ひぐらしのなく頃に 巻込編   作:ポロロン

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Q:巫女服の上半身にまとっている白い服は、な~んだ?


巫女さんに微笑まれたい人生である

「と、言うわけで本日からお世話になる地田冬夜です。みんなの勉強のお手伝いをしに来ました。まだ慣れないけどよろしくお願いします!」

 

 冬夜が元気に挨拶をする。場所は教室。教室内の30人ほどの視線が突き刺さる思いだった。一応何回か知恵先生と打ち合わせをしたおかげで勉強の手伝い程度はできると思うが、あとは実践で慣れていくしかないのだろう。

 

「お願いしまーす!」

 

 生徒たちから気持ちの良い挨拶が返ってくる。転校生や新しい先生などは質問責めに遭うのが世の常であると思うが、生徒たちも突然のことで驚いているのだろう。少し間が空いてから当たり障りのない質問が飛んできた。

 

「好きな食べ物は何ですか!」

「家で採れた野菜かな。今はトマトが旬なんだけど、甘味が強くてね、すごく美味しいよ」

 

 質問をしてくれたのは富田君と言う男子生徒だった。富田豆腐店の息子さんだったか。いつも豆腐店ではお世話になっているのを思い出す。

 

「はいはーい!好きな女性のタイプを教えてください!」

「巫女服の合う女性を募集中です」

「・・・え?」

 

 魅音ちゃん。質問をしておいて首を傾げるだなんて悪い子じゃないか。

 

「巫女服の素晴らしさを歴史の観点から勉強していきましょうね」

「あ、アハハ・・・。監督と同じタイプみたいだね

 

 ここで巫女服について熱く語っても授業の邪魔になるのは分かっているため、今回は落ち着いて話しをした。それにしても監督と同じとは失敬な。彼とはエンジェルモートで偶に話をするが、彼はメイド萌えなのであって巫女服愛好会の同士ではないのだ。同じタイプというわけではないと思うのだが・・・。

 

「色々と質問もあると思いますが、それは後で個別に聞いてくださいね」

 

 知恵先生が話の修正をしてくれたようだ。確かにこのまま質問責めされたままだと時間がかかって授業に支障が出てしまう。これは致し方の無いものであった。

 

 

 

 

 授業の間というのも大変なものであった。すでに習ったものであるとはいえ、中学生や小学生の内容までを答える必要がある。中学生組は自習ということで、そこまで教科書が進んでいないようだ。前原君と竜宮さんは、二人とも勉強が進んでいる。しっかりと勉強をしていたことは明らかだった。

 しかし、このまま勉強ができるから放置をするというのも良くないことである。まるで個人的な家庭教師のように学力に合わせた勉強をすることになった。

 

 授業が全て終わり、生徒たちが帰る中、中学生メンバーと古手梨花、そして北条沙都子の5人が残っていた。

 

「みんなは帰らないのかい?」

「これから部活なんすよ」

 

 前原君が応える。そうか、この雛見沢分校にも部活があったのか。詳しく話を聞いてみると、どうやら野球やサッカーなどのような運動部でも、囲碁将棋部や写真部などのような文化部でもないようだ。どうやらボードゲームやカードゲームを主体とした部活らしい。

 

「なるほど。だから時々帰り道に奇妙な恰好をしたりするんだね」

「そうなんすよ。この前なんてボロ負けしちゃって」

 

 時々彼らが帰宅途中でコスプレをしている姿を見たことがあるものの、それはいわゆる罰ゲームらしく、ゲームで負けたら勝者の言う通りにする必要があるらしい。罰ゲームにしては過酷だと思うのだが・・・。まぁ、皆が了承しているのだから必要以上に何かお小言を言う必要などないだろう。

 そんなことよりも、今日はこの後畑仕事をしたら村内会議なのだ。早く畑の手入れをしなければ会議に間に合わないだろう。冬夜は部活に興味はあるものの、帰宅するため生徒と先生方に挨拶を済ませて帰宅をするのだった。

 

 

 その日の帰宅途中の事である。今日もひぐらしの声をバックに巫女服について考えていたところ、ふと違和感を感じた。ざっざっざ、と歩道を歩いているというのに、後ろから足音は聞こえないものの気配がするのだ。

 

「・・・?」

 

 思わず足を止める。

 止まったというのに、一つ足音がした。ざっ、と同じ音である。驚いて後ろを振り返った。

 

「梨花ちゃん・・・。後ろから付いてくるのは罰ゲームか何か?それともマイブームかい?」

「にぱ~☆」

 

 満面の笑みで返されても困るのだが、子どもの考えることは分からないものである。無鉄砲というか何というか、それもまた青春なのだろう。

 

「部活は良いのかい?」

「大丈夫なのです。今日は地田と一緒に帰ると伝えているのです」

 

 それはそれでロリコンの気を疑われそうで嫌なのだが。その感情と同時に思うことがあった。

 

「何か聞きたいことでもあるんだろう?」

「・・・」

 

 その質問は彼女の虚をついたらしい。驚いたように目を見開いて冬夜の顔を見た。わざわざ部活を差し置いて誰かと帰宅をするように思えなかったというのが真実である。何か困りごとでもあるのか、それとも部活よりも興味が勝ったのか分からないが、しっかりと彼女の質問に答えられる自信が湧かなかった。

 

「・・・地田は、何をしに雛見沢へ来たのですか?」

「ふむ・・・」

 

 何をしに雛見沢へ、という質問は初めて言われたように感じる。確かに一年前に雛見沢へ移り住んだのだが、それがなぜかと問われたことはない。

 

「園崎の・・・魅音ちゃんから話は聞いてはいないみたいだから正直に話をするけど、言いふらさないと約束してくれるかい?」

「分かりましたのです」

 

 小学生の約束など、正直言って信用ができないものであるが、目の前にいる少女が、誰彼かまわず言いふらすという想像ができなかった。まるで、約束ではなく契約をするような雰囲気が漂うのが分かる。

 

「簡潔に言うとね。俺は記憶喪失なんだ。気が付いたら雛見沢の鬼ヶ淵沼近くに立っていたらしくてね。そのまま保護されたんだ。自分の名前も、出生も分からない。ただ、園崎家が調べた限りでは、高校受験以降の知識も持っているから成人は迎えているだろうという推測だけ。もしかしたら成人かもしれないし、ギリギリ未成年かもしれない」

 

 少女は話を聞き逃さないように傾聴していた。集中しているのだろうが、時々目を横に逸らしている。まるで、そこに誰かがいるかのような視線の逸らし方であった。

 

「警察の大石さんって人に保護されてね。さぁこれからどうしようかと悩んでいた時に園崎家に拾われたんだ。その理由をお魎さんは教えてくれないんだけどね。便宜を図ってくれて、今はご厚意で親権者になってくれた方と一緒に住んでるんだ」

「でも、そのお家は『地田』ではないのです」

「あぁ、保護されてから名前を決める時にね、姓を決めようと辞書を適当に開いて決めたんだ。冬夜の名前は、真冬の夜に保護されたから冬夜ね」

 

 真剣に聞いてくれていた彼女であるが、記憶喪失という話が出てから少し怪訝そうな顔をする。まぁ確かに記憶喪失の人なんて周りにいないものだし、どこか嘘っぽいように思えても仕方がないだろう。残念ながら真実なのである!

 ちなみに後見人は園崎家のおかげなので、免許を取る時は大変助かったものである。たまに園崎家を訪ねるのが楽しみの一つであった。色々と怖がられる園崎家でもあるが、助けてくれた人に対して怪しむのは失礼というものであった。

 梨花は途中で怪しむ視線を見せたが、冬夜の真剣な眼差しを見て本当の事であると思ってくれたのか、それ以外に納得できる証明ができたのか分からないが、大きくうなずいた。どうやら理解してくれたらしい。

 よきかなよきかな。

 




A:白衣(はくえ)って呼ぶんだ!他にも『びゅくえ』とかの呼び方もあるよ。
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