ひぐらしのなく頃に 巻込編   作:ポロロン

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なるほど・・・。着物ですか・・・。

「これって!」

 

 バイト終わりの魅音ちゃんと共に店の入り口でプレゼントをした。なぜ人形の事を知っているのかとか、なぜプレゼントするのかとか色々と聞きたいことがあるのだろうが、それも言葉にできていない。まぁ年の離れた男性からプレゼントなんて気恥ずかしいのだろう。記憶を失う前の自分は果たして女性にプレゼントをしたことがあるのだろうか。うまい言葉が見つからない。

 

「わ、私には似合わないよ。こんな可愛い人形なんて」

「そう?魅音ちゃんも魅力ある女性なんだから、わざと男らしい態度とらなくても良いんじゃない?」

 

 部活だけでなく、雛見沢全体のリーダーとして育てられている彼女は、どこか強くあるためにわざと女性らしさというものを消している節があった。ん?待てよ。今の言い方はセクハラ染みてないか?

 魅音ちゃんは人形を返そうとしたが、それはただの照れ隠しであるというのはすぐに分かった。

 

「せっかくのプレゼントだし、貰ってくれ。嫌なら捨ててもらっても大丈夫」

「す、捨てませんよ!」

 

 さっきの恥ずかしそうな顔から、慌てて手をぶんぶんと降り断る。どうやら嫌ではなかったらしい。百面相とはこのことか、恥ずかしい顔、慌てた顔の後は真っ赤にして黙りこくってしまった。かわいいもんである。

 そうして大人しく受け取ってくれた魅音ちゃんを見て満足したまま帰宅をするのだった。でも、前原君がプレゼントした方がもっと喜んでくれたと思うなぁ。

 

 

 翌日。園崎家へいつものように暑い日差しが照りつけるなか原付を走らせる。園崎家は広い敷地の割に住んでいるのは園崎魅音と園崎お魎の二人のみ。しかし家政婦として何人か雇ってるということではあるが、この敷地だと家政婦を雇っても人手不足に陥るのではなかろうか。山を多く所有している園崎家の敷地に近づくほどに、物々しい看板が散見される。『監視カメラ作動中』とか『野生動物注意』とか。時にはダム戦争の時からあるのだろう鬼ヶ淵死守同盟らしき看板も置かれている。

 そんな園崎家。前原屋敷と同じく新しい建物かと思いきや、昔ながらの合掌造りだった。しかし、その建物だけでなく改築されていったのか、色々な建物が重なっている。形容しがたい建物であった。そしてついに園崎家の入口へとつく。インターホンがついている。時折園崎家に行くことはあったが、こうしてお願いをしに行くのは二回目である。

 

「いらっしゃいませ。園崎家次期当主園崎魅音です」

 

 魅音ちゃんが入口から出て挨拶をしてきた。いつものスポーツ的な姿ではなく、着物を着ている。その姿は初めて見るので面食らった。よく見れば、その後ろには知らない人もいる。とにかく彼女が真面目な対応をしているのだから、同じようにする必要があると感じた。

 

「地田冬夜です。突然の訪問申し訳ございません」

「いえ、問題ございません。後ろに控えているのは私の母です」

「お、お母様でしたか」

 

 確かによく見れば髪の色だけでなく雰囲気もお魎さんに近しいものを感じる。どこかの組の姐さんかと思ったぜ。

 

「園崎茜さね。今日はあんたの邪魔はしないから安心しな」

 

 だいぶ怖そうな奥さんだ。園崎魅音と園崎茜が二人して、まるで冬夜の中を見透かしているのではないかと思われる目で見てくる。胃が痛いので止めてほしいところである。

 そのまま園崎お魎のいる部屋まで通された。普通におはぎ食べにきただけなら、気兼ねなく話をできるのだが、今回は用事が用事なのである。ちょっと待ってくれ。お魎さんの隣に知っている顔もある。確か葛西と言う人だ。強面の男で、グラサンをしているため素顔は見たことがない。警察もマークしていると大石さんが言っている記憶がある。

 そう、この葛西という人。どうやら俺を保護してくれた人の一人だという。保護当時はあまり記憶が曖昧な所が多い。園崎家としては不審者がいたので葛西に確認をしに行ってもらった、とのことである。

 

「久々すぎるんね。養生しとったんか」

「はい。今は楽しく過ごしてもらってます。今は雛見沢分校で講師もさせてもらってます」

「そうかいそうかい。それはええもんじゃ」

 

 これだけ見るとまるで祖母と孫の話し合いに見えるのだが、それを周りの鎮座している人を見ると尋問のように見えるだろう。今の魅音ちゃんはまるで、大人びた梨花ちゃんを思い出させる。そして魅音ちゃんの母である園崎茜さんは、品定めをしているかのよう。葛西さんは無言のままだが、もう見た目が恐い。

 

「お魎さん。俺も世間話を多くしたいんですが、大事な話をしたいんです」

「それは魅音から聞いとんね。なんか困りごとでもあるんね?」

「いえ、俺は大丈夫です。ただ、園崎家に対して気になることを言っている人がいました」

 

 そう言うとお魎さんは、先ほどまで高齢者独特の柔らかい顔つきだったが、すぐに当主らしい力強い顔つきへと変わる。

 

「本来であればお魎さんではなく、園崎系列の人に聞けば良いはずですが、俺はお魎さんと魅音ちゃんしか相談できる場を想像できませんでしたので」

 

 そういうと魅音ちゃんが頷いた。普通園崎家と繋がりのある人の方が少ないのだが、もしかしたら茜さんや葛西さんがいるのは、そういう事態を想定して呼んでくれたのだろうか。確かにそっちの筋の人だろうし。確かにこれから話す内容は魅音ちゃんに頼んでも難しい案件だろうとは思っていた。その筋の人に頼むのは少々怖いところもあるのだが・・・。

 

「本題になりますが、どうやら園崎の上納金を狙っている人がいるようです。私が聞いたのは男性と女性の二人組」

「それは聞き捨てなりませんね。園崎の上納金を狙ってタダで済む話ではない」

 

 本題を切り出すと葛西さんが声を出した。この案件は葛西さん伝手だとスムーズだったということか。そもそも園崎家と関係を持つ人が少ないのだが・・・。

 

「女性の名前は知りません。ただ、男性は知っています」

「それで、男の名前は?」

「北条・・・、北条鉄平です」

 

 北条という名前を伝えるとお魎さんが反応した。雛見沢の人は今も北条家を許していない人が多い。お魎さんもその一人なのだろうか。

 

「また北条のダラズが。雛見沢から出てもまぁだ迷惑かけよる。あんじょうすったらん」

 

 お魎さんは終始落ち着いていた。てっきり北条の名前を出したらお魎さんは怒りだすかと身構えていたのだが、これは大変ありがたかった。おそらく目の前にいる少年が園崎家に対して友好的だからということもあるのだろうが、その真意は園崎お魎のみぞ知るということである。

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