ひぐらしのなく頃に 巻込編   作:ポロロン

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巫女服が見れないって・・・こと!?

 犠牲者リストを確認する中で、やはり気になる人物が多い。この場にいる全員がリストを確認しているのを横目で見ながら考えた。

 もし、もしも竜宮さんが遺したアレに対する答えが合っているならば、どうやっても言わなければならない。

 

「皆さん。少し良いですか?」

「何でしょう?」

 

 質問をする雰囲気ではない状態で、真剣な面持ちである冬夜を見て南井は不安そうに返答した。

 

「皆さん集まってもらって申し訳ないんですけど、この件は私だけで調べていきたいんです」

「それはどうしてです。このガス災害が一連の『オヤシロ様の祟り』に繋がるならば警察が動くべきでしょう」

「今回の件で私の知っていることを話した後、全員そろって行方不明になるか怪死するかもしれません。脅しじゃない。2000人規模の死者が出せる規模の話です」

 

 自身の我が儘に付き合ってもらうには、規模が大きすぎた。もしかしたら、明日には全員殺されている可能性もあるのだ。それぐらいの覚悟が必要になる。

 

「大石さんは定年間際です。これから第二の人生を歩む人に一緒に死んで欲しくはない。赤坂さんと南井さん。お二人は若いですし、大事な家族もいるでしょう?それでも良いんですか?」

「確かに、このガス災害が人為的に起こされたものであれば、ただの愉快犯や暴力団、テロリストを相手するわけじゃないでしょう」

 

 冬夜の意図を汲んでか、赤坂も続けて言う。そうか、公安という立場であれば規模の大きい事件を扱うこともあるかもしれない。

 

「それでは地田さんはどうするんです?」

「私は私で調べます」

 

 それを聞いて南井は明らかに怒った顔で冬夜を見た。ぶっきらぼうに言ったのが気に障ったのだろうか。

 

「ガス災害が人為的であれ自然災害であれ、市民に危険な行為をさせるわけにはいけません。我々が殺されるという事案であれば、あなただって危険なはずです」

「分かってないですね。皆さん死んだら終わりなんですよ?」

「あなただって同じでしょう!」

 

 言葉が詰まった。冬夜は次死んだとしてもループができる。その原理は分からないが、ループがある限り死んでも問題はないのだ。しかし、ここにいる人は違う。ループできない。死んだら終わりなのだ。

 

「私は死んでも構いません。どうせ死んでも誰も悔いません。だけど貴方達には家族がいる。後悔してほしくないんです」

「それじゃあ貴方は死んでも良いと?」

 

 そりゃ次があるからね。今回の情報で有力な物が見つかったら死んでやり直すしかない。死ぬことは決まっているのだ。

 

 パァン!と頬に痛みが走った。目の前の南井さんに頬を平手で叩かれたのだ。何か気に入らないことでもあったというのか。

 

「命は一つしかないんです!いつ死んでも良いみたいな顔をしてますけどね、死んでも良い人なんて一人もいないんです!それは私たちだけじゃない、貴方だってそうです!」

「・・・」

 

 言い返すことができなかった。死ねばループしてあの雛見沢へ戻ることができる人間だと言えたら楽なのだが、それができないのがもどかしい。ただ、俺は死んでも良いという顔をしているだろうか。ひりひりしている頬を撫でた。

 

「冬夜さん。信じて欲しいとは言いません。私たちは警察として事件を追う覚悟を決めています。そりゃ死にたくありませんとも。えぇ、退職金が目前に迫っていますから欲しいわけですがね。でも私が警察である以上、辞めるその瞬間まで警察としていたいんです」

「地田さん。私は梨花ちゃんの話を真剣に受け止めていなかった。助けることができなかったことを後悔している。だからこそ、梨花ちゃんを殺めた人を、真相を突き止めたいんだ」

 

 今の冬夜はその表情を汲み取る事が上手くできない。それは冬夜が相手を見ることを恐れて顔を背けてしまっているからだ。大石さんはダム現場の監督が亡くなってから追いかけている事件であるから、その覚悟と言うのは理解できる。赤坂さんや南井さん、この二人の真意というのは分からない。

 なぜ俺はここまでひ弱になってしまったのだろうか。そう自問自答してしまいそうになる。

 ふと、冬夜の肩に手が置かれた。冬夜はその人物を見る。さきほど鋭い平手打ちをした南井さんであった。

 

「教えてください。あなたの知っている全てを」

 

 人を見る恐怖が、目の前の女性によって霧散した。やはりその真っ直ぐな目が魅音ちゃんを彷彿とさせる。その目を見ていると信じても良いのではないかと思ってしまった。

 冬夜は話し始める。

 

「まず、『オヤシロ様の祟り』についてです。ただ、憶測は言いません。俺は知っていることしか話しません」

「分かりました」

「そうですね。結論から言うと、『オヤシロ様の祟り』の加害者は風土病による精神的病気によって引き起こされたものです」

 

 雛見沢症候群について説明を始めると、まず反応を示したのは大石さんであった。

 

「風土病?」

「はい。その病気を彼らは雛見沢症候群と呼んでいました。この病気になると極度の疑心暗鬼、幻覚や妄想をしてしまいます」

「じゃあ園崎家は・・・」

「園崎家自体も雛見沢症候群の事を知りません。知っているのは古手梨花と入江診療所のスタッフぐらいでしょうか」

 

 突然の事に大石さんは混乱する。それはそうだ。殺人事件として園崎家を追っていたというのに、まさか病気だと告げられて今までの捜査は何だったのかということになってしまう。

 

「その雛見沢症候群ですが、梨花ちゃんはともかく入江診療所も知っているのはなぜです?」

「病気について調べていたらしいです。監督・・・入江先生に聞く前にどうやら自殺してしまっているようですが・・・」

 

 できれば生きている間に聞きたかった。この人が死んでしまっているということであれば黒幕のはずがない。『自殺?』というのは気になる所だが、それはまた後に聞くとしよう。

 

「いきなり病気だと言われて困惑するかもしれませんが、これは古手梨花本人から聞いたものです。真偽について物証があるわけではないですが」

「いえ、大丈夫です。続けてください」

「あとは入江診療所のバックにいる組織ですが、『東京』という組織だそうです。人物構成は不明です」

 

 『東京』とは大それた名前である。それほどの組織だということでもあるのだが。

 

「まず入江京介、鷹野三四、富竹ジロウですが、この三名は雛見沢症候群について知っています。その『東京』と繋がっているか不明です」

 

 今一度犠牲者リストを確認する。やはり、富竹ジロウが自殺をするのは雛見沢症候群の可能性がある。喉をかきむしって自殺するのが症状の一つなのかは知らないが。

 

「彼らは入江診療所で雛見沢症候群に罹患した人を捕まえて解剖していたそうです。これは・・・」

「今は雛見沢全体が立入禁止になっています。いずれ入江診療所に行く必要ができましたが・・・」

「そんな悠長にしている暇はありません。今度一人で確認をしにいきます。警察の人が立入禁止区域に入ればバレた時が大変です」

 

 入江診療所。もしかしたら、研究に関する資料は全て無くなっている可能性がある。そんな危険な資料、さっさと持ち逃げするしかない。ただ、何もしないよりかは行って確認するべきだろう。

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