ひぐらしのなく頃に 巻込編   作:ポロロン

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学校に行こう!

「暑い・・・。本当に6月かぁ?」

 

 冬夜がぶつぶつ独り言を呟く。翌日、冬夜は知恵先生に電話をした。雨漏りの修理について学校に連絡をした。やはり祖母が言っていた通り雨漏りの応急処置らしい。物置だから緊急性は無いらしいが、念には念を入れて、ということらしい。

 しかしながら、何かそれ以外の話もあるようだ。たどたどしく知恵先生が要望を伝える。そのことを冬夜は思い出した。

 

「勉強ねぇ」

 

 知恵先生が言うには、生徒が多くて一人一人の学力を見てあげることができないとのこと。先生として情けないと言いながら、時折学校に顔を出して面倒を見て上げられていない生徒に力を貸して欲しいと言われてしまった。

 できないことはないだろうが・・・。まずは話を聞くだけでも良いだろう。電話だけでは状況が分からないため、本日中に学校に向かうことになった。冬夜は本職の人ではない。時間がかかることも考慮してなるべく早く取り掛かろうと考えた。

 おそらくは朝礼が終わった頃だろう。原付で学校まで走り風が気持ち良いのだが、それでも照り付ける太陽が恨めしいものであった。冬夜は夏のような暑さも冬のような寒さも嫌いだった。どちらかというと秋ぐらいの気温が好きである。まぁ、夏はエンジェルモートのフェスが開催されるので有難いのだが・・・。

 

 暑い暑いと愚痴をこぼしながら学校まで行く。学校から子どもたちの声が聞こえてくる。おそらく休み時間なのであろう。楽しそうな声が学校の窓越しから聞こえてきた。

 職員室に顔を出すと、校長先生と知恵先生が歓待してくれた。初めて校長先生を見た時には驚いたものだ。筋肉ムキムキのマッチョマンで確か海江田先生と呼ばれていただろうか。この人も仁徳溢れた先生だ。頭のきらめき(決してハゲと呼んではならない)が今日も眩しい。そんな校長先生の横に立つのは知恵先生。本名は知恵留美子。カレー狂いの先生だ。頭髪が青色という珍しい・・・珍しい?なんで珍しいんだ?

 

「今日はお仕事でお忙しい中来ていただいて有難うございます」

 

 ふと疑問に感じたが、校長先生が手を差し伸べて話しかけてきたことで疑問が霧散する。おそらく握手を求められているのだろう。それに応じると校長先生は満面の笑みになった。

 確か校長先生と知恵先生は雛見沢分校が廃校になるという話が出た時に教育委員会と話しをしてくださった方達だ。そのおかげで雛見沢でも分校ではあるが学校が存続できている。二人は先生だけではなく、人として尊敬できる方であった。

 

「いえいえ。今日は田んぼの手入れぐらいでしたから暇なんですよ」

「突然のことですみませんでした」

 

 知恵先生が申し訳なさそうに話す。この謝罪は雨漏りの件だけでなく勉強に関することも含まれているように感じた。

 

「大丈夫ですよ。学校ボランティアとして参加しますから、雑用でも何でも言ってください」

「ありがとうございます」

 

 分校で廃校寸前の学校ではあるが、教員として働くには教員免許が必要である。しかしながら、冬夜は教員免許を持っていなかった。それでは指導に当たれないということでボランティアとして参加することにしたのだ。

 

「こちら側も無給ではさせたくないので、教育委員会には特別非常勤講師として対応できるように動く所存」

 

 先生側も色々と考えているらしい。やはり教員関係の事情は先生方に任せた方が良いだろう。事情に疎い人間がしゃしゃり出ても迷惑をかけるだけだ。

 

「分かりました。それではまず雨漏りの修理をしますので、そのあとに詳しい段取りを話し合いましょう。勉強具合も確認しないといけませんので、一度クラスの子どもたちとも顔合わせしたいですね」

 

 それに対して二人は了承をしてくれた。講師と農家の二足の草鞋を履くことになるとは思わなかったが、できる限りのことをしてあげたかった。

 

 

 早速雨漏りの修理を始める。どうやら雨染みが発生しているらしい。確かに業者を呼ぶ案件である。次の予算会議で話すのだろうか。

 下手くそな修理をしているとき、後ろから足音がした。先生が確認しに来たのかと振り返ると、小さな女の子が立っていた。

 

「梨花ちゃんか、久しぶり」

「み~・・・」

 

 古手梨花。この雛見沢にある古手神社の主がいた。あまり梨花ちゃんと話したことは余りない。確か去年の綿流しの時に軽く話した程度だったろうか。挨拶ぐらいだったようにも思える。

 まぁ雛見沢に来て1年ぐらいしか経っていない新参の人間だし、村内会議にも参加は余りしていないから関わりが無いのも仕方がなかった。

 そんなに関わっていないというのに、すぐに自分の名前が広がったのは田舎特有か。知らない人が移り住むということが珍しい田舎にとって、新しい人を覚えることは簡単なのだろう。

 

「今日は雨漏りの修理をしにきたのですか?」

「そうだよ。でもこれは業者呼ばないといけないなぁ」

「それは大変なのです。この物置はかくれんぼで人気なのですよ」

「じゃあ早めに直せるように先生に話しておくね」

 

 そうやって話している間にも古手梨花は冬夜を見ている。なぜか一挙手一投足逃すまいとするような目つきであった。少し気まずい、とでも言うと思ったか。いやぁ、まさか俺もモテ期到来かなとしか考えていない。俺はロリコンではないけど、モテるのは嬉しいね。

 

「あ、そうだ。夜の村内会議なんだけど、今回初めて参加するんだよね。どんな事を話してるか分かるかい?」

「み~。みんなの話している内容はよく分からないのですよ・・・」

 

 そりゃそうだ。小学生だもの。大人たちの会議は分からないよね。

 

「ごめんね。確かにそうだよね~」

 

 そんな梨花ちゃんは困ったような顔をしている。そもそも小学生を交えた会議とはどうなのか。雛見沢でも有力の御三家らしいけど・・・。

 冬夜は梨花を見る。今は小学6年生だったろうか。子どもらしい見た目をしている。しかし、その髪色は知恵先生と同じ青色で、その色を見ていると誰かを思い出しそうな既視感を覚える。まぁ気のせいだろう。

それか何かのアニメのキャラクターで青色の髪を見たのだろう。

 梨花ちゃんの視線を後ろに感じながら、黙々と修理をしていく。その視線を受けながら、何か違うような視線を感じた。梨花ちゃんのお友達でも来たのだろうか。視線の先を確認する。

 

「・・・?」

 

 誰もいなかった。どうやら気のせいらしい。それか廚二病にでも目覚めたか。

 

「どうしたのです?」

「え?いや、何か視線を感じたんだけど・・・。気のせいみたい」

「み~。オヤシロ様が見守っているのですよ」

「アハハ!そりゃ有難いもんだ」

 

 冬夜が笑って見せると梨花も同じように笑ってくれた。この気まずい雰囲気を何とかしたいと考えての冗談なのだろうが、子どもに気を遣われることに申し訳なさを感じてしまったのだった。

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