ひぐらしのなく頃に 巻込編   作:ポロロン

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雛見沢内で1番の美少年と称される男

 そもそも地田冬夜という人物は、保護されてから数か月の間は人と話すことに不信感を抱いていた。記憶喪失に対して好奇心を持つ者、猜疑心を抱く者が多くいることに疲れたのである。だからこそ、当時話をするのは保護してくれた園崎お魎や園崎魅音、御三家の人に最初に挨拶をした公由家や古手梨花ぐらいであった。北条家の事や雛見沢の事件についても全く知らない状態だったのだ。

 初めて住民と交流を持ったのは、綿流しの準備からである。せっかく保護をしてくれた方々への感謝として、ということもあったが、何よりも祖母の役割をしてくれているお祖母ちゃんに誘われたのもある。とにかくそれがきっかけで交流が持てたのには感謝している。

 綿流しの当日、冬夜は青年団の一員として警備に当たっていた。しかし、通常の警備は祭りの屋台の見回りぐらいで楽しむ余裕があまり無かったし、なぜここまで警備を厳重にするのか分からなかった。

 

「冬夜君。今お酒は飲んでるかいの?」

「いや、飲んでないですね」

 

 準備の際は飲んでいたのだが、もしかして飲みの誘いだろうか。公由喜一郎が話しかけてきたので少し期待をしていると、違う回答がくる。

 

「申し訳ないじゃが、近くの佐藤さんとこでお酒を持ってきてくれるかい?皆酒を飲んでしもうて、運転できないんじゃ」

 

 残念ながらおつかいのようである。佐藤さんの家は、ダム現場へ向かう道にあったはずだ。それなら原付で行けばすぐに祭りに参加できるはずだ。

 おつかいの内容はお酒だった。佐藤さんの秘蔵の酒を用意することに急遽決まったらしい。集会所で他に用意するものはないか聞いたら特には無いとのこと。おつかいが終われば宴会に参加できるということでやる気も上がるものである。

 

 すぐに了承をして原付を走らせる。夏の夜は少しばかり涼しい。今日の祭りも盛況のようだし成功と言えるだろう。

 

「ん?」

 

 雛見沢には残念ながら街灯が少ないため、夜の走行は結構危険である。冬夜は少し先に見つけた人影らしきものを見つけて速度を落とした。

 

「ありゃ?子どもさんか」

「え?」

 

 まさかここで人に出会うとは思わなかった。お互い驚いた顔をしている。目の前にいる少年は中高生ぐらいだろうか。黄色い髪が特徴の好青年であった。

 

「こんばんは。暗い中一人で歩いてたら危ないよ」

「あ、その・・・。はい・・・」

 

 人見知りなのだろうか。少年はあまり話そうとはしない。ただ冬夜はこの後の宴会の参加に陽気になっていたからか気にせず話をし始めた。

 

「俺最近雛見沢で住み始めた地田冬夜って言うんだ。君は?」

「北条悟史です」

 

 お互いに自己紹介を終えてから気づく。保護者はいないのだろうか。こんな夜に少年はライトも持たずに歩いているのである。ここの村人は家の鍵を閉めないことといい、どこか危機感というか警戒心が少ないように思えた。

 

「これからお祭りに参加するの?」

「えっと・・・そうです」

「そっか。俺もこの後祭りの宴会にいるからさ。何かあったら来てね。これでも警備任されてるからさ」

「わ、分かりました」

 

 さすがに陽気に浮かれていた冬夜ですら、少年が何か急いでいるのは分かった。おそらくは綿流しで友達を待たせていることだろう。それなら仕方ない。その後すぐに別れて、冬夜は酒を取りに行った。

 

 

 

 綿流しの翌日の事である。少し二日酔いでぐったりしていたものの、今日は興宮で農家関係の打ち合わせをしないといけない。気分は悪いものの早めに行ってどこか喫茶店でゆっくりしようと思い至った。

 お祖母ちゃんは何か問題が発生したのか、今回は集会所で何かの話をするとのこと。どんな問題が起きたのかは分からないが、もう年が年なのであまり無茶をしなければいいのだが・・・。

 

 興宮に着くと、見覚えのある顔があった。昨日の夜にあった北条悟史君がお店の前にいた。おいおい今日は平日だぜぇ?悪い子がいたもんだ。

 

「こんにちは!」

「うわっ!」

 

 後ろから声をかけると、北条君は大層驚いていた。お店にそれほど夢中だったのか、突然声をかけられたことに驚いたらしい。

 

「北条君、何かお店で買い物?」

「そうなんです。今日バイトのお金が入ったので」

 

 寝不足なのか、目に隈ができている。昨日のお祭りで寝不足なのだろうか。俺も宴会長引いて寝不足だよ。

 本来なら平日に外でショッピングに興じていることを怒る必要があるのだろうが、今回ばかりは体調も悪いしでそんな気分にもならない。それに他所の子だし。

 

「良いねぇ。何買うの?ゲームとか?」

「いえ、あそこにある熊のぬいぐるみです」

 

 そういって北条君が指さしたのは大きな熊のぬいぐるみだった。結構大きいし可愛らしいぬいぐるみである。ぬいぐるみ趣味があったとは、これは女の子受けが良さそうな子だ。北条君イケメンなのに可愛い趣味があるだなんて無敵じゃないか。

 

「妹の誕生日が近々あるので、プレゼントにと思って」

 

 前言撤回である。妹思いの良い子だった。しかも、ぬいぐるみの値段が見えるのだがそれなりに高い。一生懸命バイトして貯めたお金なのだろう。めっちゃ良い子や・・・。

 

「妹さんも喜ぶよ。それにしても大きいけど、一人で運べる?俺原付だけど手を貸そうか?」

「ありがとうございます。でも監督に頼むので大丈夫です」

 

 監督という人物は分からなかったが、もう人手は足りているらしい。俺も記憶喪失になる前は、こんな良い子だったのだろうか。できればそうでありたい。

 その後少年の雄姿を見守り、無事に購入をしたのを見守ってから喫茶店に向かった。名前はエンジェルモート・・・?へぇ、県外からも来ているのか。だいぶ人気見たいだ。

 エンジェルモートの駐車場を見ると県外ナンバーが多く見受けられる。どうやら人気店らしい。それならここに決めて、打ち合わせの時間まで待機しておこう。

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