間はかかりましたが、ようやく雛見沢へ足を踏み入ることができたんです。この機会を逃すわけにはいきません」

 

 大石が不適に笑う。その言葉通り、誰も足を踏み入れていなかったのだろうか学校だけでなく、それ以外の家屋や道路全てが雑草に覆われている。

 園崎魅音は、キッと目を光らせて物置小屋を見る。ここで最初の被害が起こったというのだろうか。

 前原圭一の凶行の後、園崎魅音は重症ということで県外の大きな病院で入院生活を送ることになった。そのおかげでガス災害に巻き込まれることはなかったものの、それでも一人だけ生き残ってしまったことに恐怖を抱かずにはいられなかった。

 

「地田さんが行方不明に遭われた時、園崎さんが取り乱して捜査が何回も中断してしまいましたからねぇ。だいぶ時が流れましたがもう一度現場をおさらいしましょう」

「・・・」

 

 またもや大石は笑う。対象に魅音は当時の自分の不甲斐なさに苛立ち、握り拳をぷるぷると震わせた。

 もしもあの頃に戻れたなら、そう思わずにいられない。いっそあの時に死ねたならどれほど良かっただろうか。

 

 園崎魅音は物置小屋の確認をした後に古手神社へと向かい始める。それと同じく大石も後についていった。自然が彩りよく見せている雛見沢に、ひぐらしの声がカナカナと鳴いていた。




まだまだ続くんじゃよ
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