ひぐらしのなく頃に 巻込編   作:ポロロン

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不安だらけの日々

 今の冬夜の貯金は大層立派なことになっていた。それはいわゆる示談金。園崎家から莫大な示談金を毎日の如く贈られるのだ。園崎家が現在どのような状態になっているか分からないものの、これからの資金だと思えば莫大なお金も利用価値がある。

 冬夜は賃貸を一部屋契約し、そこを囮とした。誰かが部屋に押し入り殺しに来るかもしれない。そんな一抹の不安があったからである。冬夜は根無し草の如く、同じく示談金から購入した車で車中泊を繰り返していた。

 

 

 

 

 

 

 

 大石さんからの連絡が有り、警察署へ向かう。先日言っていた信頼の置ける人物を集めたということらしい。なるほど、それならば大人しく向かうとしよう。

 少し勇み足で警察署へ向かう。署へ向かうと、早々に大石さんが出迎えてくれた。

 

「こんにちは、冬夜さん。だいぶやつれていますが、栄養取ってます?」

「えぇ、ぼちぼちです」

 

 正直に言えばあまり食事をとっていない。お金は腐るほどあるというのに食欲が湧かなかった。雛見沢にいたころのような野菜生活もしていないし、弁当なんて全くである。

 

「ちょっと待っててくださいな」

 

 大石さんは近くの自販機で栄養ドリンクを購入して冬夜に渡す。どうやら飲めということらしい。冬夜はゆっくりと飲んだ。

 飲み干す所をしっかりと大石さんは見ている。心配をさせてしまって大変申し訳なかった。

 

「ありがとうございます」

「良いんです。お気持ちお察しいたします」

 

 その気休めの言葉が大変ありがたく思える。最近気を張りすぎただろうか。何もかもに不安を抱き、全てが敵に思えてくる。これが雛見沢症候群であるというなら納得できるのだが、それを証明してくれる人はいない。

 

「こちらです」

 

 大石さんに案内されて警察署内の一室に入った。部屋の隅々を確認する。

 

「念のため盗聴器が仕掛けられているか確認をしましたが、大丈夫でした」

 

 どうやら既に調べてくれているらしい。それは大変ありがたかった。そして、部屋の中にいた人物について確認する。

 大石さん以外に、男性一名、女性一名。ふむ、両者ともに若い印象を受ける。特に男性はとても鍛えているのか、服の上からでも分かる筋肉が強い印象を更に与えている。冬夜が二人を見ると、自己紹介をし始める。

 

「赤坂衛です」

南井巴(みないともえ)です」

 

 男性が赤坂。女性は南井というらしい。どちらも警察関係者だろうが、この人たちも興宮関連の人だろうか。

 

「赤坂さんは公安の方で、巴ちゃんは垣内署(かきうちしょ)の刑事一課所属です」

「そうですか。お二人はどういう繋がりで大石さんと?」

 

 大石さんが信頼する人物ということならば問題ないのかもしれないが、それでも疑う必要がある。特に公安と言えば警察の中のエリート。一番怪しい人物といえる。

 

「私は雛見沢である事件を追っていました。そこで大石さんには大変お世話になりまして」

「事件・・・?」

「冬夜さんは知らないかもしれませんが、ダム戦争時に起きた誘拐事件です。その時、赤坂さんが雛見沢へ来ましてね。それ以降は会う機会が無かったんですが・・・」

 

 誘拐事件というのは初めて聞くことである。連続殺人事件以外にも何かしらの事件が起きていたということか。赤坂という男性を見て、その後女性を見る。

 

「どうしました?」

 

 不思議そうに南井さんが言う。その不思議そうな顔をしているのに、印象的なツリ目は魅音ちゃんを思い出す。

 信じるということは大変な勇気を出す必要がある。その勇気が湧いてこないのだ。しかし、ここで何もしないのはよろしくない。諦めて近くの椅子に座った。

 

「・・・地田冬夜です。よろしくお願いします」

「えぇ、早速ですが始めましょう」

 

 大石さんは一つの手帳を取り出して話し始める。まず話し始めたのは、『オヤシロ様の祟り』についてだ。

 大石さんが一つ一つの事件について語る。それを赤坂さんは真剣な表情で聞いていた。

 

「それで、この連続殺人事件について予言したのが古手梨花さんになります。そうですね?赤坂さん」

「はい」

「梨花ちゃんが予言!?」

 

 まさかの話だった。どうして梨花ちゃんと赤坂さんが関係を!?

 

「先程の誘拐事件の時に、梨花ちゃんから言われたんだ。それで、今年の綿流しから数日後殺されることも・・・」

「じゃあなんで!あの綿流しの時にいなかったんです!」

「すまない・・・」

「いえ、私も言いすぎました。すみません・・・」

 

 馬鹿な事を言ってしまった。ただ言わずにいられなかったのだ。なぜ居なかったのか、なぜ助けようとしなかったのか。

 しかし、忘れてはいけない。彼らにとっては普通有り得ないことなのだ。冬夜のようにループ経験者ではない。特に赤坂さんは数年前に梨花ちゃんから聞いていたのであって忘れていても仕方がない。人が死んでいて仕方がないというのも変な話であるのだが。

 

「これが、今回のガス災害の犠牲者一覧です。また、その前後に亡くなられた方も載せています。この紙は後程焼却処分しますので、今覚えてください」

 

 南井さんがプリントを渡してくる。冬夜は一つ一つ確認する。どうやら犠牲者一覧とあるが、一人一人の情報量は大変に少ない。

 

 

 

 

 

富竹ジロウ(本名不明)

昭和58年6月19日、村内にて自殺?

捜査は中断。

 

鷹野三四

昭和58年6月19日、中部地方の山中にて絞殺。

遺体は焼かれる。

捜査は継続中。

 

園崎お魎

昭和58年6月19日、園崎詩音によって殺害。

地下の井戸に遺棄される。

 

熊谷勝也

昭和58年6月23日、捜査中に行方不明。

捜査は継続中。

 

入江京介

昭和58年6月23日、診療所内で自殺?

捜査は中断。

 

古手梨花

昭和58年6月23日、神社にて他殺?

捜査は中断。

 

前原圭一

昭和58年6月24日、雛見沢大災害にて死亡。

 

竜宮礼奈

昭和58年6月24日、雛見沢大災害の避難中に事故死か。

遺体は発見されず。現在行方不明。

 

園崎魅音

昭和58年6月24日、雛見沢大災害にて死亡。

 

北条沙都子

昭和58年6月24日、雛見沢大災害にて死亡。

 

前原伊知郎

昭和58年6月24日、雛見沢大災害にて死亡。

 

前原藍子

昭和58年6月24日、雛見沢大災害にて死亡。

 

富田大樹

昭和58年6月24日、雛見沢大災害にて死亡。

 

岡村傑

昭和58年6月24日、雛見沢大災害にて死亡。

 

知恵留美子

昭和58年6月24日、雛見沢大災害の避難中に事故死か。

遺体は発見されず。現在行方不明。

 

公由喜一郎

昭和58年6月24日、雛見沢大災害にて死亡。

 

 

 まさか町民2000人分の資料をまとめてくれているのだろうか。膨大な資料の数である。気になるところも多い。今のうちに疑問点を解消しなくては。

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