ひぐらしのなく頃に 巻込編   作:ポロロン

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神社の境内は安全地帯

 教室内では特に大きな問題というのが起きなかった。しかし、部活メンバーが犯罪行為をしたという事は間違いないこと。それを鑑みて様子を見てみると、魅音ちゃんと梨花ちゃん以外のメンバーはどこか緊張した面持ちであった。

 魅音ちゃんは園崎家としてポーカーフェイスを保つことは得意なのは分かる。梨花ちゃんは想像以上にポーカーフェイスができるのだろう。前原君と沙都子ちゃんはどこかぎこちないものだ。これでは大石さんには見抜かれてしまうだろう。あの人はやり手の警察だからなぁ。

 

 そういった経緯を終えて梨花ちゃんと境内で話をする。境内には二人以外誰もいなかった。おそらく数日後には綿流しの準備でここも忙しなく人が行き来することだろう。

 まずは状況を伝えるために冬夜はガス災害についての話をし始めた。ガス災害、竜宮レナの遺品、公由家の儀式、謎の薬、鷹野三四の死因など。想像以上に謎が増えた状態なのであるが、とりあえず伝えていく。

 

「薬とか儀式は分からないけど、ガス災害?私が死んだ後は雛見沢の人が全員死ぬの?」

「あぁ、そうだ。鬼ヶ淵沼からの有毒ガスによるものらしい。本当に見たわけじゃないから正直分からない」

「・・・入江に聞いてみるとしましょう」

 

 監督か。そういえばあの人は自殺扱いされたのだったか。敵の可能性もあるが藪蛇を突かない程度に話をしていきたいものだ。

 

「それに鷹野も話を聞いている限り怪しいわね。死体は一致しているか分からないじゃない」

「歯形が合っているということらしいけど。組織絡みの隠蔽なら、それぐらいはできるかもしれない。でも、確定したわけじゃないからね」

 

 そう。今容疑者として名前が挙がるのは数人しかいない。一人目は入江京介。正直に言うと犯人とは思えない人物であるが入江診療所の所長という肩書を持つ彼の潔白は未だ晴れていない。自殺というのも本当なのか怪しいものである。二人目は鷹野三四。『オヤシロ様の祟り』の中で唯一死体そのものが怪しい人物だ。その二人でなければ、あとは名も知らぬ誰かという事になる。

 正直に言えば、見知らぬ誰かでいてほしい気持ちがあった。人を疑うのは大変疲れるのだ。早くこの状況を終わらせたい気持でもある。

 

「そういえば、俺はループをする前の自分の状況が分からないんだけど。そういうものなの?」

「そうなの?私は記憶の引継ぎがあるけれど」

 

 なんてこった。記憶の引継ぎが出来るとは羨ましいものだ。こっちは何となくで過ごしているというのに。あの痴女巫女が何かしているに違いない。もう一回会えたらセクハラをしてやろう。

 

「富竹の死因は喉を搔きむしっての死亡ですから、雛見沢症候群で間違いないわ」

 

 つまり富竹さんは犯人じゃない可能性が高いわけだ。途中で裏切りが発生したとかの状況であれば分からないが。こればかりは実情を知らないので仕方がない。

 

「さて、梨花ちゃんを助けるのは第一優先だが。それと同じく気になるのは竜宮さんのことだ。何が遭ったんだ?」

「レナは・・・。レナの父親の相手が悪い人だったわ」

 

 竜宮さんの父親絡み・・・。それを聞いて一人の人物が思い浮かんだ。

 

「間宮リナか!」

「知っているの?そうよ、間宮リナを殺し、美人局としてやってきた北条鉄平を殺した」

 

 そうか。それが原因だったというのか。竜宮家の問題は以前のループで解決をしたこともあり、その危険性というのも分かる。冬夜は以前のループでの竜宮家について説明をした。

 

「あなた、裏でそんなことをしていたの?」

「まぁ、はい」

 

 少しだけ責められているような気がした冬夜は、大人しく頷いた。確かに梨花ちゃんと情報の共有をしていたら、このような問題は起きていなかっただろう。

 

「いえ、私もあの時は沙都子の事で頭が一杯だったから・・・。ごめんなさい」

「こちらこそ申し訳ない」

「もう起きてしまったことだから。頼りにしているわよ」

 

 頼りにしているという言葉に彼女が信頼をしてくれていることが十分に伝わる。彼女の目はもう諦めていない。その力強さに圧倒されそうになった。

 

「分かった。竜宮さんは今はどう過ごしているの?」

「今のレナは家にいないわ。おそらく元ダム現場にいる」

「そうか。雛見沢症候群を発症しているなら、無暗に会えないな。会って病気が酷くなる可能性も有る」

 

 雛見沢症候群。それが一番の厄介なタネだった。話をして冷静になってもらうのも難しい話だろう。下手な行動で刺激したくない。

 

「そのまま放置をしてしまったら、レナは学校の皆を人質にとって死ぬわ」

「人質か。死ぬっていうのは竜宮さんだけ?」

「生徒全員になるわレナが学校全体を爆発させようとしていたわ。ガソリンを大量に撒いてね」

「・・・」

 

 ガソリンを撒いて焼身自殺。いや、規模が大きければ彼女の言う通り爆発させることもできるだろう。それほどの大事が残り数日で起ころうとしていることに冷や汗が出た。しかし、冬夜のやることは一つのみである。どんな殺害方法であろうと竜宮さんが人質をとって全員で死ぬということは避けるべきこと。どうすれば惨劇を避けられるか、そこだけを考えていこう。

 

「レナは初めに女子生徒一人を人質にして教室に入ってくる。鉈を持ってね。その後全員を縄跳びの縄で縛って動きを止めるわ」

「そういう状況なら前原君と魅音ちゃんが反撃しそうだけど・・・」

「圭一は誰もケガをさせないためにレナの言うことに従うわ。あとは誰も動けなくて死ぬの」

 

 そうか、あの前原君であれば我武者羅に動くかと思っていたが。自分が思っているよりも冷静になれる子なのかもしれない。

 

「先生は?」

「知恵しかその日いなかったのだけど、立てこもりをする前にレナに呼び出されて学校から出てるわ」

「それじゃ、その時に俺も学校から出される可能性もあるわけだ」

 

 やけに用意周到である。いや、爆発死をしようとしているならばそれぐらい考えるだろう。それならば冬夜は行動に移せるというもの。やることは決まったのだ。

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