ひぐらしのなく頃に 巻込編   作:ポロロン

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痴女巫女!腋を出すんじゃあない!

 祠は手入れされていない状態だった。それを何故そう思ったのかは分からない。ただ、綺麗にしてあげたいと思った。

 それ以降、子どもながらに手入れをし続けた結果、何とか周囲だけは綺麗になった。残念なことに祠自体を修理することはできなかったが。それが癖になったのか、定期的に祠に訪れては掃除をしていくようになった。それは、両親の期待の目が辛いときに意識を外へ向けるために無意識でしていたのかもしれない。友達もいないものだったので、遊びでストレスを発散することはなかったのが理由でもあるだろう。

 小中高、残念ながらあまり記憶が無い。勉強をして帰宅をして自主勉強をして(残念ながら塾などへ行くお金は無かったように思える)・・・。それを苦に思うことはない。なにせ自身にはこの祠があるのだから。祠の内部に何があるのかは分からない。ご神体があるのかすら分からないが、有っても無くてもどうでも良いのだ。

 

「■■、就職は大学出てからにしなさい。大学は県外へ出るんだ」

 

 父は余り進路について強く言うことは無かった。それは自身が勉強にひたむきであったからかもしれない。あるいは父なりにもし希望している大学に落ちたとしても、落ち込まないようにするためのものだったかもしれない。父は優しい人物だった。

 

「そうね。私たちは二人でゆっくり過ごすから。就職も県外になさい」

 

 母は大学というよりも就職についてよく話をしていた。どこが良いのか悪いのか、どこから情報を仕入れてくるのか分からなかったが。良し悪しを決めるのもどうかと思う時もあったが、それは自身の将来を思ってのことであるし、愚痴をこぼすことはない。母は優しい人物だった。

 

 

 いや、違う。結局のところ両親は生まれたこの土地が嫌いで、それを子どもに押し付けたくないのだ。両親は思っているのだ。苦労してほしくない、と。

 でもさ、もう●●●●年だよ?もうそんな古い考えをしている人なんて、ほとんどいないはずさ。そう言って説得することができなかった。

 言えないことがあったら、いつも祠に行っては愚痴を吐き出す。それが今の日課だ。しかし、この日課も数える限りのことになるだろう。

 両親の言う通り、自身が外に出るのであれば、この祠を手入れすることなど限られてくる。それはこの祠に対する不義理のようなものであると思ってしまった。

 さて、どうしたものか・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目を覚ますと、そこはいつもの風景ではなかった、確か死んだはず。死ねばあの頃の雛見沢へ戻るはずなのだ。

 今いる景色は、どこか宇宙空間のような無重力を思わせるものだった。前面がまるで星空に覆われているような空間。いや、足元は石畳のようなものが敷かれていた。星空だけじゃないな。なにか青色の水晶のようなものが宙に浮いている。

 ゆっくりと首を動かして周囲を確認していると、今までいなかったはずなのに、目の前に女性が現れていた。

 

「うぉっ!」

 

 その女性は薄い紫の髪色をしていた。背丈は梨花ちゃんを彷彿させるほどのものである。特徴的だったのは、頭についている二本の角だ。いや、それだけじゃない。

 

「その巫女服!ちょっと肩と腋が出すぎじゃないか!?」

「・・・」

 

 目の前の少女は呆れた顔をしている。なぜそんな顔をするんだ。俺は真面目な話をしているんだ。

 

「秀逸なデザインをしていることは認めるが、露出を抑えてこその巫女服。謎の袖をつけて!どう付けてるんだそれは!もっとこの横乳を見せないためにだね、この巫女服を―――」

 

 ずんずんと近づいて少女のデザインを細部まで確認しようとしたその時、突然少女が人差し指をピシッと立てた。一瞬中指かと思ったぜ。いや待てよ、巫女さんに罵倒されるのも有りじゃないか?

 

「あと一回」

「ひょ?」

 

 あと一回とはどういう意味か。もしかしてセクハラできる回数だろうか。そう考えていると腋巫女は立てた人差し指をゆっくりと冬夜の横に指した。

 肩巫女が指した場所を見ると、そこにいたのは―――。

 

「砂?」

 

 少しばかりの砂山が立っていた。ただの砂山にしか見えないそれが、まるで砂時計かのような儚さを彷彿とさせる。その砂がさらさらと風が無いというのに飛んでいく。その飛んだ砂は先ほどの青色の水晶に吸い込まれるかのように付着していった。

 なんか付着とか言うと汚く思えるけれど、その言葉が正しいだろう。

 

「痴女巫女さん。これは一体・・・?」

「人の子よ、私は痴女ではない」

 

 あ、はい。それでこれはどういう意味なのかと再度聞こうとしたのだが、それは叶わなかった。

 

 

 

「戻ったか」

 

 先ほどの謎空間とは違い、雛見沢の自室だった。時間をかけずに新聞紙を確認してみる。

 

「綿流しまで残り1週間・・・」

「そうさね。1年1年が短くなってる気がするんね」

 

 ばあちゃんが新聞紙を見る冬夜に微笑みかける。やはりループをしたらしい。今回で2回目のループなのだが、それでも頭が混乱しかける。先ほどまで住んでいた日にちとは大きく乖離しているのだ。まるで時差ボケのような雰囲気を味わう。

 そういえば、今回のループは死ぬ寸前までの記憶が残っている。誰に刺されたのかは分からないものの、あそこまで鮮明に覚えているのも変な話だ。刺された場所を触ってみるが、特に違和感はない。奇妙な感覚だけが残っていた。

 

「最近は梨花ちゃまも時折我が家に来てくれるもんで、好かれとるんやねぇ」

「梨花ちゃんが?」

 

 そういえば梨花ちゃんもループをしているのだった。もしかしたら冬夜がループをする前にはもう既に、ということなのだろう。

 そもそもループする前の俺はどんな状況なのだろう。以前は講師に既になっていたりしていたので、おそらく似た状況だと思うのだが。

 

「それよりも学校に行かんと間に合わんね」

「お、おう」

 

 どうやら講師になっているのは変わらないらしい。これなら学校で梨花ちゃんに会えるはずだ。これならば問題は無い。

 今回のループで果たして惨劇を止めることができるのか。それは分からない。せっかくガス災害から生き延びたというのに、何も真相に迫ることができなかった。自身の弱さが骨身に染みるほど嫌気がさす。

 次こそは、という思いは強い。しかし、それが可能かどうかと言われると根拠すらない。これでは誰からも呆れられてしまうだろう。

 どうやって戦うのか、そればかりはまだ答えが出ない。誰を仲間に募るか、それも問題だ。問題は山積み、真相を知ろうとすると必ず殺される。

 さぁ、どうやって戦おう。

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