ひぐらしのなく頃に 巻込編   作:ポロロン

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え!!残り1週間で惨劇の回避を!?

 学校に着いてから気づく。蝉の声が五月蠅いということだ。さきほどまで雛見沢から離れた土地で過ごしていたこともあってか、あまり自然の声というものを聴いていなかったように思える。

 行方不明になっていた知恵先生。ここでは当たり前のように職員室で日直の確認をしている。なぜ彼女は行方不明扱いになっていたのか。そういえば竜宮さんの遺留品についても調べておくべきだった。鳥に帽子、これを意味するのは何だろうか。それを今竜宮さんに聞いても意味がないこと。しかし、何かヒントを得られたら良いのだが。

 今日の日直の確認をしていると、知恵先生から大事な話があるということで話を聞くことになった。

 

「竜宮さんが・・・?」

「えぇ、昨日と同じく昨日からお休みをしています」

 

 昨日今日で熱が出たということで休んでいるらしい。そうか、これでは話を聞くことはできなさそうだ。今日の帰りにお見舞いでも行こうかな。

 大事な話を聞いてから教室へ向かう。ふむ、確かに竜宮さん以外の生徒は全員そろっていた。よし、梨花ちゃんはいるな。だが、梨花ちゃんはこちらに目を合わせてくれない。どういう状況になっているのか分からないが、とにかく授業を行う。

 授業の合間に、他の生徒に不審がられないように話をし始めた。

 

「梨花ちゃん、そろそろ綿流しだね」

「そうなのです」

「俺も綿流しの青年団になってるからさ、打ち合わせしたいんだよね。お昼休みとかに時間貰える?」

「・・・覚えているのですか?」

「梨花ちゃんの言うのが俺の思っている通りであれば、覚えているかな」

 

 そもそも青年団になっているのか分からない。前回と今回、ループをする前はどのように過ごしていたのか分からない状態なのである。前回のループ時には大きな乖離というものは無かったのだが、今回はどうなのだろう。

 それに『覚えている』ということはループに関することだろう。もしかしたら、梨花ちゃんは冬夜よりも前にループしたということか。その時の冬夜がどんな対応をしたのか分からない。

 もしかして、ループにも色々なルールが存在したりするのか。あの時の痴女巫女が言っていた『1回』についても気になる。もしかしてもうループができないとか?

 少しばかりというよりも大きな問題が多すぎて眩暈をしそうになるが、気をしっかり保つ必要がある。次こそは運命に打ち勝ちたい。

 梨花ちゃんと無事に話ができたのは、当日の昼休みだった。どこか梨花ちゃんは真剣な顔をしている。今回集まった場所は同じく学校の物置部屋だ。沙都子ちゃんがトラップを仕掛けない限り安全な場所と言える。あれ?そういえば今の俺は沙都子ちゃんと呼んでいいのだろうか。

 

「・・・」

「梨花ちゃん、どうして緊張しているのかな?」

「本当に覚えているのですか?」

「ループについて、で会ってるよね?」

 

 なぜそこまで緊張をしているのか。もしかして違ったか?

 

「い、いえ。合っているのです!」

「あぁ、良かった。俺が何かやらかしたかと」

「ループをしたのは最近なのですか?」

「今日の朝かな」

 

 梨花ちゃんはなるほど、と理解したように頷く。この反応からすると、やはり梨花ちゃんと俺がループをした時期は異なるらしい。

 

「冬夜が今日の朝ループをする前、だいたい2週間前にボクはループしたのです。冬夜に話しかけても知らないというので、もしかしたら・・・ループしていないのかと・・・」

「それはすまなかった。園崎詩音の事件以降だいぶ時間がかかってしまって」

 

 だいぶ時間をかけたというのに全く進展が無かったのだが。それは見たくもない事実ではある。

 

「綿流しからは生き延びたのですね」

「あぁ、それについては長くなるから、今日の放課後に神社の境内で話そう。前みたいに家に呼ぶのは不審がられるから」

 

 以前のように梨花ちゃんを家に招待しても良いのだが、前は北条鉄平の件があったからこそできた事。今回は沙都子ちゃんもいることだし、北条鉄平は襲来していないのだろう。

 

「今回は何か問題は起きてる?」

「大問題が発生しているのです」

 

 うわ、聞きたくない。次は何が起きているというのか。梨花ちゃんは周囲を一度見回して誰もいないことを確認する。前原君か園崎詩音か。あぁ、この雛見沢は呪われているのだろうか。

 

「レナが、レナが今回は危ないのです」

「竜宮さんが?今日は熱が出て休んでいるけど。それと関係が?」

「レナは人を殺めたのです。その現場は部活の皆が処理したのです」

 

 何を言っているのか分からなかった。人を殺して処理をした?竜宮さんと部活メンバーが?冬夜は目を伏せる。これも雛見沢症候群の仕業なのかもしれないが、それでも人を殺したという事実とそれに加担しているということに、残念ながら理解することを拒んでしまったのだ。

 

「・・・」

 

 言葉にすることができない。古手梨花は今の冬夜の様子をしっかりと理解した上で言った。

 

「ごめんなさい」

 

 それは古手梨花の『弱さ』を出した声だった。竜宮レナの様子を見逃して殺人まで犯させてしまったこと。部活メンバーが遺体を遺棄することを許可したこと。

 冬夜はどう言葉にすれば良いか分からなかった。それは殺人や遺棄に対することもあるが、それ以外の事もある。ふと、その時の光景が思い浮かんでしまったからだ。殺人を犯した竜宮さんの顔を。遺棄をした時の部活メンバーの顔を。

 

「辛い思いをさせてしまってごめんね」

「いいえ、これは私のせいよ」

 

 辛かった。ループをする前の俺は一体何をしていたというのか。のほほんと過ごしていたのか、もっと気づくべきところが多かっただろう!

 そもそも梨花ちゃんの相談に乗っていないこともだ。何を馬鹿みたいに過ごしているのか。

 

「じゃあ、綿流しまで残りわずかだ。今回こそどうにかするために放課後に竜宮さんの件を含めて話をしよう。そこで方針を決める」

「ありがとうなのです」

 

 まだまだスタートラインにすら立てていない状況ではあるが、まずは情報確認をしなければならない。最初とぜ前回の敗因は間違いなく仲間不足と情報不足である。もっとお互いの情報を精査する必要があった。

 冬夜と古手梨花は一時解散をする。今までの諦めた雰囲気を出していない彼女を見送って冬夜も気を引き締めるのだった。

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